(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152177
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】タイヤ及びその摩耗状態の検知方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20241018BHJP
B60C 11/13 20060101ALI20241018BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20241018BHJP
B60C 11/24 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C11/13 D
B60C11/13 B
B60C11/03 Z
B60C11/24 B
B60C11/24 Z
B60C11/03 100B
B60C11/03 100C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066214
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】温品 良介
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131EB07V
3D131EB11V
3D131EB11X
3D131EB18V
3D131EB18X
3D131EB22X
3D131EB23V
3D131EB23X
3D131EB24V
3D131EB24X
3D131EB46V
3D131EB46X
3D131EC01V
3D131EC01X
3D131EC02V
3D131EC24V
3D131EC24X
3D131LA02
3D131LA03
3D131LA05
3D131LA06
3D131LA34
(57)【要約】
【課題】 摩耗の進行状態を精度良く把握することを可能にしたタイヤ及びその摩耗状態の検知方法を提供する。
【解決手段】 タイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部をトレッド部1に備え、その溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力を検知するセンサ機能を有する機能部品20がトレッド部1の裏面に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部をトレッド部に備え、前記溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力を検知するセンサ機能を有する機能部品が前記トレッド部の裏面に配置されていることを特徴とするタイヤ。
【請求項2】
前記溝部をなす主溝以外の溝のタイヤ新品状態における長手方向の長さL1と前記溝部をなす主溝以外の溝の前記トレッド部の50%摩耗状態における長手方向の長さL2とにより(L1-L2)/L1の関係式から算出される変化率が10%以上であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記溝部をなす主溝の前記トレッド部の踏面で測定される幅W1と、前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して50%の位置で測定される幅W2と、前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置で測定される幅W3とがW1>W2>W3の関係を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記溝部をなす主溝が溝壁面に少なくとも一つの変化点を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項5】
タイヤ新品状態における前記トレッド部の踏面の位置、前記変化点の位置及び前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置をそれぞれ前記主溝の溝幅測定位置とし、前記踏面の側からタイヤ径方向内側に向かって前記溝幅測定位置にて測定されるn番目の溝幅をXnとし、隣り合う溝幅測定位置のタイヤ径方向の距離であって前記踏面の側からタイヤ径方向内側に向かってn番目に測定される前記距離をDnとし、(Xn-Xn+1)/Dn=Tnとしたとき、Tn+1/Tn≧1.3又はTn+1/Tn≦0.75の関係式を満たすことを特徴とする請求項4に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、この領域Sが前記溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点を有する領域の少なくとも一部とタイヤ周方向に重なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における前記領域S内での溝面積比率GRが60%≦GR≦100%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における前記領域S内での陸部面積比率CRが50%≦CR≦100%の範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記機能部品を収容するための収容体が前記トレッド部の裏面に固定され、該収容体に前記機能部品が収容されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記収容体が接着剤により前記トレッド部の裏面に固定されていることを特徴とする請求項10に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記収容体が加硫ゴムからなることを特徴とする請求項10に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記機能部品はセンサ素子として圧電素子を用いたセンサ機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項13】
請求項1又は2に記載のタイヤの摩耗状態の検知方法であって、前記機能部品によりタイヤ接地時の衝撃力を検知し、その検知された測定データに基づいて前記溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点に対する前記主溝の摩耗率を演算し、その演算された摩耗率と前記変化点に対して予め設定された摩耗率とを比較し、両者に差異がある場合に前記演算された摩耗率を補正することを特徴とするタイヤの摩耗状態の検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ情報を検知するセンサ機能を有する機能部品を備えたタイヤ及びその摩耗状態の検知方法に関し、更に詳しくは、摩耗の進行状態を精度良く把握することを可能にしたタイヤ及びその摩耗状態の検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ情報を取得するためにタイヤ内表面に機能部品(例えば、センサを含むセンサユニット)を設置することが行われている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の発明では、主溝内に溝底が隆起してなるウェアインジケータが露出していない新品状態の加速度が、ウェアインジケータが露出した摩耗状態の加速度よりも小さいことに着目して、ウェアインジケータが形成されたタイヤにおいて、タイヤ内表面に機能部品を設置し、この機能部品(加速度センサ)により検出された波形データに基づいてタイヤが摩耗した状態であると判断するものである。しかしながら、摩耗の進行状態を詳細に管理することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、摩耗の進行状態を精度良く把握することを可能にしたタイヤ及びその摩耗状態の検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明のタイヤは、タイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部をトレッド部に備え、前記溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力を検知するセンサ機能を有する機能部品が前記トレッド部の裏面に配置されていることを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明のタイヤの摩耗状態の検知方法は、上記タイヤの摩耗状態の検知方法であって、機能部品によりタイヤ接地時の衝撃力を検知し、その検知された測定データに基づいて前記溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点に対する前記主溝の摩耗率を演算し、その演算された摩耗率と前記変化点に対して予め設定された摩耗率とを比較し、両者に差異がある場合に前記演算された摩耗率を補正することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、トレッド部にタイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部を備えているので、タイヤの摩耗に応じて、例えば、溝部では溝幅が狭まる一方で、陸部では溝の長手方向の長さが変化したり、ディンプルが消失することより、溝部又は陸部の外観が変化する。このように溝部又は陸部の外観が変化した際、その溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力(接地エネルギー)も変化する。このトレッド部の接地エネルギーの変化を機能部品により検知することで、摩耗進行の程度をより精度良く把握することが可能となる。
【0008】
本発明において、溝部をなす主溝以外の溝のタイヤ新品状態における長手方向の長さL1と溝部をなす主溝以外の溝のトレッド部の50%摩耗状態における長手方向の長さL2とにより(L1-L2)/L1の関係式から算出される変化率は10%以上であることが好ましい。上記変化率が特定の範囲にあることで、接地エネルギーの変化率が大きくなるため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。
【0009】
溝部をなす主溝のトレッド部の踏面で測定される幅W1と、トレッド部の踏面と主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して50%の位置で測定される幅W2と、トレッド部の踏面と主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置で測定される幅W3とはW1>W2>W3の関係を満たすことが好ましい。上記の関係式を満たすことで、接地エネルギーの変化率が大きくなるため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。
【0010】
溝部をなす主溝は溝壁面に少なくとも一つの変化点を有することが好ましい。これにより、接地エネルギーが段階的に変化するため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。
【0011】
タイヤ新品状態におけるトレッド部の踏面の位置、変化点の位置及びトレッド部の踏面と主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置をそれぞれ主溝の溝幅測定位置とし、踏面の側からタイヤ径方向内側に向かって溝幅測定位置にて測定されるn番目の溝幅をXnとし、隣り合う溝幅測定位置のタイヤ径方向の距離であって踏面の側からタイヤ径方向内側に向かってn番目に測定される距離をDnとし、(Xn-Xn+1)/Dn=Tnとしたとき、Tn+1/Tn≧1.3又はTn+1/Tn≦0.75の関係式を満たすことが好ましい。この比Tn+1/Tnが上記の特定の範囲にあることで、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。
【0012】
機能部品はトレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面をトレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、この領域Sは溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点を有する領域の少なくとも一部とタイヤ周方向に重なっていることが好ましい。これにより、タイヤが接地する際に路面から受ける衝撃が機能部品に効率良く伝わるので、機能部品のセンシング感度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。センシング感度とは、路面からの衝撃に起因する物理量の変化を感度良く検出する能力を意味し、センシング感度の改善により出力波形のピークトゥピーク値が大きくなり、路面からの衝撃に起因して物理量が変化するタイミングを的確に把握することが可能となる。
【0013】
機能部品はトレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面をトレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における領域S内での溝面積比率GRを60%≦GR≦100%の範囲に設定することができる。このように機能部品を溝部との重複量が可及的に大きくなる位置に設置した場合、タイヤが接地する際に路面から受ける過大な衝撃が機能部品に伝わり難くなり、トレッド部の変形に起因する物理量の変化を精度良く検出することが可能になるので、機能部品のセンシング精度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。センシング精度とは、トレッド部の変形に起因する物理量の変化を精度良く検出する能力を意味し、センシング精度の改善により出力波形のピークトゥピーク値の変動係数CVが小さくなり、トレッド部の変形に起因する物理量の変化を正確に把握することが可能となる。
【0014】
機能部品はトレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面をトレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における領域S内での陸部面積比率CRを50%≦CR≦100%の範囲に設定することができる。このように機能部品を陸部との重複量が可及的に大きくなる位置に設置した場合、タイヤが接地する際に路面から受ける衝撃が機能部品に効率良く伝わるので、機能部品のセンシング感度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。
【0015】
本発明において、機能部品を収容するための収容体がトレッド部の裏面に固定され、該収容体に機能部品が収容されていることが好ましい。収容体は接着剤によりトレッド部の裏面に固定されていることが好ましい。収容体は加硫ゴムからなることが好ましい。このような収容体を用いた場合にも、上述した優れた効果を得ることができる。
【0016】
また、機能部品はセンサ素子として圧電素子を用いたセンサ機能を有することが好ましい。このような圧電素子を用いたセンサ機能を有する機能部品を用いる場合には、顕著な効果を得ることができる。
【0017】
本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましいが、非空気式タイヤであっても良い。空気入りタイヤの場合、その内部には空気、窒素等の不活性ガス又はその他の気体を充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。
【
図2】
図1の空気入りタイヤのトレッド部を示す平面図である。
【
図3】
図1の空気入りタイヤにおける機能部品の設置部分を示す平面図である。
【
図6】接地エネルギーと走行距離の関係を示すグラフである。
【
図7】(a),(b)はトレッド部に形成された溝の変形例を示す斜視図である。
【
図8】(a),(b)はトレッド部に形成された溝の他の変形例を示す平面図であり、(a)は新品状態を示し、(b)は50%摩耗状態を示す。
【
図9】トレッド部に形成された主溝の変形例を示す断面図である。
【
図10】トレッド部に形成された主溝の他の変形例を示す断面図である。
【
図11】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤの他の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1~
図5は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0021】
一対のビード部3,3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0022】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°~40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0023】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0024】
図2に示すように、トレッド部1の踏面には、溝部として、タイヤ周方向に延びる4本の周方向溝11が形成されている。周方向溝11は、例えば、3本の周方向主溝11A(以下、単に主溝11Aとも記載する)と1本の周方向細溝11Bを含んでいる。周方向主溝11Aは、溝幅が3.0mm~20.0mmの範囲にあり、溝深さが3.0mm~15.0mmの範囲にあり、ウェアインジケータ11xを備えた溝である。周方向主溝11A及び周方向細溝11Bはそれぞれ面取り部12A,12Bを備えているが、このような面取り部12A,12Bはそれぞれ周方向主溝11A及び周方向細溝11Bの一部を構成するものである。そのため、面取り部12A,12Bは溝面積に含まれる。
【0025】
上述した周方向溝11により、トレッド部1には5列の陸部13が区画されている。そして、陸部13の各々には、タイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝14がタイヤ周方向に間隔をおいて形成されている。トレッド部1には、必要に応じて、サイプ等の溝成分が付加されていても良い。
【0026】
上記空気入りタイヤにおいて、トレッド部1の踏面には周方向溝11やラグ溝14のような溝が形成される一方で、
図1に示すように、トレッド部1の裏面には、タイヤ情報を検知するセンサ機能を有する円柱状の機能部品20が設置されている。
【0027】
図3~
図5に示すように、機能部品20は収容体30の内部に収容されている。収容体30は、トレッド部1の裏面に固定される平板状の底部31と、この底部31から突出した筒状の側壁部32と、これら底部31と側壁部32により形成される収容部33と、この収容部33に連通する開口部34とを有している。収容体30は加硫ゴムからなる成形体であると良い。このように構成される収容体30は例えば接着剤によりトレッド部1の裏面に固定され、その収容体30に機能部品20が収容される。機能部品20は、収容体30を介してトレッド部1の踏面に設置されることが好ましいが、収容体30を介さずにトレッド部1の裏面に直接貼り付けられていても良い。いずれの場合においても、機能部品20はトレッド部1の裏面側に接触する接触面21を有している。即ち、接触面21はトレッド部1の裏面又は収容体30の底部31の表面に接触する面である。
【0028】
機能部品20は、筐体の内部に各種の電子部品収容した構造を有している。電子部品としては、タイヤ情報を取得するための各種のセンサ、送信機、受信機、制御回路及びバッテリー等を含むように構成することができる。センサにより取得されるタイヤ情報として、空気入りタイヤの内部温度や内圧、トレッド部の摩耗量等を挙げることができる。例えば、内部温度や内圧の測定には温度センサや圧力センサが使用される。トレッド部の摩耗量を検出する場合、例えば、機能部品20の接触面21に圧電素子からなるセンサ素子22が配設され、そのセンサ素子22が走行時のタイヤ変形に応じた出力電圧を検出し、その出力電圧に基づいてトレッド部1の摩耗量を検出する。それ以外に、加速度センサや磁気センサを使用することも可能である。
【0029】
このようにトレッド部1の裏面に機能部品20が設置されたタイヤにおいて、
図1に示すように、主溝11Aの溝幅が踏面から溝底に向かうにつれて狭くなっているため、タイヤの摩耗が進行するにつれて溝部の外観が変化する。タイヤの摩耗に応じて外観が変化する主溝11Aを備えていると、主溝11Aの溝幅が大きく変化した際には、
図6の実線で示すように走行距離に対する接地エネルギーの傾きが大幅に変化するため、主溝11Aの下方域に機能部品20が設置されている場合、接地エネルギーの変化を検知することができる。なお、
図6の一点鎖線は、主溝の溝幅が踏面から溝底まで一定である場合を示す。
【0030】
このような溝幅が変化する主溝11Aの他にも、陸部13に、深さが異なる複数本の溝(例えば、ラグ溝、サイプ、ディンプル、周方向細溝等)を互いに隣接するように設けることができる。タイヤの摩耗に応じて、各溝の深さが変化することにより、陸部13の外観が変化する。例えば、
図7(a)に示すように陸部13に深さが異なる複数個の閉口溝16a,16b,16c(ディンプル)を隣接して設けた場合には、タイヤの摩耗に応じて、一部のディンプルが消失することにより陸部13の外観が変化する。また、
図7(b)に示すように陸部13に深さが異なる複数本の細溝17a,17b,17cを隣接して設けた場合には、タイヤの摩耗に応じて、一部の細溝が消失することにより陸部13の外観が変化する。或いは、単一の溝内で長手方向に深さが変化するように陸部13に溝を設けることもできる。本発明において、溝部の外観の変化は主溝の溝幅の変化を意味し、陸部の外観の変化は主溝以外の溝の長手方向の長さの変化又は溝の消失を意味する。本発明では、タイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部の下方域に機能部品20を配置することが好ましい。
【0031】
上述したタイヤでは、トレッド部1にタイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部(主溝11A)を備えているので、タイヤの摩耗に応じて、主溝11Aの溝幅が狭まることにより溝部の外観が変化する。このように溝部の外観が変化した際、溝部におけるタイヤ接地時の衝撃力(接地エネルギー)も変化する。このトレッド部1の接地エネルギーの変化を機能部品20により検知することで、摩耗進行の程度をより精度良く把握することが可能となる。
【0032】
上記タイヤにおいて、トレッド部1の踏面で測定される主溝11Aの幅W1と、踏面と主溝11Aのウェアインジケータ11xの表面との間の深さに対して50%の位置で測定される幅W2と、踏面と主溝11Aのウェアインジケータ11xの表面との間の深さに対して100%の位置で測定される幅W3とは、W1>W2>W3の関係を満たすと良い。このような関係式を満たすことで、接地エネルギーの変化率が大きくなるため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。
【0033】
図8(a),(b)に示すように、陸部13には、溝部をなす主溝11A以外の溝として、タイヤ幅方向に延びるサイプ15が形成されている。このサイプ15は、長手方向の一部に底上げ部を有することによりサイプ15内で深さが変化しており、端部15b側の方が端部15a側よりも深くなっているため、タイヤの摩耗が進行するにつれて、サイプ15の長手方向の長さLが徐々に短くなる。
図8(a)はタイヤ新品状態を示しており、
図8(b)の50%摩耗状態は、タイヤの摩耗が進行してトレッド部1の踏面と主溝11Aのウェアインジケータ11xの表面との間の深さに対して50%の深さになった状態を意味する。タイヤ新品状態におけるサイプ15の長手方向の長さL1と、トレッド部1の50%摩耗状態におけるサイプ15の長手方向の長さL2に基づいて、(L1-L2)/L1の関係式から算出される変化率[%]は、10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、このようなサイプ15の下方域に機能部品20を配置することが好ましい。上記変化率が特定の範囲にあることで、接地エネルギーの変化率が大きくなるため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。なお、円弧状等の直線ではない溝の場合、上述した長さL1及び長さL2は、溝幅の中心位置において溝の長手方向の両端点を結んだ直線mに基づいて比較する。また、溝部をなす主溝11A以外の溝は、サイプの他にも、溝幅が8.0mm以下のラグ溝や、周方向細溝とすることができる。
【0034】
図9及び
図10に示すように、溝部をなす主溝11Aは、溝壁面に少なくとも一つの変化点Pを有すると良い。この変化点Pは、溝壁角度が変化した箇所(
図9参照)、溝壁面が段状に変化した箇所(
図10参照)を含む。このような変化点Pは、主溝11Aの片側の溝壁面にのみ形成されていても良い。主溝11Aに変化点Pを設けることで、接地エネルギーが段階的に変化するため、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。なお、主溝11Aが面取り部12Aを有する場合、変化点Pは、面取り前の溝壁面に基づく仮想点とする。
【0035】
更に、タイヤ新品状態における踏面の位置、変化点Pの位置及び踏面と主溝11Aのウェアインジケータ11xの表面との間の深さに対して100%の位置をそれぞれ主溝11Aの溝幅測定位置とし、踏面の側からタイヤ径方向内側に向かって溝幅測定位置にて測定されるn番目の溝幅をXnとし、隣り合う溝幅測定位置のタイヤ径方向の距離であって踏面の側からタイヤ径方向内側に向かってn番目に測定される距離をDnとし、(Xn-Xn+1)/Dn=Tnとしたとき、Tn+1/Tn≧1.3又はTn+1/Tn≦0.75の関係式を満たすことが好ましく、1.3≦Tn+1/Tn≦5.0又は0.2≦Tn+1/Tn≦0.75の関係式を満たすことがより好ましい。このとき、Tnは、溝幅測定位置間における主溝11Aの溝壁面の傾きに相当する。そのため、傾きが大きい方がTnの値が大きくなる。なお、主溝11Aの片側の溝壁面にのみ変化点Pが形成されている場合、変化点Pが形成された溝壁面から反対側の溝壁面までの距離を溝幅Xnとする。
【0036】
例えば、n=3のときは、
図9に示すように主溝11Aの溝壁面に形成された変化点Pが1つであり、溝幅X
1と溝幅X
2と溝幅X
3と距離D
1と距離D
2から、T
1=(X
1-X
2)/D
1とT
2=(X
2-X
3)/D
2をそれぞれ算出し、更に、比T
2/T
1を算出する。このように算出された比T
2/T
1が上記範囲を満たす。このように比T
n+1/T
nが上記の特定の範囲にあることで、摩耗進行の程度を精度良く把握することができる。ここで、比T
n+1/T
nが5.0を超える又は0.2未満であると、主溝11Aの溝壁面の傾きの変化が過度に大きくなるため、主溝11Aのグルーブクラックが発生し易くなるので好ましくない。
【0037】
また、
図9及び
図10に示すように、主溝11Aは溝壁面に変化点Pを有することが好ましいが、主溝11Aにおいて変化点Pを有する領域は、タイヤ周方向に連続的に(タイヤ全周に亘って)設けても良く、タイヤ周方向に局所的に(タイヤ全周の一部のみ又は断続的に)設けても良い。更に、複数本の主溝11Aに対して変化点Pを有する領域を設けることもできる。
図2では、主溝11Aは、タイヤ周方向の一部の領域U(
図2の斜線部の領域)に変化点Pを有する。ここで、機能部品20の接触面21をトレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、この領域Sは、主溝11Aの変化点Pを有する領域Uの少なくとも一部とタイヤ周方向に重なっていると良い。特に、領域Sと領域Uのタイヤ周方向の重複部分が機能部品20の接触面21のタイヤ周方向長さに対して20%以上になるように機能部品20を配置することが好ましく、100%になるように機能部品20を配置することがより好ましい。
図2は、領域Sと領域Uの重複部分が機能部品20の接触面21のタイヤ周方向長さに対して100%の例である。更に、
図2では、領域Sと領域Uはタイヤ幅方向にも重複している。このように領域Sと領域Uがタイヤ幅方向にも重複していることが好ましいが、タイヤ幅方向には必ずしも重複していなくとも良い。
【0038】
トレッド部1の裏面に機能部品20を設置するにあたって、上述したように機能部品20を主溝11Aの変化点Pを有する領域Uとのタイヤ周方向の重複量が可及的に大きくなる位置に設置することにより、タイヤが接地する際に路面から受ける衝撃が機能部品に効率良く伝わるので、機能部品のセンシング感度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。ここで、領域Sと領域Uの重複部分が機能部品20の接触面21のタイヤ周方向長さに対して20%未満であると、主溝11Aの変化点Pを有する領域Uとのタイヤ周方向と離れるため、機能部品20のセンシング感度が低下する傾向がある。
【0039】
図2に示すように、機能部品20の接触面21をトレッド部1の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における領域S内での溝面積比率GRが、60%≦GR≦100%の範囲となるように機能部品20を配置することが好ましく、80%≦GR≦100%の範囲となるように機能部品20を配置することがより好ましい。タイヤ新品状態における領域S内での溝面積比率GRとは、タイヤ新品状態の踏面に投影される領域Sの総面積に対する溝面積の比率である。
【0040】
トレッド部1の裏面に機能部品20を設置するにあたって、上述したように機能部品20を溝との重複量が可及的に大きくなる位置に設置することにより、タイヤが接地する際に路面から受ける過大な衝撃が機能部品20に伝わり難くなり、トレッド部1の変形に起因する物理量の変化を精度良く検出することが可能になるので、機能部品20のセンシング精度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。ここで、タイヤ新品状態における領域S内での溝面積比率GRが60%未満であると、路面と機能部品20の接触面21との間に存在する陸部が多くなるため、機能部品20のセンシング精度を高める効果が低下する。
【0041】
或いは、
図11に示すように、機能部品20を陸部との重複量が可及的に大きくなる位置に設置することもできる。機能部品20の接触面21をトレッド部1の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における領域S内での陸部面積比率CRが、50%≦CR≦100%の範囲となるように機能部品20を配置することが好ましく、70%≦CR≦100%の範囲となるように機能部品20を配置することがより好ましい。タイヤ新品状態における領域S内での陸部面積比率CRとは、タイヤ新品状態の踏面に投影される領域Sの総面積に対する陸部面積の比率である。また、
図11では、主溝11Aの変化点Pを有する領域Uと機能部品20の領域Sとがタイヤ周方向及びタイヤ幅方向に重複している。
【0042】
トレッド部1の裏面に機能部品20を設置するにあたって、上述したように機能部品20を陸部との重複量が可及的に大きくなる位置に設置することにより、タイヤが接地する際に路面から受ける衝撃が機能部品20に効率良く伝わるので、機能部品20のセンシング感度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。ここで、タイヤ新品状態における領域S内での陸部面積比率CRが50%未満であると、路面と機能部品20の接触面21との間に存在する溝成分が多くなるため、機能部品20のセンシング感度を高める効果が低下する。
【0043】
次に、本発明のタイヤの摩耗状態の検知方法について説明する。タイヤの摩耗状態を検知するにあたって、任意の摩耗率が予め設定された変化点Pを主溝11A(溝部)の溝壁面に設けたタイヤを用意する。これは、上記任意の摩耗率の時点で変化点Pが表出することを想定して設定される。トレッド部1の裏面に機能部品20を設置したタイヤを車両に装着し、機能部品20により主溝11Aにおけるタイヤ接地時の衝撃力を検知しながら車両を走行させる。走行による摩耗で変化点Pが表出した際、検知された測定データに基づいて、変化点Pに対する主溝11Aの摩耗率を演算する。その演算された主溝11Aの摩耗率と変化点Pに対して予め設定された摩耗率とを比較し、両者に差異がある場合には演算された摩耗率を補正する。例えば、演算された摩耗率が40%であり、予め設定された摩耗率が50%である場合、摩耗率を50%に書き換えた上で、機能部品20による検知を継続する。このような補正工程を少なくとも1回設けると良い。上述した補正工程を設けることで、機能部品20のセンシング精度を高めてタイヤ情報の測定性能を改善することができる。
【実施例0044】
タイヤサイズ225/45ZR18で、溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力を検知するセンサ機能を有する機能部品がトレッド部の裏面に配置され、該機能部品がセンサ素子として圧電素子を用いたセンサ機能を有するタイヤにおいて、溝部の外観変化の有無、陸部の外観変化の有無、新品状態のサイプの長さL1、50%摩耗状態のサイプの長さL2、変化率(L1-L2)/L1、主溝の変化点の有無、主溝の幅W1、主溝の幅W2、主溝の幅W3、主溝の幅X1、主溝の幅X2、主溝の幅X3、主溝の幅X4、主溝の深さD1、主溝の深さD2、主溝の深さD3、T1=(X1-X2)/D1、T2=(X2-X3)/D2、T3=(X3-X4)/D3、比T2/T1、比T3/T2、領域Sと領域Uの重複率、溝面積比率GR、陸部面積比率CRを表1及び表2のように設定した比較例及び実施例1~22のタイヤを製作した。なお、機能部品は収容体を介してトレッド部の裏面に装着した。
【0045】
表1及び表2において、「溝部の外観変化の有無」について、「有」の場合は主溝が溝底に向かうにつれて溝幅が狭くなっていることを意味し、「無」の場合は主溝の溝幅が踏面から溝底まで一定であることを意味する。また、「陸部の外観変化の有無」について、「有」の場合は長手方向で深さが異なるサイプが陸部に形成されていることを意味し、「無」の場合は長手方向で深さが異なるサイプが陸部に形成されていないことを意味する。「領域Sと領域Uの重複率」は、機能部品の接触面のタイヤ周方向長さに対する領域Uと領域Sの重複部分のタイヤ周方向長さの比率を意味する。
【0046】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、摩耗進行程度の検出精度を評価し、その結果を表1及び表2に併せて示した。
【0047】
摩耗進行程度の検出精度:
各試験タイヤをリムサイズ18×7.5JJのホイールに組み付けて、前輪駆動の試験車両(排気量2500cc)に装着し、空気圧230kPa、走行距離10000kmの条件で走行試験を実施した。その際、センサ素子(圧電素子)により検出される出力(波形データ)を記録した。走行終了後に、主溝の残溝量を測定した。評価結果は、実際の残溝量から算出した摩耗率と検出された波形データから推定した摩耗率との差の逆数を用い、比較例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど、両者の摩耗率の差が小さく、摩耗進行程度の検出精度が優れていることを意味する。
【0048】
【0049】
【0050】
これら表1及び表2から判るように、実施例1~22のタイヤは、比較例との対比において、摩耗進行程度の検出精度が向上した。また、実施例14,15のタイヤについては、本発明で規定する比T2/T1が5.0を超える又は0.2未満であったため、グルーブクラックが発生した。
【0051】
本開示は、以下の発明[1]~[13]を包含する。
発明[1]は、タイヤの摩耗が進行するにつれて外観が変化する溝部又は陸部をトレッド部に備え、前記溝部又は陸部におけるタイヤ接地時の衝撃力を検知するセンサ機能を有する機能部品が前記トレッド部の裏面に配置されていることを特徴とするタイヤである。
発明[2]は、前記溝部をなす主溝以外の溝のタイヤ新品状態における長手方向の長さL1と前記溝部をなす主溝以外の溝の前記トレッド部の50%摩耗状態における長手方向の長さL2とにより(L1-L2)/L1の関係式から算出される変化率が10%以上であることを特徴とする発明[1]に記載のタイヤである。
発明[3]は、前記溝部をなす主溝の前記トレッド部の踏面で測定される幅W1と、前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して50%の位置で測定される幅W2と、前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置で測定される幅W3とがW1>W2>W3の関係を満たすことを特徴とする発明[1]又は[2]に記載のタイヤである。
発明[4]は、前記溝部をなす主溝が溝壁面に少なくとも一つの変化点を有することを特徴とする発明[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[5]は、タイヤ新品状態における前記トレッド部の踏面の位置、前記変化点の位置及び前記トレッド部の踏面と前記主溝のウェアインジケータの表面との間の深さに対して100%の位置をそれぞれ前記主溝の溝幅測定位置とし、前記踏面の側からタイヤ径方向内側に向かって前記溝幅測定位置にて測定されるn番目の溝幅をXnとし、隣り合う溝幅測定位置のタイヤ径方向の距離であって前記踏面の側からタイヤ径方向内側に向かってn番目に測定される前記距離をDnとし、(Xn-Xn+1)/Dn=Tnとしたとき、Tn+1/Tn≧1.3又はTn+1/Tn≦0.75の関係式を満たすことを特徴とする発明[4]に記載のタイヤである。
発明[6]は、前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、この領域Sが前記溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点を有する領域の少なくとも一部とタイヤ周方向に重なっていることを特徴とする発明[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[7]は、前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における前記領域S内での溝面積比率GRが60%≦GR≦100%の範囲にあることを特徴とする発明[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[8]は、前記機能部品は前記トレッド部の裏面側に接触する接触面を有し、この接触面を前記トレッド部の踏面に投影することで形成される領域Sを規定したとき、タイヤ新品状態における前記領域S内での陸部面積比率CRが50%≦CR≦100%の範囲にあることを特徴とする発明[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[9]は、前記機能部品を収容するための収容体が前記トレッド部の裏面に固定され、該収容体に前記機能部品が収容されていることを特徴とする発明[1]~[8]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[10]は、前記収容体が接着剤により前記トレッド部の裏面に固定されていることを特徴とする発明[9]に記載のタイヤである。
発明[11]は、前記収容体が加硫ゴムからなることを特徴とする発明[9]又は[10]に記載のタイヤである。
発明[12]は、前記機能部品はセンサ素子として圧電素子を用いたセンサ機能を有することを特徴とする発明[1]~[11]のいずれかに記載のタイヤである。
発明[13]は、発明[1]~[12]のいずれかに記載のタイヤの摩耗状態の検知方法であって、前記機能部品によりタイヤ接地時の衝撃力を検知し、その検知された測定データに基づいて前記溝部をなす主溝の溝壁面に形成された変化点に対する前記主溝の摩耗率を演算し、その演算された摩耗率と前記変化点に対して予め設定された摩耗率とを比較し、両者に差異がある場合に前記演算された摩耗率を補正することを特徴とするタイヤの摩耗状態の検知方法である。