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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152050
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】潤滑剤組成物およびグリース
(51)【国際特許分類】
   C10M 169/04 20060101AFI20241018BHJP
   C10M 107/02 20060101ALN20241018BHJP
   C10M 105/32 20060101ALN20241018BHJP
   C10M 105/36 20060101ALN20241018BHJP
   C10M 105/38 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 20/02 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 30/12 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 30/08 20060101ALN20241018BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
C10M169/04
C10M107/02
C10M105/32
C10M105/36
C10M105/38
C10N20:02
C10N20:04
C10N50:10
C10N30:02
C10N30:12
C10N30:06
C10N30:08
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065973
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 健士郎
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA07A
4H104BB31A
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104EA02A
4H104EA02Z
4H104EA03C
4H104EB05
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104LA01
4H104LA03
4H104LA04
4H104LA06
4H104LA20
4H104QA18
(57)【要約】
【課題】優れた動粘度、粘度指数、蒸発特性を有する、機械や機械部品の摺動部分に用いられる潤滑剤組成物を提供する。
【解決手段】潤滑剤組成物であって、10重量%以上のエステル油と、20重量%以上の粘度指数向上成分と、残部が基油として合成炭化水素油を含有し、40℃および100℃での動粘度から算出した粘度指数が300以上であることを特徴とする潤滑剤組成物。
【選択図】図2



【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤組成物であって、10重量%以上のエステル油と、20重量%以上の粘度指数向上剤と、残部が基油として合成炭化水素油を含有し、40℃および100℃での動粘度から算出した粘度指数が300以上であることを特徴とする潤滑剤組成物。
【請求項2】
前記合成炭化水素油は、ポリαオレフィン(PAO)であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項3】
前記ポリαオレフィン(PAO)は、40℃における粘度が11.3~61.0mm/sであることを特徴とする請求項2に記載の潤滑剤組成物。
【請求項4】
前記エステル油は、ポリオールエステルまたはジエステルであることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
前記エステル油は、40℃における粘度が17.5~20mm/sであることを特徴とする請求項4に記載の潤滑剤組成物。
【請求項6】
前記粘度指数向上成分は、ポリメタクリレート系(PMA)であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項7】
前記粘度指数向上成分は、重量平均分子量が400000~600000(スチレン換算)である櫛形分岐ポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の潤滑剤組成物。
【請求項8】
必要に応じて、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の潤滑剤組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の潤滑剤組成物を含有するグリース。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤組成物に係り、特に、広い使用温度域が求められる機械や機械部品等の摺動部、回転部等にて使用される潤滑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
このような潤滑剤としては、摩擦低減効果、耐摩耗効果を最低限有しなければならないのは勿論のこと、機械や機械部品摺動部、回転部等において、高温時での潤滑油の油膜切れが生じないこと、広い温度範囲での使用環境下で動粘度が低いこと、低温域から高温域まで動粘度の変化が少ないこと、すなわち粘度指数が高いこと(300以上)、自動車を考慮して例えば120℃で揮発する成分が少ないこと、内部で飛散した際に筐体や他の部材を侵さない、すなわちゴムや樹脂を膨潤させず、金属に錆を発生させないことなど、様々な制約が課せられている。
【0003】
そのような機械や機械部品に対する潤滑剤としては、従来、粘度指数の高さから直鎖フッ素オイルやシリコーンオイルが広く用いられてきた(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、フッ素オイルやその機能を向上させるフッ素系添加剤に関しては昨今、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物(PFAS類)が欧州のREACH規制対象としてその使用が制限され始めており、将来的に使用できなくなる可能性がある。また、シリコーンオイルは、分解してシロキサンを発生し、機械や機械部品内部の電気接点に付着して異常をもたらすという問題がある。
【0004】
シリコーンオイルを含まない潤滑剤も種々知られており、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを単量体とする重合体を含有する流動点降下剤と基油を含有してなる潤滑油組成物(例えば、特許文献3および4参照)等、数多くのものが知られている。
【0005】
しかしながら、特許文献3および4に記載の潤滑剤は、シリコーンオイル含有潤滑剤の諸問題は解決することができるものの、機械や機械部品等の摺動部等に要求される幅広い温度での十分低い動粘度、高い粘度指数、良好な蒸発特性、耐膨潤性、防錆性、耐摩耗性、高温特性のいずれかを十分には満足するものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4353245号公報
【特許文献2】特許第6993389号公報
【特許文献3】特開2018-172663号公報
【特許文献4】特許第3872167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、幅広い温度で低い動粘度にて使用することができるのは勿論のこと、優れた粘度指数、蒸発特性、耐膨潤性、防錆性、耐摩耗性、高温特性を有する潤滑剤組成物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、潤滑剤組成物であって、10重量%以上のエステル油と、20重量%以上の粘度指数向上剤と、残部が基油として合成炭化水素油を含有し、40℃および100℃での動粘度から算出した粘度指数が300以上であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記合成炭化水素油は、ポリαオレフィン(PAO)であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記ポリαオレフィン(PAO)は、40℃における粘度が11.3~61.0mm/sであることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記エステル油は、ポリオールエステルであることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記エステル油は、40℃における粘度が17.5~20mm/sであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記粘度指数向上成分は、ポリメタクリレート系(PMA)であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記粘度指数向上成分は、重量平均分子量が400000~600000(スチレン換算)である櫛形分岐ポリマーであることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、必要に応じて、酸化防止剤、極圧剤、防錆剤を含有することを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1~8のいずれかに記載の潤滑剤組成物を含有するグリースであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、幅広い温度で低い動粘度にて使用することができるのは勿論のこと、優れた粘度指数、蒸発特性、耐膨潤性、防錆性、耐摩耗性、高温特性を有する、潤滑剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】粘度指数向上剤の作用を説明する図である。
図2】本発明における各実施例および比較例の温度と動粘度の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明における物性や構成要素に関して詳細な説明を行う。本発明では、シリコーンオイル相当の粘度指数を実現するための方策として、粘度指数向上成分を鉱油等で希釈した粘度指数向上剤を含有している。まず、粘度指数(Viscosity Index、VI)について説明する。油の粘度は温度によって変化し、温度が高くなるほど小さくなるが、例えば図2の実施例および比較例の各潤滑油組成物の温度と動粘度の関係のグラフで示すように、その程度は一定ではなく、油の種類によって異なる。この油の粘度特性を示す指数として、現在最も多く利用されているのが粘度指数(VI)である。粘度指数は、粘度の温度変化が極めて小さいペンシルバニア系潤滑油を100 とし、極めて大きいガルフ・コースト系のものを0として定められたもので、粘度指数の値が大きい油ほど温度による粘度変化が小さい。図2でいえば、実施例1等のグラフに相当する。
【0020】
機械や機械部品などの摺動部等における高粘度指数潤滑油の必要性の理由は、(1)低温時の粘度を低く保ち、粘性抵抗による摩擦力やトルクの上昇を抑制することと、(2)高温時の粘度を高く保ち、外への油の飛散を抑えることで周囲の汚染や摺動面の油切れを抑制すること、の相反する2点を両立させるためである。直鎖フッ素オイルやシリコーンオイルは他の油種を圧倒する粘度指数を有することから、潤滑剤の基油として使われてきた。本発明は、諸性能を維持あるいは向上させつつ、これらのオイルを他の潤滑剤成分で置換するものである。
【0021】
直鎖フッ素オイルやシリコーンオイルを使用せずにシリコーンオイル相当の粘度指数を実現するための方策として、本発明では、粘度指数向上剤(Viscosity Index Improver、VII)を使用する。粘度指数向上剤の主成分は一般に重量平均分子量が1万~60万程度の鎖状の油溶性ポリマーであり、潤滑油中での油溶性ポリマーの溶解状態の変化を利用して、粘度指数を向上させることができる。本発明では、後述の実施例により、重量平均分子量が40万~60万の鎖状の油溶性ポリマーが好適であることを見出した。
【0022】
その作用機構について図1を用いて説明する。図1の下方には、低粘度の基油Aのグラフが記載されており、低温時には適正粘度範囲に入るが、高温時には適正粘度範囲より粘度が低い。一方、図1の上方には、高粘度の基油Bのグラフが記載されており、高温時には適正粘度範囲に入るが、低温時には適正粘度範囲より粘度が高い。
【0023】
ここで低粘度の基油Aに対してVIIを添加すると、高温時(図で右方)には、粘度指数向上成分であるポリマーの潤滑油への溶解性は上がり、分子鎖は伸びて広がった状態をとることで潤滑油の粘度を大幅に増加させる。これにより、VII無しでは高温時に適正粘度範囲より低かった基油の動粘度が大幅に増加し、適正粘度範囲に入る。
【0024】
一方、低温時には、ポリマーの溶解性が下がり、分子鎖は糸まり状に丸まった状態となり、潤滑油の粘度はそれほど上昇しない。そのため、低温時の粘度は上がりすぎず適正粘度範囲内に留まる。以上の原理に基づき、本発明では、直鎖フッ素オイルやシリコーンオイル以外の油種すなわち低粘度の基油(合成炭化水素油、PAO)にVIIを添加し、直鎖フッ素オイルやシリコーンオイル並みの高粘度指数の実現している。
【0025】
本発明の潤滑剤組成物は、上述した従来の潤滑剤の諸問題を解決するものであり、特に、直鎖フッ素オイルやシリコーンオイルを使用せずに、シリコーンオイル相当の動粘度、粘度指数を実現するためのものである。その構成は、-40℃~120℃の温度範囲における動粘度が2000mm/s以下であり、40℃および100℃での動粘度から算出した粘度指数が300以上であることを特徴とするものである。
【0026】
本発明の潤滑剤組成物に要求される特性は、-40℃~120℃の温度範囲における動粘度が2000mm/s以下である。具体的には、実施例で示すように、40℃と100℃における動粘度の実測値がいずれも100mm/s以下である必要がある。これら2点での動粘度より、-40℃における動粘度が高い精度で予測できることが知られているが、この-40℃における動粘度の計算値も2000mm/s以下でなければならない。動粘度が2000mm/sを超えると、粘性抵抗が高くなりすぎ、機械や機械部品などの摺動部分に要求される低い摩擦力やトルクを得ることができなくなる。
【0027】
本発明の潤滑剤組成物に要求される他の特性は、粘度指数が300以上である。粘度指数は、温度変化による粘度の変化のし難さを表すものであり、この数値が高いほど低温側と高温側で粘度に変化が少なく好ましいが、この数値が低いほど低温側で高粘度かつ高温側で低粘度と著しく変化してしまう。その境界値が300である。粘度指数は、40℃および100℃での動粘度から算出される。
【0028】
次に、各構成要素について述べる。
本発明の基油は、合成炭化水素油である。合成炭化水素油は炭素と水素で構成されており鉱油に近いが、鉱油に比べて粘度指数が高く、低温流動性、および安定性にも優れ、安価である。合成炭化水素油にはアルキル芳香族系油とオレフィン重合油とに分類できるが、本発明の用途には、オレフィン重合油がより好ましい。
【0029】
オレフィン重合油には、原料となるC~C14のαオレフィンの選定およびその重合度、重合度分布の制御により様々な種類のものが合成されるが、本発明の用途には、それら多種多様な合成炭化水素油の中から、炭素鎖の長さや、直鎖または分岐構造、分岐程度等の分子構造は問わず、40℃の動粘度によって選定を行う。具体的には40℃における動粘度が11.3~61.0mm/sである合成炭化水素油(ポリαオレフィン、PAO)が好ましい。さらには、16.8~46.0mm/sであるとより好ましい。
【0030】
動粘度が11.3mm/s未満であると、120℃の高温時に蒸発量が増加してしまうという問題がある。一方、動粘度が61.0mm/sを超えると、潤滑剤組成物全体としても動粘度が増加してしまい、低温下で使用することが難しい。合成炭化水素油の含有量は、エステル油、粘度指数向上剤、そして必要であれば酸化防止剤、極圧剤、防錆剤を本発明範囲で含有させ、それ以外の残部を構成する。
【0031】
本発明のエステル油は、油性剤として合成炭化水素油に添加される。エステル油の好ましい種類は、ポリオールエステル油またはジエステル油であり、多種多様なそれらの中から、炭素鎖の長さや、直鎖または分岐構造、分岐程度等の分子構造は問わず、40℃の動粘度によって選定を行い、40℃の動粘度が17.5~20mm/sであることが好ましい。特に、含有量は、10重量%以上であることが好ましい。
【0032】
エステル油の動粘度が17.5mm/s未満であると、120℃の高温時に蒸発量が増加してしまうという問題がある。
【0033】
本発明の粘度指数向上剤は、前述の通り高温側での粘度が低い合成炭化水素油に添加され、粘度を増加させるものであり、粘度指数向上成分を鉱油等で希釈したものである。粘度指数向上成分の好ましい種類は、ポリメタクリレート系(PMA)であり、特に、分岐アルキルメタクリレート(分岐ポリマー、櫛型ポリマー)から選択される。好ましい重量平均分子量は、400,000~600,000である。粘度指数向上成分の好ましい含有量は、最も広い場合で4.4重量%以上であり、本発明で使用している粘度指数向上剤の希釈率(粘度指数向上成分22重量%+鉱油78重量%)の場合、潤滑剤組成物に占める粘度指数向上剤としての好ましい含有量は20重量%以上に相当する。
【0034】
粘度指数向上成分の含有量が4.4重量%未満(粘度指数向上剤含有量にして20重量%未満)であると、潤滑剤組成物全体として高温側の粘度指数向上効果が不十分であり高温下での粘度低下と低温下での粘度増大し、使用できる温度域が狭まってしまうという問題がある。
【0035】
本発明では、これらの他、必要に応じて、公知の酸化防止剤、極圧剤、防錆剤を0.5~1.0重量%で含有すると好ましい。潤滑性の問題から、潤滑剤組成物と相溶性のある液状のものが好ましく、固体状であっても低温~高温にかけて溶解度が高ければ問題なく使用することができる。
【実施例0036】
以下、実施例および比較例を参照することによって、本発明をより具体的に説明する。
<1.軸受回転試験>
1-1.エステル油の配合量検討
本発明の合成炭化水素油(Synfluid PAO4、40℃での動粘度16.8mm/s、100℃での動粘度3.85mm/s)を基油とし、エステル油(Synative ES TMTC、ポリオールエステル(トリメチロールプロパン C/C10エステル))および粘度指数向上剤(PMA系、ACLUBE V-7030、分岐ポリマー、分子量400000~600000)を添加した潤滑剤組成物について、下記表1に示す通り、エステル油の配合量を種々変化させた実施例1~4および比較例1~5を調製した。また、レオメータで40℃、100℃における動粘度を測定し、-20℃での動粘度の推定値を算出するとともに、粘度指数を算出した。これらの結果も表1に併記した。
【0037】
【表1】
【0038】
1-2.粘度指数向上剤の配合量検討(エステル油10重量%固定)
本発明の合成炭化水素油(PAO4)を基油とし、エステル油および粘度指数向上剤等を添加した潤滑剤組成物について、表2に示す通り、エステル油を10重量%で固定とし、粘度指数向上剤の配合量を変化させた実施例1,および比較例6、7を調製した。項目1-1と同様に、レオメータで40℃、100℃における動粘度を測定し、-40℃での動粘度の推定値および粘度指数を算出し、これらの結果も表2に併記した。
【0039】
【表2】
【0040】
実験結果より、粘度指数向上剤の配合量が20重量%、すなわちPMA成分比で4.4重量%である実施例1,4~11においては、―40℃における推定動粘度が2000mm/sを下回り、好適な動粘度を維持することができた。また、粘度指数も300を上回り、温度変化による動粘度の変化が少なく安定していることが示された。このように、実施例1~4は、現行品である比較例1と遜色ない性能であった。
【0041】
一方、粘度指数向上剤の配合量が20重量%未満、すなわちPMA成分比で4.4重量%未満である比較例6、7においては、-40℃の動粘度が2000mm/sを超えて高くなった。また粘度指数は300を下回り、温度による動粘度の変動が著しかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
幅広い温度で低い動粘度にて運転することができ、かつ、優れた粘度指数、蒸発特性を有する、機械や機械部品の摺動部、回転部に用いられる潤滑剤組成物を提供することができる。



図1
図2