(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152115
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】貯蔵庫の扉
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20241018BHJP
A47B 95/02 20060101ALI20241018BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20241018BHJP
A47J 47/14 20060101ALI20241018BHJP
F25D 23/12 20060101ALN20241018BHJP
A47B 31/00 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
F25D23/02 304D
F25D23/02 304C
A47B95/02 501C
A47B95/02 503F
A47B55/00
A47J47/14
F25D23/12 P
A47B31/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066103
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑哉
(72)【発明者】
【氏名】與語 勇一
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
【テーマコード(参考)】
3B067
3L102
4B066
【Fターム(参考)】
3B067AA00
3B067AA05
3B067AA11
3B067DA00
3B067EA02
3L102JA10
3L102KA01
3L102KC07
3L102KD10
3L102KE02
3L102KE06
4B066AA03
4B066AB10
4B066BA04
(57)【要約】
【課題】貯蔵庫の扉を低コスト化する。
【解決手段】貯蔵庫10の扉30は、貯蔵庫本体14の開口を覆う扉本体31と、扉本体31の開閉操作用の取手部36B1を有し、扉本体31を取り囲む扉枠体33と、を備え、取手部36B1は、扉枠体33において貯蔵庫本体14と反対側に位置する第1主面36Bに設けられ、扉枠体33は、扉枠体33の貯蔵庫本体14側に位置する第2主面36Dと、取手部36B1との間に、第2主面36Dと取手部36B1とを断熱するための中空部36Cを有する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵庫本体の開口を覆う扉本体と、
前記扉本体の開閉操作用の取手部を有し、前記扉本体を取り囲む扉枠体と、を備え、
前記取手部は、前記扉枠体において前記貯蔵庫本体と反対側に位置する第1主面に設けられ、
前記扉枠体は、前記扉枠体の前記貯蔵庫本体側に位置する第2主面と、前記取手部との間に、前記第2主面と前記取手部とを断熱するための中空部を有する貯蔵庫の扉。
【請求項2】
前記取手部は、前記扉枠体と同一材料からなり、前記扉枠体に一体的に設けられている請求項1に記載の貯蔵庫の扉。
【請求項3】
前記同一材料はアルミニウムである請求項2に記載の貯蔵庫の扉。
【請求項4】
前記扉枠体は、矩形状をなし、
前記扉枠体は、
前記矩形状の辺部を構成する複数のフレームと、
前記矩形状の角部を構成し、隣り合う前記フレーム間に取り付けられるコーナージョイントと、を備え、
前記コーナージョイントは、前記中空部に挿入される挿入部を有し、
前記挿入部は、前記取手部と接触する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫の扉。
【請求項5】
前記扉本体の外縁部と前記扉枠体との間に取り付けられるパッキンを備え、
前記パッキンは、前記扉本体の前記外縁部が差し込まれる溝部を有し、
前記溝部は、前記扉本体と反対側の面に面取り部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫の扉。
【請求項6】
前記扉本体の端部と前記扉枠体との間に取り付けられるパッキンを備え、
前記パッキンは、前記扉本体と反対側の面に突出部を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の貯蔵庫の扉。
【請求項7】
前記突出部は、湾曲面、または傾斜面の少なくとも一方を有する請求項6に記載の貯蔵庫の扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、貯蔵庫の扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、温冷配膳車(貯蔵庫の一例)の扉として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の扉は、食品を保冷状態で貯蔵する冷蔵室、及び食品を保温状態で貯蔵する温蔵室に対してそれぞれ配設されている。各扉は、樹脂コーティングしたアルミニウム製の本体フレーム(扉枠体)と、扉を開閉操作するための合成樹脂製の把手(取手部)と、を備える。これにより、アルミニウムによって扉枠体を軽量化しつつ、樹脂によって取手部を適温に保つことができる扉が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した扉をより低コスト化するには、扉枠体と同様に取手部をアルミニウム製とし、樹脂コーティングを施す方法が考えられる。その場合、温蔵室の設定温度は80℃程度と高温になることがあるため、人が触れる取手部には十分な樹脂コーティングが必要となる。しかしながら、樹脂コーティングは剥がれやすく繊細な取り扱いが必要であり、このような方法によって扉を低コスト化するのは難しい実情がある。
【0005】
本技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、貯蔵庫の扉を低コスト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に記載の技術に関わる貯蔵庫の扉は、貯蔵庫本体の開口を覆う扉本体と、前記扉本体の開閉操作用の取手部を有し、前記扉本体を取り囲む扉枠体と、を備え、前記取手部は、前記扉枠体において前記貯蔵庫本体と反対側に位置する第1主面に設けられ、前記扉枠体は、前記扉枠体の前記貯蔵庫本体側に位置する第2主面と、前記取手部との間に、前記第2主面と前記取手部とを断熱するための中空部を有する。
【0007】
また、前記取手部は、前記扉枠体と同一材料からなり、前記扉枠体に一体的に設けられていてもよい。
【0008】
また、前記同一材料はアルミニウムであってもよい。
【0009】
また、前記扉枠体は、矩形状をなし、前記扉枠体は、前記矩形状の辺部を構成する複数のフレームと、前記矩形状の角部を構成し、隣り合う前記フレーム間に取り付けられるコーナージョイントと、を備え、前記コーナージョイントは、前記中空部に挿入される挿入部を有し、前記挿入部は、前記取手部と接触してもよい。
【0010】
また、前記扉本体の外縁部と前記扉枠体との間に取り付けられるパッキンを備え、前記パッキンは、前記扉本体の前記外縁部が差し込まれる溝部を有し、前記溝部は、前記扉本体と反対側の面に面取り部を有してもよい。
【0011】
また、前記扉本体の端部と前記扉枠体との間に取り付けられるパッキンを備え、前記パッキンは、前記扉本体と反対側の面に突出部を有してもよい。
【0012】
また、前記突出部は、湾曲面を有してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本願明細書に記載の技術によれば、貯蔵庫の扉を低コスト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】一部のパネルを取り外した状態における機械室の上面図
【
図5】加熱用ファン、及びファンボックスを下方から視た斜視図
【
図16A】上フレームにパッキンが差し込まれる様子を示す断面図
【
図16B】パッキンに扉本体が差し込まれる様子を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
実施形態1に係る配膳車10(貯蔵庫の一例)について
図1から
図18を参照して説明する。一部の図面に示した符号F,B,L,R,U,Dはそれぞれ、配膳車10の前後方向における前、後、正面から見たときの幅方向(前後方向)における左、右、鉛直方向(上下方向)の上、下を示している。
【0016】
配膳車10は、
図1から
図4に示すように、全体として直方体状をなしており、調理した配膳用の食品(被貯蔵物の一例)を収容して運搬するために用いられる。配膳車10はおおまかには、温蔵室11A、11B、及び冷蔵室12A、12Bを有する貯蔵庫本体14と、貯蔵庫本体14の上方に配置される機械室15と、貯蔵庫本体14の開口を開閉する扉30と、温蔵室11A、11Bを加熱する加熱装置50と、温蔵室11A、11B内の空気を循環させる加熱用ファン55と、冷蔵室12A、12Bを冷却する冷却装置60と、冷蔵室12A、12B内の空気を循環させる冷却用ファン69と、車輪16と、ハンドル17と、を備える。使用者は、ハンドル17を手で引いたり押したりして車輪16を回転させ、配膳車10を図示の前後方向に沿って移動させる。
【0017】
貯蔵庫本体14は、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱と内箱との間に、断熱材(例えば発泡ウレタンフォーム、メラミンフォーム)が充填された断熱箱体である。貯蔵庫本体14は、
図2に示すように、後壁部14Aと、前壁部14Bと、天井壁部14Cと、底壁部14Dと、を含む断熱壁部から構成されている。また、貯蔵庫本体14の内部は、
図2に示すように、前後方向についての略中央部に設けられ、上下方向に延在する中間ダクト18によって前後2つの部屋に仕切られている。中間ダクト18は、内部を空気が流通可能となっており、後述するように冷気流通用のダクトの機能を有する。さらに前後2つの部屋はそれぞれ、仕切壁19により前後2つに仕切られて、合計4室が形成されている。貯蔵庫本体14内の4室は、後方から順に温蔵室11A、2つの冷蔵室12A、12B、及び温蔵室11Bとなっている。温蔵室11A、11Bは、暖気の供給を受けて食品を温蔵する。冷蔵室12A、12Bは、冷気の供給を受けて食品を冷蔵する。
【0018】
貯蔵庫本体14は、左方だけでなく右方からも温蔵室11A、11B及び冷蔵室12A、12Bにアクセス可能に、左面開口14S1及び右面開口14S2を有する。貯蔵庫本体14は、左面開口14S1及び右面開口14S2の前後方向における中央部にそれぞれ、断熱性の中間フレーム14Gを有する(
図11)。各開口14S1、14S2において中間フレーム14Gより区切られた、隣り合う温蔵室11Aと冷蔵室12Aとの組、及び隣り合う温蔵室11Bと冷蔵室12Bとの組に対して、観音開き式の扉30が一対ずつ、合計4枚取り付けられている。
【0019】
温蔵室11A、11B内と冷蔵室12A、12B内には、複数段にわたって棚(トレー受け)13が設けられている。温食と冷食とが区分けして載置されたトレーが、仕切壁19内に挿通されつつ棚13に載せられると、トレー上の温食が温蔵室11Aに、冷食が冷蔵室12Aにそれぞれ収容されて、温蔵及び冷蔵されるようになっている。トレーは、もう一組の温蔵室11Bと冷蔵室12Bに対しても同様に収容される。
【0020】
機械室15は、貯蔵庫本体14の天井壁部14Cとパネルによって囲まれた空間である。機械室15の前方、後方、左方、右方、及び上方はそれぞれ、フロントパネル15A、リアパネル15B、左サイドパネル15C、右サイドパネル15D、及びトップパネル15Eで覆われている。機械室15には、
図3及び
図4に示すように、加熱装置50と、加熱用ファン55と、冷却装置60と、冷却用ファン69と、これらの装置50、60及びファン55、69を制御する制御部20と、が収容されている。
【0021】
制御部20は、配膳車10の運転を制御したり、電源を供給するための回路等を備え、電装箱に収容される形で設けられている。制御部20は例えば、各種情報等を送受信するインターフェイス(I/F)と、制御プログラムの命令を実行するCPUと、各種の情報を記憶する記憶部と、計時機能を有するタイマと、を有するマイクロコンピュータによって構成される。
【0022】
貯蔵庫本体14の左面開口縁部及び右面開口縁部のうち、冷蔵室12A、12Bの対応部分(フレーム)14E、14Fは、結露が生じやすい。そこで本実施形態では、フロントパネル15A、リアパネル15B、左サイドパネル15C、及び右サイドパネル15Dはスリット状の小さな隙間を空けて組み立てられている。機械室15内の機器類からの排熱が隙間を通って左面開口縁部及び右面開口縁部のフレーム14E、14Fに当たることで、これらに生じる結露を抑制できるようになっている。
【0023】
機械室15の左サイドパネル15Cには、
図1に示すように開口が設けられており、この開口には、操作パネル21が露出するように取り付けられている。操作パネル21は、表示部21Aと、操作部21Bと、を一体的に備えている。表示部21Aは、例えば7セグメントディスプレイであり、配膳車10の各種情報を表示する。操作部21Bは、例えば押しボタン式のスイッチであり、制御部20に対して配膳車10の運転条件や動作を指示することができるように構成されている。
【0024】
温蔵室11A、11Bの設定温度の範囲は例えば40℃から80℃とされ、下限値は例えば40℃から60℃の範囲で変更可能とされ、上限値は例えば60℃から80℃の範囲で変更可能とされる。冷蔵室12A、12Bの設定温度の範囲は例えば0℃から30℃とされ、下限値は例えば0℃から10℃の範囲で変更可能とされ、上限値は例えば10℃から30℃の範囲で変更可能とされる。このように設定温度の上限値及び下限値に対して変更可能な範囲を定めることで、使用者が操作部21Bによって設定温度を入力する際の誤操作を防止し、被貯蔵物及び部品が不適切な温度帯に曝される事態を抑制できる。
【0025】
加熱装置50は、
図4から
図6に示すように、コードヒーター51と、ヒーターパネル(ダクト)53と、を備える。ヒーターパネル53は、温蔵室11A、11Bにおいて仕切壁19と反対側に1つずつ配されている。温蔵室11A用のヒーターパネル53は、貯蔵庫本体14の後壁部14Aに沿って上下方向に延在し、温蔵室11B用のヒーターパネル53は、貯蔵庫本体14の前壁部14Bに沿って上下方向に延在する。各ヒーターパネル53はそれぞれ、後壁部14A、又は前壁部14Bとの間に暖気が流れる流路を構成するように断面コ字状をなしている。各コードヒーター51は、ヒーターパネル53において後壁部14A側、又は前壁部14B側の面に蛇行状に配索されている。
図6では、コードヒーター51の形状は省略され、配索領域が網掛で示されている。コードヒーター51は、コード状以外の他の種類のヒーターであっても構わない。
【0026】
加熱用ファン55は、
図4及び
図5に示すように、機械室15におけるヒーターパネル53の上方に、ファンボックス56に収容される形で設けられている。また貯蔵庫本体14の天井壁部14Cにおいてファンボックス56に上方から覆われる部分には、温蔵室11A、11B内の空気を吸い込むための第1吸込口14C1が設けられている。第1吸込口14C1には、温蔵室11A、11Bの室内温度を検出するための温蔵室温度センサ57(具体的にはサーミスタ)が設けられている。
【0027】
ヒーターパネル53は、上方に開口しており、加熱ファン55からの暖気が流入可能となっている。またヒーターパネル53には、暖気を温蔵室11A、11Bに吹き出すための第1流出口53Bが上下方向に沿って多数設けられている。加熱用ファン55は、温蔵室11A、11Bから第1吸込口14C1を通って吸い込まれ、ヒーターパネル53内に流入して、ヒーターパネル53のコードヒーター51によって加熱された空気を第1流出口53Bを通って温蔵室11A、11Bに戻すように、温蔵室11A、11B内の空気を循環させる。加熱装置50のコードヒーター51、及び加熱用ファン55が作動すると、ヒーターパネル53からの輻射熱、及びヒーターパネル53の第1流出口53Bから吹き出される暖気によって温蔵室11A、11Bは加熱される。
【0028】
加熱用ファン55は、空気の吸込方向が吹出方向に沿う軸流ファン(センターファン)とされる。加熱用ファン55は、
図5に示すように、空気の吸込方向及び吹出方向が前後方向となるように、ファンボックス56に取り付けられている。ファンボックス56は、下方に開口した略直方体状をなし、貯蔵庫本体14の天井壁部14Cの第1吸込口14C1と重なる位置に第2吸込口56Aを有する。また、ヒーターパネル53の上部開口と重なる位置に第1吹出口56Bを有する。ファンボックス56において加熱用ファン55の吹出側の側板56Cは、加熱用ファン55の吹出方向と交わり、ヒーターパネル53に沿う上下方向に延在する。これにより加熱用ファン55から吹出方向(前後方向)に沿って吹き出された空気は、ファンボックス56の側板56Cに当たることで、風向が下方に変化し、ヒーターパネル53の上部開口に向かうようになる。すなわち、加熱用ファン55からの空気は、風向板の一例である側板56Cによってヒーターパネル53に案内される。
【0029】
このようにファンボックス56内に加熱用ファン55を取り付けると、加熱用ファン55から吹き出される空気は、
図5及び
図6に示すように、ファンボックス56の側板56Cに当たることで、風向が下方に変化すると共に、扇状に拡散しつつ下方に向かうようになる。これにより加熱用ファン55からの空気は、左右方向について加熱用ファン55付近以外の場所にも広がりやすくなる。その結果、ヒーターパネル53に沿って流れる空気がヒーターパネル53全体に行き渡りやすくなり、温蔵室11A、11Bの加熱ムラを抑制できる。
【0030】
仮に加熱用ファン55として、空気の吸込方向が吹出方向と交わる遠心ファン(クロスフローファン)やブロアファン(シロッコファン)を用いると、風向板である側板56Cを設けずに、加熱用ファン55からの空気をヒーターパネル53に案内可能となる。しかしながら、これらのファンは供給量が少なく高コストである。本実施形態では加熱用ファン55として安価で入手しやすい汎用の軸流ファンを用いつつ、側板56Cを設けることで、風向を下向きに変化させ、ヒーターパネル53に沿って流下する空気がヒーターパネル53全体に行き渡りやすくできるようになっている。その結果、温蔵室11A、11Bの加熱ムラをより低コストに抑制できる。
【0031】
また、加熱用ファン55からの空気がファンボックス56の側板56Cに当たるようにすることで、ヒーターパネル53に沿って流下する空気を低速化し、温蔵室11A、11B内に収容された被貯蔵物の飛散を抑制しやすくなる。さらに、加熱用ファン55を吸込方向及び吹出方向が前後方向となるように立設することで、加熱用ファン55を吸込方向及び吹出方向が上下方向となるように横倒しに配設する場合に比べて、ファンボックス56の第1吹出口56Bの大きさを小さくできる。これにより、温蔵室11A用のヒーターパネル53の配設位置を後壁部14Aに近づけ、温蔵室11B用のヒーターパネル53の配設位置を前壁部14Bに近づけることが可能となる。その結果、温蔵室11A、11Bの収容スペースを増大できる。
【0032】
冷却装置60は、
図2及び
図3に示すように、圧縮機61と、凝縮器63と、膨張弁(キャビラリーチューブ)と、冷却器65と、凝縮器ファン67と、冷媒管68と、を備える。圧縮機61、凝縮器63、冷却器65は、冷媒管68によって連結されており、冷媒を循環させて既知の冷凍サイクル(冷凍回路)を形成している。
【0033】
圧縮機61は、モータを動力源として冷媒ガスを吸引して圧縮し、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。圧縮機61は、
図9に示すように、4つの締結部材61A(例えばナット)によって貯蔵庫本体14の天井壁部14Cに取り付けられている。天井壁部14C内における締結部材61Aの配設部分には、締結部材61Aを取り囲むように軟質発泡体61Bが設けられている。製造工程において、天井壁部14Cの外箱と内箱との間の発泡材は、軟質発泡体61Bが設けられた状態で充填されるものとされる。
図9では、当該発泡材の充填前の状態が示されている。
【0034】
このように圧縮機61の締結部材61Aを設けることで、天井壁部14C内における締結部材61Aの配設部分に弾力性を持たせることができ、天井壁部14Cに窪み部を設けず平坦な形状を保ったまま、重量の大きい圧縮機61を好適に固定できるようになる。また、天井壁部14Cの上面に下方に窪む窪み部を設けずに済むため、発泡材を注入しやすくなり、断熱性も向上できる。
【0035】
凝縮器63は、圧縮機61で圧縮された冷媒ガスを凝縮器ファン67の送風により冷却して液化させる。本実施形態に係る凝縮器63は、一般的なフィン&チューブ型の熱交換器に比べて小型であるマイクロチャネル熱交換器とされる。凝縮器ファン67は、
図3及び
図8に示すように、凝縮器63の左方に2つ設けられている。凝縮器ファン67が作動すると、外気が機械室15の右サイドパネル15Dの外気流入口15D1から流入して、凝縮器63内を右から左に通過することで、凝縮器63内の冷媒が空冷される。外気流入口15D1付近には、貯蔵庫本体14の周囲の外部温度を検出する外部温度センサ23が設けられている。外部温度センサ23には例えば、サーミスタや所定温度でオンオフするサーモスタットを用いることができる。
【0036】
凝縮器63の外気流入側(右側)には、エアフィルタ63A、及び2枚のエアガイド63Bが取り付けられている。エアフィルタ63Aによって凝縮器63内のフィン等に異物が侵入し目詰まりしてしまう事態が抑制される。エアフィルタ63Aの枠体は、凝縮器63のフィンの非配設部と重なる部分(前後方向の両端部)63A1が幅広に形成されており、外気が凝縮器63内のフィンの非配設部分へ効率的に流入されるようになっている。エアガイド63Bは、外気が凝縮器63内へ効率よく流入されるように案内すると共に、機械室15の右サイドパネル15D等の外装用部材を支持する支柱としての役割を担っている。これにより、機械室15の部品点数を削減し省スペース化しやすくなる。
【0037】
冷媒管68のうち圧縮機61から凝縮器63に至る部分は、
図4に示すように、前後方向、左右方向、上下方向の全てについて冷媒の流通方向が一方向のみとならないように(すなわち、前から後、後から前、左から右、右から左、上から下、下から上の6方向全てを含むように)蛇行している。これにより、配膳車10の移動によって当該冷媒管68に振動が伝わった場合であっても、冷媒の応力上昇による冷媒管68の破損(ひび割れ)を抑制できる。その結果、冷媒管の材質として一般的な銅に比べ、軽量で低強度である材質(例えばアルミニウム)を冷媒管68に採用可能となる。また当該冷媒管68は、凝縮器ファン67のうち風速が大きい羽根車の外周側と重なるように蛇行している。これにより、凝縮機能が向上されている。
【0038】
冷却器65は、凝縮器63からの冷媒液を膨張弁により減圧してから気化させることで、気化熱によって冷却器65を通過する空気を冷却する。冷却器65は、
図9に示すように、機械室15において冷蔵室12Bの上方に設けられている。本実施形態に係る冷却器65は、一般的なフィン&チューブ型の熱交換器であるが、他の種類であっても構わない。冷却器65からの冷媒ガスは、圧縮機61に帰還される。
【0039】
冷却用ファン69は、
図7に示すように、冷却器65の後方であって中間ダクト18の上方に設けられている。貯蔵庫本体14の天井壁部14Cのうち、冷却用ファン69及び冷却器65と重なる部分は開口しており、開口を覆うように冷却器ダクト70が配設されている。冷却用ファン69及び冷却器65は、下方が開放された直方体状の断熱箱体である冷却器カバー66内に収容されている。冷却器カバー66は、天井壁部14C上に載置されている。冷却器カバー66は、
図10に示すように、合成樹脂(例えばEPP(発泡ポリプロピレン))によって一体成型されており、内面66Aは冷却用ファン69及び冷却器65との隙間を埋めるために、これらの外形に倣う凹凸形状を有している。これにより、後述する第3吸込口71から吸い込まれた空気が効率的に冷却器65に流入される。
【0040】
中間ダクト18は、
図11に示すように、左右方向について中央部に設けられ、左右両側の中間フレーム14Gと所定の間隔G1を空けている。2つの冷蔵室12A、12Bは、中間ダクト18によって仕切られる一方、間隔G1によって連通している。中間ダクト18には、冷蔵室12A、12Bに冷気を吹き出すための多数の第2流出口18Aが上下方向に沿って設けられている。
【0041】
冷却器ダクト70は、
図12に示すように、全体として浅いトレー状をなす。冷却器ダクト70の前部には、冷蔵室12Bからの空気を吸い込む多数の第3吸込口71が設けられている。冷蔵室12Aからの空気は、上記した中間ダクト18と中間フレーム14Gとの間隔G1を通って冷蔵室12Bに流入し、冷蔵室12Bを通って第3吸込口71に吸い込まれる。第3吸込口71の開口縁部は、鉛直方向に対して傾斜する傾斜面71Aを有し、これにより冷却器65に流入する空気の風向が安定化されている。第3吸込口71付近には、冷蔵室12Bの室内温度を検出するための冷蔵室温度センサ58(具体的にはサーミスタ)が設けられている。一方、冷却器ダクト70の左部には、冷却器65からの冷気を中間ダクト18に吹き出すための第2吹出口72が設けられている。冷却用ファン69が作動すると、冷蔵室12B内の空気は第3吸込口71から吸い込まれ、冷却器65を通過することで冷却される。冷却された空気は第2吹出口72を通って中間ダクト18に流入し、中間ダクト18の第2流出口18A(
図7、
図11)から冷蔵室12A、12Bに吹き出されて循環する。
【0042】
また冷却器ダクト70によって、冷却器65に付着した霜が融解された際に生じる除霜水が受け止められるようになっている。冷却器ダクト70の底部には、排水口73が設けられており、底部は排水口73に向かって除霜水が流下するような形状を有する。また排水口73には下方から排水管75が接続され、除霜水は、中間ダクト18内を下方に延びる排水管75を通ってドレンタンク76(
図2)に貯留される。
【0043】
次に、扉30について詳しく説明する。扉30は、既述したように、貯蔵庫本体14の左面開口及び右面開口に対して、観音開き式に扉30が2対、計4枚ずつ取り付けられている。対をなす2枚の扉30の構成は対称で基本的に同じであり、以下では、貯蔵庫本体14の左面開口において温蔵室11Aを開閉する扉30について主に説明する。
【0044】
扉30は、
図13及び
図14に示すように、扉本体31と、扉本体31を取り囲む扉枠体33と、扉本体31の外縁部と扉枠体33との間に取り付けられるパッキン40と、を備える。扉本体31は、平面視で矩形状をなし、閉状態において貯蔵庫本体14の左面開口の一部(例えば温蔵室11A)を覆う。扉本体31は、断熱性を高めるために2重構造を有し、
図15に示すように、左右方向に間隔を空けて並べられる第1扉本体31Aと、第2扉本体31Bと、からなる。各扉本体31A、31Bは例えば樹脂製である。
【0045】
扉枠体33は、矩形状の辺部を構成する4つのフレーム、すなわち、前後方向に延びる上フレーム34及び下フレーム35と、上下方向に延びる第1サイドフレーム36及び第2サイドフレーム37と、を備える。各フレーム34、35、36、37は、軽量で高強度の金属材料(具体的にはアルミニウム)を押出成形することで一体形成されている。また、扉枠体33は、4つのフレーム34、35、36、37を枠状に組み立てるための連結部材として、矩形状の角部を構成する2つの第1コーナージョイント38、及び2つの第2コーナージョイント39を備える。
【0046】
扉枠体33の各フレーム34、35、36、37は、
図15から
図17においてフレーム34、36の例を示すように、パッキン40が差し込まれて係合する爪状の係合部34A、36Aを有する。扉本体31は、
図16A及び
図16Bに示すように、扉枠体33の各フレーム34、35、36、37にパッキン40が差し込まれて係合された後、パッキン40内に圧入される。
【0047】
第1サイドフレーム36は、観音開き式に対をなす相手側の扉30側に設けられるサイドフレームである。第1サイドフレーム36は、
図14に示すように、他方の第2サイドフレーム37より幅広に形成されている。第1サイドフレーム36は、
図17に示すように、係合部36Aと、開閉操作用の取手部36B1と、中空部36Cと、を有する。取手部36B1は、第1サイドフレーム36において貯蔵庫本体14と反対側(左側、庫外側)に位置する第1主面36Bに設けられている。取手部36B1は、第1主面36Bの一部が貯蔵庫本体14側(右側、庫内側)に窪んだ部分であり、手を引掛けやすいように丸みを帯びた形状をなす。
【0048】
第1サイドフレーム36の中空部36Cは、貯蔵庫本体14側に位置する第2主面36Dと、取手部36B1との間を断熱するための内部空間であって、少なくとも両者の間に介在するように形成される。本実施形態に係る中空部36Cは、取手部36B1を含む第1主面36B全体と、第2主面36D全体との間に介在するように形成されており、内部空間を大きくすることで断熱効果がより高められている。
【0049】
第2主面36Dは、温蔵室11Aが加熱されて高温になる場合があり、例えば温蔵室11Aの設定温度が80℃の場合、55℃を超えることがある。中空部36Cを設けることで、温蔵室11Aに面する第2主面36Dからの熱が、取手部36B1に熱伝導されにくくなる。これにより、取手部36B1を第1サイドフレーム36と同一の金属材料(具体的にはアルミニウム)で一体的に設けた場合であっても、取手部36B1に樹脂コーティングを施す必要がなくなる。その結果、取手部36B1を容易に設けられると共に、樹脂コーティングのコスト、及び樹脂コーティングを保護するために運搬時に必要となる包装材のコスト等を削減でき、扉30を低コスト化できる。
【0050】
2つの第1コーナージョイント38は、
図14に示すように、隣り合う上フレーム34と第1サイドフレーム36との間、及び隣り合う下フレーム35と第1サイドフレーム36との間に取り付けられる。2つの第2コーナージョイント39は、隣り合う上フレーム34と第2サイドフレーム37との間、及び隣り合う下フレーム35と第2サイドフレーム37との間に取り付けられる。
【0051】
第1コーナージョイント38は、
図17及び
図18に示すように、第1サイドフレーム36の中空部36Cに対して上下方向に沿って挿入(圧入)される2つの挿入部38A、38Bを有する。第1挿入部38Aは、中空部36Cにおいて扉本体31側の部分に挿入され、第2挿入部38Bは、中空部36Cにおいて扉本体31と反対側の部分に挿入される。第2挿入部38Bは、リベット挿入孔38B1を有し、第1サイドフレーム36と第1コーナージョイント38は、リベット45(取付部材の一例)によって締結される。
【0052】
第1挿入部38A、及び第2挿入部38Bは、中空部36Cに挿入される際、取手部36B1の一部(
図17において一点鎖線で囲んだ部分)と接触するように圧入される。これにより、リベット45の使用数を最小限に抑えた場合であっても、第1コーナージョイント38をガタツキなく第1サイドフレーム36に取り付けられる。その結果、扉30の組み立てに係る作業性を向上し、扉30の強度も向上できる。
【0053】
パッキン40は、枠状をなし、
図15に示すように、扉本体31A、31Bの外縁部31A1、31B1が差し込まれる2つの溝部41を有する。扉本体31A、31Bは、
図16A及び
図16Bにおいて上フレーム34への取り付け例を示すように、フレーム34、35、36、37にパッキン40が差し込まれた状態で、パッキン40内に圧入されて組付けられる。溝部41は、外面41A(扉本体31と反対側の面)において上フレーム34への取付方向先端部に面取り部41A1を有する。面取り部41A1は、溝部41の外面41Aのうち上フレーム34の係合部34Aと係合する部分に設けられる。面取り部41A1を設けることで、溝部41を上フレーム34の係合部34Aに差し込む際に、爪状の係合部34Aに溝部41の外面41Aが引っ掛かりにくくなり、差し込みやすくなる。本実施形態に係る面取り部41A1は傾斜面であるが、湾曲面等であっても構わない。パッキン40の溝部41は、他のフレーム35、36、37に対しても同様の作用を生じるように、これらに取り付けられる部分に対しても面取り部41A1を有するものとされる。
【0054】
またパッキン40の溝部41は、
図16Aに上フレーム34への取付例を示すように、外面41Aに断面矩形状の突出部41A2を有する。突出部41A2は、フレーム34、35、36、37の係合部(
図16Aにおける上フレーム34の係合部34A)の内側に引っ掛かることで、パッキン40の位置ズレを抑制する。より詳しくは、突出部41A2を設けることで、上フレーム34及び下フレーム35に取り付けられるパッキン40の上下方向の位置ズレを規制し、第1サイドフレーム36及び第2サイドフレーム37に取り付けられるパッキン40の前後方向の位置ズレを規制できる。これにより、パッキン40がフレーム34、35、36、37に対して位置ズレすることによって、パッキン40とフレーム34、35、36、37との間に隙間が生じてしまう事態を抑制できる。また当該隙間を抑制することで、隙間に異物が挟まったり、水蒸気が2つの扉本体31A、31B間に侵入する事態を抑制できる。なおパッキン40の溝部41は、他のフレーム35、36、37に対しても同様の作用を生じるように、これらに取り付けられる部分に対しても突出部41A2を有するものとされる。
【0055】
続いて、配膳車10の運転について説明する。制御部20は、加熱装置50のコードヒーター51、及び加熱用ファン55を作動することで、温蔵室温度センサ57の検出温度を参照しつつ、温蔵室11A、11Bの加熱運転を実行する。また制御部20は、冷蔵室温度センサ58の検出温度を参照しつつ、冷却装置60の圧縮機61及び凝縮器ファン67、並びに冷却用ファン69を作動することで、冷蔵室12A、12Bの冷却運転を実行する。さらに制御部20は、所定の冷却運転時間毎等に、冷却器65に付着した霜を融解する除霜運転を実行してもよい。
【0056】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0057】
(1)扉30の形状、及び構成は図示に限られない。例えば扉本体31は横長であってもよく、2重構造を有していなくても構わない。
【0058】
(2)パッキン40の突出部41A2は、例えば
図19に示すように、断面視における矩形状の角部が湾曲面を有していたり、
図20に示すように、面取りされて傾斜面を有していてもよい。このような形状にすることで、溝部41をフレーム34、35、36、37の係合部(例えば
図15Aの上フレーム34の係合部34A)により差し込みやすくなる。
【0059】
(3)貯蔵庫本体14の構成、例えば温蔵室11A、11B、及び冷蔵室12A、12Bの数や配置、並びに扉30の数は図示に限られない。例えば、貯蔵庫本体14は、より多数の温蔵室及び冷蔵室を備え、配膳車10は車輪16が電動で移動可能な大型のものであってもよい。
【0060】
(3)本技術は、配膳車10以外の貯蔵庫に対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10:配膳車(貯蔵庫)、14:貯蔵庫本体、30:扉、31、31A、31B:扉本体、31A1、31B1:外縁部、33:扉枠体、36:第1サイドフレーム(フレーム)、36B:第1主面、36B1:取手部、36C:中空部、36D:第2主面、38:第1コーナージョイント(コーナージョイント)、38A、38B:挿入部、40:パッキン、41:溝部、41A1:面取り部、41A2:突出部