(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152158
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】無線アクセス方法及び無線端末
(51)【国際特許分類】
H04W 72/20 20230101AFI20241018BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20241018BHJP
H04W 72/50 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
H04W72/20
H04W16/14
H04W72/50 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066192
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】中村 道春
(72)【発明者】
【氏名】松村 武
(72)【発明者】
【氏名】沢田 浩和
(72)【発明者】
【氏名】表 昌佑
(72)【発明者】
【氏名】森山 雅文
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA03
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067HH21
5K067JJ12
(57)【要約】
【課題】指向性アンテナが多用されるミリ波・THz波におけるアンライセンスドバンドでの無線アクセス方式について、隠れ端末問題を回避し、効率的な無線チャネルアクセスが可能な無線アクセス方法及び無線端末を提供する。
【解決手段】複数の無線端末が周波数を共有して通信を行うための無線アクセス方法であって、第1無線端末は、受信を行うことを予定する無線リソースを特定し、特定された無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを送信し、第2無線端末は、前記第1無線端末により送信されたパケットを受信して前記第1無線端末が受信を行うことを予定している無線リソースの情報を抽出した場合、当該無線リソースを、送信を行う無線リソースの選択範囲から除外した残りから1つ又は複数の無線リソースを選択して送信を行うことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線端末が周波数を共有して通信を行うための無線アクセス方法であって、
第1無線端末は、受信を行うことを予定する無線リソースを特定し、特定された無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを送信し、
第2無線端末は、前記第1無線端末により送信されたパケットを受信して前記第1無線端末が受信を行うことを予定している無線リソースの情報を抽出した場合、当該無線リソースを、送信を行う無線リソースの選択範囲から除外した残りから1つ又は複数の無線リソースを選択して送信を行うこと
を特徴とする無線アクセス方法。
【請求項2】
前記第1無線端末が受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信する際に使用するアンテナの指向性は、前記受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性と同一又は等価であること
を特徴とする請求項1記載の無線アクセス方法。
【請求項3】
前記第1無線端末が受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性は、前記第1無線端末の通信の相手方に向けられた指向性であること
を特徴とする請求項1又は2記載の無線アクセス方法。
【請求項4】
他の無線端末と周波数を共有して通信を行う無線端末であって、
パケットを送信するための無線リソースを選択する範囲、および、その選択範囲内の無線リソースのうち、前記他の無線端末が受信を予定する無線リソースの有無を検出するために前記他の無線端末が送信する無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを受信するための無線リソース範囲を設定し、前記無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを受信するための無線リソース範囲で受信を行い、検出された前記他の無線端末が受信を予定する無線リソースを、送信を行うための無線リソースの選択範囲から除外し、その残りの無線リソース選択範囲から1つあるいは複数の無線リソースを選択し、選択した無線リソースにおいて、パケットを送信すること
を特徴とする無線端末。
【請求項5】
前記パケットの送信をする際に、受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信すること
を特徴とする請求項4記載の無線端末。
【請求項6】
前記受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信する際に使用するアンテナの指向性は、前記受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性と同一あるいは等価であること
を特徴とする請求項5記載の無線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線アクセス方法及び無線端末に関し、特にPCや携帯端末、IoT端末、及び、それらと接続するアクセスポイント、無線基地局相互間の無線通信に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機が電話線で接続されている場所にとらわれず、移動しながらでも音声通話を行うことのできるシステムとして開発されたセルラ無線通信システムは、現在、音声通話のためだけでなく、情報通信を活用した多種多様なサービスを利用するために用いられている。さらには、人間が手元の端末によりサービスを利用するだけでなく、各種センサーや産業機械の遠隔操作など産業分野での利用も広がっている。
【0003】
一方、オフィスや家庭でパーソナルコンピュータを手軽にコンピュータ間ネットワークに接続するために開発された無線LAN(Local area network)も、情報通信を活用した多種多様なサービスを利用する際に用いられている。このため、セルラ無線通信システム及び無線LANは、通信が行われる地理的場所の広がりや通信を利用可能にする契約形態に差異があるものの、情報通信を活用したサービス利用の観点では垣根のないものとなっている。
【0004】
情報通信を活用したサービスについては、当初は短い文字情報の送受信で実現するものであったが、画像や音楽データ、動画データを送受信するもの、特に近年においてより高詳細、高画質な動画データ、仮想現実環境を伝達するものへと広がってきており、通信すべきデータ量は増大し続けている。また、一度に多量の機器を接続することへの要求も高まっている。
【0005】
セルラ無線通信システム及び無線LANは、これまで、高次の変調方式を利用し、多数のアンテナ素子を使用するMIMO(Multi-Input Multi-Output)通信路等のような電波の単位周波数幅当たりに伝達できるデータ量を増大する技術の導入と、システムが利用する周波数帯域幅の増大により、通信データ量の増大に応えてきた。
【0006】
ここで、電波の単位周波数幅当たりに伝達できるデータ量は、信号の電力に応じた上限があり、安全上の理由および通信システム全体のグリーン化の要求により、電波として放射が許容されるエネルギーの絶対量に制限がかけられる場合があった。また通信を行うために消費が許容される電力に制限がかけられる中では、電波の単位周波数幅当たりに伝達できるデータ量を現状以上に増大させることは難しい。
【0007】
従って、システムが利用する周波数帯域幅の増大が必要になるが、放送、衛星による測位やセンシング、気象レーダー、警察や消防の無線、航空機や船舶用の無線、アマチュア無線等、既存の電波利用システムが集中する概ね6GHz以下の周波数でセルラ無線通信システムや無線LANが利用できる周波数帯を新たに確保するのは難しい。
【0008】
そこで、概ね10GHz~100GHzの周波数の電波を示すミリ波や、100GHzを超えるサブテラ波、1~10THzに及ぶテラヘルツ波をセルラ無線通信システムや無線LANで利用することが検討されている。3GPP(登録商標)は主に28GHz帯のミリ波を使用するセルラ無線通信標準を作成し、一部で実用化されている。IEEEでは、60GHz帯を利用する無線LAN規格802.11adや802.11ayを、300GHz帯を使用してPoint to Pointで通信を行う802.15.3d等の技術標準を作成した。これらミリ波、サブテラ波、テラヘルツ波では、一度にまとまった帯域幅が使用可能になる。例えば、IEEE802.11ay標準では、2.16GHz幅を基本として、それを4個束ねた8.7GHzの帯域幅を利用可能としており、802.15.3d標準では最大で32個束ねた69GHz幅の使用を可能にしている。このような広い帯域幅を10GHz以下の周波数で確保することはできない。
【0009】
Friisの伝送公式によれば、電波が自由空間を伝搬する際の受信端における受信電力Prは、Pr=(λ/4πd)2・Gr・Gt・Ptで与えられる。λ、d、Gr、Gt、Ptは、それぞれ電波の波長、送受信点間の距離、受信アンテナの指向性利得、送信アンテナの指向性利得、送信電力である。波長は周波数に反比例して短くなるので、受信電力は、周波数の2乗に反比例して弱くなる。室内や路上等、自由空間でない伝搬路については、統計的に2乗から外れることがあることも知られているが、周波数の2乗に近い値で受信電力が弱くなることには変わりない。従って、高い周波数を使用する通信では、互いに送受信する一方あるいは双方で指向性利得の高いアンテナを使用して、受信電力の低下を補わなければならない。指向性利得の高いアンテナは、電波を特定の方向に集中して放射し、或いは特定の方向から到来する電波に対して電波を強く受信する一方、その他の方向に対して放射或いは受信する電波の強度が弱くなるアンテナである。
【0010】
セルラ無線通信システムの多くは、使用する電波の周波数帯について免許制を前提としており、許可を受けた事業者が与えられた周波数帯を排他的に使用して無線通信システムを構築、運用する。セルラ無線通信システムは、使用が許可された周波数帯をさらに細かく分割した個々の周波数リソースとその周波数リソースを使用する時間帯の両方を指定して無線リソースとし、一定のエリアごとに設置された無線基地局がそのエリアにおける無線リソースの使用を管理、制御する。一方、無線LANの多くは、免許を必要としない周波数帯(アンライセンスドバンド)で使用され、CSMA-CA(Carrier Sense Multiple Access-Collision Avoidance)方式を採用している。端末およびアクセスポイントは通信を行おうとする無線リソースの直前でその周波数帯の電波の使用状況をモニタし、他者によって電波が使用されていないと判断したときに通信を行う。
【0011】
セルラ無線通信システムでは、無線基地局がそのエリアでの無線リソースの使用を制御すると述べたが、3GPP(登録商標)は、LTE Release14やNR Release16で、車に搭載されることを想定した端末同士が基地局の制御を受けることなく自律的に電波の使用状況をモニタし使用する無線リソースを決定して送受信を行う無線リソース制御法を盛り込んだCV2X(Cellular V2X)標準を定めた(非特許文献1を参照)。この無線リソース制御法では、
図11に示すように、端末が、セレクションウィンドウ内で無線リソースを選択して送信を行う際、それに先行するセンシングウィンドウ内で他の端末が行う通信の制御情報をモニタする。この制御情報には、それを送信した端末が次に使う無線リソースの予約情報が含まれ、それがセレクションウィンドウ内の無線リソースである場合、端末は、その無線リソースを選択して送信すると衝突する可能性が高いことを知る。従って端末は、予約情報のない無線リソースの中から送信に用いる無線リソースを選択して送信を行う。
【0012】
特許文献1では、既に予約情報のある無線リソースに対して別の端末がさらに予約情報を発すると、その双方を受信した第3の端末が、重複した予約情報を発した端末に対して通知を行うことが記載されている。何らかの理由で無線リソース予約情報の取得に失敗した場合でも、自身が選択した無線リソースについて予約情報を発すれば、第3の端末を通じてリソースの競合を知ることができ、選択した無線リソースで送信した際の衝突を避けることができる。
【0013】
無線LANが採用しているCSMA-CA方式では、無線リソースの予約情報を送信することをせず、送信を行おうとする全ての端末が送信を行おうとする無線リソースの直前でその周波数帯での電波の使用状況をモニタし、空きであれば送信を行う。電波の使用状況をモニタする時間はランダムに設定され、短い時間を設定した端末が先に送信を始めれば、他の端末は電波が空きでないことを検出して送信を保留し、先行した送信と衝突することを避ける。
【0014】
無線LANは、さらにRTS(Request to send)信号およびCTS(Clear to send)信号により衝突を回避する機能も有している(
図12)。データ送信を行おうとする端末は電波の使用状況をモニタし空きであると判断した際にデータではなくまずRTS信号を相手方の端末に送信する。それを受けた相手方の端末はデータの受信が可能であればCTS信号を返す。それを受けてデータの送信が行われる。
【0015】
RTS信号・CTS信号は隠れ端末問題を解消する機能を持つ。隠れ端末問題とは、例えば、
図13に示す端末Cが送信を行おうとして電波の使用状況をモニタしたとき、送信中である端末Bの電波が、距離が遠いあるいは途中に障害物があるなどの理由で端末Cに受信されないとき、端末Cはその無線リソースが空きであると誤認識して送信を開始し、通信相手である端末Aにおいて端末Bの送信する電波と衝突し正常に受信されない、という問題である。
【0016】
隠れ端末問題は、距離や障害物を要因とするものだけでなく、指向性アンテナの使用により起こることもある。
図14に示すように、端末Bが端末Aに向けた指向性で送信している電波は、端末Cとの間に障害物がなく、また距離が比較的近くとも、端末Cが、端末Bが送信を行う指向性の外にあれば、端末Cに受信されにくい。このため、端末Bが送信する電波を受信することができない端末Cは無線リソースが空きであると誤認識し、端末Aに影響を与えうる指向性で送信すれば、端末Aにおいて端末Bの送信する電波と衝突する。
【0017】
RTS信号は電波の使用状況をモニタした上で空きと判断された場合に送信されるが、これが衝突を起こして端末Aに受信されないとき、端末AはCTS信号を返さないので端末Cがデータの送信を始めることはなく、データのロスが生じない。RTS信号が端末Aに受信され、CTS信号が返ってきたことを検知すると、端末Cはデータの送信を開始する。
【0018】
RTS信号に応答して送信されるCTS信号および更にそれに応答して送信されるデータは、SIFS(Short Inter Frame Space)と呼ばれる通常より短い時間間隔の後に送信することになっている。これにより、SIFS時間内に第3の端末が、電波が空きであると判断して割り込むことが防止される。
【0019】
RTS信号およびCTS信号には、NAV(Network Allocation Vector)と呼ばれる電波の占有時間を示す情報が含まれており、RTS信号あるいはCTS信号の送信後の一定時間は電波が空きでないことを知ることができる。RTS信号およびCTS信号を用いない場合、端末Bがデータを送信中に隠れ端末問題によって端末Cがそれを受信できないとき、端末Cは電波が空きであると誤認識してしまうが、端末Bの通信相手である端末Aには隠れ端末問題がなくそのCTS信号が受信されていればCTS信号に含まれるNAVの情報により電波が空きでないことを認識できるので、電波の衝突を避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】M. H. C. Garcia et al.,“A Tutorial on 5G NR V2X Communications,”in IEEE Communications Surveys & Tutorials, vol. 23, no.3, pp.1972-2026, third quarter 2021
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
C-V2Xによる無線リソース制御を行う場合、RTS信号およびCTS号を用いないCSMA/CA方式に類似した隠れ端末問題が生じる。つまり、ある端末(Bとする)の送信する電波が別の端末(Cとする)において受信されなければ、端末Bが送信する無線リソース予約情報が端末Cにおいて受信されないことになるので、端末Cがこの無線リソースを選択して送信を行えば衝突が起こる。
【0023】
上記特許文献1では、端末Cがまず選択した無線リソースの予約情報を送信し、端末Bが送信した無線リソースの予約情報との競合を検知した第3の端末が端末Cに対して無線リソースの予約情報の競合について通知を行えば、端末Cは無線リソースの競合について知ることができ、衝突を避けることができる。しかしながら、この方法では、競合対象の無線リソースが到来する前に端末Cが無線リソースの予約情報を送信し、第3の端末から無線リソースの予約情報の競合について通知を受け取るための十分な時間を要し、かつ、それらの送信や通知を行うための無線リソースの確保も必要となる。
【0024】
C-V2Xによる無線リソース制御を行う際に無線LANにおけるRTS信号およびCTS信号を併用し、端末BがRTS信号を発し相手の端末(Aとする)からCTS信号を受信したときにデータ送信を行うことにした場合について隠れ端末問題がある場合、端末Bの電波を受信できない第3の端末(Cとする)は、たとえ端末Aが送出するCTS信号を受信できていたとしても、実際に端末Bがデータ送信を行うのはRTS信号やCTS信号の後の一定時間内ではなく、端末Bによる無線リソース予約情報に従うので、それが受信できなければその無線リソースが不明であるので、端末Cは衝突を回避した送信を行うことができない。
【0025】
本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、指向性アンテナが多用されるミリ波・THz波におけるアンライセンスドバンドでの無線アクセス方法について、隠れ端末問題を回避し、効率的な無線チャネルアクセスが可能な無線アクセス方法及び無線端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上述した課題を解決するために、本発明に係る無線アクセス方法は、以下の構成を採用する。
【0027】
第1発明に係る無線アクセス方法は、複数の無線端末が周波数を共有して通信を行うための無線アクセス方法であって、第1無線端末は、受信を行うことを予定する無線リソースを特定し、特定された無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを送信し、第2無線端末は、前記第1無線端末により送信されたパケットを受信して前記第1無線端末が受信を行うことを予定している無線リソースの情報を抽出した場合、当該無線リソースを、送信を行う無線リソースの選択範囲から除外した残りから1つ又は複数の無線リソースを選択して送信を行うことを特徴とする。
【0028】
第2発明に係る無線アクセス方法は、第1発明において、前記第1無線端末が受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信する際に使用するアンテナの指向性は、前記受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性と同一又は等価であることを特徴とする。
【0029】
第3発明に係る無線アクセス方法は、第1発明又は第2発明において、前記第1無線端末が受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性は、前記第1無線端末の通信の相手方に向けられた指向性であることを特徴とする。
【0030】
第4発明に係る無線端末は、他の無線端末と周波数を共有して通信を行う無線端末であって、パケットを送信するための無線リソースを選択する範囲、および、その選択範囲内の無線リソースのうち、前記他の無線端末が受信を予定する無線リソースの有無を検出するために前記他の無線端末が送信する無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを受信するための無線リソース範囲を設定し、前記無線リソースに関する情報を制御信号として含むパケットを受信するための無線リソース範囲で受信を行い、検出された前記他の無線端末が受信を予定する無線リソースを、送信を行うための無線リソースの選択範囲から除外し、その残りの無線リソース選択範囲から1つあるいは複数の無線リソースを選択し、選択した無線リソースにおいて、パケットを送信することを特徴とする。
【0031】
第5発明に係る無線端末は、第4発明において、前記パケットの送信をする際に、受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信することを特徴とする。
【0032】
第6発明に係る無線端末は、第5発明において、前記受信を行うことを予定する無線リソースに関する情報を制御信号として含む送信パケットを生成して送信する際に使用するアンテナの指向性は、前記受信を行うことを予定する無線リソースで受信するときに使用する予定のアンテナの指向性と同一あるいは等価であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上の構成の第1発明~第6発明によれば、指向性アンテナが多用されるミリ波・THz波におけるアンライセンスドバンドでの無線アクセス方法について、隠れ端末問題を回避し、効率的な無線チャネルアクセスが可能な無線アクセス方法及び無線端末を実現することができる。
【0034】
また、以上の構成の第1発明~第6発明によれば、第1無線端末、および第1無線端末に向けてデータを送信しようとしている第2無線端末以外の第3無線端末がセレクションウィンドウ内で使用できる無線リソースを探索するためにセンシングウィンドウ内で既に行われている通信をモニタして無線リソースの予約情報を収集する際、隠れ端末問題のため第2無線端末が送信する「次に送信を行う無線リソースの予約情報」を受信できなくとも、第1無線端末が送信する「受信を予定する無線リソースの情報」を受信できれば、セレクションウィンドウ内で第2無線端末が送信を行おうとしている無線リソースが特定できるので、第3無線端末は送信を行う際にこの無線リソースの選択を避けることができ、パケットの衝突が避けられる。パケットの衝突は、受信をする時点の問題であるので、受信を行う第1無線端末による「受信を予定する無線リソースの情報」は、送信を行う第2無線端末による「次に送信を行う無線リソースの予約情報」より有効である。なぜなら、送信を行う第2無線端末による「次に送信を行う無線リソースの予約情報」のある無線リソースで第3の無線端末が送信したとしても、無線端末の位置関係や送受信に使用する指向性によっては受信者にとって問題にならない可能性もあるのに対し、受信を行う第1無線端末による「受信を予定する無線リソースの情報」が受信できるということは、そこで送信した場合、その受信者に影響を与える可能性が高いと言えるからである。
【0035】
受信を行う第1無線端末による「受信を予定する無線リソースの情報」は、予定する無線リソースで受信を行う際に使用する指向性と同一あるいはそれに準じた指向性で送信されるときに有効に働く。第3無線端末が「受信を予定する無線リソースの情報」を受信したとすると、その無線端末は、当該情報を発した無線端末が予定した無線リソースで受信を行う際に使用する指向性の範囲内にいると考えられ、その受信に対し影響を与える可能性が高い。一方、当該情報を受信しなかった無線端末は、当該情報を発した無線端末の指向性の範囲外にいるとすれば、そのリソースを空きと認識して送信を行っても当該情報を発した無線端末の受信に与える影響がなく、無線リソースの有効活用が図られると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】
図1(a)は、本発明を適用した無線端末間の無線アクセスシステムの構成図であり、
図1(b)は、本発明を適用した無線端末間の無線アクセスシステムの他の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態1における受信を予定する無線リソース情報の付加を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明を実施するための無線端末のブロック構成図である。
【
図4】
図4は、本実施形態1の送信データ発生時における無線端末の処理フローを示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態1における受信を予定する無線リソース情報の付加を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本実施形態1におけるセンシングウィンドウ内で受信を行う場合の無線端末の処理フローを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明を実施するための受信を行う無線リソース情報を保持したときの端末の処理フローである。
【
図8】
図8は、第4実施形態における受信を予定する無線リソース情報の付加を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第5実施形態における受信を予定する無線リソース情報の付加を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態を実施するための無線端末のブロック構成図である。
【
図11】
図11は、C-V2Xにおける無線リソース選択を説明するための図である。
【
図12】
図12は、RTS信号/CTS信号による衝突の回避を説明するための図である。
【
図14】
図14は、指向性アンテナを使用する際の隠れ端末問題を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を適用した無線アクセス方法、及び無線端末(無線アクセスシステム)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
<第1実施形態>
図1(a)(b)は、本発明を適用した無線端末間の無線アクセスシステムの全体構成を示す図である。
図1(a)は送信端末としての無線端末1aと受信端末としての無線端末1bが1台の例を示し、
図1(b)は受信端末としての無線端末1b、1cが複数台の例を示している。
この無線アクセスシステムにおいて、
図1(a)又は(b)に示すように、第1無線端末1aと第2無線端末1b又は1cを備えている。以下の例においては、第1無線端末1aと第2無線端末1bとが1台ずつにより構成される場合を例にとり説明するが、これに限定されるものではなく、無線端末は3以上により構成する場合も含まれる。
【0039】
第1無線端末1aと第2無線端末1bは、各種形態の端末に相当する。ここで、端末とは、無線端末1aと第2無線端末1bとの間で無線通信可能なあらゆる電子機器であり、スマートフォンや携帯端末、モバイル型PC、ウェアラブル端末、タブレット型端末、IoT端末等、これらを携帯する携帯者の移動又は端末(例えば、IoT端末等)を搭載した移動体の移動によって通信位置が変化する。
【0040】
第1無線端末1aと第2無線端末1bは、指向性アンテナ(ビームアンテナ)が多用されるミリ波、テラヘルツ波(THz波)におけるアンライセンスドバンドでの無線アクセスを主に考えているが、セルラ無線通信システムの無線基地局あるいは無線LANにおける無線アクセスポイントを利用する無線アクセスと併用して使用しても良い。また第1無線端末1a、第2無線端末1bは、他の無線端末との間でも互いに無線通信することができる。
【0041】
このような通信システムの構成において、本実施形態1の無線端末間の無線アクセス方法について説明する。
【0042】
本実施形態1では、
図1(b)に示す無線アクセスシステム構成において、第2無線端末1bが送信パケットを送信し、第1無線端末1aが送信パケットを送信するとき、
図2に示すように、第1無線端末1aの送信パケットに無線リソースの受信リソース予約情報を付加しておくことにより、第3無線端末1cによるチャネルモニタ時間内に第2無線端末1bの信号を受信できない第3無線端末1cは、第1無線端末1aの信号を受信し、対象リソースでの送信を回避できるので、隠れ端末問題を回避でき、効率的な無線アクセスが可能となる。
【0043】
以下、本実施形態1の無線アクセス方法の原理を詳しく説明する。パケットの衝突、干渉は受信側の無線端末の問題であるので、受信側の無線端末が情報提供することが合理的であるという考えに基づき、受信側の無線端末が無線リソースの受信リソース予約情報を提供するものである。すなわち、次に使う無線リソースの予約情報を、その無線リソースを使った電波を受信する予定の無線端末が発する。例えば、第2無線端末1bから第1無線端末1aにデータが送信されている際、第1無線端末1aは、第2無線端末1bが送信する無線リソース予約情報により、次に第2無線端末1bが送信を行う無線リソースを特定できるので、その情報に従い、受信予定の無線リソース情報を送信する。または、第2無線端末1bが送信に使用する無線リソースを第1無線端末1aが第2無線端末1bに指示する無線リソース制御を行っている場合には、第1無線端末1aが自ら受信予定の無線リソースを認識していることになるので、その情報を送信すればよい。第1無線端末1aが第2無線端末1bからデータを受信する予定の無線リソース情報は、第1無線端末1aが第2無線端末1bに向けてデータを送信する際に付加して送信することができる。この送信に指向性アンテナを使用する場合、第2無線端末1bに向けた指向性で送信すれば良い。この指向性は通常、誤差要因を除けば受信予定の無線リソースにおいて第2無線端末1bからのデータの受信に使用すべき指向性と同一のものである。第2無線端末1bからのデータの受信を行う予定の無線リソース情報は、第2無線端末1bに向けたデータの送信に付加して送信するのではなく、それ単独で送信することもできる。この送信に指向性アンテナを使用する場合、第2無線端末1bからのデータの受信に使用する予定の指向性を使用すれば良い。これは、通常、誤差要因を除けば、第2無線端末1bへデータを送信する際に使用する指向性と同一のものである。
【0044】
<実施形態1 無線端末 構成>
図3は、無線端末1(1a、1b、1cを含む)のブロック構成図である。なお、この
図2に示すブロック構成図は、本発明所期の効果を発現させる上で最低限必要な構成要素を示しており、無線端末として動作するためのその他の構成要素は図示していない。
【0045】
実施形態1で使用される無線端末1は、
図3に示すように、送受アンテナ10と、無線部11と、パケット分解部12と、上位レイヤ13と、パケット組立部14と、送受信制御部15と、を有する。
【0046】
<実施形態1 無線端末 構成の説明>
送受アンテナ10は、指向性を有し、信号の送受信を行う指向性アンテナである。THz帯では、十分な指向性アンテナを使わないと信号強度が得られないので、指向性アンテナが用いられる。また、無線装置が端末の場合、無線アクセスポイントのビームが自身を向いているときに応答するのが基本である。5Gではビームごとに同期信号を送っている。
【0047】
無線部11は、無線信号の増幅、周波数変換、必要な周波数成分の抽出、変復調等を行う。受信した無線信号から受信パケットを取り出す、あるいは送信パケットを送信する無線信号にする。また、複数のアンテナ素子による送受信号の信号処理により送受アンテナ10の指向性を制御する場合、その信号処理を行う。
【0048】
パケット分解部12は、受信パケットから受信データと制御信号(受信)を分離する。受信データは通信の内容として上位レイヤ13に送られる。
【0049】
上位レイヤ13は、通信データ(受信データ又は送信データ)をアプリケーションで使用する。
【0050】
パケット組立部14は、上位レイヤ13から受け取った送信データを、制御信号(送信)とともに送信パケットとして組み立てる。
【0051】
送受信制御部15は、標準やあらかじめ決められたパラメータ、受信パケット中の制御信号等に従って所定の無線リソースにおいて所定の無線信号が送受されるよう無線部1を制御する。また、送受信制御部15は、使用する電波の周波数や帯域幅、無線部11を動作させて送受信を行うタイミング、送信電力や受信機の増幅度、送受アンテナ10が持つべき指向性の制御を行う。
図3には示していないが、送受アンテナ10の指向性を無線部11の信号処理ではなくアンテナ部で実現する場合は、アンテナ部に対して指向性の制御を行う。
【0052】
図4は、送信データ発生時の無線端末の処理フローである。上位レイヤで送信すべきデータが発生すると(ステップ401)、送信を行う無線リソースを選択する範囲であるセレクションウィンドウ及びセレクションウィンドウ内の無線リソースの予約の有無を調べるための受信を行うセンシングウィンドウの設定を行う(ステップ402)。ステップ402において、送信データが発生すると直ちにセンシングウィンドウを開始して最低限必要な受信時間を確保した後の無線リソースをセレクションウィンドウとして設定することができる。
図5に上述したセンシングウィンドウとセレクションウィンドウとの関係例を示す。
【0053】
次に、センシングウィンドウ内のパケットを受信すると(ステップ403)、セレクションウィンドウから送信を避けるべき無線リソースを除外した残りの無線リソースの中から送信パケットの送信に使用する無線リソースを選択する(ステップ404)。
【0054】
次に、受信を行うリソース情報として保持した情報があるかを調べる(ステップ405)。保持した受信リソース情報がある場合は(ステップ405)、受信を行うリソース情報をパケット組立部14に供給する(ステップ406)。そして、パケット組立部14において、パケットの組立てを行う(ステップ407)。選択した無線リソースで送信パケットを送信する(ステップ408)。
【0055】
図6は、センシングウィンドウ内で受信を行う際の無線端末の処理フローである。センシングウィンドウ内でパケットを受信すると(ステップ601)、受信パケットが自分宛てか否かを判定する(ステップ602)。受信パケットが自分宛てである場合、受信データを抽出し上位レイヤ13に渡し(ステップ603)、制御信号の中で次のリソース情報が抽出できるか否かを判定する(ステップ604)。制御信号の中で次に送信を行う予定の無線リソース情報が得られた場合は(ステップ604)、それは次に受信すべき無線リソースであるのでその情報を送信する制御信号に含めるため、自身が受信を行うリソース情報として保持し(ステップ605)、得られなかった場合は受信パケットの破棄に送る(ステップ608)。受信パケットが自分宛てでない場合は(ステップ602)、制御信号の中で次のリソース情報が抽出できるか否かを判定する(ステップ606)。制御信号の中で次に送信を行う予定の無線リソース情報が得られた場合には(ステップ606)、制御信号から抽出した次に使用する無線リソース情報を、送信を避けるべき無線リソースの情報として保持し(ステップ607)、処理を終了する(ステップ609)。制御信号の中で次に送信を行う予定の無線リソース情報が得られない場合には(ステップ606)、受信パケットを破棄し(ステップ608)、処理を終了する(ステップ609)。この情報で示される無線リソースは、送信者が次に送信を行う予定の無線リソースである場合と受信を行う予定の無線リソースである場合の2通りある。いずれの場合も、セレクションウィンドウにおいて送信を避けるべき無線リソースの情報である。センシングウィンドウ内で受信を行い、セレクションウィンドウにおいて送信を避けるべき無線リソースの情報が得られれば、セレクションウィンドウ内の無線リソースからそれらの無線リソースを除外し、残りの無線リソースより送信に使用する無線リソースを選択する。この選択はランダムに行えばよい。選択した無線リソースを使用して送信パケットを送信する。送信パケットは、送信データ、及び、次に受信する予定の無線リソースの情報を含む制御信号によりパケット組立部14により生成する。
【0056】
<第2実施形態>
第2実施形態における無線端末は、第1実施形態に示した無線端末の動作に加え、上位レイヤ3で送信データが発生していない場合にも(
図5参照)、次に受信すべき無線リソースの情報がある場合には、それを制御信号とするパケットを送信することが可能になっている。この無線端末は、常時あるいは受信動作をすると決められた時間帯において受信動作を行っており、無線部11でパケットが受信されると、
図6のフローに従った動作をする。
【0057】
図7は、本発明を実施するための受信を行う無線リソース情報を保持したときの無線端末の処理フローである。以下、
図7のフローを用いて受信を行う無線リソース情報を保持した無線端末の処理について説明する。
【0058】
自分宛てパケットの制御信号の中に、次の送信予定の無線リソース情報が抽出されれば、それを受信予定の無線リソース情報として保持し、
図7の処理フローを起動する。
【0059】
自身が受信を行うリソース情報がある場合(ステップ701)、通信データを送信するパケットにより送信済みかの判定(ステップ702)と、そのリソースまでの残時間がある値以下であるかの判定(ステップ703)を行う。すなわち、受信予定の無線リソース情報はすぐさまそれを制御信号として含む送信パケットを送信するのではなく、当該無線リソースまでの残時間がある一定値以下になるまで待つ。その間に送信データが発生すれば、第1実施形態の
図7で示した処理フローに従った動作を行って、制御信号に受信予定の無線リソース情報が含まれた送信パケットを送信する。
【0060】
送信データが発生しないまま受信予定の無線リソースまで一定時間を切ると(ステップ703)、送信データが不在であっても、制御信号に受信予定の無線リソース情報を含む送信パケット送信するための動作に入る。一定時間は、当該受信予定の無線リソースがセレクションウィンドウ内になるときに設定されるセンシングウィンドウに入る無線リソースで当該制御信号を送信することが可能なように設定する(ステップ704)。センシングウィンドウ内のパケットを受信すると(ステップ705)、当該制御信号を送信する無線リソースも予約情報のない無線リソース中から選択する場合(ステップ706)、その予約情報を受信するためのセンシングウィンドウ時間も含めた時間に設定する。
【0061】
受信を行うリソース情報をパケット組立部14に供給する(ステップ707)。送信パケットは、受信予定の無線リソース情報を含んだ制御信号をパケット組立部14で生成する(ステップ708)。制御信号には受信予定の無線リソース情報以外の情報も含みうる。そして最後に選択した無線リソースにおいて、生成した送信パケットを送信する(ステップ709)。
【0062】
<第3実施形態>
第1実施形態あるいは第2実施形態における無線端末は、自分宛てのパケットを受信してその中の制御信号に含まれる次に自分宛ての受信パケットが送信される予定の無線リソースの情報により次に受信予定の無線リソースを特定し、その情報を自身が送信する送信パケット中の制御信号に含めた。第3実施形態における無線端末は、通信の相手方が送信を行う無線リソースを自らが通信の相手方に指定する場合、指定するリソースを次に受信予定の無線リソースの情報として保持することにより、
図7あるいは
図9の処理フローに従ってそれを送信するパケット中の制御信号に含めて送信することができる。
【0063】
<第4実施形態>
セルラ無線通信システムあるいは無線LANでは、指向性のあるアンテナを用いて希望する信号の強度を高めたり干渉信号の強度を弱めたりして通信品質の向上を図っている。特に、ミリ波以上の高い周波数の電波を使用する場合、周波数の2乗に反比例して電波が弱くなる受信信号強度の劣化を、指向性のあるアンテナを使用して補う。
【0064】
第4実施形態における無線端末は、
図8に示すように、通信の相手方無線端末への送信データと次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号からなる送信パケットを送信する際、通信の相手方無線端末で良好に受信されるような指向性で送信を行う。通常は、通信の相手方無線端末が存在する方向に向けた指向性である。この際、指向性が向かない位置に存在する無線端末が次の受信予定の無線リソース情報を受け取れずこの無線リソースが空きであると判断する可能性があるので、次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号による送信パケットを生成し、送信データを含む送信パケットに付してそれ以外の指向性により送信してもよい。これは、対応する送信データを含む送信パケットを送信するのに使用した指向性に近接した1つあるいは複数の指向性で送信してもよいし、あらゆる方向をカバーするためにより多くの送信パケットを生成してより多くの指向性を用いて送信してもよい。また、無指向性アンテナが利用できるなら、無指向性アンテナで送信してもよい。
【0065】
通信の相手方無線端末に送信する送信データがないが、相手方無線端末よりパケットを受信する予定があり、送信データを含まないが次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号を含む送信パケットを送信する際は、相手方無線端末からパケットを受信する際に使用する予定の指向性を用いてこの送信パケットを送信すればよい。受信に使用する予定の指向性内にある無線端末が送信を行うと干渉となる可能性が高いので、この方向に次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号を含む送信パケットを送信することで、そのような無線端末に向けて効率的に受信予定の無線リソース情報を届けることができる。また、次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号を含む送信パケットを、前述同様、近接した1つあるいは複数の指向性や無指向性アンテナを用いて送信してもよい。
【0066】
<第5実施形態>
第5実施形態における無線アクセス方法は、
図9に示すように、2つの周波数に対応するため、2つの無線機能を有し、異なる無線機能を用いて、受信リソース予約情報を付加する構成を採用している。
【0067】
<実施形態5 無線端末 構成>
図10は、実施形態5における無線端末2のブロック構成図である。なお、この
図10に示すブロック構成図は、本発明所期の効果を発現させる上で最低限必要な構成要素を示しており、無線端末として動作するためのその他の構成要素は図示していない。
【0068】
実施形態5で使用される無線端末2は、
図10に示すように、送受アンテナ20と、第1無線部21と、第1パケット分解部22と、上位レイヤ23と、第1パケット組立部24と、第2無線部25と、第2パケット組立部26と、送受信制御部27と、を有する。
【0069】
<実施形態5 無線端末 構成の説明>
第5実施形態における無線端末2は、
図10に示すように、第1実施形態から第4実施形態における無線端末に加え、第2無線部25と、第2パケット組立部26を備えている点が相違するだけである。また、第1実施形態から第4実施形態における無線部は、第1無線部21に対応し、パケット分解部は第1パケット組立部24に対応している。以下では、無線端末の共通の構成については説明を省略し、相違点について説明する。
【0070】
第2パケット組立部26及び第2無線部25で、第2周波数による無線通信の無線アクセス方法に従い、次の受信予定の無線リソース情報を含む制御信号による送信パケットを生成して送信する。
【0071】
第2周波数による無線通信の無線アクセス方法は、例えば、従来の無線LANやセルラ無線通信システムが考えられ、それらの方式でのビーコン信号や無線基地局が送信する報知メッセージなどとして送信する。第2周波数が、第1周波数に比べて鋭い指向性のアンテナを使う必要のない低い周波数であれば、多くのパケットを多くの指向性で送信しなくとも多くの無線端末に受信予定の無線リソース情報を含む制御信号を含む送信パケットを届けることができる。
【0072】
<発明の効果が最も発揮される利用例>
周波数を共用して無線通信を行う無線端末は、一般的には、許可を受けた事業者が与えられた周波数帯を排他的に使用して通信サービスを提供するセルラ無線通信システムの端末より安価であるが、指向性アンテナを使用して信号強度を保つ必要のあるミリ波帯以上の周波数帯では、隠れ端末問題がより顕著になりシステム全体の性能が劣化する可能性がある。本発明は、特にミリ波帯以上の周波数帯における周波数共用の無線システムにおける通信の品質の向上を図るものであり、安価な周波数共用の無線システムの利用範囲が広がることが期待できる。
【符号の説明】
【0073】
1 無線端末
1a 第1無線端末
1b 第2無線端末
1c 第3無線端末
2 無線端末
10 送受アンテナ
11 無線部
12 パケット分解部
13 上位レイヤ
14 パケット組立部
15 送受信制御部
20 送受アンテナ
21 第1無線部
22 パケット分解部
23 上位レイヤ
24 第1パケット組立部
25 第2無線部
26 第2パケット組立部
27 送受信制御部