(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152081
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】現像装置およびそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G03G15/08 360
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066016
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】竹ノ内 幸一
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
2H077AD02
2H077AD06
2H077AD13
2H077AD18
2H077AD24
2H077AE06
2H077BA08
2H077EA03
2H077GA03
(57)【要約】
【課題】トナーと磁性キャリアとの混合の均一性を向上させることができる現像装置等を提供する。
【解決手段】現像装置は、トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤が収容され、所定方向に延びる第1流路および第2流路を有する現像ハウジングと、第1流路に設けられ、第2流路との連通部である第1連通部へ向かって現像剤を攪拌しながら所定方向に搬送する第1攪拌搬送部材と、第2流路に設けられ、第1連通部から流入した現像剤を、第1流路との連通部である第2連通部へ向かって所定方向とは逆方向に攪拌しながら搬送する第2攪拌搬送部材と、第2流路の上方に回転可能に設けられ、第2攪拌搬送部材によって搬送される現像剤の一部が表面に供給保持される現像ローラと、を備え、第1流路の第1攪拌搬送部材と対向する内壁には、前記所定方向と交差する方向であって、かつ水平方向に窪んだ凹部が設けられる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤が収容され、両端部に設けられた連通部で互いに連通するように接続された所定方向に延びる第1流路および第2流路を有する現像ハウジングと、
前記第1流路に設けられ、前記第2流路との連通部である第1連通部へ向かって前記現像剤を攪拌しながら前記所定方向に搬送する第1攪拌搬送部材と、
前記第2流路に設けられ、前記第1連通部から流入した前記現像剤を、前記第1流路との連通部である第2連通部へ向かって前記所定方向とは逆方向に攪拌しながら搬送する第2攪拌搬送部材と、
前記現像ハウジングにおける前記第2流路の上方に回転可能に設けられ、前記第2攪拌搬送部材によって搬送される前記現像剤の一部が表面に供給保持される現像ローラと、を備え、
前記第1流路の前記第1攪拌搬送部材と対向する内壁には、前記所定方向と交差する方向であって、かつ水平方向に窪んだ凹部が設けられる、現像装置。
【請求項2】
前記凹部は、
前記現像剤の搬送方向である前記所定方向に対して第1角度で傾斜する第1傾斜面と、
前記所定方向に対して前記第1角度より大きい第2角度で傾斜し、前記第1傾斜面よりも前記搬送方向の下流側に位置する第2傾斜面と、を含む、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記凹部は、
前記現像剤の搬送方向である前記所定方向において第1長さを有する第1傾斜面と、
当該第1傾斜面よりも前記現像剤の前記搬送方向の下流側に位置し、前記所定方向において前記第1長さよりも短い第2長さを有する第2傾斜面と、
を含む、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記凹部は、上方に行くにしたがって前記第1攪拌搬送部材から遠ざかるように傾斜する傾斜面を有する、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第1攪拌搬送部材は、回転軸と当該回転軸の外周に螺旋状に形成された螺旋羽根を有し、
前記回転軸の軸線方向における前記凹部の長さは、前記螺旋羽根のピッチの長さと同一である、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第1攪拌搬送部材は、回転軸と当該回転軸の外周に螺旋状に形成された螺旋羽根を有し、
前記凹部は、前記内壁の前記回転軸の軸線よりも上方の領域に設けられている、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記第1攪拌搬送部材は、回転軸と当該回転軸の外周に螺旋状に形成された螺旋羽根を有し、
前記凹部は、前記現像剤が前記螺旋羽根の回転によって上方に押し上げられる側の前記第1流路の前記内壁に設けられている、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項8】
それぞれが前記凹部である複数の凹部が、前記所定方向に沿って前記内壁に設けられている、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項9】
前記凹部は、前記第1流路の中央位置よりも前記現像剤の搬送方向の下流側に設けられている、
請求項1に記載の現像装置。
【請求項10】
前記現像ハウジングは、前記第1流路において、前記所定方向である前記現像剤の搬送方向の上流側に、前記トナーもしくは前記現像剤を前記現像ハウジングに補給する現像剤補給口が設けられる、請求項1に記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の現像装置を備えた、
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、現像装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性を有するキャリアと樹脂を主体としたトナーからなる現像剤を攪拌搬送部材で攪拌して現像ローラへ搬送する現像装置を備えた画像形成装置が開発されている。このような画像形成装置において、当該現像剤が現像装置内で滞留し十分攪拌されずに現像ローラに供給されると、かぶりやトナー汚れ等の画像劣化が発生する虞がある。また、現像装置からのトナー飛散やトナーこぼれが発生する虞がある。
【0003】
この画像劣化やトナー飛散を引き起こす原因となる現像剤の滞留(攪拌搬送中の滞留)を防止するために、滞留抑止部材を備えた現像装置が、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1の現像装置は、現像剤担持体(現像ローラ)とトナーおよび磁性キャリアを含む現像剤が収容される現像ハウジングと、現像剤担持体に現像剤を供給可能な現像剤循環機構を備える。現像剤循環機構は、現像剤担持体の軸方向に延びる複数の現像剤搬送路と相互の現像剤搬送路の両端近傍で連通接続した現像剤循環経路を有し、現像剤搬送路にはそれぞれ現像剤を攪拌搬送する攪拌搬送部材が設けられる。そして、少なくとも一部の現像剤搬送路の内壁と攪拌搬送部材の外周軌跡面との間に、滞留抑止部材が設けられる。
【0005】
このように現像剤搬送路の内壁と攪拌搬送部材の外周軌跡面との隙間に配置される特許文献1の滞留抑止部材は、移動しなくてもよいが、移動自在なシート状部材で構成されているかもしくは攪拌搬送部材の回転力によって移動するように構成されている。それにより、より現像剤搬送路での現像剤の攪拌性が向上し、かぶりやトナー汚れなどの画像劣化を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した現像装置によれば、滞留抑止部材の移動に起因して、現像ハウジング内で攪拌されながら搬送されている現像剤の流れ(現像剤の搬送量)が不安定化(変動)して濃度ムラなどの画像不良が発生するおそれがある。また、移動しない滞留防止部材を設けた場合であっても、トナー補給直後など、現像剤が滞留防止部材よりも上側まで増加した場合には、攪拌性は向上しないので滞留抑止効果が得られずに画像不良を引き起こす虞がある。
【0008】
本開示は、上述の問題に鑑みなされたものである。本開示の目的は、現像剤の流れを不安定化させることなく、現像剤を構成するトナーと磁性キャリアとの混合の均一性を向上させることができる現像装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の現像装置は、トナーおよび磁性キャリアを含む現像剤が収容され、両端部に設けられた連通部で互いに連通するように接続された所定方向に延びる第1流路および第2流路を有する現像ハウジングと、前記第1流路に設けられ、前記第2流路との連通部である第1連通部へ向かって前記現像剤を攪拌しながら前記所定方向に搬送する第1攪拌搬送部材と、前記第2流路に設けられ、前記第1連通部から流入した前記現像剤を、前記第1流路との連通部である第2連通部へ向かって前記所定方向とは逆方向に攪拌しながら搬送する第2攪拌搬送部材と、前記現像ハウジングにおける前記第2流路の上方に回転可能に設けられ、前記第2攪拌搬送部材によって搬送される前記現像剤の一部が表面に供給保持される現像ローラと、を備え、前記第1流路の前記第1攪拌搬送部材と対向する内壁には、前記所定方向と交差する方向であって、かつ水平方向に窪んだ凹部が設けられる。
【0010】
本開示の画像形成装置は、上述の現像装置を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1の画像形成装置の全体構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1の画像形成装置のトナーカートリッジおよび現像装置を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1の現像装置の断面模式図である。
【
図5】実施の形態1の現像装置の使用時の現像剤の状態を示す拡大部分斜視図である。
【
図6】実施の形態1の現像装置の凹部を示す部分拡大斜視図である。
【
図7】実施の形態1の現像装置の凹部を示す部分拡大平面図である。
【
図8】実施の形態1の現像装置の断面図であって、
図7のVIII-VIII線断面図である。
【
図9】現像装置の第1流路において現像剤の塊ができ易い位置を示す平面模式図である。
【
図10】実施の形態1の現像装置の凹部が形成されている第1流路の位置を説明するための平面模式図である。
【
図11】実施の形態1の現像装置の凹部の形状の詳細を説明するための平面模式図である。
【
図12】実施の形態1の現像装置の凹部と螺旋羽根のピッチとの対応関係を説明するための平面模式図である。
【
図13】実施の形態1の現像装置の凹部と螺旋羽根との位置関係を説明するための平面模式図である。
【
図14】実施の形態1の現像装置の凹部と第1攪拌搬送部材の回転中心軸との高さ位置の関係を説明するための立面模式図である。
【
図15】実施の形態1の現像装置の凹部の変形例を示す平面模式図である。
【
図16】実施の形態2の現像装置の部分拡大斜視図である。
【
図17】実施の形態2の現像装置の凹部を示す部分拡大斜視図である。
【
図18】実施の形態2の現像装置の凹部を示す部分拡大平面図である。
【
図19】実施の形態2の現像装置の断面図であって、
図18のXIX-XIX線断面図である。
【
図21】実施の形態3の現像装置の凹部を示す部分拡大斜視図である。
【
図22】実施の形態3の現像装置の凹部を示す部分拡大平面図である。
【
図23】実施の形態3の現像装置の断面図であって、
図22のXXIII-XXIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態の現像装置およびそれを用いた画像形成装置を、図面を参照しながら説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0013】
(実施の形態1)
図1~
図15を用いて、実施の形態1の現像装置50およびそれを用いた画像形成装置100を説明する。
【0014】
図1は、実施の形態1の画像形成装置100の全体構成を示す図である。
【0015】
図1に示されるように、画像形成装置100は、現像装置50を備えている。画像形成装置100は、現像装置50内に収容されるトナーを含む現像剤を用いてシート状の媒体にトナー像を形成するものである。
【0016】
画像形成装置100は、たとえば、シート状の媒体に描かれた画像を読み取って、別のシート状の媒体へ読み取った画像と同じ画像を印刷する複写機であってもよい。また、画像形成装置100は、コンピュータ等の外部端末から送信されてきた画像データをシート状の媒体へ印刷する印刷機であってもよい。さらに、画像形成装置100は、前述の複写機および印刷機の機能とファクスおよびスキャナの機能とが一体化された複合機であってもよい。
【0017】
図1に示されるように、画像形成装置100は、装置本体110と、画像読取装置120と、を含む。画像形成装置100は、画像読取装置120で読み込まれた画像データまたは外部端末から送信された画像データに基づいて、装置本体110においてシート状の媒体である所定の用紙に単色または多色の画像を形成する。
【0018】
画像読取装置120は、原稿載置台121、原稿押さえカバー122、および画像読取部123を備えている。原稿載置台121の上面は、透明材によって形成されている。原稿載置台121の前面側には、ユーザによる入力操作を受け付ける表示操作部(図示せず)が設けられている。表示操作部は、たとえば、タッチパネルおよび操作ボタン等の操作パネルである。
【0019】
原稿押さえカバー122は、原稿載置台121に対して開閉自在に取り付けられている。原稿押さえカバー122が閉じられると、原稿載置台121の上面の透明材が原稿押さえカバー122によって覆われる。画像読取部123は、光源、複数のミラー、結像レンズ、およびラインセンサ等を有している。画像読取部123は、原稿表面に描かれた画像を読み取り、画像に対応する画像データを生成する。
【0020】
装置本体110は、画像形成部130を有する。画像形成部130は、トナーカートリッジ150から供給されるトナーによって画像を形成する。画像形成部130は、感光体ドラム131、帯電器132、露光ユニット133、現像装置50、クリーナユニット134、中間転写ベルトユニット135、転写ローラ136、および定着ユニット137等を備えている。
【0021】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、画像形成装置100には、感光体ドラム131、帯電器132、露光ユニット133、現像装置50、およびクリーナユニット134を1セットとして、4セットの画像形成ステーションが、それぞれの色に応じたトナー像を形成するように設けられている。また、画像形成装置100には、4色のそれぞれに対応したトナーが収容されるトナーカートリッジ150が設けられており、各トナーカートリッジ150は、4色のそれぞれに対応する現像装置50にトナーを供給する。
【0022】
感光体ドラム131は、導電性を有する円筒状の基体の表面に、光が照射されないと絶縁性を有し、光が照射された領域は導電性に変化する感光層が形成された静電潜像担持体である。帯電器132は、光が照射されていない感光体ドラム131の表面を所定の電位に帯電させる。
【0023】
露光ユニット133は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニットである。露光ユニット133は、所定電位に帯電された感光体ドラム131の表面であって画像を形成する領域を選択的に露光することによって、画像が形成される領域の電位が所定の電位より低くなる静電潜像を感光体ドラム131の表面に形成する。
【0024】
現像装置50は、収容される4色のいずれか一つのトナーを帯電させ、感光体ドラム131の表面に形成された静電潜像を、4色のいずれか1つのトナーによって顕像化させる。クリーナユニット134は、感光体ドラム131の表面に形成されたトナー像を、後述する中間転写ローラ135dによって中間転写ベルト135a上に転写した後で感光体ドラム131の表面に残留した転写残トナーを除去して回収する。
【0025】
中間転写ベルトユニット135は、中間転写ベルト135a、駆動ローラ135b、従動ローラ135cおよび4つの中間転写ローラ135d等を備える。中間転写ベルトユニット135は、感光体ドラム131の上方に配置される。中間転写ベルト135aは、中間転写ローラ135dによって、対応する各感光体ドラム131に接触するように設けられ、対応する感光体ドラム131に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト135aに順次転写される。それにより、中間転写ベルト135a上にトナー像が形成される。
【0026】
転写ローラ136は、中間転写ベルト135aの内側と接触して中間転写ベルト135aを回転させる駆動ローラ135bと対向する位置であって、中間転写ベルト135aと接触し、中間転写ベルト135aと共に回転するように配置される。この転写ローラ136と中間転写ベルト135aとが接触するニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト135a上に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0027】
定着ユニット137は、ヒートローラ137aおよび加圧ローラ137bを備える。定着ユニット137は、転写ローラ136の上方、言い換えれば、用紙の搬送方向の下流側に配置される。定着ユニット137は、熱源によって所定温度に加熱されるヒートローラ137aと加圧ローラ137bとが接触するニップ域にトナー像が転写された用紙を通過させることによって、用紙上のトナー像を熱と圧力で用紙に定着する。
【0028】
上記した画像形成装置100は、以下に説明されるような現像装置50を備えているものであれば、いかなるものであってもよい。以下、本実施の形態の現像装置50の概要について説明する。
【0029】
図2は、実施の形態1の画像形成装置100のトナーカートリッジ150および現像装置50を示す斜視図である。
【0030】
図2は、現像装置50及びトナーカートリッジ150を示す斜視図である。
【0031】
図2に示されるように、現像装置50は、補給部160を介してトナーカートリッジ150と接続される。詳しくは説明しないが、トナーカートリッジ150は、内部にトナーが収容されており、現像装置50内のトナーが画像形成処理に伴って消費されると、前記補給部160を介して現像装置にトナーを供給する。
【0032】
トナーカートリッジ150は、現像装置50の上方に配置されるカートリッジ装着部150aに着脱可能に設けられる。なお、トナーカートリッジ150内には、後述する磁性キャリアを含む現像剤が収容されていてもよい。
【0033】
図3は、本実施の形態の現像装置50の斜視図である。
図4は、本実施の形態の現像装置50の断面模式図である。
図5は、本実施の形態の現像装置50の使用時の現像剤1の状態を示す拡大部分斜視図である。
図6は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大斜視図である。
図7は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大平面図である。
図8は、本実施の形態の現像装置50の断面図であって、
図7のVIII-VIII線断面図である。
【0034】
図3~
図8に示されるように、現像装置50は、現像ハウジング10、現像剤循環機構20、および現像ローラ30を備えている。
【0035】
現像ハウジング10は、所定方向に沿って延びる第1流路10F1および第2流路10F2を有している。現像ハウジング10には、ポリエステルまたはスチレンアクリルなどの樹脂(非磁性材料)を主成分とする粒径が6μm程度のトナーと、鉄やフェライトなどの磁性材料を主成分とする粒径が40μm程度の磁性キャリアを含む現像剤1が収容される。第1流路10F1と第2流路10F2は、それぞれ両端部に設けられた連通部15(151,152)で互いに連通するように接続されており、収容された現像剤1が第1流路10F1と第2流路10F2を循環するように現像剤循環機構20が設けられる。
【0036】
現像剤循環機構20には、第1流路10F1に回転可能に設けられた第1攪拌搬送部材20-1と第2流路10F2に回転可能に設けられた第2攪拌搬送部材20-2が含まれる。第1攪拌搬送部材20-1と第2攪拌搬送部材20-2及び後述する現像ローラ30は、図示しないモータ等の駆動源からの回転力を受けて回転される。
【0037】
第1攪拌搬送部材20-1は、駆動源からの回転力を受けて、第1流路10F1と第2流路10F2との連通部15である第1連通部151に向かって現像剤1を所定方向である第1所定方向X1に攪拌しながら搬送する。第2攪拌搬送部材20-2は、第1連通部151から第2流路10F2に流入した現像剤1を、駆動源からの回転力を受けて第1流路10F1との連通部15である第2連通部152へ向かって所定方向と逆方向である第2所定方向X2に攪拌しながら搬送する。
【0038】
第2連通部152から第1流路10F1に流れ込んだ現像剤1は、再び第1攪拌搬送部材20-1によって第1連通部151に向かって攪拌されながら搬送される。つまり、第1攪拌搬送部材20-1および第2攪拌搬送部材20-2がそれぞれに設けられた第1流路10F1と第2流路10F2とは、互いの両端が連通部15(151、152)を介して連通するように接続される。それにより、第1流路10F1と第2流路10F2、
図3に白抜き矢印で示されるように、現像剤1が循環する循環路を構成している。
【0039】
第2流路10F2の上方には、現像ローラ30が回転可能に設けられ、第2攪拌搬送部材20-2によって第2所定方向X2に搬送される現像剤1の一部が現像ローラ30の表面に供給される。換言すると、現像ローラ30は、現像ハウジング10の第2流路10F2の上方に回転可能に設けられ、第2攪拌搬送部材20-2によって搬送される現像剤1の一部が表面に供給保持される。
【0040】
このように第1流路10F1と第2流路10F2に収容された現像剤1は、現像剤循環機構20によって第1流路10F1と第2流路10F2を循環するように攪拌されながら搬送されることでトナーと磁性キャリアが十分攪拌される。それにより、現像剤1は、トナーと磁性キャリアが擦れ合うときの摩擦帯電によってトナーが画像形成に必要な所定の電位に帯電され、一部が現像ローラ30に供給されて画像形成に使用される。
【0041】
現像ハウジング10について、更に詳しく説明する。現像ハウジング10は、第1流路10F1および第2流路10F2をそれぞれ形成する内壁を有し、内壁は、第1壁11、第2壁12、仕切壁13、および底部14(141,142)を含んでいる。
【0042】
第1壁11は、第1流路10F1の第2流路10F2と反対側である外側を覆うように、底部14(141)から立ち上がるように形成される。第2壁12は、第2流路10F2の第1流路10F1と反対側である外側を覆うように、底部14(142)から鉛直方向に立ち上がるように形成される。
【0043】
仕切壁13は、第1壁11と第2壁12との間で、底部14(141,142)から鉛直方向に立ち上がるように形成される。仕切壁13は、第1連通部151と第2連通部152の間に配置され、第1流路10F1と第2流路10F2とを仕切っている。底部14(141,142)は、第1流路10F1および第2流路10F2の下側を覆っている。底部14(141,142)は、円筒を軸方向に沿って切った形状をなしている。
【0044】
本実施の形態においては、第1壁11、第2壁12、および仕切壁13のそれぞれと底部14とが連続的に一体化されている。ここで、第1流路10F1は、第1壁11、底部141、および仕切壁13によって形成され、第2流路10F2は、第2壁12、底部142、および仕切壁13によって形成される。本実施の形態においては、第1流路10F1および第2流路10F2のそれぞれの断面がU字形状をなしている。
【0045】
第1流路10F1、第2流路10F2、第1壁11、第2壁12、および仕切壁13のそれぞれは、第1所定方向X1または第1所定方向X1と平行であってかつ逆向きの第2所定方向X2に沿って延びる長細い形状を有している。
【0046】
第1攪拌搬送部材20-1について、更に詳しく説明する。第1攪拌搬送部材20-1は、前述したように第1所定方向X1に沿って延びるように、第1流路10F1に設けられている。第1攪拌搬送部材20-1は、第1所定方向X1に延び回転の中心となる軸線を内側に含む回転軸20-1Aと、回転軸20-1Aの外周に螺旋状に形成された螺旋羽根20-1Bを有する一軸スパイラルスクリューにより構成されている。第1攪拌搬送部材20-1は、は、回転軸20-1Aの外周に、軸線方向(つまり第1所定方向X1)にピッチPで螺旋軌跡を形成する螺旋羽根20-1Bを有している(
図4、
図8参照)。なお、本実施の形態の回転軸20-1Aは鉄などの金属で構成され、螺旋羽根20-1Bは樹脂で構成されるが、回転軸20-1Aと螺旋羽根20-1Bを樹脂で一体的に形成してもよい。ここで、第1攪拌搬送部材20-1は、無軸スパイラルスクリュー、二軸スパイラルスクリュー、または螺旋形状以外の形状を有する羽根を備えたスクリューを有する攪拌搬送部材であってもよい。
【0047】
第2攪拌搬送部材20-2は、第2所定方向X2に沿って延びるように、第2流路10F2に設けられる。第2所定方向X2は、第1所定方向X1と平行な方向であって、かつ、逆向きであるのは前述の通りである。第2攪拌搬送部材20-2は、第2所定方向X2に延び回転の中心となる軸線を内側に含む回転軸20-2Aと、回転軸20-2Aの外周にらせん状に形成された螺旋羽根20-2Bを有する一軸スパイラルスクリューにより構成されている。回転軸20-2Aの外周に、軸線方向(つまり第2所定方向X2に)ピッチPで螺旋軌跡を形成する螺旋羽根20-2Bを有している(
図4、
図8参照)。
【0048】
ここで、第2攪拌搬送部材20-2は、無軸スパイラルスクリュー、二軸スパイラルスクリュー、または螺旋形状以外の形状を有する羽根を備えたスクリューコンベア等の攪拌搬送部材であってもよい。
【0049】
現像ローラ30は、第2流路10F2の上方に設けられた現像ハウジング10の開口部16と対応する位置に、第2攪拌搬送部材20-2と平行となるように配置される。(
図4参照)現像ローラ30は、複数の磁石体が周方向に配置されたマグネットローラとマグネットローラを内包する非磁性材料例えばアルミなどで構成された円筒状の現像スリーブとを備える。マグネットローラは、現像ハウジング10に回転しないように固定される。現像スリーブは、第2攪拌搬送部材20-2の軸線と平行な回転軸線周りに回動可能に現像ハウジング10に支持される。現像スリーブは、前述したように図示されていない駆動源からの動力によって、回転駆動される。
【0050】
そして、第2攪拌搬送部材20-2によって所定方向X2に搬送される磁性キャリアを含む現像剤1は、マグネットローラの複数の磁石体の磁力によって、摩擦帯電によって静電気的に磁性キャリアに付着しているトナーごと現像スリーブ上に引き寄せられる。それにより、現像剤1は、スリーブ上に供給される。第2流路10F2の上方で現像スリーブ上に供給された現像剤1は、現像スリーブが回転方向R1(
図4参照)に回転することで、現像ハウジング10に取付けられた層規制ブレード250と対向する位置に搬送される。それにより、層規制ブレード250によって現像スリーブ上の現像剤の厚みが現像スリーブの回転軸線方向に均一となるように規制される。
【0051】
そして、層規制ブレード250よりも現像スリーブの回転方向R1の下流側であって、対応する感光体ドラム131と所定間隔で向かい合う現像スリーブの領域に、帯電されたトナーが供給される。供給されたトナーは、回転方向R2に回転する感光体ドラム131上に形成された静電潜像に供給されて顕像化される。
【0052】
以上のようにして、現像ハウジング10の内部に収容された現像剤1に含まれるトナーが、現像ローラ30を介して感光体ドラム131に供給される。
【0053】
次に、現像装置50の第1流路10F1を形成する内壁に設けられた凹部CSについて説明する。本実施の形態の現像装置50は、第1流路10F1を形成する内壁である仕切壁13、すなわち仕切壁13の第1流路10F1側の面である内壁面13Aに、第1所定方向X1と交差する方向であって、かつ水平方向に窪んだ凹部CSが設けられる。より詳しく説明すると、現像ハウジング10の第1連通部151と第2連通部152の間に設けられた仕切壁13のうち第1攪拌搬送部材20-1と対向する内壁面13Aに、凹部CSが設けられる。
【0054】
第1攪拌搬送部材20-1の回転に伴って、第1流路10F1内の内壁面13Aに沿って第1所定方向X1に搬送される現像剤1が、第1所定方向X1と交差する方向であって、かつ水平方向に広がる凹部CSに到達する。それにより、第1所定方向X1と交差する方向にも現像剤が移動するようになり、第1所定方向X1に搬送される現像剤の速度は第1所定方向X1と交差する方向に速度差を持つようになる。この速度差があることによって、内壁面13Aに沿って第1所定方向X1に移動する現像剤の攪拌機会が増加するので、内壁面13Aに沿って搬送されるトナーに対して攪拌不良による帯電不良を効果的に防止することができる。このように、凹部CSは、鉛直方向に沿って立ち上がる仕切壁13の内壁面13Aと直交する水平方向に現像剤1を移動させる搬送速度成分を発生させるため、現像剤1の内壁面13Aからの剥片が促進される。その結果、現像剤の攪拌性が向上し、この領域を通過するトナーの帯電不良を防止して画像不良が発生することを防止できる。
【0055】
以上のように、現像ハウジング10の仕切壁13の第1攪拌搬送部材20-1を向く内壁面13Aの近傍で搬送されるトナーと磁性キャリアとの混合の均一性を向上させることができる。
【0056】
また、凹部CSは、第1攪拌搬送部材20-1の螺旋羽根20-1Bが現像剤1を上方に押し上げながら第1所定方向X1に搬送する側(つまり現像剤1が上方に掻き揚げられながら搬送される掻き揚げ側)にある内壁、本実施の形態においては、仕切壁13の内壁面13Aに設けられる。そのため、トナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより効率的に向上させることができる。
【0057】
上記効果について詳細に説明する。
【0058】
第1攪拌搬送部材20-1の掻き揚げ側においては、現像剤1は、螺旋羽根20-1Bによって、上方に押し上げられながら第1所定方向X1に向かって搬送される。そのため、現像剤1のうち特に表層近くにあるトナーは、磁性キャリアと攪拌されることなく表面を第1所定方向X1に移動するため、十分に摩擦帯電されずにかぶりなどの画像不良を発生する虞がある。
【0059】
一方、掻き揚げ側の内壁に凹部CSを設けると、現像剤1が凹部CSを第1所定方向X1に沿って流れるときに凹部CSに入り込むため、上方に押し上げられるだけでなく内壁と直交する水平方向にも移動させられる。つまり、渦運動を起こしながら凹部CSを通過する。この時発生する渦が表面近くにあるトナーと磁性キャリアとの攪拌を引き起こすので、トナーが摩擦帯電される機会が増えてかぶりなどの画像不良の発生が抑制される。
【0060】
以上のように、掻き揚げ側の内壁に凹部CSを設けると、現像剤1を構成するトナーおよび磁性キャリアが第1攪拌搬送部材20-1によって攪拌され易くなり、トナーの摩擦帯電量が安定する。したがって、感光体ドラム131からシート状の媒体へ転写されるトナー像の転写不良を防止することができる。ゆえに、現像ローラ30からシート状の媒体へ転写される画像を良好に形成することができる。
【0061】
凹部CSは、第1壁11の第1攪拌搬送部材20-1に向く表面に設けられていてもよい。また、凹部CSは、第2壁12の第2攪拌搬送部材20-2を向く表面に設けられていてもよい。
【0062】
なお、仕切壁13の凹部CSを有しない平行部の厚さは、1mm以上である。また、凹部CSの深さが、1mm以上である。
【0063】
図9は、現像装置50の第1流路10F1において現像剤1の塊ができ易い位置を示す平面模式図である。
【0064】
図9に示されるように、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤1は、第1流路10F1の仕切壁13の内壁面13Aの第1流路10F1の中央位置の下流側で攪拌性が悪化する可能性が高い。
【0065】
図10は、本実施の形態の現像装置50の凹部面CSが形成されている第1流路10F1の位置を説明するための平面模式図である。
【0066】
現像ハウジング10は、第1流路10F1の第1連通部151から第1所定方向X1の上流側に、すなわち第1攪拌搬送部材20-1による現像剤1の搬送方向上流側に、現像ハウジング10にトナーもしくは現像剤1を補給するための現像剤補給口260が設けられる(
図3、9-10参照)。現像剤補給口260は、補給部160を介してトナーカートリッジ150の内部と連通するように接続される。
【0067】
ここで、凹部CSは、現像剤補給口260よりも現像剤1の搬送方向下流側の内壁であって、第1流路10F1の中央位置CPよりも現像剤1の搬送方向下流側に設けられる。より具体的に言うと、第1攪拌搬送部材20-1の一端である現像剤補給口260側の端部EP1と、第1攪拌搬送部材20-1の他端である現像剤補給口260と反対側の端部EP2との間に、中央位置CPがある。凹部CSは、この中央位置CPよりも端部EP2側と対応する内壁領域、特に仕切壁13の内壁面13Aの領域に設けられている。この領域は、特に現像剤補給口260から供給された新しい現像剤1の攪拌性が悪化しやすい領域であるため、凹部CSを設けることで、現像剤1の攪拌性を向上することができる。また、現像剤補給口260から供給されたトナーもしくは現像剤1の一部に塊状に凝集したものが含まれていても、そのように凝集したトナーや現像剤1が第1流路10F1内の現像剤1の液面(表面)上を攪拌されることなく搬送されて現像ローラ30に供給される。そのため、画像不良を発生させることを効果的に防止できる。つまり、現像剤1中に凝集して塊状になったものが含まれていても、凹部CSを設けることで十分ほぐすことができ、現像剤1を構成するトナーと磁性キャリアとの混合の均一性を向上させることができる。
【0068】
凹部CSは、現像剤1が螺旋羽根20-1Bの回転によって押し上げられる側の第1流路10F1の内壁面13Aに、第1所定方向X1に沿って複数設けられている。そのため、現像剤1の搬送中に攪拌機会が増加し、現像剤1の混合を効果的に促進することができる。
【0069】
凹部CSは、内壁面13Aの全面ではなく、内壁面13Aの一部すなわち現像剤1の液面(表面)を上下方向に跨ぐ所定の領域に設けられている。そのため、特に第1攪拌搬送部材20-1による攪拌力が伝わりにくい、現像剤1の液面近くであって現像ハウジング10の内壁近傍領域にある現像剤1におけるトナーと磁性キャリアとの混合の均一性を向上させることができる。
【0070】
本実施の形態においては、複数の凹部CSが連続して設けられることにより、凹凸繰り返しパターンになっている。そのため、トナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより確実に向上させることができる。
【0071】
本実施の形態においては、凹部CSの深さが第1所定方向X1における位置によって異なっていてもよい。これによれば、第1所定方向X1において現像剤1の搬送状態を変化させることができる。その結果、トナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより確実に向上させることができる。なお、複数の凹部CSが第1所定方向X1において同一の大きさおよび形状を有していてもよい。
【0072】
なお、凹部CSは、内壁面13Aの一部を構成する平面13APを拡張した仮想平面からの窪みにより形成されている。つまり凹部CSは、平面13APよりも第1攪拌搬送部材20-1側へ突出していない。そのため、凹面CSを有する現像ハウジング10を金型で成形するときに、凹部CSが存在しても、成形された現像ハウジング10からの金型の引き抜きを容易に行うことができる。
【0073】
図11は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSの形状の詳細を説明するための平面模式図である。
【0074】
図11に示されるように、第1傾斜面CS1は、現像剤1の搬送方向である第1所定方向X1に対して第1角度α1で傾斜する。具体的には、第1傾斜面CS1は、第1所定方向X1に進むに従って第1攪拌搬送部材20-1から遠ざかる方向に傾斜する。また、第2傾斜面CS2は、第1所定方向X1に対して第1角度α1より大きい第2角度α2で、第1所定方向X1に進むに従って第1攪拌搬送部材20-1に近づく方向に傾斜し、第1傾斜面CS1よりも搬送方向の下流側に配置される。
【0075】
そのため、現像剤1は、凹部CSの近傍を第1所定方向X1に沿って搬送される現像剤1には、搬送方向と直交する、つまり水平方向に発生する現像剤1の移動速度(現像剤が水平方向に移動する量)が、第1所定方向X1に沿って連続的に変化する。その結果、より攪拌性が向上し、より効果的に現像剤1の搬送性およびトナーと磁性キャリアとの混合の均一性が向上する。
【0076】
図11に示されるように、第1傾斜面CS1は、現像剤1の搬送方向である第1所定方向X1において第1長さL1を有する。また、第2傾斜面CS2は、第1傾斜面CS1よりも現像剤1の搬送方向下流側に位置し、第1所定方向X1において第1長さL1よりも短い第2長さF2を有する。これによれば、現像剤1が、凹部CSに入り込むときに凹部CSから受ける力が第1所定方向X1に沿って変動するので、更に現像剤1の搬送性および混合性が向上する。
【0077】
本実施の形態では、平面視における第1傾斜面CS1の長さL1と第2傾斜面CS2の長さL2との比は、2:1である。また、長さL1と長さL2との和は、第1攪拌搬送部材20-1を構成するスパイラルスクリューのピッチPに等しい。
【0078】
このように構成すると、スパイラルスクリューが1回転すると、すなわち螺旋羽根20-1Bが1ピッチ分現像剤1を搬送する際に、所定の比率で現像剤1が凹部CSから受ける力が変動するので、より効果的に現像剤1の搬送性および混合性が向上する。
【0079】
図12は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSと螺旋羽根20-1BのピッチPとの対応関係を説明するための平面模式図である。なお、螺旋羽根20-1Bは、
図12においては、簡略化して描かれているが、実際には、螺旋状をなす羽根であるものとする。
【0080】
図12に示されるように、第1攪拌搬送部材20-1の回転中心軸が延びる方向における1つの凹部CSの底からその1つの凹部CSに隣接する他の凹面CSの底までの長さをLとする。また、回転する螺旋羽根20-1Bのあるタイミングにおける隣り合う羽根の先端同士の間のピッチの長さをPとする。このとき、長さLと長さPとは同一である。これによれば、凹部CSによる現像剤1の移動の効果をより効率的に発揮させることができる。
【0081】
図13は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSと螺旋羽根20-1Bとの位置関係を説明するための平面模式図である。
【0082】
図13に示されるように、第1攪拌搬送部材20-1が回転している特定のタイミングにおいて、第1攪拌搬送部材20-1の螺旋羽根20-1Bの付根から先端へ向かう仮想線の延長線上に凹部CSの角部が位置付けられている。したがって、螺旋羽根20-1Bを構成する複数の羽根部のいくつかと複数の凹部CSとが1対1の関係で対応している。
【0083】
図14は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSと第1攪拌搬送部材20-1の回転中心軸との高さ位置の関係を説明するための立面模式図である。
【0084】
図14に示されるように、凹部CSは、内壁面13Aの上端から所定の距離までの位置であって現像剤1の液面(表面)を上下方向に跨ぐ領域に設けられている。具体的には、凹部CSは、内壁面13Aの第1攪拌搬送部材20-1の回転中心軸SCよりも上方の領域Rに設けられている。つまり、仕切壁13付近の現像剤1の攪拌性にあまり効果を発揮しない部分には、凹部CSを設けずに、攪拌性が悪化しやすい領域に設けられる。そのため、トナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより向上させることができる。
【0085】
図15は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSの変形例を示す平面模式図である。
【0086】
図15に示されるように、複数の凹部CSが、第1所定方向X1に沿って連続して並べられるのではなく、第1所定方向X1において分離して設けられていてもよい。このように構成しても、現像剤1の混合性をさらに向上させることができる。
【0087】
(実施の形態2)
図16~
図19を用いて、実施の形態2の現像装置および画像形成装置を説明する。なお、下記において実施の形態の現像装置および画像形成装置と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の現像装置および画像形成装置は、以下の点で、実施の形態1の現像装置および画像形成装置と異なる。
【0088】
図16は、本実施の形態の現像装置50の部分拡大斜視図である。
図17は、本実施の形態2の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大斜視図である。
図18は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大平面図である。
図19は、本実施の形態の現像装置50の断面図であって、
図18のXIX-XIX線断面図である。
【0089】
図16~
図19に示されるように、本実施の形態においては、凹部CSは、上方に行くにしたがって第1攪拌搬送部材20-1から遠ざかるように傾斜する傾斜面を有する。ここで、凹部CSは、第1流路10F1を形成する内壁のうち、第1攪拌搬送部材20-1が現像剤1を上方に押し上げながら第1搬送方向X1に搬送する掻き揚げ側の内壁である仕切壁13に形成される。
【0090】
このように構成することで、第1攪拌搬送部材20-1の螺旋羽根20-1Bの外側端部(外径先端部)が凹部CSを通過する際に現像剤1を上方に押し上げる。このとき、上方に押し上げられた現像剤1を、螺旋羽根20-1Bの外側端部が凹部CSを通過した後に傾斜面に沿って第1攪拌搬送部材20-1側に自重で落下するように移動させることができる。これによって更に、トナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより効率的に向上させることができる。
【0091】
本実施の形態においては、複数の凹部CSが、第1所定方向X1に沿って連続して並べられるのではなく、第1所定方向X1において分離して設けられている。つまり、複数の凹部CSのそれぞれが、第1所定方向X1において、繋がっておらず、独立して設けられている。このように、複数の凹面CSが2か所以上に分離して設けられている。そのため、第1攪拌搬送部材20-1の螺旋羽根20-1Bの外側端部が凹部CSの通過後に凹部CS内で上方に押し上げられた現像剤1が第1攪拌搬送部材20-1側に自重で傾斜面に沿って案内されて落下する機会が増加する。それによって、現像剤1の混合性をさらに向上させることができる。
【0092】
(実施の形態3)
図20~
図23を用いて、実施の形態3の現像装置および画像形成装置を説明する。なお、下記において実施の形態の現像装置および画像形成装置と同様である点についての説明は繰り返さない。本実施の形態の現像装置および画像形成装置は、以下の点で、実施の形態1または2の現像装置および画像形成装置と異なる。
【0093】
図20は、本実施の形態の現像装置50の斜視図である。
図21は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大斜視図である。
図22は、本実施の形態の現像装置50の凹部CSを示す部分拡大平面図である。
図23は、本実施の形態の現像装置50の断面図であって、
図22のXXIII-XXIII線断面図である。
【0094】
図20~
図23に示されるように、本実施の形態の凹部CSは、実施の形態1の凹部CSの特徴と実施の形態2の凹部CSの特徴とを兼ね備えている。より具体的に説明すると、本実施の形態の凹部CSによって形成される凹空間は、三角錐の空間を形成する。このように凹部CSを形成すると、実施の形態1および実施の形態2の凹部CSが有する効果作用を両方得ることができるので、より効果的に現像剤1を構成するトナーと磁性キャリアとの混合の均一性をより効率的に向上させることができる。
【0095】
また、本実施の形態1において、凹部CSは、第1壁11側の内壁面11Aに設けられる。これは、第1攪拌搬送部材20-1の螺旋羽根20-1Bの掻き揚げ側が第1壁11側に相当するからである。つまり、本実施の形態の第1攪拌搬送部材20-1は、実施の形態1および2の第1攪拌搬送部材20-1とは、螺旋羽根20-1Bの旋回形状の旋回方向および回転軸20-1Aの回転運動の方向が逆向きである。このように凹部CSを掻き揚げ側の内壁面に設けることによって、現像剤1を構成するトナーとキャリアとの混合の均一性を効率的に向上させることができるのは前述したとおりである。
【0096】
なお、実施の形態1~3においては、凹面CSは、複数の平面によって構成されているが、1以上の曲面によって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 現像剤
10 現像ハウジング
10F1 第1流路
10F2 第2流路
11A,13A 内壁面
13AP 平面
20-1 第1攪拌搬送部材
20-1B 螺旋羽根
20-2 第2攪拌搬送部材
30 現像ローラ
50 現像装置
100 画像形成装置
260 現像剤補給口
CS 凹部
L1 第1長さ
L2 第2長さ
P ピッチ
P1 第1傾斜面
P2 第2傾斜面
X1 第1所定方向
α1 第1角度
α2 第2角度