(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015206
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】水蒸気発生体及び温熱具
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61M15/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205414
(22)【出願日】2023-12-05
(62)【分割の表示】P 2019185896の分割
【原出願日】2019-10-09
(31)【優先権主張番号】P 2019097618
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】土屋 滋美
(57)【要約】
【課題】短時間で大量の水蒸気を発生することができる水蒸気発生体を提供する。
【解決手段】本発明に係る水蒸気発生体は、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱層と、前記発熱層の上に積層され、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層と、前記第1の吸水剤層の上に積層された吸水シートと、前記吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱層と、
前記発熱層の上に積層され、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層と、
前記第1の吸水剤層の上に積層された吸水シートと、
前記吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層と
を備えた水蒸気発生体。
【請求項2】
前記第1の吸水剤は、第1の吸水性ポリマーを含む請求項1記載の水蒸気発生体。
【請求項3】
前記第1の吸水剤層は、前記第1の吸水性ポリマーの坪量が15g/m2以上である請求項2記載の水蒸気発生体。
【請求項4】
前記第1の吸水剤層は、前記第1の吸水性ポリマーの坪量が300g/m2以下である請求項2又は3記載の水蒸気発生体。
【請求項5】
前記第2の吸水剤層の上に積層された、第2の吸水シートをさらに含む請求項1~4のいずれか記載の水蒸気発生体。
【請求項6】
前記第2の吸水剤層側に設けられ、通気度が200秒/100mL以下である第1シートと、
前記発熱層側に設けられ、通気度が8000秒/100mL超である第2シートとをさらに備え、
前記第1シートと前記第2シートとは、周縁部が密閉されて袋体を形成している請求項1~5のいずれか記載の水蒸気発生体。
【請求項7】
請求項6記載の水蒸気発生体と、
前記水蒸気発生体を収容し、使用者の口と鼻とを覆う本体部と
を備えた温熱具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被酸化性金属の酸化反応の発熱により水蒸気を発生する水蒸気発生体及びそれを備えた温熱具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被酸化性金属の酸化反応による発熱を利用した様々な温熱具が開発されており、例えば、その発熱により水蒸気を発生し、喉や鼻を潤すものがある。このような温熱具に用いられる水蒸気発生体としては、被酸化性金属、水、保水剤を含有する発熱組成物からなる発熱層と、吸水性ポリマーが吸水シートで挟持されたポリマーシート(保水シート)とが積層されたもの(特許文献1)や、被酸化性金属、炭素成分、吸水性ポリマー及び水を含有する発熱層を有するもの(特許文献2)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-146554号公報
【特許文献2】特開2017-23712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、健康や予防に関する意識が高まり、より短時間で大量の水蒸気を発生することができる温熱具が求められている。しかし、従来の温熱具では、近年の需要者の要望を満足できないことがわかった。
【0005】
本発明は、短時間で大量の水蒸気を発生することができる水蒸気発生体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱層と、前記発熱層の上に積層され、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層と、前記第1の吸水剤層の上に積層された吸水シートと、前記吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層とを備えた水蒸気発生体に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る水蒸気発生体は、短時間で大量の水蒸気を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の水蒸気発生体の断面構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態に用いる水蒸気発生シートの断面構成を示す模式図である。
【
図3】実施形態に使用する水蒸気発生シートの製造方法を説明する図である。
【
図5】本実施形態の温熱具を説明するための本体部の展開図である。
【
図7】比較例に用いる水蒸気発生シートの断面構成を示す模式図である。
【
図8】比較例に用いる水蒸気発生シートの断面構成を示す模式図である。
【
図9】比較例に用いる水蒸気発生シートの断面構成を示す模式図である。
【
図10】水蒸気発生量を測定する装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施形態について説明する。本実施形態に係る水蒸気発生体20は、
図1に示すように、水蒸気発生シート10と、水蒸気発生シート10を挟持して包含する第1シート21及び第2シート22とを備える。水蒸気発生シート10は、
図2に示すように、基材層11と、基材層11上に積層された発熱層12と、発熱層12上に積層された第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層14と、第1の吸水剤層14上に積層された吸水シート17と、吸水シート17の上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層18とを含む。
【0010】
このような発熱層12と、第1の吸水剤層14と、吸水シート17と、第2の吸水剤層18とを備えた水蒸気発生シート10は、発熱層12に含まれる被酸化性金属の酸化反応により発熱して、水蒸気を大量に発生する。具体的には、水蒸気発生シートの温度は、最高温度が70℃以上であり、水蒸気発生開始から10分間の累積水蒸気発生量は530mg以上である。しかも、水蒸気発生シートが35℃から45℃まで昇温するのに要する時間は、1.0分以下と短く、温度の立ち上がりが早い。
【0011】
水蒸気発生シート10の各層について、以下に詳細に説明する。
(基材層)
基材層11としては、非通気性又は難通気性のシートを用いることができる。難通気性とは、通気度が3000秒/100mL以上であることをさし、非通気性とは、通気度が80000秒/100mL以上であることをさす。なお、通気度は、JIS P8117(2009年改正版)に準拠して測定される値であり、一定の圧力のもとで100mLの空気が6.42cm2の面積を通過する時間として定義される。
【0012】
基材層11の通気度は、50000秒/100mL以上であることが好ましく、80000秒/100mL以上であることがより好ましい。こうした基材層11を用いることによって、発生した水蒸気は、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層18側から効率よく放出される。基材層11としては、具体的には、合成樹脂フィルムを用いることができ、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。合成樹脂フィルムは、単層でも、複数層の積層体であってもよい。不織布、紙若しくはフィルム又はこれらの2種以上の積層体を用いることができる。
【0013】
(発熱層)
発熱層12は、被酸化性金属、炭素成分及び水を含有する。発熱層12は、これらを含有するスラリー状の発熱組成物が塗布された塗工シートである。発熱層12が空気と接触すると、被酸化性金属の酸化反応により熱が発生し、それにより水が加熱されて水蒸気となる。こうして、水蒸気を簡便な方法で得ることができる。
【0014】
発熱層12に含有される被酸化性金属は、酸化反応により発熱する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選択することができる。被酸化性金属は、粉末及び繊維のいずれでもよい。これらのなかでも、取り扱い性、安全性、保存性及び安定性に優れ、製造コストが安価である点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉が挙げられる。鉄粉は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
被酸化性金属が粉末である場合、該粉末の平均粒径は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、25μm以上であることがさらに好ましい。また、平均粒径は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。被酸化性金属の粒径は、粉体の形態における最大長さをさし、篩による分級、動的光散乱法、レーザー回折・散乱法等により測定することができる。所定範囲の平均粒径を有する被酸化性金属を用いる
ことによって、効率的な酸化反応と良好な塗工性とを達成することができる。
【0016】
発熱層12における被酸化性金属の含有量は、坪量で表して、100g/m2以上であ
ることが好ましく、200g/m2以上であることがより好ましく、300g/m2以上であることがさらに好ましい。また、被酸化性金属の含有量は、3000g/m2以下であ
ることが好ましく、2000g/m2以下であることがより好ましく、1500g/m2以下であることがさらに好ましい。所定の量で被酸化性金属が含有されることにより、発熱層12を所望の温度まで昇温させることができる。
被酸化性金属の含有量は、JIS P8128に準拠した灰分試験や、熱重量測定器により求めることができる。また、外部磁場の印加により磁化が生じる性質を利用して、振動試料型磁化測定試験等によって定量することができる。
【0017】
炭素成分は、吸水剤としても作用し、保水能、酸素供給能、及び触媒能を有するものを用いることができる。炭素成分としては、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛等が挙げられる。湿潤時酸素を吸着しやすく、発熱層12の水分を一定に保てることから、活性炭が好ましい。しかも活性炭は、発熱層に担持される水の量を、容易に特定範囲に制御できる。
【0018】
活性炭のなかでも、椰子殻炭、木粉炭、及びピート炭から選ばれる少なくとも1種の微細な粉末状物又は小粒状物がより好ましい。こうした活性炭は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。発熱層に担持される水の量を特定範囲に容易に維持して、良好な加温加湿効果が得られることから、木粉炭が最も好ましい。
【0019】
炭素成分は、平均粒径が10μm以上であることが好ましく、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることがさらに好ましい。平均粒径は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。所定の範囲内の平均粒径を有する炭素成分を用いることによって、被酸化性金属との均一な混合が可能となる。しかも、発熱層12に担持される水の量を、特定の範囲に維持しやすくなる。
【0020】
炭素成分の平均粒径は、粉体の形態における最大長さを指し、動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。炭素成分は粉体状の形態のものが好ましいが、粉体状以外の形態、例えば、繊維状の形態のものを用いることもできる。
【0021】
繊維状の炭素成分としては、天然又は合成の繊維状の炭素成分を用いることができ、特に限定されない。天然の繊維状物としては、例えばコットン、カボック、木材パルプ等の植物繊維が挙げられる。また羊毛、やぎ毛等の動物繊維が挙げられる。さらに、石綿等の鉱物繊維が挙げられる。
【0022】
一方、合成の繊維状物としては、例えばレーヨン、ポリエステル、ポリエチレン、及びポリウレタン等の合成高分子繊維が挙げられる。さらに金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等を用いてもよい。これらの繊維は、単独で又は混合して用いることもできる。これらの中でも、被酸化性金属や反応促進剤との定着性、発熱層12の柔軟性、酸素透過性、シート形態の維持機能、製造コスト等の点から、木材パルプ、コットン、ポリエチレン繊維、及びポリエステル繊維から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。また、木材パルプ、コットンは、鉄粉等の固体物を担持、固定化する機能を有している。
【0023】
発熱層12における炭素成分の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.3質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましい。また、発熱層12における炭素成分の含有量は、被酸化
性金属100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、13質量部以下であることがさらに好ましい。
【0024】
なお、発熱層12における炭素成分の含有量は、坪量で表して、4g/m2以上である
ことが好ましく、7g/m2以上であることがより好ましく、10g/m2以上であることがさらに好ましく、15g/m2以上であることがさらにより好ましい。また、炭素成分
の含有量は、坪量で表して、290g/m2以下であることが好ましく、200g/m2以下であることがより好ましく、160g/m2以下であることがさらに好ましく、120
g/m2以下であることがさらにより好ましい。
【0025】
発熱層12に含有される水は、特に限定されない。水は、電解質水溶液(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の水溶液)由来のものとすることができ、あるいは、水単独で発熱層12に添加されたものでもよい。
【0026】
発熱層12における水の含有量は、6質量%以上であることが好ましく、13質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。水の含有量が下限値以上であれば、安定に水蒸気が発生する。また、発熱層12における水の含有量は、28質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましい。水の含有量が上限値以下であることによって、水蒸気の温度の立ち上がりを早めることができる。
【0027】
なお、発熱層12における水の含有量は、例えば、次のような手法で求めることができる。具体的には、発熱層を約1g採取して質量を精秤し、次いで採取した発熱層を乾燥させた後の質量を測定する。乾燥条件は、例えば150℃で10分間とすることができる。乾燥前後の質量差を、採取した発熱層の質量で除して、発熱層12における水の含有量を算出することができる。
【0028】
発熱層12において、炭素成分の含有量に対する水の含有量の質量割合(水/炭素成分)は、水蒸気の温度の立ち上がりの早さ、発生する水蒸気の量、温度制御のし易さに影響を及ぼす。これらを考慮すると、炭素成分の含有量に対する水の含有量の質量割合(水/炭素成分)は、0.5以上であることが好ましく、0.55以上であることがより好ましく、0.6以上であることがさらに好ましく、1以上であることがさらにより好ましい。また、炭素成分の含有量に対する水の含有量の質量割合(水/炭素成分)は、8.3以下であることが好ましく、7.7以下であることがより好ましく、7.0以下であることがさらに好ましく、6.4以下であることがさらにより好ましい。
【0029】
さらに、水蒸気発生シート10の通気性が十分に確保されるため、適切な量の酸素が供給されて発熱効果の高い水蒸気発生シート10が得られる。また、得られる発熱量に対する水蒸気発生シート10の熱容量が小さく抑えられるため、温度上昇が大きい。したがって、多量の水蒸気を短時間で発生することができる。
【0030】
発熱層12は、さらに、反応促進剤を含むことができる。反応促進剤が含有されることによって、被酸化性金属の酸化反応を持続させやすくなる。また、酸化反応に伴い被酸化性金属に形成される酸化被膜を破壊して、酸化反応を促進する。反応促進剤は、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属の硫酸塩、及び塩化物からなる群から選択され、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、導電性及び化学的安定性に優れ、生産コストが安価である点から、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、又は硫酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0031】
発熱層12における反応促進剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して2質量部以上であれば所望の効果を得ることができ、3質量部以上であることがより好ましく、4質量部以上であることがさらに好ましい。また、発熱層12における反応促進剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して15質量部以下であることが好ましく、13質量部以下であることがより好ましく、11質量部以下であることがさらに好ましい。
【0032】
発熱層12は、さらに、増粘剤を含むことができる。増粘剤としては、水分を吸収して粘稠度を増大させる物質、又はチキソトロピー性を付与する物質を用いることができる。具体的には、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガムなどの多糖類系増粘剤;デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系増粘剤;カルボキシメチルセルロース、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤;ステアリン酸塩などの金属石鹸系増粘剤;ベントナイトなどの鉱物系増粘剤等が挙げられる。これらは、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
なかでも、良好な塗工性能や発熱層に担持される水の量を、特定の範囲に維持できる点から、多糖類系増粘剤が好ましい。更に、分子量100万以上5000万以下の多糖類系増粘剤が好ましく、分子量150万以上4500万以下の多糖類系増粘剤がより好ましく、分子量200万以上4000万以下の多糖類系増粘剤がさらに好ましい。また、加えて良好な塗工性能や耐塩性を有する観点から、キサンタンガムが好ましい。
【0034】
発熱層12における増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、0.1質量部以上であることがより好ましく、0.12質量部以上であることがさらに好ましい。また、発熱層12における増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3.5質量部以下であることがさらに好ましい。
所定範囲の量で増粘剤が含有されることで、被酸化性金属や炭素成分等の固形分を、安定に分散させることができる。また、発熱組成物にチキソトロピー性を付与し、塗工性能をさらに向上させることができる。更に、発熱層12に担持される水の量を、所定の範囲に容易に維持できる。
【0035】
発熱層12は、必要に応じて、界面活性剤、薬剤、凝集剤、着色剤、紙力増強剤、pH制御(例えば、リン酸三カリウム等)、及び嵩高剤等を含むこともできる。
【0036】
発熱層12は、所定の成分を配合して調製されたスラリー状の発熱組成物を、基材層11の表面に塗工して組成物層を形成し、次いで、反応促進剤としての塩化ナトリウム等を散布して作製することができる。
発熱層12の厚みは、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは0.4mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上である。一方、発熱層12の厚みは、好ましくは10mm以下であり、より好ましくは6mm以下であり、さらに好ましくは4mm以下である。発熱層12の厚みを上記範囲とすることで、発熱効果を高めつつ、発熱層120を使用しやすいサイズにすることができる。なお、発熱層12の厚みは、平均厚みを示す。
【0037】
(第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層)
第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層14は、第1の吸水剤を発熱層12の上に散布して形成された層である。このように第1の吸水剤層14は、発熱層12の上に直接積層されているので、発熱層12内の余剰水を効率よく吸収して適切な水分量に保つことができる
。
本明細書において吸水剤とは、保水能(吸水作用又は除水作用)を有するものであり、例えば、炭素成分、繊維材料及び吸水性の粉体から選ばれる。吸水剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
炭素成分としては、例えば、活性炭、アセチレンブラック、及び黒鉛から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。こうした成分は、保水能に加えて、酸素供給能、及び触媒能を有している。発熱層の水分を一定に保つことができることから、活性炭が好ましい。具体的には、微細な粉末状物又は小粒状の椰子殻炭、木粉炭、及びビート炭が挙げられ、木粉炭が好ましい。
【0039】
繊維材料としては、親水性繊維、中でもセルロース繊維を用いることがより好ましい。セルロース繊維としては、化学繊維(合成繊維)や天然繊維を用いることができる。
【0040】
吸水性の粉体としては、バーミキュライト、おがくず、シリカゲル、パルプ粉末、及び吸水性ポリマーから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0041】
吸水性ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持できる架橋構造を有する親水性のポリマーが挙げられる。吸水性ポリマーの形状は、球状、塊状、ブドウ房状、及び繊維状のいずれでもよい。以下においては、吸水剤として吸水性ポリマーを例に挙げて説明する。
【0042】
第1の吸水剤層14の形成に用いる吸水性ポリマー(以下、第1の吸水性ポリマーと称する)の質量平均粒径は、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。また、第1の吸水性ポリマーの平均粒径は、1000μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらにより好ましい。第1の吸水性ポリマーの粒径は動的光散乱法、レーザー回折法等により測定される。
【0043】
第1の吸水性ポリマーの具体例としては、例えば、デンプン、架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体からなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。これらのなかでも、担持される水の量を特定の範囲に維持しやすことから、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体が好ましい。
【0044】
第1の吸水剤層14に含まれる第1の吸水性ポリマーの坪量は、水蒸気の温度の立ち上がりの早さの観点から、乾燥状態で15g/m2以上であることが好ましく、20g/m2以上であることがより好ましく、25g/m2以上であることがさらに好ましい。また、
第1の吸水剤層14に含まれる第1の吸水性ポリマーの坪量の上限は特に規定されないが、経済性の観点から、乾燥状態で300g/m2以下であることが好ましく、200g/
m2以下であることがより好ましく、160g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0045】
第1の吸水剤層14は、発熱層12の表面に、第1の吸水性ポリマーを直接散布することによって作製することができる。
【0046】
(第1の吸水剤層の上に積層された吸水シートと、吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層)
第1の吸水剤層14の上には、第1の吸水シート17と、第1の吸水シート17上に積層された第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層18とが設けられ、さらに好ましくは第2の
吸水剤層18上に積層された第2の吸水シート19が設けられる。これら第1の吸水シート17と、第2の吸水剤層18とを含むものを保水層16ともいう。第2の吸水剤としては、上述したような炭素成分等が挙げられる。以下においては、吸水性ポリマーを例に挙げて説明する。
【0047】
保水層16は、発熱層12と第1の吸水剤層14とから水を吸い上げる。したがって、過剰な水により発熱層の温度が低下することはない。これによって、水蒸気発生シートは、従来を超える高い最高温度となり、多量の水蒸気を発生することが可能となった。すなわち、本発明の水蒸気発生シート10は、発熱層12の上に第1の吸水剤層14が直接積層されることで、発熱層12に第1の吸水剤層14の一部が接触し、さらに、吸水シート17を介して、第2の吸水剤層18が積層されている点に特徴がある。
【0048】
第1の吸水シート17としては、親水性繊維、なかでもセルロース繊維のシートが好ましい。セルロース繊維は、化学繊維(合成繊維)及び天然繊維のいずれを用いてもよい。坪量は、5g/m2以上であることが好ましく、10g/m2以上であることがより好ましく、12g/m2以上であることがさらに好ましい。また、坪量は、100g/m2以下であることが好ましく、60g/m2以下であることがより好ましく、50g/m2以下であることがさらに好ましい。本発明の効果が損なわれない範囲であれば、第1の吸水シート17に吸水剤が含有されていてもよい。
【0049】
第2の吸水剤層18の形成に用いる吸水性の粉体として、バーミキュライト、おがくず、シリカゲル及びパルプ粉末から選ばれる1種又は2種以上を用いてもよい。
【0050】
第2の吸水剤層18の形成に用いる吸水性ポリマー(以下、第2の吸水性ポリマーと称する)としては、第1の吸水性ポリマーと同様のものを用いることができる。第2の吸水性ポリマーの坪量は、後述するように、吸水シートの坪量を考慮して決定することができる。
【0051】
第2の吸水シート19としては、第1の吸水シート17と同様の材質のシートを用いることができる。坪量は、5g/m2以上であることが好ましく、10g/m2以上であることがより好ましく、12g/m2以上であることがさらに好ましい。また、坪量は、40
0g/m2以下であることが好ましく、300g/m2以下であることがより好ましく、250g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0052】
例えば、第1の吸水シート17と第2の吸水シート19の合計の坪量が50g/m2程
度の場合には、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で2g/m2以上であることが
好ましく、4g/m2以上であることがより好ましく、8g/m2以上であることがさらに好ましい。保水層16における第2の吸水性ポリマーの坪量の上限は、特に規定されない。経済性の観点から、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で200g/m2以下で
あることが好ましく、150g/m2以下であることがより好ましく、100g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0053】
例えば、第1の吸水シート17と第2の吸水シート19の合計の坪量が60g/m2以
上の場合には、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で1g/m2以上であることが
好ましく、3g/m2以上であることがより好ましく、5g/m2以上であることがさらに好ましい。保水層16における第2の吸水性ポリマーの坪量の上限は、特に規定されない。経済性の観点から、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で150g/m2以下で
あることが好ましく、120g/m2以下であることがより好ましく、90g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0054】
また、例えば、第1の吸水シート17と第2の吸水シート19の合計の坪量が40g/m2以下の場合には、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で5g/m2以上であることが好ましく、10g/m2以上であることがより好ましく、15g/m2以上であることがさらに好ましい。保水層16における第2の吸水性ポリマーの坪量の上限は、特に規定されない。経済性の観点から、第2の吸水性ポリマーの坪量は、乾燥状態で250g/m2以下であることが好ましく、200g/m2以下であることがより好ましく、150g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0055】
本実施形態における保水層16は、第1の吸水シート17の表面に第2の吸水性ポリマーを散布して第2の吸水剤層18を形成して作製することができる。さらに、保水層16に、第2の吸水シート19を含める場合は、第2の吸水剤層18の上に第2の吸水シート19をさらに積層させる。
【0056】
本実施形態の水蒸気発生シート10は、例えば、
図3に示すようにインラインで製造することができる。まず、基材層11の表面に、スラリー状の発熱組成物を塗工して組成物層12aを形成する。組成物層12aの上には、塩化ナトリウム等の反応促進剤51を散布して、発熱層12が得られる。
塗工により発熱層12を製造する場合、塗工方法は、特に限定されず、例えば、ダイコーティング、ロール塗布、スクリーン印刷、ロールグラビア、ナイフコーティング、カーテンコーター等などを用いることができる。
【0057】
発熱層12の上には、第1の吸水性ポリマーの粒子14aを散布して、第1のポリマー層14が形成される。次いで、第1の吸水シート17を積層し、その上に第2の吸水性ポリマーの粒子18aを散布して第2の吸水剤層18を形成し、より好ましくは、第2の吸水剤層18上に第2の吸水シート19を積層して一体化する。得られた積層体を切断することで、水蒸気発生シート10が製造される。
生産性及び発熱特性向上の観点から、予め作製されたポリマーシートを保水層16として第1の吸水剤層14の上に供給して、水蒸気発生シート10を得ることが好ましい。ポリマーシートは、第1の吸水シート17と第2の吸水剤層18と第2の吸水シート19とを一体化して作製することができる。
このように、本発明では、吸水シートを介して吸収剤の層を設けることによって、所望の発生体を得ることができた。
【0058】
水蒸気発生シート10の保水層16側に第1シート21を配置し、基材層11側に第2シート22を配置し、2枚のシートの周縁部を密閉接合して、
図1に示すような本実施形態の水蒸気発生体20が得られる。
【0059】
第1シート21の通気度は、300秒/100mL以下であることが好ましく、200秒/100mL以下であることがより好ましく、100秒/100mL以下であることがさらに好ましく、5秒/100mL以下であることがさらにより好ましく、また、0秒/100mLであることがより好ましい。こうした通気度を満足すれば、第1シート21は、その一部が通気性を有しない非通気性シートであってもよい。通気度が100秒/100mL以下の第1シート21を用いることにより、水蒸気発生シート10からの水蒸気を、第1シート21から効率よく排出させることができる。
第1シート21の厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましい。
【0060】
第1シート21としては、例えば透湿性は有するが透水性を有さない合成樹脂製の多孔性シートが好適である。具体的には、ポリエチレン又はポリプロピレンに炭酸カルシウム
等を含有させ延伸したフィルムが挙げられる。かかる多孔性シートを用いる場合には、多孔性シートの外面に不織布を積層して、第1シート21の風合いを高めてもよい。不織布としては、例えばニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布などが挙げられる。
【0061】
第2シート22は、全体として通気性の低いシートであれば、その一部が通気性を有していてもよい。具体的には、第2シート22は、通気度が8000秒/100mL以上であることが好ましく、8000秒/100mL超であることがより好ましく、20,000mL以上であることがさらに好ましく、50,000秒/100mL以上であることがさらにより好ましく、すなわち、非通気性シートであることがより好ましい。そうすることで、水蒸気を第1シート21側から効率よく排出させることができる。具体的には、合成樹脂製のフィルムを、単独で又は複数積層して、第2シート22とすることができる。なお、前記通気度は、入手性の観点から100,000秒/100mL以下であることが好ましい。
第2シート22の厚みは、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましく、また500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましい。
【0062】
第2シート22は、上記の通気度を満足すれば、用途に応じ、外面に不織布等を積層して風合いを高めることができる。不織布は、ニードルパンチ不織布、エアスルー不織布、及びスパンボンド不織布等から選択することができるが、ポリエチレンフィルムとパルプシートからなるラミネートフィルムが好ましい。
【0063】
第2シート22は、上述の通気度の値を満足すれば、第1シート21と同様の素材を用いてもよいし、異なる素材を用いてもよい。
【0064】
<温熱具>
次に、本実施形態の水蒸気発生体20を備えた温熱具を説明する。本発明の水蒸気発生体は短時間で多量の蒸気を発生することが可能であることから、特に、口と鼻とに水蒸気を供給する温熱具として使用することが好ましい。温熱具30は、例えば、
図4に示すように、使用者の口と鼻とを覆う本体部31と、本体部31に備えられた水蒸気発生体20とを備えている。温熱具30の本体部31は、使用者が手でもった時に保型できる程度の剛性を有し、本体部31を手で持って、本体部31により使用者の口と鼻を覆った状態で使用することができる。
なお、
図4では手にもって使用する温熱具を示したが、これに限られず、耳掛けを有するマスクであってもよい。
【0065】
本体部31は、
図5に示すように、略扇状の第1のパネル32及び同形状の第2のパネル33それぞれの先細り端側が連続する一枚のシートから構成されている。第1のパネル32と第2のパネル33の境界線Dを折り曲げて、両者を重ねて、第1のパネル32の側縁32Aと第2のパネル33の側縁33A、及び、第1のパネル32の側縁32Cと第2のパネル33の側縁33Cをそれぞれ結合することによって得ることができる。本体部31は、境界線Dを底辺とし、側縁32Bと側縁33Bとを開口部とする、底辺に向かって先細りのテーパーを有する袋状に形成されている。本体部31の開口部は、使用者の鼻及び口を覆うことが可能な程度に開口している。
【0066】
第1のパネル32及び第2のパネル33は、坪量や材質の異なる2種類の不織布の積層したシートを所定の形状に裁断して製造することができる。第1のパネル32及び第2のパネル33は、水蒸気発生体20を収容して固定できる収容部34及び35が、2枚の不織布の間にそれぞれ設けられている。
【0067】
なお、第1のパネル32及び第2のパネル33に用いる不織布の繊維材料としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル;PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン;レーヨン;コットン等から選択される1種又は2種以上の繊維で構成されるものが好ましい。また、不織布としては、前記の1種又は2種以上の素材の繊維を用いて、エアスルー法、スパンボンド法、ニードルパンチ法、メルトブローン法、カード法、熱融着法、水流交絡法、溶剤接着法等により製造されたものを用いることができる。
【0068】
温熱具30は、香料組成物により賦香されていてもよい。この場合、香料組成物は、例えば温熱具30の本体部31及び水蒸気発生体20の少なくとも一方にスプレーして、直接添加することができる。あるいは、水蒸気発生体20における第1シート21、第2シート22、又は水蒸気発生シート10の原料等に賦香してもよい。
また、紙コップのような立体形状の器に、本発明の水蒸気発生体20を貼り付けて温熱具としてもよい。
【0069】
ここで、
図4に示した温熱具(蒸気カップ)について説明する。
この温熱具は、耳掛けを有さず、使用時に使用者が手に持って水蒸気量を自由に調整できる点に特徴がある。こうした蒸気カップの場合、本体部31は、水蒸気発生体20から発生した水蒸気を温熱具30内に滞留させる観点、呼吸を楽にする観点から、適度な通気抵抗を有することが好ましい。
具体的には、本体部31の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上であり、より好ましくは20Pa以上であり、さらに好ましくは50Pa以上である。また、本体部31の通気抵抗は、好ましくは300Pa以下であり、より好ましくは250Pa以下であり、さらに好ましくは200Pa以下である。
また、本体部31の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上300Pa以下であり、より好ましくは、20Pa以上250Pa以下であり、さらに好ましくは、50Pa以上200Pa以下である。なお、本体部31の構造がマルチプライのときは、複数枚のシートを全て重ね合わせた状態で測定される通気抵抗となる。
【0070】
本体部31の通気抵抗は、以下のようにして測定できる。
図6に示すように、マスクテスターMTS-2(柴田科学社製)の通気抵抗評価装置本体50上部に、本体部31のシート材から3.5~5cm角のサイズに切り出したシート31aを配置し、漏れがないようにシート固定用治具51で固定する。測定は、試験面積7cm
2(内径30mm)、試験流量10L/min.にて10秒間行い、シート31a
への空気流入側(入口側)と空気流出側(出口側)との差圧から通気抵抗を求める。
【0071】
本体部31の坪量は、保温性、厚み、シート強度をバランスよく高める観点から、坪量が5g/m2以上であることが好ましく、10g/m2以上であることがより好ましく、30g/m2以上であることがさらに好ましく、また、250g/m2以下であることが好ましく、200g/m2以下であることがより好ましく、150g/m2以下であることがさらに好ましい。
また、本体部31の坪量は、5g/m2以上250g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以上150
g/m2以下であることがさらに好ましい。
【0072】
上述の蒸気カップは、使用者が手に持って水蒸気量を自由に調整できるのに対し、耳掛けを有するマスク(蒸気マスク)は、使用時に手で持つ必要がなく、また、一定の水蒸気量を得るために使用される。
こうした蒸気マスクの場合には、本体部31の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上であ
り、より好ましくは20Pa以上であり、さらに好ましくは50Pa以上である。また、本体部31の通気抵抗は、好ましくは200Pa以下であり、より好ましくは190Pa以下であり、さらに好ましくは180Pa以下である。
また、本体部31の通気抵抗は、好ましくは5Pa以上200Pa以下であり、より好ましくは20Pa以上190Pa以下であり、さらに好ましくは50Pa以上180Pa以下である。
【0073】
蒸気マスクの場合、本体部31の坪量は、5g/m2以上であることが好ましく、10
g/m2以上であることがより好ましく、30g/m2以上であることがさらに好ましく、また、200g/m2以下であることが好ましく、150g/m2以下であることがより好ましく、120g/m2以下であることがさらに好ましい。
また、本体部31の坪量は、5g/m2以上200g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以上150g/m2以下であることがより好ましく、30g/m2以上120
g/m2以下であることがさらに好ましい。
【実施例0074】
次に、本発明の実施例について説明するが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0075】
<水蒸気発生シートの作製>
表1に示す組成の発熱組成物を、次の手順で調製した。まず、増粘剤としてのキサンタンガムを水に溶解し、次いでリン酸三カリウムを溶解して水溶液を調製した。一方、鉄粉、活性炭、水酸化カリウム、及び水をプレ混合して、スラリーを調製した。前記水溶液にプレ混合スラリーを加え、ディスクタービン型攪拌羽根で150rpm、10分間攪拌してスラリー状の発熱組成物を得た。
【0076】
【0077】
基材層11として、ポリエチレンラミネートクレープ紙(坪量97g/m2、大昭和紙
工産業株式会社製)を用意した。基材層11のパルプ面24.0cm2(4.9cm×4
.9cm)の領域に、発熱組成物を塗工して組成物層を形成した。用いた発熱組成物の質量は、4.6gであった。組成物層の表面(24.0cm2)上には、0.171gの食
塩(局方塩化ナトリウム(大塚製薬株式会社製))を散布して、発熱層12を形成した。発熱層12が形成された基材層11を用いて、以下のように構成の異なる水蒸気発生シート(No.1~19)を作製した。
【0078】
(No.1~4)
図7に示す構成の水蒸気発生シート100を作製した。水蒸気発生シート100は、第2の吸水剤層18が設けられていない。作製に当たっては、まず、発熱層12の上に、吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、サンフレッシュST-500D*、三洋化成工業株式会社製)を直接散布(各製造例の坪量は表2に従
う)して、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層14を発熱層12の上に形成した。第1の吸水剤層14の上には、吸水シートとしてクラフト紙15(坪量50g/m
2、大昭和紙
工産業株式会社製)を積層して一体化し、水蒸気発生シートNo.1~4をそれぞれ作製した。
【0079】
(No.5~8)
図8に示す構成の水蒸気発生シート101を作製した。水蒸気発生シート101は、第1の吸水剤層14が設けられていない。作製に当たっては、発熱層12の上に、保水層16として、ポリマーシート(PS)を直接積層した。ポリマーシートは、第1の吸水シート17としての木材パルプ製の紙(秤量30g/m
2、伊野紙株式会社製)と第2の吸水
性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)を含む第2の吸水剤層18(各製造例の坪量は、表2に従う)と、第2の吸水シート19としての木材パルプ製の紙(坪量20g/m
2、伊野紙株式会
社製)とを積層して、一体化させた。このポリマーシートを、第1の吸水シート17が前記発熱層12に接するように積層した。
【0080】
(No.9,10)
図9に示す構成の水蒸気発生シート102を作製した。水蒸気発生シート102は、第1の吸水剤層14が設けられていない。作製に当たっては、発熱層12の上に、保水層16としてポリマーシートを2枚積層した。
保水層16としてのポリマーシートは、第1の吸水シート17としての木材パルプ製の紙(秤量30g/m
2、伊野紙株式会社製)と、第2の吸水性ポリマー(ポリアクリル酸
ナトリウム、球状、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)とを含む第2の吸水剤層18(各製造例の坪量は、表2に従う)と、第2の吸水シート19としての木材パルプ製の紙(坪量20g/m
2、伊野紙株式会社製)とを積層して一体化させた。一枚目のポリマ
ーシートを、第1の吸水シート17が前記発熱層12に接するように積層し、二枚目のポリマーシートの第1の吸水シート17が、一枚目のポリマーシートの第2の吸水シート19に接するように積層した。
【0081】
(No.11~19)
図2に示す構成の水蒸気発生シート10を作製した。発熱層12の上には、第1の吸水性ポリマー(ポリアクリル酸ナトリウム、球状、平均粒子径300μm、サンフレッシュST-500D*、三洋化成工業株式会社製)を直接散布(各製造例の坪量は、表2に従う)して、第1の吸水剤層14を形成した。第1の吸水剤層14の上には、保水層16として下記のポリマーシートを積層して、水蒸気発生シートNo.11~19を作製した。
保水層16としてのポリマーシートは、第1の吸水シート17としての木材パルプ製の紙(秤量30g/m
2、伊野紙株式会社製)と、第2の吸水性ポリマー(ポリアクリル酸
ナトリウム、アクアリックCA、株式会社日本触媒製)を含む第2の吸水剤層18(各製造例の坪量は、表2に従う)と、第2の吸水シート19としての木材パルプ製の紙(坪量20g/m
2、伊野紙株式会社製)とを積層して、一体化させた。このポリマーシートを
、第1の吸水シート17が第1の吸水剤層14に接するように積層した。
【0082】
得られた水蒸気発生シートは、
図1に示したように、第1シート21及び第2シート22を上下に配置し、2枚のシールの周縁部を密閉シールして、それぞれ水蒸気発生体とした。上述したとおり、第2シート22は水蒸気発生シートの下側(基材層11側)に配置した。
なお、ここで用いた第1シート21は、株式会社ニトムズ製の「BRN-502」(通気度100秒/100mL以下)であり、第2シート22は、株式会社カクケイ製の「LF-KIPE71」(非通気性、坪量71g/m
2)である。
また、通気面とシール部を含めた第1シートの面積は、39.7cm
2(6.3cm×
6.3cm)であった。これを1枚とする。各水蒸気発生体は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
【0083】
<温熱具試作品の作製>
第1の不織布(ニードルパンチ(ポリプロピレン) 坪量80g/m2)と第2の不織
布(スパンボンド(ポリプロピレン) 坪量90g/m2)とを積層して、外装袋(7.
5cm×7.5cm)を作製した。この外装袋の中に、第2シート22が第2の不織布側となるように水蒸気発生体を収容し、周縁部を密閉シールして温熱具試作品を得た。温熱具試作品は、後述する評価を実施するまで、酸素遮断袋に入れて保存した。
【0084】
水蒸気発生体の水蒸気発生量を測定するとともに、温熱試作品の発熱特性を調べた。それらの測定方法を、以下に説明する。
【0085】
<水蒸気発生量>
水蒸気発生量は、
図10に示す測定装置40を用いて、以下の手法により測定した。
測定装置40は、アルミニウム製の測定室(容積4.2L)41、測定室41の下部に除湿空気(湿度2%未満、流量2.1L/分)を流入させる流入路42、測定室41の上部から空気を流出させる流出路43、流入路42に設けられた入口温湿度計44と入口流量計45、流出路43に設けられた出口温湿度計46と出口流量計47、測定室41内に設けられた温度計(サーミスタ)48を備える。温度計48としては、温度分解能が0.01℃程度のものを使用した。
【0086】
水蒸気発生体は、測定環境温度30℃(30±1℃)において酸素遮断袋から取り出し、の肌側に位置する面(水蒸気放出面)を上向きにして測定室41に載置した。金属球(4.5g)をつけた温度計48を、この水蒸気放出面に載せて、水蒸気放出面の温度を測定した。
また、この状態で測定室41の下部から除湿空気を流し、入口温湿度計44と出口温湿度計46で計測した。得られた温度及び湿度から、測定室41に空気が流入する前後の絶対湿度の差を求めた。さらに、入口流量計45と出口流量計47とで計測される流量から、水蒸気発生体が放出した水蒸気量を算出した。
なお、水蒸気発生量とは、水蒸気発生体を酸素遮断袋から取り出した時点を起点とし、10分後までに測定された水蒸気量の総量をいう。喉や鼻を十分に潤すために、この水蒸気発生量は、530mg以上であることが良く、好ましくは535mg以上であることが良い。
【0087】
<発熱特性>
JIS S4100に準拠した測定機を用いて、温熱具試作品の第2の不織布側を測定面に貼り付けて、発熱測定を行った。この発熱測定においては、時間軸を横軸、温度を縦軸としてプロットした。
プロットされた結果から、最高温度及び昇温時間を求めた。具体的には、最高温度は、測定開始から測定終了までの間で最も高くなった温度(℃)とし、昇温時間は、測定開始して35℃から45℃まで到達するのに要した時間(分)とした。最高温度が高く、昇温時間が短いほど、水蒸気発生体の発熱特性に優れることを示す。温熱具試作品の発熱特性は、水蒸気発生体の発熱特性に相当する。最高温度は、蒸気を効率的に発生させる観点から、70℃以上であることが良く、好ましくは71℃以上であることが良い。
また、所望した際に直ちに使用できるように、この35℃から45℃まで到達するのに要した時間(分)は、1.0分以下であることが良く、好ましくは0.9分以下であることが良い。
このように水蒸気発生量及び発熱特性を満たしたものを、合格とした。
【0088】
得られた結果を、用いた水蒸気発生シートの構成とともに下記表2、3にまとめる。
【0089】
【0090】
【0091】
上記表にNo.11~19として示されるように、第1の吸水剤層と吸水シートと第2の吸水剤層とを発熱層の上に備えることによって、530mg以上の水蒸気を10分間に
発生することができる。しかも、水蒸気発生シートの最高温度は70℃以上と高く、35℃から45℃までの昇温時間は1.0分以下で温度の立ち上がりが早い。
特に、第1の吸水剤層における吸水性ポリマーの坪量、ポリマーシートにおける吸水性ポリマーの坪量を適切に選択することによって、水蒸気発生量をより増加させ、昇温時間をさらに短縮することができる。
【0092】
第2の吸水剤層を備えていない場合(No.1~4)には、最高温度が70℃未満であり、10分間で530mg以上の水蒸気を発生することができない。また、第1の吸水剤層を備えていない場合(No.5~7)には、昇温に時間を要し、水蒸気発生量は500mg未満である。吸水シートと第2の吸水剤層とを複数設けても、第1の吸水剤層を備えていない場合(No.9,10)には、10分間で530mg以上の水蒸気を発生することはできない。
また、本発明の水蒸気発生体を用いて
図4の温熱具(蒸気カップ)を作製し使用したところ、鼻腔に十分で快適な水蒸気を短時間で供給できた。
【0093】
前述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
<1>
被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱層と、
前記発熱層の上に積層され、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層と、
前記第1の吸水剤層の上に積層された保水層と
を備えた水蒸気発生体。
<2>
前記第1の吸水剤層は、前記第1の吸水剤を散布して形成された散布層である前記<1>記載の水蒸気発生体。
<3>
前記第1の吸水剤は、第1の吸水性ポリマーを含む前記<2>記載の水蒸気発生体。
<4>
前記散布層は、前記第1の吸水性ポリマーの坪量が15g/m2以上である前記<3>
記載の水蒸気発生体。
<5>
前記散布層は、前記第1の吸水性ポリマーの坪量が300g/m2以下である前記<3
>又は<4>記載の水蒸気発生体。
<6>
前記第1の吸水性ポリマーは、重量平均粒径が1μm以上1000μm以下である前記<3>~<5>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<7>
前記第1の吸水性ポリマーは、ポリアクリル酸塩からなる前記<3>~<6>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<8>
前記保水層は、前記第1の吸水剤層の上に積層された第1の吸水シートと、
前記第1の吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層と
を備える前記<1>~<7>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<9>
前記第1の吸水シートは、セルロース繊維のシートである前記<8>記載の水蒸気発生体。
<10>
前記第1の吸水シートは、坪量が5g/m2以上である前記<8>又は<9>記載の水
蒸気発生体。
<11>
前記第1の吸水シートは、坪量が10g/m2以上である前記<8>~<10>のいず
れか記載の水蒸気発生体。
<12>
前記第1の吸水シートは、坪量が12g/m2以上である前記<8>~<11>のいず
れか記載の水蒸気発生体。
<13>
前記第1の吸水シートは、坪量が100g/m2以下である前記<8>~<12>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<14>
前記第1の吸水シートは、坪量が60g/m2以下である前記<8>~<13>のいず
れか記載の水蒸気発生体。
<15>
前記第1の吸水シートは、坪量が50g/m2以下である前記<8>~<14>のいず
れか記載の水蒸気発生体。
<16>
前記第2の吸水剤は、第2の吸水性ポリマーを含む前記<8>~<15>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<17>
前記第2の吸水性ポリマーは、重量平均粒径が1μm以上1000μm以下である前記<16>記載の水蒸気発生体。
<18>
前記第2の吸水性ポリマーは、ポリアクリル酸塩からなる前記<16>又は<17>記載の水蒸気発生体。
<19>
前記保水層は、前記第2の吸水剤層の上に積層された第2の吸水シートをさらに含む前記<8>~<18>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<20>
前記第2の吸水シートは、セルロース繊維のシートである前記<19>記載の水蒸気発生体。
<21>
前記第2の吸水シートは、坪量が5g/m2以上である前記<19>又は<20>記載
の水蒸気発生体。
<22>
前記第2の吸水シートは、坪量が10g/m2以上である前記<19>~<21>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<23>
前記第2の吸水シートは、坪量が12g/m2以上である前記<19>~<22>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<24>
前記第2の吸水シートは、坪量が400g/m2以下ある前記<19>~<23>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<25>
前記第2の吸水シートは、坪量が300g/m2以下ある前記<19>~<24>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<26>
前記第2の吸水シートは、坪量が250g/m2以下ある前記<19>~<25>のい
ずれか記載の水蒸気発生体。
<27>
前記第2の吸水性ポリマーの坪量は、5g/m2以上200g/m2以下である前記<16>~<26>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<28>
前記被酸化性金属は、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選択される前記<1>~<27>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<29>
前記被酸化性金属は、平均粒径10μm以上200μm以下の粉末である前記<1>~<28>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<30>
前記発熱層における前記被酸化性金属の坪量は、100g/m2以上3000g/m2以下である前記<1>~<29>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<31>
前記発熱層は、反応促進剤をさらに含有する前記<1>~<30>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<32>
前記反応促進剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、第1塩化鉄、第2塩化鉄等の各種塩化物、及び硫酸ナトリウムから選択される前記<31>記載の水蒸気発生体。
<33>
前記反応促進剤の含有量は、被酸化性金属の含有量100質量部に対して2質量部以上である前記<31>又は<32>記載の水蒸気発生体。
<34>
前記発熱層は、増粘剤をさらに含有する前記<1>~<33>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<35>
前記増粘剤は、分子量100万以上5000万以下の多糖類増粘剤である前記<34>記載の水蒸気発生体。
<36>
前記増粘剤の含有量は、被酸化性金属100質量部に対して、0.05質量部以上である前記<34>又は<35>記載の水蒸気発生体。
<37>
前記発熱層を支持する基材層をさらに備える前記<1>~<36>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<38>
前記基材層は、通気度が50000秒/100mL以上である前記<37>記載の水蒸気発生体。
<39>
前記基材層は、合成樹脂フィルムを含む前記<37>又は<38>記載の水蒸気発生体。
<40>
水蒸気発生開始から10分間に放出される累積水蒸気発生量が530mg以上である前記<1>~<39>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<41>
前記保水層側に設けられた第1シートと、
前記発熱層側に設けられた第2シートとをさらに備え、
前記第1シートと前記第2シートとは、周縁部が密閉されて袋体を形成している前記<1>~<40>のいずれか記載の水蒸気発生体。
<42>
前記第1シートは、通気度が200秒/100mL以下である前記<41>記載の水蒸気発生体。
<43>
前記第2シートは、通気度が8000秒/100mL超である前記<42>記載の水蒸気発生体。
<44>
前記<41>~<43>のいずれか記載の水蒸気発生体と、
前記水蒸気発生体を収容し、使用者の口と鼻とを覆う本体部と
を備えた温熱具。
<45>
前記本体部は不織布からなる前記<44>記載の温熱具。
<46>
耳掛けを有さず、使用者が手に持つタイプである前記<44>又は<45>記載の温熱具。
<47>
前記本体部は、通気抵抗が5Pa以上300Pa以下である前記<46>記載の温熱具。
<48>
前記本体部は、通気抵抗が20Pa以上250Pa以下である前記<46>又は<47>記載の温熱具。
<49>
前記本体部は、通気抵抗が50Pa以上200Pa以下である前記<46>~<48>のいずれか記載の温熱具。
<50>
前記本体部は、坪量が5g/m2以上250g/m2以下である前記<46>~<49>のいずれか記載の温熱具。
<51>
前記本体部は、坪量が10g/m2以上200g/m2以下である前記<46>~<50>のいずれか記載の温熱具。
<52>
前記本体部は、坪量が30g/m2以上150g/m2以下である前記<46>~<51>のいずれか記載の温熱具。
<53>
水蒸気発生体と、
前記水蒸気発生体を収容し、使用者の口と鼻とを覆う本体部とを備えた温熱具であって、
前記水蒸気発生体は、被酸化性金属、炭素成分、及び水を含む発熱層と、
前記発熱層の上に積層され、第1の吸水剤を含む第1の吸水剤層と、
前記第1の吸水剤層の上に積層された第1の吸水シートと、
前記第1の吸水シートの上に積層され、第2の吸水剤を含む第2の吸水剤層と、
前記第2の吸水剤層の上に積層された第2の吸水シートと、
前記第2の吸水シートの上に積層された第1シートと、
前記発熱層側に設けられた第2シートと
を備え、
前記第1シートと前記第2シートとは、周縁部が密閉されて袋体を形成し、
前記第1の吸水剤は、15g/m2以上300g/m2以下の坪量で第1の吸水性ポリマーを含み、
前記第2の吸水剤は、5g/m2以上200g/m2以下で第2の吸水性ポリマーを含み、
前記第1シートは、通気度が200秒/100mL以下であり、
前記第2シートは、通気度が8000秒/100mL超である
温熱具。
<54>
前記本体部及び前記水蒸気発生体の少なくとも一方が、香料組成物により賦香されている前記<46>~<53>のいずれか記載の温熱具。