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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152189
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   B23P 19/06 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B23P19/06 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066232
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000227467
【氏名又は名称】日東精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安積 慶一
(72)【発明者】
【氏名】大庭 勝洋
(72)【発明者】
【氏名】糸井 亨
(72)【発明者】
【氏名】濱田 正也
(57)【要約】
【課題】自動締結装置の動作確認を行う検査装置を提供する。
【解決手段】
所定の頭付き棒状部材Sと嵌合可能な締結工具82を回転駆動させるツールユニット84と、このツールユニット84を少なくとも前記締結工具82の軸線方向に往復移動させる位置制御ユニット86とを備えた自動締結装置80の動作確認するため、前記締結工具82の延長線上に検査孔334を分割形成する一対の検査ゲージ333,333と、この検査ゲージ333,333を互いに接近、離反させる第一の開閉駆動源32と、前記頭付き棒状部材Sの脚部が前記検査孔334に挿通されたかを検出する姿勢確認センサ34とを備えたことを特徴とする検査装置10による。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部および脚部を有する頭付き棒状部材と係合可能な締結工具を有するツールユニットと、このツールユニットを少なくとも前記締結工具の軸線方向に往復移動させる位置制御ユニットとを備えた自動締結装置の動作確認を行う検査装置において、
前記締結工具の延長線上に前記頭付き棒状部材の脚部が貫通可能な検査孔が形成された検査ゲージと、前記頭付き棒状部材の脚部が前記検査孔を貫通したかを検出する姿勢確認センサとを有することを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記検査ゲージは、前記検査孔を分割し、互いに接近離反可能な一対で構成され、
これら検査ゲージを互いに接近離反させる第一の開閉駆動源を有することを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記検査ゲージの上方には、前記締結工具が検査ゲージの直前に到達したことを検出する起動センサを備えており、前記第一の開閉駆動源は、起動センサからの信号に基づき前記検査ゲージを接近離反させていることを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記検査ゲージの下方には、前記検査孔の下端開口部から突出した頭付き棒状部材の脚部を保持し、互いに接近離反可能な一対の保持部材が設けられており、この保持部材は、第二の開閉駆動源の駆動を受けて、互い接近離反するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
前記保持部材の対抗面には、凹凸溝が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の検査装置。
【請求項6】
前記第二の開閉駆動源は、姿勢確認センサからの信号に基づき前記保持部材を接近離反させていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動締結装置の検査を行う検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1および特許文献2に示されるようにねじの頭部と嵌合可能なドライバビットおよびこのドライバビットを回転させる回転駆動源を備えたツールユニットと、ツールユニットを移動させる位置制御ユニットを備えた自動締結装置が周知となっている。特許文献1に記載の自動締結装置は、部品供給装置から圧送されたねじを前記ドライバビットの移動経路上にねじを保持するチャックユニットを備えており、昇降動作のみでねじを締結するよう構成されている。一方、特許文献2に記載の自動締結装置は、ねじを吸着保持可能なスクリューガイドを備えているとともに、前記位置制御ユニットが所定のねじを供給する供給位置とねじを締結する締結位置との間を往復可能に構成されており、ねじを供給位置から締結位置まで搬送後、締結作業を行うよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-176405号公報
【特許文献2】国際公開番号2020-008602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような自動締結装置は、多数の部品を組み合わせて製造されている。そのため、設計通りに作成された自動締結装置であっても各種部品の寸法公差等の影響を受けて、正常に動作せず、様々な締結異常が発生することがあった。また、このような自動締結装置は、長時間連続して動作するものであるため、動作確認も長時間連続して数千回単位で行う必要があり、人力で動作確認を行うと作業者の負担が大きい等の問題を抱えていた。
【0005】
そのため、本発明は、機械的に自動締結装置の動作を確認できる検査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために本発明は、頭部および脚部を有する頭付き棒状部材と係合可能な締結工具を有するツールユニットと、このツールユニットを少なくとも前記締結工具の軸線方向に往復移動させる位置制御ユニットとを備えた自動締結装置の動作確認を行う検査装置において、前記締結工具の延長線上に前記頭付き棒状部材の脚部が貫通可能な検査孔が形成された検査ゲージと、前記頭付き棒状部材の脚部が前記検査孔を貫通したかを検出する姿勢確認センサとを有することを特徴とする。なお、前記検査ゲージは、前記検査孔を分割し、互いに接近離反可能な一対で構成され、これら検査ゲージを互いに接近離反させる第一の開閉駆動源を有することが好ましい。また、前記検査ゲージの上方には、前記締結工具が検査ゲージの直前に到達したことを検出する起動センサを備えており、前記第一の開閉駆動源は、起動センサからの信号に基づき前記検査ゲージを接近離反させていることが好ましい。さらに、前記検査ゲージの下方には、前記検査孔の下端開口部から突出した頭付き棒状部材の脚部を保持し、互いに接近離反可能な一対の保持部材が設けられており、この保持部材は、第二の開閉駆動源の駆動を受けて、互い接近離反するように構成されていることが好ましい。また、前記保持部材の対抗面には、凹凸溝が形成されていることが好ましい。さらに、前記第二の開閉駆動源は、姿勢確認センサからの信号に基づき前記保持部材を接近離反させていることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の自動締結装置は、ねじを締結する締結工具の延長線上に検査孔を設け、当該検査孔にねじが挿通されたかどうかを姿勢確認センサが検出する構成のため、作業者が目視で検査するよりも容易かつ確実にねじ締め機の動作に異常がないかを検査できるという利点を有する。なお、前記検査孔を形成する一対の検査ゲージが開閉駆動源の駆動を受けて接近離反することで検査孔に挿入されたねじを下方に落下させることができるため、作業者等が挿通されたねじを抜く必要がなく、自動でねじが検査孔から脱却される。これらにより、数千回単位での動作確認を自動で行うことできるため、ねじ締め機の動作不良を容易に発見できる等の利点も有する。また、前記検査ゲージの上方には、締結工具が検査ゲージの直前に到達したことを検出する起動センサを備えており、前記第一の開閉駆動源は、起動センサからの信号に基づき前記保持部材を接近離反させるため、検査後に自動締結装置が復帰動作を行うと、第一の開閉駆動源が作動してねじを検査孔から排除できる。このように起動センサからの信号を基に動作するため、自動締結装置の制御言語に関係なく検査することが可能等の利点も有る。さらに、前記検査ゲージの下方に検査孔の下端開口部から突出したねじの脚部を保持する保持部材を有するため、ねじの表面に油等が付着していてもねじが締結工具から容易に離反できる。これにより、検査後、自動締結装置が復帰動作を行った際、ねじが締結工具に付着して自動締結装置の初期位置まで連れ戻されることが防止できる等の利点もある。また、前記保持部材の対抗面に凹凸溝が形成されており、保持部材とねじとの接触面が減少することにより、検査後、ねじを円滑に落下させることができる等の利点がある。さらに、前記第二の開閉駆動源が前記姿勢確認センサからの信号に基づき前記保持部材の開閉駆動を制御していることにより、前記検査孔にねじが挿通されると、即座に当該ねじの脚部を挟持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る検査装置および被検査対象の自動締結装置の構造を示す概略図である。
図2】本発明に係る検査装置の構造を示す正面図である。
図3】本発明に係る検査装置の構造を示す平面図である。
図4】本発明に係る検査装置の構造を示す要部拡大一部切欠断面平面図である。
図5図2のA-A線断面図である。
図6図5のB部拡大断面図で、(a)は起動センサの検出光が遮断された状態を示す断面図であり、(b)はねじが正常に検査孔に挿通された状態を示す断面図である。
図7図5のB部拡大断面図で、(c)は図6の(b)の状態から次の状態に移行した状態を示す断面図であり、(d)は(c)の状態から次の状態に移行した状態を示す断面図である。
図8図5のB部拡大断面図で、(e)はねじが検査孔に到達する前に脱落した状態を示す断面図であり、(f)は傾斜したねじが検査孔周辺に衝突した状態を示す断面図である。
図9】本発明に係る検査装置の他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明する。図1ないし図5において10は、ねじSを締結するために用いられる自動締結装置80の検査を行う検査装置10である。この検査装置10は、フレーム20と、このフレーム20の内部に固定される検査ユニット30と、この検査ユニット30の動作を制御する制御ユニット40とから構成されている。
【0010】
前記フレーム20は、図3に示すように水平方向に広がる基台上に立設された4本の鉛直部材21と、この4本の鉛直部材21の上端部に固定される天板22とから構成されている。この天板22には、所定の大きさの空隙221が削設されており、当該天板22の下面には、この空隙221を挟むように一対の支持板231,232が固定されている。また、天板22には、前記支持板231,232と平行な方向に伸びる一対の貫通孔222、222が前記空隙221を挟むように形成されている。これら貫通孔222、222は、同一直線上に位置するよう構成されており、前記空隙221と離反する側の開口部には、一対の第一の光学センサ24(以下、起動センサ24という)が設けられている。この起動センサ24は、一方の投光部から投光された検出光241を他方の受光部が検出可能に構成されており、前記検出光241が前記貫通孔222、222および空隙221を通過して他方まで到達可能に構成されておる。なお、前記貫通孔222、222は、前記検出光241が後述する検査孔334の延長線と交差し、図3に示すようにスクリューガイド83が当該検出光241を遮断できるよう位置設定されている。また、前記天板22の側面には、前記起動センサ24が天板22の側方に突出しないよう当該起動センサ24の設置箇所に凹溝223、223が形成されている。
【0011】
前記検査ユニット30は、前記ねじSが挿通可能な検査孔334を分割形成する孔形成部31と、この孔形成部31の下方に位置する保持部35を備えている。前記孔形成部31は、図2に示すように前記支持板231に固定され、一対の駆動部を支持板231と平行に接近あるいは離反させる第一の開閉駆動源の一例として、孔形成シリンダ32を有している。その孔形成シリンダ32の駆動部には、シャッタ爪33、33が固定されており、このシャッタ爪33は、前記孔形成シリンダ32の駆動部の固定された一対の駆動ブロック331と、この駆動ブロック331それぞれに固定された検査ゲージ333とから構成されている。この検査ゲージ333の対抗面には、前記ねじSの脚部外径より若干大きい検査孔334が分割形成されており、検査ゲージ333が互いに接近することにより、図3に示すように検査孔334が形成される。また、前記検査ゲージ333は、その厚さがねじSの脚部の長さ寸法より薄くなるよう設計されているとともに前記駆動ブロック331には、前記検査ゲージ333より、若干低い位置に貫通孔332が形成されている。この貫通孔332は、水平方向に伸びるとともに前記検査孔334の延長線と交差しているとともに、検査孔334から離反する側の開口部がそれぞれ一対の第二の光学センサ34(以下、姿勢確認センサ34という)によって封鎖されている。この姿勢確認センサ34は、起動センサ24と同様に一方の投光部から投光された検出光341を他方の受光部が検出可能に構成されており、前記検査孔334の下端開口部から突出したねじSの脚部を検出可能に構成されている。また、図5に示すように前記駆動ブロック331の対抗面には、一対の当接部材345、345が設けられている。この当接部材345、345は、検査ゲージ333のみに孔形成シリンダ32の押圧力が付与されないよう、前記検査ゲージ333と同時に衝突するよう寸法設定されている。
【0012】
前記保持部35は、図4に示すように前記支持板232に固定され、一対の駆動部を支持板232と平行に接近あるいは離反させる第二の開閉駆動源の一例として保持シリンダ36を有している。この保持シリンダ36の駆動部には、それぞれ保持爪37、37が固定されており、この保持爪37、37は、前記駆動部に固定された一対の保持ブロック371、371と、この保持ブロック371、371それぞれに固定された保持部材372、372とから構成されている。この保持部材372、372は、前記検査ゲージ333の直下に配置されており、その上面には、前記貫通孔222、222に連続する連続溝373、373が形成されている。この保持部材372、372の対抗面には、ねじSの脚部と嵌合可能な凹凸溝が形成されており、挟持したねじSを保持可能に構成されている。なお、この凹凸溝の幅は、前記検査孔334の直径およびねじSの脚部外径より小さく構成されており、後述するねじSを保持する状態において、ねじSの脚部を保持可能に構成されている。
【0013】
また、前記保持部35の下方には、検査が終わったねじSを収容する収容箱38が設置されている。この収容箱38は、シャッタ爪33、33および保持爪37、37のストロークより十分大きく構成されている。
【0014】
前記制御ユニット40には、前記起動センサ24および姿勢確認センサ34と、前記孔形成シリンダ32および保持シリンダ36が接続されており、前記起動センサ24および姿勢確認センサ34からの信号を基に前記孔形成シリンダ32および保持シリンダ36の駆動を制御するよう構成されている。また、制御ユニット40は、前記起動センサ24および姿勢確認センサ34からの信号を記録可能に構成されている。
【0015】
以下、検査装置10の被検査対象である自動締結装置80について説明する。この自動締結装置80は、図1に示すように回転駆動源81の回転駆動を受けて回転可能な締結工具の一例であるドライバビット82およびこのドライバビット82を回転自在かつ軸方向往復自在に内包するスクリューガイド83を有するツールユニット84と、このスクリューガイド83の延長線上にねじSを保持可能なチャックユニット85と、前記ツールユニット84をドライバビット82の軸方向に往復移動させる昇降ユニット86を備えている。この自動締結装置80は、ドライバビット82が前記検査装置10のシャッタ爪33、33が分割形成している前記検査孔334の延長線上に位置するよう配置されており、昇降ユニット86の駆動を受けたツールユニット84が二点鎖線にて示すように検査装置10に向けて下降可能に構成されている。なお、前記スクリューガイド83には、負圧発生手段(図示せず)が連続しており、負圧発生手段の駆動時、その先端開口部にねじSを吸着保持可能に構成されている。また、前記チャックユニット85には、ねじ供給ホース91を介してねじSを一本ずつ圧送可能な部品供給装置90が接続されている。
【0016】
次に上記のように構成された検査装置10の作用を説明する。
駆動信号が入力されると前記部品供給装置90が前記チャックユニット85までねじSを圧送する。自動締結装置80は、ねじSがチャックユニット85まで供給されると前記昇降ユニット86および負圧発生手段を駆動させて、前記ツールユニット84を下降させるとともに前記チャックユニット85内のねじSをスクリューガイド83内に吸引保持する。この状態で、さらに昇降ユニット86が駆動することで、ねじSあるいはスクリューガイド83が前記検査ゲージ333に当接するまで下降する。なお、この下降途中において、図6の(a)に示すように前記スクリューガイド83が前記起動センサ24の検出光241を遮断すると、前記検査装置10が起動する。
【0017】
上述のようにツールユニット84の下降時、ねじSがほとんど傾斜のない正常な姿勢でスクリューガイド83に保持されている場合、当該ねじSは、図6の(b)に示すようにその脚部を前記検査孔334に円滑に挿通させて頭部座面が前記検査ゲージ333に当接するまで下降する。この時、当該ねじSの脚部によって、前記姿勢確認センサ34の検出光341が遮断される。前記制御ユニット40は、姿勢確認センサ34の検出光341が遮断されると、図7の(c)に示すように前記保持シリンダ36を駆動させて保持爪37、37を互いに接近させる。これにより、ねじSの脚部が保持爪37、37に保持される。一方、ツールユニット84の下降時、ねじSが正常な姿勢でスクリューガイド83に保持されていない場合、当該ねじSの脚部が前記検査孔334を通過できない。そのため、図8の(e)に示すようにねじSがスクリューガイド83に存在していなかったり、図8の(f)に示すようにねじSが傾斜していたりすると、前記姿勢確認センサ34の検出光341が遮断されることがない。
【0018】
その後、前記昇降ユニット86は、予め設定された時間を経過すると、逆駆動してツールユニット84を上昇させる。この時、保持爪37、37がねじSの脚部を保持しているため、ねじSは、ねじSの表面に油等が付着していても、スクリューガイド83と円滑に離れることができる。これにより、ねじSがスクリューガイド83に張り付いて一緒に上昇することが防止される。また、ツールユニット84の上昇により、前記起動センサ24の検出光241が再度開通する。起動センサ24の検出光241が再度開通すると、制御ユニット40は、図7の(d)に示すように前記孔形成シリンダ32を駆動させてシャッタ爪33、33を互いに離反させ、その直後、保持シリンダ36を駆動させて二点鎖線にて示すように保持爪37、37も互いに離反させる。これにより、ねじSは、シャッタ爪33、33および保持爪37、37の両方から離れて下方に配置された収容箱38に落下する。この時、シャッタ爪33、33を離反させた直後に保持爪37、37を離反させることで、ねじSがシャッタ爪33、33に張り付くことを防止できる。加えて、保持爪37、37は、その対抗面に凹凸溝が形成されており、ねじSとの接触面積が小さいため、ねじSは、保持爪37、37に張り付くことなく円滑に落下する。その後、制御ユニット40は、保持爪37、37およびシャッタ爪33、33を当初の位置に復帰させる。このように、シャッタ爪33、33および保持爪37、37が開閉駆動し、検査孔334に挿入されたねじを下方に落下させることができるため、所定の回数に達するまで際限なく動作確認を続けることが可能となる。
【0019】
上述のような検査時、制御ユニット40は、スクリューガイド83が下降して起動センサ24の検出光241が遮断されてから、スクリューガイド83が上昇して当該検出光241が再度開通するまでの間に前記姿勢確認センサ34の検出光341が遮断されない場合、制御ユニット40は前記ねじSが正常に挿通されなかったことを検知する。なお、制御ユニット40は、このような検査を所定の回数行った際、何回異常を検知するかを記録する。このように、従来、作業者が目視検査していた作業を検査装置10が検査することにより、作業者の負担が低減する。加えて、制御ユニット40に異常の発生割合や、何度の動作確認で異常が発生したか等の検査記録を残すことにより、自動締結装置80の組み立て時点での品質保証を行うことができるようになる。この結果、自動締結装置80を別の多関節ロボットに搭載後に何らかの締め付け異常が発生した際、その異常の原因が自動締結装置80に起因するのか、多関節ロボットに起因するのかを判断しやすくなる。
【0020】
また、前記検査装置10は、自動締結装置80と別に制御ユニット40を備えているとともに、前記起動センサ24および姿勢確認センサ34の検出光241,341を基に起動等の各種動作が制御されているため、どのようなプログラム言語で制御されている自動締結装置80であっても同様に動作確認を行うことができるとともに自動締結装置80に検査装置10を制御するプログラムを改めて入力する必要がない。さらに、前記検査装置10は、前記シャッタ爪33、33がシャッタシリンダの駆動部に固定された駆動ブロック331およびこれに固定された検査ゲージ333から構成されているため、検査ゲージ333を交換するのみで異なる大きさのねじSにも対応できる。同様に保持爪37、37も保持部材372、372のみ交換可能であるため、摩耗しても容易に交換できる。これらにより、どのような自動締結装置80であっても同様に検査可能という利点を有する。
【0021】
以下、本願発明の第二の実施形態である検査装置100について説明する。
この検査装置100は、その基本構造が前記検査装置10とほぼ同様に構成されているため、相違点のみ説明する。この検査装置100は、図9に示すようにねじSを水平方向に締め付ける横締め式の自動締結装置80を検査するものであり、前記検査装置10を保持部35が下側となるよう倒したように構成され、前記フレーム20が所定の鉛直軸25に直交して固定されている。また、前記保持部材372の下方に収容箱38を設けており、この保持部材372と収容箱38との間にねじSが通過可能な空間を設けている。さらに前記空間を設けるため、前記支持板232および保持シリンダ36が自動締結装置80の進行方向側にずれて配置されているとともに、前記保持ブロック371の自動締結装置80の進行方向の寸法が長く構成されている。これにより、保持爪37に保持されたねじは、保持爪37,37が互いに離反すると下方の収容箱38に落下する。これら構造により、横締め式の自動締結装置80であっても何ら問題なく動作確認することが可能となる。
【0022】
以下、本願発明の第三の実施形態について説明する。
この第三の実施形態は、その基本構造が前記検査装置10とほぼ同様であるが、相違点として制御ユニット40は、前記自動締結装置80あるいは、自動締結装置80の動力源(図示せず)に接続されており、異常を検知した際、前記自動締結装置80あるいは、前記動力源に非常停止信号を出力して、駆動を緊急停止させるよう構成されている。これにより、例えば部品供給装置90の動作不良でねじSが前記ねじ供給ホース91内に滞留したという異常が発生しても、制御ユニット40が自動締結装置80および自動締結装置80からの動作信号で駆動する部品供給装置90を停止させるため、部品供給装置90による次段のねじSの供給動作を防止できる。この結果、部品供給装置90は、ねじSを前記ねじ供給ホース91内に滞留させたまま、チャックユニット85に後段のねじSを供給することを防止でき、チャックユニット85に2本が同時に供給されることによる各種部品の破損等を防止できる。なお、上述のように異常発生時、自動締結装置80の動作を停止させる構成を有する場合、制御ユニット40は、正常に動作した回数のみをカウントするよう構成されていることが好ましい。
【0023】
なお、本発明に係る検査装置10は、前述したものに限定するものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、前記孔形成シリンダ32および前記保持シリンダ36は、前記シャッタ爪33,33および前記保持爪37,37を開閉駆動させる開閉駆動源の一例であり、これら前記シャッタ爪33,33および前記保持爪37,37を互いに接近離反させることが可能であれば、その他の駆動源であっても何ら問題ない。また、前記収容箱38に内部のねじSを部品供給装置90へ返却する返却手段が設けられていたり、前記検査ユニット30の下方に収容箱38の代わりに部品供給装置90の貯留ホッパが設けられていたりしても何ら問題ない。
【0024】
また、制御ユニット40には、前記検査装置10を常時撮影する撮影手段(図示せず)が接続されていてもよい。この撮影手段は、上述の駆動時に制御ユニット40が異常を検知するとその異常発生時の前後の撮影記録を保存するように構成されており、担当者が当該前記撮影記録を見ることで異常発生の原因を後から確認できることが好ましい。加えて制御ユニット40は、異常を検知した際、点灯あるいは消灯する点滅灯や音を出力するスピーカ、あるいは担当者にメール送信を行う送信手段等、異常発生を外部に通知する通知手段を有していてもよい。
【0025】
さらに、上記実施例において、被検査対象は、頭付き棒状部材の一例であるねじSを締結するための自動締結装置80であったが、これに限定されず、例えば、リベットやピンを所定の孔に挿入するリベットカシメ機やピン挿入機等、所定の位置に頭付き棒状部材を挿入する挿入装置であれば、同様に検査可能である。そのため、被検査対象の自動締結装置80のツールユニット84は、少なくともねじSと係合する締結工具を有していればよく、前記チャックユニット85や、スクリューガイド83等を有さない構成であってもよい。また、前記昇降ユニット86は、前記ツールユニット84を少なくとも締結工具の軸線方向に往復移動させる位置制御ユニットの一例であり、前記昇降ユニット86の代わりに鉛直方向および水平方向に移動自在なロボットアーム等その他の構成であっても何ら問題ない。
【符号の説明】
【0026】
10 … 検査装置
20 … フレーム
22 … 天板
221… 空隙
222… 貫通孔
24 … 起動センサ
30 … 検査ユニット
31 … 孔形成部
32 … 孔形成シリンダ
33 … シャッタ爪
331… 駆動ブロック
332… 貫通孔
333… 検査ゲージ
334… 検査孔
34 … 姿勢確認センサ
35 … 保持部
36 … 保持シリンダ
37 … 保持爪
371… 保持ブロック
372… 保持部材
373… 連続溝
374… 保持溝
38 … 収容箱
40 … 制御ユニット
80 … 自動締結装置
81 … 回転駆動源
82 … ドライバビット
84 … ツールユニット
86 … 昇降ユニット
90 … 部品供給装置
S … ねじ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9