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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152203
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/10 20060101AFI20241018BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20241018BHJP
【FI】
C02F11/10 Z ZAB
C02F11/121
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066252
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(71)【出願人】
【識別番号】522043552
【氏名又は名称】テラノバ エナジー ゲー エム ベー ハー
【氏名又は名称原語表記】TerraNova Energy GmbH
【住所又は居所原語表記】Schirmerstrasse 61, 40211 Duesseldorf, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 智行
(72)【発明者】
【氏名】宮本 博司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】隅 晃彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕大
(72)【発明者】
【氏名】マーク・バットマン
【テーマコード(参考)】
4D059
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA02
4D059AA03
4D059AA07
4D059BA12
4D059BB03
4D059BB06
4D059BE09
4D059BE10
4D059BE15
4D059BE16
4D059BE26
4D059BE37
4D059BE46
4D059BF20
4D059BK30
4D059CA07
4D059DA32
4D059DA33
(57)【要約】
【課題】養生処理の効率化を図ることが可能な処理システムを提供する。
【解決手段】処理システム100は、水を含む固形物を加熱する水熱炭化器と、水熱炭化器によって加熱された固形物を固液分離する固液分離器4と、固液分離器4によって固形物S4が固液分離されることにより得られた脱水固形物S5を養生する養生ホッパ5と、固液分離器4から排出された排ガスG2を養生ホッパ5に供給するガス供給路81と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を含む固形物を加熱する水熱炭化器と、
前記水熱炭化器から排出された前記固形物を固液分離する固液分離器と、
前記固液分離器から排出された脱水固形物を養生処理する養生ホッパと、
前記固液分離器から排出された排ガスを前記養生ホッパに供給するガス供給路と、を備えた処理システム。
【請求項2】
前記固液分離器は、機械式脱水機である請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記固液分離器から排出された前記脱水固形物を冷却する熱交換器を更に備え、
前記熱交換器で冷却された前記脱水固形物が前記養生ホッパに供給される請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記熱交換器は、酸素含有ガスが供給されるガス供給口と、前記脱水固形物と熱交換した前記酸素含有ガスを排出するガス排出口とを有しており、
前記ガス排出口から排出された前記酸素含有ガスが前記養生ホッパに供給される請求項3に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水を含む固形物を炭化処理する処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、汚泥を嫌気性消化することにより消化ガス及び消化汚泥を発生させる消化槽と、消化汚泥を脱水することにより含水率が低下した脱水ケーキを得る脱水機と、脱水ケーキを加熱して炭化させる炭化設備と、を備える汚泥処理システムにおいて、炭化設備から排出された炭化汚泥が場外搬出されることが開示されている。
【0003】
上記のように得られた炭化汚泥は、炭化処理直後はその粒子表面に活性の高い表面官能基を有しており、そのままでは自己発熱性を有することが知られている(例えば、特許文献2参照)。そのため、貯蔵時の安全性を確保すべく、自己発熱性を低下させる養生処理(いわゆる、エージング処理)がなされている。
【0004】
特許文献2には、排水処理などで生じた有機物含有汚泥を炭化炉で炭化処理して得た炭化物を低温酸化雰囲気炉で酸化処理することにより、炭化物の表面酸化反応を予め収束させ、貯蔵された炭化物が低温酸化反応による自己発熱によって燃焼を誘発するのを未然に防止する炭化物の処理方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-51417号公報
【特許文献2】特開2004-267950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示の炭化汚泥の酸化処理(養生処理)では酸素含有ガスが必要である。炭化汚泥を効率よく養生処理するため、炭化汚泥の養生処理で必要とされる酸素含有ガスは、常温の外気(空気)よりも高い温度であることが望ましい。
【0007】
そこで、養生処理の効率化を図ることが可能な処理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る処理システムの特徴構成は、水を含む固形物を加熱する水熱炭化器と、前記水熱炭化器から排出された前記固形物を固液分離する固液分離器と、前記固液分離器から排出された脱水固形物を養生処理する養生ホッパと、前記固液分離器から排出された排ガスを前記養生ホッパに供給するガス供給路と、を備えた点にある。
【0009】
固液分離器から排出される排ガス(酸素含有ガス)は、固液分離器で固液分離される固形物からの放熱によって加熱され、常温よりも高温になる。したがって、本構成のように、固液分離器から排出された排ガス(酸素含有ガス)を養生ホッパに供給することにより、常温よりも高い温度の酸素含有ガスを養生ホッパに供給することができ、養生処理の効率化を図ることができる。
【0010】
また、本構成では、固液分離器から排出された常温よりも高温の排ガス(酸素含有ガス)がガス供給路を介して養生ホッパに供給される。このため、養生ホッパに導入するガスの温度が養生ホッパに供給される固形物の温度により近い温度となる。したがって、養生ホッパに導入するガスを加熱する加熱設備を省略又は小型化することができる。
【0011】
他の特徴構成は、前記固液分離器は、機械式脱水機である点にある。
【0012】
本構成のように、固液分離器が機械式脱水機であれば、機械式脱水機からの放熱により、固液分離器から排出される排ガスの温度が高まり、排ガスの温度が養生ホッパに供給される固形物の温度により近い温度となる。したがって、養生ホッパに導入するガスを加熱する加熱設備を省略できる可能性が高まる。
【0013】
他の特徴構成は、前記固液分離器から排出された前記脱水固形物を冷却する熱交換器を更に備え、前記熱交換器で冷却された前記脱水固形物が前記養生ホッパに供給される点にある。
【0014】
本構成のように、固液分離器から排出された脱水固形物を冷却することにより、養生ホッパでの脱水固形物の発火をより効果的に防止できる。
【0015】
他の特徴構成は、前記熱交換器は、酸素含有ガスが供給されるガス供給口と、前記脱水固形物と熱交換した前記酸素含有ガスを排出するガス排出口とを有しており、前記ガス排出口から排出された前記酸素含有ガスが前記養生ホッパに供給される点にある。
【0016】
本構成のように、熱交換器で脱水固形物と熱交換した酸素含有ガスが養生ホッパに供給されることにより、養生ホッパに導入するガスを加熱する加熱設備を省略できる可能性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る廃棄物処理設備の概略構成を示す図である。
図2図1に示す養生ホッパ及びその近傍を示す図である。
図3】別実施形態に係る養生ホッパ及びその近傍を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る処理システムとしての廃棄物処理設備の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0019】
〔廃棄物処理設備の概要〕
まず、図1を参照して、廃棄物を処理する廃棄物処理設備100の概要について説明する。廃棄物処理設備100では、被処理物としての廃棄物が処理(炭化処理)されて、再利用可能な燃料(以下、「リサイクル燃料RF」という)に変換される。廃棄物は、有機性廃棄物からなる汚泥である。有機性廃棄物は、例えば下水汚泥、し尿汚泥、農業集落排水汚泥、浄化槽汚泥、生ごみ等の食品廃棄物(食品系バイオマス)、古紙・廃紙等のリグノセルロース系廃棄物、農業残渣、家畜糞尿等が相当する。これらの有機性廃棄物は、夫々、単独で処理されてもよいし、混合処理されてもよい。以下では、被処理物が下水汚泥である場合を例に実施形態を説明する。
【0020】
廃棄物処理設備100は、メタン発酵槽1と、第一固液分離器2と、水熱炭化器3と、第二固液分離器4(固液分離器の一例)と、養生ホッパ5と、を備える。メタン発酵槽1と、第一固液分離器2と、水熱炭化器3と、第二固液分離器4と、養生ホッパ5とは、廃棄物処理設備100において、被処理物に対する処理工程の上流からこの順で設けられる。
【0021】
〔メタン発酵槽〕
メタン発酵槽1は、下水汚泥S1(固形物濃度3重量%~10重量%)を消化(嫌気性発酵)する。メタン発酵槽1は、下水汚泥S1を収容して消化する消化処理部、下水汚泥S1(及び/又は消化槽)を加温するための熱交換器等を有する。下水汚泥S1は、規定の温度で予め規定された滞留時間(例えば、50℃~60℃の高温発酵処理において7日~20日程度、30℃~42℃の中温発酵処理において15日~30日程度)消化槽で消化される。消化槽において下水汚泥S1が消化されると、消化ガスGdが生成される。消化ガスGdは、例えば、メタン約60容量%、及び、二酸化炭素約40容量%を含むバイオガスであり、メタン発酵槽1及び/又は水熱炭化器3を加温するための燃料として利用される。
【0022】
詳しくは、消化ガスGdは、廃棄物処理設備100が更に備える熱源器F1に供給される。熱源器F1は、消化ガスGdを燃料とし、消化ガスGdから熱エネルギーE1、E2を回収する。熱源器F1は、消化ガスGdを貯留するガスタンク、ガスタンクから供給された消化ガスGdを燃料として発電するガス発電機、ガス発電機の廃熱(排ガス等)を冷却することにより熱エネルギーE1を回収する第一熱交換器、及び、ガス発電機の廃熱(排ガス等)により熱エネルギーE2を回収する第二熱交換器を有する。第一熱交換器は、冷却水、熱媒油等の第一熱媒をガス発電機の廃熱と熱交換させることによって熱エネルギーE1を回収する。熱エネルギーE1(第一熱媒)は、メタン発酵槽1に供給され、例えば、下水汚泥S1の加温に利用される。第二熱交換器は、熱媒油、冷却水等の第二熱媒をガス発電機の廃熱と熱交換させることにより熱エネルギーE2を回収する。熱エネルギーE2(第二熱媒)は、水熱炭化器3に供給され、例えば、水熱炭化器3で水熱炭化処理される脱水汚泥S3の加熱に利用される。
【0023】
また、メタン発酵槽1において下水汚泥S1が消化されると、消化ガスGdに加え、発酵処理汚泥S2が生成される。発酵処理汚泥S2は、第一固液分離器2に供給される。
【0024】
〔第一固液分離器〕
第一固液分離器2は、発酵処理汚泥S2を脱水(固液分離)する。第一固液分離器2は、例えば、ベルトプレス脱水機、フィルタープレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機、ベルト濃縮機、遠心濃縮機等の脱水機を有する。第一固液分離器2によって発酵処理汚泥S2から分離された第一分離液(消化脱水ろ液)は、水処理設備(不図示)で浄化される。発酵処理汚泥S2が脱水されて得られた脱水汚泥S3は、水熱炭化器3に供給される。なお、脱水汚泥S3は、含水率65重量%~85重量%程度であり、水を含む固形物に相当する。
【0025】
〔水熱炭化器〕
水熱炭化器3は、脱水汚泥S3を加熱する。本実施形態において、水熱炭化器3は、脱水汚泥S3に薬品を添加し、低酸素雰囲気下で高温高圧処理して炭化させる水熱炭化処理を行う。薬品は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の酸である。
【0026】
水熱炭化器3は、高温高圧処理(脱水汚泥S3の温度が例えば160℃以上250℃以下、且つ、内圧がゲージ圧0.6MPa以上ゲージ圧3Mpa以下で処理)するためのリアクタを含んでおり、このリアクタには第二熱媒にて脱水汚泥S3の温度を調整(加熱)するための第二熱媒が循環するジャケットが形成されている。また、水熱炭化器3の上流側には脱水汚泥S3を加熱する加熱器、水熱炭化器3の下流側には脱水汚泥S3が加熱されることにより得られた炭化汚泥スラリーS4を冷却する冷却器が配置されている。なお、水熱炭化器3は、脱水汚泥S3のpHを測定するpH測定器を更に有してもよい。
【0027】
水熱炭化器3によって脱水汚泥S3が加熱されることにより得られた炭化汚泥スラリーS4は、第二固液分離器4に供給される。なお、炭化汚泥スラリーS4は、水熱炭化処理された固形物に相当する。
【0028】
〔第二固液分離器〕
第二固液分離器4は、炭化汚泥スラリーS4を脱水(固液分離)する。第二固液分離器4によって炭化汚泥スラリーS4から分離された第二分離液(水熱炭化脱水ろ液)は、メタン発酵槽1の消化槽に供給される(消化槽に送られて再利用される)。なお、第二分離液は、水処理設備(不図示)で浄化されてもよい。炭化汚泥スラリーS4が脱水されて得られた炭化汚泥S5(例えば含水率30重量%~35重量%程度)は、養生ホッパ5に供給される。
【0029】
〔養生ホッパ〕
養生ホッパ5は、炭化汚泥S5を養生(養生処理)する。炭化汚泥S5はその粒子表面に活性の高い表面官能基を有しており、そのままでは自己発熱性を有することが知られている。そのため、自己発熱性に起因する発火を防止し、貯蔵時の安全性を確保すべく、自己発熱性を低減させる養生処理(いわゆる、エージング処理)を行う。炭化汚泥S5は、養生処理されると自己発熱性が低減される。つまり、養生は、炭化汚泥S5の自己発熱性を低減させるための処理である。炭化汚泥S5は、養生処理されることにより、リサイクル燃料RFへと変換される。リサイクル燃料RFは、市場への出荷に備え、例えば貯留タンク(不図示)で貯留される。
【0030】
次に、図2を参照して、養生ホッパ5及びその近傍の構成について説明する。図2は、養生ホッパ5及びその近傍の構成を示す図である。
【0031】
〔養生ホッパの構成〕
養生ホッパ5は、貯留部6、通気部7、及び制御部10を有する。制御部10は、貯留部6及び通気部7の動作を制御するプロセッサ、半導体メモリ等で構成される主記憶装置を含む。主記憶装置には貯留部6及び通気部7の動作を制御するための制御プログラムが記憶される。制御部10は、プロセッサが制御プログラムを実行することにより供給制御部101と排出制御部102として機能する。
【0032】
貯留部6は、貯留物供給部61、容器本体62、及び貯留物排出部63を含む。貯留物供給部61は、容器本体62の鉛直方向上側(以下、単に「上側」という)の部分、つまり、容器本体62の上部に接続される。貯留物排出部63は、容器本体62の鉛直方向下側(以下、単に「下側」という)の部分、つまり、容器本体62の下部に接続される。
【0033】
貯留物供給部61は、容器本体62に供給される炭化汚泥S5が流通する貯留物供給管611、及び、貯留物供給管611に接続される貯留物供給機構612を含む。貯留物供給機構612は、例えばロータリバルブである。貯留物供給機構612は、供給制御部101による制御に応じて動作する。これにより、貯留物供給管611内の炭化汚泥S5が容器本体62に供給される。なお、本実施形態では、貯留物供給機構612は、一定の速度で連続的に炭化汚泥S5を容器本体62に供給するように制御される。
【0034】
容器本体62は、炭化汚泥S5を貯留する。容器本体62は、鉛直方向に沿って見て円形の筒状を有し、その下部がロート状(下側へ向かうにつれて縮径する円錐状)に構成され、炭化汚泥S5を貯留可能な貯留空間62Sを内部に有する。炭化汚泥S5は、貯留物供給部61が設けられる容器本体62の上部から貯留空間62Sに投入される。貯留空間62Sに投入された炭化汚泥S5は、予め規定された期間(例えば48時間)、貯留空間62Sで貯留される。炭化汚泥S5は、貯留空間62Sで貯留される過程において、貯留空間62Sに通気部7によって導入される酸素含有ガス(以下、「処理用ガスG1」という)に触れる。この結果、炭化汚泥S5は、炭化物粒子表面の高活性な表面官能基が酸化されて、自己発熱性が低減されたリサイクル燃料RFへと変換される。
【0035】
貯留物排出部63は、炭化汚泥S5が変換されたリサイクル燃料RFが流通する貯留物排出管631、及び、貯留物排出管631に接続される貯留物排出機構632を含む。貯留物排出機構632は、例えばロータリバルブである。貯留物排出機構632は、排出制御部102による制御に応じて動作する。これにより、リサイクル燃料RFが貯留空間62Sから排出される。詳しくは、貯留物排出部63が設けられる貯留空間62Sの下部からリサイクル燃料RFが排出される。なお、本実施形態では、貯留物排出機構632は、一定の速度で連続的にリサイクル燃料RFを容器本体62(貯留空間62S)から排出するように制御される。
【0036】
通気部7は、貯留空間62Sに処理用ガスG1を通気させる。通気部7は、処理用ガスG1を容器本体62に導入する処理用ガス導入部71、処理用ガスG1を容器本体62から排出する処理用ガス排出部72、及び、処理用ガスG1を循環させる処理用ガス循環部73を含む。なお、通気部7は、処理用ガスG1の流通を制御する弁、処理用ガスG1の流量を計測する流量計、処理用ガスG1の酸素濃度を計測する酸素濃度センサを更に含む。
【0037】
処理用ガス導入部71は、貯留部6の下部(本実施形態では、貯留物排出管631)に接続され、処理用ガスG1を容器本体62の下側から貯留空間62Sに導入する処理用ガス導入管711を含む。処理用ガス導入管711(処理用ガス導入部71)には、第二固液分離器4から排出された換気ガスG2が処理用ガスG1として供給される。なお、処理用ガス導入管711に供給される処理用ガスG1は、廃棄物処理設備100の外部からのガス(例えば空気)を含んでもよい。
【0038】
処理用ガス導入管711を介して貯留空間62Sの下側から導入された処理用ガスG1は、容器本体62の内部(貯留空間62S)を上昇し、容器本体62の上部に接続された処理用ガス排出部72を介して貯留空間62Sから排出される。なお、処理用ガスG1は、上記のように、貯留空間62Sを上昇する際に、貯留空間62Sに貯留された炭化汚泥S5に接触する。
【0039】
処理用ガス排出部72は、貯留空間62Sから処理用ガスG1を排出する処理用ガス排出管720を含む。本実施形態において、処理用ガス排出管720は、処理用ガス循環部73と連通する第一連通口721、及び、養生ホッパ5の外部と連通する第二連通口722を含む。つまり、処理用ガスG1の一部は、第一連通口721を介して処理用ガス循環部73に導入され、残部は、第二連通口722を介して養生ホッパ5の外部に排出される。養生ホッパ5の外部に排出された処理用ガスG1は、排ガス処理設備F2において、消臭、浄化等の処理が施された後、廃棄物処理設備100の外部(大気)に排出される。
【0040】
処理用ガス循環部73は、通気部7と容器本体62(貯留空間62S)との間で処理用ガスG1を循環させる。換言すると、貯留空間62Sから排出される処理用ガスG1の一部は、養生ホッパ5の外部へ排出されずに貯留空間62Sに導入する処理用ガスG1として再利用される。
【0041】
処理用ガス循環部73は、第一連通口721からの処理用ガスG1を処理用ガス導入部71に導く処理用ガス循環管731を含む。なお、処理用ガス循環部73は、処理用ガスG1を処理用ガス導入部71へ導くためのブロア、及び、処理用ガス循環管731を流れる処理用ガスG1を加湿する加湿器を更に含んでもよい。
【0042】
〔第二固液分離器の構成〕
続いて、処理用ガス導入部71に処理用ガスG1を供給する第二固液分離器4の構成について説明する。図2に示すように、第二固液分離器4は、脱水処理機41とハウジング42とを有する。
【0043】
脱水処理機41は、炭化汚泥スラリーS4を脱水するための機械式脱水機であって、例えばフィルタープレス脱水機である。なお、脱水処理機41は、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機、ベルト濃縮機、遠心濃縮機等であってもよい。
【0044】
ハウジング42は、脱水処理機41を収容する収容空間42Sを有し、収容空間42Sは、炭化汚泥スラリーS4及び/又は炭化汚泥S5から発生する臭気の外部への流出が防止されるように構成される(気密に構成される)とともに、収容空間42Sの換気を目的とする換気ガスG2が収容空間42Sを流通するように構成される。本実施形態において、換気ガスG2は、酸素を含有するガスであって、例えば空気である。
【0045】
ハウジング42は、外部から換気ガスG2をハウジング42(収容空間42S)に導入する換気ガス導入部421と、ハウジング42(収容空間42S)から換気ガスG2を排出する換気ガス排出部422とを更に有する。
【0046】
換気ガス導入部421は、外部からハウジング42の収容空間42Sに導入される換気ガスG2が通過する第一ガス導入口を含む。換気ガス導入部421は、外部から換気ガスG2を取り込むファン、及び、ファンによって取り込まれる換気ガスG2が流通する導入管、換気ガスG2の流通を制御する弁を更に含んでもよい。
【0047】
換気ガス排出部422は、ハウジング42の収容空間42Sから外部へ排出される換気ガスG2が通過する換気ガス排出口を含む。換気ガス排出部422は、換気ガスG2を外部へ排出するファン、ファンによって排出される換気ガスG2が流通する排出管、及び、換気ガスG2の流通を制御する弁を更に含んでもよい。
【0048】
外部から収容空間42Sに導入された換気ガスG2は、ハウジング42の収容空間42Sを流通し、ハウジング42の外部へ排出される。これにより、ハウジング42の収容空間42Sの臭気成分が換気ガスG2とともに収容空間42Sの外部へ排出される。
【0049】
本実施形態において、廃棄物処理設備100は、第二固液分離器4から排出された換気ガスG2を処理用ガスG1として養生ホッパ5に供給するガス供給部8を更に含み、換気ガスG2は、養生ホッパ5の炭化汚泥S5を養生するための処理用ガスG1として利用される。
【0050】
〔ガス供給部〕
ガス供給部8は、第二固液分離器4から排出された換気ガスG2を養生ホッパ5に供給するガス供給管81(ガス供給路に相当)と、第二固液分離器4から養生ホッパ5へ向けて換気ガスG2を通風させるブロア82と、を含む。なお、ガス供給部8は、換気ガスG2の流量を制御する弁、換気ガスG2に含まれる異物を捕獲するフィルタといった集塵部等を更に有してもよい。集塵部は、例えばガス供給管81の内部に設けられる。
【0051】
ガス供給管81は、養生ホッパ5の通気部7の処理用ガス導入管711に接続される。第二固液分離器4から排出された換気ガスG2は、処理用ガスG1として、ガス供給管81を介して養生ホッパ5(容器本体62の貯留空間62S)に供給される。なお、換気ガスG2は、処理用ガス循環部73からの処理用ガスG1と合流した後に処理用ガス導入部71に導入されてもよいし、換気ガスG2と処理用ガス循環部73からの処理用ガスG1とが別々に処理用ガス導入部71に導入されてもよい。
【0052】
〔実施形態の作用効果〕
以上説明したように、廃棄物処理設備100が同一の処理系統に水熱炭化器3と第二固液分離器4と養生ホッパ5とを備えていれば、水熱炭化器3から排出された含水率の比較的高い炭化汚泥スラリーS4を場外搬出することなく、養生ホッパ5で養生することができ、良好なリサイクル燃料RF(有価物)を得ることができる。
【0053】
また、第二固液分離器4から排出される換気ガスG2(酸素含有ガス)は、第二固液分離器4で脱水される炭化汚泥スラリーS4からの放熱によって加熱(加温)され、常温よりも高温になる。つまり、第二固液分離器4から排出された換気ガスG2を養生ホッパ5に供給することにより、常温よりも高い温度の処理用ガスG1(酸素含有ガス)を養生ホッパ5に供給することができ、養生処理の効率化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、第二固液分離器4から排出された常温よりも高温の換気ガスG2がガス供給管81を介して養生ホッパ5(容器本体62の貯留空間62S)に処理用ガスG1として供給される。このため、養生ホッパ5に導入する処理用ガスG1の温度が養生ホッパ5に供給される炭化汚泥スラリーS4の温度により近い温度となる。したがって、養生ホッパ5に導入するガスを加熱する加熱設備を省略又はその規模を縮小(小型化)することができる。
【0055】
また、本実施形態のように第二固液分離器4が機械式脱水機であれば、機械式脱水機からの放熱により、第二固液分離器4から排出される換気ガスG2(処理用ガスG1)の温度が高まり、換気ガスG2(処理用ガスG1)の温度が養生ホッパ5に供給される炭化汚泥スラリーS4の温度により近い温度となる。したがって、養生ホッパ5に導入する処理用ガスG1を加熱する加熱設備を省略できる可能性が高まる。
【0056】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成してもよい(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0057】
(1)上記の実施形態では、第二固液分離器4から養生ホッパ5に炭化汚泥S5が供給されたが、図3に示すように、廃棄物処理設備100は、第二固液分離器4によって脱水処理された炭化汚泥S5を冷却する熱交換器9を更に備えてもよい。つまり、炭化汚泥S5は、第二固液分離器4から熱交換器9に供給されて冷却された後、養生ホッパ5(貯留物供給部61)に供給されてもよい。第二固液分離器4から排出された炭化汚泥S5を冷却することにより、養生ホッパ5での炭化汚泥S5の発火をより効果的に防止できる。
【0058】
(2)また、熱交換器9で炭化汚泥S5と熱交換した熱媒G3(酸素含有ガスの一例)は、養生ホッパ5に供給され、上記の実施形態で説明した処理用ガスG1として利用されてもよい。熱媒G3は、酸素を含むガスであって、例えば空気である。
【0059】
熱交換器9は、熱媒G3が外部から供給される熱媒導入部91と、炭化汚泥S5と熱交換した熱媒G3を排出する熱媒排出部92とを有する。熱媒導入部91は、外部と連通する熱媒導入口911を有し、熱媒G3が熱媒導入口911を介して熱交換器9に導入される。熱媒排出部92は、熱媒G3が排出される熱媒排出口921(ガス排出口の一例)を有し、熱交換器9の熱媒排出口921から排出された熱媒G3は、養生ホッパ5の通気部7の処理用ガス導入部71を介して容器本体62の貯留空間62Sに供給されてもよい。なお、熱媒排出口921と処理用ガス導入部71(処理用ガス導入管711)とは、例えば、熱媒流通管(不図示)を介して接続される。このように、熱交換器9で炭化汚泥S5と熱交換した熱媒G3が処理用ガスG1として養生ホッパ5に供給されることにより、処理用ガスG1を加熱する加熱設備を省略できる。なお、熱媒排出部92から排出された熱媒G3は、ガス供給部8を介して養生ホッパ5に供給されてもよいし、ガス供給部8を介さずに養生ホッパ5に供給されてもよい。
【0060】
(3)上記の実施形態では、通気部7が処理用ガス循環部73を有する場合を説明したが、通気部7は、処理用ガス循環部73を省略することも可能である。この場合、通気部7は、処理用ガスG1を加熱する加熱設備を有すると好適である。
【0061】
(4)上記の実施形態では、処理用ガスG1を加熱する加熱設備が省略されたが、通気部7は、小型化された加熱設備を更に含んでもよい。
【0062】
(5)上記の実施形態では、脱水処理機41が機械式脱水機である場合を説明したが、脱水処理機41は、機械式脱水機に限定されない。
【0063】
(6)上記の実施形態で説明した熱源器F1は、都市ガス、石油等の消化ガスGdとは異なる燃料及び/又は消化ガスGdによってメタン発酵槽1の加温に用いられる熱媒(例えば温水)を加熱する第一ボイラ(温水ボイラ)を補助熱源として更に有してもよい。同様に、熱源器F1は、都市ガス、石油等の消化ガスGdとは異なる燃料及び/又は消化ガスGdによって水熱炭化器3の加温に用いられる熱媒(例えば熱媒油)を加熱する第二ボイラ(熱媒ボイラ)を補助熱源として更に有してもよい。
【0064】
(7)上記の実施形態では、養生ホッパ5が制御部10を有し、制御部10が貯留物供給部61及び貯留物排出部63の動作を制御したが、貯留物供給部61及び貯留物排出部63の動作は、制御部10とは異なる廃棄物処理設備100が備える制御装置によって制御されてもよい。この場合、養生ホッパ5は、制御部10を省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、水を含む固形物を炭化処理する処理システムに利用できる。
【符号の説明】
【0066】
3 :水熱炭化器
4 :第二固液分離器(固液分離器)
5 :養生ホッパ
9 :熱交換器
81 :ガス供給路(ガス供給管)
911 :熱媒導入口(ガス供給口)
921 :熱媒排出口(ガス排出口)
G1 :処理用ガス(酸素含有ガス)
S4 :炭化汚泥スラリー(固形物)
S5 :炭化汚泥(脱水固形物)
図1
図2
図3