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特開2024-152112機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152112
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241018BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20241018BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066095
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】常冨 博之
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096BA05
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA67
5L096GA34
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化可能な機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置を提供すること。
【解決手段】機械学習装置2は、無人飛行体の飛行規制の対象となる施設である規制対象施設と、基準点と、を被写体として含む学習用写真を入力データとして取得する入力データ取得部22と、写真中で規制対象施設が写されている範囲に関する範囲情報と、規制対象施設と基準点との距離に関する距離情報と、をラベルとして取得するラベル取得部23と、入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む写真に規制対象施設が含まれるか否かを判定し、当該写真に規制対象施設が含まれると判定した場合には、規制対象施設と点検対象物との距離を推定するための学習モデルを構築するモデル構築部25と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体の飛行規制の対象となる施設である規制対象施設と、基準点と、を被写体として含む学習用写真を入力データとして取得する入力データ取得部と、
写真中で前記規制対象施設が写されている範囲に関する範囲情報と、前記規制対象施設と前記基準点との距離に関する距離情報と、をラベルとして取得するラベル取得部と、
前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む写真に前記規制対象施設が含まれるか否かを判定し、当該写真に前記規制対象施設が含まれると判定した場合には、前記規制対象施設と前記点検対象物との距離を推定するための学習モデルを構築するモデル構築部と、
を備える機械学習装置。
【請求項2】
前記ラベル取得部は、前記規制対象施設の種別に関する種別情報を前記ラベルとして更に取得し、
前記モデル構築部は、前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記規制対象施設の種別を推定するための学習モデルを構築する、請求項1に記載の機械学習装置。
【請求項3】
請求項1に記載の機械学習装置で構築した前記学習モデルを用いた無人飛行体の運用支援装置であって、
前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部と、
前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部と、
前記存在判定部が前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれていると判定した場合に、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定する距離推定部と、
を備える、無人飛行体の運用支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の機械学習装置で構築した前記学習モデルを用いた無人飛行体の運用支援装置であって、
前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部と、
前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部と、
前記存在判定部が前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれていると判定した場合に、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用データに含まれる前記規制対象施設の種別を推定する種別推定部と、
を備える、無人飛行体の運用支援装置。
【請求項5】
前記種別推定部が前記規制対象施設の種別を推定した場合に、前記種別推定部が推定した前記規制対象施設の種別に対応する、前記飛行規制の内容に関する情報である規制情報を取得する規制情報取得部を備える、請求項4に記載の無人飛行体の運用支援装置。
【請求項6】
前記規制情報は、前記無人飛行体の飛行の規制が適用される区域である規制区域に関する区域情報を含み、
前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定する距離推定部と、
前記規制情報取得部が前記規制情報を取得し、前記距離推定部が前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定した場合に、前記規制情報取得部が取得した前記規制情報と、前記距離推定部の推定結果と、に基づいて、前記点検対象物が前記規制区域内に存在するか否かを判定する抵触判定部と、
を備える、請求項5に記載の無人飛行体の運用支援装置。
【請求項7】
前記飛行規制の一部は、所定の許可を得ることで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであり、
前記規制情報取得部が前記規制情報を取得した場合に、前記規制情報取得部が取得した前記規制情報に対応する前記飛行規制が、前記所定の手続きを行うことで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かを判定する許可取得可否判定部と、
前記許可取得可否判定部が、前記規制情報に対応する前記飛行規制が、前記所定の手続きを行うことで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであると判定した場合に、当該飛行規制に対応する手続方法を取得する手続方法取得部と、
を備える、請求項6に記載の無人飛行体の運用支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、構造物の点検等を行うにあたり、ドローン等の無人飛行体が活用されている。例えば、特許文献1の発明では、コンクリート護岸の点検を、無人飛行体を用いて行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6960643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、構造物が設けられている地域によっては、無人飛行体の飛行が規制されている場合がある。このため、無人飛行体を飛行させる前に、その可否を確認しなければならず、手間が生じてしまう。
【0005】
また、従来からある構造物など点検対象物は、無人飛行体を点検等に用いることを前提に設備形成されたものではないため、飛行が規制される場所や形状で存在しているものが多い。
【0006】
また、構造物など点検対象物を新設する際に、無人飛行体を点検等に用いることを前提に設備形成しようとする場合、飛行が規制されるか否か、飛行可能か否か、点検に無人飛行体を用いることが可能か否か、確認が必要となり、手間が生じてしまう。
【0007】
本発明は、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化可能な機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の機械学習装置は、無人飛行体の飛行規制の対象となる施設である規制対象施設と、基準点と、を被写体として含む学習用写真を入力データとして取得する入力データ取得部と、写真中で前記規制対象施設が写されている範囲に関する範囲情報と、前記規制対象施設と前記基準点との距離に関する距離情報と、をラベルとして取得するラベル取得部と、前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む写真に前記規制対象施設が含まれるか否かを判定し、当該写真に前記規制対象施設が含まれると判定した場合には、前記規制対象施設と前記点検対象物との距離を推定するための学習モデルを構築するモデル構築部と、を備える。
【0009】
第2の発明の機械学習装置は、第1の発明において、前記ラベル取得部は、前記規制対象施設の種別に関する種別情報を前記ラベルとして更に取得し、前記モデル構築部は、前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、前記規制対象施設の種別を推定するための学習モデルを構築する。
【0010】
第3の発明の運用支援装置は、第1の発明に記載の機械学習装置で構築した前記学習モデルを用いた運用支援装置であって、前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部と、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部と、前記存在判定部が前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれていると判定した場合に、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定する距離推定部と、を備える。
【0011】
第4の発明の運用支援装置は、第2の発明に記載の機械学習装置で構築した前記学習モデルを用いた運用支援装置であって、前記無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部と、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部と、前記存在判定部が前記判定用写真に前記規制対象施設が含まれていると判定した場合に、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記判定用データに含まれる前記規制対象施設の種別を推定する種別推定部と、を備える。
【0012】
第5の発明の運用支援装置は、第4の発明において、前記種別推定部が前記規制対象施設の種別を推定した場合に、前記種別推定部が推定した前記規制対象施設の種別に対応する、前記飛行規制の内容に関する情報である規制情報を取得する規制情報取得部を備える。
【0013】
第6の発明の運用支援装置は、第5の発明において、前記規制情報は、前記無人飛行体の飛行の規制が適用される区域である規制区域に関する区域情報を含み、前記判定用データと前記学習モデルとに基づいて、前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定する距離推定部と、前記規制情報取得部が前記規制情報を取得し、前記距離推定部が前記点検対象物と前記規制対象施設との距離を推定した場合に、前記規制情報取得部が取得した前記規制情報と、前記距離推定部の推定結果と、に基づいて、前記点検対象物が前記規制区域内に存在するか否かを判定する抵触判定部と、を備える。
【0014】
第7の発明の運用支援装置は、第6の発明において、前記飛行規制の一部は、所定の手続きを行うことで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであり、前記規制情報取得部が前記規制情報を取得した場合に、前記規制情報取得部が取得した前記規制情報に対応する前記飛行規制が、前記所定の手続きを行うことで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かを判定する許可取得可否判定部と、前記許可取得可否判定部が、前記規制情報に対応する前記飛行規制が、前記所定の手続きを行うことで、前記規制区域内において前記無人飛行体の飛行が可能となるものであると判定した場合に、当該飛行規制に対応する手続方法を取得する手続方法取得部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化可能な機械学習装置及び無人飛行体の運用支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】無人飛行体による点検を行う予定の電柱の周辺を示す平面図である。
図2】本発明の実施形態に係る運用支援システムの機能ブロックを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る判定用写真の例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る機械学習装置の動作を示すフローチャートである。
図5A】本発明の実施形態に係る運用支援装置の動作を示すフローチャートである。
図5B】本発明の実施形態に係る運用支援装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態の運用支援システム1は、無人飛行体の運用を支援するものである。無人飛行体は、詳しくは、ドローンである。以下においては、ある地域Aに設けられた電柱Dを、無人飛行体を用いて点検する場合を想定して説明する。なお、図1は、無人飛行体による点検を行う予定の電柱の周辺を示す平面図である。また、図1においては、無人飛行体の飛行が規制される区域である規制区域(詳しくは後述)が示されており、建物S1に対応する規制区域は「規制区域RS1」として示されている。
【0018】
図1に示すように、地域Aには、複数の電柱Dが設けられている。複数の電柱Dは、電柱D1と、電柱D2と、を含む。電柱D1は、無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物である。電柱D1の点検時には、無人飛行体が電柱D1の周囲を飛行することになると考えられる。隣接する電柱D間には、電線Lが設けられている。各電柱Dの高さ寸法は、概ね8mである。各電柱Dの腕金の長手方向寸法は、概ね1.5mである。電柱D1と電柱D2との間の距離は、概ね16mであり、電柱D1と電柱D2とを繋ぐ電線Laの長さは、概ね16mである。
【0019】
点検対象物の点検時に無人飛行体を飛行させる領域(以下、「飛行予定領域」ということがある)は、例えば、電柱D1の点検の場合、電柱D1の周囲2mの領域であるとする。電柱D1に対応する飛行予定領域は、「飛行予定領域PD1」ということがある。なお、飛行予定領域の範囲は、特に限定されるものではなく、任意の範囲として設定可能である。
【0020】
電柱D1及び電柱D2の周辺には、建物S1が設けられている。建物S1は、ユーザ以外の第三者が所有する建物であり、詳しくは、倉庫である。
【0021】
ここで、無人飛行体の飛行は、各種の飛行規制により規制される場合がある。飛行規制としては、例えば、小型無人機等飛行禁止法や、航空法といったものが存在する。かかる飛行規制においては、所定の規制対象施設の敷地及びその周囲の区域が、当該区域内での無人飛行体の飛行が規制される規制区域として設定される旨が規定されている。
【0022】
具体的には、航空法では、例えば、第三者が所有する建物等からの距離が30m以内となる範囲では、無人飛行体の飛行が規制されている。空港周辺の空域や、地表又は水面から150m以上の高さとなる範囲では、無人飛行体の飛行が規制されている。これらの場合、第三者が所有する建物等や、空港は、規制対象施設に相当し、第三者が所有する建物等からの距離が30m以内となる区域や、空港周辺の空域や、地表又は水面から150m以上の高さとなる区域は、規制区域に相当する。
【0023】
小型無人機等飛行禁止法においては、「対象施設」及び「対象施設周辺地域」が指定されている。対象施設は、例えば、「対象空港」、「対象原子力施設」といった施設が指定されている。対象施設周辺地域は、各対象施設の敷地又は区域及びその周囲概ね300mの区域が指定されている。この場合、対象施設は、規制対象施設に相当し、対象施設周辺地域は、規制区域に相当する。
【0024】
なお、これらの飛行規制は、あくまでも例である。飛行規制としては、例えば、文化財保護法といった上記以外の法律や、条例等も想定される。
【0025】
このため、ユーザは、電柱D1の周囲で無人飛行体を飛行させるにあたり、電柱D1が、規制区域内に存在するか否かを確認する必要がある。
【0026】
そこで、運用支援システム1は、当該確認作業の効率化を図ることができる。以下、運用支援システム1の構成について図2を参照しつつ説明する。図2は、運用支援システム1の機能ブロックを示す図である。なお、運用支援システム1は、無人飛行体を用いて点検対象物を点検する場合に利用されることを想定したものである。運用支援システム1において、点検対象物は、電柱と、鉄塔と、が想定されている。点検対象物には、電線が含まれていてもよい。なお、点検対象物は、これらに限定されるものではなく、例えば、建物等であってもよい。
【0027】
図2に示すように、運用支援システム1は、機械学習装置2と、運用支援装置3と、を備える。
【0028】
機械学習装置2及び運用支援装置3は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ROM(Read Only Memory)やハードディスク(HDD)等の補助記憶装置と、それぞれ備える(いずれも図示略)。演算処理装置は、機械学習装置2及び運用支援装置3において、所定の機能の動作を実現する各種の制御処理を実行可能である。主記憶装置は、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納可能である。補助記憶装置は、データを格納するための各種の制御用プログラムを格納可能である。
【0029】
演算処理装置は、補助記憶装置からOSやアプリケーションソフトウェアを読み込み、読み込んだOSやアプリケーションソフトウェアを主記憶装置に展開させながら、これらのOSやアプリケーションソフトウェアに基づいた演算処理を行う。この演算結果に基づいて、機械学習装置2及び運用支援装置3は、各ハードウェアを制御する。機械学習装置2及び運用支援装置3が備える機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
【0030】
機械学習装置2と運用支援装置3とは1対1の組とされて、通信可能に接続されている。機械学習装置2と運用支援装置3とは、コネクタを介して接続されていてもよいし、ネットワークを介して接続されていてもよい。ネットワークにより接続される場合、ネットワークにおける具体的な通信方式や、有線接続及び無線接続のいずれであるか等については、特に限定されない。
【0031】
続いて、機械学習装置2について説明する。
【0032】
機械学習装置2は、第1学習部21Aと、第2学習部21Bと、第3学習部21Cと、を備える。第1学習部21Aと、第2学習部21Bと、第3学習部21Cとは、教師あり学習により、運用支援装置3で用いられる学習モデルをそれぞれ構築可能である。
【0033】
第1学習部21Aは、第1入力データ取得部22Aと、第1ラベル取得部23Aと、第1記憶部24Aと、第1モデル構築部25Aと、を有する。
【0034】
第1入力データ取得部22Aは、規制対象施設を被写体として含む第1学習用写真を入力データとして取得可能である。
【0035】
第1ラベル取得部23Aは、写真中で規制対象施設が写されている範囲に関する第1範囲情報と、規制対象施設の種別に関する第1種別情報と、をラベルとして取得可能である。
【0036】
第1記憶部24Aは、各種情報を記憶可能である。第1記憶部24Aは、入力データと、当該入力データに対応するラベルとを紐づけて1組の教師データとして記憶可能であり、詳しくは、第1学習用写真と、当該学習用写真に対応する第1範囲情報及び第1種別情報と、を互いに紐づけて1組の教師データとして記憶可能である。
【0037】
第1モデル構築部25Aは、第1記憶部24Aに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に規制対象施設が含まれるか否かを判定するとともに、写真中に規制対象施設が含まれている場合に、写真中で規制対象施設が写されている範囲を推定するための第1学習モデルを構築可能である。
【0038】
第1モデル構築部25Aは、第1記憶部24Aに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に規制対象施設が含まれている場合に、当該規制対象施設の種別を推定するための第1学習モデルを構築可能である。
【0039】
また、第1記憶部24Aは、第1モデル構築部25Aに構築された第1学習モデルを記憶可能である。
【0040】
第2学習部21Bは、第2入力データ取得部22Bと、第2ラベル取得部23Bと、第2記憶部24Bと、第2モデル構築部25Bと、を有する。
【0041】
第2入力データ取得部22Bは、点検対象物の種別と同一の種別の物体を被写体として含む第2学習用写真を入力データとして取得可能である。なお、詳しくは、点検対象物の種別は、電柱と鉄塔とであり、点検対象物の種別と同一の種別の物体は、電柱と鉄塔とである。
【0042】
第2ラベル取得部23Bは、写真中で点検対象物と同種の物体が写されている範囲に関する第2範囲情報と、点検対象物の種別に関する第2種別情報と、をラベルとして取得可能である。
【0043】
第2記憶部24Bは、各種情報を記憶可能である。第2記憶部24Bは、入力データと、当該入力データに対応するラベルとを紐づけて1組の教師データとして記憶可能であり、詳しくは、第2学習用写真と、当該第2学習用写真に対応する第2範囲情報及び第2種別情報と、を互いに紐づけて1組の教師データとして記憶可能である。
【0044】
第2モデル構築部25Bは、第2記憶部24Bに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に、点検対象物と同種の物体が含まれるか否かを判定するための学習モデルを構築可能である。
【0045】
第2モデル構築部25Bは、第2記憶部24Bに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に点検対象物の種別と同種の物体が含まれている場合に、写真中で点検対象物と同種の物体が写されている範囲を推定するための第2学習モデルを構築可能である。
【0046】
第2モデル構築部25Bは、第2記憶部24Bに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に点検対象物と同種の物体が含まれている場合に、当該物体と対応する点検対象物の種別を推定するための第2学習モデルを構築可能である。
【0047】
また、第2記憶部24Bは、第2モデル構築部25Bに構築された第2学習モデルを記憶可能である。
【0048】
第3学習部21Cは、第3入力データ取得部22Cと、第3ラベル取得部23Cと、第3記憶部24Cと、第3モデル構築部25Cと、を有する。
【0049】
第3入力データ取得部22Cは、規制対象施設と、基準点と、を被写体として含む第3学習用写真を入力データとして取得可能である。基準点は、例えば、電柱が設けられている地点とすることが可能であるが、これに限定されるものではなく、コーンが配置されている地点等としてもよい。
【0050】
第3ラベル取得部23Cは、写真中に含まれる規制対象施設と基準点との実際の距離に関する距離情報をラベルとして取得可能である。
【0051】
第3記憶部24Cは、各種情報を記憶可能である。第3記憶部24Cは、入力データと、当該入力データに対応するラベルとを紐づけて1組の教師データとして記憶可能であり、詳しくは、第3学習用写真と、当該学習用写真に対応する距離情報と、を互いに紐づけて1組の教師データとして記憶可能である。
【0052】
第3モデル構築部25Cは、第3記憶部24Cに記憶された入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、写真中に含まれる規制対象施設と基準点との実際の距離を推定するための学習モデルを構築可能である。また、第3記憶部24Cは、第3モデル構築部25Cに構築された第3学習モデルを記憶可能である。
【0053】
なお、第1学習用写真と第2学習用写真と第3学習用写真とは、特に区別する必要がない場合、まとめて「学習用写真」ということがある。第1学習用写真と第2学習用写真と第3学習用写真とは、同一の写真を用いてもよい。学習用写真に被写体として含まれる規制対象施設、基準点及び点検対象物は、それぞれ複数であってもよい。
【0054】
学習用写真は、撮影装置7により撮影された写真を使用可能である。撮影装置7は、例えば、デジタルカメラである。第1入力データ取得部22Aと第2入力データ取得部22Bと第3入力データ取得部22Cと(以下、まとめて「入力データ取得部22」ということがある)は、撮影装置7とそれぞれ通信可能である。入力データ取得部22は、撮影装置7から写真のデータを取り込むことで、学習用写真を取得可能である。なお、撮影装置7は、特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン等であってもよい。
【0055】
以下において、第1学習部21Aと第2学習部21Bと第3学習部21Cとは、まとめて「学習部21」ということがある。第1入力データ取得部22Aと第2入力データ取得部22Bと第3入力データ取得部22Cとは、まとめて「入力データ取得部22」ということがある。第1ラベル取得部23Aと第2ラベル取得部23Bと第3ラベル取得部23Cとは、まとめて「各ラベル取得部23」ということがある。第1記憶部24Aと第2記憶部24Bと第3記憶部24Cとは、まとめて「記憶部24」ということがある。第1モデル構築部25Aと第2モデル構築部25Bと第3モデル構築部25Cとは、まとめて「各モデル構築部25」ということがある。
【0056】
各モデル構築部25は、運用支援装置3との間で情報の送受信が可能である。各モデル構築部25は、例えば、各モデル構築部25が構築した学習モデルを運用支援装置3にそれぞれ送信可能である。
【0057】
各モデル構築部25は、例えば、サポート・ベクター・マシン(Support Vector Machine)、決定木(Decision Tree)、ニューラルネットワーク(Neural Network)等を用いて実現可能である。
【0058】
続いて、運用支援装置3について説明する。
【0059】
運用支援装置3は、通信部31と、記憶部32と、表示部33と、制御部35と、を備える。
【0060】
通信部31は、外部の装置と各種通信が可能である。通信部31は、機械学習装置2との間でデータを送受信可能である。通信部31は、各モデル構築部25に送信された学習モデルを受信可能である。
【0061】
記憶部32は、各種情報を記憶可能である。記憶部32は、通信部31に受信された学習モデルを記憶可能である。なお、記憶部32は、飛行予定領域の範囲に関する情報である飛行領域情報を、予め記憶可能である。具体例としては、飛行領域情報は、電柱D1の周囲で無人飛行体を飛行させる飛行予定領域PD1の範囲が電柱D1の周囲2mの領域である旨の情報である。
【0062】
表示部33は、モニタであり、制御部35により出力された処理結果を表示可能である。なお、表示部33は、タッチパネルとしての機能を有していてもよい。すなわち、ユーザが表示部33に触れることで、運用支援装置3を操作できるようにしてもよい。また、別途操作部を設け、当該操作部を操作することにより運用支援装置3を操作できるようにしてもよい。表示部33は、特に限定されるものではなく、例えば、スマートフォン等であってもよい。
【0063】
制御部35は、運用支援装置3の全体を制御する部分である。制御部35は、各種の判定処理等(詳しくは後述)を実行可能であり、それらの処理結果を、表示部33に出力可能である。制御部35は、判定用データ取得部41と、存在判定部42と、対象特定部43と、距離推定部44と、種別推定部45と、規制情報取得部51と、抵触判定部53と、許可取得可否判定部55と、手続方法取得部56と、を有する。なお、制御部35による各種の処理の結果は、記憶部32に記憶可能である。
【0064】
判定用データ取得部41は、判定用写真を判定用データとして取得可能である。判定用写真は、対象物を含んで撮影された写真である。判定用写真は、撮影装置7で撮影された写真を使用可能である。判定用データ取得部41と撮影装置7とは、互いに通信可能である。判定用データ取得部41は、撮影装置7から判定用写真を取り込むことが可能である。
【0065】
判定用写真は、例えば、図3に示すように、電柱D1及び電柱D2と、建物S1と、を被写体として含む判定用写真Pである。当該判定用写真Pは、地域Aにおいて、撮影装置7で撮影されたものである。判定用写真Pは、建物S1が、各電柱Dよりも奥側に位置する方向で、各電柱Dのうち電柱D1が、より判定用写真Pの中央部に近い位置に写るように撮影されている。
【0066】
存在判定部42は、判定用データ取得部41により取得された判定用データと、機械学習装置2により構築された第1学習モデルと、に基づいて、判定用写真に規制対象施設が含まれているか否かを判定可能であり、詳しくは、判定用写真中の被写体をそれぞれ認識するとともに、当該被写体が規制対象施設であるか否かを判定する。このため、存在判定部42は、判定用写真に規制対象施設が含まれていると判定するとともに、判定用写真中で規制対象施設が写されている範囲を推定可能である。
【0067】
種別推定部45は、判定用データ取得部41により取得された判定用データと、機械学習装置2により構築された第1学習モデルと、に基づいて、判定用写真に含まれる規制対象施設の種別を推定可能である。
【0068】
具体例としては、判定用写真Pには、建物S1が被写体として含まれている。このため、存在判定部42は、判定用写真Pに規制対象施設が含まれていると判定するとともに、判定用写真P中で規制対象施設(すなわち、建物S1)が写されている範囲をそれぞれ推定可能である。また、種別推定部45は、判定用写真Pに被写体として含まれる規制対象施設の種別は、建物S1であると推定する。表示部33は、規制対象施設が検出された旨と、判定用写真P中で各規制対象施設が写されている範囲とを表示するとともに、各規制対象施設の種別を、各規制対象施設が写されている範囲と隣接する位置に、それぞれ表示する。
【0069】
また、存在判定部42は、判定用データ取得部41により取得された判定用データと、機械学習装置2により構築された第2学習モデルと、に基づいて、判定用写真に電柱及び鉄塔のうち少なくともいずれかが含まれているか否かを判定可能であり、詳しくは、判定用写真中の被写体をそれぞれ認識するとともに、当該被写体が電柱又は鉄塔であるか否かをそれぞれ判定する。このため、存在判定部42は、判定用写真に電柱及び鉄塔のうち少なくともいずれかが含まれているか否かを判定するとともに、判定用写真中で電柱又は鉄塔が写されている範囲を推定可能である。
【0070】
また、種別推定部45は、判定用データ取得部41により取得された判定用データと、機械学習装置2により構築された第2学習モデルと、に基づいて、判定用写真に含まれる点検対象物の種別を推定可能である。
【0071】
具体例としては、判定用写真Pには、電柱D1及び電柱D2が被写体として含まれている。このため、存在判定部42は、判定用写真Pに電柱及び鉄塔のうち少なくともいずれかが含まれていると判定するとともに、判定用写真P中で各電柱D1,D2が写されている範囲をそれぞれ推定する。種別推定部45は、判定用写真Pに写されている電柱D1及び電柱D2は、それぞれ電柱であると推定する。表示部33は、例えば、電柱及び鉄塔のうち少なくともいずれかが検出された旨と、判定用写真P中で電柱D1が写されている範囲と、判定用写真P中で電柱D2が写されている範囲と、を表示するとともに、それらの範囲に隣接する位置に「電柱」とそれぞれ表示する。
【0072】
対象特定部43は、判定用写真に含まれる電柱及び鉄塔のうち、点検対象物に相当するものを特定する。例えば、対象特定部43は、判定用写真に含まれる電柱及び鉄塔が1つである場合には、当該電柱又は鉄塔を対象物として特定可能である。対象特定部43は、判定用写真に含まれる電柱及び鉄塔が2つ以上である場合には、各電柱及び鉄塔のうち、判定用写真の上下方向及び左右方向の中央部(以下、「写真中央部」という)に最も近い位置に写されている電柱又は鉄塔を、点検対象物である電柱又は鉄塔として特定可能である。対象特定部43は、その特定結果を、表示部33に出力可能である。また、表示部33は、対象特定部43の特定結果を表示可能である。表示部33は、例えば、所定のマーカMを、対象特定部43により点検対象物として特定された電柱に付して表示させることが可能である。なお、点検対象物である電柱又は鉄塔は、必ずしも1つである必要はなく、複数であってもよい。
【0073】
具体例としては、判定用写真Pにおいては、2つの電柱Dが被写体として含まれている。判定用写真Pにおいては、2つの電柱Dのうち、電柱D1が、より判定用写真Pの写真中央部Paに近い位置に写されている。このため、対象特定部43は、電柱D1を対象物として特定する。表示部33は、例えば、判定用写真P中で電柱D1写されている範囲に添えるように、所定のマーカMを表示する。
【0074】
なお、対象特定部43が、複数の電柱のうちから点検対象物を特定する方法は、上述した方法に限定されない。例えば、対象特定部43は、ユーザが表示部33上で電柱Dのうち所望するものが表示されている箇所に触れた場合に、当該電柱Dを点検対象物として特定するようにしてもよい。
【0075】
また、点検対象物は、判定用写真中に被写体として含まれていなくてもよい。その場合、判定用写真を加工することで、判定用写真に仮想の点検対象物を含ませるようにすることが可能である。例えば、撮影装置7により撮影された写真を表示部33に表示するとともに、ユーザが表示部33に触れて、電柱を示すオブジェクト及び鉄塔を示すオブジェクトのうち所望のものを、当該写真中の所望の地点に移動させるようにする。そして、対象特定部43が、当該オブジェクトを仮想の点検対象物として特定するようにする。このように、判定用写真中に含まれる点検対象物の画像は、実物を撮影したものに限定されず、仮想の画像であってもよい。
【0076】
なお、点検対象物が仮想のものである場合には、写真中で点検対象物が写されている範囲と点検対象物の種別とは、上記の操作によりユーザが設定可能であるため、存在判定部42や種別推定部45により推定する必要はない。
【0077】
距離推定部44は、判定用データ取得部41により取得された判定用データと、機械学習装置2により構築された第3学習モデルと、に基づいて、点検対象物と規制対象施設との距離を推定可能である。
【0078】
具体例としては、判定用写真Pには、対象物としての電柱D1と、規制対象施設である建物S1が被写体として含まれている。このため、距離推定部44は、電柱D1と建物S1との距離を推定する。表示部33は、電柱D1と建物S1との距離を表示する。
【0079】
なお、判定用写真中において、被写体間の実際の距離が既知の部分が存在する場合や、実際の寸法が既知の被写体が含まれている場合には、距離推定部44は、それらの距離や寸法に基づいて、推定結果の補正を行うことが可能である。例えば、判定用写真Pの場合、電柱D1と電柱D2との間の実際の距離は、概ね16mとなっている。このため、距離推定部44は、電柱D1と電柱D2との間の実際の距離の値と、電柱D1と建物S1との間の距離に関する推定結果とを比較して、当該推定結果が妥当であるか否かを確認するとともに、妥当でない場合には、電柱D1と電柱D2との間の実際の距離の値に基づいて、推定結果を補正可能である。また、距離推定部44は、各電柱Dの高さ寸法や、電柱D1と電柱D2とを繋ぐ電線Laの長さ、各電柱Dの付属物の寸法(例えば、腕金の寸法)等の実際の値についても同様に、推定結果の補正において活用可能である。
【0080】
規制情報取得部51は、種別推定部45に推定された規制対象施設の種別に基づいて、当該規制対象施設の種別と対応する飛行規制に関する規制情報を取得する。規制情報は、飛行規制の内容に関する情報であり、当該飛行規制の名称、当該飛行規制に係る規制対象施設の種別、当該飛行規制に係る規制区域の範囲等に関する情報を含む。
【0081】
飛行規制の名称としては、例えば、航空法、小型無人機等飛行禁止法等が挙げられる。飛行規制に係る規制対象施設の種別としては、例えば、航空法に係るものとして、第三者が所有する建物等や、空港等が挙げられる。小型無人機等飛行禁止法に係るものとして、原子力関連施設、対象空港、国会議事堂等が挙げられる。飛行規制に係る規制区域の範囲としては、例えば、航空機に係るものとして、「第三者からの距離が30m以内である区域」が挙げられる。小型無人機等飛行禁止法に係るものとして、「対象空港の敷地上空及び周囲概ね300mである区域の上空」が挙げられる。
【0082】
規制情報は、記憶部32に予め記憶可能である。規制情報取得部51は、記憶部32から規制情報を取得可能である。
【0083】
具体例としては、判定用写真Pには、建物S1が被写体として含まれている。倉庫である建物S1と対応し得る飛行規制は、例えば、航空法である。このため、規制情報取得部51は、航空法に関する規制情報を記憶部32から取得する。表示部33は、例えば、飛行規制の名称として「航空法」と表示する。また、表示部33は、判定用写真P中において、航空法に係る規制区域の範囲内の部分を、着色表示するようにしてもよい。
【0084】
なお、距離推定部44は、規制区域の周縁部と、点検対象物と、の実際の距離を推定可能であってもよい。具体的には、距離推定部44は、規制情報取得部51により取得された規制情報から、規制区域の範囲を定めるための規制対象施設からの離間距離(例えば、航空法の場合は、30m)を抽出可能とするともに、当該離間距離から、距離推定部44が推定した点検対象物と規制対象施設との距離を、差し引いた値を算出可能とする。表示部33は、距離推定部44により推定された、規制区域の周縁部と点検対象物との距離を、表示可能とする。これにより、点検対象物と規制区域との位置関係を把握可能とすることができる。
【0085】
抵触判定部53は、距離推定部44に取得された点検対象物と規制対象施設との距離と、規制情報取得部51により取得された規制情報と、に基づいて、点検対象物が、規制区域内に存在するか否かを判定する。その際、抵触判定部53は、記憶部32に記憶されている飛行領域情報を考慮しつつ判定するとよい。詳しくは、抵触判定部53は、まず、距離推定部44に取得された距離の値から、飛行領域情報に含まれる点検対象物からの距離の値を差し引く。抵触判定部53は、その計算結果が、規制情報に含まれる規制対象施設からの離間距離の値以下である場合には、点検対象物は、規制対象区域内に存在すると判定し、規制情報に含まれる規制対象施設からの離間距離の値よりも大である場合には、点検対象物は、規制対象区域外に存在すると判定する。これにより、より精度よく、点検対象物が規制区域内に存在するか否かを判定することができる。なお、抵触判定部53が飛行領域情報を考慮しつつ判定を行う場合、「点検対象物が規制区域内に存在する」とは、「点検対象物に対応する飛行予定領域の少なくとも一部が、規制区域内に存在する」ことを意味し得る。
【0086】
具体例としては、航空法の場合、第三者の建物等との距離が30m以内の区域においては、無人飛行体の飛行には承認が必要とされている。飛行予定領域PD1は、電柱D1の周囲2mの領域とされている。このため、距離推定部44により推定された電柱D1と建物S1との距離から2mを差し引くとともに、その計算結果が、30m以下であった場合には、電柱D1は、規制区域内に存在すると判定し、30mより大であった場合には、電柱D1は、規制区域内には存在しないと判定する。なお、電柱D1は、建物S1に係る規制区域内に存在している(図1参照)。したがって、距離推定部44は、判定用写真Pに基づいて、電柱D1は、規制区域内に存在すると判定することになる。
【0087】
なお、飛行規制においては、規制区域内であっても、所定の許可を得ることで、規制区域内において無人飛行体を飛行させ得る。
【0088】
例えば、航空法の場合、第三者の周囲においても、所定の手続を行うことで、無人飛行体を飛行させ得る。この場合、当該所定の手続の方法(以下、「手続方法」という)は、所定の申請書を、国土交通省に提出すること等である。小型無人機等飛行禁止法の場合、対象空港の周囲においても、所定の手続を行うことで、無人飛行体を飛行させ得る。この場合、手続方法は、空港管理者や都道府県公安委員会への事前通報を行うこと等である。
【0089】
飛行規制が、所定の手続を行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かについては、当該飛行規制に関する規制情報として、記憶部32に記憶されている。手続方法についても、当該飛行規制に関する規制情報として、記憶部32に記憶されている。なお、手続方法は、例えば、提出すべき申請書のひな型や記載要領、申請書の提出先の機関名や連絡先といった情報を含み得る。
【0090】
許可取得可否判定部55は、規制情報取得部51により取得された規制情報に基づいて、当該規制情報と対応する飛行規制が、所定の手続を行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かを判定可能である。
【0091】
手続方法取得部56は、規制情報取得部51に取得された規制情報に係る飛行規制と対応する手続方法を取得可能であり、詳しくは、規制情報取得部51により取得された許可情報から、手続方法を抽出する。
【0092】
具体例としては、規制情報取得部51が航空法と対応する規制情報を取得した場合には、許可取得可否判定部55は、規制情報取得部51が取得した規制情報と対応する飛行規制は、所定の手続を行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであると判定する。また、手続方法取得部56は、航空法と対応する手続方法として、『無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書』のひな型等を取得したり、「提出先は大阪航空局である」といった情報を取得したりする。
【0093】
なお、例えば、航空法の場合、空港の周囲においても、所定の手続を行うことで、無人飛行体を飛行させ得る。この場合、手続方法としては、所定の申請書を国土交通省に提出することのみならず、空港の管理者の了承を得ることも求められる。このように、適用される飛行規制が同一であっても、規制対象施設によって手続方法が異なることも想定される。このため、手続方法取得部56は、規制情報取得部51の推定結果と、種別推定部45の推定結果と、に基づいて、手続方法を取得可能であることが好ましい。
【0094】
また、手続方法取得部56は、所定の手続が完了しているか否かを判定可能とし、所定の手続が完了している場合には、手続方法を表示部33に出力しないようにしてもよい。なお、その場合、記憶部32は、所定の手続が完了しているか否かについての情報を記憶可能とする。所定の手続が完了しているか否かについての情報は、例えば、ユーザにより、予め記憶部32に記憶される。これにより、ユーザに対して無用な情報を提示してしまうのを抑制することができる。なお、所定の手続が完了しているか否かについての情報を、記憶部32に記憶させるにあたっては、例えば、ユーザが表示部33をタッチ操作して、当該情報を入力することが考えられる。
【0095】
また、規制情報取得部51は、規制情報を取得するに際して、所定の手続が完了している旨の情報が記憶部32に記憶されている場合には、規制情報のうち、当該所定の手続により規制が解除される飛行規制と対応するものを、取得対象から除外するようにしてもよい。これにより、ユーザに対して無用な情報を提示してしまうのを抑制することができる。
【0096】
続いて、本実施形態に係る機械学習装置2の機械学習時の動作について図4を参照しつつ説明する。図4は、機械学習装置2の機械学習時における動作を示すフローチャートである。なお、図4のフローチャートは、学習部21のそれぞれにより、繰り返し実行される。図4のフローチャートは、学習部21において共通のものである。
【0097】
ステップS11では、入力データ取得部22は、それぞれ、入力データとして学習用写真を取得する。詳しくは、第1入力データ取得部22Aは、撮影装置7から第1学習用写真を取得する。第2入力データ取得部22Bは、撮影装置7から第2学習用写真を取得する。第3入力データ取得部22Cは、撮影装置7から第3学習用写真を取得する。次いで、ステップS12に進む。
【0098】
ステップS12では、各ラベル取得部23は、それぞれ、ラベルを取得する。詳しくは、第1ラベル取得部23Aは、第1範囲情報と第1種別情報とをラベルとして取得する。第2ラベル取得部23Bは、第2範囲情報と、第2種別情報と、をラベルとして取得する。第3ラベル取得部23Cは、距離情報をラベルとして取得する。次いで、ステップS13に進む。
【0099】
ステップS13では、各モデル構築部25は、それぞれ、入力データとラベルとの組を教師データとして受け付ける。詳しくは、第1モデル構築部25Aは、第1学習用写真と、第1範囲情報及び第1種別情報との組を教師データとして受け付ける。第2モデル構築部25Bは、第2学習用写真と、第2範囲情報及び第2種別情報と、の組を教師データとして受け付ける。第3モデル構築部25Cは、第3学習用写真と、距離情報との組を教師データとして受け付ける。ステップS14に進む。
【0100】
ステップS14では、各モデル構築部25は、それぞれ、この教師データを用いて機械学習をそれぞれ実行する。第1モデル構築部25Aは、第1学習モデルを構築する。第2モデル構築部25Bは、第2学習モデルを構築する。第3モデル構築部25Cは、第3学習モデルを構築する。次いで、ステップS15に進む。
【0101】
ステップS15では、各モデル構築部25は、それぞれ、機械学習を継続するか終了するかを判定する。各モデル構築部25は、機械学習を継続する場合には、NO判定してステップS11に戻り、同様の処理を繰り返す。各モデル構築部25は、機械学習を終了する場合には、YES判定してステップS16に進む。なお、機械学習を終了させる条件は任意に定めることができる。例えば、予め定められた回数だけ機械学習を繰り返した場合に、機械学習を終了させるようにしてもよい。
【0102】
ステップS16では、各モデル構築部25は、それぞれ、その時点までの機械学習により構築した学習モデルを、運用支援装置3に送信する。詳しくは、第1モデル構築部25Aは、第1学習モデルを送信する。第2モデル構築部25Bは、第2学習モデルを送信する。第3モデル構築部25Cは、第3学習モデルを送信する。その後、本処理を終了する。
【0103】
また、学習部21の記憶部24は、それぞれ、構築した学習モデルを記憶する。これにより、学習部21は、運用支援装置3から学習モデルを要求された場合に、運用支援装置3に学習モデルを送信することができる。また、学習部21は、新たな教師データを取得した場合に、学習モデルに対して更なる機械学習を行うことができる。
【0104】
続いて、運用支援装置3による処理の一例について、図5A及び図5Bを参照しつつ説明する。図5A及び図5Bは、運用支援装置3による処理の流れを説明するフローチャートである。なお、図5A及び図5Bのフローチャートは、運用支援装置3により実行され、ユーザにより所定の開始操作が行われたことを契機として、1回の開始操作につき1回実行され、当該開始操作が行われる度に実行される。また、所定の開始操作としては、例えば、表示部33にスタートアイコンを表示し、ユーザが当該アイコンにタッチする操作等が想定される。
【0105】
ステップS21では、判定用データ取得部41は、判定用写真を判定用データとして取得する。記憶部32は、判定用データを記憶する。次いで、ステップS22に進む。
【0106】
ステップS22では、存在判定部42は、判定用データと学習モデルとに基づいて、判定用写真P中で規制対象施設が写されている範囲を推定するとともに、判定用写真中に規制対象施設が写されているか否かを判定する。判定用写真中に規制対象施設が写されている場合には、存在判定部42は、YES判定してステップS23に進む。判定用写真中に規制対象施設が写されていない場合には、存在判定部は、NO判定してステップS31に進む。なお、存在判定部42は、その推定結果及び判定結果を、表示部33に出力する。
【0107】
ステップS23では、表示部33は、規制対象施設を検出した旨を表示する。表示部33は、判定用写真中で規制対象施設が写されている範囲を枠で囲んで表示する。次いで、ステップS24に進む。
【0108】
ステップS24では、種別推定部45は、判定用写真中に写されている規制対象施設の種別をそれぞれ推定する。種別推定部45は、その推定結果を、表示部33に出力する。表示部33は、判定用写真中に写されている規制対象施設の種別を表示する。次いで、ステップS25に進む。
【0109】
ステップS25では、規制情報取得部51は、規制情報のうち、ステップS24で推定された規制対象施設の種別に対応するものを、記憶部32から取得する。規制情報取得部51は、その推定結果を、表示部33に出力する。表示部33は、規制情報取得部51が取得した規制情報を表示する。表示部33は、例えば、当該規制情報に対応する飛行規制の名称を表示したり、当該規制情報とステップS24で推定された規制対象施設の種別とに対応する規制区域の範囲を、判定用写真上に着色表示したりする。次いで、ステップS41に進む。
【0110】
また、ステップS31では、表示部33は、規制対象施設が検出されなかった旨のメッセージを表示する。次いで、ステップS32に進み、表示部33は、無人飛行体の飛行が許容されうる旨のメッセージを表示する。その後、本処理を終了する。
【0111】
ステップS41では、存在判定部42は、ステップS21で取得された判定用データと、機械学習装置2に構築された第2学習モデルと、に基づいて、判定用写真中で電柱又は鉄塔が写されている範囲を推定するとともに、判定用写真中に電柱及び鉄塔のうち少なくともいずれかが被写体として含まれているか否かを判定する。YES判定の場合はステップS42に進む。NO判定の場合は、ステップS47に進む。なお、存在判定部42は、その判定結果及び推定結果を、表示部33に出力する。
【0112】
ステップS42では、表示部33は、判定用写真を表示するとともに、判定用写真中で電柱又は鉄塔が写されている範囲を枠で囲んで表示する。次いで、ステップS43に進む。
【0113】
ステップS43では、対象特定部43は、ステップS41で推定された、判定用写真中で電柱又は鉄塔が写されている範囲が、2つ以上であるか否かを判定する。2つ以上の場合には、YES判定してステップS44に進む。1つの場合には、NO判定してステップS45に進む。
【0114】
ステップS44では、対象特定部43は、ステップS41で推定された複数の範囲のうち、点検対象物に対応するものを特定する。対象特定部43は、例えば、ステップS41で推定された複数の範囲のうち、判定用写真の写真中央部に最も近いものを、点検対象物として特定する。対象特定部43は、その特定結果を、表示部33に出力する。次いで、ステップS46に進む。
【0115】
また、ステップS45では、対象特定部43は、ステップS41で推定された範囲を、点検対象物として特定する。対象特定部43は、その特定結果を、表示部33に出力する。次いで、ステップS46に進む。
【0116】
ステップS46では、表示部33は、ステップS41で推定された範囲のうち、ステップS44又はステップS45で点検対象物として特定されたものの付近に、所定のマーカを表示する。次いで、ステップS49に進む。
【0117】
また、ステップS47では、存在判定部42は、判定用写真が仮想の点検対象物を含んでいるか否かを判定する。YES判定の場合は、ステップS49に進む。NO判定の場合は、ステップS48に進む。なお、存在判定部42は、その判定結果を、表示部33に出力する。
【0118】
ステップS48では、表示部33は、判定用写真が点検対象物を含んでいない旨のメッセージを表示する。その後、本処理を終了する。
【0119】
ステップS49では、距離推定部44は、判定用写真中に含まれる点検対象物と規制対象施設との実際の距離を、推定する。距離推定部44は、その推定結果を表示部33に出力する。表示部33は、距離推定部44の推定結果を表示する。次いで、ステップS51に進む。
【0120】
ステップS51では、抵触判定部53は、ステップS25で取得された規制情報と、ステップS49で推定された点検対象物と規制対象施設との距離と、に基づいて、点検対象物が規制区域内に存在するか否かを判定する。この際、抵触判定部53は、記憶部32に記憶されている飛行領域情報を考慮するとよい。判定がYESの場合には、ステップS52に進む。判定がNOの場合には、ステップS32に進む。なお、抵触判定部53は、その判定結果を表示部33に出力する。
【0121】
ステップS52では、表示部33は、点検対象物が規制区域内に存在する旨を表示する。この際、表示部33は、点検対象物が規制区域内に存在する旨のメッセージを表示するとともに、判定用写真中で規制区域に該当する範囲を、線で囲んで表示する。次いでステップS53に進む。なお、図3においては、当該判定用写真中の全域が規制区域に該当しているため、規制区域の範囲を示す線は、写真中には表れていない。
【0122】
ステップS53では、距離推定部44は、点検対象物と規制区域の周縁部との離間距離のうち最小のものを推定する。詳しくは、距離推定部44は、規制区域の範囲を定めるための規制対象施設からの離間距離から、ステップS49で推定された点検対象物と規制対象施設との距離を、差し引いた値を算出する。なお、規制区域の範囲を定めるための規制対象施設からの離間距離は、ステップS25で取得された規制情報に含まれる。距離推定部44は、その推定結果を表示部33に出力する。表示部33は、点検対象物と規制区域の周縁部との離間距離のうち最小のものの値を表示する。次いで、ステップS55に進む。
【0123】
ステップS55では、許可取得可否判定部55は、ステップS25で取得された規制情報に対応する飛行規制が、所定の手続を行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かを判定する。判定がYESの場合には、ステップS56に進む。判定がNOの場合には、ステップS58に進む。
【0124】
ステップS56では、手続方法取得部56は、ユーザが所定の手続を完了しているか否かを判定する。判定がYESの場合には、ステップS32に進む、判定がNOの場合には、ステップS57に進む。
【0125】
ステップS57では、手続方法取得部56は、当該飛行規制に対応する、所定の許可や承認を得るための手続方法を取得する。手続方法取得部56は、その取得結果を表示部33に出力する。表示部33は、手続方法取得部56により取得された手続方法を表示する。次いで、ステップS61に進む。
【0126】
また、ステップS58では、表示部33は、点検対象物の周囲では、無人飛行体の飛行が禁止される旨のメッセージを表示する。その後、ステップS61に進む。
【0127】
ステップS61では、存在判定部42は、判定用写真が仮想の点検対象物を含んでいるか否かを判定する。YES判定の場合は、ステップS62に進む。NO判定の場合は、本処理を終了する。
【0128】
ステップS62では、存在判定部42は、仮想の点検対象物を規制区域外に移動させることを提案するメッセージを、表示部33に表示させる。さらに、表示部33は、ユーザが、表示部33上で、電柱等を示すオブジェクトのうち所望のものを、当該表示中の所望の地点に移動させられるようにする。その際、表示部33は、本ステップS62以前のステップにより表示部33に表示されることとされた各種情報を表示する。これにより、例えば規制区域の範囲を目視しながら点検対象物を移動させることができるため、点検対象物の移動先を決定し易くすることができる。その後、本処理を終了する。
【0129】
また、ユーザが電柱等のオブジェクトの移動を行った場合には、再度、運用支援装置3に図5A及び図5Bのフローチャートを実行させることで、点検対象物の位置を変更した場合における、各種飛行規制への適合状況等を確認することができる。
【0130】
以上説明した本実施形態に係る運用支援システム1の機械学習装置2又は運用支援装置3によれば、以下の効果を奏する。
【0131】
本実施形態にかかる機械学習装置2は、無人飛行体の飛行規制の対象となる施設である規制対象施設と、基準点と、を被写体として含む学習用写真を入力データとして取得する入力データ取得部22と、写真中で規制対象施設が写されている範囲に関する範囲情報と、規制対象施設と前記基準点との距離に関する距離情報と、をラベルとして取得するラベル取得部23と、入力データとラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む写真に規制対象施設が含まれるか否かを判定し、当該写真に規制対象施設が含まれると判定した場合には、規制対象施設と前記点検対象物との距離を推定するための学習モデルを構築するモデル構築部25と、を備える。
【0132】
飛行規制には、規制対象施設からの距離が基準値以下である場合に適用されるものが存在する。例えば、第三者の所有する建物等からの距離が30m以内の区域内では、航空法により無人飛行体の飛行が規制される。そこで、本実施形態にかかる機械学習装置2によれば、判定用写真に基づいて、点検対象物と規制対象施設との実際の距離を推定可能な学習モデルを構築することができる。これにより、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができるため、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0133】
本実施形態にかかる機械学習装置2において、ラベル取得部23は、規制対象施設の種別に関する種別情報をラベルとして更に取得し、モデル構築部25は、前記入力データと前記ラベルとの組を教師データとして教師あり学習を行うことにより、規制対象施設の種別を推定するための学習モデルを構築する。
【0134】
飛行規制の内容は、規制対象施設の種別によって異なる場合がある。例えば、規制対象施設が、第三者の所有する建物等である場合には、航空法により、当該建物等の付近30m以内となる区域内での無人飛行体の飛行が規制される。規制対象施設が所定の空港である場合には、小型無人機等飛行禁止法により、当該空港の敷地から概ね300m以内となる区域内での無人飛行体の飛行が規制される。そこで、本実施形態にかかる機械学習装置2によれば、判定用写真に基づいて、規制対象施設の種別を推定することができる。これにより、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができるため、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0135】
本実施形態に係る運用支援装置3は、機械学習装置2で構築した学習モデルを用いた無人飛行体の運用支援装置であって、無人飛行体を用いて点検される対象である点検対象物の画像を含む判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部41と、判定用データと学習モデルとに基づいて、判定用写真に規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部42と、存在判定部42が判定用写真に規制対象施設が含まれていると判定した場合に、判定用データと学習モデルとに基づいて、点検対象物と規制対象施設との距離を推定する距離推定部44と、を備える。
【0136】
これにより、判定用写真を判定用データとして入力することで、判定用写真に基づいて、点検対象物と規制対象施設との距離を自動で推定することができる。このため、例えば、点検対象物と規制対象施設との距離を実測しなくても、点検対象物が、飛行規制が適用される範囲内に位置していないことを確認できるため、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができる。したがって、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0137】
本実施形態に係る運用支援装置3は、判定用写真を判定用データとして取得する判定用データ取得部41と、判定用データと学習モデルとに基づいて、判定用写真に規制対象施設が含まれているか否かを判定する存在判定部42と、存在判定部42が判定用写真に規制対象施設が含まれていると判定した場合に、判定用データと学習モデルとに基づいて、判定用データに含まれる規制対象施設の種別を推定する種別推定部45と、を備える。
【0138】
これにより、判定用写真を判定用データとして入力することで、判定用写真に写っている規制対象施設の種別を自動で推定することができる。このため、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができる。したがって、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0139】
本実施形態に係る運用支援装置3は、種別推定部45が規制対象施設の種別を推定した場合に、種別推定部45が推定した規制対象施設の種別に対応する、飛行規制の内容に関する情報である規制情報を取得する規制情報取得部51を備える。
【0140】
これにより、判定用写真を判定用データとして入力することで、判定用写真に写っている規制対象施設の種別に対応する飛行規制について、その規制内容を自動で取得することができる。このため、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができる。したがって、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0141】
本実施形態に係る運用支援装置3において、規制情報は、無人飛行体の飛行の規制が適用される区域である規制区域に関する区域情報を含む。本実施形態に係る運用支援装置3は、判定用データと学習モデルとに基づいて、点検対象物と規制対象施設との距離を推定する距離推定部44と、規制情報取得部51が規制情報を取得し、距離推定部44が点検対象物と規制対象施設との距離を推定した場合に、規制情報取得部51が取得した規制情報と、距離推定部44の推定結果と、に基づいて、点検対象物が規制区域内に存在するか否かを判定する抵触判定部53と、を備える。
【0142】
これにより、判定用写真を判定用データとして入力することで、規制対象施設に応じた規制情報を自動で取得するとともに、点検対象物と規制対象施設との距離を自動で推定することができる。そして、点検対象物が規制区域内に含まれるか否かを自動で判定することができる。このため、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができる。したがって、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0143】
本実施形態に係る運用支援装置3は、規制情報取得部51が規制情報を取得した場合に、規制情報取得部51が取得した規制情報に対応する飛行規制が、所定の手続きを行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであるか否かを判定する許可取得可否判定部55と、許可取得可否判定部55が、規制情報に対応する飛行規制が、所定の手続きを行うことで、規制区域内において無人飛行体の飛行が可能となるものであると判定した場合に、当該飛行規制に対応する手続方法を取得する手続方法取得部56と、を備える。
【0144】
飛行規制によっては、所定の手続きを行うことで、規制区域内においても無人飛行体の飛行が可能となる場合がある。そこで、本実施形態に係る運用支援装置3によれば、判定用写真を判定用データとして入力することで、飛行規制が、所定の手続きを行うことで規制区域内での無人飛行体の飛行が可能である場合に、当該飛行規制に対応する手続方法を自動で取得することができる。これにより、飛行規制に抵触するか否かについて容易に確認することができるため、無人飛行体の使用に関する確認作業を効率化することができる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく適宜変更が可能である。
【0146】
運用支援装置3は任意の点検対象物・範囲(例えば設備No.1からNo.10)を入力することで、設備No.1からNo.10の設備データを設備データ取得部57から機械学習装置2へ入力し、その結果を一覧として表示部33へ出力することも可能とする。合わせて表示部33に表示された一覧の中から、個別に結果等データを表示することも可能とする。
【0147】
運用支援装置3は、撮影装置7を備えていてもよい。運用支援装置3は例えば通信可能なタブレット端末やスマートフォン等であってもよい。
【0148】
学習用写真及び判定用写真は、地上から対象を写した写真に限定されるものではなく、例えば、航空写真といった、上空から対象を平面視した写真であってもよい。その場合、表示部33は、上記ステップS42やステップS46において、平面視の判定用写真を用いて所定の表示を行うようにしてもよい。なお、本明細書でいう写真には、図面や地図も含まれ得る。
【0149】
飛行規制には、地表面からの高さが一定以上である空域において、無人飛行体の飛行を規制するものが存在する。例えば、空港等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域において、無人飛行体の飛行を規制する飛行規制が存在する。これらの表面のうち、例えば「進入表面」とは、進入の最終段階及び離陸時における航空機の安全を確保するために必要な表面であり、例えば滑走路長3000mの空港の場合、滑走路の長さ方向の端部から滑走路の長さ方向に水平距離60m離間した位置から、滑走路の長さ方向に水平距離3000mに亘って延びる、勾配が2%の斜面である。進入表面の上空は、規制区域に相当する。
【0150】
そこで、抵触判定部53は、点検対象物の一部が、例えば進入表面の上空に位置している場合には、点検対象物が規制区域内に存在するとの判定を行うようにしてもよい。
【0151】
例えば、規制対象施設としての空港の周辺に、点検対象物としての高さ8mの電柱が設置されている場合を想定すると、まず、距離推定部44は、電柱と、空港の滑走路との水平距離を推定する。抵触判定部53は、距離推定部44の推定結果に基づいて、電柱が設置されている位置における、進入表面の高さを推定する。例えば、距離推定部44の推定結果が300mであった場合には、当該進入表面の高さは、(300m-60m)×0.02=4.8mとなる。よって、抵触判定部53は、電柱の高さ(8m)が、進入表面の高さ(4.8m)よりも大きいことから、当該電柱が規制区域内に存在すると判定する。
【0152】
これにより、飛行規制が、地表面からの高さが一定以上である空域において無人飛行体の飛行を規制するものである場合においても、飛行規制に抵触するか否かを確認することができる。
【0153】
学習用写真及び判定用写真は、静止画として撮影されたものに限定されない。学習用写真及び判定用写真は、動画撮影機能により撮影された動画から静止画として切り取られたものであってもよい。
【0154】
上記実施形態では、機械学習装置2と運用支援装置3とが1対1の組として通信可能に接続されているが、これに限定されるものではない。例えば、1つの機械学習装置2が複数の運用支援装置3とネットワークを介して通信可能に接続され、当該一の機械学習装置2が、各運用支援装置3の機械学習を実施するようにしてもよい。その際、機械学習装置2の各機能を、適宜複数のサーバに分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、機械学習装置2の各機能を実現してもよい。
【0155】
上記実施形態では、運用支援システム1は、1つの機械学習装置2を備えているが、運用支援システムは、複数の機械学習装置2を備えるものであってもよい。運用支援システムが機械学習装置2を複数備える場合には、いずれかの機械学習装置2が記憶した学習モデルを、他の機械学習装置2との間で共有するようにしてもよい。学習モデルを複数の機械学習装置2で共有するようにすれば、各機械学習装置2において分散して学習を行うことが可能となるので、運用支援システムは、より効率的に学習を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0156】
1 運用支援システム
2 機械学習装置
3 運用支援装置
7 撮影装置
22 入力データ取得部
22A 第1入力データ取得部(入力データ取得部)
22B 第2入力データ取得部(入力データ取得部)
22C 第3入力データ取得部(入力データ取得部)
23ラベル取得部
23A 第1ラベル取得部(ラベル取得部)
23B 第2ラベル取得部(ラベル取得部)
23C 第3ラベル取得部(ラベル取得部)
25 モデル構築部
25A 第1モデル構築部(モデル構築部)
25B 第2モデル構築部(モデル構築部)
25C 第3モデル構築部(モデル構築部)
31 通信部
32 記憶部
33 表示部
35 制御部
41 判定用データ取得部
42 存在判定部
43 対象特定部
44 距離推定部
45 種別推定部
51 規制情報取得部
53 抵触判定部
55 許可取得可否判定部
56 手続方法取得部
57 設備データ取得部
A 地域
D 電柱
L 電線
PD1 飛行予定領域
S1 建物
RS1 規制区域
P 判定用写真
M マーカ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B