(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152148
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
B60H 1/34 20060101AFI20241018BHJP
F24F 13/15 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
F24F13/15 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066175
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】山田 大貴
(72)【発明者】
【氏名】神尾 建一
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB02
3L081EA02
3L081FA03
3L081FB06
3L211BA43
3L211BA60
3L211DA14
3L211DA92
3L211DA95
(57)【要約】
【課題】ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置1が、軸部31を介して回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバ9と、軸部31が挿通される軸孔27が設けられ、ルーバ9を回動可能に支持する支持部材7Rと、軸部31に対して、径方向の一方向Xから荷重を付与し、軸孔27から軸部31に対して、径方向の一方向Xと相反する他方向Yから荷重を付与させる荷重付与部材15と、荷重付与部材15が付与する荷重を調整可能な調整部材17とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部を介して回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、
前記軸部が挿通される軸孔が設けられ、前記ルーバを回動可能に支持する支持部材と、
前記軸部に対して、径方向の一方向から荷重を付与し、前記軸孔から前記軸部に対して、径方向の前記一方向と相反する他方向から荷重を付与させる荷重付与部材と、
前記荷重付与部材が付与する荷重を調整可能な調整部材と、
を備えた風向調整装置。
【請求項2】
前記軸部が挿通される荷重孔が設けられ、前記軸部の軸方向と交差する方向に移動可能に配置された保持部材を備え、
前記荷重付与部材は、前記保持部材を移動させるように押圧して、前記荷重孔から前記軸部に対して、前記一方向から荷重を付与する請求項1に記載の風向調整装置。
【請求項3】
前記荷重付与部材は、圧縮する方向の弾性変形からの復元力により前記保持部材を押圧する弾性体であり、
前記調整部材は、前記荷重付与部材の前記保持部材と反対側に当接され、配置位置を変動することにより前記荷重付与部材の弾性変形力を調整する請求項2に記載の風向調整装置。
【請求項4】
前記ルーバと前記保持部材と前記荷重付与部材とは、ケーシングの内部に配置され、
前記ケーシングには、内部と外部とに連通された調整孔が設けられ、
前記調整部材は、前記調整孔を介して配置位置が変動可能である請求項3に記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、風向調整装置としては、軸部を介して回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、ルーバの回動に対して、操作荷重を付与する荷重付与部材としての支持片とを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この風向調整装置では、支持片が、弾性変形可能に設けられている。支持片は、ルーバを回動可能に支持する軸部に、付勢力を付与して当接されている。このため、ルーバが回動すると、支持片と軸部との間に、摺動抵抗が生じる。摺動抵抗を生じさせることにより、ルーバの回動に対して、操作荷重が付与され、操作者に操作フィーリングを与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の風向調整装置では、ルーバの回動に対して、荷重付与部材としての支持片が付与する操作荷重が、予め設定されている。このため、例えば、経年劣化などによって、支持片の弾性変形力が変化(低下)してしまえば、予め設定した所望のルーバの操作フィーリングを得ることができなくなってしまう。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係る風向調整装置は、軸部を介して回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバと、前記軸部が挿通される軸孔が設けられ、前記ルーバを回動可能に支持する支持部材と、前記軸部に対して、径方向の一方向から荷重を付与し、前記軸孔から前記軸部に対して、径方向の前記一方向と相反する他方向から荷重を付与させる荷重付与部材と、前記荷重付与部材が付与する荷重を調整可能な調整部材とを備えた。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ルーバの操作フィーリングを安定化することができる風向調整装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る風向調整装置の斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る風向調整装置の要部拡大断面図である。
【
図3】本実施形態に係る風向調整装置の調整部材の配置位置を変動させたときの要部拡大断面図である。
【
図4】本実施形態に係る風向調整装置のケーシングの斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る風向調整装置のルーバとスペーサとリンク部材の斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る風向調整装置のスペーサと保持部材とスプリングと調整部材の斜視図である。
【
図7】本実施形態に係る風向調整装置の保持部材の他例を示す要部拡大断面図である。
【
図8】本実施形態に係る風向調整装置の保持部材の他例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係る風向調整装置について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係る風向調整装置1は、例えば、車両に搭載された空調装置(不図示)の吹き出し口3に適用される。風向調整装置1は、吹き出し口3から吹き出る風向きを変更することができる。風向調整装置1は、例えば、車両の乗員などの操作者が操作可能となっている。
【0011】
図1~
図6に示すように、風向調整装置1は、支持部材としてのケーシング5と、支持部材としてのスペーサ7R,7Lと、ルーバ9と、リンク部材11と、保持部材13と、荷重付与部材としてのスプリング15と、調整部材17とを備えている。
【0012】
図1~
図4に示すように、ケーシング5は、内部に送風路19が形成されるように、筒状に形成されている。ケーシング5の一側の開口は、空調装置の温度が調整された空気が出る出口と連通するように配置される。ケーシング5の他側の開口は、例えば、車室側に位置するパネル(不図示)に形成された孔の周縁に配置され、送風路19を流れた空気が吹き出す吹き出し口3となっている。
【0013】
ケーシング5の吹き出し口3の幅方向の両側には、スペーサ7R,7Lが組付けられるスペーサ配置部21がそれぞれ設けられている。スペーサ7Rが組付けられるスペーサ配置部21の送風路19の上流側には、ケーシング5の上壁を貫通して形成された調整孔23が設けられている。調整孔23には、ケーシング5の上壁を貫通し、調整孔23に連続して形成された固定孔25が設けられている。固定孔25は、調整孔23から外方に向けて、調整孔23の径より短い幅となるように、長円状に延出されている。ケーシング5の内部には、スペーサ7R,7Lと、ルーバ9と、リンク部材11と、保持部材13と、スプリング15と、調整部材17の一部とが収容される。
【0014】
図1~
図3,
図5,
図6に示すように、スペーサ7R,7Lは、長方形の板状に形成されている。スペーサ7R,7Lには、スペーサ7R,7Lを貫通して形成された軸孔27が設けられている。軸孔27は、スペーサ7R,7Lの長さ方向に沿って所定の間隔で離間して複数(ここでは3つ)設けられている。スペーサ7R,7Lは、それぞれケーシング5のスペーサ配置部21に組付けられる。スペーサ7Rには、スペーサ7Rの側面から外方に向けて延出され、さらに上方に向けて延出された収容部29が設けられている。収容部29には、スペーサ7Rの長さ方向に沿って移動可能に後述する保持部材13が収容される。スペーサ7R,7Lの間には、ルーバ9が回動可能に配置される。
【0015】
図1~
図3,
図5に示すように、ルーバ9は、例えば、車両の幅方向に延出された板状に形成されている、ルーバ9は、車両の高さ方向に沿って所定の間隔で離間して複数列(ここでは3列)配置されている。ルーバ9の長さ方向の両端部において、送風路19の下流側には、ルーバ9の両側面から外方に向けて突出された軸部31がそれぞれ設けられている。軸部31は、スペーサ7R,7Lの軸孔27に回転可能に挿入され、ルーバ9が、スペーサ7R,7Lに回動可能に支持される。複数のルーバ9は、後述するリンク部材11を介して連動して回動可能となっている。ルーバ9は、回動することにより、傾きを変更し、吹き出し口3から吹き出す空気の車両の高さ方向(上下方向)に対する風向きを調整する。
【0016】
なお、不図示であるが、ルーバ9の送風路19の上流側には、縦ルーバが配置されている。縦ルーバは、例えば、車両の高さ方向に延出された板状に形成されている。縦ルーバは、車両の幅方向に沿って所定の間隔で離間して複数列配置されている。複数の縦ルーバは、それぞれ軸部を介して回動可能にケーシング5に支持されている。複数の縦ルーバは、リンク部材を介して連動して回動可能となっている。縦ルーバは、回動することにより、傾きを変更し、吹き出し口3から吹き出す空気の車両の幅方向(左右方向)に対する風向きを調整する。
【0017】
このようなルーバ9と縦ルーバとは、操作ノブ33を操作することによって回動される。
図1に示すように、操作ノブ33は、複数のルーバ9のうち中央に位置する1つのルーバ9に設けられている。操作ノブ33は、ルーバ9と一体的に回動し、ルーバ9の長さ方向に移動可能に、ルーバ9に組付けられている。なお、操作ノブ33のルーバ9の長さ方向の移動は、ルーバ9の長さ方向の両側に設けられた一対の規制部(不図示)によって規制されている。操作ノブ33には、複数の縦ルーバのうち1つの縦ルーバを回動させる係合部(不図示)が設けられている。操作ノブ33は、操作者が、上下方向に操作することにより、複数のルーバ9の上下方向に対する傾きを変更する。操作ノブ33は、操作者が、左右方向に操作することにより、複数の縦ルーバの左右方向に対する傾きを変更する。このような操作ノブ33によって操作されるルーバ9の長さ方向のスペーサ7L側の端部において、送風路19の上流側には、
図5に示すように、ルーバ9の側面から外方に向けて突出されたリンク軸部35が設けられている。
【0018】
図5に示すように、リンク部材11は、長方形状の板状に形成されている。リンク部材11には、リンク部材11を貫通して形成されたリンク孔37が設けられている。リンク孔37は、複数のルーバ9のリンク軸部35に対応して、複数(ここでは3つ)設けられている。複数のリンク孔37には、複数のルーバ9のリンク軸部35が回転可能に挿入され、複数のルーバ9が、リンク部材11を介して連動して回動可能となる。リンク部材11を介して連動する複数のルーバ9を回動可能に支持するスペーサ7Rの収容部29には、保持部材13が収容される。
【0019】
図1~
図3,
図6に示すように、保持部材13は、収容部29の幅と同等、或いは僅かに小さな厚さを有するように、長方形の板状に形成されている。保持部材13は、収容部29に収容された状態で、スペーサ7Rの長さ方向に沿って移動可能となっている。保持部材13には、保持部材13を貫通して形成された荷重孔39が設けられている。荷重孔39には、複数のルーバ9のうち最も外側(上側)に位置するルーバ9のスペーサ7Rの軸孔27を挿通した軸部31が回転可能に挿入される。荷重孔39に軸部31が挿入された状態では、荷重孔39の内面と軸部31の外面との当接により、収容部29に対する保持部材13の配置位置が保持される。保持部材13の上面には、スプリング15が配置される軸状の保持部41が外方に向けて突出されている。
【0020】
図2,
図3,
図6に示すように、スプリング15は、長さ方向に伸縮するように、弾性変形可能な巻きバネからなる弾性体である。スプリング15は、保持部41に挿入されて、長さ方向の一端が、保持部材13の上面に当接される。スプリング15は、長さ方向の他端が、後述する調整部材17と当接することによって、長さ方向に縮むように弾性変形される。このため、保持部材13は、スプリング15の弾性変形からの復元力によって、収容部29内で下方に向けて移動するように、スプリング15に押圧される。このとき、荷重孔39の上方に位置する内面は、スプリング15による径方向の一方向Xからの荷重によって、軸部31の上方に位置する外面に強く当接される。また、スペーサ7Rの軸孔27の下方に位置する内面は、スプリング15の一方向Xからの荷重によって発生する反力である軸孔27による一方向Xと相反する径方向の他方向Yからの荷重によって、軸部31の下方に位置する外面に強く当接される。このため、軸部31は、径方向内側に向けた一方向Xと他方向Yからの荷重によって、荷重孔39と軸孔27とで径方向内側に挟まれた状態となり、ルーバ9が回動するときに、軸部31と軸孔27及び荷重孔39との間に摺動抵抗が発生する。すなわち、スプリング15は、軸部31に対して、軸孔27と荷重孔39とで径方向に挟み込むように、剪断方向の荷重を付与し、軸部31と軸孔27及び荷重孔39との間に摺動抵抗を発生させる。発生された摺動抵抗は、操作者がルーバ9を操作するときの操作荷重となり、操作者に対して、操作フィーリングを付与する。また、スプリング15は、軸部31に対して、軸孔27と荷重孔39とで径方向に挟み込む剪断方向の荷重を付与する。このため、スプリング15が、軸部31と軸孔27のみ、或いは軸部31と荷重孔39のみのように一方向に荷重を付与する場合に比較して、軸部31に付与する荷重を安定させることができ、操作フィーリングを安定化することができる。
【0021】
ここで、スプリング15のような荷重付与部材を用いていない場合には、例えば、スペーサ7R,7Lの軸孔27とルーバ9の軸部31との間で発生する摺動抵抗を、ルーバ9の操作フィーリングとして利用していた。しかしながら、軸孔27と軸部31との摺動では、例えば、製造公差などによって、軸部31が、軸孔27の内面に片当たりするなど、所望のルーバ9の操作フィーリングを得られないことがあった。そこで、スプリング15のような荷重付与部材を用いることにより、製造公差などを吸収することができ、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0022】
ところで、従来の荷重付与部材は、ルーバ9に、直接、接触して摺動する部材であった。荷重付与部材が、ルーバ9と摺動すると、摺動によって、荷重付与部材が付与するルーバ9の操作荷重が変化する可能性があった。
【0023】
これに対して、荷重付与部材としてのスプリング15は、保持部材13に当接され、ルーバ9の軸部31とスペーサ7Rの軸孔27及び保持部材13の荷重孔39との間に摺動抵抗を付与する。このため、スプリング15は、ルーバ9(軸部31)に、直接、摺動することがなく、スプリング15がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。
【0024】
ここで、スプリング15のような弾性体は、例えば、経年劣化などによって、弾性変形力が変化(低下)することがある。スプリング15の弾性変形力が変化してしまうと、ルーバ9の操作荷重が変化し、予め設定した所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができなくなってしまう。そこで、スプリング15の弾性変形力は、調整部材17によって調整可能となっている。
【0025】
図1~
図3,
図6に示すように、調整部材17は、軸状に形成された挿入部43と、挿入部43と連続する一部材で形成された固定部45とを有する。挿入部43は、スプリング15の内部に挿入される。挿入部43がスプリング15に挿入された状態では、スプリング15の長さ方向の端部が固定部45に当接される。
【0026】
固定部45は、ケーシング5の調整孔23を挿通可能な大きさの円柱状に形成されている。固定部45は、複数(ここでは3つ、或いは4つ)の大径部47と、複数(ここでは2つ、或いは3つ)の小径部49とを有する。複数の大径部47は、調整孔23への挿通方向に沿ってケーシング5の壁部の肉厚と同等、或いは僅かに広い間隔で離間して設けられている。複数の大径部47のうちスプリング15側に配置された大径部47は、スプリング15の端部に当接され、スプリング15を縮めるように弾性変形させる。複数の小径部49は、それぞれケーシング5の固定孔25に挿入可能な径を有し、隣り合う大径部47,47の軸心部分で隣り合う大径部47,47を連結している。固定部45は、小径部49を固定孔25に挿入させることにより、隣り合う大径部47,47の間に挟まれるように、ケーシング5の壁部が配置され、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を固定する。固定部45の大径部47と小径部49とは、複数設けられているので、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置が変動可能となっている。なお、固定部45では、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置の固定が、2箇所、或いは3箇所となっているが、これに限らず、4箇所以上としてもよい。
【0027】
スプリング15の弾性変形からの復元力を増大させたい場合には、
図3に示すように、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を、スプリング15を縮めるような位置に変動させる。一方、スプリング15の弾性変形からの復元力を減少させたい場合には、
図2に示すように、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を、スプリング15を伸ばすような位置に変動させる。調整部材17によってスプリング15の弾性変形力を調整することにより、ルーバ9の軸部31とスペーサ7Rの軸孔27及び保持部材13の荷重孔39との間の摺動抵抗を調整することができ、ルーバ9の操作荷重を調整することができる。すなわち、調整部材17は、スプリング15が付与する剪断方向の荷重を調整し、ルーバ9の操作荷重を調整する。このため、予め設定したスプリング15が付与する操作荷重が変化したとしても、調整部材17でスプリング15が付与する操作荷重を調整することにより、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0028】
ここで、保持部材13とスプリング15と調整部材17の一部とは、ケーシング5の内部に配置され、調整部材17の固定部45が、ケーシング5の調整孔23に配置されている。このため、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を、ケーシング5の外部から変動させることができ、容易にルーバ9の操作荷重を調整することができる。
【0029】
なお、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を変動させる構造は、固定孔25と固定部45との構造に限るものではない。例えば、調整部材17において、固定部45を全て大径部47で形成された円柱部分とし、円柱部分の外周面に雄ねじを形成する。ケーシング5の調整孔23の内面に、調整部材17の雄ねじが螺合される雌ねじを形成する。調整部材17を回転させて、ケーシング5に対する調整部材17の配置位置を変動させてもよい。また、ケーシング5の調整孔23の内縁に係合可能な複数の係合部を、調整部材17の固定部45の長さ方向に沿って設けるなど、ケーシング5に対して調整部材17の配置位置を変動させることができれば、どのような構造であってもよい。
【0030】
なお、保持部材13は、1つのルーバ9の軸部31が挿通される1つの荷重孔39を有しているが、これに限るものではない。例えば、
図7に示すように、保持部材13は、複数(ここでは2つ)のルーバ9の軸部31が挿通される複数(ここでは2つ)の荷重孔39を有してもよい。加えて、不図示であるが、全てのルーバ9に対して、保持部材13を移動可能に配置し、保持部材13に、全てのルーバ9の軸部31に対応する複数の荷重孔39を設けてもよい。
【0031】
また、保持部材13は、複数のルーバ9のうち最も上側に位置するルーバ9に対応して配置されているが、これに限るものではない。例えば、
図8に示すように、保持部材13は、複数のルーバ9のうち最も下側に位置するルーバ9に対応して配置してもよい。
【0032】
このような風向調整装置1では、軸部31を介して回動可能に配置され、回動により風向きを調整するルーバ9を備えている。また、軸部31が挿通される軸孔27が設けられ、ルーバ9を回動可能に支持する支持部材としてのスペーサ7Rを備えている。さらに、軸部31に対して、径方向の一方向Xから荷重を付与し、軸孔27から軸部31に対して、径方向の一方向Xと相反する他方向Yから荷重を付与させる荷重付与部材としてのスプリング15を備えている。そして、スプリング15が付与する荷重を調整可能な調整部材17を備えている。
【0033】
スプリング15は、軸部31に対して、径方向の一方向Xと他方向Yとから挟み込むように荷重を付与し、ルーバ9に操作荷重を付与する。このため、スプリング15が、径方向の一方の方向のみから荷重を付与する場合に比較して、軸部31に付与する荷重を安定させることができ、操作フィーリングを安定化することができる。また、予め設定したスプリング15が付与する操作荷重が変化したとしても、調整部材17でスプリング15が付与する操作荷重を調整することにより、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0034】
従って、このような風向調整装置1では、ルーバ9の操作フィーリングを安定化することができる。
【0035】
また、軸部31が挿通される荷重孔39が設けられ、軸部31の軸方向と交差する方向に移動可能に配置された保持部材13を備えている。そして、スプリング15は、保持部材13を移動させるように押圧して、荷重孔39から軸部31に対して、一方向Xから荷重を付与する。
【0036】
このため、スプリング15は、ルーバ9(軸部31)に、直接、摺動することがなく、スプリング15がルーバ9に付与する操作荷重が変化することを抑制することができる。
【0037】
また、スプリング15は、圧縮する方向の弾性変形からの復元力により保持部材13を押圧する弾性体である。そして、調整部材17は、スプリング15の保持部材13と反対側に当接され、配置位置を変動することによりスプリング15の弾性変形力を調整する。
【0038】
このため、調整部材17の配置位置を変動させることにより、スプリング15の弾性変形からの復元力を調整することができる。スプリング15の弾性変形からの復元力を調整することにより、ルーバ9の操作荷重を調整でき、所望のルーバ9の操作フィーリングを得ることができる。
【0039】
また、ルーバ9と保持部材13とスプリング15とは、ケーシング5の内部に配置されている。さらに、ケーシング5には、内部と外部とに連通された調整孔23が設けられている。そして、調整部材17は、調整孔23を介して配置位置が変動可能である。
【0040】
このため、調整部材17の配置位置を、ケーシング5の外部から調整孔23を介して変動することができ、容易にルーバ9の操作荷重を調整することができる。
【0041】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、本実施形態に係る風向調整装置では、ルーバが、上下方向の風向きを調整しているが、これに限らず、ルーバを、左右方向の風向きを調整するように配置してもよい。加えて、ルーバは、3つとなっているが、これに限らず、2つ、或いは4つ以上としてもよい。
【0043】
また、荷重付与部材としての弾性体は、スプリングとなっているが、これに限らず、例えば、ゴムなどの弾性体を、荷重付与部材としてもよい。
【0044】
さらに、支持部材としてのスペーサには、ルーバの軸部が挿通される軸孔が設けられているが、これに限らず、支持部材としてのケーシングに、ルーバの軸部が挿通される軸孔を設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 風向調整装置
5 ケーシング
7R スペーサ(支持部材)
9 ルーバ
11 リンク部材
13 保持部材
15 スプリング(荷重付与部材)
17 調整部材
23 調整孔
27 軸孔
31 軸部
39 荷重孔
X 一方向
Y 他方向