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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152116
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配膳車
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20241018BHJP
   F25D 23/12 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
A47B31/00 H
F25D23/12 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066104
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】與語 勇一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐基
(72)【発明者】
【氏名】杉本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政宏
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を低減できる配膳車を提供する。
【解決手段】トレイT1を内部に収容可能な箱体14と、箱体14内において上下方向に複数並び、箱体14の内部空間を仕切る仕切部30と、を備え、仕切部30は、仕切本体部31と、仕切本体部31の上側に配され、上下方向に可動とされる可動部21と、可動部21を上方に付勢する付勢部51と、を備え、複数の仕切部30のうち、下仕切部30Aと下仕切部30Aの上方に配された上仕切部30Bとの間にトレイT1が差し込まれると、下仕切部30Aにおいて付勢部51によって上方に付勢された可動部21と上仕切部30Bとの間でトレイT1を挟む構成とされる、配膳車10。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイを内部に収容可能な箱体と、
前記箱体内において上下方向に複数並び、前記箱体の内部空間を仕切る仕切部と、を備え、
前記仕切部は、
仕切本体部と、
前記仕切本体部の上側に配され、上下方向に可動とされる可動部と、
前記可動部を上方に付勢する付勢部と、を備え、
前記複数の仕切部のうち、下仕切部と前記下仕切部の上方に配された上仕切部との間に前記トレイが差し込まれると、前記下仕切部において前記付勢部によって上方に付勢された前記可動部と前記上仕切部との間で前記トレイを挟む構成とされる、配膳車。
【請求項2】
前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う位置決め部を備え、
前記可動部は、前記トレイの差込方向に延出し、前記差込方向に交わる方向において前記位置決め部に重畳した延出部を備える、請求項1に記載の配膳車。
【請求項3】
前記仕切本体部の上部は、上方に向かうほど先細る形を構成する傾斜面を有し、
前記可動部は、前記仕切本体部の前記上部を上方から覆う形をなしている、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項4】
前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第1位置決め部を備え、
前記第1位置決め部は、下方に窪んだ凹部を備え、
前記可動部は、前記トレイの差込方向における手前側に指向し、前記凹部に差し込まれる手前壁部を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項5】
前記可動部は、
上壁部と、
前記上壁部から立ち下がり、前記仕切本体部の側壁部に対向する形で延在した延在壁部と、
前記延在壁部から前記側壁部に向かって突出した突部と、を備え、
前記仕切本体部の前記側壁部は、前記突部よりも上方に配され、前記突部が引っ掛かり可能な引掛部を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項6】
前記引掛部は、
第1引掛部と、
前記第1引掛部に対して離間した位置に配された第2引掛部と、からなる、請求項5に記載の配膳車。
【請求項7】
前記仕切本体部の前記側壁部は、前記引掛部よりも下方の位置であって前記突部に対向する位置に配された窪み部を備える、請求項5に記載の配膳車。
【請求項8】
前記可動部は、前記付勢部が挿入される空隙部を備え、
前記空隙部は、
第1面部と、
突条部を有し、前記第1面部に対向した第2面部と、を備え、
前記突条部は、前記空隙部に挿入された前記付勢部に当接することで、前記付勢部を前記第1面部に押し付ける構成とされる、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項9】
前記仕切部は、上下方向に可動とされ、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、
前記可動部は、前記第2位置決め部に当接可能な当接部を備え、
前記第2位置決め部が一定以上下方に変位すると、前記第2位置決め部が前記当接部に当接し、前記可動部が下方に変位する構成とされる、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項10】
前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、
前記第2位置決め部は、側方に突出した突出部を備え、一部が前記仕切本体部の内部に収まって上下方向に可動とされ、
前記仕切本体部は、その側壁部から前記第2位置決め部の方向に立ち上がり、下方に向かうほど前記トレイの差込方向に傾斜した傾斜壁部を備え、
前記トレイが前記第2位置決め部を前記差込方向に押圧すると、前記突出部が前記傾斜壁部を摺動することにより、前記第2位置決め部が斜めに下降する、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項11】
前記仕切部は、
前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部と、
先端が二股に分かれてなる間隙を有し、前記第2位置決め部を上方に付勢する二股付勢部と、を備え、
前記付勢部は、前記間隙に対し上下方向において部分的に重なる位置に配されている、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項12】
前記下仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、
前記上仕切部は、その下部において、前記下仕切部の前記第2位置決め部の上方に配され、上下方向に可動とされる中間可動部を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項13】
前記仕切本体部は、
前記トレイの差込方向に交わる側方両側に配された2つの側壁部と、
前記2つの側壁部に対し、前記差込方向における手前側に配されたカバーと、を備え、
前記側壁部は、その手前側端部において、上下方向に並んだ複数の仕切側爪部を備え、
前記カバーは、前記2つの側壁部に対向する位置において上下方向に並んだ複数のカバー側爪部を備え、
前記複数の仕切側爪部に対し前記複数のカバー側爪部が上方から嵌め込まれることにより、
前記2つの側壁部に対し前記カバーが取り付けられている、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項14】
前記複数の仕切部のうち、最も下方に位置する最下段仕切部は、他の仕切部よりも上下方向における長さが短い形とされ、
前記最下段仕切部における前記可動部及び前記付勢部は、前記他の仕切部における前記可動部及び前記付勢部と同一の構造とされる、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項15】
前記仕切部に対し前記トレイの差込方向に交わる方向に配され、前記トレイの差し込みをガイドするガイド部と、
前記仕切部と前記ガイド部とを繋ぐ接続部と、を備え、
前記接続部は、
前記仕切本体部の側壁部に取り付けられ、上下方向に延びた上下部と、
前記ガイド部に取り付けられ、前記交わる方向に延びた側方部と、
前記上下部と前記側方部との間の中間部であってラウンド状に曲がった中間部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配膳車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配膳車として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1に記載の配膳車は、トレイを収容する収容室と、収容室を第一室と第一室と異なる温度とされた第二室とに区画するように、トレイの上下に配置された仕切機構と、を有する。この仕切機構は、収容室内に上下方向に所定の間隔をおいて配置された仕切箱と、仕切箱の上面に取り外し自在とされ上側に位置する仕切箱との間隔を小さくする嵩上部材と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-154821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、厚みや形状等、種類が異なるトレイに応じて、嵩上部材を着脱しなければならず、加えて、複数の種類の嵩上部材や着脱に要する部品を保管しておく必要があり、作業者の負担となる。一方、仕切機構によって仕切られた2つの空間(第一室と第一室と異なる温度とされた第二室)について、気体が往来して熱移動することを抑制できることが望まれる。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、作業者の負担を低減できる配膳車を提供することを目的の一つとする。また、熱移動を抑制できる配膳車を提供することをさらなる目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、トレイを内部に収容可能な箱体と、前記箱体内において上下方向に複数並び、前記箱体の内部空間を仕切る仕切部と、を備え、前記仕切部は、仕切本体部と、前記仕切本体部の上側に配され、上下方向に可動とされる可動部と、前記可動部を上方に付勢する付勢部と、を備え、前記複数の仕切部のうち、下仕切部と前記下仕切部の上方に配された上仕切部との間に前記トレイが差し込まれると、前記下仕切部において前記付勢部によって上方に付勢された前記可動部と前記上仕切部との間で前記トレイを挟む構成とされる、配膳車である。
【0007】
上記構成において、前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う位置決め部を備え、前記可動部は、前記トレイの差込方向に延出し、前記差込方向に交わる方向において前記位置決め部に重畳した延出部を備えていてもよい。
【0008】
上記構成において、前記仕切本体部の上部は、上方に向かうほど先細る形を構成する傾斜面を有し、前記可動部は、前記仕切本体部の前記上部を上方から覆う形をなしていてもよい。
【0009】
上記構成において、前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第1位置決め部を備え、前記第1位置決め部は、下方に窪んだ凹部を備え、前記可動部は、前記トレイの差込方向における手前側に指向し、前記凹部に差し込まれる手前壁部を備えていてもよい。
【0010】
上記構成において、前記可動部は、上壁部と、前記上壁部から立ち下がり、前記仕切本体部の側壁部に対向する形で延在した延在壁部と、前記延在壁部から前記側壁部に向かって突出した突部と、を備え、前記仕切本体部の前記側壁部は、前記突部よりも上方に配され、前記突部が引っ掛かり可能な引掛部を備えていてもよい。
【0011】
上記構成において、前記引掛部は、第1引掛部と、前記第1引掛部に対して離間した位置に配された第2引掛部と、からなることとしてもよい。
【0012】
上記構成において、前記仕切本体部の前記側壁部は、前記引掛部よりも下方の位置であって前記突部に対向する位置に配された窪み部を備えていてもよい。
【0013】
上記構成において、前記可動部は、前記付勢部が挿入される空隙部を備え、前記空隙部は、第1面部と、突条部を有し、前記第1面部に対向した第2面部と、を備え、前記突条部は、前記空隙部に挿入された前記付勢部に当接することで、前記付勢部を前記第1面部に押し付ける構成とされていてもよい。
【0014】
上記構成において、前記仕切部は、上下方向に可動とされ、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、前記可動部は、前記第2位置決め部に当接可能な当接部を備え、前記第2位置決め部が一定以上下方に変位すると、前記第2位置決め部が前記当接部に当接し、前記可動部が下方に変位する構成とされていてもよい。
【0015】
上記構成において、前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、前記第2位置決め部は、側方に突出した突出部を備え、一部が前記仕切本体部の内部に収まって上下方向に可動とされ、前記仕切本体部は、その側壁部から前記第2位置決め部の方向に立ち上がり、下方に向かうほど前記トレイの差込方向に傾斜した傾斜壁部を備え、前記トレイが前記第2位置決め部を前記差込方向に押圧すると、前記突出部が前記傾斜壁部を摺動することにより、前記第2位置決め部が斜めに下降する構成であってもよい。
【0016】
上記構成において、前記仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部と、先端が二股に分かれてなる間隙を有し、前記第2位置決め部を上方に付勢する二股付勢部と、を備え、前記付勢部は、前記間隙に対し上下方向において部分的に重なる位置に配されていてもよい。
【0017】
上記構成において、前記下仕切部は、前記下仕切部と前記上仕切部との間に差し込まれた前記トレイの位置決めを行う第2位置決め部を備え、前記上仕切部は、その下部において、前記下仕切部の前記第2位置決め部の上方に配され、上下方向に可動とされる中間可動部を備えていてもよい。
【0018】
上記構成において、前記仕切本体部は、前記トレイの差込方向に交わる側方両側に配された2つの側壁部と、前記2つの側壁部に対し、前記差込方向における手前側に配されたカバーと、を備え、前記側壁部は、その手前側端部において、上下方向に並んだ複数の仕切側爪部を備え、前記カバーは、前記2つの側壁部に対向する位置において上下方向に並んだ複数のカバー側爪部を備え、前記複数の仕切側爪部に対し前記複数のカバー側爪部が上方から嵌め込まれることにより、前記2つの側壁部に対し前記カバーが取り付けられていてもよい。
【0019】
上記構成において、前記複数の仕切部のうち、最も下方に位置する最下段仕切部は、他の仕切部よりも上下方向における長さが短い形とされ、前記最下段仕切部における前記可動部及び前記付勢部は、前記他の仕切部における前記可動部及び前記付勢部と同一の構造とされていてもよい。
【0020】
上記構成において、配膳車は、前記仕切部に対し前記トレイの差込方向に交わる方向に配され、前記トレイの差し込みをガイドするガイド部と、前記仕切部と前記ガイド部とを繋ぐ接続部と、を備え、前記接続部は、前記仕切本体部の側壁部に取り付けられ、上下方向に延びた上下部と、前記ガイド部に取り付けられ、前記交わる方向に延びた側方部と、前記上下部と前記側方部との間の中間部であってラウンド状に曲がった中間部と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、作業者の負担を低減できる配膳車の提供が可能となる。また、熱移動を抑制できる配膳車の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態1に係る配膳車を前上方から視た斜視図
図2】配膳車の断面図(図1のII-II線断面)
図3】2種類のトレイを示す斜視図
図4】セパレータ体の斜視図
図5】仕切部の分解斜視図
図6】仕切部の断面図(図4のVI-VI線断面)
図7】前側の側壁部の左端部を示す斜視図
図8】左側のカバーの斜視図
図9】側壁部と左側のカバーとの取付構造を示す断面図(図4のIX-IX線断面)
図10】仕切本体部の左上端部と第1位置決め部を示す斜視図
図11】仕切部の断面図(図4のXI-XI線断面)
図12図6において、第2位置決め部付近の拡大図
図13】左側の上可動部を示す斜視図
図14】左側の上可動部を幅方向における内側から視た図
図15】仕切部の左端部を上方から視た図
図16】仕切部の幅方向における中央部分を上方から視た図
図17図6において、仕切部の左上部分の拡大図
図18】空隙部付近を左下方から視た斜視図
図19】第2位置決め部の斜視図
図20】仕切本体部の中央部分、第2位置決め部、及び付勢部の一部を上方から視た図
図21】中間可動部を示す斜視図
図22】最下段仕切部の断面図
図23】中間壁内の下部を示す斜視図
図24】下仕切部と上仕切部との間にフラットトレイを差し込む態様を示す断面図
図25】下仕切部と上仕切部との間のフラットトレイを移動させる態様を示す断面図
図26】第2位置決め部がフラットトレイの移動によって斜めに下降する態様を示す断面図
図27】第2位置決め部の下降によって右側の上可動部が下降する態様を示す断面図
図28】第2位置決め部が当接部に当接した態様を示す斜視図
図29】第2位置決め部の下降に伴い右側の上可動部が下降する態様を示す斜視図
図30】下仕切部と上仕切部との間のフラットトレイをさらに移動させる態様を示す断面図
図31】下仕切部と上仕切部との間にセパレートトレイを差し込む態様を示す断面図
図32】下仕切部と上仕切部との間のセパレートトレイを移動させる態様を示す断面
図33】下仕切部と上仕切部との間のセパレートトレイをさらに移動させる態様を示す断面図
図34】実施形態2に係るセパレータ体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を図1から図33によって説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。また、左右方向を幅方向(又はトレイの差込方向)と呼び、前後方向を側方(又はトレイの差込方向に交わる方向)と呼ぶことがある。
【0024】
図1及び図2に示すように、配膳車10は、飲食物を運搬するために用いられる。配膳車10は、温蔵室11A,11B、及び冷蔵室12A,12Bを有し、飲食物を載置したトレイを内部に配置可能な箱状の箱体14と、箱体14の上方に配された機械室6と、箱体14の左右両側に設けられた開口を開閉する複数の扉19と、冷蔵室12A,12Bを冷却する冷却装置60と、温蔵室11A,11Bを加熱する2つの加熱装置66と、箱体14の下部に取り付けられた複数の車輪16と、箱体14の前後両側に配されたハンドル17と、を備える。配膳車10は、ハンドル17が使用者によって引いたり押したりされることで、車輪16が床面上を回転し、これにより当該配膳車10が前後方向に移動可能とされる。
【0025】
箱体14は、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱14Aと内箱14B(図2参照)との間に、断熱材(例えば発泡ウレタンフォーム、メラミンフォーム)14Cが充填された断熱箱体であって、左右方向(幅方向)に開口した形をなしている。箱体14は、内部空間を前後方向において2つの空間(2つの貯蔵室13)に隔てる中間壁15と、2つの貯蔵室(内部空間)13を前後方向においてそれぞれ2つの空間(冷蔵室12A,12Bと温蔵室11A,11B)に仕切る複数の仕切部30と、を備える。2つの貯蔵室13は、中間壁15を中心として前後対称の構成とされる。各冷蔵室12A,12B及び各温蔵室11A,11Bは、その左右両側に配された扉19によってそれぞれ開閉可能とされる。中間壁15は、前後両側に配される一対の板状部材15A,15Aによって構成されることで、その内部を空気が流通可能となっている。これにより、中間壁15は、冷気流通用のダクトの機能を有している。
【0026】
箱体14は、前後左右方向に広がる底壁を構成する底壁部14Dと、底壁部14Dの前端部から上方に立ち上がり、上下左右方向に広がる壁を構成する前壁部14Eと、底壁部14Dの後端部から上方に立ち上がり、上下左右方向に広がる壁を構成する後壁部14Fと、前壁部14E及び後壁部14Fの各上端部に接続し、前後左右方向に広がる天井壁を構成する天井壁部14Gと、を備える。
【0027】
冷却装置60は、圧縮機61と、凝縮器62と、凝縮器ファン63と、冷却器64及び冷却用ファン65と、を備える。圧縮機61、凝縮器62、及び冷却器64は、冷媒が通る冷媒管によって連結されており、この冷媒を循環させることで既知の冷凍サイクルを構成している。冷却装置60は、中間壁15を通して冷気を冷蔵室12A,12Bに供給しつつ、冷蔵室12A,12Bの空気を吸気口60Aから吸引して冷却することで、冷蔵室12A,12Bを冷却する。
【0028】
2つの加熱装置66は、冷却装置60の前後両側の方向に1つずつ配されている。加熱装置66は、パネル69の箱体外側面に貼り付けられたコードヒータ67と、パネル69の上方に配された加熱用ファン68と、を備える。パネル69は、箱体14の前後両側の壁部14E,14Fにおける箱体内側面に対向する形で設けられた金属製の板状部材である。加熱装置66が駆動すると、コードヒータ67からジュール熱が生じることにより、壁部14E,14Fとパネル69との間(暖気ダクト)の空気が暖められて暖気となる。また、加熱用ファン68は、温蔵室11A,11Bの空気を吸引して暖気ダクトに送ることで、パネル69に形成された複数の通気口から温蔵室18に暖気を吹き出す。このように、パネル69の通気口から吹き出される暖気、及びパネル69からの輻射熱により、温蔵室11A,11Bが加熱される。
【0029】
本実施形態では、箱体14に収容されるトレイとして、図3に示すフラットトレイT1と、セパレートトレイT2と、を例示する。フラットトレイT1は、長方形状であって平坦状の平坦部T1Aと、平坦部T1Aの周囲から立ち上がった周端部T1Bと、を備える。フラットトレイT1は、前後方向を長辺とした場合、平坦部T1Aにおける前側部分と後側部分とに保温温度が異なる飲食物を分けて載置することができる。セパレートトレイT2は、上方視四角形状であって平坦状の2つの平坦部T2Aと、2つの平坦部T2Aを囲むようにその周囲から立ち上がった周端部T2Bと、2つの平坦部T2Aの間に配され、周端部T2Bと同じ高さとなるように2つの平坦部T2Aから立ち上がった区切り部T2Cと、を備える。セパレートトレイT2は、前後方向を長辺とした場合、前側の平坦部T2Aと後側の平坦部T2Aとに保温温度が異なる飲食物を分けて載置することができる。作業者は、2つのトレイT1,T2を、箱体14に対し左右両側の方向から差し込むことができる(以下、左右方向を、トレイの差込方向と呼ぶことがある)。
【0030】
図1及び図2に示すように、仕切部30は、上下方向に複数並んで配されている。この複数の仕切部30は、全体として上下左右方向に広がる壁をなしている。図4に示すように、仕切部30の前後両側の方向(仕切部30に対しトレイT1,T2の差込方向に交わる方向)には、左右方向に延びた板状をなし、トレイT1,T2の差し込みをガイドする2つのガイド部(トレイ受け)39と、仕切部30と2つのガイド部39とを繋ぐ2つの接続部(支持アーム)38と、が配されている。接続部38は、仕切部30における仕切本体部31の側壁部32に取り付けられ、上下方向に延びた上下部38Aと、ガイド部39に取り付けられ、前後方向に延びた側方部38Bと、上下部38Aと側方部38Bとの間の中間部38Cであってラウンド状に曲がった中間部38Cと、を備える。仕切部30は、ガイド部39、及び接続部38と共に、セパレータ体3を構成している。
【0031】
箱体14は、トレイT1,T2について、平坦部T1A,T2Aの前後両側部分をガイド部39に載置しつつ、その前後方向における中央部分(セパレートトレイT2の場合、区切り部T2C)を上下方向に並ぶ2つの仕切部30,30の間(例えば、図2に示すように、下仕切部30Aと下仕切部30Aの上方に配された上仕切部30Bとの間)に差し込むことで、当該トレイT1,T2を2つの仕切部30,30の間で挟んで収容することができる。配膳車10は、飲食物を載置したトレイT1,T2を貯蔵室13に収容することで、その飲食物について、仕切部30を境として、一方側を冷蔵室12A(又は冷蔵室12B)によって冷却し、他方側を温蔵室11A(又は温蔵室11B)によって加熱することができる。
【0032】
図4から図6に示すように、仕切部30は、全体として前後方向を長辺とする直方体状をなした仕切本体部31と、仕切本体部31の上側に配され、上下方向に可動とされる2つの上可動部(可動部)21,22と、上可動部21,22をそれぞれ上方に付勢する金属製の2つの板バネ(付勢部)51,52と、2つの仕切部30,30の間(下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間)に差し込まれたトレイT1,T2の位置決めを行う複数の位置決め部40,46,47と、を備える。上可動部21,22は、第1上可動部21と、第1上可動部21の右方(第1上可動部21に対し幅方向における奥方)に配された第2上可動部22と、を含む。複数の位置決め部40,46,47は、仕切本体部31の左右両側端部上側に配された2つの第1位置決め部46,47と、2つの第1位置決め部46,47の間に配され、上下方向に可動とされる第2位置決め部40と、を含む。また、仕切部30は、第1位置決め部46,47の一部をそれぞれ上方に付勢する樹脂製の2つの板バネ55,56と、仕切本体部31の下部において、上下方向に可動とされる中間可動部45と、仕切本体部31の下側であって中間可動部45の幅方向両側に配され、上下方向に可動とされる2つの下可動部57,58と、を備える。
【0033】
仕切本体部31は、側方両側に配された2つの側壁部32と、2つの側壁部32に対し、左右両側(トレイT1,T2の差込方向における手前側)に配された2つのカバー35と、を備える。図5及び図7に示すように、側壁部32は、左端部32A(手前側端部の一つ)において、上下方向に並んだ複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eを備える。複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eは、左端部32Aの端面32A1から左方に延び、その先端が前後方向における外側を向く鉤状をなしている。複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eのうち、上から2番目の仕切側爪部32Cの先端には、半月状に切り欠かれてなる凹部32C1が設けられている。側壁部32の右端部32Fは、左端部32Aと左右対称の構造となっている。
【0034】
図1に示すように、カバー35は、幅方向における外側面が、箱体14の開口を閉じた状態の扉19に当接する。図8に示すように、カバー35は、上下方向を長辺とする長板状をなしたカバー本体部35Aと、カバー本体部35Aの周端部から幅方向における内側に立ち上がった立壁部35A1と、立壁部35A1の裏側(2つの側壁部32に対向する位置)において立ち上がり、上下方向に並んだ複数のカバー側爪部35B,35C,35D,35Eと、を備える。複数のカバー側爪部35B,35C,35D,35Eのうち、上から2番目のカバー側爪部35Cは、その先端とカバー本体部35Aとを繋ぐ形で延びた凸部35C1を備える。また、図8及び図15に示すように、カバー35は、その上端部において、2つの外側凹部35Fと、2つの外側凹部35Fの間に配された内側凹部35Gと、を備える。
【0035】
図4、及び図7から図9に示すように、2つの側壁部32の左右両側端部32A,32Fに対し2つのカバー35が上方から差し込まれて、複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eのそれぞれに対し複数のカバー側爪部35B,35C,35D,35Eが上方から嵌め込まれることにより、2つの側壁部32に対し2つのカバー35が取り付けられた取付構造となる。このとき、仕切側爪部32Cの凹部32C1にカバー側爪部35Cの凸部35C1が嵌まることで、側壁部32にカバー35が取り付けられた取付構造が維持される(固定される)。
【0036】
図5図10から図12、及び図20に示すように、仕切本体部31の側壁部32は、仕切本体部31の上部31Aとなる位置において、上方に向かうほど先細る形を構成する傾斜面31A1を備える。2つの側壁部32のそれぞれに設けられた傾斜面31A1の先端部31A2は、一部が互いに離間することで、上下方向に開口し、幅方向に延びた複数の開口部31A3,31A4を構成している。複数の開口部31A3,31A4は、仕切本体部31の上部31Aにおいて幅方向における中央部分に配された第2開口部31A4と、上部31Aにおいて第2開口部31A4の幅方向における両側の方向に配された2つの第1開口部31A3と、を含む。
【0037】
側壁部32は、後述する上可動部21,22の突部25(図11参照)よりも上方に配され、外側面32Xから側方に突出し、突部25が引っ掛かり可能な2つの引掛部33A,33Bと、2つの引掛部33A,33Bよりも下方の位置であって突部25に対向する位置に配され、外側面32Xから仕切本体部31の内部側に窪んだ窪み部33Cと、を備える。2つの引掛部33A,33Bは、第1引掛部33Aと、第1引掛部33Aに対して幅方向における奥側に離間した位置に配された第2引掛部33Bと、からなる。2つの引掛部33A,33Bは、1つの窪み部33Cの上端部に隣接している。2つの引掛部33A,33Bと1つの窪み部33Cとがなす構造は、側壁部32の幅方向に亘って4つ並ぶ形で設けられている。2つの引掛部33A,33Bは、その表面がラウンド状に膨出した形をなしている。
【0038】
図6に示すように、側壁部32は、外側面32Xとは反対側を向く内側面32Yから側方に立ち上がった複数のリブ(壁部)32G,32H,32P,32Qを備える。複数のリブ32G,32H,32P,32Qは、幅方向に延びた2つの縦リブ32P,32Qと、縦リブ32P,32Qの延びる方向に対し交わる方向に延びた複数の横リブ32G,32Hと、を含む。縦リブ32P,32Qは、幅方向に並んで配された2つの縦第1リブ32Pと、縦第1リブ32Pの下方に配され、縦第1リブ32Pと平行となるように幅方向に延び、幅方向に並んで配された2つの縦第2リブ32Qと、を含む。縦第1リブ32Pの上面には、2つの板バネ51,52の中央部51B,52B、第2位置決め部40の2つの二股付勢部42、及び2つの板バネ55,56の一端部55A,56Aが当接している。縦第2リブ32Qの下面には、下可動部57,58の弾性部57B,58Bが当接する。
【0039】
複数の横リブ32G,32Hは、2つの縦第1リブ32Pの間に配され、その間から上方に延びた2つの横第1リブ32Gと、2つの横第1リブ32Gの下方であって2つの縦第2リブ32Qの間に配され、その間から下方に延びた2つの横第2リブ32Hと、を含む。図12に示すように、横第1リブ32Gは、内側面32Yから側方(第2位置決め部40の方向)に立ち上がる壁部をなしている。横第1リブ32Gは、下方に向かうほど幅方向における外側(トレイT1,T2の差込方向における外側)に傾斜した傾斜リブ(傾斜壁部)32G1と、傾斜リブ32G1から鉛直下向きに延びた下延出リブ(下延出壁部)32G2と、を含む。2つの傾斜リブ32G1は、下方に向かうほど互いに離間した形をなしている。2つの下延出リブ32G2は、互いに平行である。2つの側壁部32は、互いの内側面32Yが対向するように、第2位置決め部40を中心として反転した(180度回転した)形となるように配されている。
【0040】
図4から図6、及び図11に示すように、2つの上可動部21,22は、仕切本体部31の上部31Aを上方から覆う形をなしている。2つの上可動部21,22は、それぞれ、2つの側壁部32により形成される2つの第1開口部31A3を上方から覆う形を成している。2つの上可動部21,22のうち、右側の上可動部22は、左側の上可動部21と同じ構成とされ、左側の上可動部21に対し第2位置決め部40を中心として反転した形となるように配されている。2つの上可動部21,22は、仕切本体部31とは異なる色を呈している。これにより、トレイT1,T2を差し込むときに、その差し込む位置を作業者が認識し易い。
【0041】
図11及び図13に示すように、上可動部21は、仕切本体部31の上部31Aに倣う上部先細り形状をなした上壁部23と、上壁部23の前後両側端部から下方に立ち下がり、側壁部32に対向する形で上下方向に延在した延在壁部24と、延在壁部24の内側面24Yから側壁部32の窪み部33Cに向かって突出し、幅方向に延びた形の突部25と、を備える。上壁部23は、水平方向に延びた2つの基部23Aと、2つの基部23Aからそれぞれ前後方向における内側に向かうほど上方に傾斜した2つの傾斜部23Bと、2つの傾斜部23Bの上端部同士を接続する形で水平方向に延びた頂部23Cと、を備え、全体として上方に凸状をなしている。
【0042】
また、図6図11、及び図13に示すように、上可動部21は、上壁部23の裏面(頂部23Cの下面)から下方に立ち下がった壁状の2つのリブ23Dを備える。2つのリブ23Dは、互いに前後方向に対向する形で配されており、幅方向に延在している。2つのリブ23Dの左端部(幅方向における手前側部分)には、後述する空隙部29が配されている。空隙部29に板バネ51の一端部51Aが挿入された状態では、2つのリブ23Dの間に板バネ51の一部が配される形となる。これにより、板バネ51が前後方向に移動することを、2つのリブ23Dによって規制できる。板バネ51の移動(位置)を規制することにより、板バネ51の姿勢が安定するので、継続的に安定したバネ力(付勢力)を得ることができる。また、このような2つのリブ23Dを上壁部23の裏面側に設けることにより、上可動部21と仕切本体部31の側壁部32との間に生じる隙間において気体が往来して熱移動すること(例えば温蔵室11Bと冷蔵室12Bとの間で当該隙間を通じて気体が往来して熱移動すること)を抑制できる。
【0043】
延在壁部24は、基部23Aと突部25との間において、側壁部32の引掛部33A,33Bに対向する位置に配され、内側面24Yから前後方向における外側に窪んだ可動部側窪み部24Aを備える。これにより、上可動部21,22が上下方向に変位したとしても、延在壁部24と引掛部33A,33Bとが擦れることを抑制できる。突部25の表面は、ラウンド状に曲がった曲面をなしている。突部25は、可動部側窪み部24Aの下端部に隣接している。1つの可動部側窪み部24Aと1つの突部25とによる構成は、1つの延在壁部24に対し、幅方向において2つが並ぶ形で配されている。
【0044】
図13から図16に示すように、上可動部21は、幅方向における外側(トレイT1,T2の差込方向における手前側)に指向した手前壁部26と、幅方向における内側(トレイT1,T2の差込方向における奥側)に指向した奥壁部27と、を備える。図13及び図15に示すように、手前壁部26は、2つの外側壁部26Aと、2つの外側壁部26Aの前後方向における内側に配された内側壁部26Bと、2つの外側壁部26Aと内側壁部26Bの間から幅方向における外側(手前側)に延出した2つの延出部26Cと、を備える。延在壁部24の手前側端部24Bは、2つの外側壁部26Aよりも手前側に延出し、前後方向においてカバー35の一部に重畳している。内側壁部26Bは、外側壁部26Aよりも奥側に配されている。内側壁部26Bは、上可動部21が下降した場合に、第1位置決め部46の凹部46C(図17参照)に差し込まれる。
【0045】
延出部26Cは、その先端部がカバー35の外側凹部35Fに差し込まれる形となるまで、手前側に延出している。延出部26Cは、前後方向において第1位置決め部46に重畳している。2つの延出部26Cの間には、第1位置決め部46のU字部46Bが配されている。延出部26Cの上手前側の角部26C1は、ラウンド状に曲がった形をなしている。この角部26C1の曲げ形状は、トレイT1,T2が角部26C1に当接した際に、上可動部21がスムーズに下がること、及び、カバー35や第1位置決め部46との間の隙間を少なくして気体の往来を抑制すること、を実現可能とする。また、延出部26Cの上下方向における長さは、上可動部21の上下動を阻害しないこと、及びカバー35や第1位置決め部46との間の隙間を少なくして気体の往来を抑制すること、の両者を実現可能な長さとされる。
【0046】
図14及び図16に示すように、奥壁部27は、2つの外側壁部27A1,27A2と、2つの外側壁部27A1,27A2の前後方向における内側に配された内側壁部27Bと、2つの外側壁部27A1,27A2と内側壁部27Bの間から幅方向における内側(奥側)に延出した2つの延出部27Cと、を備える。内側壁部27Bは、外側壁部27A1,27A2よりも手前側に配されている。延出部27Cは、前後方向において第2位置決め部40に重畳している。2つの延出部27Cの間には、第2位置決め部40の本体部41が配されている。
【0047】
図13、及び図14に示すように、上可動部21は、2つの外側壁部27A1,27A2のうち前側の外側壁部27A2において、延出部27Cとは反対側の方向(上可動部21の内部側の方向)に延出した返し壁部27Dを備える。返し壁部27Dの下端部は、前後方向における内側に向かって返し形状をなした返し部(当接部)27D1を構成している。返し部27D1は、下降する第2位置決め部40に当接可能な部分とされる。
【0048】
図16に示すように、右側の上可動部22は、左側の上可動部21の奥壁部27に対向し、第2位置決め部40を中心に奥壁部27が反転された構造である奥壁部28を備える。奥壁部28は、2つの外側壁部28A1,28A2と、内側壁部28Bと、2つの延出部28Cと、を備える。2つの上可動部21,22のそれぞれに設けられた内側壁部27B,28Bの間には、第2位置決め部40の本体部41が配されている。図16及び図28に示すように、上可動部22は、2つの外側壁部28A1,28A2のうち後側の外側壁部28A1において、延出部28Cとは反対側の方向(上可動部22の内部側の方向)に延出した返し壁部28Dを備える。返し壁部28Dの下端部は、前後方向における内側に向かって返し形状をなした返し部(当接部)28D1を構成している。返し部28D1は、下降する第2位置決め部40に当接可能な部分とされる。上可動部22における返し壁部28D及び返し部28D1は、上可動部21における返し壁部27D及び返し部27D1に対し、第2位置決め部40を基準として対角となる位置(第2位置決め部40を基準として180度回転された位置)に配されている。
【0049】
図13図17、及び図18に示すように、上可動部21は、上壁部23の頂部23Cから上可動部21の内部側(下方)に立ち下がった複数の壁部によって構成される空隙部29を備える。空隙部29には、板バネ51の一端部51Aが挿入される。空隙部29は、第1面部29Aと、上下方向に延びた突条部29Cを有し、第1面部29Aに対向した第2面部29Bと、を備える。第1面部29Aは、前後方向における両側端部が第2面部29B側に立ち上がった角部をなしている。突条部29Cは、空隙部29に挿入された板バネ51の一端部51Aに当接することで、一端部51Aを第1面部29Aの前後方向における両側端部に押し付けている。尚、図6に示すように、板バネ51の他端部51Cは、上壁部23の頂部23Cの下面に当接している。板バネ52は、板バネ51と同じ構成であって左右対称となる形で配されており、板バネ51と同様、一端部52A、中央部52B、及び他端部52Cを備える。
【0050】
図17に示すように、第1位置決め部46は、L字状をなした本体部46Aと、本体部46Aの幅方向における外側に配され、外形がU字状をなしたU字部46Bと、本体部46AとU字部46Bとの間に配され、下方に窪んだ凹部46Cと、を備える。本体部46Aは、側壁部32の内側面32Yから内部側に立ち上がったボス32Jに嵌め込まれた孔部46A1と、板バネ55の他端部55Bに当接した下端部46A2と、を備える。第1位置決め部46は、孔部46A1を中心に回動することで、U字部46Bが上下に可動とされる。板バネ55は、下方に変位したU字部46Bが上方に押し上がるように、第1位置決め部46を上方に付勢している。図15に示すように、U字部46Bは、カバー35の内側凹部35Gに入っている。図6に示すように、右側の第1位置決め部47及び板バネ56は、左側の第1位置決め部46及び板バネ55と左右対称の構成とされる。
【0051】
図19に示すように、第2位置決め部40は、上方に凸状をなした板状の本体部41と、本体部41から幅方向における外側の方向に延び、本体部41を上方に付勢する2つの二股付勢部42と、本体部41の側面41Cから前後両側の方向(側方)に突出した突出部43と、を備える。本体部41は、上方に指向する平坦状の凸頂部41Aと、凸頂部41Aの幅方向両側において段差状に下った段部41Bと、を備える。突出部43は、側方視台形状とされる(図26参照)。突出部43は、下方に向かうほど幅方向における外側に傾斜した2つの傾斜面43Aと、下方に向かうほど前後方向における外側に傾斜した傾斜面43Bと、を備える。二股付勢部42は、幅方向における外側の先端が、2つの先端部42A,42Bとして二股に分かれてなる。この2つの先端部42A,42Bの間には、間隙Sが設けられている。第2位置決め部40は、各部が樹脂により一体成型されている。これにより、例えば本体部41と二股付勢部42とが別部材とされる場合に比して、組み立て工程を低減することが可能となる。
【0052】
図6及び図20に示すように、板バネ51,52は、それぞれの両側端部51A,51C,52A,52Cが、仕切本体部31の2つの第1開口部31A3を通って仕切本体部31の内部から外部に突出している。一方、第2位置決め部40は、本体部41が仕切本体部31の第2開口部31A4を通って仕切本体部31の内部から外部に部分的に(少なくとも凸頂部41Aが)突出している。板バネ51,52において、中央部51B,52Bと他端部51C,52Cとの間に配された傾斜部51D,52Dは、第2位置決め部40の間隙Sに対し上方に配されている(板バネ51,52は、間隙Sに対し上下方向において傾斜部51D,52Dが重なる位置に配されている)。第2位置決め部40は、少なくとも段部41Bよりも下側の部分(二股付勢部42を含む部分)が、仕切本体部31の内部に収まっている。第2位置決め部40は、二股付勢部42が弾性変形することで、本体部41が上下方向に可動とされる。また、第2位置決め部40は、二股付勢部42が縦第1リブ32P上を摺動することで左右方向に可動とされる。第2位置決め部40の上下方向及び左右方向への可動は、本体部41が第2開口部31A4の開口縁に当接することで、その可動(変位)が規制される。
【0053】
図21に示すように、中間可動部45は、上方視四角形状の本体部45Aと、本体部45Aの四隅からそれぞれ下方に延在した4つの板部45Bと、本体部45Aの側方両側の側面からそれぞれ突出した2つの凸部45Cと、を備える。本体部45Aは、4つの板部45Bを架橋する形をなしている。本体部45Aは、凸部45Cが図6に示す側壁部32の2つの横第2リブ32Hの間に配される形で、2つの側壁部32の間に挟まれることで、2つの横第2リブ32Hの間において上下方向に可動な構成とされる。図24に示すように、上仕切部30Bにおける中間可動部45は、下仕切部30Aにおける第2位置決め部40の上方に配されている。下仕切部30Aにおける第2位置決め部40が上方に変位している場合、その凸頂部41Aは、上仕切部30Bにおける中間可動部45の4つの板部45Bの間に配されている。
【0054】
図5及び図6に示すように、下可動部57,58は、幅方向に延びた細長い壁状の本体部57A,58Aと、本体部57A,58Aの上面に接続し、上方に膨らんだ円弧状をなした2つの弾性部57B,58Bと、を備える。弾性部57B,58Bは、縦第2リブ32Qの下面に当接することで、本体部57A,58Aを下方に付勢する。下可動部57,58は、自重で下方に下がる構成とされるが、トレイT1,T2によって上方に押し上げられて弾性部57B,58Bが縦第2リブ32Qに当接すると、弾性部57B,58Bの弾発力によって本体部57A,58AがトレイT1,T2に密着する。
【0055】
図2に示すように、複数の仕切部30のうち、最も下方に位置する仕切部は、最下段仕切部30Cとされる。最下段仕切部30Cは、他の仕切部30よりも上下方向における長さが短い形とされる。具体的には、図22に示すように、最下段仕切部30Cの仕切本体部31Cは、他の仕切部30の仕切本体部31よりも上下方向における長さが短い。一方、最下段仕切部30Cに取り付けられる各部材は、他の仕切部30に取り付けられる各部材と同一の構造とされる。具体的には、最下段仕切部30Cが備える上可動部21,22、板バネ51,52,55,56、及び位置決め部40,46,47は、他の仕切部30が備えるもの(例えば図6に示す上可動部21,22、及び板バネ51,52,55,56等)と同一の構造とされる。
【0056】
図2に示すように、箱体14は、中間壁15内に配され、上下方向に延びたドレン管70と、ドレン管70の下端部に接続したドレンタンク71と、を備える。ドレン管70は、冷却器64で生じた水をドレンタンク71へ流す通路とされる。ドレンタンク71は、ドレン管70から流入する水を貯めることが可能とされる。図23に示すように、箱体14は、中間壁15内においてドレンタンク71の幅方向及び上方を囲む形で配され、門型をなす門型板部72を備える。門型板部72は、鉛直方向に延びた長板状をなし、底壁部14Dから立ち上がった2つの縦板部72Aと、水平方向に延びた長板状をなし、2つの縦板部72Aの上端部に接続した横板部72Bと、を備える。門型板部72は、前後両側端部が、中間壁15の2つの板状部材15Aにそれぞれ接続している(図23では、後側の板状部材15Aを省略している)。このような構成によると、中間壁15内を通る冷気の一部が門型板部72によって遮られるので、冷蔵室12A,12Bの最下段に冷気が過度に供給されることを抑制できる。これにより、冷蔵室12A,12Bの中段や上段に冷気を十分に供給することが可能となり、冷蔵室12A,12B全体を均一に冷却し易くなる。また、中間壁15の下部に門型板部72を配することで、中間壁15の強度を高めることができる。
【0057】
続いて、複数の仕切部30のうち、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に、フラットトレイT1を左方から右方へ(差込方向における奥方へ)差し込む態様について説明する。尚、以降の説明では、下仕切部30Aに設けられた上可動部21,22、及び位置決め部40,46,47を、単に、上可動部21,22、及び位置決め部40,46,47と記載し、上仕切部30Bに設けられた下可動部57,58、及び中間可動部45を、単に、下可動部57,58、及び中間可動部45と記載する。
【0058】
図24(A)に示すように、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間にトレイT1を差し込む前の状態(非差込状態)では、上可動部21,22と下可動部57,58とが互いに当接している。上可動部21,22は、最も上方に変位しており、下可動部57,58を上方に押し上げている。第1位置決め部46,47は、U字部46Bが立ち上がった状態となる。第2位置決め部40は、本体部41が最も上方に変位した状態となる(本体部41が第2開口部31A4の開口縁に当接している)。中間可動部45は、最も下方に変位し、第2位置決め部40に対し一部が前後方向に重畳している。
【0059】
図24(B)に示すように、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間にトレイT1を差し込むと、トレイT1の周端部T1Bが第1位置決め部46に当接し、第1位置決め部46のU字部46Bが下がって(傾いて)第1位置決め部46が倒れた状態となる。また、トレイT1の周端部T1Bが上可動部21の角部26C1と下可動部57の本体部57Aとに当接し、上可動部21と下可動部57とを上下方向に押し広げる。これにより、上可動部21が下降し、下可動部57の本体部57Aが上昇する。このとき、板バネ51が撓んで上可動部21を上方に加圧し、下可動部57の弾性部57Bが本体部57Aを下方に加圧する。さらにトレイT1を差し込むと、トレイT1の平坦部T1Aが第1位置決め部46及び上可動部21に当接して、第1位置決め部46をさらに倒し、上可動部21と下可動部57とを上下方向にさらに押し広げる。
【0060】
図25(A)に示すように、トレイT1の周端部T1Bが第2位置決め部40の段部41Bに当接するまで、トレイT1が差し込まれると、板バネ51によって上方に付勢された上可動部21と下可動部57との間でトレイT1が挟まれる(この状態を、第1差込状態と呼ぶ)。第1差込状態では、トレイT1の上面に、下可動部57の本体部57Aが密着する形で当接し、トレイT1の平坦部T1Aの下面に、上可動部21の上壁部23が密着する形で当接する。このとき、上可動部21は、トレイT1を下可動部57に押し付けるようにして当接していてもよい。また、第1位置決め部46のU字部46Bが立ち上がり、トレイT1の周端部T1Bに当接する。
【0061】
第1差込状態からさらにトレイT1を奥方(右側の上可動部22と下可動部58との間)に移動させると、図25(B)に示すように、トレイT1によって下可動部58及び中間可動部45が押し上げられ、トレイT1によって第2位置決め部40が押し下げられ、第2位置決め部40によって上可動部22が押し下げられる。
【0062】
具体的には、図26(A)に示すように、トレイT1の周端部T1Bが第2位置決め部40の段部41Bに当接し、さらに奥方(右方)に向かって押し付けられると(トレイT1が第2位置決め部40を差込方向に押圧すると)、図26(B)に示すように、突出部43の傾斜面43Aが横第1リブ32Gの傾斜リブ32G1に当接して摺動することにより、第2位置決め部40の本体部41が右下方に(斜めに)下降する。
【0063】
そして、引き続きトレイT1が第2位置決め部40を差込方向に押圧し、図27(A)及び図28に示すように、突出部43が横第1リブ32Gの下延出リブ32G2に当接する手前まで第2位置決め部40の本体部41が下方に変位すると(一定以上下方に変位すると)、本体部41の下端部41Dが、上可動部22の当接部28D1に当接する。さらに、図27(B)及び図29に示すように、トレイT1が本体部41の段部41B及び凸頂部41Aを乗り越えて奥方に移動すると、突出部43が下延出リブ32G2に当接して摺動することにより、第2位置決め部40の本体部41が鉛直下向きに下降する。この本体部41の下降に伴い、本体部41の下端部41Dが当接部28D1を下方に加圧することで、上可動部22が、トレイT1によって直接押し下げられることなく、下方に変位する。この状態では、2つの上可動部21,22のそれぞれの頂部23C,23C1と、第2位置決め部40の凸頂部41Aと、が水平方向に面一の高さとなり、トレイT1がこれら頂部23C、凸頂部41A、及び頂部23C1上を、奥方にスムーズに移動することができる。
【0064】
図30(A)に示すように、トレイT1は、凸頂部41Aを乗り越えて奥方に移動すると、右側の下可動部58を上方に押し上げる。そして、図30(B)に示すように、トレイT1の周端部T1Bが右側の第1位置決め部47に当接するまで、トレイT1が奥方に移動すると、板バネ52によって上方に付勢された上可動部22と下可動部58との間でトレイT1が挟まれる(この状態を、第2差込状態と呼ぶ)。第1差込状態から第2差込状態に変更されると、上可動部21、下可動部57、中間可動部45、及び第2位置決め部40は、非差込状態と同じ状態となる。具体的には、上可動部21が上昇し、下可動部57が下降することで、上可動部21と下可動部57とが互いに当接する。また、中間可動部45が下降し、第2位置決め部40の本体部41が上昇する。
【0065】
以上により、トレイT1の下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間への差し込み、及び奥方への移動が完了する。尚、トレイT1を、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に対して右方から左方に差し込む場合は、上記の各部の動きが遡って行われることで実現される。この場合について、第2差込状態からさらにトレイT1を奥方(左側の上可動部21と下可動部57との間)に移動させると、第2位置決め部40の本体部41が左下方に(斜めに)下降し、本体部41の下端部41Dが、上可動部21の当接部27D1に当接する。そして、下端部41Dが当接部27D1を下方に加圧することで、上可動部21が、トレイT1によって直接押し下げられることなく、下方に変位する。
【0066】
続いて、複数の仕切部30のうち、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に、セパレートトレイT2を左方から右方へ差し込む態様について説明する。図31(A)に示すように、非差込状態における下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に、図31(B)に示すように、トレイT2を差し込むと、トレイT2の周端部T2B及び区切り部T2Cが下可動部57の本体部57Aに当接し、上可動部21と下可動部57との間を上方に僅かに(区切り部T2の厚み分)押し広げる。これにより、下可動部57の本体部57Aが僅かに上昇する。このときの上可動部21と下可動部57との間は、トレイT1が差し込まれた時の上可動部21と下可動部57との間(図24(B)参照)よりも狭い。尚、上可動部21は、区切り部T2Cが当接することにより僅かに下降していてもよい。
【0067】
図32(A)に示すように、トレイT2の周端部T2Bが第2位置決め部40の段部41Bに当接するまで、トレイT2が差し込まれると、板バネ51によって上方に付勢された上可動部21と下可動部57との間でトレイT2が挟まれる(第1差込状態)。第1差込状態では、トレイT2の区切り部T2Cの上面に、下可動部57の本体部57Aが密着する形で当接し、トレイT2の区切り部T2Cの下面に、上可動部21の上壁部23が密着する形で当接する。このとき、上可動部21は、トレイT2を下可動部57に押し付けるようにして当接していてもよい。また、第1位置決め部46のU字部46Bは、トレイT2に当接する。
【0068】
第1差込状態からさらにトレイT2を奥方(右側の上可動部22と下可動部58との間)に移動させると、図32(B)に示すように、トレイT2によって下可動部58及び中間可動部45が僅かに押し上げられ、トレイT2によって第2位置決め部40が僅かに押し下げられる。この状態では、2つの上可動部21,22のそれぞれの頂部23C,23C1と、第2位置決め部40の凸頂部41Aと、が水平方向に面一の高さとなり、トレイT2がこれら頂部23C、凸頂部41A、及び頂部23C1上を、奥方にスムーズに移動することができる。尚、第2位置決め部40の下降に伴い上可動部22が押し下げられていてもよい。
【0069】
図33に示すように、トレイT2の周端部T2Bが右側の第1位置決め部47に当接するまで、トレイT2が奥方に移動すると、板バネ52によって上方に付勢された上可動部22と下可動部58との間でトレイT2が挟まれる(第2差込状態)。このときの上可動部22と下可動部58との間は、トレイT1が差し込まれた時の上可動部22と下可動部58との間(図30(B)参照)よりも狭い。第1差込状態から第2差込状態に変更されると、上可動部21、下可動部57、中間可動部45、及び第2位置決め部40は、非差込状態と同じ状態となる。
【0070】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、トレイT1を内部に収容可能な箱体14と、箱体14内において上下方向に複数並び、箱体14の内部空間を仕切る仕切部30と、を備え、仕切部30は、仕切本体部31と、仕切本体部31の上側に配され、上下方向に可動とされる可動部21と、可動部21を上方に付勢する付勢部51と、を備え、複数の仕切部30のうち、下仕切部30Aと下仕切部30Aの上方に配された上仕切部30Bとの間にトレイT1が差し込まれると、下仕切部30Aにおいて付勢部51によって上方に付勢された可動部21と上仕切部30Bとの間でトレイT1を挟む構成とされる、配膳車10を示した。
【0071】
このような配膳車10によると、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれるトレイの厚みや形状に合わせて、上方に付勢された可動部21が、上下方向に適宜変位して、トレイを挟むことができる。これにより、トレイの種類に応じて、例えば仕切部30の高さを変更する作業が不要となり、その高さ変更のために必要な部品点数の削減が可能となる。また、下仕切部30Aの可動部21が上方に付勢された状態でトレイT1に当接し、トレイT1がその可動部21と上仕切部30Bに密着することができるので、仕切部30とトレイT1との間の隙間を低減し、仕切部30によって仕切られてなる2つの空間において気体が往来することを抑制できる。
【0072】
仕切部30は、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う位置決め部40,46を備え、可動部21は、トレイT1の差込方向に延出し、差込方向に交わる方向において位置決め部40,46に重畳した延出部26C,27Cを備えている。
【0073】
このような配膳車10によると、可動部21が、トレイT1の差込方向に交わる方向において位置決め部40,46に重畳した延出部26C,27Cを備えるので、位置決め部40,46周辺に生じる隙間を削減し、気体の往来による熱移動を抑制できる。
【0074】
仕切本体部31の上部31Aは、上方に向かうほど先細る形を構成する傾斜面31A1を有し、可動部21は、仕切本体部31の上部31Aを上方から覆う形をなしている。
【0075】
このような配膳車10によると、仕切本体部31の上部31Aが、上方に向かうほど先細る形を構成する傾斜面31A1を有しているので、仕切本体部31に飲食物や水がかかったとしても、傾斜面31A1を伝うことで、仕切本体部31内に水等が浸入することを抑制できる。また、可動部21は、仕切本体部31の上部31Aを上方から覆う形をなしているので、仕切本体部31内に水等が浸入することを抑制したり、仕切本体部31の内外において気体が往来することを抑制したりすることが可能となる。
【0076】
仕切部30は、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う第1位置決め部46を備え、第1位置決め部46は、下方に窪んだ凹部46Cを備え、可動部21は、トレイT1の差込方向における手前側に指向し、凹部46Cに差し込まれる手前壁部26を備えている。
【0077】
このような配膳車10によると、仕切部30のうちトレイT1の差込方向における手前側部分において、第1位置決め部46と可動部21との間の隙間を小さくすることができる。これにより、仕切本体部31の内外において気体が往来することを抑制したり、箱体14内を手前側から視たときの見栄えを向上したりすることができる。
【0078】
可動部21は、上壁部23と、上壁部23から立ち下がり、仕切本体部31の側壁部32に対向する形で延在した延在壁部24と、延在壁部24から側壁部32に向かって突出した突部25と、を備え、仕切本体部31の側壁部32は、突部25よりも上方に配され、突部25が引っ掛かり可能な引掛部33A,33Bを備えている。
【0079】
このような配膳車10によると、突部25が引掛部33A,33Bに引っ掛かることで、可動部21が所定位置よりも上方へ変位することを規制することができる。また、仕切本体部31に対する可動部21の着脱の際に延在壁部24が撓むほどの力を可動部21に加えれば、突部25が引掛部33A,33Bを乗り越えることが可能となるので、その着脱をスムーズに行うことができる。
【0080】
引掛部33A,33Bは、第1引掛部33Aと、第1引掛部33Aに対して離間した位置に配された第2引掛部33Bと、からなる。
【0081】
このような配膳車10によると、突部25が引掛部33A,33Bに引っ掛かることで、可動部21が所定位置よりも上方へ変位することを規制することができる。これにより、例えば、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間にトレイT1を抜き差しするような、配膳車10の通常の使用において、可動部21が仕切本体部31から外れることを抑制できる。また、第1引掛部33Aと第2引掛部33Bとが繋がった形の場合に比して、上記構成では両引掛部33A,33Bの間に空間があるので、突部25が引掛部33A,33Bに接した場合の接触抵抗が少なくなる。これにより、例えば、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間にトレイT1を抜き差しするような、配膳車10の通常の使用において、可動部21の動き(上下動)がスムーズになる。また、仕切本体部31に対する可動部21の着脱がよりスムーズになる。
【0082】
仕切本体部31の側壁部32は、引掛部33A,33Bよりも下方の位置であって突部25に対向する位置に配された窪み部33Cを備えている。
【0083】
このような配膳車10によると、可動部21の上下方向への変位に伴い、突部25が上下方向に変位したとしても、突部25に対向する位置に窪み部33Cが配されているので、仕切本体部31の側壁部32と突部25が擦れることを抑制できる。
【0084】
可動部21は、付勢部51が挿入される空隙部29を備え、空隙部29は、第1面部29Aと、突条部29Cを有し、第1面部29Aに対向した第2面部29Bと、を備え、突条部29Cは、空隙部29に挿入された付勢部51に当接することで、付勢部51を第1面部29Aに押し付ける構成とされる。
【0085】
このような配膳車10によると、空隙部29に付勢部51を挿入することで、可動部21への付勢部51の取付をスムーズに行うことができる。また、突条部29Cが付勢部51に当接し、付勢部51が第1面部29Aに押し付けられる構成とされるので、空隙部29を、これに挿入された付勢部51によって塞ぐことができ、空隙部29を通じて気体が移動することを抑制できる。
【0086】
仕切部30は、上下方向に可動とされ、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う第2位置決め部40を備え、可動部22は、第2位置決め部40に当接可能な当接部28D1を備え、第2位置決め部40が一定以上下方に変位すると、第2位置決め部40が当接部28D1に当接し、可動部22が下方に変位する構成とされる。
【0087】
このような配膳車10によると、第2位置決め部40の一定以上の下方への変位に伴い、可動部22が下方に変位するので、トレイT1を、その差込方向において第2位置決め部40を超えてさらに移動させる場合に、その移動がスムーズとなる。
【0088】
仕切部30は、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う第2位置決め部40を備え、第2位置決め部40は、側方に突出した突出部43を備え、一部が仕切本体部31の内部に収まって上下方向に可動とされ、仕切本体部31は、その側壁部32から第2位置決め部40の方向に立ち上がり、下方に向かうほどトレイT1の差込方向に傾斜した傾斜壁部32G1を備え、トレイT1が第2位置決め部40を差込方向に押圧すると、突出部43が傾斜壁部32G1を摺動することにより、第2位置決め部40が斜めに下降する構成とされる。
【0089】
このような配膳車10によると、第2位置決め部40が斜めに下降することで、トレイT1の押圧による第2位置決め部40の下方への変位がスムーズとなる。これにより、トレイT1を、その差込方向において第2位置決め部40を超えてさらに移動させる場合に、その移動がスムーズとなる。
【0090】
仕切部30は、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う第2位置決め部40と、先端が二股に分かれてなる間隙Sを有し、第2位置決め部40を上方に付勢する二股付勢部42と、を備え、付勢部51は、間隙Sに対し上下方向において部分的に重なる位置に配されている。
【0091】
このような配膳車10によると、可動部21が上下方向に可動し、付勢部51が上下方向に変位したとしても、付勢部51が、二股付勢部42の間隙Sに対し上下方向において部分的に重なる位置に配されているので、二股付勢部42に干渉することを抑制できる。また、付勢部51と二股付勢部42を近接して配置させることができ、仕切部30をコンパクトな構造にすることができる。
【0092】
下仕切部30Aは、下仕切部30Aと上仕切部30Bとの間に差し込まれたトレイT1の位置決めを行う第2位置決め部40を備え、上仕切部30Bは、その下部において、下仕切部30Aの第2位置決め部40の上方に配され、上下方向に可動とされる中間可動部45を備えている。
【0093】
このような配膳車10によると、下仕切部30Aの第2位置決め部40周辺に生じる隙間を、中間可動部45によって低減し、仕切部30によって仕切られてなる2つの空間において気体が往来することを抑制できる。また、トレイT1を、その差込方向において第2位置決め部40を超えてさらに移動させた場合に、中間可動部45が上方に変位することができるので、トレイT1の移動を妨げ難い。
【0094】
仕切本体部31は、トレイT1の差込方向に交わる側方両側に配された2つの側壁部32と、2つの側壁部32に対し、差込方向における手前側に配されたカバー35と、を備え、側壁部32は、その手前側端部において、上下方向に並んだ複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eを備え、カバー35は、2つの側壁部32に対向する位置において上下方向に並んだ複数のカバー側爪部35B,35C,35D,35Eを備え、複数の仕切側爪部32B,32C,32D,32Eに対し複数のカバー側爪部35B,35C,35D,35Eが上方から嵌め込まれることにより、2つの側壁部32に対しカバー35が取り付けられている。
【0095】
このような配膳車10によると、2つの側壁部32に対しカバー35を上方からスライドさせるようにして、各爪部を互いに嵌め込むことができるので、2つの側壁部32に対するカバー35の取付が容易となる。また、2つの側壁部32が反っていたとしても、それらの手前側端部にカバー35を取り付けることで、その反りを抑制することができる。
【0096】
複数の仕切部30のうち、最も下方に位置する最下段仕切部30Cは、他の仕切部30よりも上下方向における長さが短い形とされ、最下段仕切部30Cにおける可動部21及び付勢部51は、他の仕切部30における可動部21及び付勢部51と同一の構造とされている。
【0097】
このような配膳車10によると、最下段仕切部30Cについて、他の仕切部30よりも上下方向における長さを短くして必要最小限の大きさとし、最下段仕切部30C内の容積が拡大することを抑制することで、箱体14の内部空間の加熱又は冷却性能を向上することができる。また、最下段仕切部30Cの構成(可動部21及び付勢部51等)を他の仕切部30の構成と同一にして部品の種類を低減できる。
【0098】
配膳車10は、仕切部30に対しトレイT1の差込方向に交わる方向に配され、トレイT1の差し込みをガイドするガイド部39と、仕切部30とガイド部39とを繋ぐ接続部38と、を備え、接続部38は、仕切本体部31の側壁部32に取り付けられ、上下方向に延びた上下部38Aと、ガイド部39に取り付けられ、交わる方向に延びた側方部38Bと、上下部38Aと側方部38Bとの間の中間部38Cであってラウンド状に曲がった中間部38Cと、を備えている。
【0099】
このような配膳車10によると、中間部38Cがラウンド状に曲がっているので、可動部21が下方に変位したときに、接続部38に接触することを防ぐことができる。
【0100】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を図34によって説明する。尚、本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0101】
仕切部30の前後両側の方向には、2つのガイド部39と、仕切部30と2つのガイド部39とを繋ぐ2つの接続部238と、が配されている。接続部238は、上下部38Aと、側方部38Bと、上下部38Aと側方部38Bとの間の中間部238Cと、を備える。中間部238Cは、ラウンド状に曲がった部分であって幅方向に並んだ2つの中間ラウンド部238C1と、2つの中間ラウンド部238C1の間に配され、前後方向における内側の方向に角状をなす中間角部238C2と、を備える。2つの接続部238における2つの中間角部238C2の間には、第2位置決め部40が配されている。仕切部30は、ガイド部39、及び接続部238と共に、セパレータ体203を構成している。このような構成によると、中間ラウンド部238C1によって、上可動部21,22とのとの接触を防ぎつつ、中間角部238C2によって、接続部238の強度を高めることができる。
【0102】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0103】
(1)縦第1リブの形状は適宜変更可能である。例えば、縦第1リブは、幅方向における中央側の方向(横第1リブの方向)に向かうほど、下方に傾斜した形をなしていてもよい。このような構成によれば、仮に仕切部内に水等の液体が浸入したとしても、この液体が縦第1リブを伝って仕切部の幅方向における中央部分から下方に流れることで、仕切部外に排出することができる。
【0104】
(2)上可動部、下可動部、及び位置決め部を付勢する構成や材料は適宜変更可能である。上可動部又は第1位置決め部とこれらを付勢する付勢部は、一体であってもよい。また、下可動部又は第2位置決め部とこれらを付勢する付勢部は、別部材であってもよい。各付勢部の材料は、金属製でもよく、樹脂製でもよい。下可動部は、下方に付勢されていなくてもよい(自重のみで下降可能な構成であってもよい)。上可動部、下可動部、及び位置決め部を付勢する構成については、板バネや二股付勢部のような形に限らず、スプリング状やゴム状の形をなした弾性部を採用してもよい。このような場合、圧縮された弾性部が復帰しようとする付勢力が生じる構造(圧縮バネ)や、引っ張られた弾性部が縮まろうとする付勢力が生じる構造(引張バネ)等を採用することができる。
【0105】
(3)上記実施形態以外にも、配膳車の大きさ、駆動方式は適宜変更可能である。配膳車は、仕切部の数(本体部内に収容可能なトレイの数)によって上下方向の長さが適宜変更される。貯蔵室は、1つでもよく、前後方向に3つが連なっていてもよい。配膳車は、作業者がハンドルを把持して当該配膳車を移動する際に、その移動を補助する補助電動構造を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0106】
10…配膳車、13…貯蔵室(内部空間)、14…箱体、21,22…上可動部(可動部)、23…上壁部、24…延在壁部、24A…可動部側窪み部、24B…手前側端部、25…突部、26…手前壁部、26C,27C…延出部、27D1,28D1…返し部(当接部)、29…空隙部、29A…第1面部、29B…第2面部、29C…突条部、30…仕切部、30A…下仕切部、30B…上仕切部、30C…最下段仕切部、31…仕切本体部、31A1…傾斜面、31A…上部、32…側壁部、32B,32C,32D,32E…仕切側爪部、32G1…傾斜リブ(傾斜壁部)、32G2…下延出リブ(下延出壁部)、33A…第1引掛部(引掛部)、33B…第2引掛部(引掛部)、33C…窪み部、35…カバー、35B,35C,35D,35E…カバー側爪部、38,238…接続部(支持アーム)、38A…上下部、38B…側方部、38C,238C…中間部、39…ガイド部、40…第2位置決め部(位置決め部)、41…本体部、42…二股付勢部、43…突出部、45…中間可動部、46,47…第1位置決め部(位置決め部)、51,52…板バネ(付勢部)、S…間隙、T1,T2…トレイ
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