(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152139
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像形成装置、動作制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 9/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65H9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066136
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小川 浩太郎
【テーマコード(参考)】
3F102
【Fターム(参考)】
3F102AA01
3F102AB01
3F102AB05
3F102BB04
3F102CA03
3F102CB02
3F102EA03
3F102FA08
(57)【要約】
【課題】搬送されるシートの位置を補正するとともに、シートの搬送間隔が長くなることを抑制可能なシート搬送装置、画像形成装置、及び動作制御方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、シートSHにおける幅方向D5のずれ量の検出に用いられる検出部44と、検出される前記ずれ量に基づいて、シートSHを挟持中の補正ローラー対41を幅方向D5に沿って移動させる第1移動処理部と、前記第1移動処理部によって補正ローラー対41が移動される場合において予め定められた移動条件を充足する場合に、シートSHの搬送が終了した補正ローラー対41を基準位置P1へ移動させる第2移動処理部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記シートを挟持して搬送する一対の搬送部材と、
前記一対の搬送部材によって搬送される前記シートにおける前記幅方向のずれ量を検出する検出処理部と、
前記検出処理部によって検出される前記ずれ量に基づいて、前記シートを挟持中の前記一対の搬送部材を前記幅方向に沿って移動させる第1移動処理部と、
前記第1移動処理部によって前記一対の搬送部材が移動される場合に、予め定められた移動条件を充足するか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部によって前記移動条件を充足すると判定された場合に、前記シートの搬送が終了した前記一対の搬送部材を予め定められた基準位置へ移動させる第2移動処理部と、
を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
前記第1移動処理部によって移動された後の前記一対の搬送部材の位置と前記基準位置との離間距離を取得する取得処理部を備え、
前記移動条件は、前記取得処理部によって取得される前記離間距離が予め定められた閾値を超えること、を含む、
請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記検出処理部によって検出される前記ずれ量を記録する記録処理部と、
前記記録処理部による記録結果に基づいて、前記閾値を設定する設定処理部と、
を備える請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
搬送対象の前記シートの種類に基づいて、前記閾値を設定する設定処理部を備える、
請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送される前記シートに画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
シートの搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記シートを挟持して搬送する一対の搬送部材を備えるシート搬送装置で実行される動作制御方法であって、
前記一対の搬送部材によって搬送される前記シートにおける前記幅方向のずれ量を検出する検出ステップと、
前記検出ステップによって検出される前記ずれ量に基づいて、前記シートを挟持中の前記一対の搬送部材を前記幅方向に沿って移動させる第1移動ステップと、
前記第1移動ステップによって前記一対の搬送部材が移動される場合に、予め定められた移動条件を充足するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによって前記移動条件を充足すると判定された場合に、前記シートの搬送が終了した前記一対の搬送部材を予め定められた基準位置へ移動させる第2移動ステップと、
を含む動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、画像形成装置、及び動作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンターなどの画像形成装置では、予め定められた搬送方向に沿って搬送されるシートにおける、前記搬送方向に直交する前記シートの幅方向の位置がずれる位置ずれが発生することがある。これに対し、前記幅方向に沿って移動可能に設けられた一対の搬送部材を用いて、前記シートにおける前記幅方向の位置を補正する画像形成装置が関連技術として知られている(特許文献1参照)。前記関連技術に係る画像形成装置では、前記一対の搬送部材が用いられて前記シートにおける前記幅方向の位置が補正されるごとに、前記一対の搬送部材が予め定められた基準位置へ移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記シートにおける前記幅方向の位置が補正されるごとに前記一対の搬送部材が前記基準位置へ移動される構成では、前記一対の搬送部材が前記基準位置へ移動されて静止するまで前記一対の搬送部材を前記シートの搬送に用いることができない。そのため、上述の構成では、前記シートの搬送間隔が長くなる。
【0005】
本発明の目的は、搬送されるシートの位置を補正するとともに、シートの搬送間隔が長くなることを抑制可能なシート搬送装置、画像形成装置、及び動作制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係るシート搬送装置は、一対の搬送部材と、検出処理部と、第1移動処理部と、判定処理部と、第2移動処理部と、を備える。前記一対の搬送部材は、シートの搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記シートを挟持して搬送する。前記検出処理部は、前記一対の搬送部材によって搬送される前記シートにおける前記幅方向のずれ量を検出する。前記第1移動処理部は、前記検出処理部によって検出される前記ずれ量に基づいて、前記シートを挟持中の前記一対の搬送部材を前記幅方向に沿って移動させる。前記判定処理部は、前記第1移動処理部によって前記一対の搬送部材が移動される場合に、予め定められた移動条件を充足するか否かを判定する。前記第2移動処理部は、前記判定処理部によって前記移動条件を充足すると判定された場合に、前記シートの搬送が終了した前記一対の搬送部材を予め定められた基準位置へ移動させる。
【0007】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記シート搬送装置と、画像形成部と、を備える。前記画像形成部は、前記シート搬送装置によって搬送される前記シートに画像を形成する。
【0008】
本発明の他の局面に係る動作制御方法は、シートの搬送方向に直交する前記シートの幅方向に沿って移動可能に設けられ、前記シートを挟持して搬送する一対の搬送部材を備えるシート搬送装置で実行され、検出ステップと、第1移動ステップと、判定ステップと、第2移動ステップと、を含む。前記検出ステップでは、前記一対の搬送部材によって搬送される前記シートにおける前記幅方向のずれ量が検出される。前記第1移動ステップでは、前記検出ステップによって検出される前記ずれ量に基づいて、前記シートを挟持中の前記一対の搬送部材が前記幅方向に沿って移動される。前記判定ステップでは、前記第1移動ステップによって前記一対の搬送部材が移動される場合に、予め定められた移動条件を充足するか否かが判定される。前記第2移動ステップでは、前記判定ステップによって前記移動条件を充足すると判定された場合に、前記シートの搬送が終了した前記一対の搬送部材が予め定められた基準位置へ移動される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送されるシートの位置を補正するとともに、シートの搬送間隔が長くなることを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の補正ローラー対の構成を示す右側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
[画像形成装置100の構成]
まず、
図1、及び
図2を参照しつつ、本発明の実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。
【0013】
なお、説明の便宜上、画像形成装置100が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図1に示される画像形成装置100の紙面手前側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置100の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0014】
画像形成装置100は、画像データに基づく画像をシートSH(
図3参照)に形成するプリント機能を有する画像処理装置である。具体的に、画像形成装置100は、前記プリント機能を含む複数の機能を有する複合機である。なお、本発明の画像形成装置は、前記プリント機能を有するプリンター、ファクス装置、又はコピー機であってもよい。
【0015】
図1、及び
図2に示されるように、画像形成装置100は、ADF(Auto Document Feeder)1、画像読取部2、画像形成部3、シート搬送部4、操作表示部5、記憶部6、及び制御部7を備える。
【0016】
ADF1は、画像読取部2によって画像が読み取られる原稿を搬送する。ADF1は、原稿セット部、複数の搬送ローラー、原稿押さえ、及び排紙部を備える。
【0017】
画像読取部2は、原稿の画像を読み取るスキャン機能を実現する。画像読取部2は、原稿台、光源、複数のミラー、光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)を備える。
【0018】
画像形成部3は、前記プリント機能を実現する。具体的に、画像形成部3は、電子写真方式に従って、シート搬送部4によって搬送されるシートSH(
図3参照)にカラー、又はモノクロの画像を形成する。なお、画像形成部3は、インクジェット方式に従って、シート搬送部4によって搬送されるシートSHに画像を形成してもよい。
【0019】
図1に示されるように、画像形成部3は、複数の画像形成ユニット11~14、光走査装置15、中間転写ベルト16、二次転写ローラー17、定着装置18、及び排紙トレイ19を備える。画像形成ユニット11は、Y(イエロー)のトナーを用いて中間転写ベルト16にトナー像を形成する。画像形成ユニット12は、C(シアン)のトナーを用いて中間転写ベルト16にトナー像を形成する。画像形成ユニット13は、M(マゼンタ)のトナーを用いて中間転写ベルト16にトナー像を形成する。画像形成ユニット14は、K(ブラック)のトナーを用いて中間転写ベルト16にトナー像を形成する。複数の画像形成ユニット11~14は、それぞれ感光体ドラム、帯電ローラー、現像装置、一次転写ローラー、及びドラム清掃部を備える。光走査装置15は、画像形成ユニット11~14各々の前記感光体ドラムの表面へ向けて、画像データに基づく光を射出する。中間転写ベルト16には、画像形成ユニット11~14各々の前記感光体ドラムの表面に形成されたトナー像が転写される。二次転写ローラー17は、中間転写ベルト16の表面に転写されたトナー像をシート搬送部4によって搬送されるシートSH(
図3参照)に転写する。定着装置18は、二次転写ローラー17によってシートSHに転写されたトナー像を当該シートSHに定着させる。排紙トレイ19には、定着装置18によってトナー像が定着されたシートSHが排出される。
【0020】
シート搬送部4は、画像形成部3によって画像が形成されるシートSH(
図3参照)を搬送する。
【0021】
操作表示部5は、画像形成装置100のユーザーインターフェイスである。操作表示部5は、表示部、及び操作部を備える。前記表示部は、制御部7からの制御指示に応じて各種の情報を表示する。例えば、前記表示部は、液晶ディスプレーである。前記操作部は、ユーザーの操作に応じて制御部7に各種の情報を入力する。例えば、前記操作部は、タッチパネルである。
【0022】
記憶部6は、不揮発性の記憶装置である。例えば、記憶部6は、フラッシュメモリーである。なお、記憶部6は、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)であってもよい。
【0023】
制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部7は、画像形成装置100を統括的に制御するメイン制御部とは別に設けられた制御部であってもよい。
【0024】
図2に示されるように、制御部7は、CPU21、ROM22、及びRAM23を備える。CPU21は、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。ROM22は、CPU21に各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め格納される不揮発性の記憶装置である。RAM23は、CPU21が実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される揮発性、又は不揮発性の記憶装置である。CPU21は、ROM22に予め格納された各種の制御プログラムを実行することにより、画像形成装置100を統括的に制御する。なお、制御部7は、集積回路(ASIC)などの電子回路で構成されていてもよい。
【0025】
[シート搬送部4の構成]
次に、
図1~
図3を参照しつつ、シート搬送部4の構成について説明する。
【0026】
図1~
図3に示されるように、シート搬送部4は、給紙カセット31、ピックアップローラー32、給紙ローラー33、分離ローラー34、シート搬送路35、補正ローラー対41、移動機構43、及び検出部44を備える。
【0027】
給紙カセット31は、画像形成部3によって画像が形成されるシートSH(
図3参照)を収容する。例えば、給紙カセット31には、紙、コート紙、ハガキ、封筒、及びOHPシートなどのシートSHが収容される。
【0028】
給紙カセット31の底部には、上下方向D1に昇降可能なリフト板31A(
図1参照)が設けられている。リフト板31Aは、給紙カセット31に収容されたシートSHの束を、ピックアップローラー32と接触する接触位置まで持ち上げる。
【0029】
ピックアップローラー32は、給紙カセット31の上側に設けられる。ピックアップローラー32は、リフト板31Aによって持ち上げられたシートSHの束における最上層のシートSHと接触して、当該シートSHを給紙ローラー33へ搬送する。
【0030】
給紙ローラー33は、ピックアップローラー32によって搬送されるシートSHの上面と接触して、当該シートSHをシート搬送路35に沿って搬送する。
【0031】
分離ローラー34は、給紙ローラー33の下側に設けられる。分離ローラー34は、不図示の付勢部材によって給紙ローラー33へ向けて付勢されている。これにより、給紙ローラー33と分離ローラー34との間に、シートSHをつまむ給紙ニップ部が形成される。分離ローラー34は、前記給紙ニップ部に複数枚のシートSHが搬送される場合に、その複数枚のシートSHのうち、給紙ローラー33と接触するシートSHから他のシートSHを分離する。
【0032】
シート搬送路35は、給紙カセット31から二次転写ローラー17、及び定着装置18を経由して排紙トレイ19へ至るシートSHの移動通路である。シート搬送路35には、給紙ローラー33、及び分離ローラー34が設けられる。また、シート搬送路35には、補正ローラー対41を含む複数の搬送ローラー対が互いに間隔をあけて設けられる。シート搬送路35では、給紙ローラー33、及び複数の前記搬送ローラー対によってシートSHが
図1に示される搬送方向D4へ搬送される。搬送方向D4は、前後方向D2に直交する平面に沿った方向である。
【0033】
補正ローラー対41は、シートSHを挟持して搬送する。
【0034】
図1に示されるように、補正ローラー対41は、シート搬送路35における二次転写ローラー17よりも搬送方向D4の上流側に設けられる。補正ローラー対41は、不図示のモーターから供給される駆動力を受けて回転する駆動ローラーと、前記駆動ローラーに対向して設けられる従動ローラーとにより構成される。前記従動ローラーは、不図示の付勢部材によって前記駆動ローラーへ向けて付勢されている。これにより、前記駆動ローラーと前記従動ローラーとの間に、シートSHを挟持する搬送ニップ部が形成される。
【0035】
画像形成装置100では、搬送方向D4に沿って搬送されるシートSHにおける、搬送方向D4に直交するシートSHの幅方向D5(
図3参照)の位置がずれる位置ずれが発生することがある。これに対し、画像形成装置100では、補正ローラー対41が用いられて、シートSHにおける幅方向D5の位置が補正される。
【0036】
具体的に、補正ローラー対41は、幅方向D5(
図3参照)に沿って移動可能に設けられる。補正ローラー対41は、本発明の一対の搬送部材の一例である。
【0037】
例えば、補正ローラー対41は、幅方向D5に沿って移動可能に設けられた支持部42(
図3参照)により、回転可能に支持されている。
【0038】
図3に示されるように、支持部42は、第1壁部42A、第2壁部42B、及び連結部42Cを備える。第1壁部42Aは、前後方向D2に厚みを有する平板状に形成されており、前記駆動ローラーの前側の回転軸、及び前記従動ローラーの前側の回転軸を回転可能に支持する。第2壁部42Bは、前後方向D2で第1壁部42Aと対向する平板状に形成されており、前記駆動ローラーの後側の回転軸、及び前記従動ローラーの後側の回転軸を回転可能に支持する。連結部42Cは、前後方向D2に長尺であって左右方向D3に厚みを有する平板状に形成されており、第1壁部42Aの左端部、及び第2壁部42Bの左端部を支持する。
【0039】
支持部42は、画像形成装置100の筐体によって幅方向D5に移動可能に支持されている。また、補正ローラー対41は、支持部42と一体に移動可能に設けられる。これにより、支持部42が幅方向D5に移動されると、支持部42によって支持される補正ローラー対41も幅方向D5に移動される。
【0040】
例えば、補正ローラー対41は、補正ローラー対41における前側の端部41A(
図3参照)が基準位置P1(
図3参照)から幅方向D5の両側へ距離L1だけ移動可能となるように設けられる。
【0041】
移動機構43は、補正ローラー対41を幅方向D5に沿って移動させる。具体的に、移動機構43は、補正ローラー対41、及び支持部42を移動させる駆動力を生成するモーターと、前記モーターで生成される駆動力を支持部42に伝達する動力伝達機構とを含む。支持部42は、移動機構43から伝達される駆動力により、幅方向D5に沿って移動される。
【0042】
検出部44は、補正ローラー対41によって搬送されるシートSHにおける幅方向D5のずれ量の検出に用いられる。
【0043】
図1、及び
図3に示されるように、検出部44は、シート搬送路35における補正ローラー対41よりも搬送方向D4の下流側に設けられる。
【0044】
具体的に、検出部44は、搬送されるシートSHにおける幅方向D5の一方の端部(前後方向D2における後側の端部)の位置を検出可能なコンタクトイメージセンサー(CIS)である。検出部44は、シートSHが検出部44による検出位置を通過する場合に、シートSHにおける幅方向D5の一方の端部の位置を検出し、検出結果を示す検出結果データを出力する。検出部44から出力される前記検出結果データは、制御部7に入力される。なお、検出部44は、幅方向D5に沿って並んで設けられる透過型の光センサーであってもよい。
【0045】
ところで、補正ローラー対41が用いられてシートSHにおける幅方向D5の位置が補正されるごとに、補正ローラー対41の端部41Aを基準位置P1(
図3参照)へ移動させる画像形成装置が知られている。
【0046】
しかしながら、シートSHにおける幅方向D5の位置が補正されるごとに補正ローラー対41の端部41Aが基準位置P1へ移動される構成では、補正ローラー対41の端部41Aが基準位置P1へ移動されて静止するまで補正ローラー対41をシートSHの搬送に用いることができない。そのため、上述の構成では、シートSHの搬送間隔が長くなる。
【0047】
これに対し、本発明の実施形態に係る画像形成装置100では、以下に説明するように、搬送されるシートSHにおける幅方向D5の位置を補正するとともに、シートSHの搬送間隔が長くなることを抑制可能である。
【0048】
[制御部7の構成]
次に、
図2を参照しつつ、制御部7の構成について説明する。
【0049】
図2に示されるように、制御部7は、検出処理部51、第1移動処理部52、記録処理部53、取得処理部54、判定処理部55、第2移動処理部56、及び設定処理部57を含む。シート搬送部4、及び制御部7は、本発明のシート搬送装置の一例である。なお、本発明は、ADF1に適用されてもよい。
【0050】
具体的に、制御部7のROM22には、制御部7のCPU21を上述の各処理部として機能させるための動作制御プログラムが予め格納されている。そして、制御部7のCPU21は、ROM22に格納された前記動作制御プログラムを実行することにより、上述の各処理部として機能する。なお、制御部7に含まれる一部、又は全部の処理部は、電子回路で構成されていてもよい。また、前記動作制御プログラムは、複数のプロセッサーを制御部7に含まれる各処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0051】
検出処理部51は、補正ローラー対41によって搬送されるシートSHにおける幅方向D5の前記ずれ量を検出する。
【0052】
例えば、検出処理部51は、検出部44を用いて、前記ずれ量を検出する。例えば、検出処理部51は、前記検出結果データによって特定されるシートSHにおける幅方向D5の一方の端部(前後方向D2における後側の端部)(
図3参照)の位置と、当該シートSHにおける幅方向D5のサイズに対応するシート基準位置とに基づいて、前記ずれ量を取得する。
【0053】
例えば、前記ずれ量は、前記検出結果データによって特定されるシートSHにおける幅方向D5の一方の端部の位置が前記シート基準位置よりも前後方向D2の後側である場合に、プラスの値になる。また、前記ずれ量は、前記検出結果データによって特定されるシートSHにおける幅方向D5の一方の端部の位置が前記シート基準位置よりも前後方向D2の前側である場合に、マイナスの値になる。
【0054】
第1移動処理部52は、検出処理部51によって検出される前記ずれ量に基づいて、シートSHを挟持中の補正ローラー対41を幅方向D5に沿って移動させる。
【0055】
具体的に、第1移動処理部52は、検出処理部51によって検出される前記ずれ量がプラスの値である場合に、シートSHを搬送中の補正ローラー対41を、当該ずれ量と同じ量だけ、前後方向D2の前側へ移動させる。また、第1移動処理部52は、検出処理部51によって検出される前記ずれ量がマイナスの値である場合に、シートSHを搬送中の補正ローラー対41を、当該ずれ量と同じ量だけ、前後方向D2の後側へ移動させる。つまり、第1移動処理部52は、シートSHにおける幅方向D5の一方の端部が前記シート基準位置に配置されるように、シートSHを挟持中の補正ローラー対41を移動させる。
【0056】
記録処理部53は、検出処理部51によって検出される前記ずれ量を記録する。
【0057】
例えば、記録処理部53は、検出処理部51によって前記ずれ量が検出されるごとに、検出日時を示す情報、及び検出結果を示す情報を含む記録データを記憶部6に格納する。
【0058】
取得処理部54は、第1移動処理部52によって移動された後の補正ローラー対41の位置と基準位置P1(
図3参照)との離間距離を取得する。
【0059】
具体的に、取得処理部54は、第1移動処理部52によって移動される前の補正ローラー対41の位置と、検出処理部51による検出結果とに基づいて、第1移動処理部52によって移動された後の補正ローラー対41の位置を特定する。そして、取得処理部54は、特定された移動後の補正ローラー対41の位置に基づいて、前記離間距離を取得する。
【0060】
判定処理部55は、第1移動処理部52によって補正ローラー対41が移動される場合に、予め定められた移動条件を充足するか否かを判定する。
【0061】
例えば、前記移動条件は、取得処理部54によって取得される前記離間距離が予め定められた閾値を超えること、を含む。
【0062】
なお、前記移動条件は、第1移動処理部52による補正ローラー対41の移動回数が予め定められた基準回数に達したこと、であってもよい。
【0063】
第2移動処理部56は、判定処理部55によって前記移動条件を充足すると判定された場合に、シートSHの搬送が終了した補正ローラー対41の端部41A(
図3参照)を基準位置P1(
図3参照)へ移動させる。
【0064】
例えば、第2移動処理部56は、補正ローラー対41の端部41Aの基準位置P1への到達を検出可能な不図示のセンサーを用いて、補正ローラー対41の端部41Aを基準位置P1へ移動させる。
【0065】
設定処理部57は、記録処理部53による記録結果に基づいて、前記閾値を設定する。
【0066】
例えば、設定処理部57は、画像データに基づく画像をシートSHに形成する画像形成処理が終了する場合に、前記画像形成処理の実行中に検出された前記ずれ量のうちの最大値に基づいて、前記閾値を設定する。例えば、設定処理部57は、最大値と距離L1(
図3参照)との差を、前記閾値として設定する。また、設定処理部57は、前記画像形成処理が終了する場合に、前記画像形成処理の実行中に検出された前記ずれ量の平均値に基づいて、前記閾値を設定してもよい。また、設定処理部57は、過去に検出された前記ずれ量のうちの最大値に基づいて、前記閾値を設定してもよい。
【0067】
なお、設定処理部57は、搬送対象のシートSHの種類に基づいて、前記閾値を設定してもよい。この場合、シートSHの種類と、前記閾値として設定される値との対応関係を示すテーブルデータが予め記憶部6、又はROM22に格納されていればよい。また、設定処理部57は、前記画像形成処理が実行される場合に、搬送対象のシートSHの種類を特定し、特定されたシートSHの種類と前記テーブルデータとに基づいて、前記閾値を設定すればよい。
【0068】
[動作制御処理]
次に、
図4を参照しつつ、画像形成装置100において制御部7により実行される動作制御処理の手順の一例とともに、本発明の動作制御方法について説明する。前記動作制御処理は、前記画像形成処理が実行される場合に、前記画像形成処理とともに実行される。
【0069】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、制御部7は、補正ローラー対41によってシートSHが搬送される搬送タイミングが到来したか否かを判定する。
【0070】
ここで、制御部7は、前記搬送タイミングが到来したと判定すると(S11のYes側)、処理をステップS12に移行させる。また、制御部7は、前記搬送タイミングが到来していないと判定すると(S11のNo側)、ステップS11で前記搬送タイミングの到来を待ち受ける。
【0071】
<ステップS12>
ステップS12において、制御部7は、補正ローラー対41によって搬送されるシートSHにおける幅方向D5の前記ずれ量を検出する。ここで、ステップS12の処理は、本発明の検出ステップの一例であって、制御部7の検出処理部51により実行される。
【0072】
具体的に、制御部7は、検出部44を用いて前記検出結果データを取得する。そして、制御部7は、取得された前記検出結果データによって特定されるシートSHにおける幅方向D5の一方の端部(前後方向D2における後側の端部)(
図3参照)の位置と、当該シートSHにおける幅方向D5のサイズに対応する前記シート基準位置とに基づいて、前記ずれ量を取得する。
【0073】
<ステップS13>
ステップS13において、制御部7は、ステップS12の処理によって検出された前記ずれ量に基づいて、シートSHを挟持中の補正ローラー対41を幅方向D5に沿って移動させる第1移動処理を実行する。ここで、ステップS13の処理は、本発明の第1移動ステップの一例であって、制御部7の第1移動処理部52により実行される。
【0074】
具体的に、制御部7は、ステップS12の処理によって検出された前記ずれ量がプラスの値である場合に、シートSHを搬送中の補正ローラー対41を、当該ずれ量と同じ量だけ、前後方向D2の前側へ移動させる。また、制御部7は、ステップS12の処理によって検出された前記ずれ量がマイナスの値である場合に、シートSHを搬送中の補正ローラー対41を、当該ずれ量と同じ量だけ、前後方向D2の後側へ移動させる。
【0075】
<ステップS14>
ステップS14において、制御部7は、ステップS12の処理の結果を記録する。ここで、ステップS14の処理は、制御部7の記録処理部53により実行される。
【0076】
具体的に、制御部7は、ステップS12の処理の実行日時を示す情報、及びステップS12の処理によって検出された前記ずれ量を示す情報を含む前記記録データを記憶部6に格納する。
【0077】
<ステップS15>
ステップS15において、制御部7は、前記第1移動処理によって移動された後の補正ローラー対41の位置と基準位置P1(
図3参照)との前記離間距離を取得する。ここで、ステップS15の処理は、制御部7の取得処理部54により実行される。
【0078】
具体的に、制御部7は、前記第1移動処理によって移動される前の補正ローラー対41の位置と、ステップS12の処理による前記ずれ量の検出結果とに基づいて、前記第1移動処理によって移動された後の補正ローラー対41の位置を特定する。そして、制御部7は、特定された移動後の補正ローラー対41の位置に基づいて、前記離間距離を取得する。
【0079】
<ステップS16>
ステップS16において、制御部7は、前記移動条件を充足するか否かを判定する。ここで、ステップS16の処理は、本発明の判定ステップの一例であって、制御部7の判定処理部55により実行される。
【0080】
具体的に、制御部7は、ステップS15の処理のよって取得される前記離間距離が前記閾値を超えている場合に、前記移動条件を充足すると判定する。
【0081】
ここで、制御部7は、前記移動条件を充足すると判定すると(S16のYes側)、処理をステップS17に移行させる。また、制御部7は、前記移動条件を充足しないと判定すると(S16のNo側)、処理をステップS18に移行させる。
【0082】
<ステップS17>
ステップS17において、制御部7は、シートSHの搬送が終了した補正ローラー対41の端部41A(
図3参照)を基準位置P1(
図3参照)へ移動させる第2移動処理を実行する。ここで、ステップS17の処理は、本発明の第2移動ステップの一例であって、制御部7の第2移動処理部56により実行される。
【0083】
具体的に、制御部7は、補正ローラー対41の端部41Aの基準位置P1への到達を検出可能な前記センサーを用いて、補正ローラー対41の端部41Aを基準位置P1へ移動させる。
【0084】
<ステップS18>
ステップS18において、制御部7は、前記画像形成処理が終了したか否かを判定する。
【0085】
ここで、制御部7は、前記画像形成処理が終了したと判定すると(S18のYes側)、処理をステップS19に移行させる。また、制御部7は、前記画像形成処理が終了していないと判定すると(S18のNo側)、処理をステップS11に移行させる。
【0086】
<ステップS19>
ステップS19において、制御部7は、前記画像形成処理の実行中における前記ずれ量の検出結果に基づいて、前記閾値を設定する。ここで、ステップS19の処理は、制御部7の記録処理部53により実行される。
【0087】
具体的に、制御部7は、前記画像形成処理の実行中に検出された前記ずれ量のうちの最大値と距離L1(
図3参照)との差を、前記閾値として設定する。これにより、次に実行される前記画像形成処理において、シートSHにおける幅方向D5の前記ずれ量が上記最大値を超えない限り、前記位置ずれを解消可能である。
【0088】
このように、画像形成装置100は、補正ローラー対41が移動される場合に、前記移動条件を充足するか否かが判定される。そして、前記移動条件を充足すると判定された場合に、シートSHの搬送が終了した補正ローラー対41が基準位置P1へ移動される。これにより、シートSHにおける幅方向D5の位置が補正されるごとに補正ローラー対41が基準位置P1へ移動される構成と比較して、搬送されるシートSHにおける幅方向D5の位置を補正するとともに、シートSHの搬送間隔が長くなることを抑制可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 ADF
2 画像読取部
3 画像形成部
4 シート搬送部
5 操作表示部
6 記憶部
7 制御部
31 給紙カセット
32 ピックアップローラー
33 給紙ローラー
34 分離ローラー
35 シート搬送路
41 補正ローラー対
42 支持部
43 移動機構
44 検出部
51 検出処理部
52 第1移動処理部
53 記録処理部
54 取得処理部
55 判定処理部
56 第2移動処理部
57 設定処理部
100 画像形成装置