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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152212
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H03B5/32 H
H03B5/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066263
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大久保 正明
(72)【発明者】
【氏名】和田 龍斗
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA02
5J079BA43
5J079CA04
5J079CA12
5J079CB01
5J079FB25
5J079FB29
5J079FB35
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA09
5J079HA15
5J079HA16
5J079HA25
5J079HA28
5J079HA30
(57)【要約】
【課題】発振周波数の安定度が高い発振器を提供すること。
【解決手段】発振器は、振動素子と、前記振動素子の温度を制御する温度制御素子と、前記振動素子および前記温度制御素子を収容する第1パッケージと、を備え、前記第1パッケージは、実装面のコーナー部に設けられた端子部と、前記実装面に設けられ、前記温度制御素子の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動素子と、
前記振動素子の温度を制御する温度制御素子と、
前記振動素子および前記温度制御素子を収容する第1パッケージと、を備え、
前記第1パッケージは、
実装面のコーナー部に設けられた端子部と、
前記実装面に設けられ、前記温度制御素子の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線と、を有する、
発振器。
【請求項2】
前記第1伝熱配線の面積は、前記端子部に含まれる少なくともいずれかの端子の面積より大きい、
請求項1に記載の発振器。
【請求項3】
前記第1伝熱配線の面積は、少なくともいずれかの前記端子の面積の2倍以上である、
請求項2に記載の発振器。
【請求項4】
前記振動素子を発振させる発振回路をさらに備え、
前記発振回路は、前記第1パッケージに収容され、
前記端子部は、前記発振回路用の高電位側電源電圧が供給される端子と、前記発振回路用の低電位側電源電圧が供給される端子と、を含む、
請求項1に記載の発振器。
【請求項5】
前記第1伝熱配線は、平面視で前記端子部から前記実装面の中央部側に延在している、
請求項1に記載の発振器。
【請求項6】
前記第1パッケージを収容する第2パッケージを備え、
前記第1パッケージは、前記実装面と反対側の面が前記第2パッケージに接合され、
前記端子部は、ボンディングワイヤーを介して前記第2パッケージに電気的に接続されている、
請求項1に記載の発振器。
【請求項7】
前記第1パッケージは、前記実装面に設けられ、前記温度制御素子の高電位側電源および低電位側電源の他方に接続された第2伝熱配線と、を有する、
請求項1に記載の発振器。
【請求項8】
前記端子部は、前記振動素子を発振させて生成されたクロック信号が出力されるクロック信号出力端子を含み、
前記実装面の平面視で、前記第2伝熱配線は、前記クロック信号出力端子の周囲に延在している、
請求項7に記載の発振器。
【請求項9】
前記実装面は、第1辺と、前記第1辺の対辺である第2辺と、前記第1辺および前記第2辺と交差する第3辺と、前記第3辺の対辺である第4辺と、を有し、
前記端子部は、前記第1辺および前記第2辺に沿って設けられた複数の端子を含み、
前記第1伝熱配線は、前記第3辺から前記第1辺に向かって延在し、
前記第2伝熱配線は、前記第4辺から前記第2辺に向かって延在する、
請求項7に記載の発振器。
【請求項10】
前記第1パッケージを収容する第2パッケージを備え、
前記第1伝熱配線における前記第1辺側の端部は、複数のボンディングワイヤーを介して前記第2パッケージに電気的に接続され、
前記第2伝熱配線における前記第2辺側の端部は、複数のボンディングワイヤーを介して前記第2パッケージに電気的に接続される、
請求項9に記載の発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器の温度変化に対する周波数安定度を高めるために、小型恒温槽の中に水晶デバイスを設置した恒温槽一体型水晶発振器が知られている。
例えば、特許文献1には、第1振動素子と温度制御素子とを第1パッケージに収容して基板の一方の主面に搭載するとともに、第2振動素子を基板の他方の主面に搭載し、その周囲を囲うように脚部を設けた構造の発振器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-031988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発振器では、発振周波数の安定度が低下してしまう虞があった。詳しくは、温度制御素子のサイズは第1パッケージに比べて小さいため、第1パッケージ内で温度差が生じてしまい、当該温度差により振動素子にも温度ムラが生じ、発振周波数の安定度を低下させる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願に係る一態様の発振器は、振動素子と、前記振動素子の温度を制御する温度制御素子と、前記振動素子および前記温度制御素子を収容する第1パッケージと、を備え、前記第1パッケージは、実装面のコーナー部に設けられた端子部と、前記実装面に設けられ、前記温度制御素子の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る発振器の断面図。
図2】発振器の平面図。
図3】内側パッケージの平面図。
図4】内側パッケージの断面図。
図5】振動素子の実装前における内側パッケージの内部の平面図。
図6】振動素子の実装後における内側パッケージの内部の平面図。
図7】内側パッケージの実装面の平面図。
図8】比較例における実装面の平面図。
図9】電圧制御型水晶発振器の断面図。
図10】電圧制御型水晶発振器を下面側から見た平面図。
図11】第1回路素子に含まれるPLL回路を示す回路図。
図12】発振器を下面側から見た平面図。
図13】実施形態2に係る実装面の一態様の平面図。
図14】実装面の異なる態様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
***発振器の構成***
図1は、発振器の断面図である。図2は、発振器の平面図である。
図2に示すように、本実施形態の発振器100は、平面的に略長方形をなした箱状の表面実装デバイスである。なお、図2では、発振器100の内部構成を示すために、外側リッド22(図1)を外した状態を図示している。また、各図面では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、及びZ軸を図示している。本実施形態では、長方形状をなした発振器100の長辺の延在方向をXプラス方向、短辺の延在方向をYプラス方向とし、発振器100の厚さ方向をZプラス方向としている。また、Zプラス方向を上方、Zマイナス方向を下方ともいう。Xプラス方向とXマイナス方向とを合せてX軸方向ともいう。Y軸、Z軸についても同様である。
【0008】
図1および図2に示す発振器100は、恒温槽付水晶発振器(OCXO)であり、外側パッケージ2の内部に、内側パッケージ3と、第1回路素子4とを収納し、外側パッケージ2の裏面に、電圧制御型水晶発振器5を備えている。
内側パッケージ3は、第1パッケージであり、第1振動素子としての振動素子6、回路素子としての第2回路素子8、および、温度制御素子7を収納している。換言すれば、内側パッケージ3は、振動素子6と、振動素子6の温度を制御する温度制御素子7と、振動素子6および温度制御素子7を収容する。
電圧制御型水晶発振器5は、第2振動素子としての振動素子55を備えている。
【0009】
外側パッケージ2は、第2パッケージであり、外側ベース21と、外側リッド22とを有する。外側ベース21は、箱状をなし、上面21aに開口する上側凹部211と、下面21bに開口する下側凹部212とを有する。そのため、外側ベース21は、断面視において略H型となっている。この外側ベース21について、別の言い方をすると、外側ベース21は、基板27と、基板27の上面の縁部から上側に向けて立設する枠状の壁部28と、基板27の下面の縁部から下側に向けて立設する枠状の脚部29とを有する。
【0010】
外側リッド22は、板状をなし、上側凹部211の開口を塞ぐようにして、シールリング、低融点ガラス等の封止部材23を介して外側ベース21の上面21aに接合されている。これにより、上側凹部211が気密封止され、外側パッケージ2内に収容空間としての外側収容空間S2が形成される。外側収容空間S2は、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、外側パッケージ2の断熱性が高まり、外部温度の影響を受け難い発振器100となる。一方、下側凹部212の開口は、封止されておらず、外側パッケージ2の外部に臨んでいる。
外側収容空間S2には、内側パッケージ3および第1回路素子4が収容されている。
下側凹部212には、電圧制御型水晶発振器5が実装されている。
【0011】
なお、外側ベース21および外側リッド22の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、外側ベース21をアルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成し、外側リッド22をコバール等の各種金属材料で構成することが好ましい。これにより、丈夫で機械的強度に優れた外側パッケージ2となる。また、両者の線膨張係数をほぼ等しくすることができ、外側パッケージ2に生じる熱応力の低減を図ることもできる。
このような構成により、振動素子6、振動素子55に応力が加わり難くなり、振動素子6、振動素子55の振動特性が安定する。
【0012】
外側収容空間S2において、上側凹部211は、上面21aに開口する第1上側凹部211aと、第1上側凹部211aの底面に開口し、第1上側凹部211aよりも開口が小さい第2上側凹部211bと、第2上側凹部211bの底面に開口し、第2上側凹部211bよりも開口が小さい第3上側凹部211cとを有する。
内側パッケージ3は、第3上側凹部211cの底面に載置される。第1回路素子4は、内側パッケージ3の上で、内側パッケージ3を跨いで第1上側凹部211aに配置される。
【0013】
図2に示すように、第1回路素子4は、長方形状をなしており、その長辺の延在方向はY軸方向であり、第3上側凹部211cを囲う額縁状の第1上側凹部211aの上に2つの短辺部分を載置して、内側パッケージ3を跨ぐ高架橋状に配置される。
第1上側凹部211aには、複数の端子241が設けられている。端子241と第1回路素子4の対応する端子35との間は、ボンディングワイヤーBW1により電気的に接続される。ボンディングワイヤーBW1は、Auワイヤーを用いることが好ましい。なお、アルミワイヤーを用いても良い。また、後述のボンディングワイヤーも同様である。
【0014】
図3は、内側パッケージの平面図であり、図1に対応している。図3は、第1回路素子4を実装する前における内側パッケージ3の実装態様を示している。
第2上側凹部211bには、複数の端子73が設けられている。内側パッケージ3の上面である実装面90には、端子部としての複数の端子83が設けられている。
第2上側凹部211bの端子73と内側パッケージ3の対応する端子83との間は、ボンディングワイヤーBW2により電気的に接続される。換言すれば、内側パッケージ3は、実装面90と反対側の面が外側パッケージ2に接合され、端子83は、ボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続されている。
【0015】
図1に戻る。
図1に示すように、外側ベース21における下側凹部212の底面には、複数の内部端子243が設けられている。内部端子243は、導電性の接合部材B1を介して電圧制御型水晶発振器5と電気的に接続される。
外側ベース21の脚部29の底面には、複数の実装用の外部端子244が設けられている。
【0016】
これらの端子241、端子73、内部端子243、および、外部端子244は、外側ベース21内に形成された内部配線25を介して電気的に接続され、第1回路素子4、内側パッケージ3、および、電圧制御型水晶発振器5を電気的に接続している。このように、内部配線25を外側パッケージ2の外部に露出しないように形成することにより、放射ノイズ、電磁界等の外乱の影響を受け難くなる。よって、発振器100は、優れた位相ノイズ特性を発揮することができる。
上記の発振器100は、外部端子244を介して外部装置200との電気的な接続が行われる。特に、本実施形態では、脚部29の側面に外部端子244と接続された側面端子245が配置されている。側面端子245は、キャスタレーションである。そのため、半田Hが側面端子245に濡れ広がってフィレットを形成し、外部装置200との機械的および電気的な接合がより強固なものとなる。ただし、これに限定されず、例えば、側面端子245を省略してもよい。
【0017】
***内側パッケージの構成***
図4は、内側パッケージの断面図であり、図1に対応している。
図4に示すように、内側パッケージ3は、内側ベース31と、内側リッド32とを有する。内側ベース31は、箱状をなし、下面31bに開口する凹部311を有する。また、内側リッド32は、板状をなし、凹部311の開口を塞ぐようにして、シールリング、低融点ガラス等の封止部材33を介して内側ベース31の下面31bに接合されている。これにより、凹部311が気密封止され、内側パッケージ3内に内側収容空間S3が形成される。そして、内側収容空間S3には、振動素子6、温度制御素子7および第2回路素子8が収容されている。
【0018】
内側ベース31および内側リッド32の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、内側ベース31をアルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成し、内側リッド32をコバール等の各種金属材料で構成することができる。これにより、丈夫で機械的強度に優れた内側パッケージ3となる。また、両者の線膨張係数をほぼ等しくすることができ、内側パッケージ3に生じる熱応力の低減を図ることもできる。そのため、振動素子6に応力が加わり難くなり、振動素子6の振動特性が安定する。
凹部311は、下面31bに開口する第1凹部311aと、第1凹部311aの底面に開口し、第1凹部311aよりも開口が小さい第2凹部311bと、第2凹部311bの底面に開口し、第2凹部311bよりも開口が小さい第3凹部311cとを有する。
そして、第1凹部311aの底面には、振動素子6が実装される。第3凹部311cの底面には、温度制御素子7および第2回路素子8がX軸方向に並んで配置されている。
【0019】
図5は、振動素子の実装前における内側パッケージの内部の平面図である。図6は、振動素子の実装後における内側パッケージの内部の平面図である。
図5に示すように、第3凹部311cには、温度制御素子7と、第2回路素子8とが並んで配置されている。
温度制御素子7は、温度センサー71およびヒーターとしての発熱回路72を有する。温度センサー71は、その周囲温度、特に振動素子6の温度を検出する温度検出部として機能し、発熱回路72は、振動素子6を加熱する発熱部として機能する。温度制御素子7は、能動面を下側(内側リッド32側)に向けて第3凹部311cの底面に配置されされている。なお、発熱回路72は、必ずしも温度センサー71の検出結果に基づいて制御されなくてもよい。例えば、後述の第2回路素子8内に別の温度センサーが設けられ、当該温度センサーの検出結果に基づいて発熱回路72が制御されてもよい。
【0020】
第2回路素子8は、振動素子6を発振させる発振回路である。第2回路素子8は、振動素子6から出力される信号を増幅して振動素子6にフィードバックすることにより振動素子6を発振させ、所期の発振信号を生成するための回路である。第2回路素子8は、基準周波数信号を出力する発振回路81を備えている。第2回路素子8は、能動面を下側(内側リッド32側)に向けて第3凹部311cの底面に配置されている。
第2凹部311bには、複数の端子342,343が設けられている。端子342と温度制御素子7との間は、ボンディングワイヤーBW4により電気的に接続される。なお、2本のボンディングワイヤーBW4が接続されている端子342は、高電位電源端子と、低電位電源端子とである。ヒーターを含む温度制御素子7には、発振回路よりも大きな電流が流れるため、配線本数を増やして電流容量を大きくしている。端子343と第2回路素子8との間は、ボンディングワイヤーBW5により電気的に接続されている。
【0021】
図4図6に示すように、振動素子6は、その一端が第1凹部311aに固定され、片持ち支持されている。振動素子6は、好適例ではSCカット水晶振動素子を用いている。
図6に示すように、振動素子6は、SCカットで切り出された平面視で矩形の水晶基板61と、上面の中央部に配置された励振電極621と、励振電極621から引き出され上面の縁部に配置されたパッド電極622と、下面の中央部に励振電極621と対向配置された励振電極631と、励振電極631から引き出され下面の縁部に配置されたパッド電極632とを有する。なお、振動素子6の構成は、上記に限定されるものではなく、例えば、水晶基板61の平面視形状は、矩形に限定されず、円形、楕円形、半円形、その他の多角形であっても良い。また、水晶基板61の外縁部を研削するベベル加工や、水晶基板61の上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていても良い。また、振動素子6として、SCカット水晶振動素子ではなく、ATカット水晶振動素子、BTカット水晶振動素子、音叉型水晶振動素子、弾性表面波共振子、その他の圧電振動素子、MEMS共振素子等を用いても良い。
第1凹部311aには、2つの端子341が設けられている。振動素子6のパッド電極622と、一方の端子341との間は、接合部材B2により電気的に接続される。振動素子6のパッド電極632と、他方の端子341との間は、ボンディングワイヤーBW3により電気的に接続される。
【0022】
図4に示すように、内側パッケージ3は、第3上側凹部211cの底面に、例えば、シリコーン樹脂からなる接合部材B3を介して固定される。なお、接合部材B3は、シリコーン樹脂に限定するものではなく、絶縁性で熱伝導率が低い接合部材であれば良く、例えば、エポキシ樹脂等の各種樹脂材料を用いても良い。
このような構成によれば、内側パッケージ3と外側パッケージ2とが接合部材B3によって断熱されるため、温度制御素子7の熱が外側パッケージ2を介して外部に逃げ難くなる。
【0023】
***実装面の配線態様***
図7は、内側パッケージの実装面の平面図であり、図3に対応している。図8は、比較例における実装面の平面図であり、図7に対応している。
図7に示すように、実装面90は、略長方形状をなしており、Xマイナス側の短辺を第1辺91としたときに、第1辺91の対辺であるXプラス側の短辺が第2辺92となる。そして、第1辺91および第2辺92と交差するYプラス側の長辺を第3辺93とし、第3辺93の対辺であるYマイナス側の長辺が第4辺94となる。
【0024】
実装面90には、端子部としての複数の端子83が設けられている。詳しくは、第1辺91に沿って端子83a,83b,83cがYプラス方向からYマイナス方向に向かってこの順番で配置されている。同様に、第2辺92に沿って端子83d,83e,83fがYマイナス方向からYプラス方向に向かってこの順番で配置されている。
複数の端子83のうち、端子83a,83c,83d,83fは、長方形の頂点部分に位置している。換言すれば、端子83a,83c,83d,83fは、実装面90のコーナー部に設けられている。
【0025】
好適例において、端子83aは、外部からの制御信号が入力される外部制御端子(Vc)である。
端子83bは、温度制御素子7の高電位側電源端子である。つまり、ヒーターVDD端子である。端子83bからは第1伝熱配線85が実装面90の中央側に延在した後、屈曲して、第3辺93に向かって延在している。第1伝熱配線85の面積は、点線で示された端子83bの2倍以上であり、その太さは、屈曲部分以降で、端子83bよりも太くなっている。また、第1伝熱配線85の面積は、角部の端子83a,83c,83d,83fよりも大きい。第1伝熱配線85は、第3辺93でキャスタレーションにより内側ベース31の外側側壁を通る配線となり、内側ベース31の内部に延在し、温度制御素子7と電気的に接続される。
端子83cは、第2回路素子8の高電位側電源端子である。つまり、発振回路用の信号回路VDD端子である。
【0026】
端子83dは、第2回路素子8からのクロック信号出力端子である。
端子83eは、温度制御素子7の低電位側電源端子である。つまり、ヒーターGND端子である。端子83eからは第2伝熱配線86が第4辺94に向かって延在している。端子83eからは第2伝熱配線86が実装面90の中央側に延在した後、屈曲して、第4辺94に向かって延在している。第2伝熱配線86の面積は、点線で示された端子83eの2倍以上であり、その太さは、屈曲部分以降で、端子83eよりも太くなっている。また、第2伝熱配線86の面積は、角部の端子83a,83c,83d,83fよりも大きい。第2伝熱配線86は、第2辺92から第4辺94にL字状に屈曲することで、クロック信号出力端子である端子83dの周囲に延在している。なお、第1伝熱配線85、第2伝熱配線86は、高電位と低電位とが入れ替っていても良く、また、いずれか1方だけ設けられることでも良い。第2伝熱配線86は、第4辺94でキャスタレーションにより内側ベース31の外側側壁を通る配線となり、内側ベース31の内部に延在し、温度制御素子7と電気的に接続される。
端子83fは、第2回路素子8の低電位側電源端子である。つまり、発振回路用の信号回路VDD端子である。
【0027】
換言すれば、第1パッケージとしての内側パッケージ3は、実装面90に設けられ、温度制御素子7の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線85と、他方に接続された第2伝熱配線86と、を有する。また、第1伝熱配線85は、平面視で端子83bから実装面90の中央部側に延在している。また、端子部は、発振回路用の高電位側電源電圧が供給される端子83cと、発振回路用の低電位側電源電圧が供給される端子83fと、を含む。また、実装面90の平面視で、第2伝熱配線86は、クロック信号出力端子である端子83dの周囲に延在している。また、第1伝熱配線85の面積は、少なくともいずれかの端子83の面積の2倍以上である。第1伝熱配線85の面積は、端子部に含まれる少なくともいずれかの端子83の面積より大きい。
【0028】
このように、温度制御素子7の電源ラインである端子83b,83eと、発振回路である第2回路素子8の電源ラインである端子83c,83fとを、電気的に切り分けている。これは、ヒーターを含む温度制御素子7の消費電流の変化が大きいため、両者の電源ラインを同一とした場合には、IRドロップにより発振回路のクロック信号が不安定となる虞があるからである。
換言すれば、第1パッケージとしての内側パッケージ3は、実装面90のコーナー部に設けられた端子83a,83c,83d,83fと、実装面90に設けられ、温度制御素子7の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線85と、を有する。また、実装面90は、第1辺91と、第1辺91の対辺である第2辺92と、第1辺91および第2辺92と交差する第3辺93と、第3辺93の対辺である第4辺94と、を有し、端子部は、第1辺91および第2辺92に沿って設けられた複数の端子を含み、第1伝熱配線85は、第3辺93から第1辺91に向かって延在し、第2伝熱配線86は、第4辺94から第2辺92に向かって延在する。
【0029】
端子83、第1伝熱配線85、および、第2伝熱配線86の材質は、下地層の上に最表層としてAu層を備えた積層配線構造が好ましい。下地層は、例えば、W層、Ni層とする。なお、この構成に限定するものではなく、下地層はTiW層、Cu層、Ti層であっても良く、最表層がAu層であれば良い。なお、Cu層を含む場合は、Au層との間に、両者の接触による拡散を防ぐための金属バリア層を設けることが好ましい。複数の金属層の形成方法は、例えば、スパッタ法や、めっき法など、公知の成膜法を用いることができる。このような積層配線構造を用いることにより、熱伝導率が高く、配線抵抗が低い端子83、第1伝熱配線85、および、第2伝熱配線86を形成することができる。
【0030】
図3に戻る。
図3に示すように、第1伝熱配線85の端部の端子83bと、外側パッケージ2の端子73bとの間は、2本のボンディングワイヤーBW2で接続されている。同様に、第2伝熱配線86の端部の端子83eと、外側パッケージ2の端子73eとの間は、2本のボンディングワイヤーBW2で接続されている。なお、2本に限定するものではなく、複数本であれば良い。これは、配線本数を増やして電流容量を大きくするためである。
換言すれば、第1伝熱配線85における第1辺91側の端子83bは、複数のボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続され、第2伝熱配線86における第2辺92側の端子83eは、複数のボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続される。
【0031】
図8は、比較例の従来の実装面99の平面図を示している。
図8に示すように、従来の実装面99では、ワイヤーボンディング実装に必要な端子83a,83b,83c,83d,83e,83fが設けられているだけで、実装面99の殆どが内側ベース31の下地剥き出しとなっていた。図5で説明したように、ヒーターとしての温度制御素子7のサイズは小さいため、内側ベース31の中央部と端部とで温度差が生じ、結果として振動素子6に温度ムラが生じてしまい、発振周波数の安定度を低下させる要因となっていた。
【0032】
これに対して、図7に示す本実施形態の実装面90には、中央部に2本の太い配線パターンである第1伝熱配線85、第2伝熱配線86が設けられている。第1伝熱配線85はヒーターVDD配線で、第2伝熱配線86はヒーターGND配線であり、温度制御素子7に接続している。
このように、発熱源である温度制御素子7につながる配線である第1伝熱配線85、第2伝熱配線86を実装面90に引き出すことにより、温度制御素子7からの熱を伝達し、内側パッケージ3の温度を均一にすることができる。また、キャスタレーションにより内側ベース31の外側側壁にも配線があるため、より内側パッケージ3全体の温度の均一化を図ることができる。
【0033】
また、比較例のように、実装面99に実装用の端子83a,83b,83c,83d,83e,83fだけを設けるためには、内側ベース31内に当該端子に接続する配線層を設ける必要があるが、配線層を設けると絶縁層も必要となり、結果的に内層数が増えてしまい、内側ベース31が厚くなり、内側パッケージ3の高さが厚くなっていた。
これに対して、本実施形態の実装面90によれば、内側ベース31の外周に配線を設けることにより内層数を減らすことができるため、内側パッケージ3の低背化を実現することができる。
【0034】
***外側パッケージ裏面の実装態様***
図9は、電圧制御型水晶発振器の断面図である。図10は、電圧制御型水晶発振器を下面側から見た平面図である。
電圧制御型水晶発振器5は、後述するPLL回路42(図11)に含まれる発振器である。
【0035】
図9に示すように、電圧制御型水晶発振器5は、パッケージ51と、パッケージ51に収容された振動素子55および回路素子59と、を有する。
パッケージ51は、ベース52およびリッド53を有する。ベース52は、箱状をなし、下面52bに開口する凹部521を有する。また、リッド53は、板状をなし、凹部521の開口を塞ぐようにして、シールリング、低融点ガラス等の封止部材54を介してベース52の下面52bに接合されている。これにより、凹部521が気密封止され、パッケージ51内に収容空間S5が形成される。そして、収容空間S5に振動素子55および回路素子59が収容されている。
【0036】
なお、ベース52およびリッド53の構成材料としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、ベース52をアルミナ、チタニア等の各種セラミック材料で構成し、リッド53をコバール等の各種金属材料で構成することができる。これにより、丈夫で機械的強度に優れたパッケージ51となる。また、両者の線膨張係数をほぼ等しくすることができ、パッケージ51に生じる熱応力の低減を図ることもできる。そのため、振動素子55に応力が加わり難くなり、振動素子55の振動特性が安定する。
【0037】
収容空間S5について詳細に説明すると、凹部521は、下面52bに開口する第1凹部521aと、第1凹部521aの底面に開口し、第1凹部521aよりも開口が小さい第2凹部521bと、第2凹部521bの底面に開口し、第2凹部521bよりも開口が小さい第3凹部521cと、を有する。そして、第1凹部521aの底面に振動素子55が配置され、第3凹部521cの底面に回路素子59が配置されている。収容空間S5は、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、収容空間S5の粘性抵抗が減り、振動素子55の振動特性が向上する。
【0038】
また、ベース52には、第1凹部521aの底面に配置された複数の内部端子561と、第2凹部521bの底面に配置された複数の内部端子562と、ベース52の上面52aに配置された複数の外部端子564と、が配置されている。また、各内部端子561は、導電性の接合部材B4を介して振動素子55と電気的に接続され、各内部端子562は、ボンディングワイヤーBW6を介して回路素子59と電気的に接続されている。これら各端子561、562、564は、ベース52内に形成された図示しない内部配線を介して適宜電気的に接続されており、振動素子55、回路素子59および外部端子564を電気的に接続している。このようなパッケージ51においては、外部端子564を介してその内外が電気的に接続される。
【0039】
図10に示す、振動素子55は、ATカット水晶振動素子である。
振動素子55は、ATカットで切り出された長方形状の水晶基板551と、水晶基板551の上下面に対向配置された励振電極553a、554aと、水晶基板551の上面に配置されたパッド電極553b、554bと、励振電極553a、554aとパッド電極553b、554bとを接続する引出電極553c、554cと、を有する。
【0040】
以上、振動素子55について説明したが、その構成は、特に限定されない。例えば、水晶基板551の平面視形状は、長方形に限定されず、円形、長方形以外の矩形、その他の多角形であってもよい。また、水晶基板551の外縁部を研削するベベル加工や、水晶基板551の上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。また、振動素子55として、ATカット水晶振動素子ではなく、SCカット水晶振動素子、BTカット水晶振動素子、音叉型水晶振動素子、弾性表面波共振子、その他の圧電振動素子、MEMS共振素子等を用いてもよい。
【0041】
このような振動素子55は、その端部において、第1凹部521aの底面に一対の接合部材B4を介して固定されている。また、接合部材B4を介してパッド電極553b、554bと各内部端子561とが電気的に接続されている。ただし、振動素子55の固定方法や電気接続方法としては、特に限定されない。
【0042】
図9に戻る。
回路素子59は、振動素子55を発振する発振回路591を有する。このような回路素子59は、能動面を下側に向けて第3凹部521cの底面に配置され、ボンディングワイヤーBW6を介して複数の内部端子562と電気的に接続されている。
図9に示すように、電圧制御型水晶発振器5は、導電性の接合部材B1を介して下側凹部212の底面に固定されている。また、接合部材B1を介して外部端子564と内部端子243とが電気的に接続されている。
【0043】
図1に戻る。
図1に示すように、第1回路素子4は、温度制御素子7の駆動を制御する温度制御用回路41と、PLL回路42の一部と、出力バッファー回路43とを有する。
【0044】
温度制御用回路41は、温度センサー71(図5)の出力信号に基づき、発熱回路72の抵抗を流れる電流量を制御し、振動素子6を一定温度に保つための回路である。例えば、温度制御用回路41は、温度センサー71の出力信号から判定される現在の温度が設定された基準温度よりも低い場合には、発熱回路72の抵抗に所望の電流を流し、現在の温度が基準温度よりも高い場合には発熱回路72の抵抗に電流が流れないように制御する。また、例えば、温度制御用回路41は、現在の温度と基準温度との差に応じて、発熱回路72の抵抗を流れる電流量を増減させるように制御してもよい。また、前述したように、温度制御用回路41は、第2回路素子8内に設けられた温度センサーの検出結果に基づいて発熱回路72を制御してもよい。
【0045】
図11は、第1回路素子に含まれるPLL回路を示す回路図である。
PLL回路42は、発振回路81から出力される発振信号である基準周波数信号が入力される第1位相比較器421と、第1ローパスフィルター422と、第1ローパスフィルター422からの直流信号が入力される電圧制御型発振器423と、電圧制御型発振器423から出力される周波数信号が入力される第1分周器424と、を有する。そして、第1分周器424で分周された周波数信号は、第1位相比較器421に入力される。第1位相比較器421では、基準周波数信号と周波数信号との間の位相差を検出し、第1ローパスフィルター422に出力する。第1ローパスフィルター422では第1位相比較器421からの出力信号から高周波成分を除去し、電圧に変換して電圧制御型発振器423を制御する直流信号として出力される。
【0046】
なお、第1分周器424は、例えば、整数の分周比を切り替えて平均的に小数の分周比とすることにより、小数の分周比を設定可能である。これにより、第1位相比較器421、第1ローパスフィルター422、電圧制御型発振器423および第1分周器424で構成される前段のPLL回路部分は、小数分周PLL回路(フラクショナルPLL回路)として機能する。その結果、小数分周PLL回路では、任意の周波数の信号を出力することが可能になる。
【0047】
また、PLL回路42は、電圧制御型発振器423から出力される周波数信号が入力される第2位相比較器425と、第2ローパスフィルター426と、電圧制御型水晶発振器5と、電圧制御型水晶発振器5から出力される周波数信号が入力される第2分周器427と、を有する。そして、第2分周器427で分周された周波数信号は、第2位相比較器425に入力される。第2位相比較器425では、電圧制御型発振器423から出力される周波数信号と第2分周器427で分周された周波数信号との間の位相差を検出し、第2ローパスフィルター426に出力する。第2ローパスフィルター426では第2位相比較器425からの出力信号から高周波成分を除去し、電圧に変換して電圧制御型水晶発振器5を制御する直流信号(周波数制御信号)として出力される。
【0048】
なお、第2分周器427は、例えば、入力された信号を整数分周する整数分周器である。これにより、第2位相比較器425、第2ローパスフィルター426、電圧制御型水晶発振器5および第2分周器427で構成される後段のPLL回路部分は、整数分周PLL回路(インテジャーPLL回路)として機能する。整数分周PLL回路では、位相ノイズが比較的少なく、回路構成も比較的単純な回路とすることができる。
【0049】
そして、電圧制御型水晶発振器5からは、直流信号の電圧に応じた周波数信号が出力バッファー回路43に向けて出力される。つまり、電圧制御型水晶発振器5は、発振回路81から出力される基準周波数信号に基づいて発振周波数が制御される。
【0050】
PLL回路42を構成する各回路要素のうち、電圧制御型水晶発振器5については、第1回路素子4と別体で構成されているが、その他の要素についても、第1回路素子4と別体で構成されていてもよい。例えば、第1、第2ローパスフィルター422、426を第1回路素子4と別体で構成し、下側凹部212の底面に、電圧制御型水晶発振器5と並べて配置してもよい。
【0051】
図12は、発振器を下面側から見た平面図である。
図12に示すように、電圧制御型水晶発振器5は、下側凹部212の底面に配置されており、その周囲を脚部29で囲まれている。そのため、脚部29が防風壁の機能を発揮し、電圧制御型水晶発振器5に風が当たり難くなる。よって、風による電圧制御型水晶発振器5の温度変動が抑制され、出力バッファー回路43から出力される出力信号の位相ノイズ特性の悪化を効果的に抑制することができる。
【0052】
以上、述べた通り、本実施形態の発振器100によれば、以下の効果を得ることができる。
発振器100は、振動素子6と、振動素子6の温度を制御する温度制御素子7と、振動素子6および温度制御素子7を収容する内側パッケージ3と、を備え、内側パッケージ3は、実装面90のコーナー部に設けられた端子83a,83c,83d,83fと、実装面90に設けられ、温度制御素子7の高電位側電源および低電位側電源の一方に接続された第1伝熱配線85と、を有する。
【0053】
この構成によれば、実装面90には、中央部に太い配線パターンである第1伝熱配線85が設けられる。第1伝熱配線85はヒーターVDD配線であり、温度制御素子7に接続している。
これにより、発熱源である温度制御素子7につながる配線である第1伝熱配線85を実装面90に引き出すことにより、温度制御素子7からの熱を伝達し、内側パッケージ3の温度を均一にすることができる。
よって、内側パッケージ3内で温度差が生じてしまい、当該温度差により振動素子6にも温度ムラが生じていた従来の発振器と異なり、発振器100によれば、内側パッケージ3の温度を均一化できるため、振動素子6における温度ムラが低減され、発振周波数の安定度を高めることができる。
従って、発振周波数の安定度が高い発振器100を提供することができる。
【0054】
また、第1伝熱配線85の面積は、端子部に含まれる少なくともいずれかの端子83の面積より大きい。
これによれば、大きな面積で実装面90を加熱できるため、内側パッケージ3の温度を効率良く均一化できる。
【0055】
また、第1伝熱配線85の面積は、少なくともいずれかの端子83の面積の2倍以上である。これによれば、大きな面積で実装面90を加熱できるため、内側パッケージ3の温度を効率良く均一化できる。
【0056】
また、振動素子6を発振させる発振回路としての第2回路素子8をさらに備え、第2回路素子8は、内側パッケージ3に収容され、端子部は、発振回路用の高電位側電源電圧が供給される端子83cと、発振回路用の低電位側電源電圧が供給される端子83fと、を含む。これによれば、温度制御素子7の電源ラインである端子83b,83eと、第2回路素子8の電源ラインである端子83c,83fとを、電気的に切り分けることができる。仮に、両者の電源ラインを同一とした場合には、ヒーターを含む温度制御素子7の消費電流の変化が大きいため、第2回路素子8の電源系にIRドロップが生じてクロック信号が不安定となる虞があったが、電源系を切り分けたことにより、クロック信号に影響が及ぶことはない。つまり、温度制御素子7の電源系が不安定になったとしても、その影響が第2回路素子8に及んで発振周波数を不安定にさせることを防止できる。
【0057】
また、第1伝熱配線85は、平面視で端子83bから実装面90の中央部側に延在している。これによれば、実装面90の中央側を第1伝熱配線85で覆い、実装面90を加熱できるため、内側パッケージ3の温度を効率良く均一化できる。換言すれば、実装面90の端に設けた場合に比べ、より温度ムラを低減できる。
【0058】
また、内側パッケージ3を収容する第2パッケージとしての外側パッケージ2を備え、内側パッケージ3は、実装面90と反対側の面が外側パッケージ2に接合され、端子83は、ボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続されている。
これによれば、内側パッケージ3は熱的に独立しているため、外側パッケージ2の影響を受けずに内側パッケージ3の温度を均一化できる。
【0059】
また、内側パッケージ3は、実装面90に設けられ、温度制御素子7の高電位側電源および低電位側電源の他方に接続された第2伝熱配線86と、を有する。
これによれば、実装面90には、中央部に2本の太い配線パターンである第1伝熱配線85と、第2伝熱配線86とが設けられる。第1伝熱配線85はヒーターVDD配線で、第2伝熱配線86はヒーターGND配線であり、温度制御素子7に接続している。
これにより、発熱源である温度制御素子7につながる配線である第1伝熱配線85、第2伝熱配線86を実装面90に引き出すことにより、温度制御素子7からの熱を伝達し、内側パッケージ3の温度をより効率的に均一にすることができる。
【0060】
また、端子部は、振動素子6を発振させて生成されたクロック信号が出力されるクロック信号出力端子である端子83dを含み、実装面90の平面視で、第2伝熱配線86は、端子83dの周囲に延在している。
これによれば、第2伝熱配線86により端子83dをシールドすることで、クロック信号のノイズを低減することができる。
【0061】
また、実装面90は、第1辺91と、第1辺91の対辺である第2辺92と、第1辺91および第2辺92と交差する第3辺93と、第3辺93の対辺である第4辺94と、を有し、端子部は、第1辺91および第2辺92に沿って設けられた複数の端子を含み、第1伝熱配線85は、第3辺93から第1辺91に向かって延在し、第2伝熱配線86は、第4辺94から第2辺92に向かって延在する。
これによれば、第1伝熱配線85、第2伝熱配線86を長く延在させることにより、温度ムラをより低減できる。加えて、ボンディングワイヤーによる接続を第1辺91側と、第2辺92側とに揃えることができる。
【0062】
また、内側パッケージ3を収容する外側パッケージ2を備え、第1伝熱配線85における第1辺91側の端子83bは、複数のボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続され、第2伝熱配線86における第2辺92側の端子83eは、複数のボンディングワイヤーBW2を介して外側パッケージ2に電気的に接続される。
これによれば、接着剤等の接合面積が広くなる部材ではなく、ボンディングワイヤーで接続することにより、熱の逃げを抑制し、内側パッケージ3を熱的に独立して温度管理できる。さらに、発振回路よりも大きな電流が必要なヒーターを含む温度制御素子7には、ボンディングワイヤーの配線本数を増やすことにより電流容量を大きくし、必要とする電流を供給することができる。
【0063】
実施形態2
***実装面における異なる配線態様***
図13は、実施形態2に係る実装面の一態様の平面図であり、図7に対応している。図14は、実装面の異なる態様の平面図であり、図7に対応している。
上記実施形態では、実装面90に第1伝熱配線85、第2伝熱配線86を設けるものとして説明したがこれに限定するものではなく、伝熱配線が設けられていれば良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0064】
図13に示すように、本実施形態の実装面190では、ヒーターGND配線である第2伝熱配線86が、実装面190の中央に大きくベタパターン状に設けられている。この点以外は、実施形態1での説明と同じである。
この構成であっても、発熱源である温度制御素子7につながる配線である第2伝熱配線86を実装面190に引き出すことにより、温度制御素子7からの熱を伝達し、内側パッケージ3の温度を均一にすることができる。さらに、第2伝熱配線86が大きなベタパターン状に設けられているため、より伝熱効率が高くなり、効率的に温度ムラを低減することができる。なお、第2伝熱配線86に替えて、ヒーターVDD配線である第1伝熱配線85をベタパターン化しても良く、この構成でも、同様の作用効果を得ることができる。よって、実装面190を備え、発振周波数の安定度が高い発振器100を提供することができる。
【0065】
図14に示すように、本実施形態の異なる態様の実装面191では、実装面191の略全面に、ベタパターンである第3伝熱配線89が設けられている。第3伝熱配線89は、電気的にはフローティング配線である。また、端子83と外側パッケージ2との接続は、ボンディングワイヤーではなく、内側ベース31の外側側壁のキャスタレーションにより行われる。端子83bは第3辺93の側面のキャスタレーションで、端子83eは第4辺94の側面のキャスタレーションで、外側パッケージ2との接続が取られる。
この構成によれば、熱伝導率の良い材料から構成された第3伝熱配線89が実装面191の略全面に形成されることにより、電気的にフローティングであっても、内側ベース31の温度を均一化する効果が得られる。よって、実装面191を備え、発振周波数の安定度が高い発振器100を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
2…外側パッケージ、3…内側パッケージ、4…第1回路素子、5…電圧制御型水晶発振器、6…振動素子、7…温度制御素子、8…第2回路素子、21…外側ベース、21a…上面、21b…下面、22…外側リッド、23…封止部材、25…内部配線、27…基板、28…壁部、29…脚部、31…内側ベース、31b…下面、32…内側リッド、33…封止部材、35…端子、41…温度制御用回路、42…PLL回路、43…出力バッファー回路、51…パッケージ、52…ベース、52a…上面、52b…下面、53…リッド、54…封止部材、55…振動素子、59…回路素子、61…水晶基板、71…温度センサー、72…発熱回路、73…複数の端子、73b…端子、73e…端子、81…発振回路、83…端子、83a~83f…端子、85…第1伝熱配線、86…第2伝熱配線、89…第3伝熱配線、90…実装面、91…第1辺、92…第2辺、93…第3辺、94…第4辺、99…実装面、100…発振器、190…実装面、191…実装面、200…外部装置、211…上側凹部、211a…第1上側凹部、211b…第2上側凹部、211c…第3上側凹部、212…下側凹部、241…端子、243…内部端子、244…外部端子、245…側面端子、311…凹部、311a…第1凹部、311b…第2凹部、311c…第3凹部、341…端子、342…端子、343…端子、421…第1位相比較器、422…第1ローパスフィルター、423…電圧制御型発振器、424…第1分周器、425…第2位相比較器、426…第2ローパスフィルター、427…第2分周器、521…凹部、521a…第1凹部、521b…第2凹部、521c…第3凹部、551…水晶基板、553a…励振電極、553b…パッド電極、553c…引出電極、561…内部端子、562…内部端子、564…外部端子、591…発振回路、621…励振電極、622…パッド電極、631…励振電極、632…パッド電極、B1…接合部材、B2…接合部材、B3…接合部材、B4…接合部材、BW1~BW6…ボンディングワイヤー、S2…外側収容空間、S3…内側収容空間、S5…収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14