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特開2024-152068物体光逆量子化装置、物体光量子化装置、物体光逆量子化方法、物体光量子化方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152068
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】物体光逆量子化装置、物体光量子化装置、物体光逆量子化方法、物体光量子化方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/126 20140101AFI20241018BHJP
   H04N 19/46 20140101ALI20241018BHJP
   H04N 19/597 20140101ALI20241018BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04N19/126
H04N19/46
H04N19/597
H04N5/66 D
H04N5/66 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065996
(22)【出願日】2023-04-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和4年度、国立研究開発法人情報通信研究機構「革新的情報通信技術研究開発委託研究/Beyond 5G網におけるホログラフィ通信のための高効率圧縮伝送技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】野中 敬介
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晴久
【テーマコード(参考)】
5C058
5C159
【Fターム(参考)】
5C058AA18
5C058AB03
5C058BA35
5C159LA02
5C159MD02
5C159MD03
5C159PP13
5C159PP15
5C159TA45
5C159TC01
5C159TD04
5C159TD05
5C159TD10
5C159TD12
5C159TD15
5C159UA05
(57)【要約】
【課題】立体映像表示に必要な物体光の振幅及び位相のデータを得ること。
【解決手段】本発明に係る物体光逆量子化装置400は、物体光画像復号装置300から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、かかる振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力するマッピング部402を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体光逆量子化装置であって、
物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力するマッピング部を備えることを特徴とする物体光逆量子化装置。
【請求項2】
前記物体光画像復号装置から取得したメタデータに基づいて、前記線形逆量子化及び前記非線形逆量子化のどちらを適用するか決定する逆量子化モード選択部を備え、
前記マッピング部は、前記逆量子化モード選択部によって決定された前記線形逆量子化又は前記非線形逆量子化を適用することを特徴とする請求項1に記載の物体光逆量子化装置。
【請求項3】
前記逆量子化モード選択部は、前記メタデータに基づいて、前記整数化された物体光のサンプリング点において、一部には前記線形逆量子化を適用し、それ以外には前記非線形逆量子化を適用することを決定することを特徴とする請求項2に記載の物体光逆量子化装置。
【請求項4】
前記マッピング部は、前記物体光画像復号装置から取得したメタデータに記述されている伝達関数に従って、前記整数化された物体光の前記小数点によって記述されるデータへのマッピングを行うことを特徴とする請求項1に記載の物体光逆量子化装置。
【請求項5】
物体光量子化装置であって、
物体光の性質に応じて量子化モードを選択する量子化モード選択部と、
前記量子化モード選択部によって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する量子化部とを備えることを特徴とする物体光量子化装置。
【請求項6】
前記量子化モード選択部は、前記物体光の振幅及び位相のデータの区別、或いは、前記振幅及び前記位相を変換した複素数における実部及び虚部のデータの区別に基づいて、前記量子化モードを選択することを特徴とする請求項5に記載の物体光量子化装置。
【請求項7】
前記量子化モード選択部は、前記物体光の振幅及び位相のデータの統計的性質、或いは、前記振幅及び前記位相を変換した複素数における実部及び虚部のデータの統計的性質に基づいて、前記量子化モードを選択することを特徴とする請求項5に記載の物体光量子化装置。
【請求項8】
前記量子化部は、物体光符号化装置の入力に適合するように、前記物体光の前記整数値への量子化及びマッピングを行うことを特徴とする請求項5に記載の物体光量子化装置。
【請求項9】
前記量子化部は、前記物体光画像符号化装置の入力に対応した個数のクラスへの分割に基づいて、前記整数値へのマッピングを行うことを特徴とする請求項8に記載の物体光量子化装置。
【請求項10】
前記量子化部は、前記物体光に対して伝達関数に基づく前記整数値へのマッピングを行うことを特徴とする請求項8に記載の物体光量子化装置。
【請求項11】
物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力する工程を有することを特徴とする物体光逆量子化方法。
【請求項12】
物体光の性質に応じて量子化モードを選択する工程Aと、
前記工程Aによって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する工程Bとを有することを特徴とする物体光量子化方法。
【請求項13】
コンピュータを、物体光逆量子化装置として機能させるプログラムであって、
前記物体光逆量子化装置は、物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力するマッピング部を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、物体光量子化装置として機能させるプログラムであって、
前記物体光量子化装置は、
物体光の性質に応じて量子化モードを選択する量子化モード選択部と、
前記量子化モード選択部によって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する量子化部とを備えることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体光逆量子化装置、物体光量子化装置、物体光逆量子化方法、物体光量子化方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1において、映像画像符号化に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Versatile Video Coding, Version 1, Rec. ITU-T H.266, ISO/IEC FDIS 23090-3, July 2020.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1が対象とするデータは、主に、液晶ディスプレイ等の3色(RGB)の画素の発光によって画像・映像を表示するデバイス(以下、ディスプレイ)上で表示されることを前提としている画像である。
【0005】
一方で、ホログラフィと呼ばれる立体映像表示には、物体光の振幅及び位相のデータが必要となり、フォーマットが異なるため、従来の画像符号化技術を単純適用して符号化することはできないという問題点があった。
【0006】
なお、立体映像表示のためのデータのうち、本発明が対象とする「再生光学系(デバイス)によらない物体からの光の振幅位相分布」を、本実施形態では「物体光」と呼ぶこととする。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、立体映像表示に必要な物体光の振幅及び位相のデータを得ることができる物体光逆量子化装置、物体光量子化装置、物体光逆量子化方法、物体光量子化方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、物体光逆量子化装置であって、物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力するマッピング部を備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第2の特徴は、物体光量子化装置であって、物体光の性質に応じて量子化モードを選択する量子化モード選択部と、前記量子化モード選択部によって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する量子化部とを備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第3の特徴は、物体光逆量子化方法であって、物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力する工程を有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第4の特徴は、物体光量子化方法であって、物体光の性質に応じて量子化モードを選択する工程Aと、前記工程Aによって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する工程Bとを有することを要旨とする。
【0012】
本発明の第5の特徴は、コンピュータを、物体光逆量子化装置として機能させるプログラムであって、前記物体光逆量子化装置は、物体光画像復号装置から取得した整数化された物体光の振幅及び位相のそれぞれに対して、或いは、前記振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部のそれぞれに対して、線形逆量子化又は非線形逆量子化を適用し、小数値として記述されるデータからなる物体光を生成して出力するマッピング部を備えることを要旨とする。
【0013】
本発明の第6の特徴は、コンピュータを、物体光量子化装置として機能させるプログラムであって、前記物体光量子化装置は、物体光の性質に応じて量子化モードを選択する量子化モード選択部と、前記量子化モード選択部によって選択された前記量子化モードに基づいて、前記物体光を整数値へ変換する量子化部とを備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、立体映像表示に必要な物体光の振幅及び位相のデータを得ることができる物体光逆量子化装置、物体光量子化装置、物体光逆量子化方法、物体光量子化方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1Aは、一実施形態に係る画像処理システム1の最小構成の一例を示す図である。
図1B図1Bは、一実施形態に係る画像処理システム1の最大構成の一例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る物体光量子化装置100の機能ブロックの一例について示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る物体光量子化装置100の出力として得られるデータ形式及び振幅、位相、振幅位相結合データの別によって適用される量子化モードの一例を示す図である。
図4A図4Aは、一実施形態に係る線形量子化及び量子化された値のマッピング(8ビット)の一例を示す図である。
図4B図4B一実施形態に係る非線形量子化及び量子化された値のマッピング(8ビット)の一例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係る物体光逆量子化装置400のマッピング部402で用いられる量子化モードや対象とするデータのビット位置等を判別するメタデータの一例を示す図である。
図6図6は、一実施形態に係る物体光逆量子化装置400のマッピング部402で用いられるメタデータ(マッピングテーブル)の一例を示す図である。
図7図7は、一実施形態に係る物体光逆量子化装置400の機能ブロックの一例について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0017】
<第1実施形態>
以下、図1A及び図1Bを参照して、本発明の第1実施形態に係る画像処理システム1について説明する。
【0018】
図1Aは、本実施形態に係る画像処理システム1の最小構成の一例を示す図であり、図1Bは、本実施形態に係る画像処理システム1の最大構成の一例を示す図である。
【0019】
図1Aに示すように、本実施形態に係る画像処理システム1の最小構成は、物体光画像復号装置300と、物体光逆量子化装置400とを備える。
【0020】
図1Bに示すように、本実施形態に係る画像処理システム1の最大構成は、物体光量子化装置100と、物体光画像符号化装置200と、物体光画像復号装置300と、物体光逆量子化装置400とを備える。以降では、かかる最大構成を例に挙げて説明する。
【0021】
物体光量子化装置100は、入力された物体光(物体光信号)を量子化(及び、マッピング)して、物体光画像符号化装置200の入力フォーマットに適合するように変換する機能、及び、物体光逆量子化装置400における逆量子化の際に必要なメタデータを生成する機能を有する。
【0022】
物体光画像符号化装置200は、物体光量子化装置100によって量子化された物体光を符号化することによって符号化データ(ビットストリーム)を生成するように構成されている。
【0023】
物体光画像復号装置300は、物体光画像符号化装置200から入力されたビットストリームを復号することによって量子化された物体光を生成して出力するように構成されている。
【0024】
物体光逆量子化装置400は、物体光画像復号装置300から入力された量子化された物体光を逆量子化(及び、マッピング)することで立体映像表示(ホログラフィの再生)に必要なフォーマットの物体光へと再変換するように構成されている。ここで、マッピングは、逆量子化に内包される処理である。
【0025】
なお、物体光量子化装置100に入力される物体光及び物体光逆量子化装置400から出力される物体光は、2次元に分布する振幅及び位相によって構成されており、小数値として記述される振幅及び位相のデータ(或いは、かかる振幅及び位相から変換して得られる複素数データ)である。
【0026】
例えば、かかる物体光は、RGBの色チャネルごとの振幅及び位相がサンプリング点ごとに浮動小数点や固定小数点の変数として記録された2次元配列であってもよい。
【0027】
或いは、かかる物体光は、上述の振幅及び位相を複素平面上の値(複素数)に変換した場合の実部及び虚部がサンプリング点ごとに浮動小数点や固定小数点の変数として記録された2次元配列であってもよい。
【0028】
また、振幅及び位相(又は、実部及び虚部)は、独立した別のストリームとして扱われてもよいし、1つのサンプリング点に結合したデータ(以降、振幅位相結合データ)として1のストリームとして扱われてもよい。
【0029】
以降、本実施形態において、「振幅及び位相」及び「実部及び虚部」の扱いに差異がない場合は、「振幅及び位相」についてのみ記述を行う。
【0030】
振幅及び位相を別のストリームとして扱うことで、振幅及び位相のそれぞれに特化した処理を個別に適用可能である反面、再生時には、振幅及び位相のそれぞれを個別に伝送する必要がある。
【0031】
これに対して、振幅及び位相を振幅位相結合データとして扱うことで、ビットストリームを伝送する際に単一のセッションにて伝送が可能となることに加えて総ビットレートを抑える効果が期待できる。
【0032】
また、振幅及び位相について、それぞれがRGBの3つの色チャネルを結合して1つのデータとして保持することも可能であり、例えば、RGBの各色に対応する振幅をそれぞれ2ビットにて保持する場合は、1つのサンプリング点の振幅データは6ビットとなる(位相データや振幅位相結合データも同様にRGBの各色の結合に対応可能である)。
【0033】
また、かかる色チャネルは、RGB色空間に限定されず、RGB色空間で表現される振幅及び位相を、YCbCr色空間やXYZ色空間やL*a*b*色空間等に変換したものを処理対象のデータとしてもよい。
【0034】
ここで、かかるビットストリームは、物体光画像符号化装置200から物体光画像復号装置300に対して伝送路を介して送信されてもよい。また、かかるビットストリームは、記憶媒体に格納された上で、物体光画像符号化装置200から物体光画像復号装置300に提供されてもよい。
(物体光量子化装置100)
以下、図2図6を参照して、本実施形態に係る物体光量子化装置100について説明する。図2は、本実施形態に係る物体光量子化装置100の機能ブロックの一例について示す図である。
【0035】
図2に示すように、物体光量子化装置100は、量子化モード選択部101と、量子化部102とを有する。
【0036】
量子化モード選択部101は、物体光の性質に応じて量子化モードを選択するように構成されている。ここで、量子化モードには、線形量子化を適用する線形量子化モード及び非線形量子化を適用する非線形量子化モード及びデータのビット深度が含まれる。
【0037】
また、量子化モード選択部101は、物体光の振幅及び位相(或いは、物体光の振幅及び位相を変換した複素数における実部及び虚部)のデータの区別(具体的には、振幅であるか位相であるかについての区別)に基づいて、上述の前記量子化モードを選択するように構成されていてもよい。
【0038】
さらに、量子化モード選択部101は、物体光の振幅及び位相(或いは、上述の実部及び虚部)のデータの統計的性質(例えば、統計的分布)に基づいて、上述の量子化モードを選択するように構成されていてもよい。
【0039】
このように、量子化モード選択部101は、物体光の統計的分布を解析することで、入力された物体光を構成するデータが振幅及び位相のいずれに属するデータかについて解析し、上述の量子化モードを選択するように構成されている。
【0040】
具体的には、量子化モード選択部101は、振幅及び位相のデータの値の分散を算出し、その分散がある一定の閾値以上である場合は、一様に分布するものとして量子化モードを線形量子化モードと決定し、そうでない場合は、両石化モードを非線形量子化モードと決定してもよい。
【0041】
また、量子化モード選択部101は、ヒストグラムをプロットし、一様分布との類似度を計算し、類似度がある一定閾値以上の場合は、量子化モードを線形量子化モードと決定し、そうでない場合は、量子化モードを非線形量子化モードと決定してもよい。
【0042】
また、量子化モード選択部101は、入力された物体光を構成するデータが振幅及び位相のいずれに属するデータであるかに応じて、上述の量子化モードを決定してもよい。
【0043】
具体的には、量子化モード選択部101は、ある一定の範囲の値の出現頻度が高くなる(分散が小さくなる)傾向にある振幅に対しては非線形量子化を適用すると決定し、一様分布となる傾向がある位相に対しては線形量子化を適用すると決定してもよい。
【0044】
加えて、量子化モード選択部101は、データ形式が実部及び虚部である場合は、両者とも非線形量子化を適用すると決定してもよい。
【0045】
また、量子化モード選択部101は、振幅及び位相をそれぞれ異なるビット深度で量子化するように決定してもよい。
【0046】
また、量子化モード選択部101は、振幅及び位相を結合して1つの変数に格納したデータ(振幅位相結合データ)を対象とし、各ビットに対応するように1つのサンプリング点ごとに異なる量子化モードを設定してもよい。
【0047】
また、量子化モード選択部101は、予めユーザによって行われた入力に基づいて、かかる量子化モードを決定してもよい。
【0048】
ここで決定された量子化モードは、メタデータ(図5参照)として物体光画像符号化装置200へ入力される。
【0049】
このとき、かかるメタデータは、非特許文献1にてサポートされているSEI(Supplemental Enhanced Information)やVUI(Video Usability Information)として入力されてもよい。
【0050】
量子化部102は、量子化モード選択部101において選択された量子化モードに基づいて、物体光(物体光信号)の量子化及びマッピングを行うことで、かかる物体光を整数値(整数化された物体光)に変換するように構成されている。
【0051】
ここで、量子化部102は、物体光符号化装置200の入力に適合するように、上述の量子化及びマッピングを行うように構成されていてもよい。
【0052】
以降では、物体光画像符号化装置200への入力が、RGBの色チャネルが8ビットのビット深度で与えられる24ビット画像であるケースを例に挙げて説明を行うが、本発明は、かかるケースに限定されず、物体光画像符号化装置200への入力が、物体光画像復号化装置300がサポートする他の画像フォーマット(例えば、8ビットグレースケール画像や各チャネルが10ビットのビット深度を有するカラー画像)であるケースにも適用可能である。
【0053】
具体的には、量子化部102は、量子化モード選択部101において線形量子化モードが選択された場合は、均等間隔で物体光の量子化を行い、物体光画像符号化装置200の入力に適合するように、かかる物体光の整数値へのマッピングを行う。
【0054】
例えば、量子化部102は、物体光の振幅を量子化する場合は、図4Aに示すように、かかる振幅の値を均等に256個の範囲に分割した後に、それぞれの範囲に含まれる値を0~255の値に変換する。
【0055】
一方で、量子化部102は、量子化モード選択部101において非線形量子化モードが選択された場合は、上述のような均等な間隔の物体光の分割を行う代わりに、入力された物体光の分布に従い、かかる物体光の振幅(或いは、位相)を不均一に分割し、その後、0~255の値への変換を行う。
【0056】
ここで、量子化部102は、非線形量子化のための分割の決定について、256種類のクラス分類の問題とみなすことができ、k-means法やサポートベクターマシンや畳み込みニューラルネットワーク等の機械学習で用いられるクラス分類手法を広く利用可能である。
【0057】
また、量子化部102は、予め設定されたガンマ補正(y=xγ)等の関数に従い、物体光から0~255の値へのマッピングを決定してもよい。ここで、xは、物体光の値であり、yは、画像の値であり、γは、ユーザ設定のパラメータである。
【0058】
このとき決定されたマッピング方法の情報(図5及び図6参照)は、量子化モードと同様に、物体光画像符号化装置200に、メタデータ(SEIやVUI)として入力される。
【0059】
例えば、0~255に対応するクラスごとの物体光の値の範囲が保持されてもよい。また、上述の関数に従いマッピングを行う一例として、HDRのトーンマッピングと同等の伝達関数等を応用する場合は、適用するtransfer_characteristicsの値が指定されてもよい。
【0060】
すなわち、量子化部102は、物体光に対して伝達関数に基づく整数値へのマッピングを行うように構成されていてもよい。
【0061】
また、量子化部102は、物体光画像符号化装置200の入力に対応した個数(例えば、256個)のクラスへの分割に基づいて、上述の整数値へのマッピングを行うように構成されていてもよい。
【0062】
(物体光画像符号化装置200)
物体光画像符号化装置200は、上述の量子化された物体光を符号化することによって符号化データ(ビットストリーム)を生成して出力するように構成されている。
【0063】
ここで、物体光画像符号化装置200は、非特許文献1等に代表される画像・映像符号化技術を用いることが可能である。
【0064】
例えば、物体光画像符号化装置200に入力される量子化された物体光は、1チャネルあたり8ビットのRGBの3つチャネルのデータとして表現される場合は、各チャネルにおいて0~255の整数値を持つ24ビットのデータとして扱われる。
【0065】
その他、ビット深度やサンプリング数(縦×横の画素数)については、対象とする物体光画像符号化装置200の入力の仕様に従い、物体光量子化装置100において変更可能であるものとする。
【0066】
かかる物体光画像符号装置200内では、入力された量子化された物体光に対して、フレーム内予測を用いた残差信号への変換やDCTをベースとした基底変換によりビットストリームが生成される。
【0067】
(物体光画像復号装置300)
物体光画像復号装置300は、物体光画像符号化装置200によって生成されたビットストリームを受けて、量子化された物体光を復号するように構成されている。
【0068】
具体的には、物体光画像復号装置300は、DCTの逆変換や予測残差に基づく復号を行うことで、量子化された物体光を得るように構成されている。
【0069】
このときに得られるデータは、物体光量子化装置100にて量子化を行った後のフォーマットと一致するため、例えば、物体光量子化装置100にて各色チャネルにおける0~255の整数値のデータ(整数化された物体光)が生成された場合は、物体光画像復号装置300によって得られるデータ(量子化された物体光)も同様のフォーマットとなる。
【0070】
(物体光逆量子化装置400)
以下、図5図7を利用して、本実施形態に係る物体光逆量子化装置400について説明する。
【0071】
物体光逆量子化装置400は、物体光画像復号装置300によって生成された量子化された物体光をホログラフィ等の立体映像表示に利用可能とするように、再度、小数値として記述されるデータへの変換を行うように構成されている。
【0072】
図7に示すように、物体光逆量子化装置400は、逆量子化モード選択部401と、マッピング部402とを備える。
【0073】
逆量子化モード選択部401は、物体光画像復号装置300によって処理されたビットストリーム内のSEIやVUIといったメタデータを用いて、物体光画像復号装置300から受信した量子化された物体光に適用されている量子化モード(線形量子化或いは非線形量子化)を選択するように構成されている。
【0074】
マッピング部402は、上述のメタデータ及び量子化モードに基づいて、量子化された物体光に対して逆量子化の処理を施すと共に、元の物体光に近い値へのマッピングを行うように構成されている。具体的な逆量子化の処理は、次の通りである。
【0075】
具体的には、量子化モードが線形量子化モードであった場合、マッピング部402は、メタデータに含まれる物体光の最大値や最小値やビット数に基づいて、物体光の値の範囲を等分し、各分割区分に含まれる代表値を量子化されたサンプリング点の値としてマッピングする。ここで、かかる代表値の例としては、分割区分の平均値や最大値や最小値等が挙げられる。
【0076】
一方、量子化モードが非線形量子化モードであった場合、マッピング部402は、同様に、メタデータに含まれるマッピングテーブル(図6)やVUI内のtransfer_characteristicsに基づいて、物体光の小数値へのマッピングを行う。
【0077】
例えば、マッピング部402は、図6に示すマッピングテーブルを用いて、量子化された物体光の値に対応するマッピング値への変換、すなわち、整数値(整数化された物体光)から浮動小数点(小数値として記述される物体光)への変換を行う。
【0078】
同様に、マッピング部402は、transfer_characteristicsの伝達関数等を利用する場合は、量子化された物体光の値を入力として、かかる伝達関数の出力へのマッピングを行ってもよい。このとき、出力のレンジは、図5に記載の最大値と最小値との間のレンジに圧縮伸長されることに注意されたい。
【0079】
ここで、マッピング部402は、振幅位相結合データの場合は、上述の処理を、振幅及び位相のそれぞれのデータ部に対して別々に行う。
【0080】
例えば、マッピング部402は、あるサンプリング点(8ビット)の前半の4ビットが振幅であり、後半の4ビットが位相であった場合に、前半の4ビットには非線形量子化を適用し、後半の4ビットには線形量子化を適用する等してもよい。
【0081】
この際に、振幅位相結合データのどのビットが振幅(位相)に対応するかの情報は、メタデータから得られるものとする。
【0082】
以上の操作により、ホログラフィ等の立体映像表示に必要な浮動小数点の2次元配列(小数値として記述される物体光)を得ることができる。
【0083】
上述の物体光量子化装置100、物体光画像符号化装置200、物体光画像復号装置300及び物体光逆量子化装置400は、コンピュータに各機能(各工程)を実行させるプログラムであって実現されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
なお、本実施形態によれば、例えば、動画像通信において総合的なサービス品質の向上を実現できることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
1…画像処理システム
100…物体光量子化装置
101…量子化モード選択部
102…量子化部
200…物体光画像符号化装置
300…物体光画像復号装置
400…物体光逆量子化装置
401…逆量子化モード選択部
402…マッピング部


図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7