(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152078
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A63F5/04 631
A63F5/04 661
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066009
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 昇平
(72)【発明者】
【氏名】石原 孝洋
(72)【発明者】
【氏名】白石 悠一
【テーマコード(参考)】
2C518
【Fターム(参考)】
2C518AA06
2C518AA09
2C518CA01
2C518CA03
2C518CA10
2C518DA06
2C518EA12
(57)【要約】
【課題】記憶されるデータのデータ容量を軽減することができる遊技機を提供する。
【解決手段】AT移行入賞補助が実行され、且つ非移行操作態様で複数のストップボタンが操作され、且つAT準備状態カウンタの値が値「1650」に達しない場合には、AT準備状態を継続し、AT準備状態カウンタの値が値「1650」に達する場合には、非移行操作態様で複数のストップボタンが操作された場合であってもAT状態に移行する。当選エリア「共通ベル」と、当選エリア「全小役」と、は、それぞれベルAを含む。リール制御手段130は、内部抽選で当選エリア「共通ベル」に当選した場合に、ベルAを入賞可能にする特定停止制御テーブル194aを用いた停止制御を実行し、内部抽選で当選エリア「全小役」に当選した場合に、特定停止制御テーブル194aを用いた停止制御を実行して、ベルAを入賞可能にする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
リールの回転態様及び停止態様を制御するリール制御手段と、
複数の遊技状態の間での遊技状態の移行に係る制御を実行する遊技状態移行制御手段と、
前記複数のストップボタンの操作態様を報知する操作報知手段と、を備え、
指示機能に係る状態として、第1状態と、第2状態と、を有し、
前記第2状態は、前記第1状態よりも有利な状態であり、
前記第1状態が継続する期間の長さを管理するカウンタを有し、
前記操作報知手段は、前記第1状態において前記複数のストップボタンの操作態様に係る報知を行う特定操作報知を実行可能であり、
前記特定操作報知では、移行操作態様と、非移行操作態様と、を示唆する操作態様に係る報知が行われ、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作された場合には、前記第1状態を終了して前記第2状態に移行し、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記非移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作され、且つ前記カウンタの値が所定値に達しない場合には、前記第1状態を継続し、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記カウンタの値が前記所定値に達する場合には、前記非移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作された場合であっても前記第1状態を終了して前記第2状態に移行し、
前記複数の遊技状態は、
第1遊技状態と、
前記第1遊技状態から移行可能な第2遊技状態と、を含み、
前記内部抽選では、複数種類の当選態様の当否が決定され、
前記複数種類の当選態様には、第1小役当選態様と、第2小役当選態様と、が含まれ、
前記第1小役当選態様と、前記第2小役当選態様と、は、それぞれ特定小役を含み、
前記内部抽選手段は、遊技状態が前記第1遊技状態である場合に、前記第1小役当選態様を抽選の対象に含む前記内部抽選を実行し、
前記内部抽選手段は、遊技状態が前記第2遊技状態である場合に、前記第2小役当選態様を抽選の対象に含む前記内部抽選を実行し、
前記リール制御手段は、前記内部抽選で前記第1小役当選態様に当選した場合に、前記特定小役を入賞可能にする特定停止制御データを用いた停止制御を実行し、
前記リール制御手段は、前記内部抽選で前記第2小役当選態様に当選した場合に、前記特定停止制御データを用いた停止制御を実行して、前記特定小役を入賞可能にする、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、役の入賞を補助する入賞補助演出を実行する演出状態として、アシストタイム状態に移行することによって、役の入賞確率を変動させ、遊技価値を獲得しやすくすることができる構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、遊技機においては、アシストタイム状態を含む指示機能に係る制御を用いた多様な遊技性を実現することで、遊技者の遊技に対する興趣を向上させるとともに遊技機の商品性を向上させることが求められている。このような遊技機においては、多様な遊技性を実現するために、遊技性に関するプログラムのデータ容量が増大する傾向にあるものの、遊技機に記憶可能なデータのデータ容量には限りがあることから、遊技機に記憶されるデータのデータ容量を軽減することも同時に求められている。
【0006】
そこで、本発明は、記憶されるデータのデータ容量を軽減することができる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のリールと、
複数のストップボタンと、
内部抽選を行う内部抽選手段と、
リールの回転態様及び停止態様を制御するリール制御手段と、
複数の遊技状態の間での遊技状態の移行に係る制御を実行する遊技状態移行制御手段と、
前記複数のストップボタンの操作態様を報知する操作報知手段と、を備え、
指示機能に係る状態として、第1状態と、第2状態と、を有し、
前記第2状態は、前記第1状態よりも有利な状態であり、
前記第1状態が継続する期間の長さを管理するカウンタを有し、
前記操作報知手段は、前記第1状態において前記複数のストップボタンの操作態様に係る報知を行う特定操作報知を実行可能であり、
前記特定操作報知では、移行操作態様と、非移行操作態様と、を示唆する操作態様に係る報知が行われ、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作された場合には、前記第1状態を終了して前記第2状態に移行し、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記非移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作され、且つ前記カウンタの値が所定値に達しない場合には、前記第1状態を継続し、
前記特定操作報知が実行され、且つ前記カウンタの値が前記所定値に達する場合には、前記非移行操作態様で前記複数のストップボタンが操作された場合であっても前記第1状態を終了して前記第2状態に移行し、
前記複数の遊技状態は、
第1遊技状態と、
前記第1遊技状態から移行可能な第2遊技状態と、を含み、
前記内部抽選では、複数種類の当選態様の当否が決定され、
前記複数種類の当選態様には、第1小役当選態様と、第2小役当選態様と、が含まれ、
前記第1小役当選態様と、前記第2小役当選態様と、は、それぞれ特定小役を含み、
前記内部抽選手段は、遊技状態が前記第1遊技状態である場合に、前記第1小役当選態様を抽選の対象に含む前記内部抽選を実行し、
前記内部抽選手段は、遊技状態が前記第2遊技状態である場合に、前記第2小役当選態様を抽選の対象に含む前記内部抽選を実行し、
前記リール制御手段は、前記内部抽選で前記第1小役当選態様に当選した場合に、前記特定小役を入賞可能にする特定停止制御データを用いた停止制御を実行し、
前記リール制御手段は、前記内部抽選で前記第2小役当選態様に当選した場合に、前記特定停止制御データを用いた停止制御を実行して、前記特定小役を入賞可能にする、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記憶されるデータのデータ容量を軽減することができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態の遊技機の外観構成を示す正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、有利区間抽選の有無と、を示す図である。
【
図4】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態の遊技機において当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「リプレイ3」の当選時に各打順で入賞可能となる役を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態の遊技機におけるAT準備状態処理を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態の遊技機においてAT移行入賞補助が実行される場合における入賞補助の表示態様を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態の遊技機におけるAT準備状態処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図8に示したAT準備状態処理において実行されるAT状態移行に係る処理を示すフローチャートである。
【
図10】(A)は、本発明の第2の実施形態の遊技機においてAT状態から移行したAT準備状態でAT移行入賞補助が実行される場合における入賞補助の表示態様を示す図、(B)は、AT移行入賞補助に従った遊技が実行された場合における表示態様を示す図である。
【
図11】(A)は、本発明の第2の実施形態の遊技機においてCZ状態から移行したAT準備状態でAT移行入賞補助が実行される場合における入賞補助の表示態様を示す図、(B)は、AT移行入賞補助に従った遊技が実行された場合における表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第1の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、第1の実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す正面図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
第1の実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(
図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(
図2参照)が収められている。また、第1の実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、画像を表示する表示領域330aのうち左リールR1~右リールR3と対向する特定領域330bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330を介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1の下段と、中リールR2の中段と、右リールR3の上段と、によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置DSが設けられている。主制御表示装置DSは、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示(報知表示)等の各種遊技情報が表示される。主制御表示装置DSに表示される報知表示は、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示となっている。
【0018】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0019】
また、前面下扉DDには、音を用いた演出を行うための音響装置340が複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0021】
図2は、第1の実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置DS等の出力手段の動作を制御する。
【0022】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190及びアシストタイム制御手段(AT制御手段)200を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0023】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられているリセットスイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0024】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0025】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、メダル投入口MI(
図1参照)にメダルが投入されてメダル投入スイッチ210が作動した場合には、投入されたメダルを投入状態に設定し、メダルがクレジットされた状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されるベットスイッチ220が作動した場合と、には、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定することで、規定投入数に相当するメダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0026】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0027】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、第1の実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0028】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0029】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0030】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0031】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0032】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。第1の実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0033】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0034】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ押下操作することについて、最初の押下操作を第1停止操作、2番目の押下操作を第2停止操作、3番目の押下操作を第3停止操作とも記載する。
【0035】
第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。
【0036】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0037】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0038】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0039】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0040】
第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0041】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0042】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0043】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、第1の実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0044】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0045】
演出制御手段180は、遊技制御手段10を構成する演出制御手段180以外の各手段(設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、AT制御手段200)からコマンドを含む各種情報を受信可能で、且つ遊技制御手段10を構成する演出制御手段180以外の各手段には情報を送信不能となるように、単方向通信可能に通信接続されており、遊技制御手段10を構成する演出制御手段180以外の各手段から送信される各種情報(信号、コマンド)に基づき、記憶手段190の演出制御データ記憶手段196に記憶されている演出データを用いて演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて表示装置330、音響装置340を含む演出装置300等の出力手段の動作を制御する。
【0046】
演出制御手段180は、例えば、表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。
【0047】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する報知を主制御表示装置DSに表示する補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0048】
AT制御データ記憶手段197には、有利区間内において実行されるAT状態(アシストタイム状態)及び通常状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0049】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で7セグメント表示器からなる主制御表示装置DSに当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する操作報知を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による操作報知が実行される場合に、後述する演出制御手段180によって表示装置330に操作報知に対応する指標を表示するナビ演出が実行される。スロットマシン1では、操作報知とナビ演出との入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0050】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。
【0051】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0052】
第1の実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0053】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0054】
AT制御手段200は、4000ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「4000」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0055】
AT制御手段200は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。第1の実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0056】
2.第1の実施形態における遊技機が備える構成
次に、
図3~
図7を参照して、第1の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0057】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、第1の実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、各遊技状態において当選可能になる当選エリアと、内部抽選で当選した場合に後述する有利区間抽選がAT制御手段200によって行われる当選エリアと、を示す図である。
図3においては、各遊技状態において当選可能で、且つ当選した場合に有利区間抽選が実行される当選エリアを「〇」、各遊技状態において当選可能で、且つ当選した場合に有利区間抽選が実行されない当選エリアを「●」と表記している。
【0058】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0059】
図3に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「リプレイ1」~当選エリア「リプレイ3」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号17番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0060】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して押下を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下されるタイミングを「押下タイミング」とも記載する。
【0061】
第1の実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを押下する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0062】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号17番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選(ハズレ)に向かう順番で、各遊技状態において抽選の対象に設定されている当選エリアの当否を決定していく。
【0063】
第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルD、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA~リプレイCを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ
図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0064】
また、
図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0065】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」は、遊技状態がボーナス成立状態である場合に、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のそれぞれに設定された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで、ベルA~ベルDが入賞可能となる当選エリアである。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の詳細については、後述する。
【0066】
当選エリア「共通ベル」は、ベルA~ベルDが重複当選する当選エリアである。スロットマシン1では、当選エリア「共通ベル」に当選した場合、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずベルA~ベルDのいずれかが入賞するように構成されている。
【0067】
当選エリア「レア役」は、レア役が単独当選する当選エリアであり、小役を含む他の当選エリア(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「RBB&1枚役」)よりも低い当選確率に設定されている。また、レア役の入賞図柄組合せは、左リールR1の図柄が20コマ中5コマの図柄が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングでストップボタンB1が操作された場合に有効ラインL1上に停止表示可能となる図柄から構成されており、中リールR2の図柄と右リールR3の図柄とについて、ストップボタンB2とストップボタンB3との操作タイミングによらず有効ラインL1上に停止表示可能な図柄から構成されている。
【0068】
当選エリア「リプレイ1」は、リプレイAが単独当選する当選エリアであり、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずリプレイAが入賞する。当選エリア「リプレイ2」は、リプレイA、リプレイBが重複当選する当選エリアであり、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずリプレイAが入賞する。当選エリア「リプレイ3」は、リプレイA、リプレイCが重複当選する当選エリアであり、予め設定された操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にはリプレイCが入賞し、該操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にはリプレイAが入賞する。当選エリア「リプレイ3」の詳細については、後述する。
【0069】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0070】
<内部抽選テーブル>
第1の実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0071】
図3に示すように、遊技状態が非RT状態である場合に参照される内部抽選テーブルAでは、当選番号3番~当選番号17番に対応付けられた当選エリアに抽選値数が対応付けられ、遊技状態がボーナス成立状態である場合に参照される内部抽選テーブルBでは、当選番号3番~当選番号16番に対応付けられた当選エリアに抽選値数が対応付けられ、遊技状態がボーナス状態である場合に参照される内部抽選テーブルCでは、当選番号0番~当選番号2番に対応付けられた当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0072】
第1の実施形態のスロットマシン1では、遊技状態が非RT状態である場合、内部抽選で当選番号3番~当選番号17番に対応付けられた当選エリアのいずれかに当選し、遊技状態がボーナス成立状態である場合、内部抽選で当選番号3番~当選番号16番に対応付けられた当選エリアのいずれかに当選する。また、スロットマシン1では、遊技状態がボーナス状態である場合、当選番号1番、当選番号2番に対応付けられた当選エリアのいずれにも当選しない場合に、不当選(ハズレ)となる。
【0073】
<乱数判定処理>
第1の実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選(ハズレ)であると判定する。第1の実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。
【0074】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、本実施形態の内部抽選テーブルBでは、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」に抽選値数が設定されている。遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、内部抽選手段120は、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0075】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0076】
<リール制御手段>
第1の実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
【0077】
<小役の配当>
第1の実施形態において、ベルA~ベルDの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(8枚)に設定されている。また、レア役の配当は、規定投入数と同じ枚数の払出数(3枚)に設定されている。そして、1枚役A~1枚役Cの配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0078】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、第1の実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0079】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0080】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。内部抽選テーブルBでは、内部抽選テーブルAにおいて当選エリア「RBB」に対応付けられていた抽選値数である値「4」が、当選エリア「リプレイ1」に対応付けられているため、内部抽選テーブルAよりもリプレイの当選確率が4/65536高い構成となっている。このような構成により、スロットマシン1では、内部抽選において内部抽選テーブルBが用いられるボーナス成立状態におけるリプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている。
【0081】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0082】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルD、レア役、1枚役A~1枚役Cのすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役Cの配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0083】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のいずれか2つと、当選エリア「共通ベル」と、に当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0084】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0085】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0086】
このように、第1の実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルD)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」)と、複数種類の特定役が重複して当選する第2当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0087】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0088】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時に、打順3~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作しないと入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルDのいずれかが入賞する確率は、4種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作できた場合に限定される。一方、後述する入賞補助が実行される補助遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時に、正解打順が入賞補助によって報知されるため、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時におけるベルA~ベルDのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で8倍まで高めることができる。
【0089】
このように、第1の実施形態においては、正解打順で停止操作した場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルDの4種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/4に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上で補助遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0090】
<AT制御手段>
図4(B)は、第1の実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0091】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0092】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「不当選(ハズレ)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0093】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0094】
第1の実施形態のAT制御手段200は、
図3に示したように、遊技状態が非RT状態である場合における内部抽選で当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB」に当選した場合と、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選で当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」に当選した場合と、に、約1/1.5の確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行するように構成されている。
【0095】
また、AT制御手段200は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「リプレイ1」に当選した場合と、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「リプレイ1」、当選エリア「RBB&1枚役」に当選した場合と、ボーナス状態における内部抽選で当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」に当選した場合と、に有利区間抽選を実行しないように構成されている。各当選エリアの当選時における有利区間抽選による遊技性の詳細については、後述する。
【0096】
有利区間において、AT制御手段200は、指示機能に係る状態(演出状態)として、第1開始状態と、第2開始状態と、通常状態と、CZ状態と、AT準備状態と、AT状態と、AT中CZ状態と、上乗せ特化状態と、を有している。また、第1の実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0097】
第1の実施形態のAT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選した場合に、リプレイAを入賞可能にする操作態様を報知するか否かを決定するリプレイ報知抽選を実行する。AT制御手段200は、リプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合に、当該遊技が実行されている演出状態に応じた指示機能に係る抽選を実行する。より詳しくは、後述する。
【0098】
また、第1の実施形態のスロットマシン1は、有利区間で、且つ操作態様の報知が実行されない場合において、打順3~打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、AT制御手段200による指示機能に係る制御が実行されない構成となっている。換言すると、スロットマシン1は、操作態様の報知が実行されない場合においては、打順1、打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作する遊技が推奨される構成となっている。
【0099】
第1開始状態は、遊技状態が非RT状態であり、且つ通常区間である状態において、内部抽選で当選エリア「RBB」又は当選エリア「RBB&1枚役」の有利区間抽選の対象に設定され、且つRBBを含む当選エリアに当選したことに基づく有利区間抽選で通常区間から有利区間に移行した場合に設定される演出状態である。第1開始状態において、AT制御手段200は、1回の遊技が実行された場合に、第1開始時状態を終了し、演出状態を通常状態に移行する。
【0100】
第2開始状態は、遊技状態が非RT状態又はボーナス成立状態であり、かつ通常区間である状態において、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」のの有利区間抽選の対象に設定され、且つRBBを含まない当選エリアに当選したことに基づく有利区間抽選で通常区間から有利区間に移行した場合に設定される演出状態である。
【0101】
第2開始状態において、AT制御手段200は、第2開始状態が開始された時点における遊技状態を参照する。AT制御手段200は、第2開始状態が開始された時点における遊技状態が非RT状態である場合に、1回の遊技が実行された後に、第2開始状態を終了し、演出状態を通常状態に移行する。また、AT制御手段200は、第2開始状態が開始された時点における遊技状態がボーナス成立状態である場合に、1回の遊技が実行された後に、第2開始状態を終了し、演出状態をCZ状態に移行する。
【0102】
このような構成であることから、スロットマシン1では、通常区間における遊技(第1ゲーム)において、通常区間から有利区間に移行した場合、第1ゲーム中におけるAT制御手段200による演出状態を設定する制御処理によって第1開始状態又は第2開始状態に演出状態が設定される。次に、スロットマシン1では、第1ゲームの次の遊技(第2ゲーム)において、演出状態が第1開始状態又は第2開始状態に設定された状態での遊技が実行され、演出状態が第1開始状態であれば通常状態に移行され、演出状態が第2開始状態であれば、第2ゲームにおける遊技状態によって、演出状態が通常状態又はCZ状態に移行される。
【0103】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする通常ゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、通常ゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、において、有利区間を終了させるか否かを抽選する有利区間終了抽選を実行する。
【0104】
AT制御手段200は、通常ゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合と、有利区間抽選で「有利区間の終了」に当選した場合と、に、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、通常状態の終了とともに有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0105】
CZ状態は、補助遊技に係る制御として、AT準備状態に演出状態を移行する制御を実行可能に構成されており、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する値(例えば、10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0106】
AT制御手段200は、CZ状態における毎回の遊技において、AT準備状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT準備状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をCZ状態から当選した演出状態に移行する。
【0107】
AT制御手段200は、CZ中AT抽選で「AT準備状態への移行」に当選し且つCZ状態が終了するまでの遊技において、CZ状態の終了後に移行するAT準備状態からAT状態に移行した場合におけるAT状態について、AT状態を実行する回数を加算(上乗せ)するか否かを決定するCZ中ATゲーム数上乗せ抽選を実行する。
【0108】
一方、AT制御手段200は、CZ中AT抽選で「AT準備状態への移行」に当選することなくCZ状態において10ゲームの遊技が実行された場合、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、演出状態をCZ状態から通常状態に移行する。
【0109】
AT制御手段200は、CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選(CZ中AT抽選、CZ中ATゲーム数上乗せ抽選)について、内部抽選の結果によらず実行するように構成されている。また、AT制御手段200は、CZ状態において実行する補助遊技に係る抽選について、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、には、他の当選エリアに当選した場合よりも「不当選(ハズレ)」となる確率が低下し、遊技者にとって有利な結果(CZ中AT抽選であれば「AT準備状態への移行」)となる確率が高くなるように構成されている。
【0110】
AT準備状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時において、ベルA~ベルDの入賞補助を実行するか否かが抽選によって決定されるため、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDの入賞補助が実行されない通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。第1の実施形態のAT準備状態は、CZ状態においてAT準備状態への移行が決定された状況と、AT準備状態から後述するAT状態に移行してから300ゲーム以上の遊技が実行された状況と、において、移行可能に構成されている。
【0111】
第1の実施形態のAT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態で且つ演出状態がAT準備状態である状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、ベルA~ベルDの正解打順を報知する通常入賞補助と、第1停止操作で操作するストップボタンがストップボタンB1ではないことを示唆することで、正解打順を含む操作態様を示唆し、第1停止操作が正解打順と一致した場合にAT状態への移行が決定される特定入賞補助としてのAT移行入賞補助と、のいずれかを実行可能に構成されている。
【0112】
AT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態で且つ演出状態がAT準備状態である状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、入賞補助を実行するか否かを決定する入賞補助抽選を実行する。AT制御手段200は、入賞補助抽選において、「通常入賞補助の実行」、「AT移行入賞補助の実行」、「不当選(ハズレ)」のいずれかに決定する抽選を行う。
【0113】
スロットマシン1では、入賞補助抽選において、「通常入賞補助の実行」に所定の確率で当選し、通常入賞補助に従った遊技が実行されることで8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞可能となるため、AT移行入賞補助が実行された場合にストップボタンB1が操作される遊技が実行され、1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞し且つAT準備状態が継続する遊技が長期に亘って実行された場合であっても、所定回数の遊技が実行される場合におけるメダルの総投入数に対する総払出数の比率である出玉率が60%を下回らないように構成されている。
【0114】
なお、スロットマシン1では、AT準備状態において通常入賞補助が実行された場合には入賞補助に沿った遊技が実行され、AT移行入賞補助が実行された場合には入賞補助に沿わない遊技が実行されることでAT準備状態が長期に亘って継続する場合であっても、AT準備状態における出玉率が100%を超えないように設計されている。このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が実行されることでAT準備状態が継続した場合であっても、遊技者にとって有利とならず、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防ぐことができる。
【0115】
AT制御手段200は、AT準備状態において、AT制御データ記憶手段197のAT準備状態カウンタ197cの記憶値に、遊技が実行される都度1ゲームに相当する値「1」を加算するインクリメント更新を実行する。
【0116】
第1の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し且つ第1停止操作が正解打順と一致した場合と、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行されAT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になった場合と、に、AT状態を開始する条件(AT開始条件)が成立したと判定する。AT制御手段200は、演出状態をAT準備状態からAT状態に移行し、AT開始条件が成立するまで、AT準備状態を継続するように構成されている。
【0117】
換言すると、AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選し、AT移行入賞補助を実行した場合において、第1停止操作が正解打順と一致した場合には特典として演出状態をAT状態に移行し、第1停止操作が正解打順と一致しなかった場合に、演出状態をAT状態に移行することなくAT準備状態を継続可能に構成されている。
【0118】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が実行された場合であっても、遊技者にとって有利な特典であるAT状態に移行することがなく、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防止し遊技機の商品性の低下を防ぐことができるとともに、誤ってAT移行入賞補助で示唆された操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になっていなければAT準備状態を継続することで遊技者の遊技に対する興趣が低下することも防ぐことができる。
【0119】
また、第1の実施形態のAT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選した場合に、AT制御データ記憶手段197のAT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値に値「1」を加算するインクリメント更新を実行する。AT制御手段200は、AT準備状態で入賞補助抽選を実行する場合に、AT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値に応じた抽選テーブルを取得する。入賞補助抽選において用いられる抽選テーブルは、AT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値が大きい値になるほど、「AT移行入賞補助の実行」の当選確率が高くなるように構成されている。
【0120】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、且つ第1停止操作が正解打順と一致せずAT準備状態が継続してしまう場合に、AT準備状態が継続する期間が延びるほどAT移行入賞補助が実行される頻度が高くなり、AT準備状態からAT状態に移行できる確率が高くなるため、遊技者がAT移行入賞補助で示唆された操作態様に沿ってストップボタンB1~ストップボタンB3を操作し、且つ第1停止操作が正解打順と一致しなかった場合であっても、以降の遊技におけるAT移行入賞補助の頻度が高くして再度AT状態に移行可能な機会を速やかに与えることができ、AT状態に移行できなかった遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0121】
また、第1の実施形態のAT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選し、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に沿った操作態様であった場合に、ATポイントの付与に係る処理として、AT制御データ記憶手段197のATポイントカウンタ197eの記憶値に値「10」を加算するインクリメント更新を実行する。AT制御手段200は、ATポイントカウンタ197eの記憶値が値「100」以上になった場合、つまり、付与されたATポイントが100ポイント以上になった場合に、AT準備状態から移行するAT状態において、遊技者にとって有利な指示機能に係る特典として、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選した場合に実行されるリプレイ報知抽選において、ATポイントが100ポイント未満であるAT状態である場合よりも高い確率で操作態様を報知しないと決定されるリプレイ報知抽選を実行する特典を付与する。
【0122】
上述したように、AT移行入賞補助は、第1停止操作で操作するストップボタンがストップボタンB1ではないことを示唆する報知態様であることから、第1停止操作が正解打順と一致する操作態様と、第1停止操作が正解打順と一致しない操作態様と、が含まれる入賞補助となっている。このため、スロットマシン1では、AT移行入賞補助が実行され、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に沿った操作態様であった場合であっても、該操作態様が第1停止操作が正解打順と一致しない操作態様となり、AT準備状態からAT状態に移行しない場合が発生する構成となっている。
【0123】
このような構成であることから、第1の実施形態のAT制御手段200は、AT準備状態においてAT移行入賞補助を実行し、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に沿った操作態様であった場合に、付与されたポイントが100ポイント以上になることでAT状態に移行することで遊技者にとって有利な指示機能に係る特典を付与するATポイントの付与に係る処理を実行する。
【0124】
この構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に沿った操作態様であることで、AT移行入賞補助に沿った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作してもAT状態に移行せずにAT準備状態が継続する場合に、AT状態に移行した際に遊技者にとって有利な指示機能に係る特典の付与に繋がるATポイントを付与することで、AT移行入賞補助が実行され、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に沿った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作したにもかかわらずAT状態に移行できなかった際に遊技者が感じる損失感を軽減し、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0125】
なお、ATポイントは、100ポイント未満である場合には、AT状態におけるリプレイ報知抽選の実行確率がATポイントに基づき変動しない構成である。このため、第1の実施形態においては、確実に実行されるAT準備状態からAT状態へ移行される指示機能に係る制御の方が、ATポイントの付与よりも遊技者にとって有利な制御として構成されている。
【0126】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行されることで、通常状態及びAT準備状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0127】
AT制御手段200は、AT状態の開始時におけるAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ197fの記憶値が値「0」である場合、所定の遊技回数に対応する初期値(40ゲーム)をセットする。また、AT制御手段200は、AT状態が開始される場合に、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値に値「10」を加算する。AT制御手段200は、AT状態において遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0128】
AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、に、AT中CZ状態に移行するか否かを決定するAT中CZ抽選を実行する。
【0129】
AT制御手段200は、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値が値「0」になった場合において、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したことに基づき有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、AT状態の終了とともに有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0130】
また、第1の実施形態のAT制御手段200は、演出状態がAT準備状態からAT状態に移行した場合であっても、AT準備状態カウンタ197cの記憶値に、遊技が実行される都度1ゲームに相当する値「1」を加算するインクリメント更新を実行する。AT制御手段200は、AT準備状態が開始された遊技から2000ゲームの遊技が実行されAT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「2000」になった場合に、ATゲーム数カウンタの記憶値によらず、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0131】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態において入賞補助に沿った遊技が実行される、つまりAT移行入賞補助が実行された場合に打順3~打順6のいずれかでストップボタンB1~ストップボタンB3を操作する遊技が実行される場合に、数ゲーム~数十ゲームのうちにAT状態に移行可能となるように構成されている。また、スロットマシン1は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時に入賞補助が実行されるAT状態における出玉率が約200%となるように構成されている。
【0132】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、入賞補助に従った遊技が実行される場合には、AT状態において約1200ゲームの遊技が実行された時点で、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」に達し、有利区間の特定終了条件が成立し有利区間が終了するため、AT準備状態においてAT移行入賞補助に従わない遊技が実行されることで、AT準備状態に長期に亘って滞在した場合を除き、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「2000」になったことに基づき有利区間が終了することがない構成となっている。
【0133】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で報知されている打順を無視した遊技が実行されることでAT準備状態が継続した後にAT状態が開始された場合であっても、当該AT状態が継続しても約700枚程度のメダルしか獲得できず遊技者にとって十分に有利とならず、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防ぐことができる。
【0134】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のAT継続期間カウンタ197gに、AT状態を継続する遊技回数に対応する初期値(300ゲーム)をセットし、AT状態と、AT中CZ状態と、上乗せ特化状態と、において、遊技が実行される都度、AT継続期間カウンタ197gの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0135】
AT制御手段200は、AT継続期間カウンタ197gの記憶値が値「0」になった場合に、デクリメント更新を停止する。また、AT制御手段200は、AT継続期間カウンタ197gの記憶値が値「0」になった場合、演出状態がAT状態である場合には、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値によらずAT状態を中断し、AT状態からAT準備状態に移行する。一方、AT制御手段200は、AT継続期間カウンタ197gの記憶値が値「0」になった場合、演出状態がAT中CZ状態又は上乗せ特化状態である場合には、演出状態がAT状態に移行した後に、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値によらずAT状態を中断し、AT状態からAT準備状態に移行する。
【0136】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT状態が長期に亘って継続する場合であっても、約300ゲームの遊技が実行される都度、出玉率が約200%に設定されたAT状態から、出玉率が100%を超えないAT準備状態に移行するため、連続するAT状態において過度なメダルの払い出しがなされ、遊技機の商品性が低下してしまうことを防ぐことができる。
【0137】
AT中CZ状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行されるとともに、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選した場合に実行されるリプレイ報知抽選において、通常状態、CZ状態、AT準備状態及びAT状態である場合よりも高い確率で操作態様を報知しないと決定されることで、通常状態、CZ状態、AT準備状態及びAT状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0138】
AT制御手段200は、AT中CZ状態の開始時におけるAT制御データ記憶手段197のAT中CZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、AT中CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0139】
AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、に、ATゲーム数カウンタ197fに加算(上乗せ)する値を決定する上乗せ抽選と、AT中CZ状態の終了後に上乗せ特化状態に移行するか否かを決定する上乗せ特化抽選と、を実行する。
【0140】
上乗せ特化抽選において「上乗せ特化状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、AT中CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をAT中CZ状態から上乗せ特化状態に移行する。一方、上乗せ特化抽選で「上乗せ特化状態への移行」に当選することなくAT中CZ状態において10ゲームの遊技が実行された場合、AT制御手段200は、AT中CZ状態を終了し、演出状態をAT状態に移行する。
【0141】
AT中CZ状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行されるとともに、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選した場合に実行されるリプレイ報知抽選において、通常状態、CZ状態、AT準備状態及びAT状態である場合よりも高い確率で操作態様を報知しないと決定されることで、通常状態、CZ状態、AT準備状態及びAT状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0142】
AT制御手段200は、AT状態の開始時におけるAT制御データ記憶手段197のAT中CZゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(10ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、AT中CZゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0143】
AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、に、ATゲーム数カウンタ197fに加算(上乗せ)する値を決定する上乗せ抽選と、AT中CZ状態の終了後に上乗せ特化状態に移行するか否かを決定する上乗せ特化抽選と、を実行する。
【0144】
上乗せ特化抽選において「上乗せ特化状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、AT中CZ状態の開始から10ゲームの遊技が実行された後に、演出状態をAT中CZ状態から上乗せ特化状態に移行する。一方、上乗せ特化抽選で「上乗せ特化状態への移行」に当選することなくAT中CZ状態において10ゲームの遊技が実行された場合、AT制御手段200は、AT中CZ状態を終了し、演出状態をAT状態に移行する。
【0145】
上乗せ特化状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選の都度ベルA~ベルDの入賞補助が実行され、且つ、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選した場合に実行されるリプレイ報知抽選において、通常状態、CZ状態、AT準備状態及びAT状態である場合よりも高い確率で操作態様を報知しないと決定され、且つ、毎回の遊技において、ATゲーム数カウンタ197fに加算(上乗せ)する値を決定する上乗せ抽選が実行されることで、他の演出状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0146】
AT制御手段200は、上乗せ特化状態の開始時におけるAT制御データ記憶手段197の上乗せ特化ゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(30ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、上乗せ特化ゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0147】
AT制御手段200は、上乗せ特化状態における上乗せ抽選について、内部抽選の結果によらず実行するように構成されている。また、AT制御手段200は、上乗せ特化状態における上乗せ抽選について、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選した場合と、内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合と、には、他の当選エリアに当選した場合よりも加算される値が大きい値になる確率が高いことで遊技者にとって有利な結果(例えば、当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「リプレイ3」に当選し且つ操作態様が報知されない場合と、以外の場合における上乗せ抽選では値「10」~値「30」の範囲の値が抽選の対象に設定され、当選エリア「レア役」に当選した場合と、当選エリア「リプレイ3」に当選し且つ操作態様が報知されない場合と、における上乗せ抽選では値「30」~値「100」の範囲の値が抽選の対象に設定される)となる確率が高くなるように構成されている。
【0148】
AT制御手段200は、上乗せ特化ゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合において、上乗せ特化状態の終了条件(上乗せ特化終了条件)が成立したと判定し、上乗せ特化状態を終了し演出状態をAT状態に移行する。
【0149】
3.有利区間への移行に関する遊技性の詳細
次に、第1の実施形態のスロットマシン1における有利区間への移行に関する遊技性の詳細について説明する。
【0150】
<第1、第2開始状態を用いた制御の詳細>
上述したように、第1の実施形態のリール制御手段130は、ボーナスに優先させて小役又はリプレイの入賞図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示するように構成されている。また、リール制御手段130は、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選し、不正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作され、且つ当選している1枚役A~1枚役Cを入賞させることができない操作タイミングでストップボタンB1~ストップボタンB3が押下操作された場合と、内部抽選で当選エリア「レア役」に当選し、レア役を入賞させることができない操作タイミングでストップボタンB1が操作された場合と、において、いずれの役の入賞図柄組合せとも異なる図柄組合せを有効ラインL1上に停止表示し、取りこぼし(非入賞)となるようにリール停止制御を実行するように構成されている。
【0151】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である場合、内部抽選で小役又はリプレイのいずれかに当選するため、RBBの入賞図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示されることがなく、ボーナス成立状態が維持されるように構成されている。
【0152】
つまり、第1の実施形態のスロットマシン1では、一度遊技状態がボーナス成立状態に設定された場合、以降はボーナス成立状態での遊技が継続するため、有利区間において通常終了条件又は特定終了条件が成立したことに基づき有利区間を終了し通常区間を開始した場合、遊技状態がボーナス成立状態で、且つ通常区間に制御された状態となる。このため、スロットマシン1では、遊技状態がボーナス成立状態である状態で有利区間から通常区間に移行した後、有利区間抽選で「有利区間への移行」に当選し有利区間に移行した場合に、演出状態が第2開始時状態に設定され、第2開始時状態の開始時における遊技状態がボーナス成立状態であることから、第2開始時状態で1ゲーム実行された後に、演出状態がCZ状態に移行するように構成されている。
【0153】
このような遊技性を有するスロットマシン1では、上述した通り、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態に係る制御及び有利区間に係る制御が初期化されることで、遊技状態が非RT状態に設定され、通常区間に設定されるように構成されている。
【0154】
このため、スロットマシン1では、仮に、通常区間から有利区間に移行した場合に、常に演出状態をCZ状態に設定するように構成した場合、設定変更手段100による設定変更制御が実行された際の初期化によって通常区間に設定されてしまうことで、設定変更制御の直後にCZ状態に移行する確率が極めて高くなってしまう虞がある。
【0155】
このような構成である場合、スロットマシン1では、設定変更制御が実行された直後の有利区間への移行に基づき開始されたCZ状態において、演出制御手段180が通常状態における演出(特定演出)を実行することで、遊技者に現在の演出状態がCZ状態であることを視認できなくすることはできるものの、設定変更直後のCZ状態専用の特定演出に係るデータ、プログラムが必要となり、演出に係るプログラム容量が増大してしまう。
【0156】
また、このような構成のスロットマシン1では、設定変更直後のCZ状態を特定演出によって視認できなくすることはできるものの、AT制御手段200による制御ではCZ状態が実行されており、AT状態に移行する可能性を有しているため、設定変更直後にAT状態に移行しやすくメダルを獲得しやすい、という攻略性が生じてしまう。
【0157】
一方、第1の実施形態のスロットマシン1では、通常区間から有利区間に移行する場合において、AT制御手段200が内部抽選で当選した当せんエリアを参照し、有利区間の開始時に設定する演出状態を、第1開始時状態と第2開始時状態とのいずれに設定するのかを決定する構成を有している。
【0158】
AT制御手段200は、非RT状態における内部抽選でしか当選しない当選エリアである当選エリア「RBB」又は当選エリア「RBB&1枚役」に当選したことに基づき有利区間を開始する場合に、有利区間の開始時における演出状態を第1開始時状態に設定する。上述した通り、第1開始時状態は、1ゲーム実行された後に通常状態に移行する演出状態である。
【0159】
このため、スロットマシン1では、有利区間の開始時における遊技状態がボーナス成立状態である場合においても、設定変更制御が実行され通常区間における遊技状態が非RT状態である状態から有利区間に移行した場合に、第1開始時状態を経て通常状態に演出状態を設定することができる。
【0160】
また、AT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態においても当選する当選エリアである当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」に当選したことに基づき有利区間を開始する場合に、有利区間の開始時における演出状態を第2開始時状態に設定する。AT制御手段200は、第2開始時状態での遊技の実行時における遊技状態を参照し、第2開始時状態で1ゲーム実行された後に移行する演出状態を決定するように構成されている。
【0161】
具体的には、AT制御手段200は、第2開始時状態での遊技の実行時における遊技状態が非RT状態である場合には、第2開始時状態で1ゲーム実行された後に移行する演出状態を通常状態に決定し、第2開始時状態での遊技の実行時における遊技状態がボーナス成立状態である場合には、第2開始時状態で1ゲーム実行された後に移行する演出状態をCZ状態に決定する。
【0162】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1において、第2開始時状態での遊技の実行時における遊技状態が非RT状態となるのは、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」に当選したことに基づき有利区間を開始された場合に限定されている。
【0163】
また、第1の実施形態のAT制御手段200は、RBBが成立状態に持ち越されることで設定される遊技状態であるボーナス成立状態における内部抽選で当選可能な当選エリアである当選エリア「RBB&1枚役」の当選時において、有利区間抽選を実行しないように構成されている。
【0164】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1において、第2開始時状態での遊技の実行時における遊技状態がボーナス成立状態となるのは、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」、当選エリア「共通ベル」、当選エリア「レア役」、当選エリア「リプレイ2」、当選エリア「リプレイ3」に当選したことに基づき有利区間を開始された場合に限定されている。
【0165】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、設定変更手段100による設定変更制御が実行され、遊技状態が非RT状態に設定され、かつ通常区間に設定される構成でありながら、設定変更制御の直後の通常区間から有利区間への移行時においては、有利区間が開始されたことに基づき通常状態に設定し、遊技状態がボーナス成立状態である場合における通常区間から有利区間への移行時においては、有利区間が開始されたことに基づきCZ状態に設定する遊技性を実現することができ、有利区間を有した上で商品性を向上させることができる。
【0166】
また、第1の実施形態のスロットマシン1は、設定変更制御が開始された直後が過度に有利となる攻略性が生じることを防ぐことができるとともに、設定変更制御が実行された直後における有利区間への移行に伴い、設定される演出状態と異なる演出を実行するためのデータ及びプログラムが不要になり、演出に係るプログラム容量が増大してしまうことを防ぐことができる。
【0167】
<当選エリア「RBB」、当選エリア「リプレイ1」の当選時における有利区間抽選>
上述したように、第1の実施形態の当選エリア「リプレイ1」は、リプレイAが単独当選し、当選エリア「リプレイ2」は、リプレイAと、リプレイBと、が重複当選する構成であり、それぞれ異なる当選エリアとして構成されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「リプレイ1」に当選した場合と、当選エリア「リプレイ2」に当選した場合と、で、いずれの場合においても、リプレイAが入賞するように構成されている。
【0168】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、リプレイAが入賞した遊技において、当選エリア「リプレイ1」と、当選エリア「リプレイ2」と、のいずれが入賞したのかが、遊技者に判別されない構成となっている。
【0169】
また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「リプレイ1」と、当選エリア「RBB」と、に、抽選値数としてそれぞれ値「4」が対応付けられているため、当選エリア「リプレイ1」と、当選エリア「RBB」と、のそれぞれの当選確率がそれぞれ4/65536(1/16384)となっている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「リプレイ2」に、抽選値数として値「8718」が対応付けられているため、当選エリア「リプレイ2」の当選確率が8718/65536(約1/7.5)となっている。そして、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「リプレイ3」に、抽選値数として値「256」が対応付けられているため、当選エリア「リプレイ3」の当選確率が256/65536(1/256)となっている。
【0170】
このため、内部抽選テーブルAを用いた内部抽選が実行される非RT状態では、当選エリア「リプレイ1」~当選エリア「リプレイ3」のいずれかに当選する確率が8978/65536(約1/7.3)となっている。
【0171】
また、上述したように、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB」に対応付けられた抽選値数が当選エリア「リプレイ1」に対応付けられていることから、当選エリア「リプレイ1」に、抽選値数として値「8」が対応付けられているため、当選エリア「リプレイ1」の当選確率が8/65536(1/8192)となっている。内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「リプレイ2」に対応付けられた抽選値数と、当選エリア「リプレイ3」に対応付けられた抽選値数と、については内部抽選テーブルAと同一となっている。
【0172】
このため、内部抽選テーブルBを用いた内部抽選が実行されるボーナス成立状態では、当選エリア「リプレイ1」~当選エリア「リプレイ3」のいずれかに当選する確率が8982/65536(約1/7.3)となっている。
【0173】
また、
図3に示したように、AT制御手段200は、非RT状態において当選エリア「RBB」に当選した場合と、非RT状態又はボーナス成立状態において当選エリア「リプレイ2」に当選した場合と、に有利区間抽選を実行する。上述したように、当選エリア「リプレイ1」は、非RT状態と、ボーナス成立状態と、で、当選確率が異なるリプレイ(再遊技確率が変動するくじ)であることから、AT制御手段200は、当選エリア「リプレイ1」に当選した場合に、遊技状態によって当選エリアごとに一対一で予め定められた処理を実行できない(当選エリア「リプレイ1」の当選確率が遊技状態によって変動することから、当選エリア「リプレイ1」の当選に基づき有利区間抽選を実行する構成になると、当選エリア「リプレイ1」に当選し有利区間に移行する確率も変動し一対一ではなくなってしまうため)ことから、遊技の公正を維持するために、有利区間抽選を実行しない構成となっている。
【0174】
そして、AT制御手段200は、有利区間が開始されている場合において、非RT状態において当選エリア「RBB」に当選した場合と、非RT状態又はボーナス成立状態において当選エリア「リプレイ1」に当選した場合と、非RT状態又はボーナス成立状態において当選エリア「リプレイ2」に当選した場合と、のいずれの場合においても、演出状態に応じた指示機能に係る抽選を実行可能に構成されている。また、AT制御手段200は、有利区間が開始されている場合において、非RT状態又はボーナス成立状態において当選エリア「リプレイ1」に当選した場合と、非RT状態又はボーナス成立状態において当選エリア「リプレイ2」に当選した場合と、のいずれの場合においても、演出状態に応じた指示機能に係る抽選として、同一の抽選を実行するように構成されている。
【0175】
換言すると、第1の実施形態のスロットマシン1は、通常区間及び有利区間を制御し、前記有利区間において補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段と、を備え、複数種類の当選態様として、第1当選態様と、第2当選態様と、第3当選態様と、を有し、第1当選態様は、ボーナスが単独で当選し、第2当選態様と、第3当選態様と、には、特定リプレイが含まれ、第2当選態様に当選した場合と、第3当選態様に当選した場合と、のいずれの場合にも、特定リプレイが入賞し、遊技状態として、通常遊技状態と、通常遊技状態においてボーナスが当選することで移行するボーナス成立状態と、ボーナスが入賞することで移行するボーナス状態と、を有し、ボーナス成立状態における内部抽選で用いられる内部抽選テーブルでは、通常遊技状態における内部抽選で用いられる内部抽選において第1当選態様に対応付けられた抽選値数が第2当選態様に対応付けられ、補助遊技制御手段は、通常区間において、内部抽選で第1当選態様に当選した場合と、内部抽選で第3当選態様に当選した場合と、に、有利区間に移行するか否かを決定する有利区間抽選を実行し、補助遊技制御手段は、通常区間において、内部抽選で第3当選態様に当選した場合に、有利区間抽選を実行せず、補助遊技制御手段は、有利区間において、内部抽選で第1当選態様に当選した場合と、内部抽選で第2当選態様に当選した場合と、内部抽選で第3当選態様に当選した場合と、のいずれの場合にも、当選したことに基づく指示機能に係る抽選を実行可能であり、補助遊技制御手段は、内部抽選で第2当選態様に当選したことに基づく指示機能に係る抽選と、内部抽選で第3当選態様に当選したことに基づく指示機能に係る抽選と、で、共通の抽選を実行可能である。
【0176】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、有利区間抽選については、当選エリア「RBB」に当選した場合と、当選エリア「リプレイ2」に当選した場合には実行し、非RT状態とボーナス成立状態とでリプレイの当選確率が変動する当選エリアである当選エリア「リプレイ1」に当選した場合には実行しないため、当選エリア「RBB」及び当選エリア「リプレイ2」と、当選エリア「リプレイ1」と、で有利区間の開始に係る制御内容に差を有する構成であるものの、有利区間が開始された場合には、当選エリア「RBB」、当選エリア「リプレイ1」、当選エリア「リプレイ2」のいずれに当選した場合にも、指示機能に係る抽選を実行可能であるとともに、有利区間への移行に係る制御において遊技の公正を維持することに伴う制約がある当選エリア「リプレイ1」に当選した場合と、当選エリア「リプレイ2」に当選した場合と、の、リプレイAが入賞する当選エリアに当選したことに基づく指示機能に係る抽選においては、共通の抽選を実行可能であるため、遊技の公正を維持することに伴う制約によって遊技者に損失感を与えることを防ぐことができる。
【0177】
この、AT制御手段200が、第1の実施形態における補助遊技制御手段を構成し、当選エリア「RBB」が、第1の実施形態における第1当選態様を構成し、当選エリア「リプレイ1」が、第1の実施形態における第2当選態様を構成し、当選エリア「リプレイ2」が、第1の実施形態における第3当選態様を構成し、リプレイAが、第1の実施形態における特定リプレイを構成する。また、非RT状態が、通常遊技状態を構成する。
【0178】
4.小役を含む当選エリアの当選時における停止制御の詳細
上述したように、第1の実施形態のリール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、ロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させた際に有効ラインL1上に表示する図柄を決定する。
【0179】
ロジック演算処理では、役ごとに定められた優先順位データに従ってストップボタンの押下操作を検出した時点におけるリールの位置である押下検出位置から0コマ~4コマの範囲内に存在する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。ここで、リール制御手段130は、リールユニット310に設けられたフォトセンサが各リールに設けられたリール位置検出部を検出した場合に出力されるリールが1回転したことを示す情報であるリールインデックスと、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度(ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数から算出)を用いて、ストップスイッチ240からリール停止信号を受信した時点におけるリールの回転状態を取得する。そして、各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。
【0180】
ロジック演算処理では、2種類以上の役に関する抽選フラグが当選状態に設定されている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補を、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。
【0181】
また、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合におけるロジック演算処理における停止位置の候補の優先度の求め方は、上述したように、個数優先制御と、枚数優先制御と、が存在する。メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める枚数優先制御においては、有効ラインL1上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置、すなわち配当が多い小役を入賞させることができる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。
【0182】
ここで、枚数優先制御においては、配当が同一の小役が重複して当選した場合に、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0183】
このような構成であることから、第1の実施形態のリール制御手段130は、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが重複当選する当選エリア「共通ベル」に内部抽選で当選した場合に、枚数優先制御においてベルA~ベルDのそれぞれを入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一となり、優先順位に差がつかないことから、リール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを用いた停止制御を実行する。
【0184】
リール制御手段130は、当選エリア「共通ベル」に当選した場合に、予めリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルであり、ベルAの入賞図柄組合せを構成する図柄を停止させるように設定された特定停止制御テーブル194aを用いた停止制御を実行することで、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずベルAの入賞図柄組合せを構成する図柄を有効ラインL1上に停止表示させる。
【0185】
また、
図3に示したように、スロットマシン1では、ボーナス状態において当選可能となる当選エリア「全小役」においても、ベルA~ベルDが重複当選するため、枚数優先制御においてベルA~ベルDのそれぞれを入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一となり、優先順位に差がつかない構成となっている。
【0186】
上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」に当選し、且つ当選エリア「RBB」に当選した遊技においてRBBを入賞させた場合に限り、遊技状態がボーナス状態に移行する構成となっており、当選エリア「RBB」に当選した遊技においてRBBを入賞させられなかった場合には、遊技状態がボーナス成立状態に移行する構成となっている。
【0187】
また、スロットマシン1では、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序として、ボーナスに優先して小役を停止させるように構成されており、当選エリア「RBB&1枚役」に当選した場合には、1枚役A~1枚役Cのいずれかを入賞可能にする停止制御が実行され、RBBが入賞しない構成となっているため、非RT状態において当選エリア「RBB&1枚役」に当選した場合には、遊技状態がボーナス成立状態に移行する構成となっている。
【0188】
そして、スロットマシン1では、ボーナス成立状態における内部抽選において、小役又はリプレイを含む当選エリアに確実に当選するとともに、小役が入賞しない場合には、取りこぼし(非入賞)となり、ボーナスが入賞することがないリール停止制御が実行される構成となっている。
【0189】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1は、一度ボーナス成立状態に移行すると、以降の遊技においては、初期化が実行されて非RT状態に移行するまでボーナス状態に移行することがない構成となっている。また、スロットマシン1は、当選エリア「RBB」に当選する確率も4/65536(1/16394)と低確率であるため、非RT状態からボーナス状態に移行する確率も極めて低い確率に構成されている。
【0190】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において当選可能となる当選エリア「全小役」に当選する機会が極めて限定されている。
【0191】
上述したように、スロットマシン1は、ベルA~ベルDが重複当選する当選エリア「全小役」に当選した場合に、枚数優先制御においてベルA~ベルDのそれぞれを入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一となり、優先順位に差がつかないことから、停止制御テーブルを用いた停止制御を行う構成となっている。
【0192】
このため、スロットマシン1では、仮に、当選する機会が極めて限定されている当選エリア「全小役」に当選した場合のためだけに使用する停止制御テーブルを予めリール制御データ記憶手段194に記憶させる構成にすると、使用する機会が限られた停止制御テーブルのためにデータ容量が圧迫される構成となってしまう。
【0193】
これらより、第1の実施形態のリール制御手段130は、当選エリア「全小役」に当選した場合に、当選エリア「共通ベル」に当選した場合に用いられる特定停止制御テーブル194aを用いた停止制御を実行することで、当選エリア「共通ベル」に当選した場合と同様に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずベルAが入賞する停止制御を実行するように構成されている。
【0194】
この構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、当選する機会が極めて限定され、且つ予めリール制御データ記憶手段194に記憶された停止制御テーブルを用いたリール停止制御が実行される当選エリア「全小役」に当選した場合に用いられる停止制御テーブルを、当選エリア「共通ベル」に当選した場合に用いられる特定停止制御テーブル194aと共通化することで、当選エリア「全小役」のための停止制御テーブルを別個設ける必要がなくなり、記憶手段190に記憶されるデータのデータ容量を軽減することができる。
【0195】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態に限り当選可能なため、当選する機会が極めて限定的な当選エリア「全小役」の当選時に用いられる停止制御テーブルを、当選エリア「共通ベル」と共通化することで、入賞可能となる小役がベルAに偏ることの影響を限定的にすることができ、データ容量の軽減に伴う遊技性への影響を抑制することができる。
【0196】
この、非RT状態及びボーナス成立状態が、第1の実施形態における第1遊技状態を構成し、ボーナス状態が、第1の実施形態における第2遊技状態を構成し、特定小役としてのベルAに当選する当選エリア「共通ベル」が、第1の実施形態における第1小役当選態様を構成し、ベルAを含むすべての小役に当選する当選エリア「全小役」が、第1の実施形態における第2小役当選態様を構成し、特定停止制御テーブル194aが、第1の実施形態における特定停止制御データを構成する。
【0197】
5.AT準備状態における遊技性の詳細
次に、AT準備状態における遊技性の詳細について、
図5~
図7を用いて説明する。
【0198】
<打順当選態様の当選時において打順ごとに入賞可能になる小役>
図5は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」(小役打順当選態様)と、当選エリア「リプレイ3」と、のストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる小役が異なる当選エリア(打順当選態様)に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順によって入賞可能となる役について示す図である。
【0199】
図5に示すように、スロットマシン1では、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に8枚の配当に設定されたベルA~ベルDを入賞可能にする打順(正解打順)が各当選エリアに設定されており、それぞれ打順3~打順6、つまりストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順に設定されている。
【0200】
当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」は、正解打順とは異なる打順(不正解打順)のうち、ストップボタンB1が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞する。また、当選エリア「打順ベル5」~当選エリア「打順ベル8」は、不正解打順のうち、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/1の確率で1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞する。
【0201】
また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル4」は、不正解打順のうち、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、第1停止操作の時点で入賞可能となる小役がそれぞれ1枚の配当に設定された1枚役Bと1枚役Cとに限定され、第2停止操作の時点で入賞可能となる小役が1枚役Bと1枚役Cとのいずれか一方に限定され、第3停止操作において入賞可能となっている小役を入賞可能にする押下タイミング(20コマ中10コマの図柄が有効ラインL1上に回転表示されているタイミングで且つ1枚役Bと1枚役Cとで重複しないタイミング)でストップボタンが操作された場合に、入賞可能となっている小役が入賞し、第3停止操作において入賞可能となっている小役を入賞できない押下タイミングでストップボタンが操作された場合には、いずれの役の入賞形態とも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示される取りこぼしとなる。
【0202】
当選エリア「リプレイ3」は、リプレイCを入賞可能にする打順が打順1、打順2、つまりストップボタンB1が第1停止操作される打順に設定され、打順3~打順6のストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、リプレイAが1/1の確率で入賞するように構成されている。
【0203】
上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1は、操作態様の報知が実行されない場合においては、打順1、打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作する遊技が推奨される構成となっている。また、AT制御手段200は、有利区間における内部抽選で当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様を報知しないと決定した場合に、当該遊技が実行されている演出状態に応じた指示機能に係る抽選を実行し、遊技者にとって有利な指示機能に係る制御を実行可能な構成となっている。
【0204】
つまり、第1の実施形態のスロットマシン1では、当選エリア「リプレイ3」に当選し、且つリプレイ報知抽選において操作態様の報知が実行されない場合に、遊技者にとって有利な指示機能に係る制御を実行可能であるとともに、操作態様の報知が実行されないことに基づき推奨される遊技方法である打順1又は打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで、リプレイCが入賞する構成となっている。
【0205】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、リプレイCの入賞によって遊技者にとって有利な指示機能に係る制御が実行される可能性があることを示唆することができるとともに、当選エリア「リプレイ3」の当選時におけるリプレイCの入賞確率をリプレイ報知抽選における操作報知の確率によって変更することができるため、演出状態に応じてリプレイCの入賞確率を変更することで遊技者にとって有利な指示機能に係る制御が実行された可能性があることを示唆する頻度を演出状態ごとに設定でき、演出状態に応じて設定されたリプレイCの入賞を用いた遊技性によって遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0206】
<AT準備状態における制御>
図6は、第1の実施形態のAT制御手段200がAT準備状態において実行する指示機能に係る制御であるAT準備状態処理を示すフローチャートである。
【0207】
図6に示すように、AT制御手段200は、まず、AT準備状態において1回の遊技が実行されることから、AT準備状態カウンタ197cに値「1」を加算する(S1)。次に、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選したか否かを判定する(S2)。この処理において、AT制御手段200は、内部抽選の結果が、入賞補助を用いたAT状態への移行に係る制御を実行する契機となる当選エリアである当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」であるか否かを判定する。
【0208】
ステップS2の処理において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選したと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、入賞補助抽選を実行する(S3)。この処理において、AT制御手段200は、「通常入賞補助の実行」、「AT移行入賞補助の実行」、「不当選(ハズレ)」のいずれかに決定する抽選を行う。
【0209】
次に、AT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選したか否かを判定する(S4)。この処理において、「AT移行入賞補助の実行」に当選したと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT移行入賞補助の実行回数を1加算する(S5)。ステップS5の処理において、AT制御手段200は、今回の遊技において、AT移行入賞補助が実行されることから、AT入賞補助実行回数カウンタ197dに1回に相当する値「1」を加算する。
【0210】
次に、AT制御手段200は、第1停止操作がAT移行入賞補助に従っているか否かを判定する(S6)。この処理において、AT制御手段200は、AT移行入賞補助において第1停止操作することが示唆されていないストップボタンB1が第1停止操作されたか否かを判定することで、AT移行入賞補助に従った第1停止操作が実行されたか否かを判定する。
【0211】
ステップS6の処理において、ストップボタンB1が第1停止操作されていない、つまり、AT移行入賞補助に従ってストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作されたと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、ATポイントカウンタ197eに値「10」を加算する(S7)。この処理において、AT制御手段200は、AT移行入賞補助に従った遊技が実行されたことから、ATポイントカウンタ197eに10ポイントに相当する値「10」を加算する。
【0212】
次に、AT制御手段200は、第1停止操作が正解打順と一致したか否かを判定する(S8)この処理において、AT制御手段200は、第1停止操作が正解打順と一致したか否かを判定することで、AT開始条件が成立したか否かを判定している。
【0213】
ステップS2の処理において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選していないと判定した場合(NO)、ステップS4の処理において、「AT移行入賞補助の実行」に当選していないと判定した場合(NO)、ステップS6の処理において、第1停止操作がAT移行入賞補助に従っていないと判定した場合(NO)又はステップS8の処理において、第1停止操作が正解打順と一致していないと判定した場合には(NO)、AT制御手段200は、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」であるか否かを判定する(S9)。この処理において、AT制御手段200は、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行されることでAT開始条件が成立したか否かを判定し、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」ではないと判定した場合には(NO)、演出状態をAT準備状態に維持したままAT準備状態処理を終了する。
【0214】
ステップS8の処理において、第1停止操作が正解打順と一致したと判定した場合(YES)又はステップS9の処理において、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT開始条件が成立したと判定し、演出状態をAT状態に移行し(S10)、AT準備状態処理を終了する。
【0215】
<AT移行入賞補助の詳細>
図7は、AT移行入賞補助が実行される場合における表示装置330の表示態様と主制御表示装置DSの表示態様とを示す図である。
図7に示すように、スロットマシン1では、「AT準備中」と表示することでAT準備状態であることを示す状態表示331aと、第1停止操作がストップボタンB1ではないことを示す不操作指示指標331bと、第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3であることを示す第1停止操作示唆指標331cと、第1停止操作が正解打順と一致した場合、つまり、ストップボタンB2とストップボタンB3の2択のうちいずれか一方の正解のストップボタンを操作した場合にAT状態が開始されることを示すAT開始条件表示331dと、が表示される。そして、主制御表示装置DSには、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順が正解打順であることを示す正解操作報知として、正解打順を特定する表示とは異なる固有の表示(第1の実施形態では「07」)がなされる。
【0216】
このように、スロットマシン1では、不操作指示指標331b及び第1停止操作示唆指標331cのナビ演出と、「07」の正解打順報知と、のAT移行入賞補助で示唆される操作態様について、ストップボタンB1が最初に操作される操作態様が含まれない構成となっている。
【0217】
不操作指示指標331b及び第1停止操作示唆指標331cのナビ演出と、「07」の正解打順報知と、の入賞補助が実行されることにより、スロットマシン1では、入賞補助に沿った遊技が実行される場合には、ストップボタンB2又はストップボタンB3が操作される遊技が実行され、入賞補助に沿わない遊技が実行される場合には、ストップボタンB1が操作される遊技が実行される。
【0218】
図5に示したように、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の正解打順は、それぞれ打順3~打順6のうちいずれか1つに設定されており、正解打順と一致する第1停止操作するストップボタンについても、ストップボタンB2又はストップボタンB3のいずれか一方となるように構成されている。
【0219】
このような構成であることから、スロットマシン1では、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に沿った遊技が実行された場合に、1/2の確率でAT状態が開始され、1/2の確率でAT準備状態が継続する。
【0220】
また、
図5に示したように、第1の実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した状態において、ストップボタンB1が第1停止操作された場合には、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞せずに1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞する構成であり、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作された場合には、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞可能となる構成であることから、ストップボタンB1が第1停止操作される操作態様の出玉率が、ストップボタンB1とは異なるストップボタン(ストップボタンB2、ストップボタンB3)が第1停止操作される操作態様の出玉率よりも低い比率となるように構成されている。
【0221】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態において当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、入賞補助に沿った遊技を実行することで遊技者にとって不利とならないような入賞補助として、第1停止操作としてストップボタンB2又はストップボタンB3を操作することを示唆するAT移行入賞補助を実行することで、多様な遊技性を実現するために遊技者の操作態様に基づき特典となるAT状態の開始の有無を決定する仕様でありながら、遊技者にとって不利とならない制御であるAT移行入賞補助によって遊技の公正を維持することができる。
【0222】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に沿った遊技が実行された場合に、1/2の確率でAT準備状態が継続するものの、AT移行入賞補助に沿った遊技が実行された時点でATポイントを付与する構成となっている。上述したように、スロットマシン1では、付与されたATポイントが100ポイント以上になった場合に、AT準備状態から移行するAT状態において、遊技者にとって有利な指示機能に係る特典を付与される構成となっている。
【0223】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助を実行し、且つ遊技者がAT移行入賞補助に沿った遊技を実行したにも関わらず第1停止操作が正解打順と一致しないことでAT状態に移行しなかった場合でも、付与されたポイントが100ポイント以上になることでAT状態に移行した際に技者にとって有利な指示機能に係る特典が付与されるATポイントの付与に係る処理を実行することで、指示機能に係る制御としてAT移行入賞補助によって多様な遊技性を実現できるとともに、遊技者の損失感を低減し、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0224】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に従わない遊技が実行された場合に、ATポイントを付与しない構成となっている。
【0225】
換言すると、第1の実施形態のスロットマシン1は、特定操作報知が実行され、且つ特定操作報知で示唆されない操作態様で操作された場合には、第2特典を付与しない。
【0226】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助を実行し、且つ遊技者がAT移行入賞補助に従わない遊技を実行した場合には、付与されたポイントが100ポイント以上になることでAT状態に移行した際に技者にとって有利な指示機能に係る特典が付与されるATポイントの付与に係る処理を実行しないことで、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防止し遊技機の商品性の低下を防ぐことができる。
【0227】
この、左リールR1が、第1の実施形態における第1リールを構成し、中リールR2が、第1の実施形態における第2リールを構成し、右リールR3が、第1の実施形態における第3リールを構成する。また、ストップボタンB1が、第1の実施形態における第1ストップボタンを構成し、ストップボタンB2が、第1の実施形態における第2ストップボタンを構成し、ストップボタンB3が、第1の実施形態における第3ストップボタンを構成する。また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」が、第1の実施形態における特定当選態様を構成し、ベルA~ベルDが、第1の実施形態における第1役を構成し、1枚役A~1枚役Cが、第1の実施形態における第2役を構成し、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDを入賞可能にする正解打順が、第1の実施形態における特定操作態様を構成する。また、AT移行入賞補助を実行するAT制御手段200及び演出制御手段180が、第1の実施形態における入賞補助制御手段及び操作報知手段を構成する。
【0228】
また、AT移行入賞補助が、第1の実施形態における特定操作報知を構成する。また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に設定された正解打順と第1停止操作が一致する操作態様が、第1の実施形態におけるAT移行入賞補助で示唆される第1操作態様を構成し、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に設定された正解打順と第1停止操作が一致せず、且つストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される操作態様が、第1の実施形態におけるAT移行入賞補助で示唆される第2操作態様を構成する。また、第1操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで移行されるAT状態が、第1の実施形態に係る指示機能に係る第1特定特典であり、指示機能に係る第2特定特典よりも有利な第1特定特典を構成し、第2操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで付与されるATポイントが、第1の実施形態に係る指示機能に係る第2特定特典を構成する。
【0229】
6.第1の実施形態のまとめ
以上のように、第1の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助を実行し、且つ遊技者がAT移行入賞補助に沿った遊技を実行したにも関わらず第1停止操作が正解打順と一致しないことでAT状態に移行しなかった場合でも、付与されたポイントが100ポイント以上になることでAT状態に移行した際に技者にとって有利な指示機能に係る特典が付与されるATポイントの付与に係る処理を実行することで、指示機能に係る制御としてAT移行入賞補助によって多様な遊技性を実現できるとともに、遊技者の損失感を低減し、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0230】
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態を一部変更した第2の実施形態のスロットマシン1について説明する。第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態において実行される指示機能に係る制御の構成が、第1の実施形態とは異なるように構成されている。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0231】
1.第2の実施形態における遊技機が備える構成
AT準備状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時において、ベルA~ベルDの入賞補助を実行するか否かが抽選によって決定されるため、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選時にベルA~ベルDの入賞補助が実行されない通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。第2の実施形態のAT制御手段200は、遊技状態がボーナス成立状態で且つ演出状態がAT準備状態である状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、通常入賞補助と、特定入賞補助としてのAT移行入賞補助と、のいずれかを実行可能に構成されており、入賞補助抽選を実行して、「通常入賞補助の実行」、「AT移行入賞補助の実行」、「不当選(ハズレ)」のいずれかに決定する。
【0232】
この構成により、第2の実施形態のAT準備状態は、第1の実施形態のAT準備状態と同様に、通常入賞補助とAT移行入賞補助とに従った遊技が実行されることで、所定回数の遊技が実行される場合におけるメダルの総投入数に対する総払出数の比率である出玉率が60%を下回らないとともに、出玉率が100%を超えないように設計されている。
【0233】
AT制御手段200は、AT準備状態において、AT制御データ記憶手段197のAT準備状態カウンタ197cの記憶値に、遊技が実行される都度1ゲームに相当する値「1」を加算するインクリメント更新を実行する。
【0234】
第2の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に従った操作態様であった場合と、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行されAT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になった場合と、に、AT開始条件が成立したと判定する。AT制御手段200は、演出状態をAT準備状態からAT状態に移行し、AT状態を開始する条件(AT開始条件)が成立するまで、AT準備状態を継続するように構成されている。
【0235】
AT移行入賞補助は、第1の実施形態と同様に、第1停止操作がストップボタンB1ではないことと、第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3であることと、がAT制御手段200と演出制御手段180とによって示唆される入賞補助である。つまり、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つ第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3であった場合、第1停止操作が正解打順と一致していない場合であっても、AT開始条件が成立したと判定する。
【0236】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が実行された場合であっても、遊技者にとって有利な特典であるAT状態に移行することがなく、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防止し遊技機の商品性の低下を防ぐことができるとともに、誤ってAT移行入賞補助で示唆された操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になっていなければAT準備状態を継続することで遊技者の遊技に対する興趣が低下することも防ぐことができる。
【0237】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選した場合に、AT制御データ記憶手段197のAT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値に値「1」を加算するインクリメント更新を実行する。AT制御手段200は、AT準備状態で入賞補助抽選を実行する場合に、AT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値に応じた抽選テーブルを取得する。入賞補助抽選において用いられる抽選テーブルは、AT入賞補助実行回数カウンタ197dの記憶値が大きい値になるほど、「AT移行入賞補助の実行」の当選確率が高くなるように構成されている。
【0238】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、且つ第1停止操作がストップボタンB1に実行されAT準備状態が継続してしまう場合に、AT準備状態が継続する期間が延びるほどAT移行入賞補助が実行される頻度が高くなり、AT準備状態からAT状態に移行できる確率が高くなるため、AT移行入賞補助で示唆された操作態様に従わない遊技を遊技者が継続するほどAT移行入賞補助が実行される頻度が高くなり、AT移行入賞補助で示唆された操作態様に従った遊技を行い速やかにAT状態に移行することを遊技者に促すことができる。
【0239】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選し、且つ第1停止操作がAT移行入賞補助に従った操作態様であった場合に、AT準備状態から移行するAT状態において実行可能な遊技回数を10ゲーム加算(上乗せ)する開始時上乗せ処理を実行する。
【0240】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、入賞補助抽選において「AT移行入賞補助の実行」に当選し、且つストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致した場合に、AT中CZ状態に移行するか否かを決定するAT中CZ抽選を実行する。AT制御手段200は、AT中CZ抽選において「AT中CZ状態への移行」に当選した場合に、AT準備状態から移行するAT状態において、所定の遊技回数(例えば、5ゲーム)の遊技が実行された後に、演出状態をAT状態からAT中CZ状態に移行する。
【0241】
上述したように、AT移行入賞補助は、第1停止操作で操作するストップボタンがストップボタンB1ではないことを示唆する報知態様であることから、第1停止操作が正解打順と一致する操作態様と、第1停止操作が正解打順と一致しない操作態様と、が含まれる入賞補助となっている。また、AT移行入賞補助では、第2停止操作以降の操作態様については報知されないことから、第1停止操作が正解打順と一致した場合であっても、第2停止操作において正解打順と一致しない操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作される可能性がある構成となっている。
【0242】
このような構成であることから、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT準備状態においてAT移行入賞補助を実行し、且つストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致した場合に、遊技者にとって有利な指示機能に係る特典としてAT中CZ状態へ移行可能にするAT中CZ抽選を実行する。
【0243】
この構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態において、正解打順と一致する第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3であることを示唆し、第2停止操作以降については示唆しないAT移行入賞補助が実行され、且つ正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、遊技者にとって有利な指示機能に係る特典としてAT中CZ抽選を実行するため、正解打順と一致した操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作できた遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0244】
2.AT準備状態における遊技性の詳細
次に、第2の実施形態のスロットマシン1におけるAT準備状態での遊技性の詳細について説明する。
【0245】
<AT準備状態における制御>
図8は、第2の実施形態のAT制御手段200がAT準備状態において実行する指示機能に係る制御であるAT準備状態処理を示すフローチャートである。
【0246】
なお、第2の実施形態のスロットマシン1において実行されるAT準備状態処理と、第1の実施形態のスロットマシン1において実行されるAT準備状態処理と、で略同様に実行される処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0247】
ステップS6の処理において、ストップボタンB1が第1停止操作されていない、つまり、AT移行入賞補助に従ってストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作されたと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致したか否かを判定する(S21)。この処理において、AT制御手段200は、第1停止操作~第3停止操作のすべての停止操作が、当選している当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に設定された正解打順と一致したか否かを判定する。
【0248】
ステップS21の処理において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致したと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT中CZ抽選を実行する(S22)。次に、AT制御手段200は、AT中CZ抽選において「AT中CZ状態への移行」に当選したか否かを判定する(S23)。この処理において、「AT中CZ状態への移行」に当選したと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT中CZ状態への移行を決定する(S24)。この処理において、AT制御手段200は、AT中CZ抽選において「AT中CZ状態への移行」に当選したことから、AT状態に移行し、移行したAT状態において、所定の遊技回数(例えば、5ゲーム)の遊技が実行された後に、演出状態をAT状態からAT中CZ状態に移行する。
【0249】
ステップS2の処理において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選していないと判定した場合(NO)、ステップS4の処理において、「AT移行入賞補助の実行」に当選していないと判定した場合(NO)又はステップS6の処理において、第1停止操作がAT移行入賞補助に従っていないと判定した場合には(NO)、AT制御手段200は、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」であるか否かを判定する(S9)。この処理において、AT制御手段200は、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行されることでAT開始条件が成立したか否かを判定し、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」ではないと判定した場合には(NO)、演出状態をAT準備状態に維持したままAT準備状態処理を終了する。
【0250】
ステップS24の処理を実行した後、ステップS21の処理において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致していないと判定した場合(NO)、ステップS23の処理において、「AT中CZ状態への移行」に当選しなかった場合(NO)又はステップS9の処理において、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」であると判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、AT開始条件が成立したと判定し、演出状態をAT状態に移行するためのAT状態移行に係る処理を実行し(S25)、AT準備状態処理を終了する。
【0251】
<AT状態移行に係る処理>
図9は、AT準備状態処理のステップS25の処理において実行されるAT状態移行に係る処理を示すフローチャートである。
【0252】
AT状態移行に係る処理において、まず、AT制御手段200は、CZ状態からAT準備状態に移行していたか否かを判定する(S31)。この処理において、AT制御手段200は、今回のAT準備状態に移行する前の演出状態がCZ状態であったか否かを判定することで、これから移行するAT状態が今回の有利区間における1回目のAT状態であるか否かを判定する。
【0253】
ステップS31の処理において、CZ状態からAT準備状態に移行していたと判定した場合には(YES)、AT制御手段200は、これから移行するAT状態が今回の有利区間における1回目のAT状態であり、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値が値「0」であることから、初期値である値「40」をセットする(S32)。
【0254】
ステップS32の処理を実行した後又はステップS31の処理において、AT状態からAT準備状態に移行していたと判定した場合には(NO)、AT制御手段200は、AT開始条件が成立したことに基づく特典として、ATゲーム数カウンタ197fに値「10」を加算する(S33)。ステップS33の処理を実行した後、AT制御手段200は、演出状態をAT状態に移行し(S34)、AT状態移行に係る処理を終了する。
【0255】
<AT準備状態からAT状態に移行する場合のまとめ>
このように、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助において、第1停止操作がストップボタンB1ではないことを示唆することで、正解打順を含む操作態様を示唆し、AT移行入賞補助に従って第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3に実行された場合に、AT準備状態を終了してAT状態に移行するように構成されている。
【0256】
また、AT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つ第1停止操作がストップボタンB1に実行された場合、AT準備状態が継続する期間の長さを遊技回数で管理するAT準備状態カウンタ197cの記憶値が所定値としての値「1650」に達しない(所定値未満である)場合には、AT準備状態を継続する。
【0257】
そして、AT制御手段200は、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」に達した遊技においては、当該遊技においてAT移行入賞補助を実行し、且つストップボタンB1が第1停止操作された場合であっても、AT準備状態を終了してAT状態に移行するように構成されている。
【0258】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が実行された場合であっても、遊技者にとって有利な特典であるAT状態に移行することがなく、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防止し遊技機の商品性の低下を防ぐことができるとともに、誤ってAT移行入賞補助で示唆された操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になっていなければAT準備状態を継続することで遊技者の遊技に対する興趣が低下することも防ぐことができる。
【0259】
また、スロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が継続した場合にも、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行され、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」に達した場合であれば、AT移行入賞補助でAT状態に移行しないことが示唆されている操作態様であるストップボタンB1を第1停止操作する操作態様で遊技が実行された場合にも、AT準備状態を終了してAT状態に移行するため、有利区間の終了までAT準備状態が継続してしまい遊技機の設計者の意図しない遊技性となってしまい遊技機の商品性が低下することを防ぐことができる。
【0260】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つAT移行入賞補助で示唆される複数の操作態様のうち正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、AT中CZ抽選を実行するように構成されている。AT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つ第1停止操作がストップボタンB1が実行された場合、当該遊技においてAT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」に達し、AT準備状態を終了してAT状態に移行する場合であっても、AT中CZ抽選を実行しないように構成されている。
【0261】
この構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様が実行された場合には、AT状態に移行する場合であっても付与されない指示機能に係る特典であるAT中CZ抽選を実行可能であるとともに、AT移行入賞補助に従わない遊技が実行された場合には、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になることでAT状態に移行する場合であっても、AT中CZ抽選が実行されないため、指示機能に係る制御を用いて多様な遊技性を実現するために設けられたAT移行入賞補助に従った遊技を行う動機を遊技者に与え、遊技者の遊技に対する興趣を向上させることができる。
【0262】
<AT状態に移行する場合における演出の詳細>
図10は、第2の実施形態のスロットマシン1において、AT状態から移行したAT移行状態でAT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に従った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作される遊技が実行された場合を示す図であり、
図10(A)は、AT移行入賞補助が実行される場合における表示装置330の表示態様と主制御表示装置DSの表示態様とを示す図であり、
図10(B)は、AT移行入賞補助に従った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作され、AT状態に移行する場合における表示装置330の表示態様を示す図である。
【0263】
図10(A)に示すように、スロットマシン1では、「AT準備中」と表示することでAT準備状態であることを示す状態表示331aと、第1停止操作がストップボタンB1ではないことを示す不操作指示指標331bと、第1停止操作がストップボタンB2又はストップボタンB3であることを示す第1停止操作示唆指標331cと、AT移行入賞補助に従った第1停止操作を実行した場合、つまり、ストップボタンB2又はストップボタンB3を操作した場合にAT状態が開始されることを示すAT開始条件表示331eと、が表示される。そして、主制御表示装置DSには、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される打順が正解打順であることを示す正解操作報知として、正解打順を特定する表示とは異なる固有の表示(第2の実施形態では「07」)がなされる。
【0264】
このように、スロットマシン1では、不操作指示指標331b及び第1停止操作示唆指標331cのナビ演出と、「07」の正解打順報知と、のAT移行入賞補助で報知される操作態様について、ストップボタンB1が最初に操作される操作態様が含まれない構成となっている。
【0265】
不操作指示指標331b及び第1停止操作示唆指標331cのナビ演出と、「07」の正解打順報知と、の入賞補助が実行されることにより、スロットマシン1では、入賞補助に沿った遊技が実行される場合には、ストップボタンB2又はストップボタンB3が操作される遊技が実行され、入賞補助に沿わない遊技が実行される場合には、ストップボタンB1が操作される遊技が実行される。
【0266】
上述したように、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に従いストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作された場合に、第1停止操作が当該遊技において当選している当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の正解打順に設定されている第1停止操作と異なる停止操作である場合であっても、AT状態が開始されるように構成されている。
【0267】
このような構成であることから、スロットマシン1では、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に沿った遊技が実行された場合に、1/1の確率でAT状態が開始される。
【0268】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した状態において、ストップボタンB1が第1停止操作された場合には、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞せずに1枚の配当に設定された1枚役Aが入賞する構成であり、ストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作された場合には、8枚の配当に設定されたベルA~ベルDが入賞可能となる構成であることから、ストップボタンB1が第1停止操作される操作態様の出玉率が、ストップボタンB1とは異なるストップボタン(ストップボタンB2、ストップボタンB3)が第1停止操作される操作態様の出玉率よりも低い比率となるように構成されている。
【0269】
このような構成であることから、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態において当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、入賞補助に沿った遊技を実行することで遊技者にとって不利とならないような入賞補助として、第1停止操作としてストップボタンB2又はストップボタンB3を操作することを示唆するAT移行入賞補助を実行することで、多様な遊技性を実現するために遊技者の操作態様に基づき特典となるAT状態の開始の有無を決定する仕様でありながら、遊技者にとって不利とならない制御であるAT移行入賞補助によって遊技の公正を維持することができる。
【0270】
図10(B)に示すように、スロットマシン1では、「AT開始!」と表示することでAT準備状態が終了しAT状態が開始されることを示す状態表示331fと、「+10G!」と表示することでAT状態が開始される際に10ゲームの上乗せが実行されることが決定されたことを報知する上乗せ表示331gと、が表示される。
【0271】
図11は、第2の実施形態のスロットマシン1において、CZ状態から移行したAT移行状態でAT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に従った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作される遊技が実行された場合を示す図であり、
図11(A)は、AT移行入賞補助が実行される場合における表示装置330の表示態様と主制御表示装置DSの表示態様とを示す図であり、
図11(B)は、AT移行入賞補助に従った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作され、AT状態に移行する場合における表示装置330の表示態様を示す図である。なお、
図11(A)に示す内容は、
図10(A)に示した内容と略同様であることから、具体的な説明を省略する。
【0272】
図11(B)に示すように、スロットマシン1では、「AT開始!」と表示することでAT準備状態が終了しAT状態が開始されることを示す状態表示331fと、「+50G!」と表示することでAT状態が開始される際に、初期ゲーム数として、初期値としてセットされる40ゲームと、上乗せされる10ゲームと、の付与が決定されたことをまとめて報知する上乗せ表示331hと、が表示される。
【0273】
上述したように、第2の実施形態のAT制御手段200は、CZ状態から移行したAT準備状態において、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に従った操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、AT準備状態からAT状態に移行する。この時、AT制御手段200は、
図9で示したように、ステップS32の処理でATゲーム数カウンタ197fに値「40」をセットし、次にステップS33の処理でATゲーム数カウンタ197fに値「10」を加算するように構成されている。
【0274】
換言すると、第2の実施形態のスロットマシン1では、CZ状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行する場合に、AT制御手段200によるAT状態移行に係る処理ステップS32、ステップS33の処理が実行されることにより、ATゲーム数カウンタ197fが値「50」になってAT状態が開始される構成となっている。
【0275】
このような構成であることから、第2の実施形態の演出制御手段180は、AT制御手段200によってATゲーム数カウンタ197fの記憶値に値「40」がセットされた後に値「10」が加算される構成であるものの、最終的な結果である値「50」になったことを報知する上乗せ表示331hを実行する構成となっている。
【0276】
このように、第2の実施形態のスロットマシン1では、AT状態から移行したAT準備状態が終了し、AT状態に移行する場合には、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値に値「10」が加算(上乗せ)されることを上乗せ表示331gを表示装置330に表示することで報知し、CZ状態からAT準備状態が終了し、AT状態に移行する場合には、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値が値「40」がセットされた後に値「10」が加算(上乗せ)された結果である値「50」となった、つまり、初期値としての値「40」と、上乗せされた値「10」と、をまとめたゲーム数である値「50」が付与されることを上乗せ表示331hを表示装置330に表示することで報知する構成となっている。
【0277】
この構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT状態が開始されることに際しAT制御手段200によってATゲーム数カウンタ197fに複数回値が加算される場合であっても、最終的な結果を表示装置330に表示するため、表示装置330に表示される報知態様が煩雑になることを防ぎ、表示される報知態様によって遊技者に不快感を与える虞を低減し、遊技者の遊技に対する興趣が低下することを防ぐことができる。
【0278】
また、第2の実施形態のスロットマシン1では、AT状態から移行したAT準備状態が終了し、AT状態に移行する場合には、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値に値「10」が加算(上乗せ)されることを上乗せ表示331gを表示装置330に表示することで報知し、CZ状態からAT準備状態が終了し、AT状態に移行する場合には、ATゲーム数カウンタ197fの記憶値が値「40」がセットされた後に値「10」が加算(上乗せ)された結果である値「50」となった、つまり、初期値としての値「40」がセットされた後に、AT状態に移行することに基づき付与された値「10」の上乗せを報知しない構成となっている。
【0279】
この構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合と、CZ状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合と、のいずれの場合においても10ゲームの上乗せが実行される構成であるものの、CZ状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合には、AT準備状態になる前にAT状態が開始されておらず今回の有利区間における1回目のAT状態、いわゆる初当たりとなるAT状態が開始されるため、AT状態が開始される以前に初期値となる値「40」がATゲーム数カウンタ197fにセットされた後に値「10」が上乗せされるような表示態様で報知してしまうと、AT状態の初期ゲーム数が分かりにくくなることから、値「10」が上乗せされたこと自体については報知しないことで、表示装置330に表示される報知態様が煩雑になることを防ぎ、表示される報知態様によって遊技者に不快感を与える虞を低減し、遊技者の遊技に対する興趣が低下することを防ぐことができる。
【0280】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT準備状態からAT状態に移行する場合において、
図9に示したAT状態移行に係る処理を実行して、演出状態をAT状態に移行する。
図8、
図9に示したように、AT制御手段200は、AT状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行する場合と、CZ状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行する場合と、で、共通のAT状態移行に係る処理を実行するように構成されており、AT状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行する場合と、CZ状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行する場合と、のいずれの場合においても、ATゲーム数カウンタ197fに値「10」を加算(上乗せ)するステップS33の処理を実行するように構成されている。
【0281】
換言すると、第2の実施形態のスロットマシン1は、第1状況から移行した特定状態において第1特典を付与する場合と、第2状況から移行した特定状態において第1特典を付与する場合と、で、共通の第1特典付与処理を実行可能である。
【0282】
この構成により、第2の実施形態のAT制御手段200は、CZ状態から移行したAT準備状態が終了して今回の有利区間における1回目のAT状態、いわゆる初当たりとなるAT状態が開始される場合と、AT状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が再開される場合と、で、共通のAT状態移行に係る処理におけるステップS33の処理を実行するため、プログラムのデータ容量を増加させることなくAT準備状態が開始された状況によらずAT状態における10ゲームの上乗せを付与できるとともに、AT準備状態が開始された状況によって異なる報知態様でAT状態の開始に伴い実行された特典の付与に係る報知を実行でき、遊技者の演出に対する興趣が向上させることができる。
【0283】
この、上乗せ表示331g,331hを実行する演出制御手段180が、第2の実施形態における特典報知手段を構成し、AT準備状態が、第2の実施形態における特定状態を構成し、AT準備状態から移行したAT状態において300ゲーム以上の遊技が実行された状況が、第2の実施形態における第1状況を構成し、CZ状態においてAT準備状態への移行が決定された状況が、第2の実施形態における第2状況を構成する。また、AT準備状態からAT状態に移行することに基づき付与されるATゲーム数カウンタ197fへの値「10」の加算、つまりAT状態を実行可能な遊技回数の10ゲームの上乗せが、第2の実施形態における第1特典を構成し、CZ状態から移行したAT準備状態からAT状態に移行することに基づき付与されるATゲーム数カウンタ197fへの値「40」のセット、つまりAT状態を実行可能な遊技回数として40ゲームが設定されることが、第2の実施形態における第2特典を構成する。また、上乗せ表示331gを表示することで10ゲームの上乗せが実行されたことを報知する報知態様が、第2の実施形態における第1報知態様を構成し、上乗せ表示331hを表示することで50ゲームの初期ゲーム数が付与されたことを報知する報知態様が、第2の実施形態における第2報知態様を構成し、AT状態移行に係る処理のステップS33の処理が、第1特典付与処理を構成する。
【0284】
3.第2の実施形態のまとめ
以上のように、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が実行された場合であっても、遊技者にとって有利な特典であるAT状態に移行することがなく、AT準備状態を故意に継続することによる攻略性が生じることを防止し遊技機の商品性の低下を防ぐことができるとともに、誤ってAT移行入賞補助で示唆された操作態様とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」になっていなければAT準備状態を継続することで遊技者の遊技に対する興趣が低下することも防ぐことができる。
【0285】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行された場合に、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様を無視した遊技が継続した場合にも、AT準備状態において1650ゲームの遊技が実行され、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1650」に達した場合であれば、AT移行入賞補助でAT状態に移行しないことが示唆されている操作態様であるストップボタンB1を第1停止操作する操作態様で遊技が実行された場合にも、AT準備状態を終了してAT状態に移行するため、有利区間の終了までAT準備状態が継続してしまい遊技機の設計者の意図しない遊技性となってしまい遊技機の商品性が低下することを防ぐことができる。
【0286】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、当選する機会が極めて限定され、且つ予めリール制御データ記憶手段194に記憶された停止制御テーブルを用いたリール停止制御が実行される当選エリア「全小役」に当選した場合に用いられる停止制御テーブルを、当選エリア「共通ベル」に当選した場合に用いられる特定停止制御テーブル194aと共通化することで、当選エリア「全小役」のための停止制御テーブルを別個設ける必要がなくなり、記憶手段190に記憶されるデータのデータ容量を軽減することができる。
【0287】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態に限り当選可能なため、当選する機会が極めて限定的な当選エリア「全小役」の当選時に用いられる停止制御テーブルを、当選エリア「共通ベル」と共通化することで、入賞可能となる小役がベルAに偏ることの影響を限定的にすることができ、データ容量の軽減に伴う遊技性への影響を抑制することができる。
【0288】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、AT状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合と、CZ状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合と、のいずれの場合においても10ゲームの上乗せが実行される構成であるものの、CZ状態から移行したAT準備状態が終了してAT状態が開始される場合には、AT準備状態になる前にAT状態が開始されておらず今回の有利区間における1回目のAT状態、いわゆる初当たりとなるAT状態が開始されるため、AT状態が開始される以前に初期値となる値「40」がATゲーム数カウンタ197fにセットされた後に値「10」が上乗せされるような表示態様で報知してしまうと、AT状態の初期ゲーム数が分かりにくくなることから、値「10」が上乗せされたこと自体については報知しないことで、表示装置330に表示される報知態様が煩雑になることを防ぎ、表示される報知態様によって遊技者に不快感を与える虞を低減し、遊技者の遊技に対する興趣が低下することを防ぐことができる。
【0289】
[他の実施形態]
なお、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、第1役として8枚の配当に設定されたベルA~ベルDのいずれかと、第2役として1枚の配当に設定された1枚役A~1枚役Cの少なくとも1つと、に重複当選する当選態様として当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、第1役と第2役とでそれぞれ同じ配当に設定された異なる小役が重複当選する当選態様を有するように構成されていてもよく、また、第1役と第2役とでそれぞれ異なるリプレイが重複当選する当選態様を有するように構成されていてもよい。
【0290】
これらのように構成される場合において、スロットマシン1は、特定入賞補助について、AT制御手段200による主制御表示装置DSを用いた正解操作報知を行わず、演出制御手段180によるナビ演出のみを実行するように構成されていてもよい。この場合、演出制御手段180が、入賞補助制御手段及び操作報知手段を構成する。
【0291】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」のそれぞれに設定された正解打順について、打順3~打順6から構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、特定当選態様として、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」を有し、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」について、それぞれ打順1~打順6のいずれかが正解打順に設定されるように構成されていてもよい。
【0292】
このように構成される場合において、スロットマシン1は、当選エリア「レア役」で当選するレア役の入賞図柄組合せについて、左リールR1~右リールR3のいずれかのリールの図柄が適切な操作タイミングである場合にのみ入賞する図柄(例えば、左リールR1に1コマ配列されたチェリー図柄、中リールR2に4コマ以内の間隔で配列されたリプレイ図柄、右リールR3に4コマ以内の間隔で配列されたベル図柄から入賞図柄組合せが構成される等)から構成されることで、ストップボタンB1が第1停止操作される場合における出玉率が、ストップボタンB1とは異なるストップボタンが第1停止操作される場合における出玉率よりも低くなるように構成されていてもよい。
【0293】
また、このように構成される場合において、AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のうち打順1、打順2が正解打順に設定された当選エリアに当選した場合には、通常入賞補助を実行し、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のうち打順3~打順6が正解打順に設定された当選エリアに当選した場合に、AT移行入賞補助を実行することで、打順1、打順2が正解打順に設定された当選エリアに当選した場合にはいずれの操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にもAT準備状態からAT状態に移行せず、打順3~打順6が正解打順に設定された当選エリアに当選した場合で且つAT移行入賞補助が実行され且つ正解打順と一致する第1停止操作が実行された場合にAT準備状態からAT状態に移行するように構成されていてもよい。
【0294】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、ストップボタンB1が第1停止操作された場合における出玉率が、ストップボタンB1とは異なるストップボタンが第1停止操作された場合における出玉率よりも低い比率となるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、ストップボタンB2が第1停止操作された場合における出玉率が、ストップボタンB2とは異なるストップボタンが第1停止操作された場合における出玉率よりも低い比率となるように構成されていてもよく、また、ストップボタンB3が第1停止操作された場合における出玉率が、ストップボタンB3とは異なるストップボタンが第1停止操作された場合における出玉率よりも低い比率となるように構成されていてもよい。
【0295】
このように構成される場合において、演出制御手段180は、AT移行入賞補助として実行するナビ演出について、第1停止操作が第1ストップボタンではないことを示す1つの不操作指示指標と、第1停止操作が第2ストップボタン~第4ストップボタンのいずれかであることを示す3つの第1停止操作示唆指標と、を表示するように構成されていてもよく、特定操作態様を含み第1ストップボタンが最初に操作される操作態様を含まないナビ演出から構成されていれば、いずれの演出態様であってもよい。また、AT制御手段200は、AT移行入賞補助で実行する正解操作報知について、固有の表示からなる報知を主制御表示装置DSによって行うように構成されていれば、いずれの表示態様であってもよい。
【0296】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、不操作指示指標331b及び第1停止操作示唆指標331cのナビ演出と、「07」の正解打順報知と、からAT移行入賞補助が構成されているが、これに限らず、AT移行入賞補助で報知される操作態様について、第1ストップボタンが最初に操作される操作態様が含まれないことを遊技者が認識可能な演出態様及び表示態様で且つ遊技の公正を害しない態様であれば、いずれの演出態様及び表示態様であってもよい。
【0297】
また、第1の実施形態において、AT制御手段200は、指示機能に係る第1特定特典としてAT状態に移行するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、例えば、AT準備状態から上乗せ特化状態に移行するか否かを抽選により決定することを、第1特定特典として有していてもよく、また、AT準備状態から移行するAT状態の初期ゲーム数を抽選により決定することを第1特定特典として有してもよく、その具体的内容は第1の実施形態に限定されるものではないとともに、指示機能に係る特典を付与可能に構成されていればよく、必ずしも毎回付与するものから構成されていなくてもよい。
【0298】
また、第1の実施形態において、AT制御手段200は、指示機能に係る第2特定特典としてATポイントを10ポイント付与するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、例えば、AT準備状態から移行したAT状態において、AT中CZ状態に移行する確率が高くするか否かを決定する抽選を実行することを、第2特定特典として有するように構成されていてもよく、指示機能に係る特典から構成されてれば、その具体的内容は第1の実施形態に限定されるものではないとともに、指示機能に係る特典を付与可能に構成されていればよく、必ずしも毎回付与するものから構成されていなくてもよい。
【0299】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、AT準備状態が継続する期間の長さを管理するカウンタとして、AT準備状態が継続する遊技回数で管理するAT準備状態カウンタ197cを有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、AT準備状態における払出数が所定値に達した場合にAT準備状態を終了してAT状態に移行するように制御することで、AT準備状態が継続する期間を払出数によって管理するカウンタを有していてもよく、AT移行入賞補助を実行した回数が所定値に達した場合にAT準備状態を終了してAT状態に移行するように制御することで、AT準備状態が継続する期間をAT移行入賞補助の実行回数によって管理するカウンタを有していてもよく、AT準備状態が継続する期間を管理可能なカウンタによって計数する値の種類については、第1、第2の実施形態の構成である遊技回数に限定されない。
【0300】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、第1状態としてAT準備状態を有し、第2状態としてAT状態を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、第1状態としてAT中CZ状態、第2状態として上乗せ特化状態を有していてもよい。このように構成される場合、スロットマシン1は、AT中CZ状態において、AT移行入賞補助を実行し、AT移行入賞補助に沿った遊技が実行された場合に上乗せ特化状態に移行するように構成されていればよい。
【0301】
また、第2の実施形態において、AT制御手段200は、AT移行入賞補助が実行され、且つAT移行入賞補助に沿った第1停止操作が実行された場合には、ストップボタンB2と、ストップボタンB3と、のいずれが第1停止操作された場合にもAT状態に移行するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、AT移行入賞補助が実行され、且つ移行操作態様のうち正解打順と第1停止操作が一致する第1操作態様で操作された場合に、AT状態に移行(第1特定特典)し、移行操作態様のうち正解打順と第1停止操作が一致しない第2操作態様で操作された場合に、AT準備状態を継続し、且つAT状態が継続する遊技回数を10ゲーム上乗せ(第2特定特典)するように構成されていてもよい。
【0302】
このように構成される場合、第1特定特典について、AT移行入賞補助が実行され、且つ移行操作態様のうち正解打順と第1停止操作が一致する第1操作態様で操作された場合に、抽選により付与するか否かを決定する構成であってもよい。また、第2特定特典について、AT移行入賞補助が実行され、且つ移行操作態様のうち正解打順と第1停止操作が一致しない第2操作態様で操作された場合に、抽選により付与するか否かを決定する構成であってもよい。
【0303】
また、第2の実施形態において、スロットマシン1は、特定状態として、AT準備状態を有し、第1状況として、AT準備状態から移行したAT状態において300ゲーム以上の遊技が実行された状況を有し、第2状況として、CZ状態においてAT準備状態への移行が決定された状況を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、特定状態として、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に正解打順が報知される遊技が実行され、有利区間の終了条件が成立するまで継続する終了待機状態を有し、第1状況として、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1900」になった状況を有し、第2状況として、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1900」未満で、且つ上乗せ特化状態において実行される指示機能に係る抽選によって終了待機状態への移行が決定された状況が、第2状況を構成してもよい。
【0304】
このように構成される場合、第1特典は、終了待機状態が継続する期間として100ゲームの遊技回数をセットすることから構成され、第2特典は、終了待機状態に移行する遊技が実行された時点におけるAT準備状態カウンタ197cの記憶値で値「1900」を減算した差分の値(例えば、AT準備状態カウンタ197cの記憶値が値「1600」である時点で終了待機状態への移行が決定された場合には値「1900」を値「1600」で減算した差分となる値「300」)を、終了待機状態が継続する期間(遊技回数)としてセットすることから構成されていてもよい。
【0305】
また、第2の実施形態のAT制御手段200は、AT移行入賞補助を実行し、且つAT移行入賞補助に従った第1停止操作が実行される場合、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致した場合には、AT状態が継続する遊技回数の10ゲームの上乗せと、AT中CZ抽選と、を実行し、AT移行入賞補助に従った操作態様であるものの正解打順とは異なる操作態様で操作された場合には、AT状態が継続する遊技回数の10ゲームの上乗せを実行するように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、例えば、AT移行入賞補助を実行し、且つAT移行入賞補助に従った第1停止操作が実行される場合、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が正解打順と一致した場合には、AT状態が継続する遊技回数の30ゲームの上乗せと、AT中CZ抽選と、を実行し、AT移行入賞補助に従った操作態様であるものの正解打順とは異なる操作態様で操作された場合には、AT状態が継続する遊技回数の10ゲームの上乗せを実行するように構成されていてもよい。
【0306】
このように構成されることで、スロットマシン1は、AT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様のうち正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、指示機能に係る特典として、AT状態が継続する遊技回数の30ゲームの上乗せと、AT中CZ抽選と、を付与可能であるとともに、AT移行入賞補助で示唆されている操作態様のうち正解打順とは異なる操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、AT状態が継続する遊技回数を10ゲーム上乗せするため、指示機能に係る制御を用いて多様な遊技性を実現するために設けられたAT移行入賞補助に従った遊技を行った際に、正解打順と一致しない操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作した場合にも遊技者に特典を付与することで、AT状態が継続する遊技回数の30ゲームの上乗せ及びAT中CZ抽選が実行されなかったことに対する遊技者の損失感を低減し、遊技者の遊技に対する興趣の低下を抑制することができる。
【0307】
このように構成される場合、AT移行入賞補助が、特定操作報知を構成し、AT移行入賞補助を実行するAT制御手段200及び演出制御手段180が、入賞補助制御手段及び操作報知手段を構成する。また、AT準備状態が、第1状態を構成し、AT状態が、第2状態を構成する。また、AT移行入賞補助で示唆される操作態様のうち、ストップボタンB1を第1停止操作する操作態様が、非移行操作態様を構成し、ストップボタンB2又はストップボタンB3を第1停止操作する操作態様が、移行操作態様を構成する。また、AT準備状態カウンタ197cが、カウンタを構成し、AT移行入賞補助が実行され、且つ正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に実行されるAT中CZ抽選が、所定の特典を構成する。
【0308】
また、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に設定された正解打順と一致する操作態様が、AT移行入賞補助で示唆される第1操作態様を構成し、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に設定された正解打順と一致せず、且つストップボタンB2又はストップボタンB3が第1停止操作される操作態様が、AT移行入賞補助で示唆される第2操作態様を構成する。また、第1操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで実行されるAT状態が継続する遊技回数の30ゲームの上乗せ及びAT中CZ抽選が、指示機能に係る第1特定特典であり、指示機能に係る第2特定特典よりも有利な第1特定特典を構成し、第2操作態様でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることで付与されるAT状態が継続する遊技回数の10ゲームの上乗せが、第1特定特典とは異なる指示機能に係る第2特定特典を構成する。
【0309】
また、第2の実施形態において、スロットマシン1は、CZ状態から移行されたAT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、AT移行入賞補助に従った遊技が実行されることでAT状態に移行する場合に、該AT移行入賞補助が実行された遊技でストップボタンB1~ストップボタンB3が停止操作され、左リールR1~右リールR3が止まった場合に、「AT開始!」と表示する状態表示331fと、AT状態が開始される際に、初期ゲーム数として、初期値としてセットされる40ゲームと、上乗せされる10ゲームと、の付与が決定されたことをまとめて報知する上乗せ表示331hと、を表示装置330に表示するように構成されているが、これに限定されない。
【0310】
スロットマシン1は、例えば、CZ状態から移行されたAT準備状態においてAT移行入賞補助が実行され、AT移行入賞補助に従った遊技が実行されることでAT状態に移行する場合に、該AT移行入賞補助が実行された遊技でストップボタンB1~ストップボタンB3が停止操作され、左リールR1~右リールR3が止まった場合に、音響装置340から出力される音によってAT状態が開始されることを報知し、AT状態が開始される1ゲーム目の遊技がスタートレバーSLへの開始操作によって開始された場合に、表示装置330にAT状態の1ゲーム目が実行されていることを示す表示と、AT状態で実行可能な遊技回数が残り49ゲームであることを示す表示と、を表示装置330に表示する、つまり、AT状態における1ゲーム目が実行され且つAT状態で実行可能な遊技回数が49ゲーム残っており、合計50ゲームAT状態を実行可能であることを報知することで、初期値としてセットされる40ゲームと、上乗せされる10ゲームと、の付与が決定されたことをまとめて報知するように構成されていてもよい。
【0311】
このように構成された場合、AT状態が開始された遊技において表示装置330に表示されるAT状態の1ゲーム目が実行されていることを示す表示と、AT状態で実行可能な遊技回数が残り49ゲームであることを示す表示と、によって50ゲームの初期ゲーム数が付与されたことを報知する報知態様が、第2報知態様を構成する。
【0312】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合に、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることでベルA~ベルDが入賞可能となるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合のリール停止制御と、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合のリール停止制御と、で異なるリール停止制御を実行することで、非RT状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合には、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらず1枚の配当に設定された小役(1枚役A~1枚役C)が入賞可能となる、つまり、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合にも1枚の配当に設定された小役が入賞可能となることでベルA~ベルDが入賞せず、ボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選した場合には、正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることでベルA~ベルDが入賞可能となるように構成されていてもよい。
【0313】
このように構成された場合、AT制御手段200は、非RT状態で且つAT準備状態である場合に、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」に当選してもベルA~ベルDが入賞せず、AT状態に移行しても遊技者にとって有利とならないことから、AT準備状態カウンタ197cを更新しないように制御するとともに、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選に基づく入賞補助抽選を実行しないように構成されることが好ましい。
【0314】
非RT状態で且つAT準備状態である場合に、AT準備状態カウンタ197cを更新しないように制御するとともに、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル8」の当選に基づく入賞補助抽選を実行しないように構成されることで、スロットマシン1は、AT状態で補助遊技が実行されたとしてもメダルの獲得期待値が向上しない非RT状態において、AT状態に移行することを防ぎ、遊技者に損失感を与えることを防ぐことができる。
【0315】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、第1遊技状態として、非RT状態及びボーナス成立状態を有し、第2遊技状態として、ボーナス状態を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、遊技状態として、非RT状態と、ボーナス成立状態と、RBBが作動したRBB作動中一般状態と、RBB作動中一般状態において、第1種特別役物としてのレギュラーボーナス(RB)に当選することで移行するRBB作動中RB成立状態と、RBが作動することで移行するRBB作動中RB作動状態と、を有するように構成されることで、第1遊技状態として、非RT状態、ボーナス成立状態、RBB作動中一般状態及びRBB作動中RB成立状態を有し、第2遊技状態として、RBB作動中RB作動状態を有するように構成されていてもよい。
【0316】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、当選エリア「共通ベル」に当選した場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様によらずベルAが入賞する停止制御が実行されるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、当選エリア「共通ベル」に当選し、打順1、打順2でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、ベルAが入賞し、打順3、打順4でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、ベルBが入賞し、打順5でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、ベルCが入賞し、打順6でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合には、ベルDが入賞するように構成されていてもよい。
【0317】
このように構成された場合、スロットマシン1は、当選エリア「全小役」に当選した場合にも、当選エリア「共通ベル」に当選した場合と同様に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の打順に応じてベルA~ベルDが入賞可能となるように構成される。このように構成された場合、ベルA~ベルDが、特定小役を構成する。
【0318】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、第1小役当選態様として、当選エリア「共通ベル」を有し、第2小役当選態様として、当選エリア「全小役」を有するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、第1小役当選態様として、特定小役としての1枚役Aを含む当選エリア「RBB&1枚役」を有し、第2小役当選態様として、1枚役Aを含む1枚の配当に設定された小役のすべてを含む当選エリア「全1枚役」を有するように構成されていてもよく、入賞可能となる特定小役の配当については、規定投入数よりも多い、規定投入数と同じ、規定投入数よりも少ない、のいずれの構成であってもよい。
【0319】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、複数のリールとして左リールR1~右リールR3を有し、複数のストップボタンとして左リールR1~右リールR3に対応するストップボタンB1~ストップボタンB3を有しているが、これに限らず、例えば、4本目のリールと、4本目のリールに対応するストップボタンと、を有していてもよい。
【0320】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMBを有しているが、これに限らず、例えば、マックスベットボタンMBに加え、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンを有するように構成されていてもよい。
【0321】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、遊技価値として、メダルを投入及び払出可能に構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、スロットマシン1の外部に設けられ、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法によって記録可能な構成を有する遊技価値管理装置(専用ユニット)から出力される投入信号に基づき、遊技価値を投入状態に設定し、遊技価値の払い出しを行う場合に、遊技価値管理装置へ払出信号を出力し、遊技価値管理装置において所定の記録媒体に払出信号に対応する遊技価値を電磁的方法によって記録するように構成されていてもよい。つまり、スロットマシン1は、いわゆるメダルレス遊技機から構成されていてもよい。
【0322】
このように構成される場合、スロットマシン1は、例えば、遊技者によって遊技価値管理装置に投入された金額に対応するクレジット数を表示するクレジット数表示手段を有するように構成される。また、スロットマシン1は、最大で16368枚のメダルに相当する遊技価値をクレジット可能に構成され、16368枚を超える遊技価値がクレジットされた場合、遊技制御手段をエラー状態に設定し、遊技価値管理装置を介して所定の記録媒体に電磁的方法によって記録される方式によって遊技価値が払い出されることで16368枚以下のクレジット数になるまで、遊技不可(遊技価値が投入状態に設定されずスタートレバーSLへの開始操作が有効化されない状態)に構成されていてもよい。
【0323】
また、このように構成される場合において、スロットマシン1は、有利区間において実行可能な遊技回数の上限を設定しない構成であってもよく、有利区間の特定終了条件について、差枚数の上限のみが設定される構成であってもよい。
【0324】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0325】
1 スロットマシン(遊技機)
120 内部抽選手段
130 リール制御手段
170 遊技状態移行制御手段
180 演出制御手段(操作報知手段、特典報知手段)
194a 特定停止制御テーブル(特定停止制御データ)
197c AT準備状態カウンタ(カウンタ)
200 AT制御手段(操作報知手段)
B1 ストップボタン
B2 ストップボタン
B3 ストップボタン
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール