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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152152
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ルーフウェザストリップの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/82 20160101AFI20241018BHJP
   B60J 10/27 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/24 20160101ALI20241018BHJP
   B60J 10/16 20160101ALI20241018BHJP
【FI】
B60J10/82
B60J10/27
B60J10/24
B60J10/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066183
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】倉知 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】柴田 泰三
(72)【発明者】
【氏名】麦島 悟司
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA01
3D201AA12
3D201AA40
3D201CA38
3D201DA08
3D201DA23
3D201DA36
3D201EA11
(57)【要約】
【課題】開閉可能な可動パネルと、固定パネルを備えた開口部を有する自動車のルーフにおいて、室内高を高くするためのルーフウェザストリップの取付構造を提供する
【課題を解決するための手段】
樹脂製の固定パネルである第2パネル12には、鋭角の傾斜面40が形成され、第2パネル12の車両下方には、ハウジング50が配設され、ルーフウェザストリップ20は、断面が略U字形状の取付基部21と中空シール部22を有し、取付基部21には、膨出部30が形成され、傾斜面40の下方のハウジング50には、車両上方に突出するウェザストリップ取付部52が形成され、取付基部21は、ウェザストリップ取付部52に取付けられ、中空シール部22は、可動パネルである第1パネル11に当接し、膨出部30は、傾斜面40に当接する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフには少なくとも2枚のパネルが配設され、
第1パネルは、前記ルーフの開口部を開閉可能に構成された可動パネルであり、
第2パネルは、前記第1パネルの車両前方又は後方に隣接して固定して配置された樹脂製の固定パネルであり、
前記第2パネルの前記第1パネル側の第2パネル端部には、車両上下方向において、前記第1パネル側から車両下方向に鋭角の傾斜面が形成され、
前記第2パネルの車両下方には、ハウジングが配設され、
前記傾斜面の下方の前記ハウジングには、車両上方に突出するウェザストリップ取付部が形成され、
ルーフウェザストリップは、断面が略U字形状の取付基部と、前記取付基部に接続する中空シール部を有し、
前記取付基部には、膨出部が形成され、
前記取付基部は、前記ウェザストリップ取付部に取付けられ、
前記中空シール部は、前記第1パネルに当接し、前記膨出部は、前記第2パネルの前記傾斜面に当接することを特徴とするルーフウェザストリップの取付構造。
【請求項2】
前記ハウジングの前記ウェザストリップ取付部は、車両上方が前記第1パネル側に傾斜して形成されている請求項1に記載のルーフウェザストリップの取付構造。
【請求項3】
前記中空シール部において、前記取付基部との接続部分には、前記ハウジングに当接するリップが形成されている請求項1又は請求項2に記載のルーフウェザストリップの取付構造。
【請求項4】
前記膨出部、前記リップの硬度は、前記中空シール部の硬度以下である請求項3に記載のルーフウェザストリップの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な可動パネルと、固定パネルを備えた開口部を有する車両のルーフにおいて、固定パネルに取付けられ、可動パネルの端部との間をシールするルーフウェザストリップの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉可能な可動パネルと、固定パネルを備えた開口部を有する自動車のルーフにおいて、固定パネル側に取付けられ、可動パネルの端部との間をシールするルーフウェザストリップの取付構造としては、例えば、特許文献1乃至特許文献3に記載されたものが知られている。図4は、特許文献1に記載された技術である。ルーフ装置100は、ルーフパネル110の開口部を開閉する可動パネル120と、ルーフパネル110の開口縁と可動パネル120との間に設けられてこれら開口縁と可動パネル120との間をシールするルーフウェザストリップ200とを備えている。ルーフパネル110の開口縁はルーフパネル本体130から鉛直方向下方に延びるフランジ部140を含む。ルーフウェザストリップ200はフランジ部140を内包する取付基部210を有する。又、ルーフパネル110に取り付けられて可動パネル120を支持するガイドレール150にはルーフウェザストリップ200の取付基部210を挟持する挟持部160が設けられる。上記の構成にすることにより、組み付け後のルーフウェザストリップ200が挟持部を通じて安定して保持されるので、ルーフウェザストリップ200の信頼性を向上させることができるようになる。
【0003】
図5は、特許文献2に記載された技術である。ルーフウェザストリップ200は、固定パネル170を取付ける固定ベースパネル180の先端部に取付けられる取付基部210と、可動パネル120に当接するシール部190を有する。取付基部210は、固定ベースパネル180の先端部に係合するパネル係合部230と、固定パネル170の先端部に取付けられたパネルリム240に係合するリム係合部250を有する。パネル係合部230は取付基部210の下面側に形成され、リム係合部250は取付基部210の上面側に形成される。上記の構成にすることにより、取付基部210の先端側の側部がパネル係合部230により固定ベースパネル180の先端に係合し、取付基部210の固定パネル170側のリム係合部250がパネルリム240に係合して、取付基部210の両側の側端を確実に取付けることができる。
【0004】
図6は、特許文献3に記載された技術である。ルーフウェザストリップ200は、第1ウェザストリップ部270と、第2ウェザストリップ部280と、第1ウェザストリップ部270と第2ウェザストリップ部280を一体的に結合する連結部290を有する。又、連結部290上方に突出し、かつ、長手方向に伸びる凸状部320を形成して、スライディングルーフパネル330と固定ルーフパネル260との間をシールする。第1ウェザストリップ部270と、第2ウェザストリップ部280の下方には、両面接着テープ300が貼り付けられ、この両面接着テープ300により、ルーフウェザストリップ200がベースプレート340に取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-62023号公報
【特許文献2】特開2013-199143号公報
【特許文献3】特開2010-260394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開閉可能な可動パネルと、固定パネルを備えた開口部を有する自動車のルーフにおいては、ルーフに開閉可能な可動パネルを有しない車両に比較して、車内の空間を示す指標の一つである室内高、すなわち、車両の中心部付近における平坦な床面より天井内張りまでの垂直最大距離が10mmから30mm程度短くなっている。そのため、特に身長の高い人にとっては、ヘッドクリアランスが小さい旨の不満の指摘が報告されている。
【0007】
又、近年、急速に拡大する電気自動車(EV)では、床下にバッテリーを搭載する場合が多く、その分床面が上方に位置し、それに伴い座面も上方に移動するので、乗車する人のヘッドクリアランスがさらに小さくなる。したがって、ルーフに開閉可能な可動パネルを有する車両では、ヘッドクリアランスの狭小が顕著な問題となる可能性がある。
【0008】
又、車両の軽量化の観点から、パネルの樹脂化、ルーフウェザストリップの取付部分の小型化も重要である。さらに、樹脂パネルに接着でルーフウェザストリップを取付ける場合には、樹脂パネル表面の脱脂処理やプライマー加工が必要であり、組付け時の作業性が悪い。又、両面接着テープの場合、テープの劣化によりパネルやルーフウェザストリップからの剥がれによる水漏れや、ルーフウェザストリップが剥がれることによるパネル作動不良も問題になる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、車両のルーフには少なくとも2枚のパネルが配設され、第1パネルは、ルーフの開口部を開閉可能に構成された可動パネルであり、第2パネルは、第1パネルの車両前方又は後方に隣接して固定して配置された樹脂製の固定パネルであり、第2パネルの第1パネル側の第2パネル端部には、車両上下方向において、前記第1パネル側から車両下方向に鋭角の傾斜面が形成され、第2パネルの車両下方には、ハウジングが配設され、傾斜面の下方のハウジングには、車両上方に突出するウェザストリップ取付部が形成され、ルーフウェザストリップは、断面が略U字形状の取付基部と、取付基部に接続する中空シール部を有し、取付基部には、膨出部が形成され、取付基部は、ウェザストリップ取付部に取付けられ、中空シール部は、第1パネルに当接し、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接することを特徴とするルーフウェザストリップの取付構造である。
【0010】
請求項1の本発明では、第1パネル側から車両下方向に鋭角の傾斜面が形成され、第2パネルの車両下方には、ハウジングが配設され、ルーフウェザストリップは、断面が略U字形状の取付基部と、取付基部に接続する中空シール部を有し、取付基部には、膨出部が形成され、傾斜面の下方のハウジングには、車両上方に突出するウェザストリップ取付部が形成され、取付基部は、ウェザストリップ取付部に取付けられるので、ルーフウェザストリップを接着によって取付ける場合に比較して、取付け時の作業性が向上し、又、接着による取付け後の劣化に伴う不具合を解消することができる。
【0011】
又、第2パネルに傾斜面が形成されることにより、第2パネルと第1パネル端部との間に新たな空間が形成されるので、ウェザストリップ取付部の先端が第2パネルと第1パネルに干渉しない領域が形成される。このため、取付基部の位置を車両上方に移動することができ、ルーフに開閉可能な可動パネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、室内高を長くすることができる。
又、第2パネル12は、樹脂製であるので、軽量化を図ることができる。
【0012】
又、中空シール部は、第1パネルに当接し、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接するので、第1パネルと第2パネル間から、車内側に水が浸入することを防止することができる。なお、中空シール部は、第2パネルの傾斜面にも当接してよい。
【0013】
ところで、第1パネルは開閉可能であるが、第1パネルが閉まった状態、つまり、第1パネルと中空シール部が当接した状態で放置される時間が、一般的に長い。そのため、中空シール部と第1パネルの端部が固着する場合があり、中空シール部と第1パネルの端部が固着した状態で第1パネルを開くと、中空シール部が車両の前後方向に引張られ、それに伴い、中空シール部と接続する取付基部の断面略U字形状の開口側が拡がり、この拡がりが大きくなると、取付基部がウェザストリップ取付部から抜ける可能性がある。
【0014】
上記の場合においても、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接しているので、中空シール部と第1パネルの端部が固着した状態で第1パネルを開いた時も、取付基部がウェザストリップ取付部から抜けることを防止し、且つ上記固着状態を解消することができる。
【0015】
ここで、「可動パネル」とは、車両のルーフに形成された開口部を開閉可能に、車両の前後方向に移動可能なパネルをいう。又、「固定パネル」とは、車両ルーフに取付けられ、車両の前後方向には移動しないパネルをいう。なお、固定パネルには、可動パネルが開口部を開く時に、固定パネルの可動パネル側が車両の上方に移動する動作が含まれる。
【0016】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、ハウジングのウェザストリップ取付部は、車両上方が第1パネル側に傾斜して形成されているルーフウェザストリップの取付構造である。
【0017】
請求項2の本発明では、ハウジングのウェザストリップ取付部は、車両上方が第1パネル側に傾斜して形成されているので、ウェザストリップ取付部の車両上下方向の長さを短くすることができる。その結果、取付基部の位置をさらに車両上方とすることができ、ルーフに開閉可能な可動パネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、室内高をさらに長くすることができる。
【0018】
又、車両上方が第1パネル側に傾斜しているので、取付基部のウェザストリップ取付部への取付性が向上する。
【0019】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、中空シール部の取付基部との接続部分には、ハウジングに当接するリップが形成されているルーフウェザストリップの取付構造である。
【0020】
請求項3の本発明では、中空シール部の取付基部との接続部分には、ハウジングに当接するリップが形成されているので、可動パネルである第1パネルを開いた時に、中空シール部に付着した水が、中空シール表面を下方に伝った場合や、この水が下方で跳ね返った場合に、取付基部とハウジング間の止水性能を向上させることができる。
【0021】
又、中空シール部と第1パネルの端部が固着した状態で第1パネルを開いた時に、中空シール部が第1パネル側に引っ張られ、取付基部の断面略U字形状の開口側が拡がる方向に力が作用した場合、リップがハウジングに対して踏ん張ることにより、取付基部の開口側が拡がることを抑制することができる。
【0022】
請求項4の本発明は、請求項3の発明において、膨出部、リップの硬度は、中空シール部の硬度以下である。
【0023】
請求項4の本発明では、膨出部、リップの硬度は、中空シール部の硬度以下であるので、中空シール部より変形し易く、膨出部においては、取付基部が、傾斜面とハウジングに挟まれた時に、撓むことにより、ルーフウェザストリップの取付基部をハウジングのウェザストリップ取付部に確実に固定することができる。又、傾斜面との間の止水性能を向上させることができる。
【0024】
一方、リップにおいては、撓んでハウジングに当接するので、取付基部とハウジング間の止水性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
車両のルーフには少なくとも2枚のパネルが配設され、第1パネルは、ルーフの開口部を開閉可能に構成された可動パネルであり、第2パネルは、第1パネルの車両前方又は後方に隣接して固定して配置された樹脂製の固定パネルであり、第2パネルの第1パネル側の第2パネル端部には、車両上下方向において、第1パネル側から車両下方向に鋭角の傾斜面が形成され、第2パネルの車両下方には、ハウジングが配設され、傾斜面の下方のハウジングには、車両上方に突出するウェザストリップ取付部が形成され、ルーフウェザストリップは、断面が略U字形状の取付基部と、取付基部に接続する中空シール部を有し、取付基部には、膨出部が形成され、取付基部は、ウェザストリップ取付部に取付けられ、中空シール部は、第1パネルに当接し、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接するので、ルーフウェザストリップを接着によって取付ける場合に比較して、取付け時の作業性が向上し、又、接着による取付け後の劣化に伴う不具合を解消することができる。
【0026】
又、第2パネルに傾斜面が形成されることにより、第2パネルと第1パネル端部との間に新たな空間が形成されるので、ウェザストリップ取付部の先端が第2パネルと第1パネルに干渉しない領域が形成される。このため、取付基部の位置を車両上方に移動することができ、ルーフに開閉可能な可動パネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、室内高を長くすることができる。又、第2パネル12は、樹脂製であるので、軽量化を図ることができる。
【0027】
又、中空シール部は、第1パネルに当接し、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接するので、第1パネルと第2パネル間から、車内側に水が浸入することを防止することができる。
【0028】
又、膨出部は、第2パネルの傾斜面に当接しているので、中空シール部と第1パネルの端部が固着した状態で第1パネルを開いた時も、膨出部と傾斜面との当接により、取付基部の断面略U字形状の開口側が拡がることを抑制し、ウェザストリップ取付部から抜けることを防止し、且つ固着状態を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】車両のルーフを車両上方から見た時の平面図である。
図2】本発明の実施形態におけるルーフウェザストリップの断面図である。
図3】本発明の実施形態におけるルーフウェザストリップを第2パネルの下方に配設されたハイジングに取付け、第1パネルを閉じた時の図1におけるA-A断面図である。
図4】従来形態を示す断面図である(特許文献1)。
図5】従来形態を示す断面図である(特許文献2)。
図6】従来形態を示す断面図である(特許文献3)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を図1から図3に基づいて説明する。なお、以下では、車両1の前後方向を「前後方向」といい、車両1の高さ方向の上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。又、車両1の幅方向を「幅方向」という。
【0031】
図1は、車両1のルーフ2をルーフ2の上方から見た時の平面図である。車両1は、セダンタイプの自動車であり、ルーフ2は、前後方向にパネルで4分割され、第1パネル11は可動パネルであり、第2パネル12、第3パネル13、第4パネル14は固定パネルである、所謂、パノラマルーフ(パノラマムールーフ)と呼ばれるタイプである。第1パネル11と第3パネル13は、ガラス板からなり、ガラス板の車内側のカバーを移動させることにより、広い領域で車内の開放感を高めたり、光を車内に取り込むことができる。なお、車両1はセダンタイプの自動車には限定されず、ルーフ2もパノラマルーフタイプには限定されない。
【0032】
第1パネル11は、開口部10を開閉可能に取り付けられている。すなわち、第1パネル11は、その前方部位を支点に後方部位が上昇するチルトアップ動作、及び前後方向へのスライド動作可能に取り付けられている。第1パネル11による開閉作動においては、チルトアップ状態のままスライド動作する、いわゆるアウタースライディング式が採用されている。なお、第1パネル11には、その周縁部に沿う、ポリウレタンの樹脂材からなる略四角環状であり、第2パネル12側の端部に該当する第1パネル縁部11aが形成されている。なお、第1パネル縁部11aの樹脂材はポリウレタンには限られない。
【0033】
一方、第2パネル12は、第1パネル11の前方に位置し、開口部10の前部を閉塞するように取り付けられている。第2パネル12は、第1パネル11が後方に移動した時に、車内への風の侵入を調整するために、第1パネル11側が上方に持ち上がる構成になっている。なお、第2パネル12は、第1パネル11側が上方に持ち上がらない構成であってもよい。
【0034】
図2は、ルーフウェザストリップ20の断面図である。ルーフウェザストリップ20は、取付基部21と取付基部21に接続する中空シール部22を有している。取付基部21は、第1縦辺部23と第2縦辺部24が連結部25で繋がった断面略U字状をなしている。又、第1縦辺部23の第1先端部26は、第2縦辺部24と反対側に突出している。なお、第1縦辺部23は、第1先端部26を形成せず、第2縦辺部24と同様な形状としてもよい。
又、後述するウェザストリップ取付部52(図3)との間に隙間がある時には、第1縦辺部23、第2縦辺部24の内側に、舌状のリップや弧形状のリブを形成してもよい。
【0035】
中空シール部22は、2つの端部である第1端部28と第2端部29で取付基部21に連結しており、断面略D字状をなしている。第1端部28は、取付基部21の連結部25に接続されている。又、第2端部29は、取付基部21の第1縦辺部23に接続されている。又、中空シール部22のD形状は、取付基部21の第1先端部26から上方であり、且つ連結部25より上方に膨らむ形状である。
【0036】
膨出部30は、取付基部21の第2縦辺部24と連結部25に跨り、中空シール部22とは逆方向、斜め上方に弧形状に膨らんで形成されている。膨出部30の取付基部21の第2縦辺部24との接続部分は、第2縦辺部24の第2先端部27方向に向かって厚みがなだらかに減少している。
【0037】
又、膨出部30の連結部25側は、中空シール部22の第1端部28に連結して形成されている。なお、膨出部30の連結部25側は、中空シール部22の第1端部28とは離れて形成されていてもよい。
【0038】
中空シール部22の第2端部29近傍には、下方に、且つ取付基部21の第1縦辺部23から離れる方向であり、下方に凸状に延びる舌形状のリップ31が形成されている。
【0039】
ルーフウェザストリップ20は、押出成形により図2の断面が連続して成形される。ルーフウェザストリップ20の材料には、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)を使用し、取付基部21はソリッド材、中空シール部22と膨出部30とリップ31はスポンジ材を使用した。ソリッド材の硬度は、国際ゴム硬度(IRHD)60以上である。又、中空シール部22の比重は、0.4以上1.0以下である。本実施形態では、中空シール部22と膨出部30とリップ31は、同じ硬度のスポンジ材を使用した。なお、膨出部30とリップ31の硬度は、膨出部30における傾斜面40(図3)との当接、リップ31におけるハウジング50(図3)との当接における撓み易さの観点で、中空シール部22の硬度以下とすることが望ましい。
【0040】
図3は、ルーフウェザストリップ20を第2パネル12の下方に配設されたハウジング50に取付け、第1パネル11を閉じた時の図1におけるA-A断面図である。図1の第2パネル12は樹脂製である。第2パネル12において、第1パネル11側の第2パネル端部15には、第1パネル11側から下方向に鋭角の傾斜面40が形成されている。本実施形態では、第2パネル上面12aと傾斜面40との間の角度は30度である。
【0041】
第2パネル上面12aと傾斜面40との間の角度は、15度から45度が望ましい。角度が15度未満の場合は、傾斜面40の長さは確保できるが、第2パネル端部15の強度が不足するので望ましくない。又、角度が45度を越えると第2パネル端部15の強度は問題ないが、第1パネル11と第2パネル12間の隙間を従来と同等に維持しつつ、室内高を長くする効果、膨出部30と傾斜面40との当接、膨出部30と中空シール部22による第1パネル11と第2パネル12間の止水効果を奏する空間を確保することができなくなるので望ましくない。
【0042】
ハウジング50には、第1パネル11方向において、下方に約15度傾斜したハウジング傾斜部51が形成されている。又、ハウジング傾斜部51の先端部分は、ハウジング傾斜部51に対して90度折れ曲がり、下方に延設されている。なお、ハウジング傾斜部51を形成することなく、取付基部21が後述するウェザストリップ取付部52に取付けられるの場合は、ハウジング傾斜部51は、傾斜を有さず、第2パネル12に平行であってもよい。又、下方に傾斜する場合の角度は15度には限定されない。
【0043】
ハウジング傾斜部51の先端部分より前方であり、第2パネル12の傾斜面40の下方には、ハウジング傾斜部51の上方側に突出し、ハウジング傾斜部51に対する垂直から第1パネル11側に約5度傾斜したウェザストリップ取付部52が形成されている。上記のハウジング傾斜部51の傾斜の角度と合わせると、ウェザストリップ取付部52の第2パネル上面12aから垂直に下した線に対する第1パネル11側への傾斜の角度は、約18度である。ウェザストリップ取付部52の長さは、取付基部21の開口の深さより長く形成されている。又、ウェザストリップ取付部52の厚さは、取付基部21の開口の幅と同じである。なお、ウェザストリップ取付部52のハウジング傾斜部51に対する垂直からの傾斜は、5度には限定されない。
【0044】
図3に示すように、ルーフウェザストリップ20の取付基部21をハウジング50のウェザストリップ取付部52に取付け、ハウジング50の上方に第2パネル12が配設されると、膨出部30は、第2パネル12の傾斜面40に撓んで当接する。又、リップ31は、ハウジング傾斜部51に撓んで当接する。
【0045】
第1パネル11が閉まると、ルーフウェザストリップ20の中空シール部22が第1パネル11の第1パネル縁部11aに押されて変形し、中空シール部22は、第1パネル11の第1パネル縁部11aと第2パネル12の傾斜面40に当接する。なお、第2パネル12の傾斜面40とルーフウェザストリップ20間の止水効果は、膨出部30によって達成されるので、中空シール部22は、第2パネル12の傾斜面40に当接しなくてもよい。
【0046】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ルーフウェザストリップ20は、断面が略U字形状の取付基部21と、取付基部21に接続する中空シール部22を有し、取付基部21は、ハウジング50に形成されたウェザストリップ取付部52に取付けられるので、ルーフウェザストリップ20の接着による取付けに比較して、取付け時の作業性が向上し、又、接着による取付け後の劣化に伴う不具合を解消することができる。
【0047】
(2)本実施形態では、中空シール部22は、第1パネル11に当接し、膨出部30は、第2パネル12の傾斜面40に当接するので、第1パネル11と第2パネル12間から、車内側に水が浸入することを防止することができる。又、膨出部30は、第2パネル12の傾斜面40に当接しているので、中空シール部22と第1パネル11の第1パネル縁部11aが固着した状態で第1パネル11を開いた時も、膨出部30と傾斜面40との当接により、取付基部21がウェザストリップ取付部52から抜けることを防止し、且つ固着状態を解消することができる。
【0048】
(3)本実施形態では、第2パネル12に傾斜面40が形成されることにより、第2パネル12と第1パネル11との間に新たな空間が形成されるので、ウェザストリップ取付部52の先端が第2パネル12と第1パネル11に干渉しない領域が形成される。このため、取付基部21の位置を上方に移動することができ、ルーフ2に開閉可能な可動パネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両において、室内高を長くすることができる。
【0049】
(4)本実施形態では、ハウジング50のウェザストリップ取付部52は、車両上方が第1パネル11側に傾斜して形成されているので、ウェザストリップ取付部52の上下方向の長さを短くすることができる。したがって、取付基部21の位置をさらに上方とすることができるので、ルーフ2に開閉可能な可動パネルと、固定されたパネルを備えた開口部を有する車両1において、室内高をさらに、長くすることができる。又、ウェザストリップ取付部52の上方が第1パネル11側に傾斜しているので、取付基部21のウェザストリップ取付部52への取付性が向上する。
【0050】
(5)本実施形態では、膨出部30の連結部25側は、中空シール部22の第1端部28に連結して形成されているので、中空シール部22の第1端部28と連結部25の接続強度を高めることができる。
【0051】
(6)本実施形態では、中空シール部22の取付基部21との接続部分には、ハウジング50のハウジング傾斜部51に当接するリップ31が形成されているので、可動パネルである第1パネル11を開いた時に、中空シール部22に付着した水が、中空シール部22表面を下方に伝った場合や、この水が下方で跳ね返った場合にも、取付基部21とハウジング50間に水が浸入することを防止することができる。又、中空シール部22と第1パネル11の第1パネル縁部11aが固着した状態で第1パネルを開いた時に、中空シール部22が第1パネル11側に引っ張られ、取付基部21の断面略U字形状の開口側が拡がる方向に力が作用した場合、リップ31がハウジング50に対して踏ん張ることにより、取付基部21の開口側が拡がることを抑制することができる。
【0052】
(7)本実施形態では、第2パネル12は、樹脂製であるので、軽量化を図ることができる。
【0053】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0054】
ルーフウェザストリップ20を構成する材料としては、EPDMの他に、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂等で形成することができる。熱可塑性エラストマーとしては、TPVの他、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が耐候性、リサイクル、コスト等の観点から望ましい。
【符号の説明】
【0055】
10 ルーフ
11 第1パネル
11a 第1パネル縁部
12 第2パネル
20 ルーウェザストリップ
21 取付基部
22 中空シール部
30 膨出部
31 リップ
50 ハウジング
52 ウェザストリップ取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6