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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152049
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】トリガー部材の位置決め治具
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/16 20060101AFI20241018BHJP
   E05F 5/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E05F1/16 B
E05F5/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065962
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000145895
【氏名又は名称】株式会社小林製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】田村 佳大
(72)【発明者】
【氏名】半井 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 和江
(57)【要約】
【課題】レールに対するトリガー部材の取付位置を自由に設定できる位置決め治具を提供する。
【解決手段】
戸板Aに取り付けられるローラーユニットYおよびスライドアシスト装置Xが移動する移動空間152を有するレール150に対してスライドアシスト装置Xと係合するトリガー部材Tを取り付ける際に使用される位置決め治具10を、戸板AあるいはローラーユニットYに当接させて位置決めするための位置決め面14と、トリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定するための固定具Kを挿通するための固定具挿通孔16とで構成する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
戸板に取り付けられるローラーユニットおよびスライドアシスト装置が移動する移動空間を有するレールに対して前記スライドアシスト装置と係合するトリガー部材を取り付ける際に使用される位置決め治具であって、
前記戸板あるいは前記ローラーユニットに当接させて位置決めするための位置決め面と、
前記トリガー部材を前記レールに対して位置決め固定するための固定具を挿通するための固定具挿通孔とを有している
位置決め治具。
【請求項2】
前記レールの前記移動空間に嵌挿される外形状に形成されており、
前記トリガー部材の端部に形成された第1係合部に係合する第2係合部が形成されており、
前記位置決め面を前記ローラーユニットに当接させて位置決めするようになっている
請求項1に記載の位置決め治具。
【請求項3】
前記トリガー部材の端部に形成された第1係合部に係合する第2係合部が形成されており、
前記第1係合部に前記第2係合部を係合させたとき、前記トリガー部材に形成された、前記固定具を嵌挿させる固定具嵌挿孔に対して前記固定具挿通孔が一致するようになっている
請求項1に記載の位置決め治具。
【請求項4】
前記固定具挿通孔の径は、前記固定具の最大径よりも大きく形成されており、
前記固定具で前記トリガー部材を前記レールに固定した後、前記トリガー部材から取り外すことができるようになっている
請求項3に記載の位置決め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸枠内で左右にスライドして構造物の開口部を開閉する引戸に使用され、引戸の戸板に取り付けられたアシスト装置と係合するトリガー部材の位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、特許文献1に記載されているようなスライドアシスト装置が知られている。このスライドアシスト装置は、レールに設けられたトリガー部材と係合することによって稼働するようになっている。スライドアシスト装置が稼働することにより、引戸の戸板を減速させるとともに、戸板の閉方向のスライドをアシストできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-151855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のレールに対するトリガー部材の係合は、予めレールにいくつかのトリガー取付孔が形成されており、トリガー部材に形成されたレール取付孔をいずれかのトリガー取付孔に一致させた後、これらレール取付孔およびトリガー取付孔にネジやピンを連通させることによって行われていた。
【0005】
つまり、レールに対するトリガー部材の取付位置はトリガー取付孔の位置によって規定されており、この取付位置を自由に設定することはできなかった。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、レールに対するトリガー部材の取付位置を自由に設定できる位置決め治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、
戸板に取り付けられるローラーユニットおよびスライドアシスト装置が移動する移動空間を有するレールに対して前記スライドアシスト装置と係合するトリガー部材を取り付ける際に使用される位置決め治具であって、
前記戸板あるいは前記ローラーユニットに当接させて位置決めするための位置決め面と、
前記トリガー部材を前記レールに対して位置決め固定するための固定具を挿通するための固定具挿通孔とを有している
位置決め治具が提供される。
【0008】
好適には、
前記レールの前記移動空間に嵌挿される外形状に形成されており、
前記トリガー部材の端部に形成された第1係合部に係合する第2係合部が形成されており、
前記位置決め面を前記ローラーユニットに当接させて位置決めするようになっている。
【0009】
好適には、
前記トリガー部材の端部に形成された第1係合部に係合する第2係合部が形成されており、
前記第1係合部に前記第2係合部を係合させたとき、前記トリガー部材に形成された、前記固定具を嵌挿させる固定具嵌挿孔に対して前記固定具挿通孔が一致するようになっている。
【0010】
好適には、
前記固定具挿通孔の径は、前記固定具の最大径よりも大きく形成されており、
前記固定具で前記トリガー部材を前記レールに固定した後、前記トリガー部材から取り外すことができるようになっている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るトリガー部材の位置決め治具によれば、戸板あるいはローラーユニットに当接させて位置決めするための位置決め面と、トリガー部材をレールに対して位置決め固定するための固定具を挿通するための固定具挿通孔とを有しているので、位置決め面を用いてレールに対するトリガー部材の位置を決めることができ、さらに、固定具挿通孔に挿通した固定具によって当該位置でレールに対してトリガー部材を固定することができる。これにより、レールに対するトリガー部材の取付位置を自由に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る位置決め治具10が使用される引戸Zの一例を示す分解斜視図である。
図2】本発明に係る位置決め治具10が使用される引戸Zの一例を示す一部透視図である。
図3】第1実施形態に係る位置決め治具10が使用されるトリガー部材Tの一例を示す(a)正面図および(b)底面図である。
図4】レール150の一例を示す斜視図である。
図5】第1実施形態に係る位置決め治具10を示す(a)斜視図および(b)正面図である。
図6】第1実施形態に係る位置決め治具10を用いて位置決めを行っている状態を示す一部透視図である。
図7】第2実施形態に係る位置決め治具10が使用されるトリガー部材Tの一例を示す(a)正面図および(b)底面図である。
図8】第2実施形態に係る位置決め治具10をトリガー部材Tに取り付ける様子を示す斜視図である。
図9】第2実施形態に係る位置決め治具10を用いて位置決めを行っている状態を示す一部透視図である。
図10】第2実施形態に係る位置決め治具10を用いて位置決めを行っている状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された位置決め治具10について図面を用いて説明する。第1実施形態に係る位置決め治具10は、スライドアシスト装置Xに対して使用されるものであるが、もちろん、位置決め治具10は以下で説明するタイプのスライドアシスト装置X以外のタイプについても使用することができる。
【0014】
(スライドアシスト装置Xの説明)
最初に、図1および図2を用いて、本発明が適用された位置決め治具10が使用される公知のスライドアシスト装置Xについて簡単に説明する。なお、本実施形態のスライドアシスト装置Xは、ローラーユニットYを伴う吊下式の引戸Zに適用したものであるが、スライドアシスト装置Xはローラーユニットなしの吊下式引戸や、非吊下式引戸等、その他の引戸にも適用することができる。また、本実施形態のスライドアシスト装置Xは、戸板Aに対し閉止方向についてスライドアシスト力を付与するものであってもよい。もちろん、開閉各方向についてスライドアシスト力を付与するスライドアシスト装置Xを戸板Aに設けるものであってもよい。また、スライドアシスト装置Xは、後述するトリガー部材Tと協働して、付勢力を蓄積または解放可能に構成されている。
【0015】
戸板Aの天面には、上述したスライドアシスト装置Xの他、一対のローラーユニットYが設けられている。ローラーユニットYは、戸板Aに固定された引戸固定体100と、この引戸固定体100に固定された本体部102と、この本体部102に対して回転可能に取り付けられたローラー104とで構成されている。
【0016】
スライドアシスト装置Xは、下面が開口する断面「コ」字状の上枠体200と、上面が開口する断面「コ」字状の下枠体202と、下枠体202に一端が固定された引きバネ204と、この引きバネ204と前後に並設されるとともに下枠体202に一端が固定されたダンパー部材206と、引きバネ204およびダンパー部材206の他端であるフリー端部に取り付けられ、上枠体200内をその長手方向に沿ってスライド可能なスライド部材208とを備えている。また、下枠体202の一方端部には、ガイドローラ210が設けられている。スライドアシスト装置Xは、ガイドローラ210が設けられた側とは反対側の端でローラーユニットYの本体部102に連結されている。なお、図1では、引きバネ204がダンパー部材206の前後に一対配設されているが、ダンパー部材206の前後いずれか一方に一本の引きバネ204を備える等、他の態様としてもよい。
【0017】
このようなスライドアシスト装置Xとともに使用するトリガー部材Tは、図3に示すように、トリガー本体部90の先端部にトリガー部92が設けられており、さらに必要に応じて、受入溝部93およびリカバリー爪94が設けられる。以下では、トリガー部92、受入溝部93、およびリカバリー爪94を総称して「トリガー部92等」と記載することがある。なお、本実施形態では、1枚の短冊状板材を適宜カットして折り曲げることにより、トリガー本体部90に対してトリガー部92等が一体的に形成されているが、もちろん、各部材を別々に形成した後、つなぎ合わせてトリガー部材Tを形成してもよい。また、本実施形態に係るトリガー部材Tの形状はあくまで一例であり、他の形状のトリガー部材Tを使用してもよい。
【0018】
トリガー本体部90は、短冊状の板材であり、上述のようにその先端(一端)部にトリガー部92等が形成されている。また、トリガー部材Tの治具側の端部には、トリガー本体部90を90°折り下げるようにして形成された第1係合部Qが形成されている。なお、トリガー本体部90の材質は、必要な強度を担保できるものであれば、どのような材質でも用いることができる。また、トリガー本体部90の長さも特に限定されるものではない。
【0019】
トリガー部92は、上述したスライドアシスト装置Xにおけるスライド部材208と係合する部分であり、トリガー本体部90から必要な高さだけ突出するように形成されている。本実施形態のトリガー部材Tは、上述のように1枚の短冊状板材を折り曲げて形成されていることから、トリガー部材Tの裏側(トリガー部材Tをレール150に取り付けたときに、当該レール150の内面に向かう側)には凹所98が形成されている。本実施形態において、トリガー部92は、トリガー本体部90の長手方向断面で略「コ」字状に形成されているが、トリガー部92の形状はもちろんこれに限定されるものではなく、トリガー本体部90の長手方向に向かう面が傾斜するような形状等、スライドアシスト装置Xを問題なく稼働させることができるものであれば、どのような形状であってもよい。
【0020】
受入溝部93は、短冊状の板材であるトリガー本体部90の先端部を切り起こすことによって形成された互いに略平行な一対の壁部97と、両壁部97の間の底部99とで、断面略「コ」字状に形成されている。
【0021】
リカバリー爪94は、トリガー本体部90から突設された部材であり必要に応じて設けられる。このリカバリー爪94は、スライドアシスト装置Xにおけるスライド部材208の動きに不具合が生じたときに当該スライド部材208と係合することによってスライド部材208の動きを元の状態に戻す役割を有している。リカバリー爪94の形状は、使用するスライドアシスト装置Xの仕様に応じて図示したものとは異なるものであってもよい。リカバリー爪94によって元の状態に戻すような機能が付与されていないスライドアシスト装置Xを用いる場合は、リカバリー爪94を省略することができる。
【0022】
レール150は、図4に示すように、上述したスライドアシスト装置Xが取り付けられた戸板Aの上方の戸枠あるいは下方の戸枠に取り付けられる断面形状が略「C」字状の長尺部材であり、その内側に、ローラーユニットYやスライドアシスト装置Xが移動する移動空間152を有している。
【0023】
また、レール150には、トリガー部材Tを挿設可能な挿設溝154が必要に応じて形成される。トリガー部材Tをレール150に取り付ける際、当該挿設溝154にトリガー部材Tのトリガー本体部90を挿入していくことにより、レール150に対するトリガー部材Tの取り付けが容易になるとともに、水平方向(図4における左右方向)の取り付けズレを防止することができる。
【0024】
したがって、挿設溝154の内幅(w1)は、トリガー本体部90の幅(w2:図3を参照)とほぼ同じに形成されている。また、挿設溝154の中央部にはスリット156が切り欠き形成されており、このスリット156を介して挿設溝154と移動空間152とが互いに連通されている。これにより、トリガー本体部90を挿設溝154に挿設していったとき、トリガー部92、リカバリー爪94、および受入溝部93は当該スリット156を通ることになる。
【0025】
(第1実施形態に係る位置決め治具10の構成)
次に、このようなトリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定する際に使用される位置決め治具10について説明する。
【0026】
第1実施形態に係る位置決め治具10は、図5および図6に示すように、大略、治具本体12と、位置決め面14と、固定具挿通孔16と、第2係合部18とを備えている。
【0027】
治具本体12は、樹脂等で形成された部材であり、レール150の移動空間152内に嵌挿できるように、レール150の内側形状にほぼ一致した外形状を有している。
【0028】
位置決め面14は、治具本体12の側面に形成された面であり、トリガー部材Tを位置決めする際、トリガー部材Tのトリガー部92がスライドアシスト装置Xのスライド部材208と係合する位置にした状態で、当該位置決め面14にローラーユニットYの本体部102やローラー104を当接させることにより、レール150に対するトリガー部材Tの位置を適切に設定することができる。
【0029】
固定具挿通孔16は、トリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定するための固定具Kを挿通するための貫通孔であり、第1実施形態に係る位置決め治具10自体がレール150の移動空間152内に固定されるように、例えば固定具Kがネジであれば、固定具挿通孔16の径は、ネジの胴部の径よりも大きく、かつ、ネジの頭部の径よりも小さく形成される。なお、固定具Kとして剣先ネジを使用してもよい。
【0030】
第2係合部18は、トリガー部材Tの端部に形成された第1係合部Qに係合する部分であり、第1実施形態にかかる位置決め治具10の場合、治具本体12から突設された突設部20に形成された凹所22がこれに該当する。
【0031】
(第1実施形態に係る位置決め治具10を用いた位置決め手順)
次に、上述した第1実施形態に係る位置決め治具10を用いてトリガー部材Tをレール150に位置決めする手順について説明する。
【0032】
先ず、トリガー部材Tをレール150の挿設溝154に挿設する。この段階では、トリガー部材Tは挿設溝154を摺動可能になっている。
【0033】
次に、位置決め治具10の治具本体12をレール150の移動空間152内に嵌挿し、当該位置決め治具10の第2係合部18(突設部20の凹所22)にトリガー部材Tの第1係合部Qを係合させる。
【0034】
あるいは、位置決め治具10の第2係合部18(突設部20の凹所22)にトリガー部材Tの第1係合部Qを係合させた状態で、トリガー部材Tをレールの挿設溝154に挿設するとともに、位置決め治具10の治具本体12をレール150の移動空間152内に嵌挿してもよい。
【0035】
然る後、レール150の移動空間152内に配置したスライドアシスト装置XおよびローラーユニットYが取り付けられた戸板Aを希望する停止位置に配置する。この状態で、位置決め治具10およびトリガー部材Tを移動させて、位置決め治具10の位置決め面14をローラーユニットYの本体部102やローラー104に当接させる。
【0036】
この位置で、位置決め治具10の固定具挿通孔16に固定具K(本実施形態ではネジが使用される)を挿通して、位置決め治具10をレール150に対して固定する。
【0037】
これにより、レール150に対して位置決め治具10およびトリガー部材Tの位置決め固定が完了する。
【0038】
(第1実施形態に係る位置決め治具10の特徴)
第1実施形態に係る位置決め治具10によれば、戸板Aに取り付けられたローラーユニットYに当接させて位置決めするための位置決め面14と、トリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定するための固定具Kを挿通するための固定具挿通孔16とを有しているので、位置決め面14を用いてレール150に対するトリガー部材Tの位置を決めることができ、さらに、固定具挿通孔16に挿通した固定具Kによって当該位置でレール150に対してトリガー部材Tを固定することができる。これにより、レール150に対するトリガー部材Tの取付位置を自由に設定できる。
【0039】
加えて、第1実施形態に係る位置決め治具10では、治具本体12がレール150の移動空間152に嵌挿される外形状に形成されており、また、トリガー部材Tの端部に形成された第1係合部Qに係合する第2係合部18が形成されており、上述のように位置決め面14をローラーユニットYに当接させて位置決めするようになっている。これにより、トリガー部材Tを直接レール150に取り付ける必要がなく、位置決め治具10を介してトリガー部材Tを間接的にレール150に取り付けることができる。
【0040】
(第2実施形態に係る位置決め治具10の構成)
次に、第2実施形態に係る位置決め治具10について説明する。なお、この第2実施形態に係る位置決め治具10が使用される場合、トリガー部材Tの治具側の端部には、図7および図8に示すように、固定具Kを嵌挿させる固定具嵌挿孔Rと、位置決め治具10から突設された一対の第2係合部18が嵌め込まれる一対の第1係合部Q(係合凹所)が形成されている。なお、一対の第1係合部Qは、固定具嵌挿孔Rを中心として対称となる位置に配置されている。
【0041】
第2実施形態に係る位置決め治具10は、図8に示すように、大略、治具本体12と、位置決め面14と、固定具挿通孔16と、第2係合部18とを備えている。
【0042】
治具本体12は、樹脂等で形成された部材であり、レール150の移動空間152の深さよりも長い角柱状に形成されている。
【0043】
位置決め面14は、治具本体12の側面に形成された面であり、トリガー部材Tを位置決めする際、トリガー部材Tのトリガー部92がスライドアシスト装置Xのスライド部材208と係合する位置にした状態で、図9に示すように、当該位置決め面14に戸板Aの側面を当接させることにより、レール150に対するトリガー部材Tの位置を適切に設定することができる。
【0044】
図8に戻り、固定具挿通孔16は、トリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定するための固定具Kを挿通するための貫通孔であり、この固定具挿通孔16の径は、固定具Kの最大径よりも大きく形成されている。つまり、固定具Kを固定具挿通孔16に対して完全に挿通できるようになっている。
【0045】
また、トリガー部材Tの第1係合部Qに位置決め治具10の第2係合部18を係合させたとき、トリガー部材に形成された固定具Kを嵌挿させる固定具嵌挿孔Rに対してこの固定具挿通孔16が一致するようになっている。
【0046】
第2係合部18は、トリガー部材Tの先端部に形成された一対の第1係合部Q(係合凹所)に係合する部分であり、第2実施形態にかかる位置決め治具10の場合、治具本体12の先端面から突設された一対の突部24がこれに該当する。なお、一対の突部24は、固定具挿通孔16を中心にして対称となる位置に配置されている。
【0047】
(第2実施形態に係る位置決め治具10を用いた位置決め手順)
次に、上述した第2実施形態に係る位置決め治具10を用いて、トリガー部材Tをレール150に位置決めする手順について図9および図10を使用して説明する。
【0048】
先ず、トリガー部材Tをレール150の挿設溝154に挿設する。この段階では、トリガー部材Tは挿設溝154を摺動可能になっている。
【0049】
次に、位置決め治具10の治具本体12における先端部をレール150の移動空間152内に嵌挿し、当該位置決め治具10における一対の第2係合部18(突部24)をトリガー部材Tの端部に形成された一対の第1係合部Qを嵌め込む。このとき、上述のように、トリガー部材Tに形成された固定具嵌挿孔Rに対して位置決め治具10の固定具挿通孔16が一致するようになっている。
【0050】
然る後、レール150の移動空間152内に配置したスライドアシスト装置XおよびローラーユニットYが取り付けられた戸板Aを希望する停止位置に配置する。この状態で、位置決め治具10およびトリガー部材Tを移動させて、位置決め治具10の位置決め面14を戸板Aの側面に当接させる。
【0051】
この位置で、位置決め治具10の固定具挿通孔16に固定具K(本実施形態ではネジが使用される)を挿通してトリガー部材Tの固定具嵌挿孔Rに嵌挿し、トリガー部材Tをレール150に対して固定する。
【0052】
これにより、レール150に対して位置決め治具10およびトリガー部材Tの位置決め固定が完了するので、トリガー部材Tから位置決め治具10を取り外す。
【0053】
(第2実施形態に係る位置決め治具10の特徴)
第2実施形態に係る位置決め治具10によれば、戸板Aの側面に当接させて位置決めするための位置決め面14と、トリガー部材Tをレール150に対して位置決め固定するための固定具Kを挿通するための固定具挿通孔16とを有しているので、位置決め面14を用いてレール150に対するトリガー部材Tの位置を決めることができ、さらに、固定具Kでトリガー部材Tをレール150に固定した後、位置決め治具10をトリガー部材Tから取り外すことができるようになっている。
【0054】
(変形例:位置決め面14の当接対象について)
第1実施形態に係る位置決め治具10の位置決め面14はローラーユニットYに当接して位置決めされ、第2実施形態に係る位置決め治具10の位置決め面14は戸板Aの側面に当接して位置決めされるようになっているが、当接対象をそれぞれ逆にして、第1実施形態に係る位置決め治具10の位置決め面14を戸板Aの側面に当接させて位置決めし、第2実施形態に係る位置決め治具10の位置決め面14をローラーユニットYに当接させて位置決めしてもよい。
【0055】
(変形例:第1係合部Qと第2係合部18との関係について)
第1実施形態に係る位置決め治具10では、トリガー部材Tにおける突部である第1係合部Qを位置決め治具10に形成された凹所である第2係合部18に係合させるようになっていたが、逆に、トリガー部材Tに凹所である第1係合部Qを形成し、これに対して位置決め治具10に形成された突部である第2係合部18を係合させてもよい。
【0056】
また、第2実施形態に係る位置決め治具10では、位置決め治具10に形成された突部24(第2係合部18)をトリガー部材Tに形成された第1係合部Q(凹所)に嵌め込んで係合させるようになっていたが、逆に、トリガー部材Tに突部である第1係合部Qを形成し、これに対して位置決め治具10に形成された凹所である第2係合部18を係合させてもよい。
【0057】
(変形例:その他)
第1実施形態および第2実施形態に係る位置決め治具10は吊下式の引戸Zに適用されていたが、本件発明は他のタイプの引き戸にも適用できる。例えば、下荷重引戸の引き分け(戸板2枚が中央で並んで開口を閉じ、各戸板が左右に開く)タイプにおいて、各戸板の中央位置を決めるためのストッパーに本件発明に係る位置決め治具10を用いてもよい。
【0058】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0059】
10…位置決め治具、12…治具本体、14…位置決め面、16…固定具挿通孔、18…第2係合部、20…突設部、22…凹所、24…突部
X…スライドアシスト装置、Y…ローラーユニット、Z…引戸、T…トリガー部材、A…戸板、K…固定具、Q…第1係合部、R…固定具嵌挿孔
90…トリガー本体部、92…トリガー部、93…受入溝部、94…リカバリー爪、97…壁部、98…凹所、99…底部
100…引戸固定体、102…本体部、104…ローラー
150…レール、152…移動空間、154…挿設溝、156…スリット
200…上枠体、202…下枠体、204…引きバネ、206…ダンパー部材、208…スライド部材、210…ガイドローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10