(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152132
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】洗濯機及び液剤収容部
(51)【国際特許分類】
D06F 39/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
D06F39/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066127
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】今西 佑太
(72)【発明者】
【氏名】松田 喜彦
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA11
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA52
3B166BA82
3B166CA01
3B166CA02
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166DC43
3B166DC45
3B166FA01
3B166FA06
3B166FB01
3B166FB02
3B166FB05
3B166FB09
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166HA01
3B166HA11
3B166HA31
(57)【要約】
【課題】液剤容器から液剤を吸い出す際に空気が混入することを抑制可能な洗濯機及び液剤収容部を提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る洗濯機は、洗濯槽及び液剤投入装置を備え、液剤投入装置は、液剤収容部と、液剤を洗濯槽に供給する供給機構を有し、液剤収容部は、液剤を溜める液剤容器と、液剤容器の底壁に取り付けられるとともに異物を除去するための異物除去部と、異物除去部によって異物が除去された液剤を供給機構に流すための液剤案内流路を含む液剤案内部とを有し、異物除去部は本体部を有し、本体部は、容器の底壁に対向配置されているとともに、異物を除去するめの第1フィルタ部と、底壁に接するとともに、第1フィルタ部を前記底壁に対して隙間を空けて支持する支持部とを有し、本体部は扁平形状を呈し、液剤案内流路の吸入口は、第1フィルタ部、支持部及び底壁によって形成される空間に繋がっている。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽と、
液剤を前記洗濯槽に供給するための液剤投入装置と、
を備え、
前記液剤投入装置は、
前記液剤を収容する液剤収容部と、
前記液剤収容部に収容された前記液剤を吸い出すとともに、前記液剤を前記洗濯槽に供給する供給機構と、
を有し、
前記液剤収容部は、
前記液剤を溜める液剤容器と、
前記液剤容器の底壁に取り付けられるとともに、異物を除去するための異物除去部と、
前記異物除去部によって前記異物が除去された前記液剤を前記供給機構に流すための液剤案内流路を含む液剤案内部と、
を有し、
前記異物除去部は本体部を有し、
前記本体部は、
前記容器の底壁に対向配置されているとともに、前記異物を除去するめの第1フィルタ部と、
前記底壁に接するとともに、前記第1フィルタ部を前記底壁に対して隙間を空けて支持する支持部と、
を有し、
前記本体部は扁平形状を呈し、
前記液剤案内流路の吸入口は、前記第1フィルタ部、前記支持部及び前記底壁によって形成される空間に繋がっている、
洗濯機。
【請求項2】
前記第1フィルタ部は、前記吸入口の周囲の少なくとも一部を囲っている、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記支持部は、前記異物を除去するための第2フィルタ部を有する、
請求項1に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記異物除去部は、前記液剤案内部を覆うカバーを備える、
請求項1~3の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記カバーは、上部が湾曲した半円筒状を呈する、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記カバーと前記本体部の接続部には、除去すべき前記異物より小さい複数の孔が形成されている、
請求項4に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記底壁における前記異物除去部の取付領域は、前記底壁の前記取付領域以外の領域より低い、
請求項1~3の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記液剤案内部には、前記液剤収容部が前記供給機構に連結されていない状態において、前記液剤案内部から外部への前記液剤の流れを防止する逆止弁が設けられている、
請求項1~3の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記第1フィルタ部、前記支持部及び前記底壁によって形成される空間が扁平な空間である、
請求項1~3の何れか一項に記載の洗濯機。
【請求項10】
液剤を洗濯槽に供給するための液剤投入装置に取り付けられる液剤収容部であって、
前記液剤を溜める液剤容器と、
前記液剤容器の底壁に取り付けられるとともに、異物を除去するための異物除去部と、
前記異物除去部によって前記異物が除去された前記液剤を、前記液剤投入装置が備えており前記液剤を前記洗濯槽に供給する供給機構に流すための液剤案内流路を含む液剤案内部と、
を有し、
前記異物除去部は本体部を有し、
前記本体部は、
前記容器の底壁に対向配置されているとともに、前記異物を除去するめの第1フィルタ部と、
前記底壁に接するとともに、前記第1フィルタ部を前記底壁に対して隙間を空けて支持する支持部と、
を有し、
前記本体部は扁平形状を呈し、
前記液剤案内流路の吸入口は、前記第1フィルタ部、前記支持部及び前記底壁によって形成される空間に繋がっている、
液剤収容部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、液剤自動投入装置を備えた洗濯機が知られている。特許文献1に開示された液剤自動投入装置は、液剤タンクに溜められた液剤を吸引し、給水路に供給する。これによって、洗濯槽に液剤が投入される。液剤自動投入装置において、液剤タンクから液剤を吸引する際、液剤タンク内の異物の吸引を防止するため、特許文献1に記載の技術では、異物を除去するためのフィルタが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたフィルタは、側面視において逆L字状のフィルタである。この場合、フィルタと吸入口との間に空間が広い。このため、粘性の高い液剤を用いた場合等に、液剤がフィルタを通過して上記空間に溜まるよりも先に吸入口から上記空間内の空気を吸い込み、いわゆるエア噛みを生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、液剤容器から液剤を吸い出す際に空気が混入することを抑制可能な洗濯機及び液剤収容部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係る洗濯機は、洗濯槽と、液剤を上記洗濯槽に供給するための液剤投入装置と、を備え、上記液剤投入装置は、上記液剤を収容する液剤収容部と、上記液剤収容部に収容された上記液剤を吸い出すとともに、上記液剤を上記洗濯槽に供給する供給機構と、を有し、上記液剤収容部は、上記液剤を溜める液剤容器と、上記液剤容器の底壁に取り付けられるとともに、異物を除去するための異物除去部と、上記異物除去部によって上記異物が除去された上記液剤を上記供給機構に流すための液剤案内流路を含む液剤案内部と、を有し、上記異物除去部は本体部を有し、上記本体部は、上記容器の底壁に対向配置されているとともに、上記異物を除去するめの第1フィルタ部と、上記底壁に接するとともに、上記第1フィルタ部を上記底壁に対して隙間を空けて支持する支持部と、を有し、上記本体部は扁平形状を呈し、上記液剤案内流路の吸入口は、上記第1フィルタ部、上記支持部及び上記底壁によって形成される空間に繋がっている。
【0007】
上記[1]に記載の洗濯機では、異物除去部は底壁に取り付けられている。異物除去部が有する本体部は扁平である。そのため、本体部が有する上記第1フィルタ部は、底壁近傍において底壁に対向配置されている。更に、本体部が扁平であることから、上記空間も扁平な空間として形成され易い。上記液剤案内流路の吸入口は、上記空間に繋がっているので、吸入口も底壁近傍に配置されている。このように第1フィルタ部及び吸入口が底壁近傍に配置されていることから、上記洗濯機では、上記空間内の液剤(異物が除去された液剤)を吸入口から吸い込む場合に、空気が混入することが抑制できている。
【0008】
[2]上記[1]に記載の洗濯機において、上記第1フィルタ部は、上記吸入口の周囲の少なくとも一部を囲っていてもよい。この場合、第1フィルタ部が吸入口のより近傍に配置される。そのため、第1フィルタ部と吸入口との間に空気が溜まる領域が生じにくいので、吸入口に空気が吸い込まれにくい。
【0009】
[3]上記[1]又は[2]に記載の洗濯機において、上記支持部は、上記異物を除去するための第2フィルタ部を有してもよい。この構成では、第1フィルタ部とともに、第2フィルタ部を通って、異物が除去された液剤が上記空間に流入する。この場合、上記空間への液剤の流入量を確保し易いので、安定して所望量の液剤を洗濯槽に供給し易い。
【0010】
[4]上記[1]~[3]の何れかに記載の洗濯機において、上記異物除去部は、上記液剤案内部を覆うカバーを備えてもよい。この場合、液剤案内部への異物の付着等がカバーによって防止されている。そのため、液剤案内部に付着した異物を除去する等のメンテナンスの手間を低減できる。
【0011】
[5]上記[4]の洗濯機において、上記カバーは、上部が湾曲した半円筒状を呈してもよい。この場合、カバーの外表面をより滑らかに形成でし易いので、カバーの外表面への空気の付着を防止できる。したがって、液剤容器内に溜められた液剤内に空気が存在しにくいので、吸入口から空気が液剤と一緒に吸い込まれることが一層抑制されている。
【0012】
[6]上記[4]又は[5]に記載の洗濯機において、上記カバーと上記本体部の接続部には、除去すべき上記異物より小さい複数の孔が形成されていてもよい。この複数の孔によって、カバーの内側の空気を排出可能である。更に、孔の大きさが、除去すべき上記異物の大きさより小さいことから、複数の孔は異物除去フィルタとしても機能する。
【0013】
[7]上記[1]~[6]の何れかに記載の洗濯機において、上記底壁における上記異物除去部の取付領域は、上記底壁の上記取付領域以外の領域より低くてもよい。この場合、液剤は異物除去部側に流れてくるため、低水位でも安定して液剤を吸い出すことができる。
【0014】
[8]上記[1]~[7]の何れかの洗濯機において、上記液剤案内部には、上記液剤収容部が上記供給機構に連結されていない状態において、上記液剤案内部から外部への上記液剤の流れを防止する逆止弁が設けられていてもよい。この場合、上記収容部が上記供給機構に連結されていない状態において、液剤容器から液剤案内部を通して液剤が外部に漏れ出ることが防止できている。
【0015】
[9]上記[1]~[7]の何れかの洗濯機において、上記第1フィルタ部、上記支持部及び上記底壁によって形成される空間が扁平な空間でよい。
【0016】
[10]本発明の他の側面に係る液剤収容部は、液剤を洗濯槽に供給するための液剤投入装置に取り付けられる液剤収容部であって、上記液剤を溜める液剤容器と、上記液剤容器の底壁に取り付けられるとともに、異物を除去するための異物除去部と、上記異物除去部によって上記異物が除去された上記液剤を、上記液剤投入装置が備えており上記液剤を上記洗濯槽に供給する供給機構に流すための液剤案内流路を含む液剤案内部と、を有し、上記異物除去部は本体部を有し、上記本体部は、上記容器の底壁に対向配置されているとともに、上記異物を除去するめの第1フィルタ部と、上記底壁に接するとともに、上記第1フィルタ部を上記底壁に対して隙間を空けて支持する支持部と、を有し、上記本体部は扁平形状を呈し、上記液剤案内流路の吸入口は、上記第1フィルタ部、上記支持部及び上記底壁によって形成される空間に繋がっている。
【0017】
上記[10]に記載の液剤収容部では、異物除去部は底壁に取り付けられている。異物除去部が有する本体部は扁平である。そのため、本体部が有する上記第1フィルタ部は、底壁近傍において底壁に対向配置されている。更に、本体部が扁平であることから、上記空間も扁平な空間として形成され易い。上記液剤案内流路の吸入口は、上記空間に繋がっているので、吸入口も底壁近傍に配置されている。このように第1フィルタ部及び吸入口が底壁近傍に配置されていることから、上記液剤収容部では、上記空間内の液剤(異物が除去された液剤)を吸入口から吸い込む場合に、空気が混入することが抑制できている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、液剤容器から液剤を吸い出す際に空気が混入することを抑制可能な洗濯機及び液剤収容部を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗濯機の側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示した洗濯機において、液剤収容部を供給機構から引き出した状態を示した図面である。
【
図4】
図4は、供給機構の概略構成を示す図面である。
【
図5】
図5は、供給機構によって処理液を洗濯槽に供給する場合における一工程の例を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した工程の後工程の例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、第1液剤収容部(液剤収容部)の斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示したカバーが取り外された状態の第1液剤収容部(液剤収容部)の斜視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示したカバーが取り外された状態の第1液剤収容部(液剤収容部)の分解斜視図である。
【
図10】
図10は、第2液剤収容部(液剤収容部)の斜視図である。
【
図11】
図11は、
図10に示したカバーが取り外された状態の第2液剤収容部(液剤収容部)の分解斜視図である。
【
図12】
図12は、
図8におけるXII-XII線に沿った断面構成の模式図である。
【
図13】
図13は、
図8におけるXIII-XIIII線に沿った断面構成の模式図である。
【
図16】
図16は、異物除去部を下側からみた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0021】
図1は、一実施形態に係る洗濯機の側面図である。
図2は、
図1に示した洗濯機の斜視図である。以下では、
図1に示した互いに直交するX方向、Y方向及びZ方向を洗濯機1の説明に使用する場合もある。X方向、Y方向及びZ方向は、
図1に示した洗濯機1の設置状態における前後方向、左右方向及び高さ方向(又は上下方向若しくは鉛直方向)に対応する。以下の説明では、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を示す用語は、
図1及び
図2に示した洗濯機1の設置状態に基づいた用語である。
【0022】
洗濯機1の概略構成を説明する。
図1及び
図2に示した洗濯機1は縦型洗濯機である。洗濯機1は筐体10を備える。筐体10は、洗濯機1の外郭を構成する。筐体10は例えば金属製である。筐体10は、上面及び下面が開放された中空の胴体部101を有する。胴体部101の上面は上面板102で覆われており、胴体部101の下面には脚台103が取り付けられている。Z方向からみた場合において、胴体部101の形状は方形(矩形又は正方形)である。
【0023】
上面板102には、洗濯物の投入口が形成されている。投入口は、上蓋12によって覆われている。上蓋12は、上面板102に開閉自在に取り付けられている。上面板102の前部には、操作パネル部13が設けられている。操作パネル部13には、洗濯機1を操作するための複数のボタンなどが配置されている。操作パネル部13は、洗濯機1が備えており洗濯機1を制御する制御部に電気的に接続されている。制御部は、操作パネル部13によって入力されるユーザの指示に応じて洗濯機1を制御する。
【0024】
図1に示したように、筐体10内には、外槽14及び内槽(洗濯槽)15が収容されている。
【0025】
外槽14は有底円筒状を呈する。外槽14は例えば樹脂製の槽である。外槽14は、防振装置を有する複数(例えば4本)の吊棒によって筐体10から弾性的に吊り下げられている。外槽14は、筐体10内に設けられた排水路を通して外槽14内の処理液を排出可能に構成されている。本明細書において、「処理液」は、洗濯物の洗い工程及びすすぎ工程等の各工程に応じた液体を意味する。したがって、洗い工程では、処理液は洗剤を含む液体でよいし、すすぎ工程では、処理液は水でよい。
【0026】
内槽15は有底円筒状を呈する。内槽15は、外槽14より小さく、外槽14の内側に外槽14と同軸で配置されている。内槽15は、Z方向に延びる回転軸を中心に回転可能に外槽14の内側に配置されている。内槽15は例えば金属製の槽である。内槽15は、内槽15内に投入された洗濯物を洗濯又は脱水するための槽である。内槽15の内周面には複数の貫通孔が形成されている。これによって、外槽14と内槽15との間で洗濯液が行き来できる。内槽15の底部には、回転翼(パルセータ)16が回転可能に配置されている。
【0027】
上記内槽15及び回転翼16を回転駆動するために、筐体10内には駆動ユニット17も収容されている。駆動ユニット17は外槽14の下部に配置されている。駆動ユニット17は、内槽15及び回転翼16を駆動する動力(トルク)を発生させる。駆動ユニット17は、上記動力によって、内槽15及び回転翼16を回転させる。例えば、駆動ユニット17は、洗い工程及びすすぎ工程では、上記動力を回転翼16のみに伝達して回転翼16のみを回転させ、脱水工程では、上記動力を回転翼16及び内槽15に伝達して回転翼16及び内槽15を一体的に回転させる。
【0028】
洗濯機1は、内槽15に液剤を投入するための液剤投入装置2を備える。
【0029】
液剤投入装置2は、
図2に示したように上蓋12が開いた状態において液剤投入装置2の正面部が露出するように、筐体10内の後方上部に組み込まれている。液剤投入装置2は、内槽15に向けて液剤を投入するための投入口が内槽15上に位置するように配置されている。これにより、上記投入口から液剤を内槽15に投入可能である。液剤投入装置2は、第1液剤収容部20A、第2液剤収容部20B及び供給機構25を備える。
【0030】
第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは液剤を収容する。液剤の例は、液体洗剤、柔軟剤等である。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、異なる液剤を収容する。本実施形態では、第1液剤収容部20Aが収容する液剤は液体洗剤であり、第2液剤収容部20Bが収容する液剤は柔軟剤である。
【0031】
第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、供給機構25が有するハウジング(筐体)26に収容されている。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に対してスライド可能である。換言すれば、ハウジング26は、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bをスライド可能に収容する収容部(又は収容空間)を有する。
【0032】
図3に示したように、第2液剤収容部20Bをハウジング26から引き出すことによって、第2液剤収容部20Bに液剤を補充できる。
図3は、
図2に示した洗濯機において、第2液剤収容部20Bを供給機構25から引き出した状態を示した図面である。
図3では、第2液剤収容部20Bを引き出した状態を例示しているが、第1液剤収容部20Aに液剤を補充するために第1液剤収容部20Aもハウジング26から引き出せる。
【0033】
更に、液剤投入装置2では、ハウジング26から第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを取り外すことも可能である。すなわち、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に着脱自在に取り付けられている。
【0034】
図4を利用して、液剤投入装置2が備える供給機構25を説明する。
図4は、供給機構25の概略構成を示す図面である。
図4は、供給機構25内における処理液(水又は液剤を含む水)の流路に着目した図面であり、供給機構25の配管図に対応する。
図4では、ハウジング26の図示は省略している一方、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを図示している。
【0035】
供給機構25は、給水流路251、第1流路252A、第2流路252B、流路切替ユニットU1、液剤投入流路253及び負圧ユニットU2を備える。各流路は、ハウジング26に取り付けられた配管などのように液体を流すことが可能な部材又はハウジング26において液体を流すことが可能な領域によって構成されている。
【0036】
給水流路251の一端は、供給機構25(又は液剤投入装置2)に水を取り込む給水口251aである。給水口251aは、水道栓にホースなどを介して接続される。
【0037】
第1流路252A及び第2流路252Bの一端は、給水流路251に接続されている。第1流路252A及び第2流路252Bは、給水流路251から分岐した流路でよい。第1流路252Aおよび第2流路252Bには、給水弁V1a及び給水弁V1bが設けられている。給水弁V1a及び給水弁V1bは電磁弁でよい。給水弁V1a,V1bは、例えば、洗濯機1を制御する制御部によって制御される。
【0038】
第1流路252Aには、第1液剤取込流路254Aが接続されている。ハウジング26に第1液剤収容部20Aが装着された場合、第1液剤収容部20Aは、第1液剤収容部20Aから液剤を取り出せるように第1液剤取込流路254Aに連結される。これによって、ハウジング26に第1液剤収容部20Aが収容された状態では、第1液剤収容部20Aは、第1液剤取込流路254Aを介して第1流路252Aに接続される。
【0039】
第1液剤取込流路254Aには、第1液剤収容部20Aへの第1流路252A内の水などの処理液の逆流の防止、第1液剤収容部20Aが取りはずされた場合に、第1流路252A内の処理液の漏出の防止などのために、逆止弁V2aが設けられている。
【0040】
第2流路252Bには、第2液剤取込流路254Bが接続されている。ハウジング26に第2液剤収容部20Bが装着された場合、第2液剤収容部20Bは、第2液剤収容部20Bから液剤を取り出せるように第2液剤取込流路254Bに連結される。これによって、ハウジング26に第2液剤収容部20Bが収容された状態では、第2液剤収容部20Bは、第2液剤取込流路254Bを介して第2流路252Bに接続される。
【0041】
第2液剤取込流路254Bには、第2液剤収容部20Bへの第2流路252B内の水などの処理液の逆流の防止、第2液剤収容部20Bが取りはずされた場合に、第2流路252B内の処理液の漏出の防止などのために、第2液剤取込流路254Bには逆止弁V2bが設けられている。
【0042】
第1流路252A及び第2流路252Bは、流路切替ユニットU1を介して液剤投入流路253に接続されている。液剤投入流路253は、第1流路252A及び第2流路252Bの少なくとも一方から流れてきた処理液を内槽15に投入するための流路である。液剤投入流路253のうち第1流路252A及び第2流路252Bと反対の端は、内槽15に処理液を投入するための投入口253aである。
【0043】
流路切替ユニットU1は、液剤投入流路253に、第1流路252Aから処理液を流す場合、第2流路252Bから処理液を流す場合及び第1流路252A及び第2流路252Bの両方から処理液を流す場合を切り換えるための部分である。
【0044】
図4に示したように流路切替ユニットU1の一例は、第1流路252Aに設けられた逆止弁V3aと、第2流路252Bに設けられた逆止弁V3bを有する。逆止弁V3aは、第1流路252A内の処理液の圧力が一定以上の場合、第1流路252Aから液剤投入流路253に処理液を流すように第1流路252Aに配置されている。逆止弁V3bは、第2流路252B内の処理液の圧力が一定以上の場合、第2流路252Bから液剤投入流路253に処理液を流すように第2流路252Bに配置されている。
【0045】
負圧ユニットU2は、第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bを通して第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bから液剤を取り出すための負圧を発生させるユニットである。
【0046】
図4に示したように負圧ユニットU2の一例は、第1流路252Aに設けられたベンチュリ管255Aと、第2流路252Bに設けられたベンチュリ管255Bと、ベンチュリ管255A及びベンチュリ管255Bを繋ぐ連結管256とを有する。連結管256は、ベンチュリ管255A及びベンチュリ管255Bにおける縮小部(流路に直交する断面積が小さくなっている部分)同士を接続している。
【0047】
ベンチュリ管255Aは、第1流路252Aにおいて、第1液剤取込流路254Aと第1流路252Aの接続部と、給水弁V1aとの間に配置されている。ベンチュリ管255Bは、第2流路252Bにおいて、第2液剤取込流路254Bと第2流路252Bの接続部と、給水弁V1bとの間に配置されている。連結管256には、流量計257が設けられている。流量計257の結果は、洗濯機1を制御する制御部によって解析されてよい。
【0048】
ここで、第1液剤収容部20A内の液剤を内槽15に投入する場合を例にして、上記構成の液剤投入装置2を用いた液剤投入方法を説明する。第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bはハウジング26に設置されており、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bが第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bに連結されている状態及び給水口251aが水道栓に繋がれている状態に基づいて、上記液剤投入方法を説明する。説明の便宜のため、第1液剤収容部20Aに収容されている液剤を「第1液剤」と称し、第2液剤収容部20Bに収容されている液剤を「第2液剤」と称す。
【0049】
まず、給水弁V1a,V1bを開く。これにより、
図5に示したように、第1流路252A及び第2流路252Bに水(処理液)が流入する。この際、第1流路252A及び第2流路252B内の圧力(水圧)が実質的に同じであるように、給水弁V1a,V1bを開く。第1流路252A及び第2流路252Bに流れる水の圧力によって、逆止弁V3a,V3bが開く。これによって、第1流路252A及び第2流路252Bの両方から液剤投入流路253に水が流れ、内槽15に水が供給される(通水工程)。
図5は、通水工程における水の流れを示す模式図である。
図5では水の流れを矢印で模式的に示している。
【0050】
上記通水工程では、ベンチュリ管255A,255B内の圧力は同じである。上記通水工程では、連結管256にも水が流入する。したがって、ベンチュリ管255A,255B及び連結管256内も水で満たされる。通水工程では、逆止弁V2a,V2bは閉じた状態が維持されている。よって、水は、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bには流入しない。
【0051】
上記のようにして内槽15に一定量の水を供給した後、給水弁V1a,V1bを閉じる。これにより、第1流路252A、第2流路252B、ベンチュリ管255A,255B及び連結管256内に水が充填された状態が維持される(充填工程)。
【0052】
その後、給水弁V1bのみを開く。これにより、
図6に示したように、第2流路252Bへ給水口251aから水が流入する一方、第1流路252Aへ給水口251aの水は流入しない。その結果、給水弁V1bから液剤投入流路253に向けた処理液の流れが生じる。
図6は、第1液剤投入工程における処理液の流れを示す模式図である。
図6では処理液の流れを矢印で模式的に示している。この場合、第2流路252Bに設けられたベンチュリ管255B内に生じる負圧によって、第1流路252A、ベンチュリ管255A及び連結管256内の水は、連結管256及びベンチュリ管255Bを通して第2流路252Bに流れる。これにより、ベンチュリ管255Aに負圧が発生するため、第1流路252A内の水は、ベンチュリ管255Aに向けて流れる。この場合、逆止弁V2aにもベンチュリ管255Aに向けた圧力が作用することで、逆止弁V2aが開き、第1液剤収容部20A内の第1液剤が第1液剤取込流路254Aに吸い込まれ、第1流路252Aに向けて取り出される。このように第1液剤を吸い込む工程において、連結管256に設けられた流量計257で連結管257を流れている水量を計測し、計測値が、所定水量に達した場合、所望の第1液剤が吸い込まれたと判定する。上記所定水量は、上記充填工程で充填された水のうち、第1液剤収容部20Aから吸い込まれた第1液剤がベンチュリ管255Aに到達するまでに連結管257に流れる水の量である。これにより、第1液剤は連結管256には実質的に流れない一方、第1液剤取込流路254Aからベンチュリ管255Aまでが第1液剤で満たされる。この段階で、給水弁V1aを開く。これにより、通水工程の場合と同様にして、第1流路252A及び第2流路252Bに水が流れ、第1液剤取込流路254Aからベンチュリ管255Aまでの間に溜まっていた第1液剤が水(処理液)とともに内槽15に投入される(第1液剤投入工程)。
【0053】
第1液剤が投入された後に一定量の水を流し続けることで、第1流路252Aなどに残っていた第1液剤も押し流されて、水と一緒に内槽15に投入される。換言すれば、第1流路252Aなどにおいて通水工程と同様に水が流れる部分が洗浄される(洗浄工程)。ここでは、説明の便宜上、第1液剤投入工程と洗浄工程を分けて説明したが、第1液剤投入工程と洗浄工程は一つの工程でもよい。
【0054】
上記洗浄工程により、例えば、第1液剤を内槽15に投入した後に、第2液剤収容部20B内の液剤(第2液剤)を投入する場合に、第1液剤が処理液に混入することが防止される。上記洗浄工程は、第1液剤を内槽15に投入した後に第2液剤を投入する場合において、第2液剤に対しては上記通水工程に対応する。
【0055】
第1液剤収容部20A内の第1液剤を投入する場合を説明したが、第2液剤を投入する場合は、第1液剤投入工程の代わりに第2液剤投入工程を実施する。第2液剤投入工程は、給水弁V1aと給水弁V1bの開閉の状態が第1液剤投入工程の場合と逆であることによって伴う違いが生じる点以外は、第1液剤投入工程と同じである。
【0056】
上記液剤投入方法における供給機構25の制御は、洗濯機1を制御する制御部が実施してもよいし、供給機構25が供給機構25の各機器(給水弁V1a,V1b等)を制御するための制御部を有してもよい。
【0057】
次に、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを詳細に説明する。第1液剤収容部20Aと第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に装着された状態で左右対称な構成を有する。
【0058】
図7は、第1液剤収容部20Aの斜視図である。
図8は、
図7に示したカバー22が取り外された状態の第1液剤収容部20Aの斜視図である。
図9は、
図7に示したカバー22が取り外された状態の第1液剤収容部20Aの分解斜視図である。
図10は、第2液剤収容部20Bの斜視図である。
図11は、
図10に示したカバー22が取り外された状態の第2液剤収容部20Bの分解斜視図である。
【0059】
第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bそれぞれは、液剤タンク(液剤容器)21、カバー22、液剤案内部30及び異物除去部40を有する。
【0060】
図8、
図9及び
図11に示したように、液剤タンク21は、底壁211と、底壁211の周囲を囲むように設けられた前壁212、左側壁213、右側壁214及び後壁215を有する。前壁212、左側壁213、右側壁214及び後壁215は、底壁211の周縁部から湾曲部を介して垂直に立ち上がっていてもよい。液剤タンク21の材料の例は、樹脂である。上記樹脂の例は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどである。液剤タンク21が樹脂製タンクである場合、液剤タンク21は、例えば、樹脂によって一体成型される。
【0061】
上記構成の液剤タンク21は、上面が開放された箱状を呈する。
図7及び
図10に示したように、液剤タンク21の上面はカバー22で閉じられている。本実施形態において、カバー22は、液剤タンク21に着脱自在である。カバー22のうち前壁212寄りには、液剤を液剤タンク21に投入するための液剤注入口が形成されている。液剤注入口は蓋221で塞がれている。蓋221は、液剤注入口を開閉自在にカバー22に取り付けられている。ユーザは、蓋221を開けることによって液剤を液剤タンク21に投入できる。
【0062】
前壁212の外表面には正面扉23が取り付けられている。正面扉23には、例えば透明な部材で形成された液量窓231が備えられている。ユーザは、液量窓231を通じて、液剤タンク21に溜まっている液剤の量を確認することができる。
図7に示された第1液剤収容部20Aでは、正面扉23における左寄りに、液量窓231が設けられている。
図10に示された第2液剤収容部20Bでは、正面扉23における右寄りに、液量窓231が設けられている。
【0063】
第1液剤収容部20Aの形態としては、正面扉23を省略して、前壁212によって第1液剤収容部20Aの正面形状が形成されたものとしてもよい。第2液剤収容部20Bの形態としては、正面扉23を省略して、前壁212によって第2液剤収容部20Bの正面形状が形成されたものとしてもよい。
【0064】
次に、第1液剤収容部20Aと第2液剤収容部20Bが備える液剤案内部30及び異物除去部40を、
図9とともに、
図12~
図16を利用して説明する。
図12は、
図8に示したカバーが外された状態の第1液剤収容部のXII-XII線に沿った断面構成の模式図である。
図13は、
図8に示したカバーが外された状態の第1液剤収容部のXIII-XIIII線に沿った断面構成の模式図である。
図14は、異物除去部40の斜視図である。
図15は、異物除去部40の平面図であり、異物除去部40を上側からみた場合の図面である。
図16、異物除去部40を下側(底壁211側)からみた場合の斜視図である。
図16では液剤案内部30と異物除去部40との配置関係を示すため、液剤案内部30が有する吸込部34を図示している。
【0065】
前述したように、第1液剤収容部20Aと第2液剤収容部20Bは、ハウジング26に装着された状態で左右対称な構成を有する。以下、断らない限り、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを「液剤収容部20」と称して、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを説明する。これに伴い、第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bも「液剤取込流路254」と称す。
図12~
図16は、液剤収容部20が第2液剤収容部20Bである場合の図面である。
【0066】
[液剤案内部]
液剤案内部30は、
図12に示したように、液剤タンク21に溜められた液剤を供給機構25に流すための液剤案内流路300を有する。液剤案内流路300は、連結口300aと吸入口300bを有する。液剤案内部30を構成する樹脂の例は、上記液剤タンク21の説明において例示した樹脂でよい。
【0067】
連結口300aは後壁215側に位置する。連結口300aは、液剤収容部20が、ハウジング26に装着された状態で液剤取込流路254(
図4参照)に連結される。これによって、液剤タンク21内の液剤を液剤取込流路254に流すことが可能である。吸入口300bは、底壁211近傍に配置されている。本実施形態では、吸入口300bは底壁211に対向配置されている。
【0068】
液剤案内流路300には、液剤収容部20がハウジング26に装着されていない状態で、液剤が外部に漏れ出ないように逆止弁35が設けられてもよい。
【0069】
以下、液剤案内部30の一例を具体的に説明する。ここでは、
図12に示したように、液剤収容部20が逆止弁35を有する形態を説明する。液剤案内部30は、
図9及び
図12に示したように、連結部31と、吸込部34とを有する。
【0070】
連結部31は、底壁211及び後壁215に一体的に設けられている。連結部31は、筒部32と、筒部32を支持する一対の側壁33を有する。側壁33は、底壁211及び後壁215のうち筒部32より下方に位置する部分と、筒部32とを繋いでいる部分である。一対の側壁33のうちの一方は、右側壁214に対向しており、他方は左側壁213に対向している。
【0071】
筒部32は、X方向に延在しており、後壁215を貫通している。筒部32は、二重筒構造部321及び単筒構造部322を有する。二重筒構造部321が有する内筒と単筒構造部322によって、液剤案内流路300の一部を構成する連結流路301が形成されている。
【0072】
二重筒構造部321は液剤取込流路254(
図4参照)に連結される部分である。具体的には、二重筒構造部321が有する内筒と外筒との間に液剤取込流路254を構成する周壁が嵌め合わされる。二重筒構造部321が有する内筒内を液剤が流れるので、上記内筒の後端部が連結口300aとして機能する。
【0073】
単筒構造部322の内径は、二重筒構造部321における内筒の内径より大きい。よって、単筒構造部322及び二重筒構造部321の接続部では、単筒構造部322から二重筒構造部321に向けて内径が小さくなっている。換言すれば、単筒構造部322と二重筒構造部321との接続部は、筒部32の内側に段差を有する。
【0074】
単筒構造部322内には逆止弁35が配置されている。液剤収容部20がハウジング26に装着されていない状態では、逆止弁35が有する弁本体351がバネ352によって上記段差に押しつけられる。これによって、二重筒構造部321が有する内筒の前端部が弁本体351によって塞がれるため、液剤収容部20がハウジング26から取り外された状態では、液剤案内流路300を通して液剤が外部に漏れ出ることが防止されている。上記逆止弁35による液剤漏れの防止効果を向上させるため、弁本体351の周囲に封止部材P1(例えばOリング等のパッキン)が設けられてもよい。
【0075】
液剤収容部20がハウジング26に取り付けられた状態では、弁本体351を前方に押し込まれる。これによって、
図12の二点鎖線で示したように、弁本体351が上記段差から離れる。すなわち、二重筒構造部321の内筒の前端部が開放されるので、液剤が液剤取込流路254(
図4参照)に流入可能である。
【0076】
液剤収容部20がハウジング26に取り付けられた際に、弁本体351を前方に押し込めるように、ハウジング26は構成されている。例えば、液剤取込流路254の液剤案内流路300側の端部には、棒状部材が取り付けられていればよい。この場合、液剤案内流路300が液剤取込流路254と連結されることによって、上記棒状部材が弁本体351を前方に押し込むことが可能である。液剤収容部20がハウジング26から引き出される場合(具体的には、液剤案内流路300が液剤取込流路254との連結が解除された場合)、上記棒状部材による弁本体351の前方への押し込みも解除されるので、逆止弁35が閉じられる。
【0077】
吸込部34は、二重筒構造部341及び単筒構造部342を有する。本実施形態において、吸込部34は、連結部31と着脱自在に構成されている。
【0078】
二重筒構造部341はX方向に延在している。二重筒構造部341は、連結部31が有する単筒構造部322に連結される部分である。二重筒構造部341と連結部31の接続部の密封性を確保するため、二重筒構造部341の外周には封止部材P2(例えばOリングなどのパッキン)が設けられてもよい。二重筒構造部341が有する内筒は、逆止弁35が前方に押し込まれた際に、弁本体351の前端部を受ける部分である。
【0079】
単筒構造部342は、二重筒構造部341における連結部31と反対側の端部に設けられている。単筒構造部342はZ方向に延在している。単筒構造部342のZ方向の長さは、吸込部34が連結部31に取り付けられた状態で、単筒構造部342に下部と底壁211の間に隙間を有する長さである。単筒構造部342は、
図13に示したように、二重筒構造部341の外筒と繋がっている。したがって、単筒構造部342と、二重筒構造部341の外筒によって、連結流路301と共に液剤案内流路300を構成する吸込路302が構成されている。単筒構造部342の下部の開口が吸入口300bとして機能する。
【0080】
図9及び
図13に示したように、単筒構造部342の下端部には第1フランジ343が設けられている。単筒構造部342と二重筒構造部341の接続部の外面には第2フランジ344が設けられている。第1フランジ343と第2フランジ344は繋がっている。第2フランジ344から連結部31に向けて、吸込部34を連結部31に取り付けるための一対の連結片345が張り出している。連結片345には、連結部31の外面に形成された爪部31aが挿入される(或いは、爪部31aが引っかけられる)ための孔345aが形成されている。
【0081】
上記連結部31及び吸込部34は、例えば液剤タンク21の説明において例示した樹脂によって形成される。連結部31、吸込部34及び液剤タンク21が同じ樹脂で形成されている場合、液剤タンク21及び連結部31は一体成型されてもよい。
【0082】
[異物除去部]
異物除去部40は、吸入口300bから異物を吸い込まないように異物を除去する部分である。異物の例は、糸屑、人毛などである。異物除去部40は、液剤案内部30を囲むように底壁211に取り付けられている。
【0083】
図14~
図16に示したように、異物除去部40は本体部41を有する。本体部41は、底壁211と対向配置された第1フィルタ部42と、第1フィルタ部42と底壁211の間に隙間を形成するように第1フィルタ部42を支持する支持部43を有する。
【0084】
第1フィルタ部42は、異物を除去する一方、液剤を通す部分である。換言すれば、第1フィルタ部42は液剤をろ過する機能を有する。
【0085】
本実施形態において、第1フィルタ部42は、Z方向からみてL字状を呈する。具体的には、第1フィルタ部42は、Y方向に延在する第1延在部421と、第1延在部421の一方の端部(
図14及び
図15の例では右側端部)からX方向に延在する第2延在部422とを有する。第1延在部421は、本体部41において前寄りに位置しており、第2延在部422は第1延在部421から後方に延びている。
【0086】
異物除去部40は、第1延在部421と第2延在部422によって液剤案内部30を囲むように配置されている。この場合、吸入口300bの周囲の一部が第1フィルタ部42で囲まれている。
【0087】
第1フィルタ部42は、複数の孔423aを有する。一例において、複数の孔423aは規則的に配置される。例えば、複数の孔423aは等間隔で配置される。孔423aの大きさは除去すべき異物が孔423aを通過しない大きさである。
図15に示した形態では、第1フィルタ部42は複数の溝部423を有し、各溝部423の底面に複数の孔423aが形成されている。各溝部423はY方向に延在している。複数の溝部423は、X方向に並列配置されている。
【0088】
隣接する溝部423の間には2つの溝部423を仕切る仕切り壁が存在する。この仕切り壁は、本体部41の強度を確保するためのリブとして機能する。本体部41が樹脂製であり、例えば射出成型等のように型を利用して本体部41を製造する場合、上記仕切り壁を有する構成では、型を外す際に本体部41の強度を確保できるので、本体部41を製造し易い。
【0089】
支持部43は、第1フィルタ部42の下部に設けられている。支持部43は、後壁215側が開放された枠状を呈する。すなわち、Z方向からみた場合、支持部43の形状は、U字状である。具体的には、支持部43は、第1側部431と第2側部432とそれらを繋ぐ連結側部433を有する。
【0090】
第1側部431は、第1フィルタ部42において第2延在部422側の縁部に沿っている。
図14に示したように、第1フィルタ部42の側縁部は、第1側部431に向けて傾斜していてもよい。第2側部432は、第1フィルタ部42において第2延在部422側と反対の縁部に沿っている。第2側部432は、第1延在部421から後壁215に向けて延びた板部4321を有する。連結側部433は、Y方向に延在しており、第1側部431と第2側部432とを繋いでいる。
【0091】
上記連結側部433は、複数の孔434a(又は溝)を含む第2フィルタ部434を有してもよい。一例において、複数の孔434aは規則的に(例えば等間隔で)配置される。孔434aの大きさは、異物が通らない一方、液剤が通る大きさでよい。孔434aは、孔423aの大きさと同じでよい。連結側部433が複数の孔434a(又は溝)を有する場合、連結側部433の一部は櫛状を呈する。
【0092】
支持部43の底面は底壁211に接する。よって、第1フィルタ部42と底壁211との間に支持部43が配置されている。その結果、
図12及び
図13に示したように、第1フィルタ部42と底壁211との間に隙間が形成される。この隙間によって形成される空間Sは、
図12において矢印で示したように、第1フィルタ部42を通して異物が除去された液剤が流れ込む空間である。
【0093】
以上説明した本体部41は、扁平な本体部である。すなわち、本体部41の形状は、Z方向に直交する面(以下、「XY面」と称す)における本体部41の長さより本体部41のZ方向の長さT(
図14参照)が十分小さい扁平形状である。上記本体部41が扁平であることから本体部41と底壁211で構成される上記空間Sも扁平な空間として形成され得る。長さTは、本体部41の扁平形状を維持しながら、供給機構25に所望量の液剤を流すことが可能なように上記空間Sの体積を確保できる長さであればよい。例えば、本体部41の平面視形状(Z方向からみた形状)が矩形であり、X方向及びY方向の長さのうち短い方の長さをLとした場合、長さTは、長さLより十分小さければよい。一例において、長さLに対する長さTの比(T/L)は0.01以上且つ0.1以下であればよく、0.04以上且つ0.08以下でもよい。
【0094】
本体部41の平面視形状が矩形である場合を例示したが、上記XY面における本体部41の長さは、上記XY面において本体部41の大きさを特徴づける長さでよい。例えば、本体部41の平面視形状が実質的に円形である場合は、上記XY面における本体部41の長さとして直径を採用してもよい。
【0095】
板部4321と第2延在部422との間には、液剤案内部30を覆うカバー44が設けられていてもよい。以下では、断らない限り、カバー44を備えた形態を説明する。
【0096】
カバー44は、上部が湾曲している略半円筒状を呈する。カバー44の内側の空間におけるY方向の長さは液剤案内部30のY方向の長さと同じである。そのため、異物除去部40を底壁211に取り付けた場合、
図16に示したように、液剤案内部30は、カバー44の内側に嵌め合わされる。
図16では、液剤案内部30のうち吸込部34を図示している。
【0097】
カバー44において本体部41との接続部には、複数の孔44aが形成されていてもよい。孔44aの大きさは、異物を通さない一方、液剤が通る大きさである。孔44aの大きさは、孔423aの大きさと同じでよい。複数の孔44aも異物を除去するためのフィルタ部として機能する。
【0098】
上記異物除去部40に含まれる支持部43、第1フィルタ部42及びカバー44の後壁215側の縁部は、液剤タンク21(具体的には、底壁211または後壁215)に接するように形成されている。これにより、異物除去部40を底壁211に取り付けた場合に、支持部43、第1フィルタ部42及びカバー44の後壁215側の縁部と、液剤タンク21との間に実質的に隙間が生じないので、異物除去部40内への異物の侵入が防止されている。
【0099】
異物除去部40を底壁211に取り付けるために、液剤タンク21には複数の爪部28(例えば、
図9参照)が設けられていてもよい。例えば、爪部28は、底壁211及び左側壁213に設けられている。爪部28と底壁211との間に支持部43を差し挟むことで、異物除去部40は、底壁211に固定される。液剤タンク21には、異物除去部40を所定位置に取り付けられるようにガイド部29が設けられていてもよい。ガイド部29の例は、底壁211に設けられた突片などである。
【0100】
図13に示したように、底壁211において、異物除去部40の取付領域211aは、底壁211における取付領域211a以外の領域より低くてもよい。この場合、異物除去部40側に向けて液剤が流れるため、液剤タンク21内の液剤の量が少なくなっても、液剤を供給機構25に排出し易い。そのため、液剤を効率的に利用できる。
【0101】
前述したように、第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20Bを「液剤収容部20」と称するとともに、第1液剤取込流路254A及び第2液剤取込流路254Bも「液剤取込流路254」と称して、上記洗濯機1を更に説明する。
【0102】
洗濯機1の構成では、上蓋12を開けた状態では、
図1に示したように、液剤投入装置2の正面部が露出する。具体的には、液剤収容部20(第1液剤収容部20A及び第2液剤収容部20B)の正面扉23が露出する。ユーザは、
図3に示したように、液剤収容部20をX方向にスライドさせ、それらをハウジング26から引き出すことよって、液剤収容部20に液剤を投入できる。
【0103】
液剤収容部20がハウジング26内に装着されると、液剤収容部20が有する液剤案内流路300が液剤取込流路254(
図4参照)に連結される。これによって、
図4~
図6を用いて説明したように、投入口253aから液剤を内槽15に投入できる。
【0104】
液剤収容部20の構成では、本体部41が扁平である。このように扁平な本体部41が底壁211に取り付けられていることから、本体部41が有する第1フィルタ部42も底壁211近傍において底壁211に対向配置されている。よって、第1フィルタ部42と底壁211の間の空間Sに空気が入り込みにくい。空間Sに空気が入り込みにくいことから、空間Sに繋がっている吸入口300bから空間S内の液剤を吸い込む場合において、空気の混入(いわゆるエア噛みの発生)が抑制される。そのため、適量の液剤を内槽15に供給可能である。
【0105】
本体部41が扁平であることから上記空間Sも扁平である。このように扁平な空間Sに繋がるように吸入口300bは配置されている。例えば、吸入口300bは、
図12及び
図13に示したように、Z方向において第1フィルタ部42と同じ位置(具体的には、第1フィルタ部42の下面と同じ位置)に底壁211に対して対向配置され得る。したがって、上記異物除去部40の構成では本体部41が有する第1フィルタ部42を吸入口300bの近くに配置可能である。この場合、第1フィルタ部42と吸入口300bとの間に空気が溜まり難いので、上記エア噛みの発生が更に抑制される。第1フィルタ部42が吸入口300bの周囲の一部を囲んでいる形態では、吸入口300bに対して第1フィルタ部42を更に近くに配置できる。そのため、上記エア噛みの発生が更に抑制される。
【0106】
液剤収容部20の構成では、第1フィルタ部42及び吸入口300bが底壁211近傍に配置される。そのため、低水位でも一定量の液剤を内槽15に供給できる。よって、液剤収容部20に対する液剤の補充回数を低減できる。
【0107】
支持部43が第2フィルタ部434を有する形態では、第2フィルタ部434を通しても空間S内に異物が除去された液剤が流れ込む。そのため、空間Sへの液剤の流入量を確保し易い。支持部43は第1フィルタ部42より下に位置することから、第2フィルタ部434も第1フィルタ部42より下に位置する。したがって、液剤タンク21の液剤が減ってきても液剤を吸い上げることが可能である。
【0108】
異物除去部40がカバー44を有する形態では、液剤案内部30がカバー44で覆われることから、液剤案内部30に異物が付着しない。この場合、液剤案内部30に付着した異物をユーザが取り除く作業が不要であることから、ユーザのメンテナンスの手間を軽減できる。更に、液剤案内部30自体のメンテナンスの必要性が低減していることから、メンテナンス作業中等において液剤案内部30が破損することも防止できている。その結果、液剤タンク21からの液漏れなども生じにくい。
【0109】
液剤案内部30が、連結部31と吸込部34を有する構成の場合、カバー44によって、連結部31と吸込部34の連結部分に異物が付着したり、又は、上記連結部分から異物が液剤案内流路300内に混入したりすることを防止できる。そのため、カバー44を備えた形態は、液剤案内部30が複数の部分(例えば連結部31と吸込部34)に分けられる形態に対して有効である。液剤案内部30内に逆止弁35が設けられている形態でも、ユーザによる液剤案内部30のメンテナンスが不要であれば、ユーザによるメンテナンス中の逆止弁35の破損又は逆止弁35の設置不良等の不具合が生じる可能性が低下する。よって、カバー44を備えた形態は、液剤案内部30内に逆止弁35が設けられている形態に対しても有効である。
【0110】
カバー44が半円筒状である場合、カバー44は角部を実質的に有しない。特に、カバー44の上部が湾曲していれば、上部に角部を有しない。角部が形成されている場合より、カバー44が曲面で形成されている場合の方が、カバー44の外面に凹凸が生じにくい。外面に凹凸が生じていると、その凹凸の部分に空気が溜まる場合が生じ得るが、上記のように凹凸自体が低減していることから、外面への空気の付着も抑制される。この場合、液剤タンク21に溜められた液剤の液面と底壁211(又は本体部41)との間に空気が存在しにくい。その結果、そのような空気が、振動などによって空間Sに入り込み、吸入口300bから液剤とともに吸い込まれることも防止できる。
【0111】
カバー44と本体部41との接続部に複数の孔44aが形成されている形態では、カバー44内の空気を、孔44aを通して排出できる。そのため、カバー44内の空気が吸入口300bから吸い込まれることを防止できる。孔44aは異物を通さないので、複数の孔44aも異物除去のためのフィルタ部として機能する。したがって、吸入口300bに異物が吸い込まれることも防止できている。
【0112】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、例示した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0113】
例えば、第1液剤収容部及び第2液剤収容部の形状は左右対称でなくてもよい。洗濯機が備える液剤収容部の数は2つに限定されない。例えば、1つでもよいし、3つ以上でもよい。異物除去部は、カバーを有しなくてもよい。
【0114】
上記実施形態では図面に基づいて、液体排出部の一例を具体的に説明したが、液体排出部の構成は、例示した構成に限定されない。例えば、連結部及び吸込部が一体化していてもよい。連結部及び吸込部の形態も例示した形態に限定されず、連結部及び吸込部は同様の機能を有するように適宜変形できる。
【0115】
第1フィルタ部の平面視形状はL字状に限定されない。第1フィルタ部は、
図12及び
図13等に示した第2延在部(又は第1延在部)を有しなくてもよい。第1フィルタ部は、
図13に示した板部4321に相当する部分にもフィルタ機能を有する孔を備えた第2延在部を有してもよい。この場合、第1フィルタ部の平面視形状はU字状である。
【0116】
第2フィルタ部は支持部に形成されていれば、支持部における形成位置は上記実施形態で例示した位置に限定されない。
【0117】
洗濯機として縦型洗濯機を例示して実施形態を説明したが、本発明が適用される洗濯機は縦型洗濯機に限定されない。
【0118】
以上説明した種々の実施形態及び変形例は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1…洗濯機、2…液剤投入装置、15…内槽(洗濯槽)、20…液剤収容部、20A…第1液剤収容部(液剤収容部)、20B…第2液剤収容部(液剤収容部)、21…液剤タンク(液剤容器)、25…供給機構、30…液剤案内部、35…逆止弁、40…異物除去部、41…本体部、42…第1フィルタ部、43…支持部、44…カバー、44a…孔(カバーと本体部の接続部に形成された孔)、211…底壁、211a…取付領域、300…液剤案内流路、300b…吸入口、434…第2フィルタ部、434a…孔、S…空間。