(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152131
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
D06F39/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066126
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】今西 佑太
(72)【発明者】
【氏名】松田 喜彦
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA15
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA48
3B166CA01
3B166CA21
3B166CB01
3B166CB11
3B166CD01
3B166CD15
3B166DC14
3B166DC43
3B166DE04
3B166FA06
3B166FA12
3B166FB01
3B166FB05
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA11
3B166HA13
(57)【要約】
【課題】液剤投入装置が有する液剤収容部に容易に液剤を補充可能な洗濯機を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る洗濯機は、洗濯槽と液剤投入装置とを備え、液剤投入装置は、液剤収容部と、液剤を洗濯槽に供給する供給機構とを有し、液剤収容部は、上面が開放されている液剤容器と、液剤容器の上面を覆うカバー部材であって、液剤注入口が形成されているカバー部材と、カバー部材の上面に沿って前後方向へスライド移動可能にカバー部材に設けられたスライド蓋とを有し、液剤収容部は、供給機構に対して前後方向にスライド可能であり、液剤収容部は、供給機構に対して後方にスライドされることによって供給機構に装着されるとともに、供給機構に対して前方にスライドされることによって供給機構から引き出され、液剤収容部が供給機構から引き出されることに連動して、スライド蓋がカバー部材に対して後方へスライド移動して液剤注入口が開く。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽と、
液剤を前記洗濯槽に供給するための液剤投入装置と、
を備え、
前記液剤投入装置は、
前記液剤を収容する液剤収容部と、
前記液剤収容部に収容された前記液剤を吸い出すとともに、前記液剤を前記洗濯槽に供給する供給機構と、
を有し、
前記液剤収容部は、
上面が開放されているとともに、前記液剤を溜める液剤容器と、
前記液剤容器の前記上面を覆うカバー部材であって、前記カバー部材を通して前記液剤を前記液剤容器に注入するための液剤注入口が前寄りに形成されている前記カバー部材と、
前記カバー部材の上面に沿って前後方向へスライド移動可能に前記カバー部材に設けられたスライド蓋と、
を有し、
前記液剤収容部は、前記供給機構に対して前後方向にスライド可能であり、
前記液剤収容部は、前記供給機構に対して後方にスライドされることによって前記供給機構に装着されるとともに、前記供給機構に対して前方にスライドされることによって前記供給機構から引き出され、
前記液剤収容部が前記供給機構から引き出されることに連動して、前記スライド蓋が前記カバー部材に対して後方へスライド移動することによって前記液剤注入口が開く、
洗濯機。
【請求項2】
前記供給機構は、前記液剤収容部が装着された状態において、前記液剤収容部の上方において前記液剤収容部と対向する天壁を有し、
前記天壁の前方寄りの位置には下方へ突出する係止突部が設けられており、
前記スライド蓋には、上方へ突出しているとともに、前記液剤収容部が前記供給機構からの引き出される場合に前記係止突部と接する被係止突部が設けられている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記カバー部材の上面には、前記液剤注入口が開かれた状態において前記スライド蓋が配置される凹部が設けられており、
前記スライド蓋は、前記スライド蓋が前記凹部に配置された状態において、前記スライド蓋の前方部が後方部より低くなるように構成されている、
請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記供給機構に対して前記液剤収容部を後方にスライドさせて装着することに連動して、前記スライド蓋が前記カバー部材に対して相対的に前方に移動することによって、前記液剤注入口が閉じられる、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記供給機構は、前記液剤収容部が装着された状態において、前記液剤収容部の上方において前記液剤収容部と対向する天壁を有し、
前記スライド蓋の後端には、上方へ突出する後端突部が設けられており、
前記天壁には、下方へ突出しているとともに、前記液剤収容部を前記供給機構に対して後方にスライドさせて装着する際に、前記後端突部に接する蓋止突部が設けられている、
請求項4に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液剤投入装置を備えた洗濯機が販売されている。上記液剤投入装置の例は、特許文献1に開示された装置である。特許文献1に開示された装置では、液体貯蔵ボックスに溜められた洗剤(液剤)を負圧パイプの作用を利用して吸引し、水と混合して洗濯槽に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液体貯蔵ボックスには、洗剤の使用状況に応じて、洗剤を適宜補充する必要がある。よって、上記液体貯蔵ボックスのように、洗剤等の液剤を収容する液剤収容部に容易に液剤を補充できる技術が求められている。
【0005】
本発明は、液剤投入装置が有する液剤収容部に容易に液剤を補充可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一側面に係る洗濯機は、洗濯槽と、液剤を上記洗濯槽に供給するための液剤投入装置と、を備え、上記液剤投入装置は、上記液剤を収容する液剤収容部と、上記液剤収容部に収容された上記液剤を吸い出すとともに、上記液剤を上記洗濯槽に供給する供給機構と、を有し、上記液剤収容部は、上面が開放されているとともに、上記液剤を溜める液剤容器と、上記液剤容器の上記上面を覆うカバー部材であって、上記カバー部材を通して上記液剤を上記液剤容器に注入するための液剤注入口が前寄りに形成されている上記カバー部材と、上記カバー部材の上面に沿って前後方向へスライド移動可能に上記カバー部材に設けられたスライド蓋と、を有し、上記液剤収容部は、上記供給機構に対して前後方向にスライド可能であり、上記液剤収容部は、上記供給機構に対して後方にスライドされることによって上記供給機構に装着されるとともに、上記供給機構に対して前方にスライドされることによって上記供給機構から引き出され、上記液剤収容部が上記供給機構から引き出されることに連動して、上記スライド蓋が上記カバー部材に対して後方へスライド移動することによって上記液剤注入口が開く。
【0007】
上記[1]に記載の洗濯機では、液剤収容部を単に供給機構から引き出すことによって、液剤注入口を開くことができる。そのため、液剤収容部への液剤の供給が容易である。
【0008】
[2]上記[1]に記載の洗濯機において、上記供給機構は、上記液剤収容部が装着された状態において、上記液剤収容部の上方において上記液剤収容部と対向する天壁を有し、 上記天壁の前方寄りの位置には下方へ突出する係止突部が設けられており、上記スライド蓋には、上方へ突出しているとともに、上記液剤収容部が上記供給機構からの引き出される場合に上記係止突部と接する被係止突部が設けられていてもよい。
【0009】
上記[2]に記載の洗濯機では、液剤収容部が供給機構から引き出される際、天壁に設けられた係止突部と、スライド蓋に設けられた上記被係止突部とが接する。このように被係止突部が係止突部に接することで、スライド蓋は係止突部で止められる一方、液剤容器及びカバー部材は前方に移動することから、カバー部材に対してスライド蓋は後方に移動する。その結果、液剤注入口が開く。
【0010】
[3]上記[2]に記載の洗濯機において、上記カバー部材の上面には、上記液剤注入口が開かれた状態において上記スライド蓋が配置される凹部が設けられており、上記スライド蓋は、上記スライド蓋が上記凹部に配置された状態において、上記スライド蓋の前方部が後方部より低くなるように構成されていてもよい。
【0011】
上記[3]に記載の洗濯機では、上記スライド蓋が上記凹部に配置された状態では、上記スライド蓋は、前方部が後方部より低くなる。その結果、被係止突部と係止突部との接触領域が小さくなるので、被係止突部と係止突部の干渉の影響が低減する。よって、例えば、液剤収容部の前方を下方に少し下げるだけで、上記被係止突部と係止突部との干渉を解除し易い。このように、上記被係止突部と係止突部との干渉を解除することによって、液剤収容部を供給機構から取り出すことが可能である。
【0012】
[4]上記[1]~[3]の何れかの洗濯機では、上記供給機構に対して上記液剤収容部を後方にスライドさせて装着することに連動して、上記スライド蓋が上記カバー部材に対して相対的に前方に移動することによって、上記液剤注入口が閉じられてもよい。この場合、供給機構に対して上記液剤収容部を後方にスライドさせて装着することによって、液剤注入口を閉じることが可能である。
【0013】
[5]上記[4]に記載の洗濯機では、上記供給機構は、上記液剤収容部が装着された状態において、上記液剤収容部の上方において上記液剤収容部と対向する天壁を有し、上記スライド蓋の後端には、上方へ突出する後端突部が設けられており、上記天壁には、下方へ突出しているとともに、上記液剤収容部を上記供給機構に対して後方にスライドさせて装着する際に、上記後端突部に接する蓋止突部が設けられていてもよい。
【0014】
上記[5]に記載の洗濯機では、液剤収容部を供給機構に対して後方にスライドさせて装着する場合、天壁に設けられた蓋止突部と、スライド蓋に設けられた上記後端突部とが接する。このように後端突部が蓋止突部と接することで、スライド蓋の後方への移動は蓋止突部で止められる一方、液剤容器及びカバー部材は後方に移動することから、カバー部材に対してスライド蓋は前方に移動する。その結果、液剤注入口がスライド蓋によって閉じられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液剤投入装置が有する液剤収容部に容易に液剤を補充可能な洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗濯機の側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した洗濯機において、液剤収容部を供給機構から引き出した状態を示した図面である。
【
図4】
図4は、供給機構の概略構成を示す図面である。
【
図5】
図5は、供給機構によって処理液を洗濯槽に供給する場合における一工程の例を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した工程の後工程の例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1液剤収容部(液剤収容部)の斜視図である。
【
図8】
図8は、第2液剤収容部(液剤収容部)の斜視図である。
【
図9】
図9は、カバー部材が有する液剤注入口がスライド蓋で閉じられた状態の液剤収容部の斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示したカバー部材が取り外された状態の液剤収容部の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図9に示したカバー部材が取り外された状態の液剤収容部の分解斜視図である。
【
図16】
図16は、スライド蓋を下面側からみた場合の平面図である。
【
図18】
図18は、液剤収容部を供給機構に装着した状態の模式図である。
【
図19】
図19は、液剤収容部を供給機構から引き出し始めた状態を示す模式図である。
【
図20】
図20は、液剤収容部を供給機構に対して予め定める位置まで引き出した状態を示す模式図である。
【
図21】
図21は、液剤収容部を供給機構に対して予め定める位置まで引き出した状態において、スライド蓋の前方部が沈んだ状態を示す模式図である。
【
図22】
図22は、液剤収容部を供給機構に対して装着する際に、途中まで液剤収容部を押し入れたときの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0018】
図1は、一実施形態に係る洗濯機の側面図である。
図2は、
図1に示した洗濯機の斜視図である。以下では、
図1に示した互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を洗濯機1の説明に使用する場合もある。X方向、Y方向及びZ方向は、
図1に示した洗濯機1の設置状態における前後方向、左右方向及び高さ方向(又は上下方向若しくは鉛直方向)に対応する。以下の説明では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語は、
図1及び
図2に示した洗濯機1の設置状態に基づいた用語である。
【0019】
洗濯機1の概略構成を説明する。
図1及び
図2に示した洗濯機1は縦型洗濯機である。洗濯機1は筐体10を備える。筐体10は、洗濯機1の外郭を構成する。筐体10は例えば金属製である。筐体10は、上面及び下面が開放された中空の胴体部101を有する。胴体部101の上面は上面板102で覆われており、胴体部101の下面には脚台103が取り付けられている。Z方向からみた場合において、胴体部101の形状は方形(矩形又は正方形)である。
【0020】
上面板102には、洗濯物の投入口が形成されている。投入口は、上蓋12によって覆われている。上蓋12は、上面板102に開閉自在に取り付けられている。上面板102の前部には、操作パネル部13が設けられている。操作パネル部13には、洗濯機1を操作するための複数のボタンなどが配置されている。操作パネル部13は、洗濯機1が備えており洗濯機1を制御する制御部に電気的に接続されている。制御部は、操作パネル部13によって入力されるユーザの指示に応じて洗濯機1を制御する。
【0021】
図1に示したように、筐体10内には、外槽14及び内槽(洗濯槽)15が収容されている。
【0022】
外槽14は有底円筒状を呈する。外槽14は例えば樹脂製の槽である。外槽14は、防振装置を有する複数(例えば4本)の吊棒によって筐体10から弾性的に吊り下げられている。外槽14は、筐体10内に設けられた給水路を通して外槽14に洗濯用の処理液が供給されるとともに、筐体10内に設けられた排水路を通して外槽14から上記処理液を排出可能に構成されている。本明細書において、「処理液」は、洗濯物の洗い工程及びすすぎ工程等の各工程に応じた液体を意味する。したがって、洗い工程では、処理液は洗剤を含む液体でよいし、すすぎ工程では、処理液は水でよい。
【0023】
内槽15は有底円筒状を呈する。内槽15は、外槽14より小さく、外槽14の内側に外槽14と同軸で配置されている。内槽15は、Z方向に延びる回転軸を中心に回転可能に外槽14の内側に配置されている。内槽15は例えば金属製の槽である。内槽15は、内槽15内に投入された洗濯物を洗濯又は脱水するための槽である。内槽15の内周面には複数の貫通孔が形成されている。これによって、外槽14と内槽15との間で洗濯液が行き来できる。内槽15の底部には、回転翼(パルセータ)16が回転可能に配置されている。
【0024】
上記内槽15及び回転翼16を回転駆動するために、筐体10内には駆動ユニット17も収容されている。駆動ユニット17は外槽14の下部に配置されている。駆動ユニット17は、内槽15及び回転翼16を駆動する動力(トルク)を発生させる。駆動ユニット17は、上記動力によって、内槽15及び回転翼16を回転させる。たとえば、駆動ユニット17は、洗い工程及びすすぎ工程では、上記動力を回転翼16のみに伝達して回転翼16のみを回転させ、脱水工程では、上記動力を回転翼16及び内槽15に伝達して回転翼16及び内槽15を一体的に回転させる。
【0025】
洗濯機1は、内槽15に液剤を投入するための液剤投入装置2を備える。
【0026】
液剤投入装置2は、
図2に示したように上蓋12が開いた状態において液剤投入装置2の正面部が露出するように、筐体10内の後方上部に組み込まれている。液剤投入装置2は、内槽15に向けて液剤を投入するための投入口が内槽15上に位置するように配置されている。これにより、上記投入口から液剤を内槽15に投入可能である。液剤投入装置2は、第1液剤収容部20A、第2液剤収容部20B及び供給機構25を備える。
【0027】
第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは液剤を収容する。液剤の例は、液体洗剤、柔軟剤等である。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、異なる液剤を収容する。本実施形態では、第1液剤収容部20Aが収容する液剤は液体洗剤であり、第2液剤収容部20Bが収容する液剤は柔軟剤である。
【0028】
第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、供給機構25が有するハウジング(筐体)26に収容されている。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に対してスライド可能である。換言すれば、ハウジング26は、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bをスライド可能に収容する収容部(又は収容空間)を有する。
【0029】
図3に示したように、第2液剤収容部20Bをハウジング26から引き出すことによって、第2液剤収容部20Bに液剤を補充できる。
図3は、
図2に示した洗濯機において、第2液剤収容部20Bを供給機構25から引き出した状態を示した図面である。
図3では、第2液剤収容部20Bを引き出した状態を例示しているが、第1液剤収容部20Aに液剤を補充するために第1液剤収容部20Aもハウジング26から引き出せる。
【0030】
更に、液剤投入装置2では、ハウジング26から第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを取り外すことも可能である。すなわち、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に着脱自在に取り付けられている。
【0031】
図4を利用して、液剤投入装置2が備える供給機構25を説明する。
図4は、供給機構25の概略構成を示す図面である。
図4は、供給機構25内における処理液(水又は液剤を含む水)の流路に着目した図面であり、供給機構25の配管図に対応する。
図4では、ハウジング26の図示は省略している一方、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを図示している。
【0032】
供給機構25は、給水流路251、第1流路252A、第2流路252B、流路切替ユニットU1、液剤投入流路253及び負圧ユニットU2を備える。各流路は、ハウジング26に取り付けられた配管などのように液体を流すことが可能な部材又はハウジング26において液体を流すことが可能な領域によって構成されている。
【0033】
給水流路251の一端は、供給機構25(又は液剤投入装置2)に水を取り込む給水口251aである。給水口251aは、水道栓にホースなどを介して接続される。
【0034】
第1流路252A及び第2流路252Bの一端は、給水流路251に接続されている。第1流路252A及び第2流路252Bは、給水流路251から分岐した流路でよい。第1流路252Aおよび第2流路252Bには、給水弁V1a及び給水弁V1bが設けられている。給水弁V1a及び給水弁V1bは電磁弁でよい。給水弁V1a,V1bは、例えば、洗濯機1を制御する制御部によって制御される。
【0035】
第1流路252Aには、第1液剤取込流路254Aが接続されている。ハウジング26に第1液剤収容部20Aが装着された場合、第1液剤収容部20Aは、第1液剤収容部20Aから液剤を取り出せるように第1液剤取込流路254Aに連結される。これによって、ハウジング26に第1液剤収容部20Aが収容された状態では、第1液剤収容部20Aは、第1液剤取込流路254Aを介して第1流路252Aに接続される。
【0036】
第1液剤取込流路254Aには、第1液剤収容部20Aへの第1流路252A内の水などの処理液の逆流の防止、第1液剤収容部20Aが取りはずされた場合に、第1流路252A内の処理液の漏出の防止などのために、逆止弁V2aが設けられている。
【0037】
第2流路252Bには、第2液剤取込流路254Bが接続されている。ハウジング26に第2液剤収容部20Bが装着された場合、第2液剤収容部20Bは、第2液剤収容部20Bから液剤を取り出せるように第2液剤取込流路254Bに連結される。これによって、ハウジング26に第2液剤収容部20Bが収容された状態では、第2液剤収容部20Bは、第2液剤取込流路254Bを介して第2流路252Bに接続される。
【0038】
第2液剤取込流路254Bには、第2液剤収容部20Bへの第2流路252B内の水などの処理液の逆流の防止、第2液剤収容部20Bが取りはずされた場合に、第2流路252B内の処理液の漏出の防止などのために、第2液剤取込流路254Bには逆止弁V2bが設けられている。
【0039】
第1流路252A及び第2流路252Bは、流路切替ユニットU1を介して液剤投入流路253に接続されている。液剤投入流路253は、第1流路252A及び第2流路252Bの少なくとも一方から流れてきた処理液を内槽15に投入するための流路である。液剤投入流路253のうち第1流路252A及び第2流路252Bと反対の端は、内槽15に処理液を投入するための投入口253aである。
【0040】
流路切替ユニットU1は、液剤投入流路253に、第1流路252Aから処理液を流す場合、第2流路252Bから処理液を流す場合及び第1流路252A及び第2流路252Bの両方から処理液を流す場合を切り換えるための部分である。
【0041】
図4に示したように流路切替ユニットU1の一例は、第1流路252Aに設けられた逆止弁V3aと、第2流路252Bに設けられた逆止弁V3bを有する。逆止弁V3aは、第1流路252A内の処理液の圧力が一定以上の場合、第1流路252Aから液剤投入流路253に処理液を流すように第1流路252Aに配置されている。逆止弁V3bは、第2流路252B内の処理液の圧力が一定以上の場合、第2流路252Bから液剤投入流路253に処理液を流すように第2流路252Bに配置されている。
【0042】
負圧ユニットU2は、第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bを通して第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bから液剤を取り出すための負圧を発生させるユニットである。
【0043】
図4に示したように負圧ユニットU2の一例は、第1流路252Aに設けられたベンチュリ管255Aと、第2流路252Bに設けられたベンチュリ管255Bと、ベンチュリ管255A及びベンチュリ管255Bを繋ぐ連結管256とを有する。連結管256は、ベンチュリ管255A及びベンチュリ管255Bにおける縮小部(流路に直交する断面積が小さくなっている部分)同士を接続している。
【0044】
ベンチュリ管255Aは、第1流路252Aにおいて、第1液剤取込流路254Aと第1流路252Aの接続部と、給水弁V1aとの間に配置されている。ベンチュリ管255Bは、第2流路252Bにおいて、第2液剤取込流路254Bと第2流路252Bの接続部と、給水弁V1bとの間に配置されている。連結管256には、流量計257が設けられている。流量計257の結果は、洗濯機1を制御する制御部によって解析されてよい。
【0045】
ここで、第1液剤収容部20A内の液剤を内槽15に投入する場合を例にして、上記構成の液剤投入装置2を用いた液剤投入方法を説明する。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bはハウジング26に設置されており、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bが第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bに連結されている状態及び給水口251aが水道栓に繋がれている状態に基づいて説明する。説明の便宜のため、第1液剤収容部20Aに収容されている液剤を「第1液剤」と称し、第2液剤収容部20Bに収容されている液剤を「第2液剤」と称す。
【0046】
まず、給水弁V1a,V1bを開く。これにより、
図5に示したように、第1流路252A及び第2流路252Bに水(処理液)が流入する。この際、第1流路252A及び第2流路252B内の圧力(水圧)が実質的に同じであるように、給水弁V1a,V1bを開く。第1流路252A及び第2流路252Bに流れる水の圧力によって、逆止弁V3a,V3bが開く。これによって、第1流路252A及び第2流路252Bの両方から液剤投入流路253に水が流れ、内槽15に水が供給される(通水工程)。
図5は、通水工程における水の流れを示す模式図である。
図5では水の流れを矢印で模式的に示している。
【0047】
上記通水工程では、ベンチュリ管255A,255B内の圧力は同じである。上記通水工程では、連結管256にも水が流入する。したがって、ベンチュリ管255A,255B及び連結管256内も水で満たされる。通水工程では、逆止弁V2a,V2bは閉じた状態が維持されている。よって、水は、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bには流入しない。
【0048】
上記のようにして内槽15に一定量の水を供給した後、給水弁V1a,V1bを閉じる。これにより、第1流路252A、第2流路252B、ベンチュリ管255A,255B及び連結管256内に水が充填された状態が維持される(充填工程)。
【0049】
その後、給水弁V1bのみを開く。これにより、
図6に示したように、第2流路252Bへ給水口251aから水が流入する一方、第1流路252Aへ給水口251aの水は流入しない。その結果、給水弁V1bから液剤投入流路253に向けた処理液の流れが生じる。
図6は、第1液剤投入工程における処理液の流れを示す模式図である。
図6では処理液の流れを矢印で模式的に示している。この場合、第2流路252Bに設けられたベンチュリ管255B内に生じる負圧によって、第1流路252A、ベンチュリ管255A及び連結管256内の水は、連結管256及びベンチュリ管255Bを通して第2流路252Bに流れる。これにより、ベンチュリ管255Aに負圧が発生するため、第1流路252A内の水は、ベンチュリ管255Aに向けて流れる。この場合、逆止弁V2aにもベンチュリ管255Aに向けた圧力が作用することで、逆止弁V2aが開き、第1液剤収容部20A内の第1液剤が第1液剤取込流路254Aに吸い込まれ、第1流路252Aに向けて取り出される。このように第1液剤を吸い込む工程において、連結管256に設けられた流量計257で連結管257を流れている水量を計測し、計測値が、所定水量に達した場合、所望の第1液剤が吸い込まれたと判定する。上記所定水量は、上記充填工程で充填された水のうち、第1液剤収容部20Aから吸い込まれた第1液剤がベンチュリ管255Aに到達するまでに連結管257に流れる水の量である。これにより、第1液剤は連結管256には実質的に流れない一方、第1液剤取込流路254Aからベンチュリ管255Aまでが第1液剤で満たされる。この段階で、給水弁V1aを開く。これにより、通水工程の場合と同様にして、第1流路252A及び第2流路252Bに水が流れ、第1液剤取込流路254Aからベンチュリ管255Aまでの間に溜まっていた第1液剤が水(処理液)とともに内槽15に投入される(第1液剤投入工程)。
【0050】
第1液剤が投入された後に一定量の水を流し続けることで、第1流路252Aなどに残っていた第1液剤も押し流されて、水と一緒に内槽15に投入される。換言すれば、第1流路252Aなどにおいて通水工程と同様に水が流れる部分が洗浄される(洗浄工程)。ここでは、説明の便宜上、第1液剤投入工程と洗浄工程を分けて説明したが、第1液剤投入工程と洗浄工程は一つの工程でもよい。
【0051】
上記洗浄工程により、例えば、第1液剤を内槽15に投入した後に、第2液剤収容部20B内の液剤(第2液剤)を投入する場合に、第1液剤が処理液に混入することが防止される。上記洗浄工程は、第1液剤を内槽15に投入した後に第2液剤を投入する場合において、第2液剤に対しては上記通水工程に対応する。
【0052】
第1液剤収容部20A内の第1液剤を投入する場合を説明したが、第2液剤を投入する場合は、第1液剤投入工程の代わりに第2液剤投入工程を実施する。第2液剤投入工程は、給水弁V1aと給水弁V1bの開閉の状態が第1液剤投入工程の場合と逆であることによって伴う違いが生じる点以外は、第1液剤投入工程と同じである。
【0053】
上記液剤投入方法における供給機構25の制御は、洗濯機1を制御する制御部が実施してもよいし、供給機構25が供給機構25の各機器(給水弁V1a,V1b等)を制御するための制御部を有してもよい。
【0054】
次に、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを説明する。
図7は、第1液剤収容部20Aの斜視図である。
図8は、第2液剤収容部20Bの斜視図である。
【0055】
第1液剤収容部20Aと第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に装着された状態で左右対称な構成を有する。よって、以下、断らない限り、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを「液剤収容部20」と称して、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを説明する。これに伴い、第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bも「液剤取込流路254」と称す。
【0056】
図9は、カバー部材40が有する液剤注入口45がスライド蓋50で閉じられた状態の液剤収容部20の斜視図である。
図10は、
図9に示したカバー部材40が取り外された状態の液剤収容部20の斜視図である。
図11は、
図9に示したカバー部材40が取り外された状態の液剤収容部20の分解斜視図である。
図9~
図11は、液剤収容部20が第2液剤収容部20Bである場合の図面である。
【0057】
液剤収容部20は、液剤タンク(液剤容器)30、カバー部材40及びスライド蓋50を有する。
【0058】
液剤タンク30は、液剤を溜める容器である。液剤タンク30の上面(上部)は開放されている。
図10に示したように、液剤タンク30は、底壁31と、底壁31の周囲を囲むように設けられた前壁32、左側壁33、右側壁34及び後壁35を有する。前壁32、左側壁33、右側壁34及び後壁35は、底壁31の周縁部から湾曲部を介して垂直に立ち上がっていてもよい。液剤タンク30の材料の例は、樹脂である。上記樹脂の例は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどである。液剤タンク30が樹脂製タンクである場合、液剤タンク30は、たとえば、樹脂によって一体成型される。
【0059】
前壁32の外表面には正面扉36が取り付けられている。正面扉36には、例えば透明な部材で形成された液量窓361が備えられている。ユーザは、液量窓361を通じて、液剤タンク30に溜まっている液剤の量を確認することができる。
図10及び
図11に示した形態では、正面扉36における左寄りに、液量窓361が設けられている。
図10及び
図11は、液剤収容部20として第2液剤収容部20Bを図示していることから、第1液剤収容部20Aの場合、正面扉36における右寄りに、液量窓361が設けられている。
【0060】
液剤収容部20の形態としては、正面扉36を省略して、前壁32によって液剤収容部20の正面形状が形成されたものとしてもよい。
【0061】
液剤タンク30内には、
図10及び
図11に示したように、液剤案内部37と異物除去部38が設けられている。
【0062】
液剤案内部37は、液剤タンク30内の液剤を供給機構25に流すための液剤案内流路37aを有する。液剤案内流路37aは、液剤収容部20がハウジング26に装着された状態で液剤取込流路254(
図4参照)に連結される。これによって、液剤タンク30内の液剤を液剤取込流路254に流すことが可能である。
【0063】
異物除去部38は、液剤案内流路37aが異物を吸い込まないように異物を除去する部分である。異物の例は、糸屑、人毛などである。本実施形態では、異物除去部38は、液剤案内部37を囲むように底壁31に取り付けられている。
図10及び
図11に示した形態に基づいて異物除去部38の一例を説明する。
【0064】
異物除去部38は、扁平なフィルタ部381と、カバー部材382とを有する。フィルタ部381は、異物を除去する部分である。換言すれば、フィルタ部381は液剤をろ過する。カバー部材382は、フィルタ部381に一体に設けられている。カバー部材382は、液剤案内部37を覆う。カバー部材382の形状は、たとえば、
図10及び
図11に示したように、半円筒状である。異物除去部38は、カバー部材382で液剤案内部37を覆うように液剤案内部37に嵌められている。異物除去部38は、フィルタ部381が底壁31に取り付けられることによって液剤タンク30に固定されている。このような構成では、フィルタ部381によって異物が除去された液剤が、異物除去部38の内側に配置された液剤案内部37内の液剤案内流路37aを通して液剤取込流路254に吸い出される。
【0065】
次に、液剤収容部20が有するカバー部材40を説明する。
図12は、カバー部材40の斜視図である。
図13は、カバー部材40の平面図である。
図14は、
図13のXIV―XIVに沿ったカバー部材40の断面図である。
【0066】
カバー部材40は、液剤タンク30の上面(又は上部)を閉じるための部材である。カバー部材40は、液剤タンク30の上面に嵌められている。液剤タンク30の上面は隙間なくカバー部材40で覆われている。カバー部材40は、液剤タンク30と同様に樹脂成型品でよい。カバー部材40が樹脂成型品である場合、カバー部材40に用いられる樹脂の例は、液剤タンク30と同じである。
【0067】
カバー部材40は平板状を呈する。カバー部材40の平面視形状(Z方向からみた形状)の例は矩形又は正方形である。以下では断らない限り、カバー部材40の形状は矩形又は正方形である。カバー部材40の四辺には、下方へ突出する嵌め込み用の嵌合用突壁42が備えられている。嵌合用突壁42の外側面には、周方向に延びる凸条及び凹条が、上下方向に隣接して形成されていてもよい。嵌合用突壁42の外側面に周方向に延びる凸条及び凹条を形成することにより、カバー部材40を液剤タンク30の上部に嵌める際に嵌め易く、嵌合用突壁42と前壁32、左側壁33、右側壁34及び後壁35の上端部との嵌合性が向上する。
【0068】
カバー部材40には、嵌合用突壁42のうち前端部40F(又は前辺)に対応する部分からさらに下方へ突出する係止フック43が備えられていてもよい。係止フック43は、前端部40FのY方向における中央部に、所定の幅を有するように設けられている。カバー部材40には、その後端部40B(又は後辺)から後方へわずかに突出して下方へ延びる係止フック44が備えられていてもよい。カバー部材40が係止フック43を有する場合、前壁32には、係止フック43を受ける受け部が形成されていればよい。カバー部材40が係止フック44を有する場合、後壁35には、係止フック44を受ける受け部が形成されていればよい。
【0069】
カバー部材40には、前方寄りの位置に液剤注入口45が形成されている。液剤注入口45を介して、カバー部材40の上面から液剤タンク30内へ液剤を注ぎ入れることができる。液剤注入口45の平面視形状は四角形(矩形、正方形など)である。しかしながら、液剤注入口45の平面視形状は限定されず、円形でもよい。
図12及び
図13に示した形態では、液剤注入口45の平面視形状は略正方形である。液剤注入口45は、カバー部材40に取り付けられるスライド蓋50をX方向にスライドさせることによって開閉される。
【0070】
カバー部材40において、液剤注入口45の周囲には凹部46が形成されている。凹部46は、X方向に延在している。Y方向における凹部46の幅は、液剤注入口45の幅より広い。
【0071】
本実施形態において、液剤注入口45は凹部46の底面において前寄りに形成されている。凹部46の底面における液剤注入口45の周囲は上方に突出した枠部451で囲まれているとともに、下方へ突出する傾斜面部452によって囲われている。傾斜面部452は、前方、左方、右方及び後方を区画する4つの傾斜面部を含み、各傾斜面部は、液剤注入口45の中央に向かうように、凹部46から斜め下方に延びている。
【0072】
凹部46の左側面とカバー部材40の左縁部の間及び凹部46の右側面とカバー部材40の右縁部の間には、X方向に延びる凸条47が形成されていてよい。凸条47は、スライド蓋50の上面がカバー部材40の上面とほぼ面一になるように持ち上げるための部分である。凸条47は、液剤注入口45を開閉するためにスライド蓋50をX方向にスライドさせる場合に、スライド蓋50が枠部451と干渉しないようにスライド蓋50を持ち上げる機能も有する。
【0073】
凸条47は前端部に向けて厚さが薄くなるとともに、後端部に向けて厚さが薄くなっている。すなわち、凸条47を側面視した場合、凸条47は、台形を呈する。台形の上辺の両端の角部は丸められている。凸条47において上記台形の上辺に対応する部分のX方向の長さは、液剤注入口45の長さと実質的に同じであり、凸条47のX方向の長さは、液剤注入口45の長さより若干長い。
【0074】
凹部46のうち液剤注入口45より後方の部分は、液剤注入口45を開いた状態において、スライド蓋50を収容する収容凹部461である。収容凹部461は、スライド蓋50をスライドさせる場合に、スライド蓋50をガイドする機能も有する。収容凹部461の左側面及び右側面の上端部、換言すれば、凹部46を形成する左側面及び右側面の上端部のうち液剤注入口45より後方の部分には、X方向に延在するガイド片48が形成されていてもよい。ガイド片48は、スライド蓋50のスライドをガイドするとともに、スライド蓋50がカバー部材40から外れないようにスライド蓋50を規制する。
【0075】
図15~
図17を利用してスライド蓋50を説明する。
図15は、スライド蓋50の平面図である。
図16は、スライド蓋50を下面側からみた場合の平面図であり、スライド蓋50の底面図に対応する。
図17は、
図15のXVII-XVIIに沿ったスライド蓋50の断面図である。
【0076】
スライド蓋50の平面視形状は、液剤注入口45と同じ形状でよい。本実施形態では、スライド蓋50は、平面面視が略正方形状の平板状を呈する。スライド蓋50のY方向の長さは、液剤注入口45より長い一方、凹部46の長さより短い。スライド蓋50の上面には、液剤タンク30収容される液剤の種類を示す表記が設けられていてもよい。
図15では、第2液剤収容部20Bに対応した「柔軟剤」という表記が設けられている場合を例示している。
【0077】
スライド蓋50の上面には、X方向における中央寄りの位置に、上面から上方へ突出する被係止突部51が設けられている。被係止突部51は、Y方向に延びた凸条である。スライド蓋50の後端辺には、上方へ突出する後端突部52が設けられている。後端突部52は、Y方向に延びた凸条である。後端突部52の高さ(スライド蓋50の上面に対する高さ)は、被係止突部51の高さより低くてよい。
【0078】
スライド蓋50の後端辺には、下方へ突出する持上突部53が設けられている。持上突部53は、スライド蓋50の後端辺に沿ってY方向に延びている。持上突部53は、後述するように、スライド蓋50の前方部を収容凹部461内へ沈める際に、スライド蓋50の後端辺を持ち上げるように作用する。スライド蓋50がスライドし易いように持上突部53の下面は曲面でよい。
【0079】
スライド蓋50の下面には、液剤注入口45を閉じた際に枠部451上に位置する枠部54が形成されていてよい。枠部54は、スライド蓋50の下面から下方に突出している。枠部54は、枠部451及び凸条47とともに、液剤注入口45を閉じた際に、スライド蓋50の上面をカバー部材40の上面に揃えるための部分である。スライド蓋50の下面に対する枠部451のZ方向の長さは、持上突部53の長さより短くてよい。
【0080】
スライド蓋50の左側辺及び右側辺の下部には、下方に突出したガイド凸部55が設けられていてもよい。ガイド凸部55は、液剤注入口45を開閉するためにスライド蓋50がスライドする場合において、凸条47上をスライドする部分である。ガイド凸部55が凸条47上を滑らかに移動しやすいように、ガイド凸部55の下面は曲面でよい。スライド蓋50の下面に対するガイド凸部55のZ方向の長さは、持上突部53及び枠部451の長さより短くてよい。
【0081】
液剤注入口45のスライド蓋50による開閉は、ハウジング26に対して液剤収容部20をX方向にスライドさせる際に、天壁261によって、スライド蓋50の移動が規制されることによって実施される。よって、
図18~
図22を参照して、液剤注入口45のスライド蓋50による開閉に関与する天壁261の構造をまず説明する。
【0082】
図18は、液剤収容部20をハウジング26に装着した状態の模式図である。
図19は、液剤収容部20をハウジング26から引き出し始めた状態の模式図である。
図20は、液剤収容部20をハウジング26に対して予め定める位置まで引き出した状態の模式図である。
図21は、液剤収容部20をハウジング26に対して予め定める位置まで引き出した状態において、スライド蓋50の前方部が沈んだ状態を示す模式図である。
図22は、液剤収容部20をハウジング26に対して装着する際に、途中まで液剤収容部20を押し入れたときのスライド蓋の状態を示す模式図である。
図18~
図22では、図面を見やすくするために各部材において主要な線のみ図示している。
【0083】
ハウジング26の天壁261は、液剤収容部20がハウジング26に装着された状態において、液剤収容部20の上方に位置するとともに、液剤収容部20と対向している。天壁261の前方寄りの所定位置には係止突部27が設けられている。係止突部27は、下方へ突出している。係止突部27は、スライド蓋50の上面に突設された被係止突部51と接する部分である。
【0084】
ハウジング26の天壁261の前後方向の所定位置には蓋止突部28が設けられている。蓋止突部28は、下方へ突出している。蓋止突部28は、スライド蓋50に設けられた後端突部52と接する部分である。
【0085】
次に、
図18~
図22を参照して、液剤収容部20を供給機構25(具体的にはハウジング26)に対してスライド移動させることによって、液剤収容部20を供給機構25から引き出したり、液剤収容部20を供給機構25に押し入れたりする場合におけるスライド蓋50の動きの一例を説明する。以下では、カバー部材40及びスライド蓋50が
図12~
図17に示した構成を有し、天壁261も係止突部27及び蓋止突部28を有する場合に関して、上記スライド蓋50の動きの一例を説明する。
【0086】
液剤収容部20がハウジング26に装着された状態では、
図18に示すように、液剤収容部20は、供給機構25のハウジング26内を後方までスライド移動している。このように、液剤収容部20がハウジング26に装着されることによって、液剤収容部20における液剤案内流路37aは、液剤取込流路254に連結される。液剤収容部20が供給機構25に装着された状態では、液剤収容部20の液剤注入口45は、スライド蓋50によって閉じられている。
【0087】
液剤収容部20が前方へ引き出されることによって、液剤案内流路37aと液剤取込流路254の連結が解除される。液剤収容部20が前方へ一定量引き出されると、
図19に示すように、スライド蓋50の上面に設けられた被係止突部51がハウジング26内に形成された係止突部27に接する。
【0088】
係止突部27と被係止突部51が接した状態、つまり、係止突部27と被係止突部51が干渉した状態からさらに液剤収容部20が引き出されても、スライド蓋50は係止突部27によって移動が止められている。したがって、液剤収容部20の前方への引き出しに伴ってスライド蓋50は前方へ移動することができない。よって、液剤収容部20に対してスライド蓋50は、
図20に示したように、カバー部材40の凹部46内においてカバー部材40(又は液剤タンク30)に対して後方へスライド移動する。このようなスライド蓋50の後方への移動により、液剤注入口45が開口する。
【0089】
スライド蓋50が上記のように後方に移動する際、スライド蓋50に形成されたガイド凸部55が、カバー部材40に形成された凸条47上を移動する。これにより、スライド蓋50の前方が僅かに持ち上げられた状態で、スライド蓋50は後方にスライドする。よって、カバー部材40に形成された枠部451とスライド蓋50(例えば枠部54)との干渉を避けられるので、スライド蓋50がスムーズに後方にスライドされる。
【0090】
このように、液剤収容部20を供給機構25から水平方向に前方へ予め定める位置まで引き出すことに連動してスライド蓋50が後方へスライド移動することによって、液剤収容部20の液剤注入口45が開く。よって、液剤収容部20を引き出すという単作業によって、液剤収容部20への液剤の補充・追加が可能な状態となる。
【0091】
上記係止突部27及び蓋止突部28の位置またはそれらの間隔は、液剤注入口45の広さ、スライド蓋50の開閉のタイミング、液剤収容部20(具体的には液剤タンク30)のスライド量に応じて設定されている。
【0092】
図20及び
図21に示したように、液剤注入口45が開いた状態では、スライド蓋50は収容凹部461内に位置する。スライド蓋50の後端辺には、下方へ突出する持上突部53が設けられている。一方、スライド蓋50の前端辺には、持上突部53の長さ(下方に向けた長さ)以上の長さを有する部分はない。そのため、スライド蓋50が収容凹部461に収容(又は配置)された段階で、スライド蓋50は、前方部が後方部より低くなる。換言すれば、スライド蓋50は、前方部が収容凹部461へ沈むように傾斜する。これにより、係止突部27と被係止突部51との接触領域が低減する。換言すれば、係止突部27と被係止突部51との干渉の影響が低減する。したがって、
図21に示した状態から、液剤収容部20の前方部を少し下げて前方へ引き出することによって、係止突部27と被係止突部51との干渉を外して、液剤収容部20を完全に取り出すことができる。
【0093】
後端突部52の高さが被係止突部51の高さより低い場合、上記のように液剤収容部20をハウジング26から完全に引き出す際に、後端突部52が係止突部27に引っかかりにくい。そのため、液剤収容部20をハウジング26からスムーズに引き出し易い。後端突部52は、液剤収容部20をハウジング26から完全に分離するために液剤収容部20をスライド移動させた場合に、係止突部27と干渉しない高さを有していればよい。一方、蓋止突部28は、上記後端突部52と干渉可能に天壁261に形成されていればよい。
【0094】
ハウジング26から取り外した液剤収容部20をハウジング26に装着する場合は、液剤収容部20をハウジング26の前方から後方へ水平にスライド移動させる。この場合において、液剤収容部20のスライド蓋50は、閉じた状態であってもよいし、開いた状態であってもよい。スライド蓋50が開いた状態のままハウジング26に装着される際には、装着時にスライド蓋50が自動的に閉じる。この点を、
図22を利用して説明する。
【0095】
ハウジング26の天壁261のX方向の所定位置には下方へ突出する蓋止突部28が設けられている。スライド蓋50の後端には、上方へ突出する後端突部52が設けられている。よって、液剤収容部20を後方へスライド移動させてハウジング26に装着すると、後端突部52が蓋止突部28に当たる。よって、スライド蓋50はそれ以上後方へスライドすることができず、液剤タンク30とそれに取り付けられたカバー部材40が後方へスライドする。換言すれば、カバー部材40に対してスライド蓋50が相対的に前方にスライドする。そのため、液剤収容部20の装着時には、スライド蓋50によって液剤注入口45は閉じられる。
【0096】
カバー部材40に対してスライド蓋50が相対的に前方にスライドする際、スライド蓋50に形成されたガイド凸部55が、カバー部材40に形成された凸条47上を移動する。これにより、スライド蓋50の前方が僅かに持ち上げられた状態で、スライド蓋50はカバー部材40に対して相対的に前方にスライドする。よって、カバー部材40に形成された枠部451とスライド蓋50(例えば枠部54)との干渉を避けられるので、スライド蓋50がスムーズにスライドされる。
【0097】
洗濯機1及び液剤投入装置2では、液剤収容部20が供給機構25に装着された状態から液剤収容部20を水平方向において前方にスライドさせた場合、スライド蓋50がカバー部材40に対して後方に移動可能である。これによって、液剤注入口45が開かれるので、液剤収容部20が有する液剤タンク30に液剤を補充できる。液剤収容部20を供給機構25に対して単に前方に引き出すという動作によって、液剤注入口45が開かれるので、液剤を容易に液剤タンク30に補充できる。
【0098】
以上、本発明の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、例示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される範囲が含まれることが意図されるとともに、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0099】
カバー部材、スライド蓋及び供給機構において、スライド蓋による液剤注入口の開閉に関する構成は、液剤収容部が供給機構からの引き出されることに連動して、スライド蓋がカバー部材に対して後方へスライド移動して液剤注入口が開くように構成されていれば、例示した種々の具体的な構成に限定されない。
【0100】
供給機構において、液剤収容部から液剤を取り出すために負圧ユニットの代わりに吸引ポンプを利用してもよい。流路切替ユニットの構成も例示したように、逆止弁を利用したものに限定されない。
【0101】
本発明は、上記液剤を収容する液剤収容部と、上記液剤収容部に収容された上記液剤を吸い出すとともに、上記液剤を上記洗濯槽に供給する供給機構と、を有し、上記液剤収容部は、上面が開放されているとともに、上記液剤を溜める液剤容器と、上記液剤容器の上記上面を覆うカバー部材であって、上記カバー部材を通して上記液剤を上記液剤容器に注入するための液剤注入口が前寄りに形成されている上記カバー部材と、上記カバー部材の上面に沿って前後方向へスライド移動可能に上記カバー部材に設けられたスライド蓋と、を有し、上記液剤収容部は、上記供給機構に対して前後方向にスライド可能であり、上記液剤収容部は、上記供給機構に対して後方にスライドされることによって上記供給機構に装着されるとともに、上記供給機構に対して前方にスライドされることによって上記供給機構から引き出され、上記液剤収容部が上記供給機構から引き出されることに連動して、上記スライド蓋が上記カバー部材に対して後方へスライド移動することによって上記液剤注入口が開く、液剤投入装置に係るものでもよい。
【0102】
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…洗濯機、2…液剤投入装置、15…内槽(洗濯槽)、20…液剤収容部、20A…第1液剤収容部(液剤収容部)、20B…第2液剤収容部(液剤収容部)、25…供給機構、27…係止突部、28…蓋止突部、30…液剤タンク(液剤容器)、40…カバー部材、45…液剤注入口、50…スライド蓋、51…被係止突部、52…後端突部、261…天壁、461…収容凹部(凹部)。