(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152120
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配膳車
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20241018BHJP
A47B 97/00 20060101ALI20241018BHJP
F25D 23/12 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B97/00 B
F25D23/12 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066108
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】與語 勇一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 聡志
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友裕
(57)【要約】
【課題】部品管理が容易となる配膳車を提供する。
【解決手段】飲食物を内部に配置可能な箱状の本体部14と、本体部14の箱体外側に配され、上下方向に延びたガード部70と、本体部14とガード部70とを取り付ける複数の取付部80と、を備え、本体部14は、上下方向に延びた辺を構成する柱部20を備え、複数の取付部80は、柱部20に対し上下方向に並ぶ形で取り付けられており、ガード部70は、複数の取付部80を介して柱部20に取り付けられている、配膳車10。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲食物を内部に配置可能な箱状の本体部と、
前記本体部の箱体外側に配され、上下方向に延びたガード部と、
前記本体部と前記ガード部とを取り付ける複数の取付部と、を備え、
前記本体部は、上下方向に延びた辺を構成する辺部を備え、
前記複数の取付部は、前記辺部に対し上下方向に並ぶ形で取り付けられており、
前記ガード部は、前記複数の取付部を介して前記辺部に取り付けられている、配膳車。
【請求項2】
前記ガード部は、前記辺部から箱体外側に膨出した膨出部を備え、
前記取付部は、
前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部と、
前記対向部から前記膨出部の箱体内側面に向かって延びた延在部と、を備える、請求項1に記載の配膳車。
【請求項3】
前記取付部は、前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部を備え、
前記対向部の一部と前記ガード部との間には、空隙が設けられている、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項4】
前記辺部は、
内側板部と、
前記内側板部の箱体外側に取り付けられた外側板部と、を備え、
前記取付部は、
前記外側板部に対向し、前記外側板部に取り付けられた対向第1部と、
前記対向第1部に接続し、前記内側板部に対し間隔を空けて対向した対向第2部と、を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項5】
前記ガード部は、樹脂製である、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項6】
前記取付部は、当該配膳車が移動する床面からの高さが750mm以上850mm以下の範囲となる位置を除く位置に配されている、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項7】
前記取付部は、
前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部を備え、
前記対向部から、上下方向に交わる方向に延びた部分を備えていない、請求項1に記載の配膳車。
【請求項8】
前記本体部の上側に配された機械室を備え、
前記機械室は、
操作部を有し、上下方向に交わる方向に延びたオペレーションパネルと、
前記オペレーションパネルの上端部に取り付けられ、前記交わる方向に延びた上側パネルと、
前記オペレーションパネルの前記交わる方向における端部と、前記上側パネルの前記交わる方向における端部と、に取り付けられた側方パネルと、を備える、請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【請求項9】
前記上側パネルは、前記側方パネルが取り付けられる前の状態では、前記交わる方向における両側端部に向かうほど上方に反った形をなしている、請求項8に記載の配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配膳車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配膳車として、特許文献1に記載のものが知られている。具体的に、特許文献1に記載の配膳車(再加熱カート)は、食品を載せたトレイが収納される内部空間であって加熱空間と冷却空間とが形成された本体部と、本体部内において上下方向に複数並び、トレイが挿入される間仕切り部と、を備えている。本体部の前面(進行方向側の面)は、その左右両側にそれぞれ配置されたガード部(凸面)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の構成のように、ガード部は、本体部を保護する部分とされ、例えば取付部を介して本体部に取り付けられる。一方、配膳車の種類によっては、上下方向に配されるトレイの数(間仕切り部の数)が異なることで、本体部の高さが異なる。これに対応するために、配膳車の種類ごとに、上下方向の長さを変えた取付部(部品)を用意することが考えられるが、その場合、取付部の種類が増え、部品管理が容易ではない。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、部品管理が容易となる配膳車を提供することを目的の一つとする。また、衝撃吸収性を向上できる配膳車を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、飲食物を内部に配置可能な箱状の本体部と、前記本体部の箱体外側に配され、上下方向に延びたガード部と、前記本体部と前記ガード部とを取り付ける複数の取付部と、を備え、前記本体部は、上下方向に延びた辺を構成する辺部を備え、前記複数の取付部は、前記辺部に対し上下方向に並ぶ形で取り付けられており、前記ガード部は、前記複数の取付部を介して前記辺部に取り付けられている、配膳車である。
【0007】
上記構成において、前記ガード部は、前記辺部から箱体外側に膨出した膨出部を備え、前記取付部は、前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部と、前記対向部から前記膨出部の箱体内側面に向かって延びた延在部と、を備えていてもよい。
【0008】
上記構成において、前記取付部は、前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部を備え、前記対向部の一部と前記ガード部との間には、空隙が設けられていてもよい。
【0009】
上記構成において、前記辺部は、内側板部と、前記内側板部の箱体外側に取り付けられた外側板部と、を備え、前記取付部は、前記外側板部に対向し、前記外側板部に取り付けられた対向第1部と、前記対向第1部に接続し、前記内側板部に対し間隔を空けて対向した対向第2部と、を備えていてもよい。
【0010】
上記構成において、前記ガード部は、樹脂製であってもよい。
【0011】
上記構成において、前記取付部は、当該配膳車が移動する床面からの高さが750mm以上850mm以下の範囲となる位置を除く位置に配されていてもよい。
【0012】
上記構成において、前記取付部は、前記辺部に対向し、前記辺部に取り付けられた対向部を備え、前記対向部から、上下方向に交わる方向に延びた部分を備えていなくてもよい。
【0013】
上記構成において、前記本体部の上側に配された機械室を備え、前記機械室は、操作部を有し、上下方向に交わる方向に延びたオペレーションパネルと、前記オペレーションパネルの上端部に取り付けられ、前記交わる方向に延びた上側パネルと、前記オペレーションパネルの前記交わる方向における端部と、前記上側パネルの前記交わる方向における端部と、に取り付けられた側方パネルと、を備えていてもよい。
【0014】
上記構成において、前記上側パネルは、前記側方パネルが取り付けられる前の状態では、前記交わる方向における両側端部に向かうほど上方に反った形をなしていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、部品管理が容易となる配膳車の提供が可能となる。また、衝撃吸収性を向上できる配膳車の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る配膳車を前上方から視た斜視図
【
図2】ガード部と天井パネルを取り外した状態の配膳車を前上方から視た斜視図
【
図4】左前側の柱部とその周辺部分の断面図(
図1のIV-IV線断面)
【
図6】オペレーションパネルとパネル構造体を右方から視た図
【
図7】オペレーションパネルとパネル構造体の分解図
【
図8】オペレーションパネルとパネル構造体の断面図(
図6のVIII-VIII線断面)
【
図9】オペレーションパネルとパネル構造体の前側部分を前下方から視た斜視図
【
図10】パネル構造体の断面図(
図9のX-X線断面)
【
図11】ガード部の上端部周辺の断面部(
図1のXI-XI線断面)
【
図13】本体部の前壁部において、パネル本体等を後上方から視た斜視図
【
図14】パネル本体にハンドルパネルが取り付けられた部分の断面図(
図13のXIV-XIV線断面)
【
図15】実施形態2に係る取付部とその周辺部分を拡大した斜視図
【
図16】実施形態3に係るガード部の上端部周辺の断面部
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本開示の実施形態1を
図1から
図14によって説明する。尚、矢印方向Fを前方、矢印方向Bを後方、矢印方向Uを上方、矢印方向Dを下方、矢印方向Lを左方、矢印方向Rを右方として各図を説明する。また、左右方向を幅方向と呼ぶことがある。
【0018】
図1及び
図2に示すように、配膳車10は、飲食物を運搬するために用いられる。配膳車10は、温蔵室11A,11B、及び冷蔵室12A,12Bを有し、飲食物を載置したトレイを内部に配置可能な箱状の本体部14と、本体部14の上方に配された機械室50と、本体部14の左右両側に設けられた開口を開閉する複数の扉19と、温蔵室11A,11Bを加熱する加熱装置(不図示)と、冷蔵室12A,12Bを冷却する冷却装置60と、本体部14の下部に取り付けられた車輪16と、本体部14の前側に配されたハンドル17と、を備える。配膳車10は、ハンドル17が使用者によって引いたり押したりされることで、車輪16が床面上を回転し、これにより当該配膳車10が前後方向に移動可能とされる。
【0019】
本体部14は、ステンレス等の金属板が箱状に組み立てられた外箱14Aと内箱14B(
図6参照)との間に、断熱材(例えば発泡ウレタンフォーム、メラミンフォーム)が充填された断熱箱体であって、左右方向(幅方向)に開口した形をなしている。本体部14は、内部空間を前後方向において2つの空間(2つの貯蔵室13)に隔てる中間壁15と、2つの貯蔵室13を前後方向においてそれぞれ2つの空間(冷蔵室12A,12Bと温蔵室11A,11B)に仕切る複数の仕切部30と、を備える。本実施形態では、2つの貯蔵室13は、中間壁15を中心として前後対称の構成とされる。各冷蔵室12A,12B及び各温蔵室11A,11Bは、その左右両側に配された扉19によってそれぞれ開閉可能とされる。中間壁15は、前後両側に配される一対の板状部材によって構成されることで、その内部を空気が流通可能となっている。これにより、中間壁15は、冷気流通用のダクトの機能を有している。尚、他の実施形態として、2つの貯蔵室13は、中間壁15を中心として前後非対称の構成とされていてもよい。
【0020】
冷却装置60は、圧縮機61と、凝縮器62と、凝縮器ファン63と、冷却器及び冷却用ファン(不図示)と、を備える。圧縮機61、凝縮器62、及び冷却器は、冷媒が通る冷媒管によって連結されており、この冷媒を循環させることで既知の冷凍サイクルを構成している。冷却装置60は、中間壁15を通して冷気を冷蔵室12A,12Bに供給しつつ、冷蔵室12A,12Bの空気を吸引して冷却することで、冷蔵室12A,12Bを冷却する。加熱装置は、本体部14の前後側の壁部14D,14Eに設けられたコードヒータ等(不図示)を用いて温蔵室11A,11Bを加熱する。
【0021】
仕切部30は、上下方向に複数並んで配されることで、全体として上下左右方向に広がる壁をなしている。仕切部30の前後両側には、トレイを載置可能なトレイ受け36が設けられている。貯蔵室13は、例えば仕切り(窪み)を有するトレイを、トレイ受け36に載置しつつ、その仕切り部分を上下方向に並ぶ2つの仕切部30,30の間に挿入することで、当該トレイを収容することができる。配膳車10は、飲食物を載置したトレイを貯蔵室13に収容することで、その飲食物について、仕切部30を境として、一方側を冷蔵室12A(又は冷蔵室12B)によって冷却し、他方側を温蔵室11A(又は温蔵室11B)によって加熱することができる。
【0022】
本体部14は、前後左右方向に広がる底壁を構成する底壁部14Cと、底壁部14Cの前端部から上方に立ち上がり、上下左右方向に広がる壁を構成する前壁部14Dと、底壁部14Cの後端部から上方に立ち上がり、上下左右方向に広がる壁を構成する後壁部14Eと、前壁部14D及び後壁部14Eの各上端部に接続し、前後左右方向に広がる天井壁を構成する天井壁部14F(
図6参照)と、を備える。また、本体部14は、
図2及び
図4に示すように、上下方向に延びた四角柱状の柱部(辺部)20を備える。
【0023】
柱部20は、前壁部14Dの左右両側に1つずつ、及び後壁部14Eの左右両側に1つずつ、合計4つが、それぞれ底壁部14Cの四隅から上方に立ち上がる形で配されている。4つの柱部20は、箱状の本体部14において、それぞれ、上下方向に延びた辺(左前側の辺、右前側の辺、左後側の辺、及び右後側の辺)を構成している。
図5に示すように、柱部20は、板金からなり、水平方向における断面が門型をなした内側板部21と、板金からなり、内側板部21の箱体外側に取り付けられた外側板部22と、を備える。
図4に示すように、内側板部21には、扉19がパッキン19Aを介して当接する。尚、以降の説明では、複数の柱部20のうち、左前側に配された柱部20及びその周辺構造(後述するガード部70や取付部80)等について説明し、それ以外の柱部20及びその周辺構造については、左前側に配された柱部20及びその周辺構造と対称な構成とする。
【0024】
図1から
図4に示すように、配膳車10は、柱部20の箱体外側に配され、上下方向に延びたガード部70と、柱部20とガード部70とを取り付ける複数の取付部80と、を備える。ガード部70は、1つの柱部に対し1つが取り付けられており、配膳車10全体では4つが設けられている。ガード部70は、樹脂製とされ、柱部20やその周辺部分を箱体外側から保護する部材とされる。
図4に示すように、ガード部70は、複数の取付部80を介して柱部20に取り付けられている。ガード部70は、柱部20から箱体外側の方向に膨出した形をなす膨出部71と、膨出部71の幅方向外側の端部からそれぞれ箱体内側に折れ曲がった折曲部72,73と、を備える。
【0025】
取付部80は、1つの柱部20に対し複数(4つ)が、上下方向に並ぶ形で取り付けられている。これら複数の取付部80は、配膳車10が移動する床面(車輪16の下端)からの高さが750mm以上850mm以下の範囲(非取付範囲と呼ぶ)となる位置を除く位置に配されている。このような非取付範囲としては、780mm以上820mm以下としてもよく、790mm以上810mm以下としてもよく、800mmとしてもよい。取付部80は、ビス(取付部材)78の螺合によって柱部20に取り付けられている。取付部80の柱部20への取付は、ビス78の取付に限らず、リベットでの取付でもよい。柱部20にビス78が螺合されるねじ穴を予め複数設けておけば、取付の作業者(エンドユーザーを含む)によって取付部80の取付位置や数を適宜変更することができる。尚、配膳車10のユーザーへの出荷時等、初期状態では、取付部80は、1つの柱部20に対し上下両側に少なくとも2つが配された状態としてもよい。一方、作業者は、配膳車10を移動させる際に、ハンドル17以外にも、ガード部70を掴んで移動させる場合がある。従って、ガード部70において作業者が手指で掴み易い部分の箱体内側となる高さ位置に、取付部80が配されていれば、配膳車10の操縦性を向上させることができる。取付部80は、板金を所定形状に折り曲げてなる。この板金の材料として、アルミニウムやステンレス等の変色し難い金属を採用すれば、仮にガード部70の上方等から取付部80が視認されたとしても、その意匠性が低下することを抑制できる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、取付部80は、柱部20の表面(箱体外側を向く面)に対向し、上下方向に広がる曲げ板状の対向部81と、対向部81の上下両側端部からガード部70における膨出部71の箱体内側面71Aに向かって延びた複数の延在部84,86と、を備える。対向部81は、柱部20の外側板部22に対向し面当てされた(外側板部22に当接した)対向第1部82と、対向第1部82に接続し、柱部20の内側板部21に対し間隔S1(
図5参照)を空けて対向した(内側板部21に当接していない)対向第2部83と、を備える。間隔S1は、外側板部22の板厚に等しい。よって、対向第2部83は、外側板部22の板厚(間隔S1)分、内側板部21から離間している。
【0027】
対向第1部82は、左右方向(幅方向)に延び、外側板部22に対しビス78によって取り付けられた対向本体部82Aと、対向本体部82Aの左端部と対向第2部83とを接続する形で前後方向に延びた対向片部82Bと、を備える。対向本体部82Aと対向片部82Bとが交わってなる対向角部82Cは、柱部20の角部20Aに対し箱体外側となる位置で重畳している(角当てされている)。取付部80は、対向本体部82Aの右端部(幅方向における内側端部)82A1において前方(前後方向における外側)に延び、返し形状(鉤状)をなした返し部85を備える。返し部85は、ハンドル17横に配され、外側板部22から幅方向内側に延びた部分である壁部22Aに対向している。返し部85は、ガード部70における折曲部72の凹部72Aに嵌っている。対向本体部82Aの内側端部82A1(対向部81の一部)とガード部70との間には、空隙S2(
図4参照)が設けられている。
【0028】
取付部80は、対向第2部83の後端部(前後方向における内側端部)から左方(幅方向における外側の方向)に折れ曲がって延びた取付片部87を備える。取付片部87の後方には、ガード部70における折曲部73が配されている。取付片部87は、ビス79の螺合によって、折曲部73に取り付けられている。
【0029】
複数の延在部84,86は、対向本体部82Aの上下両側端部から延在した2つの第1延在部84A,84Bと、対向第2部83の上下両側端部から延在した2つの第2延在部86A,86Bと、を含む。第1延在部84A,84Bは、幅方向における内側に向かうほど、前後方向における長さが長くなる形をなしている。第1延在部84A,84Bの箱体外側の端部84A1,84B1は、膨出部71の箱体内側面71Aに沿ってラウンド状に曲がっている。第2延在部86A,86Bは、前後方向における内側に向かうほど、幅方向における長さが長くなる形をなしている。第2延在部86A,86Bの箱体外側の端部86A1,86B1は、膨出部71の箱体内側面71Aに沿ってラウンド状に曲がっている。
【0030】
図1及び
図2に示すように、機械室50は、前後方向及び左右方向に広がる板状の天井パネル58と、天井パネル58の左方に配され、操作部51Aを有し、前後方向(上下方向に交わる方向)に延びた板状のオペレーションパネル51と、天井パネル58の右方であってオペレーションパネル51の反対側に配され、前後方向に延びた板状の反対側パネル59と、天井パネル58の前後両側の方向に配され、幅方向に延びた2つのサイドパネル57と、を備える。また、機械室50は、天井パネル58、オペレーションパネル51(又は反対側パネル59)、及び2つのサイドパネル57を繋ぎ、幅方向から視た場合に門型をなすパネル構造体52を備える。
【0031】
図6及び
図7に示すように、パネル構造体52は、オペレーションパネル51の上端部51Bに取り付けられ、前後方向に延び、上方に向かうほど幅方向における内側の方向に曲がった曲げ板状の上側パネル53と、オペレーションパネル51の前後方向における両側端部51C,51Dと、上側パネル53の前後方向における両側端部53B,53Cと、に取り付けられ、上方に向かうほど前後方向における内側に曲がった曲げ板状の側方パネル54,55と、を備える。上側パネル53は、側方パネル54,55が取り付けられる前の状態(
図7参照)では、中央部53Aから前後方向における両側端部53B,53Cに向かうほど上方に反った形をなしている。
【0032】
また、パネル構造体52は、上側パネル53を下方から支持し、上側パネル53と本体部14の天井壁部14Fとを接続する2つの支持部56を備える。
図9に示すように、支持部56は、ビス等の取付部材によって、上側パネル53と天井パネル58とを共締めする第1共締め部56Aと、上側パネル53とオペレーションパネル51とを共締めする第2共締め部56Bと、本体部14の天井壁部14Fに取り付けられる取付支持部56Cと、を備える。
【0033】
図8に示すように、オペレーションパネル51の上端部51Bは、幅方向における内側に段付けされた(立ち下げられた)段付け部51B1と、段付け部51B1よりも上側部分の一部が裏面(幅方向における内側の面)に折り返されてなる折り返し部51B2と、を備える。上側パネル53は、その下端部53Dが断面視門型をなしている。上側パネル53の下端部53Dにオペレーションパネル51の折り返し部51B2が差し込まれることで、上側パネル53にオペレーションパネル51が取り付けられる。
【0034】
オペレーションパネル51は、板金を成形してなるものとされ、塗装によって色付けされている。一方、上側パネル53は、樹脂を押し出し成型してなるものとされ、その樹脂に着色剤が混ぜられていることにより、色付けされている。これにより、異種材料において種々のカラーバリエーションに対応可能な配膳車10とすることができる。また、上側パネル53が押し出し成型とされることで、前後方向に長さの異なる種々の配膳車(本体部)への適用が容易となり、コストを削減することが可能となる。さらに、オペレーションパネル51と上側パネル53をいずれも板金とする場合やいずれも樹脂とする場合(特に、曲げ形状を有する上側パネル53について、板金をプレス成形してなるものとする場合)に比して、カラーバリエーションの増加、品質の向上、製造工程数の削減、及びコストの削減を実現することが可能となる。このような構成は、反対側パネル59についても同様とする。尚、
図1に示すように、側方パネル54,55やガード部70の色も適宜変更することで、カラーバリエーションを一層増やすことが可能となる。
図1では、ドットの濃淡によって各部の色の違いを示している。
【0035】
図9及び
図10に示すように、前側の側方パネル54は、その裏面を構成する曲面54Bに沿って複数並び、前後方向における内側に突出したリブ54Cと、側方パネル54の後端部54Aとリブ54Cとの間に配された凹部54Dと、を備える。複数の凹部54Dに上側パネル53の前端部53Bが差し込まれることで、側方パネル54に上側パネル53が取り付けられる。尚、後側の側方パネル55の構成、及び上側パネル53との取付構造についても、前側の側方パネル54の構成等と前後対称な構成とし、その説明を省略する。
【0036】
図6及び
図9に示すように、側方パネル54は、その底面54Eから下方に立ち下がったリブ54Fを備える。
図11に示すように、リブ54Fは、右方(幅方向における内側)に向かうほど、前方(前後方向における外側)に膨らんだ円弧状をなしている。リブ54Fは、ガード部70における膨出部71の箱体内側面71Aや、取付部80における第1延在部84Aの端部84A1に沿ってラウンド状に曲がっている。尚、後側の側方パネル55も、前側の側方パネル54におけるリブ54Fと前後対称の構造のリブ55Fを備える(
図6参照)。
【0037】
図1、
図4、及び
図12に示すように、4つのガード部70の下方には、それぞれ、バンパ75が配されている。バンパ75は、上面75Aから上方に立ち上がったリブ75Bを備える。リブ75Bは、幅方向における内側に向かうほど、前後方向における外側に膨らんだ円弧状をなしている。リブ75Bは、ガード部70における膨出部71の箱体内側面71Aや、取付部80における第1延在部84Aの端部84A1に沿ってラウンド状に曲がっている。このような構成によると、ガード部70と側方パネル55との間や、ガード部70とバンパ75との間から内部が視認されることを抑制し、これらの間から水や埃が入り難い構造とすることができる。
【0038】
図1、
図13、及び
図14に示すように、本体部14の前壁部14Dは、開口部90Aを有し、板金からなり上下左右方向に広がるパネル本体90と、パネル本体90の開口部90Aに対し箱体外側から取り付けられたハンドルパネル91と、左右方向を長辺とする長方形をなし、ハンドルパネル91の直上となる位置においてパネル本体90に対し箱体内側から取り付けられた裏パネル92と、を備える。ハンドルパネル91は、全体として箱体内側に窪んだ形をなしている。ハンドルパネル91の幅方向における両側の壁部には、ハンドル17が取り付けられている。
【0039】
パネル本体90に裏パネル92が取り付けられていることにより、パネル本体90の剛性を高めることができ、ハンドル17が引っ張られたときに、パネル本体90とハンドルパネル91との間に隙間が生じることを抑制でき、この隙間から水や埃が入ることを防ぐことができる。また、パネル本体90にハンドルパネル91が箱体外側から取り付けられていることで、ハンドル17がハンドルパネル91に当たった際に、パネル本体90とハンドルパネル91(特に、ハンドルパネル91の下部)との間に隙間が生じることを抑制でき、この隙間から水や埃が入ることを防ぐことができる。
【0040】
図13及び
図14に示すように、パネル本体90は、開口部90Aにおいて前後方向に貫通形成された複数の孔部90A1と、孔部90A1の上方に配され、箱体内側に凸状をなした複数の凸部90Bと、を備える。ハンドルパネル91は、その周端部91Aから箱体内側に突出した円柱状の複数のボス91Bを備える。複数の孔部90A1には、それぞれ、複数のボス91Bが、箱体外側から挿入されている。
図14に示すように、ボス91Bには、円管状のスペーサ93を箱体内側から差し込むことが可能である。スペーサ93は、箱体外側の端部(前端部)が孔部90A1の縁部に当接している。このような構成によれば、ボス91Bに対し、スペーサ93を孔部90A1との間で挟むようにして、箱体内側からねじ94を螺合することで、パネル本体90にハンドルパネル91を取り付けることができる。
【0041】
裏パネル92は、前後方向に貫通形成された複数の下穴92Aを備える。裏パネル92は、この下穴92Aにパネル本体90の凸部90Bが差し込まれるようにしてパネル本体90に取り付けることで、位置決めが容易な構造とされている。尚、下穴92A及び凸部90Bを前後方向に貫通するように、ねじ穴を設ければ、このねじ穴を用いて小物入れ等の付属部品の後付けが可能となる。
【0042】
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、飲食物を内部に配置可能な箱状の本体部14と、本体部14の箱体外側に配され、上下方向に延びたガード部70と、本体部14とガード部70とを取り付ける複数の取付部80と、を備え、本体部14は、上下方向に延びた辺を構成する柱部20を備え、複数の取付部80は、柱部20に対し上下方向に並ぶ形で取り付けられており、ガード部70は、複数の取付部80を介して柱部20に取り付けられている、配膳車10を示した。
【0043】
このような配膳車10によると、柱部20に対する複数の取付部80の上下方向における取り付け位置や、複数の取付部80の数を適宜変更することで、本体部14の高さに関わらず、その本体部14の柱部20を箱体外側から保護可能なガード部70を、当該柱部20に取り付けることができる。これにより、配膳車10において、本体部14の高さが異なる種類同士で、同じ取付部80を共用することができ、部品管理が容易となる。また、複数の取付部80の上記取り付け位置やその数を適宜変更することで、ガード部70において任意の部分の剛性を向上させることができる。また、例えば柱部20の上下全体に延びた1つの取付部80を用いてガード部70を取り付ける場合に比して、上記構成とすれば、各取付部80の小型化を実現することができ、コストを削減することができる。
【0044】
ガード部70は、柱部20から箱体外側に膨出した膨出部71を備え、取付部80は、柱部20に対向し、柱部20に取り付けられた対向部81と、対向部81から膨出部71の箱体内側面71Aに向かって延びた延在部84,86と、を備えている。
【0045】
このような配膳車10によると、ガード部70が、柱部20から箱体外側に膨出した膨出部71を備えることにより、ガード部70が物体に衝突した際の衝撃吸収性を向上させることができる。また、対向部81から膨出部71の箱体内側面71Aに向かって延びた延在部84,86によって、膨出部71内に埃が入ることを防ぐことができる。膨出部71に蓋をする部材を別途設けることなく、上記埃の侵入を防ぐことができるので、コストを削減することができる。
【0046】
取付部80は、柱部20に対向し、柱部20に取り付けられた対向部81を備え、対向部81の一部とガード部70との間には、空隙S2が設けられている。
【0047】
このような配膳車10によると、対向部81の一部とガード部70との間に設けられた空隙S2を通して、配線を配策させることができる。これにより、配膳車10において上下方向に延びる形で配線の配策が必要な種類においても、取付部80を共用することができる。また、他部材(扉のヒンジ等)に配線を配策させるための穴を開けることなく、上記空隙S2を通して配線を上下方向に延びる形で配策させることができる。
【0048】
柱部20は、内側板部21と、内側板部21の箱体外側に取り付けられた外側板部22と、を備え、取付部80は、外側板部22に対向し、外側板部22に取り付けられた対向第1部82と、対向第1部82に接続し、内側板部21に対し間隔S1を空けて対向した対向第2部83と、を備えている。
【0049】
このような配膳車10によると、ガード部70が物体に衝突し、ガード部70から取付部80に力が加わったとしても、対向第2部83が撓んで、その力を緩衝させることができる。
【0050】
ガード部70は、樹脂製である。
【0051】
このような構成によると、軽量化や衝撃吸収性を向上できる配膳車10の提供が可能となる。
【0052】
取付部80は、当該配膳車10が移動する床面からの高さが750以上850mm以下の範囲となる位置を除く位置に配されている。
【0053】
配膳車10が使用される建物の屋内において、床面からの高さが上記範囲となる位置には、人が把持可能な手摺りが設けられていることがある。上記のような構成によると、この手摺りを避けた位置に取付部80を配することで、ガード部70が手摺りに衝突したとしても、その衝突の力が取付部80を介して本体部14に伝わり難く、ガード部70がその力を緩衝し易くなる。これにより、本体部14や手摺りの保護が可能となる。
【0054】
本体部14の上側に配された機械室50を備え、機械室50は、操作部51Aを有し、上下方向に交わる方向に延びたオペレーションパネル51と、オペレーションパネル51の上端部に取り付けられ、上下方向に交わる方向に延びた上側パネル53と、オペレーションパネル51の交わる方向における端部と、上側パネル53の交わる方向における端部と、に取り付けられた側方パネル54,55と、を備えている。
【0055】
配膳車10の種類によっては、部分的に色を変えるために、複数の部材に分割し、その部材ごとに色を変えた構造となることがあるが、その場合、各部材を互いに取り付けるビス等の取付部材の数が増加する虞がある。上記のような配膳車10によると、オペレーションパネル51、上側パネル53、及び側方パネル54,55が互いに取り付けられることで、その取付構造の剛性を向上させることができ、各パネルを取り付ける取付部材を削減することができる。
【0056】
上側パネル53は、側方パネル54,55が取り付けられる前の状態では、上下方向に交わる方向における両側端部53B,53Cに向かうほど上方に反った形をなしている。
【0057】
このような配膳車10によると、上側パネル53への側方パネル54,55の取付をスムーズに行うことができる。
【0058】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2を
図15によって説明する。本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0059】
取付部280は、対向部81から、上下方向に交わる方向に延びた部分を備えていない。具体的には、上記実施形態1と異なり、取付部280は、延在部84,86(第1延在部84A,84B、及び第2延在部86A,86B)を備えていない。
【0060】
このような配膳車によると、ガード部70が物体に衝突したとしても、取付部280が、対向部81から、上下方向に交わる方向に延びた部分を備えていないので、その衝突の力が取付部280を介して本体部14に伝わり難く、ガード部70がその力を緩衝し易くなる。また、建物の屋内に設けられる手摺りと同じ高さに取付部280を取り付けることが可能となる。
【0061】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3を
図16によって説明する。本実施形態では、上記実施形態と同じ部位には、同一の符号を用い、構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0062】
側方パネルの底面から下方に立ち下がったリブ354Fは、柱部20の外側板部22に沿って幅方向に延びた直線状をなしている。ガード部70の下方に配されたバンパに設けられたリブ(不図示)についても、同様の直線状をなすものとする。このような構成によると、ガード部70が物体に衝突したときのガード部70の損傷を低減することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0064】
(1)上記実施形態以外にも、辺部は適宜変更可能である。上記実施形態では、辺部は、柱部としたが、これに限定されない。例えば、辺部は、配膳車の前後側の壁部における幅方向両側端部とされ、配膳車は、柱部のような構造体を備えていなくてもよい。辺部は、少なくとも本体部において上下方向に延びる辺を構成した構造体であればよい。
【0065】
(2)上記実施形態以外にも、配膳車の大きさ、駆動方式は適宜変更可能である。配膳車は、仕切部の数(本体部内に収容可能なトレイの数)によって上下方向の長さが適宜変更される。また、貯蔵室は、前後方向に3つが連なっていてもよい。その場合、配膳車の前後方向の長さが上記実施形態よりも長い。また、配膳車は、作業者がハンドルを把持して当該配膳車を移動する際に、その移動を補助する補助電動構造を備えていてもよい。
【0066】
(3)取付部の取付位置や数は適宜変更可能である。例えば1つのガード部の上下両端部に1つずつ、合計2つの取付部が1つの辺部に取り付けられていてもよく、合計6つや8つの取付部が1つの辺部に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…配膳車、14…本体部、20…柱部(辺部)、21…内側板部、22…外側板部、50…機械室、51…オペレーションパネル、51A…操作部、53…上側パネル、54,55…側方パネル、70…ガード部、71…膨出部、71A…箱体内側面、80…取付部、81…対向部、82…対向第1部、83…対向第2部、84,86…延在部、87…取付片部、S1…間隔、S2…空隙