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特開2024-152176抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法
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  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図1
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図2
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図3
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図4
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図5
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図6
  • 特開-抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152176
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】抵抗値をICタグ(RFIDタグ)に同期させ物理量と情報を無線にて入出力させる計測方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/26 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01L1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066212
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】591161885
【氏名又は名称】株式会社山陽電測
(72)【発明者】
【氏名】小西 千代一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現状の応力ゲージを使用するシステムでは、現場での物理量計測は短期間でも長期間であっても嵩張る計器とケーブルに悩まされている。
【解決手段】嵩張る計器やケーブルを使用せず、無線ICタグに事前に記録された抵抗値データ及び年月日等の情報と2応力ゲージの現時点の抵抗値を、1電池を内蔵していないハッシブ型ICタグに、3受発信リーダーより電磁誘導周波数を発信させ、1のハッシブ型ICタグのデータ及び情報を駆動させ3で受信し、データ及び情報を4スマートフォンやタブレットの表示器に表示させる事ができる。また、そのデータ及び情報を5パソコンや6クラウドサーバーにてデータ処理や情報交換する事ができる。
【効果】取付時の抵抗値データや年月日情報、現時点での情報を簡単に表示する事ができるため、現地で調整処理を行う計測器やPC及び電源等の現地持ち込みが不用となり、身軽に行動する事ができ安全にも寄与する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理量を計測するための応力ゲージ(ひずみゲージ)センサの出力形態を、ホイートストンブリッジ回路を使用しないで応力ゲージの抵抗値のみを無電源型のハッシブ型ICタグ(RFIDタグ)に同期させ、物理量や各種情報をスマートフォンやタブレット、RFIDリーダーライター等に無線出力表示させる事のできる応力出力方法。
【請求項2】
応力ゲージを使用し、応力ゲージの抵抗値変化と物理量の変化を対比比較させて、ICタグ(RFIDタグ)にて無線出力表示させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力ゲージの抵抗値出力とICタグを使用し、物理量の保守管理に有効な手立てのできる簡易システムの構築に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状の応力ゲージを使用するシステムでは必ず応力ゲージを4枚(偶数枚)使用し、4枚使用しない場合は電子用の固定抵抗にて4枚貼り付けた状態にして、物理量を発生する。金属母材に貼り付けオームの法則によるホイートストンブリッジを組む事が必須であり、ホイートストンブリッジの出力を出すためには安定した電源電圧回路や出力回路が必要となっている。また、出力そのものが扱いにくい低電圧の0.1mV/V~4mV/Vとなっているため、必ず電子的な安定した増幅器が必要となっている。
【0003】
さらに、ホイートストンブリッジ回路の8本の線を組むためには、出力線の誤配線による不出力や極性間違いが起こりやすい。また、ホイートストンブリッジに加える電子回路の設計、製作、調整に高価な費用が発生するため市販品の増幅器も高価である。
【0004】
応力ゲージより抵抗値変化にて計測を行うためには、現在ひずみゲージ式変換器を製作しているメーカーと同じ方法で、応力ゲージをセンサとして加工し母材に取り付ける必要がある。ひずみ式荷重変換器(ロードセル)を例にとると、本体内には少なくても4枚の応力ゲージを取り付けてあり、その4枚の応力ゲージにてホイートストンブリッジが形成されている。ホイートストンブリッジより出力を多く出すためには、全項のアクティブとダミーの応力ゲージの差(ポアソン比)を大きくする事が必要となる。
【0005】
一般的にはロードセル出力を大きく出すためには、アクティブAとダミーDの応力ゲージの取付方向が主応力方向の縦方向と90°角の横方向に応力ゲージを取り付け、ホイーストンブリッジを組む必要がある。また、ホイートストンブリッジの組み方により、1枚取付、2枚取付、4枚取付において出力が1倍、2倍、4倍と変わる。また、外部固定抵抗の取り付けにおいても外部温度により変動がある。本発明の応力ゲージを抵抗センサとして使用しICタグを出力器として使用すれば、長期間計測のできる簡易で安価な物理量計測器としての使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-093873号
【特許文献2】特開2021-076518号
【特許文献3】特開2022-098686号
【特許文献4】特開2023-34994号
【特許文献5】特開2011-179817号
【特許文献6】特許第7194799号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、現場での物理量計測は短期間でも長期間であっても嵩張る計器とケーブルに悩まされている点である。現在現場等にてスポット的に観測計測されるセンサには計測コードが付属されており、そのケーブルを測定器に接続して計測器の数値を読み取りPC等に集録を行っているが、事前に設置年月日や取付時の容量及び位置等のデータを確認、把握し、合わせて計測器やソフト及び電源チェック等の準備を行い、それらの重量物を持って現地入りする事になる。足元の悪い現場も有り大変な作業となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、嵩張る計器やケーブルを使用せず、無線ICタグに事前に記録された抵抗値データ及び年月日等の情報と図1の2応力ゲージの現時点の抵抗値を、図1の1電池を内蔵していないハッシブ型ICタグに、図1の3受発信リーダーより電磁誘導周波数を発信させ、1のハッシブ型ICタグのデータ及び情報を駆動させ3で受信し、データ及び情報を図1の4スマートフォンやタブレットの表示器に表示させる事ができる。また、そのデータ及び情報を図1の5パソコンや図1の6クラウドサーバーにてデータ処理や情報交換する事ができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明を使用する事により、取付時の抵抗値データや年月日情報、現時点での情報を簡単に表示する事ができるため、現地で調整処理を行う計測器やPC及び電源等の現地持ち込みが不用となり、身軽に行動する事ができ安全にも寄与する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】センサ母材となる0の金属材料に電池不用の1のハッシブ型ICタグと2の応力ゲージを取り付ける。取り付けてあるICタグには事前に取付年月日、取付時の抵抗値、物理量、位置等の情報が事前に記録して有り、無線周波数を使用して通信を行い3及び4のスマートフォンやタブレット、RFIDリーダーライターなどに取り込み、その情報を5のPCや6のクラウドサーバーに送り、データの蓄積や解析処理を行う事ができる。
図2】現在市販されている応力ゲージを使用して製作されているロードセル(荷重変換器)の単純圧縮型の応力ゲージの取り付けを表している。市販品のロードセルの抵抗値は350Ωが主流となっている。本仕様の入出力には増幅器、電源、ケーブル等が必要となる。
図3】剪断型圧縮ロードセルと呼ばれている物で、図2の形状ではロードセルの出力を剪断型ロードセルと同じ容量出力にするためには取付母材の縦寸法が高くなるが、本剪断形状では横径は太くなるが、高さ寸法を低くできるメリットが有る。本仕様も増幅器等は必要となる。
図4】単純引張型ロードセルで、図2を横にしたような形状で、ロープを掛ける輪っかやシャックルを掛ける事のできる仕様にした物である。本仕様も増幅器等が必要となる。
図5図4と同じく引張用として使用し、応力ゲージを枠に取り付けた物で応力ゲージを1枚取り付けている。本仕様も増幅器等が必要で、図5は応力ゲージ1枚取付の状態なので、増幅器側に外部固定抵抗を3ヶ入れてホイートストンブリッジを組む事となる。
図6図2図3図4図5のホイートストンブリッジを組む形状の母材に2の応力ゲージと1のICタグを取り付ける状況を表したもので、0の各センサ母材に取り付けられた2の応力ゲージを保護するために防水処理と7の金属カバーが付く。2の応力ゲージは母材に付いているが1のICタグは7の金属カバーの外側へ破損しないように取り付けられる。この1のICタグは取り付けられた7の金属カバーと一体になり、発信周波数を遠くまで飛ばす効果も有る。
図7】1000Ω型と350Ω型の応力ゲージをSCM鋼材に取り付け、0~50KN(重力系5.1TON)を載荷して抵抗値とひずみ値を同時に計測したグラフである。ひずみ値と抵抗値は同じ直線性を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
仕様を満足させるためには、初期抵抗値の高い応力ゲージとその応力ゲージを取り付けセンサとする母材とICタグが必要となる。また、ICタグより周波数発信された情報やデータを受信するRFIDリーダーライターやスマートフォン、タブレットが必要となる。
【0012】
応力ゲージを取り付けた母材となる金属材料は、力を加える(W)と必ず変形する。その変形(A・σ )は(W)=A・σ から求める事ができる。応力ゲージ出力(σ=ひずみ)と応力ゲージの抵抗値変化も母材の弾性域内であれば変形しないため、抵抗値もσと同じように元に戻る事ができる。
【0013】
図7に示した通りひずみ値と抵抗値は同じ動きをし、抵抗値はひずみ曲線と力に比例し母材に動く力と変形量に比例するので、応力ゲージの抵抗値のみでも応力ゲージ4枚を取り付けたホイートストンブリッジと同じ効果が有る。
【0014】
本計測法は、応力ゲージからの抵抗値をICタグを使用しており、スマートフォンやタブレット、またはICタグ用リーダーライターからの発信電波によりICタグが受信起動して、現在の応力ゲージの抵抗値(物理量)を発信しスマートフォンやタブレット、リーダーライターに表示される。表示された数値は現在の抵抗値(物理量)で、ICタグに事
前に打ち込まれている情報も表示される。
【0015】
事前に打ち込まれている情報は、センサ番号、本センサ取付時の抵抗値、年月日、位置、その他。図1の4表示器は、タップする事により本センサの現在の抵抗値に対応する容量等の比例表示がされて、設置からの差容量や日時を現地にて簡単に判別する事ができる。
【0016】
この方法を使用すれば、現地にて数値の良否の確認や今後の処置や対応を知る事ができ、インターネット回線に接続する事ができれば現地と設計部門との数値データのやり取りを行う事ができる。
【0017】
なお、設置された応力出力式のセンサには応力ゲージを数枚取り付けて、偏荷重を考慮し1台のセンサとして必要な物理量情報を出す事となっている。本発明の法式は、ICタグの特性として発信できる現時点の出力情報は1出力となっているため、応力ゲージ1ヶ所に付1個のICタグを取り付ける必要があるが、RFIDリーダーライターやスマートフォンやタブレット等の計算ソフトにより瞬時に各ICタグの数値が表示され、偏荷重方向や全荷重の数値が表示できる。
【0018】
特に大きい容量を持ったロードセル等には偏荷重等が掛かる事が有るので、応力の掛かる円周上に容量により2~4個程度取り付け、それらの抵抗値の平均をタブレット等で自動計算し容量の値とする事が好ましい。
【0019】
本使用のICタグはパッシブ型のため周波数が低いので、スマートフォンやタブレットにて受信するには通信距離が短いため、応力センサに取り付けたICタグに数センチの距離まで近づけなければならないが、ICタグその物は金属内に内蔵されると受発信できなくなるためICタグのみ金属面の外に防水処理を行い取り付ける事となる。
【0020】
ICタグはリーダー機により複数のICタグを読み取る事できるため、ICタグのナンバーをリーダーに記録させておき、数個のICタグの情報を1台のセンサとして計測、観測、監視する事ができる。
【0021】
350Ω型の応力ゲージのひずみ出力と1000Ω型の応力ゲージの抵抗値出力の比較を行うために、同鋼材上に両方の応力ゲージを取り付け、0~50KN(動力系5.1TON)まで載荷を行った。図7の通りどちらも直線性が有る事を確認した。
【0022】
図7に表示のグラフの通り、圧縮では50KNで998.960KΩ~0KN時1000.765KΩの抵抗値となり、50KN~0KNでの抵抗差値は1.805KΩとなった。圧縮時の電気抵抗値変化は容量が上昇する事により低くなっていく。また、引張時の電気抵抗値変化は容量が上昇する事により増える傾向となる。なお、応力ゲージの取付精度により抵抗値出力は上下する傾向も有る。
【0023】
本発明のICタグと抵抗値出力センサは、長期間観測計測を行う必要の有る現場等
に最適である。電子機器回路を使用した計器が不用のため、嵩張る計器を持ち込む必要も無くケーブル等の配線の煩わしさもなくなる。本機はICタグからの抵抗値のみの計測のため、長期間安価に観測計測を行う事ができる。ICタグの情報にて設置時の物理量の数値と現在の数値の比較を簡単にする事ができる。現地での締め付け等の対策をその時点で講じる事ができ、作業の効率化や省エネにも貢献する事ができる。
【符号の説明】
【0024】
0 センサ母材
1 応力ゲージ
2 ICタグ
3 RFIDリーダーライター
4 スマートフォンやタブレット
5 パソコン
6 クラウドサーバー
7 カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7