(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152070
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】一軸延伸フィルムの断裁方法
(51)【国際特許分類】
B26D 1/30 20060101AFI20241018BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20241018BHJP
B26D 1/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B26D1/30 501H
B26D1/30 501B
B26D3/00 601B
B26D1/30 501C
B26D1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066000
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】520495906
【氏名又は名称】株式会社カナオカホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100081949
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 欣正
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 孝行
(72)【発明者】
【氏名】大金 優一
【テーマコード(参考)】
3C027
【Fターム(参考)】
3C027AA06
3C027AA18
(57)【要約】
【課題】 カットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られる成型米飯食品用包装体の製造をスムーズに行なう。
【解決手段】 成型米飯食品の包装体に使用する一軸延伸フィルムFの印刷機における紙継ぎ時のペースター刃1による断裁にあたり、鋸刃状のペースター刃の刃先2の薄さと、走行するフィルムへのペースター刃の当接角度を調整することによりフィルムの簾状の引きちぎれを防止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型米飯食品の包装体に使用する一軸延伸フィルムの印刷機における紙継ぎ時のペースター刃による断裁にあたり、鋸刃状のペースター刃の刃先の薄さと、走行するフィルムへのペースター刃の当接角度を調整することによりフィルムの簾状の引きちぎれを防止することを特徴とする一軸延伸フィルムの断裁方法。
【請求項2】
一軸延伸フィルムはJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である請求項1記載の一軸延伸フィルムの断裁方法。
【請求項3】
ペースター刃の刃先の傾斜角度を10度以下とするとともに、走行するフィルムへのペースター刃の当接角度を90度とした請求項1または2記載の一軸延伸フィルムの断裁方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばおにぎりなどの成型米飯食品の包装体に使用する一軸延伸フィルムの印刷にあたっての印刷機における紙継ぎ時のペースター刃による断裁方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三角形のおにぎりを被包可能な大きさを有するとともに、短手方向に分割するための帯状の切り取りによるカットテープなどの分断手段を有する長方形の表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部に海苔等のシート状食品を収容するためのポケット部を構成した食品用包装体が公知である(特許文献1~3)。
【0003】
この包装体は裏側フィルム側をおにぎり側に接触させておにぎりを包装するものであるが、具体的にはおにぎりの底面を包装体の前後の中央付近に位置させるとともに包装体の後半分でおにぎりの背面を覆った後、前半分で正面を覆う。そして、開封にあたっては表側フィルムに施された分断手段をおにぎりの正面側から引っ張り上げることにより表側フィルムを左右に順次分断する。この場合、裏側フィルムは既に一対のフィルム片により左右に分割されているのであるから、包装体は結局左右に分割されることとなり、左右に引くことによりポケット部に収容されたシート状食品を残して包装体は取り去られ、シート状食品のみがおにぎりの表面に包装されて残ることとなる。
【0004】
本願発明者はカットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られる成型米飯食品用包装体を提供するために、短手方向に引き裂いて分割するための分断手段を有するとともに成型米飯食品を被包可能な大きさを有する略長方形の表側フィルムに、短手方向に2分割した一対のフィルム片により表側フィルムを覆うとともに表側フィルムの分断手段に位置する箇所にフィルム片同士の重なり部を設けた裏側フィルムを重ね合わせ、裏側フィルムのフィルム片同士の重なり部を除いた表側フィルムと裏側フィルムの周縁同士を接合することにより内部にシート状食品を収容するためのポケット部を構成した包装体において、
表側フィルム端部の引き裂き開始位置に間隔を置いた一対の切り込みを設けて摘み片とするとにより、引き裂きのきっかけとなる手段とし、
表側フィルムを、JISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムとすることにより引き裂き時の直進性を高めるとことを特徴とする発明を創作した(特願2023-005491)。
【特許文献1】実公平5-36390号公報
【特許文献2】実用新案登録第3001212号公報
【特許文献3】特許第3061517号公報
【特許文献4】特開2002-225917号公報
【特許文献5】特開2020-164292号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記発明によれば、おにぎりの正面側から表側フィルムと分断用帯体の始端の一対の切り込み間の部分を摘んで引っ張り上げることにより表側フィルムを左右に順次分断する。この場合、表側フィルムは引き先の方向性を有するJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下である一軸延伸フィルムなので、表側フィルムの引き裂きは直線方向に沿って誘導され、予期しない方向に引き裂かれてしまうことが防止される。
【0006】
ところで、おにぎり用包装体においては、それを構成するフィルムの印刷機による印刷が必須となる。この場合、印刷機においてはフィルムはロールに巻かれたものが供給されるが、給紙中の第1ロールのフィルムと新たな第2ロールのフィルムを紙継ぎすることにより連続的にフィルム供給することになり、紙継ぎ時にペースター刃によるフィルムの断裁が必要となる(特許文献5)。
【0007】
前記の断裁は鋸刃状のペースター刃を走行するフィルムに当接して押し切ることにより行なう。前記の作業は刃先が厚いペースター刃を走行するフィルムに当接角度を40~60度で当接して押し切っていた。
【0008】
しかしながら、前記の一軸延伸フィルムの場合、引き先の方向性が良好なことから、刃先がフィルムに刺さった際に裂けて鋸刃の谷部に入ってしまい上手く断裁できず、フィルムが伸びて引き千切れるように切れ、フィルム片が飛散してしまう問題が発生した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そもそも、成型米飯食品用包装体において前記の一軸延伸フィルムを使用した例はなく、それに着想した本願発明者はその製造過程において前記の問題に直面した。
【0010】
本願発明は前記の問題を解消した一軸延伸フィルムの断裁方法を提供することを目的として創作されたものであり、成型米飯食品の包装体に使用する一軸延伸フィルムの印刷機における紙継ぎ時のペースター刃による断裁にあたり、鋸刃状のペースター刃の刃先の薄さと、走行するフィルムへのペースター刃の当接角度を調整することによりフィルムの簾状の引きちぎれを防止することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載の発明は前記の断裁方法において、一軸延伸フィルムはJISK7128-1に準拠したトラウザー引裂き強度が0.5N以下、開封端からのカットずれが0. 3mm以下であり、開封端から引裂いた際の直線カット性のずれ量が0. 3mm以下であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3記載の発明は前記の断裁方法において、ペースター刃の刃先の傾斜角度を10度以下とするとともに、走行するフィルムへのペースター刃の当接角度を90度としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の一軸延伸フィルムの断裁方法によれば、カットテ-プを設けなくても引き裂きが失敗することなくワンタッチで開口部を容易に得られる成型米飯食品用包装体を実現できる一軸延伸フィルムの印刷工程における紙継ぎ時における断裁をトラブルなく実現できる効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本願発明の一軸延伸フィルムの断裁方法に使用するペースター刃の正面図。
【
図3】本願発明の一軸延伸フィルムの断裁方法における断裁過程を示す側面図。
【
図5】従来のフィルムの断裁方法に使用するペースター刃の正面図。
【
図7】従来のフィルムの断裁方法における断裁過程を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願発明の具体的実施例を添付図面に基づいて説明する。
図5~6は一軸延伸フィルム以外のフィルムを採用していた成型米飯食品用包装体用フィルムの印刷工程における紙継ぎ時の断裁に使用していた従来のペースター刃11を示す図である。このペースター刃11は鋸刃状であり刃先12の傾斜角度は18度~19度であった。
【0016】
図7は一軸延伸フィルム以外のフィルムを採用していた成型米飯食品用包装体用フィルムF1の印刷工程における紙継ぎ時のペースター刃11による断裁を示す図である。ここにおいては走行するフィルムF1に対してペースター刃11を40度~60度で当接して押し切っていた。
【0017】
図1~2は本願発明の一軸延伸フィルムの断裁方法に使用する鋸刃状のペースター刃1を示す図である。このペースター刃1の刃先2の傾斜角度は10度以下であり、先端においては傾斜角度が22度に変更されている。
【0018】
図3~4は本願発明の一軸延伸フィルムFの印刷工程における紙継ぎ時のペースター刃1による断裁を示す図である。ここにおいては走行するフィルムFに対してペースター刃1を90度で当接して押し切る。
【符号の説明】
【0019】
F 一軸延伸フィルム
1 ペースター刃
2 ペースター刃の刃先
F1 従来技術におけるフィルム
11 従来技術におけるペースター刃
12 従来技術におけるペースター刃の刃先