(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152186
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】プログラム、コンピュータおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20241018BHJP
【FI】
G06F16/90 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066226
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】514035947
【氏名又は名称】株式会社TOKIUM
(74)【代理人】
【識別番号】100131842
【弁理士】
【氏名又は名称】加島 広基
(74)【代理人】
【識別番号】100215267
【弁理士】
【氏名又は名称】古屋 秀人
(74)【代理人】
【識別番号】100215555
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】黒▲崎▼ 賢一
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175EA01
5B175GA03
(57)【要約】
【課題】言語モデルを活用した新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供する。
【解決手段】送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データを言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させる。関連付け指示手段28は、受付手段22が関連付け指示を受け付けると、言語モデルサーバ60に対して当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する。回答取得手段30は、言語モデルサーバ60から送信された、質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを受付手段と、送信手段と、関連付け指示手段と、回答取得手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信し、
前記回答取得手段は、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける、プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータをテキスト抽出手段として更に機能させ、
前記受付手段は、書類データとして書類の画像を受け付け、
前記テキスト抽出手段は、前記受付手段が受け付けた書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、
前記送信手段は、前記テキスト抽出手段により抽出された書類のテキストを書類データとして前記言語モデルサーバに送信することにより書類のテキストを前記言語モデルサーバに保存させる、請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記受付手段は、書類データとして書類の画像を受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データとしての書類の画像を前記言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、前記言語モデルサーバにおいて書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、
前記言語モデルサーバにおいて、当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の前記質問情報を受け付けると、抽出された書類のテキストに基づいて、同一の属性の書類データの関連付けが行われる、請求項1記載のプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータをデータ保存手段として更に機能させ、
前記データ保存手段は、書類データを記憶部に記憶させ、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記回答取得手段が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、前記送信手段は、前記回答取得手段が受け付けた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示を端末に送信し、
前記データ保存手段は、前記端末から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させる、請求項1記載のプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータをデータ保存手段として更に機能させ、
前記データ保存手段は、書類データを記憶部に記憶させ、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記回答取得手段が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、前記データ保存手段は、関連付けが行われた同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させる、請求項1記載のプログラム。
【請求項6】
コンピュータを受付手段と、データ保存手段と、関連付け指示手段と、送信手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記データ保存手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを記憶部に記憶させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行い、
前記送信手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた同一の属性の書類データに関する情報を端末に送信する、プログラム。
【請求項7】
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記関連付け指示手段が、前記言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、前記送信手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示を前記端末に送信し、
前記データ保存手段は、前記端末から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させる、請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記関連付け指示手段が、前記言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、前記データ保存手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させる、請求項6記載のプログラム。
【請求項9】
書類データは、国税関係帳簿書類等の業務に関する書類データを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項10】
同一の属性の書類データは、書類の同一性を判断できる書類の項目が同一である書類データである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項11】
プログラムを実行することにより受付手段と、送信手段と、関連付け指示手段と、回答取得手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信し、
前記回答取得手段は、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける、コンピュータ。
【請求項12】
制御部を有するコンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記制御部が、書類データを受け付ける工程と、
前記制御部が、受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させる工程と、
前記制御部が、関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する工程と、
前記制御部が、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける工程と、
を備えた、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、コンピュータおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザがブラウザ等の入力フォームに入力した質問に対して、自然な対話形式でAIが回答するチャットサービスとして様々なものが提供されている。ユーザが質問に関するチャットメッセージを送信した際に、ユーザが期待する回答メッセージをAIにより効率よく得るシステムとして、例えば特許文献1に開示されるものが知られている。また、従来の人工知能技術では、会話において自然な応答を生成することが困難であった。しかしながら、OpenAIが開発したChatGPTは、大量のテキストデータを学習して、人間と同様の自然な応答を生成することが可能となった。ChatGPTは、自然言語処理技術を使用することで、高度な応答生成機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザがブラウザ等の入力フォームに入力した質問に対して、自然な対話形式でAIが回答するチャットサービスを活用して書類の処理を効率よく行うシステムが求められている。
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、言語モデルを活用した新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のプログラムは、
コンピュータを受付手段と、送信手段と、関連付け指示手段と、回答取得手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信し、
前記回答取得手段は、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けることを特徴とする。
【0007】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータをテキスト抽出手段として更に機能させ、
前記受付手段は、書類データとして書類の画像を受け付け、
前記テキスト抽出手段は、前記受付手段が受け付けた書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、
前記送信手段は、前記テキスト抽出手段により抽出された書類のテキストを書類データとして前記言語モデルサーバに送信することにより書類のテキストを前記言語モデルサーバに保存させてもよい。
【0008】
また、前記受付手段は、書類データとして書類の画像を受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データとしての書類の画像を前記言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、前記言語モデルサーバにおいて書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、
前記言語モデルサーバにおいて、当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の前記質問情報を受け付けると、抽出された書類のテキストに基づいて、同一の属性の書類データの関連付けが行われてもよい。
【0009】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータをデータ保存手段として更に機能させ、
前記データ保存手段は、書類データを記憶部に記憶させ、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記回答取得手段が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、前記送信手段は、前記回答取得手段が受け付けた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示を端末に送信し、
前記データ保存手段は、前記端末から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させてもよい。
【0010】
本発明のプログラムは、
前記コンピュータをデータ保存手段として更に機能させ、
前記データ保存手段は、書類データを記憶部に記憶させ、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記回答取得手段が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、前記データ保存手段は、関連付けが行われた同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させてもよい。
【0011】
本発明のプログラムは、
コンピュータを受付手段と、データ保存手段と、関連付け指示手段と、送信手段として機能させるプログラムであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記データ保存手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを記憶部に記憶させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行い、
前記送信手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた同一の属性の書類データに関する情報を端末に送信することを特徴とする。
【0012】
本発明のプログラムにおいては、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記関連付け指示手段が、前記言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、前記送信手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示を前記端末に送信し、
前記データ保存手段は、前記端末から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させてもよい。
【0013】
本発明のプログラムにおいては、
前記記憶部には複数の格納領域が設けられており、
前記関連付け指示手段が、前記言語モデルサーバからのアクセス情報に基づいて、前記記憶部に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、前記データ保存手段は、前記関連付け指示手段により関連付けが行われた同一の属性の書類データを同じ前記格納領域に保存させてもよい。
【0014】
また、書類データは、国税関係帳簿書類等の業務に関する書類データを含んでいてもよい。
【0015】
また、同一の属性の書類データは、書類の同一性を判断できる書類の項目が同一である書類データであってもよい。
【0016】
本発明のコンピュータは、
プログラムを実行することにより受付手段と、送信手段と、関連付け指示手段と、回答取得手段として機能するコンピュータであって、
前記受付手段は、書類データを受け付け、
前記送信手段は、前記受付手段が受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させ、
前記関連付け指示手段は、前記受付手段が関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信し、
前記回答取得手段は、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けることを特徴とする。
【0017】
本発明の情報処理方法は、
制御部を有するコンピュータにより行われる情報処理方法であって、
前記制御部が、書類データを受け付ける工程と、
前記制御部が、受け付けた書類データを言語モデルサーバに送信することにより当該書類データを前記言語モデルサーバに保存させる工程と、
前記制御部が、関連付け指示を受け付けると、前記言語モデルサーバに対して当該言語モデルサーバに保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する工程と、
前記制御部が、前記言語モデルサーバから送信された、前記質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける工程と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、言語モデルを活用した新たなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態による情報処理システムの構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図1に示す情報処理システムにおいて所定の情報処理が行われるときの各構成要素間での情報の流れを示すチャートである。
【
図3】
図1に示す情報処理システムにおいて所定の情報処理が行われるときの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図3は、本実施の形態に係る情報処理システム1および当該情報処理システム1による情報処理方法を示す図である。実施の形態に係る情報処理システム1および情報処理方法によれば、受け付けている複数の書類データについて、言語モデルにより同一の属性の書類データの関連付けを行わせるものである。このような情報処理を行うことにより、書類の処理を効率よく行うことができるようになる。ここで、本実施の形態では、書類データは、契約書、証憑等の国税関係帳簿書類等の業務に関するデータである。また、証憑は、請求書、領収書、発注書、納品書、契約書等のうち少なくとも何れかを含む。以下の説明では証憑が主に請求書である場合について述べるが、証憑として請求書以外のものが用いられてもよい。
【0021】
本実施の形態による情報処理システム1は、管理サーバ10と、オペレータ端末40と、ユーザ端末50と、言語モデルサーバ60を備えている。管理サーバ10は、インターネット回線等のネットワークを通じて利用できるサーバである。管理サーバ10には、インターネット回線等のネットワークを介してオペレータ端末40、ユーザ端末50および言語モデルサーバ60がそれぞれ通信可能に接続されている。このような情報処理システム1の各構成要素について以下に説明する。
【0022】
オペレータ端末40は、管理サーバ10の管理を行う管理会社のオフィス等に設置されているパーソナルコンピュータ等を含み、この管理会社の社員であるオペレータがオペレータ端末40を操作することにより管理サーバ10に対して情報の送受信を行うようになっている。具体的には、オペレータがオペレータ端末40を操作することにより書類の各項目の情報(例えば、請求書の請求日、明細、金額、支払期限日等の情報)を入力するようになっている。
【0023】
ユーザ端末50は、本実施の形態に係るサービスを享受したい企業に設置されているパーソナルコンピュータ等を含み、この企業の社員が操作するようになっている。ここで、本実施の形態に係るサービスとして、例えば、ユーザ端末50が設置されている企業における国税関係帳簿書類等の業務に関する書類の処理を、管理サーバ10の管理を行う管理会社に代行させる処理が含まれるが、このような処理に限定されることはない。
【0024】
言語モデルサーバ60は、複数のクライアント(本実施の形態では管理サーバ10)からのリクエストに対して、例えばOpenAIにより高速で返答を生成することができるように設計されたサーバである。言語モデルサーバ60は、大規模な自然言語処理タスクに対して使用され、例えば、機械翻訳、文章生成、文書分類、質問応答等を自動で行う。
【0025】
言語モデルサーバ60は、概して、ニューラルネットワークをベースとしたモデルを使用している。このモデルは、膨大な量のデータを学習し、その後、新しい入力に対して予測を行う。言語モデルサーバ60は、モデルをホストし、リクエストに応じてモデルを呼び出し、結果を返す。言語モデルサーバ60は、分散処理を行うことができるため、複数のリクエストに同時に応答することができる。これにより、高いスループットと低いレイテンシーを実現することができる。また、一度学習したモデルを再利用することができるようになっている。本実施の形態の言語モデルサーバ60は、管理サーバ10から書類のテキストについて質問テキストに回答することを求める旨の質問情報を受け付けると、演算処理を行うことにより質問情報に対する回答情報を取得する。そして、取得された回答情報は言語モデルサーバ60から管理サーバ10に送信されるようになっている。
【0026】
また、言語モデルサーバ60として、OpenAIにより高速で返答を生成することができるように設計されたサーバ以外にも、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)等、様々な言語モデルを利用することができる。
【0027】
管理サーバ10は、制御部20と、記憶部36と、通信部38とを備えている。制御部20は、例えばCPU(中央演算処理装置)等であり、記憶部36に記憶されているプログラムを実行することにより受付手段22、テキスト抽出手段24、送信手段26、関連付け指示手段28、回答取得手段30およびデータ保存手段32として機能する。
【0028】
受付手段22は、ユーザ端末50から契約書、証憑等の国税関係帳簿書類等の業務に関するデータとしての書類データを受け付ける。テキスト抽出手段24は、受付手段22が受け付けた書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出する。送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データを言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させる。関連付け指示手段28は、言語モデルサーバ60に対して当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する。ここで、同一の属性の書類データは、書類の同一性を判断できる書類の項目が同一である書類データのことをいう。より詳細には、担当者の識別情報、取引の識別情報、複数の取引から構成されるプロジェクトの識別情報、取引日または書類番号が同一である場合は、書類の属性が同一となる。データ保存手段32は、関連付けが行われた同一の属性の書類データを同じ記憶部36の格納領域に保存させる。各手段22、24、26、28、30、32の機能の詳細については後述する。
【0029】
なお、制御部20により実行されるプログラムは記憶部36に記憶されたものであることに限定されることはない。制御部20により実行されるプログラムとして、外部装置から通信部38を介して制御部20に送信されるものや、管理サーバ10に装着されたUSBメモリ等の記憶媒体に記憶されているもの、管理サーバ10とは別のサーバ(例えば、クラウドサーバ)等に記憶されているもの等が用いられてもよい。
【0030】
記憶部36は例えばHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびSSD(Solid State Drive)などで構成され、様々な情報が記憶部36に記憶されるようになっている。また、記憶部36には複数の格納領域が設けられており、各格納領域に書類データが格納(保存)されるようになっている。
【0031】
通信部38は、制御部20を外部装置(例えば、オペレータ端末40、ユーザ端末50、言語モデルサーバ60等)と通信可能に接続するものである。制御部20は通信部38を介して外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
【0032】
次に、このような情報処理システム1による情報処理方法について
図2および
図3を用いて説明する。
図2は、
図1に示す情報処理システム1において所定の情報処理が行われるときの各構成要素間での情報の流れを示すチャートであり、
図3は、
図1に示す情報処理システム1において所定の情報処理が行われるときの動作を示すフローチャートである。なお、以下に示す情報処理は制御部20が記憶部36に記憶されているプログラムを実行することにより行われる。
【0033】
ユーザ端末50が設置されている企業の担当者は、管理サーバ10を管理する管理会社により提供される所定のウェブサイトにアクセスする。この際に、この企業の担当者は、管理サーバ10により提供されるウェブサイトにログインする際にIDおよびパスワードを入力する。そして、この企業の担当者はユーザ端末50に表示されているウェブサイトに新たな書類データ(具体的には、書類の画像)をアップロードする。なお、ウェブサイトに新たな書類データをアップロードするときに、企業の担当はユーザ端末50により書類のメタ情報を入力してもよい。書類のメタ情報とは、書類データに存在する情報である。具体的には、書類のメタ情報とは、書類の種類、発行日、発行者、受領者、取引名、複数の取引から構成されるプロジェクト名、書類番号、書類に記載されている金額等のことをいう。ウェブサイトに書類データがアップロードされると、ユーザ端末50から管理サーバ10に書類データが送信されることにより、受付手段22は書類データを受け付ける(
図3のステップS1)。また、管理サーバ10により提供されるウェブサイトにログインする際に入力されたIDに基づいて、受付手段22は、書類データの所有者や管理者の識別情報を受け付ける。また、ユーザ端末50により書類のメタ情報が入力された場合は、入力された書類のメタ情報がユーザ端末50から管理サーバ10に送信され、受付手段22により書類のメタ情報が受け付けられる。また、他の態様として、ユーザ端末50が設置されている企業による書類の処理を、管理サーバ10の管理を行う管理会社が代行して行う場合は、ユーザ端末50が設置されている企業の取引先からこの企業に送られるべき書類データが取引先から管理サーバ10に送信されてもよい。また、他の態様として、ユーザ端末50が設置されている企業による書類の処理を、管理サーバ10の管理を行う管理会社が代行して行う場合において、ユーザ端末50が設置されている企業の社員が取引先から受領した書類データのメールを管理サーバ10に転送してもよく、また、ユーザ端末50が設置されている企業の社員が取引先から受領した紙の書類を管理サーバ10の管理を行う管理会社に転送してもよい。
【0034】
送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データを言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させる(
図3のステップS2)。この際に、テキスト抽出手段24が、受付手段22が受け付けた書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、送信手段26は、テキスト抽出手段24により抽出された書類のテキストを書類データとして言語モデルサーバ60に送信することにより書類のテキストを言語モデルサーバ60に保存させてもよい。あるいは、受付手段22は、書類データとして書類の画像を受け付け、送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データとしての書類の画像を言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させてもよい。この場合、言語モデルサーバ60において、光学文字認識により書類の画像から書類のテキストが抽出される。また、受付手段22により書類のメタ情報が受け付けられた場合は、書類のメタ情報も書類データとともに送信手段26によって管理サーバ10から言語モデルサーバ60に送信され、言語モデルサーバ60において書類のメタ情報が書類データに関連付けられた状態で保存される。また、受付手段22が受け付けた書類の画像と、書類のテキストの入力指示とがオペレータ端末40に送信されることにより、オペレータによりオペレータ端末40によって書類のテキストが入力されるようになっていてもよい。この場合は、オペレータ端末40により入力された書類のテキストが当該オペレータ端末40から管理サーバ10に送信される。送信手段26は、オペレータ端末40から送信された書類のテキストを書類データとして言語モデルサーバ60に送信することにより書類のテキストを言語モデルサーバ60に保存させる。また、更に他の態様として、ウェブサイトに書類データ等がアップロードされると、アップロードされた書類データ等がAPIにより管理サーバ10や言語モデルサーバ60に送信されてもよい。また、ユーザ端末50が設置されている企業やこの企業の取引先から管理サーバ10の管理を行う管理会社に紙の書類が郵送されたときに、この管理会社にて紙の書類のスキャンを行うことにより書類の画像を取得するとともに光学文字認識により書類のテキストを抽出するようにしてもよい。
【0035】
その後、ユーザ端末50が設置されている企業の担当者が、管理サーバ10を管理する管理会社により提供される所定のウェブサイトにアクセスし、同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の指令を入力すると、関連付け指示がユーザ端末50から管理サーバ10に送信される。受付手段22がユーザ端末50から関連付け指示を受け付けると、関連付け指示手段28は、言語モデルサーバ60に対して当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する(
図3のステップS3)。言語モデルサーバ60は、管理サーバ10から送信された質問情報に対応する回答情報の演算処理を行う。具体的には、言語モデルサーバ60は、当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行う。この際に、言語モデルサーバ60において、当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を受け付けると、テキスト抽出手段24により抽出された書類のテキストに基づいて、同一の属性の書類データの関連付けが行われる。また、言語モデルサーバ60において書類のメタ情報が書類データに関連付けられた状態で保存されている場合は、言語モデルサーバ60は書類のメタ情報も参照して同一の属性の書類データの関連付けを行ってもよい。言語モデルサーバ60により取得された回答情報は言語モデルサーバ60から管理サーバ10に送信される。
【0036】
回答取得手段30は、言語モデルサーバ60から送信された、質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける(
図3のステップS4)。回答取得手段30が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、送信手段26は、回答取得手段30が受け付けた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示をユーザ端末50に送信する(
図3のステップS5)。ユーザ端末50が設置されている企業の担当者によって、ユーザ端末50により本当に関連付けを行う書類データが選択されると、選択情報がユーザ端末50から管理サーバ10に送信される。データ保存手段32は、ユーザ端末50から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させる(
図3のステップS6)。このことにより、記憶部36において、同一の属性の書類データが同じ格納領域に保存されるため、同一の属性の書類データの検索性を向上させることができる。
【0037】
他の態様として、関連付けが行われた複数の書類データを回答取得手段30が受け付けると、データ保存手段32が、言語モデルサーバ60によって関連付けが行われた同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させてもよい。この場合には、ユーザ端末50が設置されている企業の担当者の確認を行うことなく、言語モデルサーバ60によって関連付けが行われた同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させることができる。
【0038】
以上のような構成からなる本実施の形態のプログラム、コンピュータ(管理サーバ10)および情報処理方法によれば、プログラムは、コンピュータを受付手段22と、送信手段26と、関連付け指示手段28と、回答取得手段30として機能させる。受付手段22は、書類データを受け付ける。送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データを言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させる。関連付け指示手段28は、受付手段22が関連付け指示を受け付けると、言語モデルサーバ60に対して当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を送信する。回答取得手段30は、言語モデルサーバ60から送信された、質問情報に対する回答情報として、関連付けが行われた複数の書類データを受け付ける。このようなプログラム、コンピュータおよび情報処理方法によれば、言語モデルサーバ60により同一の属性の書類データの関連付けを行わせるため、書類の処理を効率よく行うことができるようになる。
【0039】
また、上述したように、テキスト抽出手段24は、受付手段22が受け付けた書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出し、送信手段26は、テキスト抽出手段24により抽出された書類のテキストを書類データとして言語モデルサーバ60に送信することにより書類のテキストを言語モデルサーバ60に保存させてもよい。また、他の態様として、送信手段26は、受付手段22が受け付けた書類データとしての書類の画像を言語モデルサーバ60に送信することにより当該書類データを言語モデルサーバ60に保存させ、言語モデルサーバ60において書類の画像から光学文字認識により書類のテキストを抽出してもよい。この場合、言語モデルサーバ60において、当該言語モデルサーバ60に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うことを求める旨の質問情報を受け付けると、抽出された書類のテキストに基づいて、同一の属性の書類データの関連付けが行われる。
【0040】
また、上述したように、回答取得手段30が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、送信手段26は、回答取得手段30が受け付けた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示をユーザ端末50に送信し、データ保存手段32は、ユーザ端末50から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させる。また、他の態様として、回答取得手段30が、関連付けが行われた複数の書類データを受け付けると、データ保存手段32は、関連付けが行われた同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させてもよい。
【0041】
なお、本発明によるプログラム、コンピュータ(管理サーバ10)および情報処理方法は上述した態様に限定されることはない。
【0042】
他の態様として、受付手段22がユーザ端末50から書類の画像等の書類データを受け付けると、データ保存手段32は、受付手段22が受け付けた書類データを記憶部36に記憶させ、関連付け指示手段28は、受付手段22がユーザ端末50から関連付け指示を受け付けると、言語モデルサーバ60からのアクセス情報に基づいて、記憶部36に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うようになっていてもよい。具体的には、管理サーバ10および言語モデルサーバ60は例えばAPI連携しており、受付手段22がユーザ端末50から関連付け指示を受け付けると、送信手段26は言語モデルサーバ60に対して管理サーバ10の記憶部36に保存されている書類データについて同一の属性の書類データの関連付けを行わせる指示を送る。このことにより、言語モデルサーバ60から管理サーバ10へのアクセスが行われ、このような言語モデルサーバ60からのアクセス情報に基づいて、関連付け指示手段28は、記憶部36に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行う。送信手段26は、関連付け指示手段28により関連付けが行われた同一の属性の書類データに関する情報をユーザ端末50やオペレータ端末40に送信する。このことにより、ユーザ端末50やオペレータ端末40において、関連付けが行われた同一の属性の書類データに関する情報を知ることができる。
【0043】
また、関連付け指示手段28が、言語モデルサーバ60からのアクセス情報に基づいて、記憶部36に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、送信手段26は、関連付け指示手段28により関連付けが行われた複数の書類データから本当に関連付けを行う書類データを選択させる選択指示をユーザ端末50に送信してもよい。この場合は、ユーザ端末50により本当に関連付けを行う書類データが選択されると、ユーザ端末50から管理サーバ10に選択情報が送信される。そして、データ保存手段32は、ユーザ端末50から送信された選択結果に基づいて、同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させる。この場合には、API連携等が行われた言語モデルサーバ60からのアクセスに基づいて同一の属性の書類データの関連付けを行わせるため、書類の処理を効率よく行うことができるようになる。
【0044】
なお、他の態様として、関連付け指示手段28が、言語モデルサーバ60からのアクセス情報に基づいて、記憶部36に保存されている書類データのうち同一の属性の書類データの関連付けを行うと、データ保存手段32が、関連付け指示手段28によって関連付けが行われた同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させてもよい。この場合には、ユーザ端末50が設置されている企業の担当者の確認を行うことなく、言語モデルサーバ60からのアクセス情報に基づいて関連付けが行われた同一の属性の書類データを記憶部36における同じ格納領域に保存させることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 情報処理システム
10 管理サーバ
20 制御部
22 受付手段
24 テキスト抽出手段
26 送信手段
28 関連付け指示手段
30 回答取得手段
32 データ保存手段
36 記憶部
38 通信部
40 オペレータ端末
50 ユーザ端末
60 言語モデルサーバ