(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152086
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】積層体、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 37/02 20060101AFI20241018BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20241018BHJP
B32B 38/16 20060101ALI20241018BHJP
B05D 7/02 20060101ALI20241018BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20241018BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241018BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20241018BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241018BHJP
C08J 7/046 20200101ALI20241018BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20241018BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B32B37/02
B32B27/32
B32B38/16
B05D7/02
B05D3/02 Z
B05D3/00 D
B05D3/06 Z
B05D7/24 301T
B05D7/24 303A
C08J7/046 CES
C09D5/00 Z
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066025
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000250384
【氏名又は名称】リケンテクノス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184653
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 寧
(72)【発明者】
【氏名】安藤幹規
【テーマコード(参考)】
4D075
4F006
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AC53
4D075BB25Z
4D075BB27Z
4D075BB42Z
4D075BB50Z
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4D075DC21
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4F006AA12
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4F100AK03
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4J038FA112
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4J038JC01
4J038KA04
4J038NA12
4J038PA17
4J038PA19
4J038PB08
4J038PB09
4J038PC08
(57)【要約】
【課題】
ポリオレフィン系樹脂基材と塗膜とが十分な密着強度で直接積層されている積層体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】
(1)ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成する工程;(2)上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、中間積層体を得る工程;(3)該中間積層体を温度65℃以上に予熱する工程;及び、(4)活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程を含み、ここで、上記塗料は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部;及び、(B)水素引抜型光開始剤1~30質量部を含む、積層体の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体の製造方法であって、
上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とは直接積層されており、
(1)上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成し、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得る工程;
(2)上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該未硬化塗膜を有する中間積層体2を得る工程;
(3)上記中間積層体2を温度65℃以上に予熱する工程;及び、
(4)活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程;
を含み、ここで、上記塗料は、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、
(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;
を含む、上記積層体の製造方法。
【請求項2】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項3】
上記多官能(メタ)アクリレートがアクリル当量300以下の多官能(メタ)アクリレートを含む、請求項2に記載の積層体の製造方法。
【請求項4】
上記工程(4)が、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜とは反対側の面から活性エネルギー線を照射するサブ工程を含む、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項5】
上記塗料が分子内開裂型光開始剤を含まない、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項6】
上記塗料が脂肪族系三級アミン化合物を含まない、請求項1に記載の積層体の製造方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の積層体の製造方法を使用して積層体を製造する工程を含む、該積層体を含む物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体、及びその製造方法であって、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが直接積層されている積層体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィン系樹脂、及びポリ4-メチル-ペンテン-1などのポリオレフィン系樹脂は、フィルムなどの成形体として、様々な分野で利用されている。特に、環状オレフィン系樹脂、及びポリ4-メチル-ペンテン-1のフィルムは光学的等方性が高く、高透明性、高耐熱性を有し、低吸湿性であることから、光学分野で多用されている。一方、ポリオレフィン系樹脂には、耐擦傷性が不十分であり、適用可能な用途が限定されるという不都合があった。所望の用途に適用するには耐擦傷性が不十分な場合、樹脂フィルムなどの成形体の表面の上に、耐擦傷性を付与(傷付きを防止)するための塗膜(ハードコート)を設ける方法が広く行われている。そして、耐擦傷性を付与(傷付きを防止)するための塗膜(ハードコート)の形成には、硬度が高く、硬化の所要時間が短く、生産性が高いことから、活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする塗料が多用されている。ところが、ポリオレフィン系樹脂には、活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする塗料を用いて形成される塗膜(ハードコート)との密着性が不十分という不都合があった。そこで、重合性化合物と光重合開始剤とを含有する環状オレフィン系樹脂保護用紫外線硬化性組成物において、光重合開始剤として、ベンゾフェノン系化合物と脂肪族系三級アミン化合物とを含有することを特徴とする紫外線硬化性組成物(引用文献1)、及び、ポリオレフィン系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂との混合物を含有する易接着層を設ける技術(引用文献2)などが提案されている。しかし、引用文献1の技術は十分なものではない。引用文献2の技術は、易接着層を設けるため、工程数が増えるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-356505号公報
【特許文献2】特開2016-187870号公報
【特許文献3】特開2016-113393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体、及びその製造方法であって、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されている積層体、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意研究した結果、特定の積層体、特定の製造方法により、上記課題を達成できることを見出した。
【0006】
即ち、本発明の製造方法の諸態様は以下の通りである。
[1].
ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体の製造方法であって、
上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とは直接積層されており、
(1)上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成し、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得る工程;
(2)上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該未硬化塗膜を有する中間積層体2を得る工程;
(3)上記中間積層体2を温度65℃以上に予熱する工程;及び、
(4)活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程;
を含み、ここで、上記塗料は、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、
(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;
を含む、上記積層体の製造方法。
[2].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が多官能(メタ)アクリレートを含む、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[3].
上記多官能(メタ)アクリレートがアクリル当量300以下の多官能(メタ)アクリレートを含む、[2]項に記載の積層体の製造方法。
[4].
上記工程(4)が、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜とは反対側の面から活性エネルギー線を照射するサブ工程を含む、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[5].
上記塗料が分子内開裂型光開始剤を含まない、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[6].
上記塗料が脂肪族系三級アミン化合物を含まない、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[7].
[1]~[6]項の何れか1項に記載の積層体の製造方法を使用して積層体を製造する工程を含む、該積層体を含む物品の製造方法。
【0007】
本発明の積層体の諸態様は以下の通りである。
[1].
ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体であって、
上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とは直接積層されており、
上記塗膜は、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、
(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;
を含む塗料から形成されており、
碁盤目試験を、JIS K 5600-5-6:1999に従い、上記積層体の上記塗膜面側から碁盤目の切れ込みを入れて行ったとき、分類0、分類1、分類2、又は分類3である、
上記積層体。
[2].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が多官能(メタ)アクリレートを含む、[1]項に記載の積層体。
[3].
上記多官能(メタ)アクリレートがアクリル当量300以下の多官能(メタ)アクリレートを含む、[2]項に記載の積層体。
[4].
上記塗料が分子内開裂型光開始剤を含まない、[1]項に記載の積層体。
[5].
上記塗料が脂肪族系三級アミン化合物を含まない、[1]項に記載の積層体
[6].
積層体を含む物品であって、[1]~[5]項の何れか1項に記載の積層体を含む上記物品。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製造方法により生産される積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されている。即ち、上記ポリオレフィン系樹脂基材の上記塗膜形成面の上に、易接着層を形成する必要はない。本発明の好ましい製造方法により生産される積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されており、湿熱試験後においても十分な密着強度を維持している。そのため、本発明の製造方法により生産される積層体は、耐擦傷性を求められる物品(物品の部材を含む)の表面保護部材や表面を形成する部材として、好適に用いることができる。
【0009】
本発明の積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されている。本発明の好ましい積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されており、湿熱試験後においても十分な密着強度を維持している。そのため、本発明の積層体は、耐擦傷性を求められる物品(物品の部材を含む)の表面保護部材や表面を形成する部材として、好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「樹脂」の用語は、2種以上の樹脂を含む樹脂混合物や、樹脂以外の成分を含む樹脂組成物をも含む用語として使用する。
【0011】
本明細書において「フィルム」の用語は、「シート」と相互交換的に又は相互置換可能に使用する。本明細書において、「フィルム」及び「シート」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできるものに使用する。「板」の用語は、工業的にロール状に巻き取ることのできないものに使用する。また本明細書において、ある層と他の層とを順に積層することは、それらの層を直接積層すること、及び、それらの層の間に易接着層(アンカーコート)などの別の層を1層以上介在させて積層することの両方を含む。
【0012】
本明細書において数値範囲に係る「以上」の用語は、ある数値又はある数値超の意味で使用する。例えば、20%以上は、20%又は20%超を意味する。数値範囲に係る「以下」の用語は、ある数値又はある数値未満の意味で使用する。例えば、20%以下は、20%又は20%未満を意味する。また数値範囲に係る「~」の記号は、ある数値、ある数値超かつ他のある数値未満、又は他のある数値の意味で使用する。ここで、他のある数値は、ある数値よりも大きい数値とする。例えば、10~90%は、10%、10%超かつ90%未満、又は90%を意味する。更に、数値範囲の上限と下限とは、任意に組み合わせることができるものとし、任意に組み合わせた実施形態が読み取れるものとする。例えば、ある特性の数値範囲に係る「通常10%以上、好ましくは20%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下である。」や「通常10~40%、好ましくは20~30%である。」という記載から、そのある特性の数値範囲は、一実施形態において10~40%、20~30%、10~30%、又は20~40%であることが読み取れるものとする。
【0013】
実施例以外において、又は別段に指定されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されるすべての数値は、「約」という用語により修飾されるものとして理解されるべきである。特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとすることなく、各数値は、有効数字に照らして、及び通常の丸め手法を適用することにより解釈されるべきである。
【0014】
本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行、直交、及び垂直などの用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0015】
1.積層体の製造方法:
本発明の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜(ハードコートを含む。以下、同じ)を有する積層体の製造方法である。本発明の製造方法では、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とは直接積層されている。即ち、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との間に易接着層(アンカーコート)などの別の層を1層以上介在させる態様は、本発明の製造方法から除かれる。
【0016】
本発明の製造方法は、
(1)上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成し、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得る工程;
(2)上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該未硬化塗膜を有する中間積層体2を得る工程;
(3)上記中間積層体2を温度65℃以上に予熱する工程;及び、
(4)活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程;
を含む。
【0017】
本発明の製造方法において、上記塗膜の形成に用いる上記塗料は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂;及び、(B)水素引抜型光開始剤を含む。上記塗料は、典型的な実施形態の1つにおいて、上記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、上記(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;を含む。
【0018】
工程(1)
上記工程(1)は、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成し、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得る工程である。ここで、上記ウェット塗膜が、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、直接形成されることは言うまでもない。
【0019】
上記ポリオレフィン系樹脂基材は、典型的な実施形態の1つにおいて、ポリオレフィン系樹脂フィルムであってよい。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムは単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよい。上記ポリオレフィン系樹脂フィルムが単層フィルムである場合、該単層フィルムを形成する樹脂(言い換えると、該単層フィルムの上記塗膜形成面を形成する樹脂)は、ポリオレフィン系樹脂を主として含む。上記ポリオレフィン系樹脂フィルムが多層フィルムである場合、該多層フィルムの上記塗膜形成面を形成する樹脂(該多層フィルムの上記塗膜が形成される側の表層を形成する樹脂)は、ポリオレフィン系樹脂を主として含む。上記ポリオレフィン系樹脂フィルムが多層フィルムである場合、該多層フィルムの上記塗膜形成面を形成する層以外の層を形成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主として含むものであってもよく、ポリオレフィン系樹脂を主として含むもの以外のものであってもよい。
【0021】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムは無延伸フィルムであってもよく、一軸延伸フィルムであってもよく、二軸延伸フィルムであってもよい。
【0022】
上記ポリオレフィン系樹脂基材は、実施形態のその他の1つにおいて、ポリオレフィン系樹脂の三次元成形体であってよい。ここで、三次元成形体とは、凹凸などの非平面形状を少なくともその一部に含む形状を有する成形体を意味する。
【0023】
上記三次元成形体は、単層の三次元成形体であってもよく、多層の三次元成形体であってもよい。上記三次元成形体が単層の三次元成形体である場合、該単層の三次元成形体を形成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主として含む。上記三次元成形体が多層の三次元成形体である場合、該多層の三次元成形体の上記塗膜形成面を形成する樹脂(上記多層の三次元成形体の上記塗膜が形成される側の表層を形成する樹脂)は、ポリオレフィン系樹脂を主として含む。上記三次元成形体が多層の三次元成形体である場合、上記多層の三次元成形体の上記塗膜形成面を形成する層以外の層を形成する樹脂は、ポリオレフィン系樹脂を主として含むものであってもよく、ポリオレフィン系樹脂を主として含むもの以外のものであってもよい。
【0024】
ここで、ポリオレフィン系樹脂を主として含むとは、上記単層フィルムを形成する樹脂、上記多層フィルムの上記塗膜形成面を形成する樹脂、上記単層の三次元成形体を形成する樹脂、又は上記多層の三次元成形体の上記塗膜形成面を形成する樹脂の総和を100質量%として、ポリオレフィン系樹脂を通常60質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上、典型的には99~100質量%含むことを意味する。
【0025】
上記ポリオレフィン系樹脂はα-オレフィン又は/及び環状オレフィンに由来する構成単位を主として含む樹脂である。
【0026】
上記α-オレフィンは炭素-炭素二重結合をα位に有するアルケンである。上記α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び4-メチル-ペンテン-1などをあげることができる。
【0027】
上記環状オレフィンは炭素原子で形成される脂環構造を有し、該環内に炭素-炭素二重結合を有する重合性の化合物である。上記環状オレフィンとしては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、ノルボルネン(ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン)、ジシクロペンタジエン(トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3,7-ジエン)、テトラシクロドデセン(テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ-3-エン)、及びこれらの誘導体などをあげることができる。
【0028】
ここでα-オレフィン又は/及び環状オレフィンに由来する構成単位を主として含むとは、上記ポリオレフィン系樹脂の全構成単位の総和を100質量%として、α-オレフィン又は/及び環状オレフィンに由来する構成単位の含有量が、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上、典型的には99~100質量%であることを意味する。
【0029】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、及びポリ4-メチル-ペンテン-1系樹脂などをあげることができる。
【0030】
上記ポリエチレン系樹脂はエチレンに由来する構成単位を主として含む樹脂である。上記ポリエチレン系樹脂中のエチレンに由来する構成単位の含有量は、全構成単位の総和を100質量%として、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、典型的には70~100質量%であってよい。
【0031】
上記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、並びにエチレン・1-ブテン共重合体、エチレン・1-ヘキセン共重合体、及びエチレン・1-オクテン共重合体等のエチレン・α-オレフィン共重合体などのポリエチレン;エチレン・アクリル酸エチル共重合体、及びエチレン・メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体;エチレン・アクリル酸共重合体、及びエチレン・メタクリル酸共重合体などのエチレン・不飽和カルボン酸共重合体;該エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂;並びに、エチレン・酢酸ビニル共重合体などをあげることができる。
【0032】
上記アイオノマー樹脂に用いられる上記金属イオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオン、及びマンガンイオンなどをあげることができる。
【0033】
上記ポリプロピレン系樹脂はプロピレンに由来する構成単位を主として含む樹脂である。上記ポリプロピレン系樹脂中のプロピレンに由来する構成単位の含有量は、全構成単位の総和を100質量%として、通常50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは65質量%以上、典型的には70~100質量%であってよい。
【0034】
上記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独重合体、及びプロピレンとα-オレフィン(例えば、エチレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び4-メチル-ペンテン-1など)の1種又は2種以上との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む)などのポリプロピレンをあげることができる。
【0035】
上記環状オレフィン系樹脂は上記環状オレフィンに由来する構成単位を主として含む樹脂である。上記環状オレフィン系樹脂中の上記環状オレフィンに由来する構成単位の含有量は、全構成単位の総和を100質量%として、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、典型的には90~100質量%であってよい。
【0036】
上記環状オレフィン系樹脂としては、例えば、上記環状オレフィン、好ましくはノルボルネンと上記α-オレフィン、好ましくは炭素数2~8のα-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンなど)、より好ましくはエチレンとの共重合体をあげることができる。
【0037】
上記ポリ4-メチル-ペンテン-1系樹脂は4-メチル-ペンテン-1に由来する構成単位を主として含む樹脂である。上記ポリ4-メチル-ペンテン-1系樹脂中の4-メチル-ペンテン-1に由来する構成単位の含有量は、全構成単位の総和を100質量%として、通常50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、典型的には90~100質量%であってよい。
【0038】
上記ポリ4-メチル-ペンテン-1系樹脂としては、例えば、4-メチル-ペンテン-1単独重合体、及び4-メチル-ペンテン-1とα-オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンなど)の1種又は2種以上との共重合体(ブロック共重合体、及びランダム共重合体を含む)などのポリ4-メチル-ペンテン-1をあげることができる。
【0039】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、積層体の用途、及びその要求特性、並びに上記工程(3)の予熱温度を勘案して、これらの1種、又は2種以上の混合物を適宜選択して用いることができる。
【0040】
これらのポリオレフィン系樹脂を用いて上記ポリオレフィン系樹脂フィルムを製膜する方法は、特に制限されず、公知のフィルム製膜方法を使用することができる。上記フィルム製膜方法としては、例えば、カレンダーロール圧延加工機、及び引巻取装置を備えるカレンダーロール圧延製膜装置を使用して製膜する方法;押出機、Tダイ、及び引巻取装置を備えるTダイ製膜装置を使用して製膜する方法;並びに、押出機、サーキュラーダイ、インフレーション装置、及びニップ機構を有する引巻取装置を備えるインフレーション製膜装置を使用して製膜する方法などをあげることができる。また、これらの方法で製膜した後、更に一軸延伸又は二軸延伸をしてもよい。
【0041】
積層体を光学分野に用いる場合、特にディスプレイ面板などを擦傷、傷付き、及び汚染物質の付着などから保護するために用いる場合には、光学的等方性が高く、高透明性、高耐熱性を有し、低吸湿性であることから、環状オレフィン系樹脂、及びポリ4-メチル-ペンテン-1のフィルムが好ましい。三次元形状/立体的形状を有する物品の表面を擦傷、傷付き、及び汚染物質の付着などから保護するために積層体を用いる場合には、ストレッチ性あるいは柔軟性を有することから、ポリエチレン系樹脂、及びポリプロピレン系樹脂のフィルムが好ましい。
【0042】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、本発明の製造方法により生産される積層体の用途、及びその要求特性、並びに取扱性を勘案して適宜決定することができる。上記積層体を高い剛性を必要としない用途に用いる場合には、取扱性の観点から、通常10μm以上、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上であってよい。一方、経済性の観点から、通常250μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下であってよい。上記積層体を高い剛性を必要とする用途に用いる場合には、通常200μm以上、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上であってよい。一方、物品の薄型化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下であってよい。
【0043】
これらのポリオレフィン系樹脂を用いて上記三次元成形体を製造する方法は、特に制限されず、公知の成形加工方法を使用することができる。上記成形加工方法としては、例えば、射出成形、ブロー成形、及び押出成形などの方法、並びに、公知のフィルム製膜方法を使用して肉厚のフィルム(シート)を製膜した後、該肉厚のフィルム(シート)をメンブレンプレス成形、圧空プレス成形、真空成形、及び真空圧空成形などの三次元成形法により三次元形状を付与する方法などをあげることができる。
【0044】
上記三次元成形体の厚みは、本発明の製造方法により生産される積層体の用途、及びその要求特性、並びに取扱性を勘案して適宜決定することができる。上記三次元成形体の厚みは、形状を保持するのに必要な剛性を付与する観点から、通常200μm以上、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上であってよい。一方、物品の軽量化の要求に応える観点から、通常1500μm以下、好ましくは1000μm以下、より好ましくは700μm以下であってよい。
【0045】
上記塗膜の形成用の塗料については、後述する「2.塗膜形成用塗料」において説明する。
【0046】
上記工程(1)において、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成する方法は、特に制限されず、公知の塗布方法を使用することができる。
【0047】
上記ポリオレフィン系樹脂基材が上記ポリオレフィン系樹脂フィルムである場合、上記塗布方法としては、ロール・トゥ・ロールの方法で生産性良く塗料を塗布する観点から、例えば、ロッドコート、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、キスリバースコート、及びダイコートなどの方法が好ましい。
【0048】
上記ポリオレフィン系樹脂基材が上記三次元成形体である場合、上記塗布方法としては、例えば、ディップコート、スプレーコート、スピンコート、及びエアナイフコートなどの方法をあげることができる。
【0049】
上記工程(1)において形成されるウェット塗膜の厚み(上記塗料の塗布量)は、上記塗料の固形分濃度を勘案し、後述する工程(4)において形成される完全硬化された塗膜の厚みが後述する好ましい範囲に入るようにする観点から、適宜決定することができる。
【0050】
上記工程(1)の前に、上記ポリオレフィン系樹脂基材の上記塗膜形成面に、コロナ処理、プラズマ処理、及び紫外線処理などの易接着処理をしてもよく、しなくてもよい。本発明の好ましい製造方法では、該易接着処理をしなくても、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着強度が十分に発現する。そのため、本発明の好ましい製造方法では、上記易接着処理は省略することができる。
【0051】
工程(2)
上記工程(2)は、上記中間積層体1の有する上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、上記ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に該未硬化塗膜を有する中間積層体2を得る工程である。
【0052】
上記予備乾燥は、例えば、上記中間積層体1を、通常50℃以上、好ましくは60℃以上、より好ましくは温度65℃以上、更に好ましくは70℃以上、より更に好ましくは75℃以上、最も好ましくは80℃以上の温度、かつ上記ポリオレフィン系樹脂基材の耐熱性を勘案した温度以下に設定された乾燥炉内を、入口から出口までパスするのに要する時間が0.5~10分程度、好ましくは1~5分となるようなライン速度でパスさせることにより行うことができる。
【0053】
工程(3)
上記工程(3)は、上記中間積層体2を温度65℃以上に予熱する工程である。
【0054】
理論に拘束される意図はないが、上記中間積層体2が予熱された状態において活性エネルギー線を照射することにより、上記成分(B)水素引抜型光開始剤による水素原子の引抜が、上記未硬化塗膜と接している上記ポリオレフィン系樹脂基材の面でも十分な量で起こって反応サイトが形成され、密着性が高まると考察している。
【0055】
上記予熱の方法としては、例えば、上記工程(2)の予備乾燥温度を65℃以上に設定することにより、上記ウェット塗膜の予備乾燥(上記中間積層体1を上記中間積層体2にする工程)と上記中間積層体2の予熱を兼ねて行う方法;及び、フラッシュランプアニーリング装置やエキシマレーザーアニーリング装置などの非接触式加熱装置を使用する方法などをあげることができる。上記ポリオレフィン系樹脂基材が上記ポリオレフィン系樹脂フィルムである場合、上記予熱の方法は、上記中間積層体2を温度65℃以上に設定した予熱ロールに抱かせて搬送する方法であってよい。更に、上記予熱の方法は、これらの方法の組合せであってよい。
【0056】
上記予熱の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上、更に好ましくは80℃以上であってよい。一方、上記予熱の温度は、上記ポリオレフィン系樹脂基材の耐熱性を勘案した温度以下である。上記予熱の温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは100℃以下であってよい。
【0057】
工程(4)
上記工程(4)は、上記工程(3)により予熱されている上記中間積層体2に活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程である。上記照射は、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜側の面から照射してもよく、上記未硬化塗膜とは反対側の面から照射してもよい。上記照射は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点からは、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜とは反対側の面から照射することが好ましい。
【0058】
理論に拘束される意図はないが、上記成分(B)水素引抜型光開始剤は、紫外線吸収剤としても機能する化合物である。そのため、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜とは反対側の面から照射することにより、上記未硬化塗膜が含有する上記成分(B)水素引抜型光開始剤のうち、上記未硬化塗膜中の上記ポリオレフィン系樹脂基材近傍に存在するものが優先的に作用し、密着性を十分に向上させることができると考察している。
【0059】
一方、上記照射は、ウェブハンドリング性ないしは全く硬化されていない未硬化塗膜の裏面から活性エネルギー線を照射するための装置上の不都合の観点、及び、最低限の照射量で上記未硬化塗膜を完全硬化させ、上記塗膜の着色(黄変)を防止する観点からは、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜側の面から照射することが好ましい。そのため、上記照射を、上記中間積層体2の上記未硬化塗膜側とは反対側の面から照射するサブ工程(4-1)と上記未硬化塗膜側の面から照射するサブ工程(4-2)を含むように行うのは、より好ましい実施形態の1つである。上記サブ工程(4-1)と上記サブ工程(4-2)は同時に行ってもよく、上記サブ工程(4-1)を行った後、上記サブ工程(4-2)を行ってもよく、上記サブ工程(4-2)を行った後、上記サブ工程(4-1)を行ってもよい。ウェブハンドリング性ないしは上記装置上の不都合の観点からは、上記サブ工程(4-2)を行った後、上記サブ工程(4-1)を行う方が便宜である。
【0060】
上記照射の積算照射量は、上記未硬化塗膜を完全硬化する観点、及び上記塗膜の着色(黄変)を防止する観点から、塗膜の厚みを勘案して適宜選択して決定することができる。上記積算照射量は、通常10~10000mJ/cm2、好ましくは300~3000mJ/cm2、より好ましくは400~2000mJ/cm2、更に好ましくは500~1500mJ/cm2、最も好ましくは600~1200mJ/cm2であってよい。ここで、上記積算照射量は、上記サブ工程(4-1)と上記サブ工程(4-2)を有する場合は、上記サブ工程(4-1)と上記サブ工程(4-2)の合計の積算照射量である。
【0061】
上記サブ工程(4-1)と上記サブ工程(4-2)の何れかのサブ工程を行った後、他方のサブ工程を行う場合は、上記成分(B)水素引抜型光開始剤が、先に行うサブ工程において費消せずに残存し、後から行うサブ工程においても有効に働くようにする観点から、先に行うサブ工程の積算照射量をある程度低いレベル(通常、所望の全積算照射量の10~70%、好ましくは20~60%であってよい)に抑制することは好ましい実施形態の1つである。
【0062】
上記工程(4)において形成される完全硬化された塗膜の厚みは、本発明の製造方法により生産される積層体の用途、及びその要求特性、並びに取扱性を勘案して適宜決定することができる。上記塗膜の厚みは、表面硬度及び耐擦傷性の観点から、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは2μm以上、最も好ましくは3μm以上であってよい。一方、上記塗膜の厚みは、上記ポリオレフィン系樹脂基材が上記ポリオレフィン系樹脂フィルムである場合、上記積層体の耐屈曲性を良好に保ち、フィルムロールとして容易に取り扱えるようにする観点、及びカールを抑制する観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であってよい。上記塗膜の厚みは、上記ポリオレフィン系樹脂基材が上記三次元成形体である場合、上記工程(1)において上記ウェット塗膜を形成する際の作業性の観点から、通常60μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下であってよい。
【0063】
上記工程(4)の後、エージング処理を行ってもよい。積層体の特性を安定化することができる。
【0064】
2.塗膜形成用塗料:
本発明の製造方法は、上記塗膜の形成用の塗料として、上記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂;及び、上記(B)水素引抜型光開始剤を含む塗料を用いる。本発明の製造方法は、典型的な実施形態の1つにおいて、上記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、上記(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;を含む塗料を用いる。
【0065】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂:
上記塗料は上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂を含む。上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により重合・硬化して、塗膜を形成する働きをする。
【0066】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、アリル基を有する化合物、チオール基を有する化合物、ビニルエーテル基を有する化合物、N‐置換(メタ)アクリルアミド化合物、及び芳香族ビニル化合物などをあげることができる。
【0067】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、アクリロイル基(-CO-CH=CH2)又はメタクリロイル基(-CO-C(CH3)=CH2)を1分子中に1個以上有する化合物である。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が1分子中に有する(メタ)アクリロイル基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。本明細書において、(メタ)アクリロイル基はアクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
【0068】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート、及び、ポリエーテル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有プレポリマー又はオリゴマー;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‘-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、及び、2,2’-ビス(4-(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパンなどの1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールエタントリ(メタ)アクリレートなどの1分子中に3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの1分子中に4個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物;並びに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの1分子中に6個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物などをあげることができる。本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0069】
上記アリル基を有する化合物は、1分子中に1個以上のアリル基(2-プロペニル基:-CH2-CH=CH2)を有する化合物である。上記アリル基を有する化合物が1分子中に有するアリル基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
【0070】
上記アリル基を有する化合物としては、例えば、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、及びペンタエリスリトールトリアリルエーテルなどのアリルエーテル基(-O-CH2-CH=CH2)を有する化合物;マレイン酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、及びトリメリット酸トリアリルなどのアリルエステル基(-CO-CH2-CH=CH2)を有する化合物;1,3,5-トリ-2-プロペニル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなどのアリルイソシアヌレート化合物;並びに、グリセリンジアリルモノグリシジルエーテル、アリルグリシジルフタレート、及びアリルグリシジルヘキサヒドロフタレートなどのアリルグリシジル化合物などをあげることができる。
【0071】
上記チオール基を有する化合物は、1級チオール基、2級チオール基、及び3級チオール基からなる群から選択される1種以上を、1分子中に1個以上有する化合物である。上記チオール基を有する化合物が1分子中に有するチオール基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
【0072】
上記チオール基を有する化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、3-メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、及びステアリル-3-メルカプトプロピオネートなどの1分子中に1個の1級チオール基を有する化合物;テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)などの1分子中に2個の1級チオール基を有する化合物;トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、及びトリス-((3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル)-イソシアヌレートなどの1分子中に3個の1級チオール基を有する化合物;ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)などの1分子中に4個の1級チオール基を有する化合物;ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)などの1分子中に6個の1級チオール基を有する化合物;1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタンなどの1分子中に2個の2級チオール基を有する化合物;1,3,5-トリス(2-(3-スルファニルブタノイルオキシ)エチル)-1,3,5-トリアジナン-2,4,6-トリオン、及びトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)などの1分子中に3個の2級チオール基を有する化合物;並びに、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)などの1分子中に4個の2級チオール基を有する化合物などをあげることができる。
【0073】
上記ビニルエーテル基を有する化合物は、ビニルエーテル基(-O-CH=CH2)を1分子中に1個以上有する化合物である。上記ビニルエーテル基を有する化合物が1分子中に有するビニルエーテル基の数は、塗料の硬化性の観点から、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上であってよい。一方、塗膜の耐クラック性の観点から、通常20個以下、好ましくは12個以下、より好ましくは8個以下であってよい。
【0074】
上記ビニルエーテル基を有する化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、及び2-エチルヘキシルビニルエーテルなどの1分子中に1個のビニルエーテル基を有する化合物;ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、1,4-ブダンジオールジビニルエーテル、及び1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテルなどの1分子中に2個のビニルエーテル基を有する化合物;並びに、トリメチロールプロパントリビニルエーテルなどの1分子中に3個のビニルエーテル基を有する化合物などをあげることができる。
【0075】
上記N-置換(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、及びN-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどをあげることができる。
【0076】
上記芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、及び4-メチルスチレンなどをあげることができる。
【0077】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂としては、これらの中で、上記塗膜の硬化性の観点から、上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましく、上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「多官能(メタ)アクリレート」と呼ぶことがある)がより好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート)が更に好ましい。
【0078】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂としては、これらの中で、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点から、アクリル当量が300以下の多官能(メタ)アクリレートが好ましく、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート)であって、アクリル当量が300以下の化合物が更に好ましい。
【0079】
アクリル当量は、下記式(1)で定義される。
A=M/χ ・・・(1)
式(1)中、Aはアクリル当量、Mは化合物の分子量、χは1分子中の(メタ)アクリロイル基の数である。
【0080】
ここで、化合物の分子量は、化合物の分子式を決定できる場合は、分子式から算出される分子量である。ポリウレタン(メタ)アクリレート等のプレポリマー又はオリゴマーなど、化合物の分子式が決定できない場合にあっては、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略すことがある)により測定した微分分子量分布曲線(以下、GPC曲線と略すことがある)から求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)である。
【0081】
GPCの測定は、システムとして東ソー株式会社の高速液体クロマトグラフィーシステム「HLC-8320(商品名)」(デガッサー、送液ポンプ、オートサンプラー、カラムオーブン及びRI(示差屈折率)検出器を含むシステム)を使用し;GPCカラムとしShodex社のGPCカラム「KF-806L(商品名)」を2本、「KF-802(商品名)」及び「KF-801(商品名)」を各1本の合計4本を、上流側からKF-806L、KF-806L、KF-802、及びKF-801の順に連結して使用し;和光純薬工業株式会社の高速液体クロマトグラフ用テトラヒドロフラン(安定剤不含)を移動相として;流速1.0ミリリットル/分、カラム温度40℃、試料濃度1ミリグラム/ミリリットル、及び試料注入量100マイクロリットルの条件で行うことができる。各保持容量における溶出量は、測定試料の屈折率の分子量依存性が無いと見なしてRI検出器の検出量から求めることができる。また保持容量からポリスチレン換算分子量への較正曲線は、市販の標準ポリスチレンを使用して作成することができる。その際に測定値が検量線において内挿されるように適宜選択すべきことに留意する。解析プログラムは、東ソー株式会社の「TOSOH HLC‐8320GPC EcoSEC(商品名)」を使用することができる。なおGPCの理論及び測定の実際については、共立出版株式会社の「サイズ排除クロマトグラフィー 高分子の高速液体クロマトグラフィー、著者:森定雄、初版第1刷1991年12月10日」、株式会社オーム社の「合成高分子クロマトグラフィー、編者:大谷肇、寶崎達也(「崎」はつくりの上部が「立」)、初版第1刷2013年7月25日」などの参考書を参照することができる。
【0082】
上記多官能(メタ)アクリレートのアクリル当量は、上記ポリオレフィン系樹脂フィルムと上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点から、好ましくは300以下、より好ましくは270以下、更に好ましくは240以下、より更に好ましくは200以下、最も好ましく160~85であってよい。
【0083】
上記多官能(メタ)アクリレートとして2種以上の多官能(メタ)アクリレートの混合物を用いる場合には、各多官能(メタ)アクリレートのアクリル当量とその配合比(質量比)から算出される上記混合物のアクリル当量が上述の範囲となるようにすればよい。
【0084】
上記混合物のアクリル当量は、下記式(2)で算出することができる。
Am=a1×w1+a2×w2+a3×w3+・・・ ・・・(2)
ここで、Amは上記混合物のアクリル当量、a1、a2、a3・・・は各多官能(メタ)アクリレートのアクリル当量、w1、w2、w3・・・は各多官能(メタ)アクリレートの配合比(質量比)である。
【0085】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂は、実施形態の1つにおいて、上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物以外の活性エネルギー線硬化性樹脂(以下、「その他の活性エネルギー線硬化性樹脂」と呼ぶことがある)、例えば、アリル基を有する化合物、チオール基を有する化合物、ビニルエーテル基を有する化合物、N‐置換(メタ)アクリルアミド化合物、及び芳香族ビニル化合物から選択される何れか1種以上を含まないものであってよい。ここで、上記その他の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れか1種を含まないとは、該樹脂を意図的に配合していないことを意味する。従って、上記その他の活性エネルギー線硬化性樹脂の何れか1種を含まないとは、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂の総和を100質量%として、該樹脂の量が、通常0.1質量%未満、好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下と言い換えることもできる。
【0086】
上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、実施形態の1つにおいて、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、エポキシ基、アリル基、チオール基、ビニルエーテル基、イソシアネート基、及び加水分解性基から選択される何れか1種以上の官能基を有さないものであってよい。上記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、実施形態の1つにおいて、(メタ)アクリロイル基、及び水酸基以外の官能基を有さないものであってよい。
【0087】
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0088】
(B)水素引抜型光開始剤:
上記塗料は上記成分(B)水素引抜型光開始剤を含む。上記成分(B)水素引抜型光開始剤は、特定波長の光を吸収して励起状態となり、周囲にある水素供与体から水素を引抜いてラジカルを発生させる化合物である。上記成分(B)水素引抜型光開始剤はラジカルを発生することにより、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂を重合、硬化させる働きをする。
【0089】
上記成分(B)水素引抜型光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アントラキノン系化合物、及びチオキサントン系化合物、並びにヘキサアリールビスイミダゾールなどをあげることができる。
【0090】
上記ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び2,4,6-トリメチルベンゾフェノンなどをあげることができる。
【0091】
上記アントラキノン系化合物としては、例えば、メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、及び2-アミルアントラキノンなどをあげることができる。
【0092】
上記チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、及び2,4-ジイソプロピルチオキサントンなどをあげることができる。
【0093】
これらの中で、塗膜の着色を抑制する観点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。
【0094】
上記成分(B)水素引抜型光開始剤としてはこれらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0095】
上記成分(B)水素引抜型光開始剤の配合量は、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性の観点から、通常1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは4質量部以上であってよい。一方、上記塗膜の着色を抑制する観点から、通常30質量部以下、好ましくは20質量部以下、より好ましくは12質量部以下であってよい。
【0096】
上記塗料は、本発明の目的に反しない限度において、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂及び上記成分(B)水素引抜型光開始剤以外のその他の任意成分を更に含むものであってよい。上記その他の任意成分としては、例えば、消泡剤、レベリング剤、界面活性剤、チクソ性付与剤、帯電防止剤、汚染防止剤、印刷性改良剤、酸化防止剤、耐候性安定剤、耐光性安定剤、紫外線吸収剤(上記成分(B)水素引抜型光開始剤に該当する化合物を除く)、水素引抜型以外の光開始剤、熱安定剤、無機粒子、有機粒子、無機着色剤、及び有機着色剤などの添加剤をあげることができる。上記その他の任意成分としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。上記その他の任意成分の配合量は、任意成分であるから、本発明の目的に反しない限度において、特に制限されない。上記その他の任意成分の配合量は、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、通常10質量部以下、5質量部以下、1質量部以下、あるいは0.01~10質量部程度であってよい。
【0097】
また上記塗料は、上記その他の任意成分の何れか1種以上を含まないものであってよい。ここで、上記その他の任意成分の何れか1種を含まないとは、上記その他の任意成分の何れか1種を意図的に配合していないことを意味する。従って、上記その他の任意成分の何れか1種を含まないとは、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、当該その他の任意成分の配合量が、通常0.1質量部未満、好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.001質量部以下と言い換えることもできる。
【0098】
上記塗料は、好ましい実施形態の1つにおいて、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点から、分子内開裂型光開始剤を含まないものであってよい。上記分子内開裂型光開始剤は、特定波長の光を吸収して特定部位の結合が切断され、その切断部位にラジカルを発生させる化合物である。ここで、上記分子内開裂型光開始剤を含まないとは、上記分子内開裂型光開始剤を意図的に配合していないことを意味する。従って、上記分子内開裂型光開始剤を含まないとは、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記分子内開裂型光開始剤の配合量が、通常0.1質量部未満、好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.001質量部以下と言い換えることもできる。
【0099】
理論に拘束される意図はないが、上記分子内開裂型光開始剤は、励起状態となっている上記成分(B)水素引抜型光開始剤からエネルギーを吸収して基底状態に戻し、結果として、上記未硬化塗膜と接している上記ポリオレフィン系樹脂基材の面からの水素原子の引抜きを抑制していると考察している。
【0100】
上記塗料は、好ましい実施形態の1つにおいて、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点から、脂肪族系三級アミン化合物を含まないものであってよい。ここで、上記脂肪族系三級アミン化合物を含まないとは、上記脂肪族系三級アミン化合物を意図的に配合していないことを意味する。従って、上記脂肪族系三級アミン化合物を含まないとは、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記脂肪族系三級アミン化合物の配合量が、通常0.1質量部未満、好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.001質量部以下と言い換えることもできる。この実施形態において、上記脂肪族系三級アミン化合物であって、かつ、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂でもあるものは、上記脂肪族系三級アミン化合物である。即ち、この実施形態においては、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂から、上記脂肪族系三級アミン化合物でもあるものは除くものとする。
【0101】
上記塗料は、好ましい実施形態の他の1つにおいて、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との密着性、特に湿熱試験後の密着性の観点から、アミン化合物を含まないものであってよい。ここで、上記アミン化合物を含まないとは、上記アミン化合物を意図的に配合していないことを意味する。従って、上記アミン化合物を含まないとは、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂100質量部に対して、上記アミン化合物の配合量が、通常0.1質量部未満、好ましくは0.01質量部以下、より好ましくは0.001質量部以下と言い換えることもできる。この実施形態において、上記アミン化合物であって、かつ、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂でもあるものは、上記アミン化合物である。即ち、この実施形態においては、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂から、上記アミン化合物でもあるものは除くものとする。
【0102】
上記塗料は、塗工し易い濃度に希釈するため、所望に応じて溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤は、上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂、上記成分(B)水素引抜型光開始剤、及びその他の任意成分と反応したり、これらの成分の自己反応(劣化反応を含む)を触媒(促進)したりしないものであれば、特に制限されない。上記溶剤としては、例えば、1-メトキシ-2-プロパノール、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ダイアセトンアルコール、及びアセトンなどをあげることができる。上記溶剤としては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0103】
上記塗料は、これらの成分を混合、攪拌することにより得ることができる。
【0104】
3.積層体
本発明の積層体は、ポリオレフィン系樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体である。本発明の積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが直接積層されている。即ち、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜との間に易接着層(アンカーコート)などの別の層を1層以上介在させる態様は、本発明の積層体から除かれる。
【0105】
本発明の積層体が有する上記塗膜は、(A)活性エネルギー線硬化性樹脂;及び、(B)水素引抜型光開始剤を含む塗料から形成される。該塗料は、典型的な実施形態の1つにおいて、上記(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、上記(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;を含む。
【0106】
本発明の積層体が有する上記塗膜、及びその形成用塗料、並びに本発明の積層体を構成する上記ポリオレフィン系樹脂基材については、「1.積層体の製造方法」、「2.塗膜形成用塗料」で説明した。
【0107】
本発明の積層体は、上記ポリオレフィン系樹脂基材と上記塗膜とが十分な密着強度で直接積層されている。本発明の積層体は、碁盤目試験を、JIS K5600-5-6:1999に従い、上記積層体の上記塗膜面側から碁盤目の切れ込みを入れて行ったとき、好ましくは分類0、分類1、分類2、又は分類3であり、より好ましくは分類0、分類1、又は分類2であり、更に好ましくは分類0、又は分類1であり、最も好ましくは分類0であってよい。
【0108】
本発明の積層体を製造する方法は、特に制限されず、任意の製造方法であってよい。本発明の積層体を製造する好ましい方法としては、「1.積層体の製造方法」で上述した方法(本発明の製造方法)をあげることができる。
【0109】
4.物品
本発明の物品は、積層体を含む物品である。ここで、該積層体は、本発明の製造方法により生産された積層体、又は本発明の積層体である。本発明の物品は、典型的な実施形態の1つにおいて、該物品の表面の一部又は全部を、上記積層体の有する上記塗膜が形成する。本発明の物品は、別の実施形態の1つにおいて、該物品の表面であって、耐擦傷性を求められる箇所を上記積層体の有する上記塗膜が形成する。
【0110】
本発明の物品としては、例えば、テレビ、パソコン、タブレット型情報機器、及びスマートフォンなどの画像表示装置、並びにこれらのディスプレイ面板及び筐体;車両の窓、車体、風防、ルーフウィンドウ、及びインストルメントパネル;冷蔵庫、洗濯機、食器棚、衣装棚、ショーウインドウ、及びこれらを構成するパネル;並びに、建築物の窓ガラス、ヘッドアップディスプレイ、電子看板、及び太陽電池などをあげることができる。
【実施例0111】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0112】
測定方法
(イ)碁盤目試験:
JIS K5600-5-6:1999に従い、積層体の塗膜層側から碁盤目の切れ込みを100マス(1マス=1mm×1mm)入れた後、密着試験用テープを碁盤目へ貼り付けて指でしごいた後、剥がすことにより、碁盤目試験(樹脂フィルムと塗膜との密着性評価)を行った。評価基準はJISの上記規格の表1に従った。
分類0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にも剥れがない。
分類1:カットの交差点における塗膜の小さな剥れ。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
分類2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点において剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
分類3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
分類4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大剥れを生じており、及び/又は数箇所の目が、部分的又は全面的に剥れている。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
分類5:剥れの程度が分類4を超える場合。
【0113】
(ロ)湿熱試験後碁盤目試験:
積層体を温度60℃、相対湿度90%の恒温恒湿槽内で500時間処理した後、上記試験(イ)碁盤目試験と同様にして湿熱試験後碁盤目試験を行った。
【0114】
(ハ)鉛筆硬度:
JIS K5600-5-4:1999に従い、試験長さ25mm、及び荷重750gの条件で、三菱鉛筆株式会社の鉛筆「ユニ(商品名)」を用い、積層体の塗膜表面について鉛筆硬度を測定した。傷跡が生じたか否かの判定は、蛍光灯下、蛍光灯から50cm離れた位置において、サンプル表面を目視観察することにより行った。
【0115】
(ニ)黄色度指数;
JIS K7105:1981に従い、島津製作所社製の色度計「SolidSpec-3700(商品名)」を用いて黄色度指数を測定した。
【0116】
使用した原材料
(P)ポリオレフィン系樹脂基材:
(P-1)日本ゼオン株式会社の環状オレフィン系樹脂フィルム「ゼオノアフィルム ZF-16(商品名)」。厚み100μm、易接着処理のされていないタイプ、積層体を製造する直前に測定した該樹脂フィルムの塗膜形成面の濡れ指数は38mN/mであった。
(P-2)株式会社プライムポリマーのポリプロピレン「F-730NV(商品名)」を用い、40mm押出機、Tダイ、及び引巻取装置を備えるTダイ製膜装置を使用し、Tダイ出口樹脂温度250℃の条件で、厚み50μmのポリプロピレンフィルムを製膜した。易接着処理は行わなかった。積層体を製造する直前に測定した該樹脂フィルムの塗膜形成面の濡れ指数は37mN/mであった。
【0117】
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂:
(A-1)日本化薬株式会社の「KAYARAD DPHA(商品名)」。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物。該混合物は水酸基を0.63モル/Kg有することから、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(アクリル当量96)の質量比は0.67、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(アクリル当量105)の質量比は0.33、混合物としてのアクリル当量は99と算出される。
(A-2)ペンタエリスリトールトリアクリレート。CAS番号3524-68-3、アクリル当量99。
(A-3)ペンタエリスリトールテトラアクリレート。CAS番号4986-89-4、アクリル当量88。
(A-4)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN-954(商品名)」。固形分60質量%、官能基数(1分子当たりの(メタ)アクリロイル基の数。以下、同じ)6、数平均分子量2000、質量平均分子量4800、Z平均分子量9600、アクリル当量333。
(A-5)根上工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「アートレジンUN-952(商品名)」。固形分60質量%、官能基数10、数平均分子量2500、質量平均分子量9100、Z平均分子量23000、アクリル当量250。
(A-6)新中村化学工業株式会社の多官能ウレタン(メタ)アクリレート「U-6LPA(商品名)」。官能基数6、数平均分子量1050、質量平均分子量1420、Z平均分子量2080、アクリル当量175。
(A-7)共栄社化学株式会社のグリセリンジグリシジルエーテルアクリル酸付加物「エポキシエステル80MFA(商品名)」。官能基数2、アクリル当量174。
(A-8)東亜合成株式会社のジトリメチロールプロパンテトラアクリレート「アロニックスM-408(商品名)」。CAS番号94108-97-1、アクリル当量117。
【0118】
(B)水素引抜型光開始剤
(B-1)4-メチルベンゾフェノン。CAS番号134-84-9。
(B-2)2,4-ジエチルチオキサントン。CAS番号82799-44-8。
【0119】
(C)水素引抜型以外の光開始剤
(C-1)IGM Resins社のα-ヒドロキシアルキルフェノン系光開始剤(1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン)「Omnirad 184(商品名)」。分子内開裂型光開始剤。
【0120】
(D)その他の成分
(D-1)脂肪族系三級アミン化合物(N-(2-ジメチルアミノエチル)アクリルアミド)。CAS番号925-76-8
【0121】
例1
(a)塗膜形成用塗料の調製
上記(A-1)100質量部、上記(B-1)5質量部、及びメチルエチルケトンと1-メトキシ-2-プロパノールとの1:1(質量比)混合溶媒を混合撹拌し、固形分30質量%の塗膜形成用塗料を得た。
(b)工程(1)
該塗膜形成用塗料を用い、フィルムメイヤーバー方式の塗工装置を使用し、上記(P-1)の片面の上に、硬化後の厚みが8μmとなるようにウェット塗膜を形成し、上記(P-1)の片面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得た。
(c)工程(2)及び工程(3)
次に、該中間積層体1を炉内温度80℃に設定した乾燥炉を、入口から出口までパスするのに要する時間が1分間となるライン速度でパスさせて上記ウェット塗膜を乾燥し、上記(P-1)の片面の上に未硬化塗膜を有する中間積層体2を得るとともに、温度80℃に予熱した。
(d)工程(4)
続いて、
図1に概念図を示す硬化装置を使用して該中間積層体2の有する未硬化塗膜を完全硬化した。該硬化装置は、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置1と鏡面金属ロール3、及び高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置2と鏡面金属ロール4が対向配置されており、最初に中間積層体2の未硬化塗膜側の面からの照射(高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置1によるサブ工程(4-2))、次に中間積層体2の未硬化塗膜面とは反対側の面からの照射(高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置2によるサブ工程(4-1))ができるようになっている。例1においては、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置1による積算光量800mJ/cm
2、鏡面金属ロール3の温度80℃の条件で処理し、上記(P-1)の片面の上に塗膜(完全硬化塗膜)を有する積層体を得た。このとき、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置2による照射は行わなかった。また、鏡面金属ロール4は加温しなかった。
(e)積層体の評価
上記試験(イ)~(ニ)を行った。結果を表1に示す。
【0122】
例2~9、11~15
塗膜形成用塗料の配合を表1に示すように変更したこと以外は、例1と同様にして上記(P-1)の片面の上に塗膜(完全硬化塗膜)を有する積層体を得た。上記試験(イ)~(ニ)を行った。結果を表1又は2に示す。
【0123】
例10
塗膜形成用塗料の配合を表1に示すように変更し、未硬化塗膜を完全硬化する工程の条件を高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置1による積算光量400mJ/cm2、鏡面金属ロール3の温度80℃、高圧水銀灯タイプの紫外線照射装置2による積算光量400mJ/cm2、及び鏡面金属ロール4の温度80℃に変更したこと以外は、例1と同様にして上記(P-1)の片面の上に塗膜(完全硬化塗膜)を有する積層体を得た。上記試験(イ)~(ニ)を行った。結果を表1に示す。
【0124】
例16
上記(P-1)の替わりに上記(P-2)を用いたこと以外は、例1と同様にして上記(P-2)の片面の上に塗膜(完全硬化塗膜)を有する積層体を得た。上記試験(イ)~(ニ)を行った。結果を表2に示す。
【0125】
例17~24
塗膜形成用塗料の配合、及び未硬化塗膜を完全硬化する工程の条件を表1に示すように変更したこと以外は、例1と同様にして上記(P-1)の片面の上に塗膜(完全硬化塗膜)を有する積層体を得た。上記試験(イ)~(ニ)を行った。結果を表2に示す。
【0126】
【0127】
【0128】
本発明の製造方法により生産される積層体は、ポリオレフィン系樹脂基材の面の上に、活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする塗料を用いて形成される塗膜(ハードコート)が直接積層されているにも係わらず、両者が十分な密着強度で積層されていることが分かった。更に、本発明の好ましい製造方法により生産される積層体は、湿熱試験後においても十分な密着強度を維持していることが分かった。
【0129】
更に、例1と例18の積層体については、JIS K 7361-1:1997に従い、日本電色工業株式会社の濁度計「NDH2000(商品名)」を使用して全光線透過率(単位:%)を測定した。結果は、例1が90.5%、例2が90.3%であり、光学分野に用いるのに好適な透明性を有していることが分かった。
【0130】
本発明の製造方法では、樹脂基材として、ポリオレフィン系樹脂基材を用いた場合でも十分な密着強度を発現するのであるから、ポリオレフィン系樹脂基材以外の樹脂基材の面の上に直接、活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする塗料を用いて塗膜(ハードコート)を形成する際にも有用であることは、当業者にとって自明であろう。このような実施形態の例は以下のように要約される。またこのとき、本発明の製造方法の説明中の「ポリオレフィン系樹脂基材」を「樹脂基材」と読み替えて発明を実施すればよいことは言うまでもない。
[1].
樹脂基材の一部又は全部の面の上に塗膜を有する積層体の製造方法であって、
上記樹脂基材と上記塗膜とは直接積層されており、
(1)上記樹脂基材の一部又は全部の面の上に、上記塗膜の形成用の塗料を用いてウェット塗膜を形成し、上記樹脂基材の一部又は全部の面の上に該ウェット塗膜を有する中間積層体1を得る工程;
(2)上記ウェット塗膜を予備乾燥して未硬化塗膜にし、上記樹脂基材の一部又は全部の面の上に該未硬化塗膜を有する中間積層体2を得る工程;
(3)上記中間積層体2を温度65℃以上に予熱する工程;及び、
(4)活性エネルギー線を照射し、上記未硬化塗膜を完全硬化する工程;
を含み、ここで、上記塗料は、
(A)活性エネルギー線硬化性樹脂 100質量部;及び、
(B)水素引抜型光開始剤 1~30質量部;
を含む、上記積層体の製造方法:
但し、上記樹脂基材の上記塗膜の形成面がポリオレフィン系樹脂で形成されているものを除く。
[2].
上記成分(A)活性エネルギー線硬化性樹脂が多官能(メタ)アクリレートを含む、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[3].
上記多官能(メタ)アクリレートがアクリル当量300以下の多官能(メタ)アクリレートを含む、[2]項に記載の積層体の製造方法。
[4].
上記工程(4)が、少なくとも上記中間積層体2の上記未硬化塗膜とは反対側の面から活性エネルギー線を照射するサブ工程を含む、[1]項に記載の積層体の製造方法。
[5].
上記塗料が分子内開裂型光開始剤を含まない、[1]項に記載の積層体の製造方法。