(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152205
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】接着剤
(51)【国際特許分類】
B65D 71/14 20060101AFI20241018BHJP
C09J 5/00 20060101ALI20241018BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241018BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D71/14
C09J5/00
C09J201/00
B65D85/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066254
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高室 和俊
【テーマコード(参考)】
3E067
3E068
4J040
【Fターム(参考)】
3E067AA21
3E067AB96
3E067AC01
3E067BA14A
3E067BB01A
3E067BB02A
3E067EB27
3E067FC02
3E068AA40
3E068BB01
3E068CC21
3E068CD02
3E068CE02
3E068CE03
3E068DD11
3E068DD27
3E068DE19
3E068EE24
4J040PA43
(57)【要約】
【課題】含有する浸透性物質の外側への析出を低減する接着剤を提供する。
【解決手段】合成樹脂製の柔軟性を有するチューブ型の容器の外周を覆うように筒形状に形成した紙製の外装カバーを取り付け、前記外装カバーの内側面と前記容器の外側面との間に隙間を形成させる。外装カバーと容器との間に隙間を形成することで、容器外面に析出した浸透性物質の外装カバーへの接触を低減させ、前記成分の外装カバー外面への析出を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製の容器に収容された接着剤であって、
前記容器が柔軟性を有するチューブ型に形成されると共に前記容器の外周を覆う筒形状に形成された紙製の外装カバーが取り付けられており、
前記外装カバーの内側面と前記容器の外側面との間に隙間が形成されていることを特徴とする接着剤。
【請求項2】
前記外装カバーがコートボール紙で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
前記外装カバーがライナーとフルートとを備える段ボールであり、前記前記ライナーがフルートの外側に配置されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の接着剤。
【請求項4】
前記外装カバーが前記容器の外周に緩嵌されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の接着剤。
【請求項5】
前記外装カバーが長手方向の両側が開口する筒状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製の容器に収容した接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
接着剤を収容する容器としては、金属製の缶や合成樹脂製のチューブなどが利用されている。柔軟性を有する合成樹脂製のチューブは、容器の外側を押しつぶすという簡単な操作で望む量の接着剤を開口部分から押し出すことができることから、多くの接着剤で利用されており種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、オレフィン系樹脂による表面樹脂層と、該表面樹脂層と同一系統の樹脂で形成されている裏面樹脂層と、前記表面樹脂層と裏面樹脂層との間に位置する透明バリヤー性層を具備する中間層とを有する透明な積層シートにより、該積層シートにおける裏面樹脂層がチューブ容器の胴部内周面層となるようにして筒状体に成形されるチューブ容器の胴部形成用積層シートにおいて、前記中間層と裏面層との間には、透明なバリヤー性樹脂層が積層されており、しかも、前記透明なバリヤー性樹脂層から裏面樹脂層側に対しては、溶剤型の接着剤が適用されていないことを特徴とするチューブ容器の胴部形成用積層シートの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるチューブ容器の胴部形成用積層シートは、浸透性の高い物質を含有する内填物をチューブ容器内で保存した場合でも容器外側への析出を防止すると共に、透明なバリヤー性樹脂層から最外裏面樹脂層側に対して溶剤型の接着剤を適用しないことでデラミ現象の発生を防止している。
【0006】
本発明はこれとは異なる構成により、含有する浸透性物質の外側への析出を低減する接着剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち本発明に係る接着剤は、合成樹脂製の容器に収容された接着剤であって、前記容器が柔軟性を有するチューブ型に形成されると共に前記容器の外周を覆う筒形状に形成された紙製の外装カバーが取り付けられており、前記外装カバーの内側面と前記容器の外側面との間に隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る接着剤によれば、柔軟性を有するチューブ型に形成した合成樹脂製の容器に、その外周を覆う筒形状に形成した紙製の外装カバーを取り付けるので、接着剤が含有する浸透性物質が前記容器を浸透した場合でも、容器外側に析出した浸透性物質が前記外装カバーにより覆い隠され、その外見が損なわれず美観を保てる。
また、前記外装カバーの内側面と前記容器の外側面との間に隙間を形成すれば、容器外面に析出した浸透性物質の外装カバーへの接触が低減し、前記成分の外装カバー外面への析出を低減できる。
【0009】
また、前記外装カバーをコートボール紙で形成すれば、外装カバーの外面に印刷などを施しやすく、内容物の表示などを容易に設けることができるので、好ましい。
【0010】
また、前記外装カバーをライナーとフルートとを備える段ボールで形成し、前記前記ライナーをフルートの外側に配置させれば、前記ライナーと前記容器の外面とがフルートによって離間されるので、容器外面に析出した浸透性物質のライナーへの浸透を効果的に低減できるので、好ましい。
【0011】
また、前記外装カバーを前記容器の外周に緩嵌させれば、接着剤の使用等で容器の外側を押しつぶす等の操作によって生じる外装カバーと容器との位置ずれによって、容器外面に析出した浸透性物質の外装カバーへの浸透を遅延できるので、好ましい。
【0012】
前記外装カバーを長手方向の両側が開口する筒状に形成すれば、外装カバーと容器とが長手方向へ位置ずれしやすくなされるので、容器外面に析出した浸透性物質の外装カバーへの浸透を遅延できるので、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接着剤によれば、含有する浸透性物質の外装カバー外面への析出を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る接着剤の実施の一形態を示す正面図である。
【
図2】
図1の接着剤の容器から外装カバーを取り外した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図1は本発明に係る接着剤1の実施の一形態を示す正面図である。以降において、
図1の図中上下方向を長手方向として説明を行う。
接着剤1は容器3を備え、容器3の内側に硬化前接着剤4を収容している。
容器3は所謂チューブ型容器であり、筒壁31の長手方向の一方側の端部に硬化前接着剤4を注出する開口を備え、この開口を蓋体33で塞いでいる。また、容器3の長手方向他方側の端部には、筒壁31を熱溶着させて形成した扁平形状の閉塞部32を設けている。
【0016】
容器3の筒壁31は、柔軟性を有するポリエチレン樹脂のシートで形成しており、詳細には、重ね合わせた複数のポリエチレン樹脂シートを接着剤で貼り合わせたシート材で形成している。
容器3は、主立った接着剤成分についてはその浸透を防止するが、特に浸透性の高いアミン化合物等については筒壁31を浸透することがあり、場合によっては筒壁31の外側面に析出させる。
【0017】
容器3の外周には外装カバー2を取り付けている。
外装カバー2は紙で形成しており、具体的にはコートボール紙で形成している。
外装カバー2は筒形状に形成しており、長手方向の両側を開口させている。筒形状の内側に容器3を挿入させるようにして取り付けた外装カバー2は、筒壁31の外周面の少なくとも70%以上を覆い隠すように形成しており、容器3に対して着脱可能に設けている。
図2は
図1の接着剤1の容器3から外装カバー2を取り外した状態を示す図である。
【0018】
図3は
図1のA-A端面図である。
筒形状に形成した前記外装カバー2は、その内周の大きさを前記筒壁31の外周の大きさよりも大きく形成している。即ち、前記外装カバー2の内周面と筒壁31の外周面との間に隙間Sが生じるように設けている。また外装カバー2は、筒壁31に対して両面テープや接着材などで固定しておらず、筒壁31の外側に緩嵌された状態となされている。
【0019】
筒壁31との間に隙間Sが生じるように外装カバー2を形成することで、隙間なく密着するように形成した場合と比較して、外装カバー2と筒壁31との接触面積が低減する。
このように筒壁31との接触面積を低減させた外装カバー2は、筒壁3の外面に硬化前接着剤4が含有する浸透性の高い成分が析出していた場合でも、前記成分の外装カバー2への接触が低減し、前記成分の外装カバー2の外側への析出が抑制される。
【0020】
また、外装カバー2を容器3の外側に緩嵌することで、使用の過程で外装カバー2の位置ずれが生じる。例えば、接着剤1の持ち運びや、硬化前接着剤4を注出するために筒壁31を押しつぶす操作を行う際に、外装カバー2の内側で容器3が移動し、外装カバー2が筒壁3に対して位置ずれする。
外装カバー2が位置ずれすることで、筒壁3の外面に硬化前接着剤4が含有する浸透性の高い成分が析出していた場合でも、外装カバー2の前記成分と接触する部位が変わるので、前記成分の外装カバー2の外側への析出が遅延される。
【0021】
前記外装カバー2はコートボール紙で形成しているが、他の紙材料で形成してもよく、例えば段ボール紙で形成してもよい。段ボール紙は、波板状のフルートと平坦なライナーとを重着させた構造であるので、段ボール紙を筒形状に形成して設けた外装カバー2は、その外周面を構成するライナーと筒壁31とが前記フルートによって離間される。このため、筒壁3の外面に硬化前接着剤4が含有する浸透性の高い成分が析出していた場合でも、前記成分の外装カバー2の外側への析出を効果的に遅延できる。
【0022】
尚、本発明に係る接着剤1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記外装カバー2は長手方向両側の端が開口する筒状に形成しているが、これに限るものではなく、長手方向の一方の端部を閉塞させた有底筒状に形成してもよい。有底筒状に形成した外装カバー2は、その閉塞させた底部分を前記閉塞部32側に配置して、容器3へ取り付けることができる。
しかしながら、長手方向の両端が開口する筒形状に形成した
図1~3に示す前記外装カバー2は、有底筒状に形成した場合と比較して、内側の容器3が移動しやすく外装カバー2の筒壁31に対する長手方向や周方向への位置ずれがしやすくなされるので、外装カバー2の外側への浸透性の高い成分の析出を遅延する前記の効果が得られやすくなるので、好ましい。
【符号の説明】
【0023】
1 接着剤
2 外装カバー
3 容器
31 筒壁
32 閉塞部
33 蓋体
S 隙間