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特開2024-152166点群復号装置、点群復号方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152166
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】点群復号装置、点群復号方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 9/40 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G06T9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066201
(22)【出願日】2023-04-14
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和5年度、総務省「3次元空間データの無線伝送に向けた高能率圧縮技術の研究開発」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】花岡 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小森田 賢史
(72)【発明者】
【氏名】海野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】河村 圭
(57)【要約】
【課題】Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、符号化効率を改善すること。
【解決手段】本発明に係る点群復号装置200は、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定するツリー合成部2020を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点群復号装置であって、
Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定するツリー合成部を備えることを特徴とする点群復号装置。
【請求項2】
前記ツリー合成部は、前記閾値を、ハードコーディングされた特定の値をとすることを特徴とする請求項1に記載の点群復号装置。
【請求項3】
前記ツリー合成部は、前記閾値を、前記半径残差を復号する際に用いる方位角ステップ数に関する閾値の値とすることを特徴とする請求項1に記載の点群復号装置。
【請求項4】
前記ツリー合成部は、前記閾値を復号器にて導出するかどうか制御するためのフラグに基づいて、前記閾値を前記復号器にて導出することを特徴とする請求項1に記載の点群復号装置。
【請求項5】
点群復号装置であって、
復号した半径残差を逆量子化するツリー合成部を備えることを特徴とする点群復号装置。
【請求項6】
点群復号装置であって、
予測器インデックス0番目の予測器を、親ノードとするか或いは相関予測器とするかについて選択するツリー合成部を備えることを特徴とする点群復号装置。
【請求項7】
前記ツリー合成部は、
予測値の計算の完了後に、前記親ノードを前記予測器とした場合及び前記相関予測器を前記予測器とした場合のそれぞれの半径残差を計算し、
前記半径残差が小さくなる方の予測器を第1最適予測器とし、
それ以降に復号するノードにおいて参照ノードとして選択された際に、前記第1最適予測器を参照し、
前記予測器インデックスの0番目の予測器を、前記親ノードとするか或いは前記相関予測器とするかを選択することを特徴とする請求項6に記載の点群復号装置。
【請求項8】
点群復号装置であって、
復号済ノードで事前に最適予測器を計算しておき、前記最適予測器を参照して予測するツリー合成部を備えることを特徴とする点群復号装置。
【請求項9】
前記ツリー合成部は、
予測値の計算の完了後に、予測器リストに存在する予測器の中で、半径残差が最も小さくなる予測器を前記最適予測器とし、
それ以降に復号するノードにおいて参照ノードとして選択された際に、前記最適予測器を参照することを特徴とする請求項8に記載の点群復号装置。
【請求項10】
点群復号方法であって、
Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定する工程を有することを特徴とする点群復号方法。
【請求項11】
コンピュータを、点群復号装置として機能させるプログラムであって、
前記点群復号装置は、
Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定するツリー合成部を備えることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点群復号装置、点群復号方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献2では、Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、復号した予測器インデックス及び復号した方位角ステップ数に応じて、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】G-PCC codec description、ISO/IEC JTC1/SC29/WG7 N00271
【非特許文献2】G-PCC 2nd Edition codec description、ISO/IEC JTC1/SC29/WG7 N00314
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献2の方法では、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定する際、復号した方位角ステップ数が0であるか否かを1つの条件としているが、復号対象のデータシーケンスに応じた最適な条件になっていないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、符号化効率を改善することができる点群復号装置、点群復号方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴は、点群復号装置であって、Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定するツリー合成部を備えることを要旨とする。
【0007】
本発明の第2の特徴は、点群復号装置であって、復号した半径残差を逆量子化するツリー合成部を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の第3の特徴は、点群復号装置であって、予測器インデックス0番目の予測器を、親ノードとするか或いは相関予測器とするかについて選択するツリー合成部を備えることを要旨とする。
【0009】
本発明の第4の特徴は、点群復号装置であって、復号済ノードで事前に最適予測器を計算しておき、前記最適予測器を参照して予測するツリー合成部を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の第5の特徴は、点群復号方法であって、Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定する工程を有することを要旨とする。
【0011】
本発明の第6の特徴は、コンピュータを、点群復号装置として機能させるプログラムであって、前記点群復号装置は、Predictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、前記判定の結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定するツリー合成部を備えることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、redictive geometry codingのAngularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、符号化効率を改善することができる点群復号装置、点群復号方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る点群処理システム10の構成の一例を示す図である。
図2図2は、一実施形態に係る点群復号装置200の機能ブロックの一例を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係る点群復号装置200の幾何情報復号部2010で受信する符号化データ(ビットストリーム)の構成の一例を示す図である。
図4図4は、GPS2011のシンタックス構成の一例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係る点群復号装置200のツリー合成部2020の動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、ステップS504における予測器情報及び球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、ステップS604における球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、ステップS702における半径残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、ステップS505における位置情報の予測の処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、ステップS902における予測器リストによる予測器の生成及び予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、ステップS1002における相関予測器を含む予測処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、ステップS504における予測器情報及び球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、ステップS505における位置情報の予測の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、ステップS1304における参照ノードの最適予測器に応じた予測器の生成及び予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
図15図15は、本実施形態に係る点群符号化装置100の機能ブロックの一例について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は、適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0015】
(第1実施形態)
以下、図1図15を参照して、本発明の第1実施形態に係る点群処理システム10について説明する。図1は、本実施形態に係る実施形態に係る点群処理システム10を示す図である。
【0016】
図1に示すように、点群処理システム10は、点群符号化装置100及び点群復号装置200を有する。
【0017】
点群符号化装置100は、入力点群信号を符号化することによって符号化データ(ビットストリーム)を生成するように構成されている。点群復号装置200は、ビットストリームを復号することによって出力点群信号を生成するように構成されている。
【0018】
なお、入力点群信号及び出力点群信号は、点群内の各点の位置情報と属性情報とから構成される。属性情報は、例えば、各点の色情報や反射率である。
【0019】
ここで、かかるビットストリームは、点群符号化装置100から点群復号装置200に対して伝送路を介して送信されてもよい。また、ビットストリームは、記憶媒体に格納された上で、点群符号化装置100から点群復号装置200に提供されてもよい。
【0020】
(点群復号装置200)
以下、図2を参照して、本実施形態に係る点群復号装置200について説明する。図2は、本実施形態に係る点群復号装置200の機能ブロックの一例について示す図である。
【0021】
図2に示すように、点群復号装置200は、幾何情報復号部2010と、ツリー合成部2020と、近似表面合成部2030と、幾何情報再構成部2040と、逆座標変換部2050と、属性情報復号部2060と、逆量子化部2070と、RAHT部2080と、LoD算出部2090と、逆リフティング部2100と、逆色変換部2110と、フレームバッファ2120とを有する。
【0022】
幾何情報復号部2010は、点群符号化装置100から出力されるビットストリームのうち、幾何情報に関するビットストリーム(幾何情報ビットストリーム)を入力とし、シンタックスを復号するように構成されている。
【0023】
復号処理は、例えば、コンテクスト適応二値算術復号処理である。ここで、例えば、シンタックスは、位置情報の復号処理を制御するための制御データ(フラグやパラメータ)を含む。
【0024】
ツリー合成部2020は、幾何情報復号部2010によって復号された制御データ及び後述するツリー内のどのノードに点群が存在するかを示すoccupancy codeを入力として、復号対象空間内のどの領域に点が存在するかというツリー情報を生成するように構成されている。
【0025】
なお、occupancy codeの復号処理をツリー合成部2020内部で行うよう構成されていてもよい。
【0026】
本処理は、復号対象空間を直方体で区切り、occupancy codeを参照して各直方体内に点が存在するかを判断し、点が存在する直方体を複数の直方体に分割し、occupancy codeを参照するという処理を再帰的に繰り返すことで、ツリー情報を生成することができる。
【0027】
ここで、かかるoccupancy codeの復号に際して、後述するインター予測を用いてもよい。
【0028】
本実施形態では、上述の直方体を常に立方体として8分木分割を再帰的に行う「Octree」と呼ばれる手法、及び、8分木分割に加え、4分木分割及び2分木分割を行う「QtBt」と呼ばれる手法を使用することができる。QtBt」を使用するか否かは、制御データとして点群符号化装置100側から伝送される。
【0029】
或いは、制御データによってPredictive geometry codingを使用するように指定された場合、ツリー合成部2020は、点群符号化装置100において決定した任意のツリー構成に基づいて各点の座標を復号するように構成されている。
【0030】
近似表面合成部2030は、ツリー合成部2020によって生成されたツリー情報を用いて近似表面情報を生成し、かかる近似表面情報に基づいて点群を復号するように構成されている。
【0031】
近似表面情報は、例えば、物体の3次元点群データを復号する際等において、点群が物体表面に密に分布しているような場合に、個々の点群を復号するのではなく、点群の存在領域を小さな平面で近似して表現したものである。
【0032】
具体的には、近似表面合成部2030は、例えば、「Trisoup」と呼ばれる手法で、近似表面情報を生成し、点群を復号することができる。「Trisoup」の具体的な処理例については後述する。また、Lidar等で取得した疎な点群を復号する場合は、本処理を省略することができる。
【0033】
幾何情報再構成部2040は、ツリー合成部2020によって生成されたツリー情報及び近似表面合成部2030によって生成された近似表面情報を元に、復号対象の点群データの各点の幾何情報(復号処理が仮定している座標系における位置情報)を再構成するように構成されている。
【0034】
逆座標変換部2050は、幾何情報再構成部2040によって再構成された幾何情報を入力として、復号処理が仮定している座標系から、出力点群信号の座標系に変換を行い、位置情報を出力するように構成されている。
【0035】
フレームバッファ2120は、幾何情報再構成部2040によって再構成された幾何情報を入力として、参照フレームとして保存するように構成されている。保存した参照フレームは、ツリー合成部2020において時間的に異なるフレームのインター予測を行う場合に、フレームバッファ2130から読み出されて参照フレームとして使用される。
【0036】
ここで、各フレームに対してどの時刻の参照フレームを用いるかどうかは、例えば、点群符号化装置100からビットストリームとして伝送されてくる制御データに基づいて決定されてもよい。
【0037】
属性情報復号部2060は、点群符号化装置100から出力されるビットストリームのうち、属性情報に関するビットストリーム(属性情報ビットストリーム)を入力とし、シンタックスを復号するように構成されている。
【0038】
復号処理は、例えば、コンテクスト適応二値算術復号処理である。ここで、例えば、シンタックスは、属性情報の復号処理を制御するための制御データ(フラグ及びパラメータ)を含む。
【0039】
また、属性情報復号部2060は、復号したシンタックスから、量子化済み残差情報を復号するように構成されている。
【0040】
逆量子化部2070は、属性情報復号部2060によって復号された量子化済み残差情報と、属性情報復号部2060によって復号された制御データの一つである量子化パラメータとを元に、逆量子化処理を行い、逆量子化済み残差情報を生成するように構成されている。
【0041】
逆量子化済み残差情報は、復号対象の点群の特徴に応じて、RAHT部2080及びLoD算出部2090のいずれかに出力される。いずれに出力されるかは、属性情報復号部2060によって復号される制御データによって指定される。
【0042】
RAHT部2080は、逆量子化部2070によって生成された逆量子化済み残差情報及び幾何情報再構成部2040によって生成された幾何情報を入力とし、RAHT(Region Adaptive Hierarchical Transform)と呼ばれるHaar変換(復号処理においては、逆Haar変換)の一種を用いて、各点の属性情報を復号するように構成されている。RAHTの具体的な処理としては、例えば、非特許文献1に記載の方法を用いることができる。
【0043】
LoD算出部2090は、幾何情報再構成部2040によって生成された幾何情報を入力とし、LoD(Level of Detail)を生成するように構成されている。
【0044】
LoDは、ある点の属性情報から、他のある点の属性情報を予測し、予測残差を符号化或いは復号するといった予測符号化を実現するための参照関係(参照する点及び参照される点)を定義するための情報である。
【0045】
言い換えると、LoDは、幾何情報に含まれる各点を複数のレベルに分類し、下位のレベルに属する点については上位のレベルに属する点の属性情報を用いて属性を符号化或いは復号するといった階層構造を定義した情報である。
【0046】
LoDの具体的な決定方法としては、例えば、上述の非特許文献1に記載の方法を用いてもよい。
【0047】
逆リフティング部2100は、LoD算出部2090によって生成されたLoD及び逆量子化部2070によって生成された逆量子化済み残差情報を用いて、LoDで規定した階層構造に基づいて各点の属性情報を復号するように構成されている。逆リフティングの具体的な処理としては、例えば、上述の非特許文献1に記載の方法を用いることができる。
【0048】
逆色変換部2110は、復号対象の属性情報が色情報であり且つ点群符号化装置100側で色変換が行われていた場合に、RAHT部2080又は逆リフティング部2100から出力される属性情報に逆色変換処理を行うように構成されている。かかる逆色変換処理の実行の有無については、属性情報復号部2060によって復号された制御データによって決定される。
【0049】
点群復号装置200は、以上の処理により、点群内の各点の属性情報を復号して出力するように構成されている。
【0050】
(幾何情報復号部2010)
以下、図3図4を用いて幾何情報復号部2010で復号される制御データについて説明する。
【0051】
図3は、幾何情報復号部2010で受信する符号化データ(ビットストリーム)の構成の一例である。
【0052】
第1に、ビットストリームは、GPS2011を含んでいてもよい。GPS2011は、ジオメトリパラメータセットとも呼ばれ、幾何情報の復号に関する制御データの集合である。具体例については後述する。各GPS2011は、複数のGPS2011が存在する場合に個々を識別するためのGPS id情報を少なくとも含む。
【0053】
第2に、ビットストリームは、GSH2012A/2012Bを含んでいてもよい。GSH2012A/2012Bは、ジオメトリスライスヘッダ或いはジオメトリデータユニットヘッダとも呼ばれ、後述するスライスに対応する制御データの集合である。以降では、スライスという呼称を用いて説明するが、スライスをデータユニットと読み替えることもできる。具体例については後述する。GSH2012A/2012Bは、各GSH2012A/2012Bに対応するGPS2011を指定するためのGPS id情報を少なくとも含む。
【0054】
第3に、ビットストリームは、GSH2012A/2012Bの次に、スライスデータ2013A/2013Bを含んでいてもよい。スライスデータ2013A/2013Bには、幾何情報を符号化したデータが含まれている。
【0055】
以上のように、ビットストリームは、各スライスデータ2013A/2013Bに、1つずつGSH2012A/2012B及びGPS2011が対応する構成となる。
【0056】
上述のように、GSH2012A/2012Bにて、どのGPS2011を参照するかをGPS id情報で指定するため、複数のスライスデータ2013A/2013Bに対して共通のGPS2011を用いることができる。
【0057】
言い換えると、GPS2011は、スライスごとに必ずしも伝送する必要がない。例えば、図3のように、GSH2012B及びスライスデータ2013Bの直前では、GPS2011を符号化しないようなビットストリームの構成とすることもできる。
【0058】
なお、図3の構成は、あくまで一例である。各スライスデータ2013A/2013Bに、GSH2012A/2012B及びGPS2011が対応する構成となっていれば、ビットストリームの構成要素として、上述以外の要素が追加されてもよい。
【0059】
例えば、図3に示すように、ビットストリームは、シーケンスパラメータセット(SPS)2001を含んでいてもよい。また、同様に、伝送に際して、図3と異なる構成に整形されてもよい。更に、後述する属性情報復号部2060で復号されるビットストリームと合成して単一のビットストリームとして伝送されてもよい。
【0060】
図4は、GPS2011のシンタックス構成の一例である。
【0061】
なお、以下で説明するシンタックス名は、あくまで一例である。以下で説明したシンタックスの機能が同様であれば、シンタックス名は異なっていても差し支えない。
【0062】
GPS2011は、各GPS2011を識別するためのGPS id情報(gps_geom_parameter_set_id)を含んでもよい。
【0063】
なお、図4のDescriptor欄は、各シンタックスが、どのように符号化されているかを意味している。ue(v)は、符号無し0次指数ゴロム符号であることを意味し、u(1)は、1ビットのフラグであることを意味する。
【0064】
GPS2011は、ツリー合成部2020でツリータイプを制御するためのフラグ(geom_tree_type)を含んでもよい。
【0065】
例えば、geom_tree_typeの値が「1」の場合は、Predictive geometry codingを使用すると定義し、geom_tree_typeの値が「0」の場合は、Octreeを使用するように定義されていてもよい。
【0066】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモードとして処理を行うかどうかを制御するためのフラグ(geom_angular_enabled)を含んでもよい。
【0067】
例えば、geom_angular_enabledの値が「1」の場合は、AngularモードとしてPredictive geometry codingの処理を行うと定義し、geom_angular_enabledの値が「0」の場合は、AngularモードとしてPredictive geometry codingの処理を行わないように定義されていてもよい。
【0068】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモードにおいて、適応的方位角量子化モードであるかどうかを制御するためのフラグ(ptree_ang_azimuth_scaling_enabled)を含んでもよい。適応的方位角量子化モードとは、半径に応じた適応的な方位角の量子化を行うモードである。
【0069】
例えば、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値が「1」の場合は、半径に応じた適応的な方位角の量子化を行うと定義し、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値が「0」の場合は、半径に応じた適応的な方位角の量子化を行わないと定義されていてもとい。
【0070】
また、Angularモードにおける予測器の計算(選択)において、予測器リストを使うかどうか制御するためのフラグとして用いてもよい。本実施形態では、予測器は、線形予測器を含む概念であるものとする。
【0071】
例えば、ptree_azimuth_scaling_enabledの値が「1」の場合は、かかる予測器の計算において、予測器リストを使うと定義し、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値が「0」の場合は、かかる予測器の計算において、予測器リストを使わないと定義されていてもよい。
【0072】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモードにおいて、方位角の予測値の計算するために利用するためのレーザーの回転速度に関する値(ptree_ang_azimuth_step_minus1)を含んでもよい。
【0073】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、半径残差を復号する際に用いる方位角ステップ数に関する閾値(ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold)を含んでもよい。
【0074】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、半径残差を復号する際に用いる方位角ステップ数に関する2つ目の閾値(ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold2)を含んでもよい。
【0075】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、方位角ステップ数に関する閾値を復号器にて導出するかどうか制御するためのフラグ(ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold_calculation_enabled)を含んでもよい。
【0076】
例えば、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold_calculation_enabledの値が「1」の場合は、かかる閾値を復号器にて導出すると定義し、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold_calculation_enabledの値が「0」の場合は、かかる閾値を復号器にて導出しないと定義されていてもよい。
【0077】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、親ノード等の複数の復号済ノードの相関を使った相関予測器を用いるかどうかを制御するためのフラグ(ptree_ang_relation_predictor_enabled_flag)を含んでもよい。
【0078】
例えば、ptree_ang_predictor_enabled_flagの値が「1」の場合は、かかる相関予測器を用いると定義し、ptree_ang_predictor_enabled_flagの値が「0」の場合は、かかる相関予測器を用いないように定義されていてもよい。
【0079】
GPS2011は、ツリー合成部2020で、Angularモード且つ適応的方位角量子化モードにおいて、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成して予測を行うか否かを制御するためのフラグ(ptree_ang_reference_optimal_predictor_enabled_flag)を含んでもよい。
【0080】
例えば、ptree_ang_predictor_enabled_flagの値が「1」の場合は、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成すると定義し、ptree_ang_reference_optimal_predictor_enabled_flagの値が「0」の場合は、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成しないと定義されていてもよい。
(ツリー合成部2020)
以下、図5図13を用いてツリー合成部2020の動作の一例について説明する。
【0081】
図5は、ツリー合成部2020における処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下では「Predictive geometry coding」を使用してツリーを合成する場合の例について説明する。
【0082】
Predictive geometry codingは、Predictive Treeとも呼ばれている。Predictive geometry codingは、点群符号化装置100側で決めた任意の木構造に基づいて予測した位置情報及び当該点群データの位置情報の残差を復号し、両者を加算することで当該点群データの位置情報を復号する手段である。
【0083】
図5に示すように、ステップS501において、ツリー合成部2020は、当該スライス内に含まれる全ての点群データの位置情報の復号が完了したかどうかを判定する。
【0084】
この処理は、例えば、GSHに当該スライスに含まれる点群データ数を示す情報を伝送しておき、この点群データ数と既に処理したデータ数とを比較することで、全ての点の処理が完了したか否かを判定することができる。
【0085】
全ての点群データの位置情報の復号が完了した場合は、本動作は、ステップS513へ進み、処理を終了する。全ての点群データの位置情報の復号が完了していない場合は、本動作は、ステップS502へ進む。
【0086】
ステップS502において、ツリー合成部2020は、点群データの復号対象ノード(処理対象ノード)の親ノードを設定する。
【0087】
例えば、ツリー合成部2020は、各ノードの子ノードの数を復号し、各ノードにおいて当該子ノード数の分だけノードのインデックスを格納しておく。
【0088】
そして、ツリー合成部2020は、あるノードの後に復号対象ノードの処理を行う場合、当該ノードのインデックスの配列を参照し、かかる配列の末尾に格納されているインデックスを1つ取得し、取得したインデックスのノードを、かかる復号対象ノードの親ノードに設定してもよい。
【0089】
かかる親ノードの設定が完了した後、本動作は、ステップS503へ進む。
【0090】
ステップS503において、ツリー合成部2020は、Angularモードで処理を行うかを判定する。
【0091】
例えば、ツリー合成部2020は、上述のgeom_angular_enabledの値を参照して、Angularモードで処理を行うかを判定することができる。
【0092】
Angularモードで処理を行う場合は、本動作は、ステップS504へ進み、Angularモードで処理を行わない場合は、本動作は、ステップS510へ進む。
【0093】
ステップS504において、ツリー合成部2020は、予測器情報及び球面座標残差の復号を行う。ここで、球面座標残差は、半径や方位角やレーザーIDの残差を示す。かかる復号が完了したら、本動作は、ステップS505へ進む。
【0094】
ステップS505において、ツリー合成部2020は、予測器情報に基づいて、位置情報の予測を行う。ここで、予測器情報は、予測器インデックス又は予測モードである。
【0095】
ツリー合成部2020は、かかる処理では、最初に、予測に用いる予測器の種類を決定する。
【0096】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードで処理を行うか否かを判定し、かかる判定結果に基づいて、利用する予測器の種類を決定してもよい。
【0097】
ツリー合成部2020は、例えば、適応的方位角量子化モードでよりを行う場合、復号した予測器モードに基づいて、木構造を用いて計算される複数の予測器の中から、利用する予測器の種類を選択してもよい。
【0098】
例えば、ツリー合成部2020は、適応的方位角量子化モードの場合、木構造を用いて計算される複数の予測器の中から、復号した予測モードに基づき利用する予測器を選択するものであってもよい。
【0099】
或いは、ツリー合成部2020は、適応的方位角量子化モードで処理を行う場合、復号済みノードの位置情報を予測器としてリストに保持しておき、復号した予測器インデックスに割り当てられている予測器を当該リストから参照し、利用する予測器の種類として選択してもよい。
【0100】
ツリー合成部2020は、予測器の種類が決定したら、かかる予測器を位置情報の予測値とする。具体的な処理の例については、後述する。
【0101】
かかる位置情報の予測が完了した後、本動作は、ステップS506へと進む。
【0102】
ステップS506において、ツリー合成部2020は、球面座標の再構成を行う。ツリー合成部2020は、かかる処理では、復号した球面座標残差と予測器とを加算することで、球面座標を再構成する。
【0103】
かかる再構成が完了した後、本動作は、ステップS507へと進む。
【0104】
ステップS507において、ツリー合成部2020は、直交整数座標の再構成を行う。ツリー合成部2020は、かかる処理では、再構成した球面座標に基づいて、球面座標の直交整数座標への変換を行うことができる。具体的な方法としては、例えば、非特許文献1に記載の手法で実現できる。
【0105】
かかる直交整数座標の再構成が完了した後、本動作は、ステップS508へ進む。
【0106】
ステップS508において、ツリー合成部2020は、直交整数座標残差の復号を行う。
【0107】
直交整数座標残差の復号が完了した後、本動作は、ステップS509へと進む。
【0108】
ステップS509において、ツリー合成部2020は、元座標の再構成を行う。ツリー合成部2020は、かかる処理では、復号した直交整数座標残差と再構成した直交整数座標とを加算することで、元座標の再構成を行う。
【0109】
かかる元座標の再構成が完了した後、本動作は、ステップS501へと戻る。
【0110】
ステップS510において、ツリー合成部2020は、位置情報の予測を行う。具体的には、ツリー合成部2020は、予測器を選択し、かかる予測器を位置情報の予測値とする。
【0111】
例えば、ツリー合成部2020は、木構造に基づき計算される複数の予測器の中から、復号した予測器モードに基づき予測器を選択してもよい。
【0112】
かかる位置情報の予測が完了した後、本動作は、ステップS511へと進む。
【0113】
ステップS511において、ツリー合成部2020は、直交整数座標残差の復号を行う。
【0114】
直交整数座標残差の復号が完了した後、本動作は、ステップS512へと進む。
【0115】
ステップS512において、ツリー合成部2020は、元座標の再構成を行う。ツリー合成部2020は、かかる処理では、ステップS511で復号した直交整数座標の残差とステップS510で予測した位置情報とを加算することで、元座標を再構成する。
【0116】
かかる元座標の再構成が完了した後、本動作は、ステップS501へと戻る。
【0117】
図6は、ステップS504における予測器情報及び球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
【0118】
図6に示すように、ステップS601において、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードであるか否かを判定する。
【0119】
適応的方位角量子化モードである場合、本動作は、ステップS602へ進む。一方、適応的方位角量子化モードではない場合、本動作は、ステップS603へ進む。
【0120】
ステップS602において、ツリー合成部2020は、予測器インデックスを復号する。予測器インデックスの復号が完了後、本動作は、ステップS604へ進む。
【0121】
ステップS603において、ツリー合成部2020は、予測モードを復号する。予測モードの復号が完了後、本動作は、ステップS604へ進む。
【0122】
ステップS604において、ツリー合成部2020は、方位角ステップ数の復号を行う。方位角ステップ数の復号が完了後、本動作は、ステップS605へ進む。
【0123】
ステップS605において、ツリー合成部2020は、球面座標残差を復号する。復号が完了後、本動作は、ステップS606へ進み、処理を終了する。
【0124】
図7は、ステップS604における球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
【0125】
図7に示すように、ステップS701において、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードであるか否かを判定する。
【0126】
適応的方位角量子化モードである場合、本動作は、ステップS702へ進む。一方、適応的方位角量子化モードではない場合、本動作は、ステップS704へ進む。
【0127】
ステップS702において、ツリー合成部2020は、半径残差の復号を行う。半径残差の復号が完了後、本動作は、ステップS703へ進む。
【0128】
ステップS703において、ツリー合成部2020は、方位角残差の復号を行う。方位角残差の復号が完了後、本動作は、ステップS706へ進む。
【0129】
ステップS704において、ツリー合成部2020は、半径残差の復号を行う。半径残差の復号が完了後、本動作は、ステップS705へ進む。
【0130】
ステップS705において、ツリー合成部2020は、方位角残差の復号を行う。方位角残差の復号が完了後、本動作は、ステップS706へ進む。
【0131】
ステップS706において、ツリー合成部2020は、レーザーID残差の復号を行う。レーザーID残差の復号が完了後、本動作は、ステップS707へ進み、処理を終了する。
【0132】
図8は、ステップS702における半径残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
【0133】
図8に示すように、ステップS801において、ツリー合成部2020は、コンテクストを決定する。
【0134】
例えば、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックス及び復号した方位角ステップ数を用いて、以下のように、方位角ステップ数に関する閾値を1つ用いて、4つのコンテクストインデックスctxIdxの中から、条件に当てはまるコンテクストインデックスを1つ選び、かかるコンテクストインデックスに基づいて、コンテクストを決定してもよい。
【0135】
【数1】
ここで、predIdxは、予測器インデックスを示し、qphiは、方位角ステップ数を示し、xは、方位角ステップ数に関する閾値を示す。
【0136】
ツリー合成部2020は、閾値xとして、ハードコーディングされた特定の値を用いてもよい。例えば、ツリー合成部2020は、閾値xとして、0等の特定の値をハードコーディングして用いてもよい。
【0137】
若しくは、ツリー合成部2020は、閾値xとして、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_thresholdの値を用いてもよい。
【0138】
若しくは、ツリー合成部2020は、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold_calculation_enabledの値を参照し、かかる閾値xを復号器にて導出すると判定した場合、GPS2011が保持するシンタックスを用いて閾値xを導出してもよい。
【0139】
例えば、ツリー合成部2020は、方位角の予測値の計算するために利用するためのレーザーの回転速度に関する値であるptree_ang_azimuth_step_minus1の値に基づいて、閾値xを導出してもよい。
【0140】
例えば、ツリー合成部2020は、以下のように、閾値xを計算してもよい。
【0141】
【数2】
ここで、Aは、定数であり、例えば、2の累乗であってもよい。また、round(※)は、引数を四捨五入して整数値を返す関数である。
【0142】
例えば、ツリー合成部2020は、方位角ステップ数に関する閾値を2つ用いて、以下に示す条件により、コンテクストインデックスを選択してもよい。
【0143】
【数3】
ここで、yは、方位角ステップ数に関する2つ目の閾値を示す。
【0144】
例えば、ツリー合成部2020は、閾値yとして、0のような特定の値を用いてもよい。
【0145】
若しくは、ツリー合成部2020は、閾値yとして、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold2の値を用いてもよい。
【0146】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_radius_residual_cording_context_qphi_threshold_calculation_enabledの値を参照し、閾値yを復号器にて導出すると判定した場合、GPS2011が保持するシンタックスを用いて閾値yを導出してもよい。
【0147】
以上のように、ツリー合成部2020は、方位角ステップ数に関する閾値及び復号した方位角ステップ数による判定を行い、かかる判定結果に基づき、半径残差の復号に利用するコンテクストを決定してもよい。このような構成とすることで、半径残差の符号量を削減することができる。
【0148】
コンテクストが決定したら、本動作は、ステップS802へ進む。
【0149】
ステップS802において、ツリー合成部2020は、半径残差を復号する。
【0150】
この処理では、ツリー合成部2020は、ステップS801で決定したコンテクストに基づいて、コンテクスト適応二値算術復号処理を行う。
【0151】
さらに、この処理では、ツリー合成部2020は、復号した半径残差を逆量子化してもよい。
【0152】
ここで、ツリー合成部2020は、全ての復号対象ノードに対して、一様の値で逆量子化してもよいし、非一様の値で逆量子化してもよい。
【0153】
例えば、ツリー合成部2020は、復号した半径残差の大きさに応じて、全ての復号対象ノードに対して非一様の値で逆量子化してもよい。
【0154】
さらに、例えば、ツリー合成部2020は、全ての復号対象ノードに対して、半径残差の大きさに応じて線形に変化させた値で逆量子化してもよいし、指数関数で逆量子化してもよい。
【0155】
以上のように、ツリー合成部2020は、半径残差を逆量子化する構成としてもよい。このような構成とすることで、半径残差の符号量を削減することができる。
【0156】
図9は、ステップS505における位置情報の予測の処理の一例を示すフローチャートである。
【0157】
図9に示すように、ステップS901において、ツリー合成部2020は、予測器の計算に予測器リストを使うかどうかを判定する。
【0158】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードであるか否かを判定し、予測器の計算に用いる予測器の種類を決定してもよい。
【0159】
予測器リストを使う場合は、本動作は、ステップS902へ進み、予測器リストを使わない場合は、本動作は、ステップS903へ進む。
【0160】
ステップS902において、ツリー合成部2020は、予測器リストを使って予測器を計算し、位置情報の予測を行う。
【0161】
この処理では、ツリー合成部2020は、予測器リストとして保持している復号済ノードの位置情報の中から、前記復号した予測器インデックスに該当するものをリストから取得してもよい。
【0162】
若しくは、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスに基づき、親ノードの位置情報を予測器として利用してもよい。
【0163】
ツリー合成部2020は、予測器が決定したら、その予測器を用いて位置情報の予測値を計算する。予測値計算の具体的な処理の例は、後述する。
【0164】
位置情報の予測が完了後、本動作は、ステップS904へ進み、処理を終了する。
【0165】
ステップS903において、ツリー合成部2020は、木構造を用いて計算される複数の予測器の中から、復号した予測器モードに基づき利用する予測器を選択し、その予測器を位置情報の予測値とする。
【0166】
例えば、ツリー合成部2020は、予測しないモード、親ノードのみに基づき予測するモード、親ノードとその親ノードに基づき予測するモード、親ノードの親ノードとその親ノードに基づき予測するモードの中から、復号した予測器モードに基づき利用するモードを選択するものであってもよい。
【0167】
具体的には、例えば、ツリー合成部2020は、非特許文献1に記載の手法で実現できる。
【0168】
位置情報の予測が完了後、本動作は、ステップS904へ進み、処理を終了する。
【0169】
図10は、ステップS902における予測器リストによる予測器の生成及び予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
【0170】
図10に示すように、ステップS1001において、ツリー合成部2020は、相関予測器を使うかどうかを判定する。相関予測器とは、親ノード等の復号済ノードの相関を使って生成する予測器である。
【0171】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_relation_predictor_enabled_flagを参照して、相関予測器を使うかどうかを判定することができる。
【0172】
相関予測器を使う場合は、本動作は、ステップS1002へ進み、相関予測器を使わない場合は、本動作は、ステップS1003へ進む。
【0173】
ステップS1002において、ツリー合成部2020は、相関予測器を利用する予測を行う。
【0174】
この処理では、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスに基づき、相関予測器又は相関予測器以外の予測器を生成し、復号対象ノードの位置情報を予測する。具体的には、後述する。
【0175】
かかる予測が完了したら、本動作は、ステップS1004へ進み、処理を終了する。
【0176】
ステップS1003において、ツリー合成部2020は、相関予測器以外の予測器を利用する予測を行う。
【0177】
この処理では、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスに基づき、相関予測器以外の予測器を生成し、復号対象ノードの位置情報を予測する。
【0178】
かかる予測が完了したら、本動作は、ステップS1004へ進み、処理を終了する。
【0179】
図11は、ステップS1002における相関予測器を含む予測処理の一例を示すフローチャートである。
【0180】
図11に示すように、ステップS1101において、ツリー合成部2020は、参照ノードの第1最適予測器を取得する。
【0181】
ここで、参照ノードは、既に復号済のノードであって、復号対象ノードが利用する予測器を決定するために利用されるノードである。ツリー合成部2020は、後述のステップS1105において、参照ノードにおいて、位置情報を復号した後に、親ノードを予測器とした場合及び相関予測器を予測器とした場合のそれぞれの半径残差を計算する。
【0182】
また、第1最適予測器は、後述するように、復号対象ノードの予測器インデックスが0だった場合に使われる予測器であり、計算された半径残差のうち、より半径残差が小さくなるときの予測器である。
【0183】
すなわち、ツリー合成部2020は、参照ノードにおいて位置情報を復号した後に、親ノード及び相関予測器のどちらを予測器とした方が半径残差が小さくなるかについて計算し、より半径残差が小さくなる方の予測器を第1最適予測器とする。
【0184】
ここで、ツリー合成部2020は、ステップS1102において選択される復号対象ノードの予測器インデックスが0だった場合に、親ノードを予測器とするか相関予測器を予測器とするかの判定に、参照ノードの第1最適予測器を使用する。
【0185】
例えば、参照ノードの第1最適予測器が親ノードの場合、復号対象ノードの予測器インデックス0は、親ノードとなり、参照ノードの第1最適予測器が相関予測器の場合、復号対象ノードの予測器インデックス0は、相関予測器となる。
【0186】
ツリー合成部2020は、例えば、復号対象ノードのレーザーIDの直前に処理したレーザーIDの中から、復号対象ノードの直前に復号したノードの方位角以上の方位角を持つノードのうち、最小の方位角を持つノードを、参照ノードとしてもよい。
【0187】
また、ツリー合成部2020は、復号対象ノードのレーザーIDの直前に処理したレーザーIDが存在しない場合は、復号対象ノードの直前に復号したノードを、参照ノードとしてもよい。
【0188】
また、ツリー合成部2020は、復号対象ノードが各レーザーの先頭ノードの場合は、復号対象ノードの直前に復号したノードを、参照ノードとしてもよい。
【0189】
参照ノードの選択が完了後、ツリー合成部2020は、参照ノードの第1最適予測器を取得する。
【0190】
参照ノードの第1最適予測器の取得が完了後、本動作は、ステップS1102へ進む。
【0191】
ステップS1102において、ツリー合成部2020は、予測器を選択する。ここで、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスが0の場合、取得した参照ノードの第1最適予測器に応じた予測器を選択する。
【0192】
例えば、ツリー合成部2020は、参照ノードの第1最適予測器が親ノードの場合、親ノードを予測器とし、参照ノードの第1最適予測器が相関予測器の場合、相関予測器を予測器とする。
【0193】
例えば、相関予測器は、親ノード及び親ノードの親ノードの相関に基づいて生成される線形予測器であってもよい。
【0194】
ツリー合成部2020は、線形予測器P_(pred_linear)=(r_(pred_linear),φ(pred_linear))について、親ノードの位置情報P_0=(r_0,φ_0)及び親ノードの親ノードの位置情報P_1=(r_0,φ_1)を用いて、P_(pred_linear)=P_0+(P_0-P_1)と計算してもよい。
【0195】
ここで、rは、半径を示し、φは、方位角を示す。
【0196】
或いは、ツリー合成部2020は、線形予測器P_(pred_linear)=(r_(pred_linear),φ(pred_linear))のうち、半径r_(pred_linear)のみについて、r_(pred_linear)=r_0+(r_0-r_1)と計算し、方位角φ_(pred_linear)については、φ_(pred_linear)=φ_0としてもよい。
【0197】
ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスが0以外の場合、予測器リストとして保持している復号済ノードの位置情報の中から、復号した予測器インデックスに該当するものをリストから取得する。
【0198】
予測器の選択が完了後、本動作は、ステップ1103へ進む。
【0199】
ステップS1103において、ツリー合成部2020は、予測値の計算を行う。具体的には、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスに該当する予測器を、予測器リストから取得し、取得した予測器を元に、かかる予測値を計算する。
【0200】
予測器には、既に復号済ノードの方位角及び半径が含まれ、ツリー合成部2020は、これらに親ノードの復号済レーザーIDを加えた情報に基づいて、例えば、非特許文献2に記載の手法で、予測器の計算が実現できる。
【0201】
予測値の計算が完了後、本動作は、ステップS1104へ進む。
【0202】
ステップS1104において、ツリー合成部2020は、予測器リストの更新を行う。かかる予測器リストには、復号済の半径と方位角が、予測器として格納されている。
【0203】
具体的には、ツリー合成部2020は、今回復号した半径及び方位角を予測器リストのインデックス0番目に格納することで、予測器リストの更新を行う。
【0204】
若しくは、ツリー合成部2020は、復号した予測モードが線形予測器であった場合、予測に用いた線形予測器をインデックス0番目に格納してもよい。
【0205】
例えば、インデックス1番目以降の更新については、非特許文献2に記載の手法で実現できる。
【0206】
予測器リストの更新が完了後、本動作は、ステップS1105へ進む。
【0207】
ステップS1105において、ツリー合成部2020は、第1最適予測器を計算する。
【0208】
ここで、計算された第1最適予測器は、復号対象ノード以降のノードの復号において、復号対象ノードが参照ノードとして選択された際に、参照される。
【0209】
この処理では、ツリー合成部2020は、復号対象ノードにおいて、親ノードを予測器とした場合及び相関予測器を予測器とした場合のそれぞれの半径残差を計算し、本来はどちらの予測器を選択していた方が、半径残差が小さくなっていたのかを計算し、半径残差が小さくなる方の予測器を第1最適予測器とする。
【0210】
具体的には、ツリー合成部2020は、復号対象ノードにおいて復号した半径と親ノードの半径の差分と、復号対象ノードにおいて復号した半径と相関予測器の半径の差分を比較し、親ノードとの差分の方が小さい場合は、親ノードを第1最適予測器とし、相関予測器との差分の方が小さい場合は、相関予測器を第1最適予測器とする。
【0211】
第1最適予測器の計算が完了後、本動作は、ステップS1106へ進み、処理を終了する。
【0212】
以上のように、ツリー合成部2020は、予測器インデックス0番目の予測器を、親ノードとするか相関予測器とするかについて選択する構成としてもよい。このような構成とすることで、予測器インデックス0番目を、より最適な予測器で割り当てることができ、符号化効率を改善することができる。
【0213】
図12は、ステップS504における予測器情報及び球面座標残差の復号処理の一例を示すフローチャートである。
【0214】
図12に示すように、ステップS1201において、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードであるか否かを判定する。
【0215】
適応的方位角量子化モードである場合、本動作は、ステップS1202へ進む。一方、適応的方位角量子化モードではない場合、本動作は、ステップS1203へ進む。
【0216】
ステップS1202において、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成して予測を行うか否かを判定する。
【0217】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_reference_optimal_predictor_enabled_flagの値に基づいて、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成して予測を行うか否かを判定してもよい。
【0218】
参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成する場合は、本動作は、ステップS1205へ進み、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成しない場合は、本動作は、ステップS1204へ進む。
【0219】
ステップS1203において、ツリー合成部2020は、予測モードを復号する。予測モードの復号が完了後、本動作は、ステップS604へ進む。
【0220】
ステップS1204において、ツリー合成部2020は、予測器インデックスを復号する。予測器インデックスの復号が完了後、本動作は、ステップS1205へ進む。
【0221】
ステップS1205において、ツリー合成部2020は、方位角ステップ数の復号を行う。方位角ステップ数の復号が完了後、本動作は、ステップS1206へ進む。
【0222】
ステップS1206において、ツリー合成部2020は、球面座標残差を復号する。
【0223】
なお、ツリー合成部2020は、ptree_ang_reference_optimal_predictor_enabled_flagの値に基づいて、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成しないと判定した場合、半径残差の復号では、方位角ステップ数のみを条件としてコンテクストを選択する。
【0224】
復号が完了後、本動作は、ステップS1207へ進み、処理を終了する。
【0225】
図13は、ステップS505における位置情報の予測の一例を示すフローチャートである。
【0226】
図13に示すように、ステップS1301において、ツリー合成部2020は、予測器の計算に予測器リストを使うかどうかを判定する。
【0227】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_azimuth_scaling_enabledの値に基づいて、適応的方位角量子化モードであるか否かを判定し、予測器の計算に用いる予測器の種類を決定してもよい。
【0228】
予測器リストを使う場合は、本動作は、ステップS1202へ進み、予測器リストを使わない場合は、本動作は、ステップS1303へ進む。
【0229】
ステップS1302において、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成して予測を行うか否かを判定する。
【0230】
例えば、ツリー合成部2020は、ptree_ang_reference_optimal_predictor_enabled_flagの値に基づいて、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成して予測を行うか否かを判定してもよい。
【0231】
参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成する場合は、本動作は、ステップS1304へ進み、参照ノードの最適予測器を使って予測器を生成しない場合は、本動作は、ステップS1305へ進む。
【0232】
ステップS1303において、ツリー合成部2020は、木構造を用いて計算される複数の予測器の中から、復号した予測器モードに基づき利用する予測器を選択し、その予測器を位置情報の予測値とする。
【0233】
例えば、ツリー合成部2020は、予測しないモード、親ノードのみに基づき予測するモード、親ノードとその親ノードに基づき予測するモード、親ノードの親ノードとその親ノードに基づき予測するモードの中から、復号した予測器モードに基づき、利用するモードを選択するものであってもよい。具体的には、例えば、非特許文献1に記載の手法で、かかる選択を実現できる。
【0234】
位置情報の予測が完了後、本動作は、ステップS1306へ進み、処理を終了する。
【0235】
ステップS1304において、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器に応じた予測器の生成及び予測値の計算を行う。
【0236】
ここで、参照ノードは、既に復号済のノードであって、復号対象ノードが利用する予測器を決定するために利用されるノードである。
【0237】
また、最適予測器は、参照ノードにおいて位置情報を復号した後に、予測器リストに存在する予測器の中で、どの予測器を選択した場合に半径残差が最も小さくなるかを計算し、その結果、最も半径残差が小さくなる予測器のことである。
【0238】
この処理では、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器を取得し、かかる最適予測器に基づいて予測値を計算する。詳細は後述する。
【0239】
予測値の計算が完了後、本動作は、ステップS1306へ進み、処理を終了する。
【0240】
ステップS1305において、ツリー合成部2020は、予測器リストを使って予測器を計算し、位置情報の予測を行う。
【0241】
この処理では、ツリー合成部2020は、予測器リストとして保持している復号済ノードの位置情報の中から、前記復号した予測器インデックスに該当するものをリストから取得してもよい。
【0242】
若しくは、ツリー合成部2020は、復号した予測器インデックスに基づき、親ノードの位置情報を予測器として利用してもよい。
【0243】
予測器が決定したら、ツリー合成部2020は、かかる予測器を用いて位置情報の予測値を計算する。
【0244】
予測が完了したら、本動作は、ステップS1306へ進み、処理を終了する。
【0245】
図14は、ステップS1304における参照ノードの最適予測器に応じた予測器の生成及び予測値の計算処理の一例を示すフローチャートである。
【0246】
図14に示すように、ステップS1401において、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器を取得する。
【0247】
例えば、ツリー合成部2020は、復号対象ノードのレーザーIDの直前に処理したレーザーIDの中から、復号対象ノードの直前に復号したノードの方位角以上の方位角を持つノードのうち、最小の方位角を持つノードを、参照ノードとしてもよい。
【0248】
また、ツリー合成部2020は、復号対象ノードのレーザーIDの直前に処理したレーザーIDが存在しない場合は、復号対象ノードの直前に復号したノードを、参照ノードとしてもよい。
【0249】
また、ツリー合成部2020は、復号対象ノードが各レーザーの先頭ノードの場合は、復号対象ノードの直前に復号したノードを、参照ノードとしてもよい。
【0250】
参照ノードの選択が完了後、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器を取得する。
【0251】
参照ノードの最適予測器の取得が完了後、本動作は、ステップS1402へ進む。
【0252】
ステップS1402において、ツリー合成部2020は、予測器を選択する。
【0253】
この処理では、ツリー合成部2020は、取得した参照ノードの最適予測器に応じた予測器を選択する。
【0254】
例えば、ツリー合成部2020は、参照ノードの最適予測器をそのまま予測器としてもよいし、参照ノードの最適予測器と同じ方位角の復号対象ノードと同一レーザーのノードを予測器としてもよい。
【0255】
予測器の選択が完了後、本動作は、ステップ1403へ進む。
【0256】
ステップS1403において、ツリー合成部2020は、予測値の計算を行う。取得された予測器には、復号済ノードの半径及び方位角の情報が含まれる。
【0257】
この処理では、ツリー合成部2020は、取得した予測器及び親ノードの復号済レーザーIDを加えた情報に基づいて、例えば、非特許文献2に記載の手法で、予測器の計算が実現できる。
【0258】
予測値の計算が完了後、本動作は、ステップS1404へ進む。
【0259】
ステップS1404において、ツリー合成部2020は、予測器リストの更新を行う。予測器リストには、復号済の半径及び方位角が、予測器として格納されている。
【0260】
ツリー合成部2020は、予測器リストの更新の際に、例えば、復号に使った予測器を、予測器リストの最後尾に格納してもよい。
【0261】
また、ツリー合成部2020は、予測器リストについて、レーザーIDごとに独立させてもよい。
【0262】
例えば、ツリー合成部2020は、復号したレーザーIDが直前のレーザーIDから変化した場合、新たな予測器リストを作成してもよい。
【0263】
ツリー合成部2020は、レーザーIDごとに予測器リストを独立させる場合、ステップS1402で予測器を選択する際には、参照ノードのレーザーIDに対応する予測器リストを参照し、予測器を選択する。
【0264】
予測器リストの更新が完了後、本動作は、ステップS1405へ進む。
【0265】
ステップS1405において、ツリー合成部2020は、最適予測器を計算する。
【0266】
計算された最適予測器は、復号対象ノード以降のノードの復号において、復号対象ノードが参照ノードとして選択された際に、参照される。
【0267】
この処理では、ツリー合成部2020は、参照ノードにおいて位置情報を復号した後に、既に復号済のノードの中で、どのノードを予測器とした場合に半径残差が最も小さくなるかを計算し、その結果、最も半径残差が小さくなる予測器を最適予測器とする。
【0268】
最適予測器の計算が完了後、本動作は、ステップS1406へ進み、処理を終了する。
【0269】
以上のように、ツリー合成部2020は、復号済ノードで事前に最適な予測器を計算しておき、その予測器を参照して、予測する構成としてもよい。
このような構成とすることで、予測器インデックスを復号する必要がなく、符号化効率を改善することができる。
【0270】
(点群符号化装置100)
以下、図15を参照して、本実施形態に係る点群符号化装置100について説明する。図15は、本実施形態に係る点群符号化装置100の機能ブロックの一例について示す図である。
【0271】
図15に示すように、点群符号化装置100は、座標変換部1010と、幾何情報量子化部1020と、ツリー解析部1030と、近似表面解析部1040と、幾何情報符号化部1050と、幾何情報再構成部1060と、色変換部1070と、属性転移部1080と、RAHT部1090と、LoD算出部1100と、リフティング部1110と、属性情報量子化部1120と、属性情報符号化部1130と、フレームバッファ1140とを有する。
【0272】
座標変換部1010は、入力点群の3次元座標系から、任意の異なる座標系への変換処理を行うよう構成されている。座標変換は、例えば、入力点群を回転することにより、入力点群のx、y、z座標を任意のs、t、u座標に変換してもよい。また、変換のバリエーションの1つとして、入力点群の座標系をそのまま使用してもよい。
【0273】
幾何情報量子化部1020は、座標変換後の入力点群の位置情報の量子化及び座標が重複する点の除去を行うように構成されている。なお、量子化ステップサイズが1の場合は、入力点群の位置情報と量子化後の位置情報とが一致する。すなわち、量子化ステップサイズが1の場合は、量子化を行わない場合と等価になる。
【0274】
ツリー解析部1030は、量子化後の点群の位置情報を入力として、後述のツリー構造に基づいて、符号化対象空間のどのノードに点が存在するかについて示すoccupancy codeを生成するように構成されている。
【0275】
ツリー解析部1030は、本処理において、符号化対象空間を再帰的に直方体で区切ることにより、ツリー構造を生成するように構成されている。
【0276】
ここで、ある直方体内に点が存在する場合、かかる直方体を複数の直方体に分割する処理を、直方体が所定のサイズになるまで再帰的に実行することでツリー構造を生成することができる。なお、かかる各直方体をノードと呼ぶ。また、ノードを分割して生成される各直方体を子ノードと呼び、子ノード内に点が含まれるか否かについて0又は1で表現したものがoccupancy codeである。
【0277】
以上のように、ツリー解析部1030は、所定のサイズになるまでノードを再帰的に分割しながら、occupancy codeを生成するように構成されている。
【0278】
本実施形態では、上述の直方体を常に立方体として8分木分割を再帰的に行う「Octree」と呼ばれる手法、及び、8分木分割に加え、4分木分割及び2分木分割を行う「QtBt」と呼ばれる手法を使用することができる。
【0279】
ここで、「QtBt」を使用するか否かについては、制御データとして点群復号装置200に伝送される。
【0280】
或いは、任意のツリー構成を用いるPredictive geometry codingを使用するように指定されてもよい。かかる場合、ツリー解析部1030が、ツリー構造を決定し、決定されたツリー構造は、制御データとして点群復号装置200へ伝送される。
【0281】
例えば、ツリー構造の制御データは、図7及び図8で説明した手順で復号できるよう構成されていてもよい。
【0282】
近似表面解析部1040は、ツリー解析部1030によって生成されたツリー情報を用いて、近似表面情報を生成するように構成されている。
【0283】
近似表面情報は、例えば、物体の3次元点群データを復号する際等において、点群が物体表面に密に分布しているような場合に、個々の点群を復号するのではなく、点群の存在領域を小さな平面で近似して表現したものである。
【0284】
具体的には、近似表面解析部1040は、例えば、「Trisoup」と呼ばれる手法で、近似表面情報を生成するように構成されていてもよい。また、Lidar等で取得した疎な点群を復号する場合は、本処理を省略することができる。
【0285】
幾何情報符号化部1050は、ツリー解析部1030によって生成されたoccupancy code及び近似表面解析部1040によって生成された近似表面情報等のシンタックスを符号化してビットストリーム(幾何情報ビットストリーム)を生成するように構成されている。ここで、ビットストリームには、例えば、図4で説明したシンタックスを含まれていてもよい。
【0286】
符号化処理は、例えば、コンテクスト適応二値算術符号化処理である。ここで、例えば、シンタックスは、位置情報の復号処理を制御するための制御データ(フラグやパラメータ)を含む。
【0287】
幾何情報再構成部1060は、ツリー解析部1030によって生成されたツリー情報及び近似表面解析部1040によって生成された近似表面情報に基づいて、符号化対象の点群データの各点の幾何情報(符号化処理が仮定している座標系、すなわち、座標変換部1010における座標変換後の位置情報)を再構成するように構成されている。
【0288】
フレームバッファ1140は、幾何情報再構成部1060によって再構成された幾何情報を入力とし、参照フレームとして保存するように構成されている。
【0289】
保存された参照フレームは、ツリー解析部1030において時間的に異なるフレームのインター予測を行う場合に、フレームバッファ1140から読み出されて参照フレームとして使用される。
【0290】
ここで、各フレームに対してどの時刻の参照フレームを用いるかどうかが、例えば、符号化効率を表すコスト関数の値に基づいて決定され、使用する参照フレームの情報が制御データとして点群復号装置200へ伝送されてもよい。
【0291】
色変換部1070は、入力の属性情報が色情報であった場合に、色変換を行うように構成されている。色変換は、必ずしも実行する必要は無く、色変換処理の実行の有無については、制御データの一部として符号化され、点群復号装置200へ伝送される。
【0292】
属性転移部1080は、入力点群の位置情報、幾何情報再構成部1060における再構成後の点群の位置情報及び色変換部1070での色変化後の属性情報に基づいて、属性情報の歪みが最小となるように属性値を補正するように構成されている。具体的な補正方法は、例えば、非特許文献1に記載の方法を適用できる。
【0293】
RAHT部1090は、属性転移部1080による転移後の属性情報及び幾何情報再構成部1060によって生成された幾何情報を入力とし、RAHT(Region Adaptive Hierarchical Transform)と呼ばれるHaar変換の一種を用いて、各点の残差情報を生成するように構成されている。RAHTの具体的な処理としては、例えば、上述の非特許文献1に記載の方法を用いることができる。
【0294】
LoD算出部1100は、幾何情報再構成部1060によって生成された幾何情報を入力とし、LoD(Level of Detail)を生成するように構成されている。
【0295】
LoDは、ある点の属性情報から、他のある点の属性情報を予測し、予測残差を符号化或いは復号するといった予測符号化を実現するための参照関係(参照する点及び参照される点)を定義するための情報である。
【0296】
言い換えると、LoDは、幾何情報に含まれる各点を複数のレベルに分類し、下位のレベルに属する点については上位のレベルに属する点の属性情報を用いて属性を符号化或いは復号するといった階層構造を定義した情報である。
【0297】
LoDの具体的な決定方法としては、例えば、上述の非特許文献1に記載の方法を用いてもよい。
【0298】
リフティング部1110は、LoD算出部1100によって生成されたLoD及び属性転移部1080での属性転移後の属性情報を用いて、リフティング処理により残差情報を生成するように構成されている。
【0299】
リフティングの具体的な処理としては、例えば、上述の非特許文献1に記載の方法を用いてもよい。
【0300】
属性情報量子化部1120は、RAHT部1090又はリフティング部1110から出力される残差情報を量子化するように構成されている。ここで、量子化ステップサイズが1の場合は、量子化を行わない場合と等価である。
【0301】
属性情報符号化部1130は、属性情報量子化部1120から出力される量子化後の残差情報等をシンタックスとして符号化処理を行い、属性情報に関するビットストリーム(属性情報ビットストリーム)を生成するように構成されている。
【0302】
符号化処理は、例えば、コンテクスト適応二値算術符号化処理である。ここで、例えば、シンタックスは、属性情報の復号処理を制御するための制御データ(フラグ及びパラメータ)を含む。
【0303】
点群符号化装置100は、以上の処理により、点群内の各点の位置情報及び属性情報を入力として符号化処理を行い、幾何情報ビットストリーム及び属性情報ビットストリームを出力するように構成されている。
【0304】
また、上述の点群符号化装置100及び点群復号装置200は、コンピュータに各機能(各工程)を実行させるプログラムであって実現されていてもよい。
【0305】
なお、上記の各実施形態では、本発明を点群符号化装置100及び点群復号装置200への適用を例にして説明したが、本発明は、かかる例のみに限定されるものではなく、点群符号化装置100及び点群復号装置200の各機能を備えた点群符号化/復号システムにも同様に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0306】
なお、本実施形態によれば、例えば、動画像通信において総合的なサービス品質の向上を実現できることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【符号の説明】
【0307】
10…点群処理システム
100…点群符号化装置
1010…座標変換部
1020…幾何情報量子化部
1030…ツリー解析部
1040…近似表面解析部
1050…幾何情報符号化部
1060…幾何情報再構成部
1070…色変換部
1080…属性転移部
1090…RAHT部
1100…LoD算出部
1110…リフティング部
1120…属性情報量子化部
1130…属性情報符号化部
1140…フレームバッファ
200…点群復号装置
2010…幾何情報復号部
2020…ツリー合成部
2030…近似表面合成部
2040…幾何情報再構成部
2050…逆座標変換部
2060…属性情報復号部
2070…逆量子化部
2080…RAHT部
2090…LoD算出部
2100…逆リフティング部
2110…逆色変換部
2120…フレームバッファ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15