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特開2024-152214エアーフィルタ・モジュールおよびエアーフィルタ装置
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  • 特開-エアーフィルタ・モジュールおよびエアーフィルタ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152214
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】エアーフィルタ・モジュールおよびエアーフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20241018BHJP
   F24F 7/003 20210101ALI20241018BHJP
   F24F 7/10 20060101ALI20241018BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20241018BHJP
   F24F 13/28 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F24F7/013 101L
F24F7/003
F24F7/10 Z
F24F7/013 101G
F24F7/013 101F
F24F13/02 Z
F24F13/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066271
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000111085
【氏名又は名称】ニッタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳男
【テーマコード(参考)】
3L080
【Fターム(参考)】
3L080AE04
3L080AE05
(57)【要約】
【課題】高い雨水浸入防止機能を有するガラリを用いて、少なくとも雨水浸入防止機能とエアーフィルタ機能とをコンパクトに1つにまとめ、省スペース化を図ったエアーフィルタ・モジュールおよびエアーフィルタ装置を提供する。
【解決手段】エアーが流れる上流側および下流側に開口を有する枠体を備えたエアーフィルタ・モジュールであって、枠体内は、上流側から下流側に向かって順に、少なくとも、雨水浸入防止用のガラリが収容・保持されるガラリ保持部と、エアーフィルタが収容・保持されるエアーフィルタ保持部と、に仕切られている。ガラリは、ガラリ保持部にある枠体の底板および天板にそれぞれ両端が取り付けられ、かつ枠体の両側板間に並設された複数の羽板を備え、ガラリ保持部にある枠体の前記底板には、水抜き穴が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーが流れる上流側および下流側に開口を有する枠体を備えたエアーフィルタ・モジュールであって、
前記枠体内は、前記上流側から前記下流側に向かって順に、少なくとも、
雨水浸入防止用のガラリが収容・保持されるガラリ保持部と、
エアーフィルタが収容・保持されるエアーフィルタ保持部と、に仕切られており、
前記ガラリは、前記ガラリ保持部にある前記枠体の底板および天板にそれぞれ両端が取り付けられ、かつ前記枠体の両側板間に並設された複数の羽板を備え、
前記ガラリ保持部にある前記枠体の前記底板には、水抜き穴が形成されている、エアーフィルタ・モジュール。
【請求項2】
前記エアーフィルタ保持部は、中性能フィルタが収容・保持される中性能フィルタ保持部を備える、請求項1に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項3】
防虫メッシュフィルタが収容・保持される防虫メッシュフィルタ保持部が、前記ガラリ保持部より前記下流側に設けられている、請求項1または2に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項4】
プレフィルタが収容・保持されるプレフィルタ保持部が、前記ガラリ保持部と前記防虫メッシュフィルタ保持部との間に介在している、請求項3に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項5】
前記ガラリは、開口率が60%以下である、請求項1または2に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項6】
前記羽板は、平面視において、L字形の本体と、該本体の両端部の少なくとも一方に形成された第1の返し片と、前記本体の折曲部またはその近傍から突出した第2の返し片と、を備え、L字形の前記本体は、前記ガラリ保持部内において、前記エアーの流れ方向に対して傾斜して配置されている、請求項1または2に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項7】
前記エアーフィルタ保持部が位置する前記枠体の天板は、前記エアーフィルタを前記エアーフィルタ保持部内に着脱するための開口と、該開口を塞ぐ上蓋とを備える、請求項1または2に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項8】
前記エアーフィルタ保持部および前記防虫メッシュフィルタ保持部が位置する前記枠体の天板は、前記エアーフィルタおよび/または前記防虫メッシュフィルタを前記エアーフィルタ保持部内に着脱するための開口と、該開口を塞ぐ上蓋とを備える、請求項3に記載のエアーフィルタ・モジュール。
【請求項9】
請求項1または2に記載のエアーフィルタ・モジュールと、該エアーフィルタ・モジュールが収容され、エアーが流れる上流側および下流側に開口を有するケーシングと、該ケーシングの底板に着脱自在に設けたドレンパンと、を備え、
前記エアーフィルタ・モジュールは、前記ケーシング内のエアー流路に設置されている、エアーフィルタ装置。
【請求項10】
前記エアーフィルタ・モジュールを、前記ケーシングの前記下流側にある開口枠に圧接するための圧接部材をさらに備える、請求項9に記載のエアーフィルタ装置。
【請求項11】
前記ケーシング内には、前記エアーフィルタ・モジュールを載置するレールが、前記エアーの流路に直交する水平方向に設けられており、前記ケーシングの側面は、前記エアーフィルタ・モジュールを取り出すための開口と、該開口を開閉するための扉とを備える、請求項9に記載のエアーフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水浸入防止用のガラリを有するエアーフィルタ・モジュール、および該エアーフィルタ・モジュールを備えたエアーフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空調機においては、図7に示すように、外気を室内に取り入れる建物の壁部100の外気取り入れ口101に、防雨フード102が取り付けられ、その下流側に、雨水浸入防止用のガラリ103、防虫メッシュフィルタ104、プレフィルタ105、中性能フィルタ106、および有圧扇107(有圧換気扇)がこの順で設置される。外気は、図7に矢印で示すように、防雨フード102から導入される。
上記ガラリ103はガラリ・ケーシング103Aに、防虫メッシュフィルタ104は防虫メッシュフィルタ・ケーシング104Aに、プレフィルタ105および中性能フィルタ106はエアーフィルタ・ケーシング106Aにそれぞれ収容されており、各ケーシング103A、104A、106Aはねじ止め等によって連結されている。ガラリ・ケーシング103Aの底部には、雨水を排出するためのドレンパン109が設けられている。
【0003】
しかし、台風や局地的豪雨等の場合、ガラリ103を通して雨水の浸入が激しくなる。そのため、エアーフィルタ・ケーシング106Aの内部にも雨水が浸入して、プレフィルタ105や中性能フィルタ106が濡れ、静圧が上昇し効率が低下するという問題がある。
特に、海に近い沿岸地区の場合、波しぶきによって巻き上げられた海水の微粒子が空調機内に浸入しやすい。そのため、塩分を含んだ水がケーシング103A、104A、106A内に溜まり続け、内部から錆を発生させる。ケーシング103A、104A、106Aに錆が発生すると、交換等のメンテナンスが必要になる。
【0004】
また、前記したように、ガラリ・ケーシング103A、防虫メッシュフィルタ・ケーシング104Aおよびエアーフィルタ・ケーシング106Aを連結すると、有圧扇107のスペースも含めて換気装置全体のスペースが大きくなる。
【0005】
特許文献1には、ファン等の排気用機械類を内部に配列し、先端にガラリを露出させた状態で格納したユニット(ガラリ、防虫網、消音器もしくはフィルタおよびファンからなる)をガイドレールによって排気口から挿脱可能にしたユニット式換気設備が記載されている。特許文献1は、ガラリのフランジが排気口の外周面に当接した状態でユニットを格納するものであり、雨水の浸入を防止するガラリは記載されていないので、雨水等の浸入による前記した問題がある。
一方、特許文献2には、囲枠内に複数個のルーバーを並列配置したルーバーユニットを備えたウェザールーバーが記載されているが、このようなウェザールーバーを用いた空調機全体の構成は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-257708号公報
【特許文献2】特開平8-196833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガラリによる雨水の浸入防止機能が充分でない場合は、エアーフィルタの性能を維持するために、図7に示すように、ガラリ103からプレフィルタ105および中性能フィルタ106をできるだけ離して設置する必要がある。そのため、装置が大型化するという課題がある。
【0008】
従って、本発明が解決しようとする課題は、高い雨水浸入防止機能を有するガラリを用いて、少なくとも雨水浸入防止機能とエアーフィルタ機能とをコンパクトに1つにまとめ、省スペース化を図ったエアーフィルタ・モジュールおよびエアーフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明のエアーフィルタ・モジュールは、エアーが流れる上流側および下流側に開口を有する枠体を備える。枠体内は、上流側から下流側に向かって順に、少なくとも、雨水浸入防止用のガラリが収容・保持されるガラリ保持部と、エアーフィルタが収容・保持されるエアーフィルタ保持部と、に仕切られている。ガラリは、ガラリ保持部にある枠体の底板および天板にそれぞれ両端が取り付けられ、かつガラリ保持部の両側板間に並設された複数の羽板を備える。ガラリ保持部にある枠体の底板には、水抜き穴が形成されている。
【0010】
本発明のエアーフィルタ装置は、上記のエアーフィルタ・モジュールと、該エアーフィルタ・モジュールが収容され、エアーが流れる上流側および下流側に開口を有するケーシングと、該ケーシングの底板に着脱自在に設けたドレンパンと、を備え、エアーフィルタ・モジュールは、ケーシング内のエアー流路に設置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のエアーフィルタ・モジュールは、雨水浸入防止機能を有するガラリを用いることにより、少なくとも雨水浸入防止機能とエアーフィルタ機能とをコンパクトにまとめて、モジュール化することにより、省スペース化が可能で、設置工事等も簡単になる。さらに、雨水でエアーフィルタが濡れる等のトラブルを回避できるので、エアーフィルタの性能も長期間維持することができ、省エネ化も可能になる。
また、エアーフィルタ・モジュールのガラリ保持部の底板には、水抜き穴が形成されているので、ガラリで捕捉した雨水を該水抜き穴からエアーフィルタ装置のケーシング内のドレンパンに導き、該ドレンパンより排出することができる。そのため、沿岸部で塩分を含む水が浸入しても、錆は水がたまるドレンパンかドレン配管に限られるので、例えば、ドレンパン等を取り外し可能にしておけば、メンテナンスも容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るエアーフィルタ装置を示す縦断面図である。
図2A】エアーフィルタ装置に収容されるエアーフィルタ・モジュールの一例を示す正面図である。
図2B図2Aに示すエアーフィルタ・モジュールのX-X線断面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるガラリを構成する羽板を分解した状態で示す平面図である。
図4】エアーフィルタ・モジュールの構造を示す部分断面図である。
図5図1に示すエアーフィルタ装置の使用状態を示す説明図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るエアーフィルタ装置を示す縦断面図である。
図7】従来のエアーフィルタ装置の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るエアーフィルタ・モジュールおよび該エアーフィルタ・モジュールを有するエアーフィルタ装置を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るエアーフィルタ装置1を示している。エアーフィルタ装置1は、ケーシング2と、該ケーシング2内に収容されエアーフィルタ・モジュール3とを備える。ケーシング2は、矢印で示す方向にエアーが流れるように上流側開口2aおよび下流側開口2bをそれぞれ有する。エアーフィルタ・モジュール3は、ケーシング2内のエアー流路(矢印で示す流路)に設置されている。
ケーシング2の底板には、ケーシング2内の雨水を受けるドレンパン4が着脱自在に設けられている。すなわち、ドレンパン4は、両側部が保持枠42、42によって、紙面に対して垂直方向にスライド自在に保持されており、ケーシング2から取り出し可能である。ケーシング2は、架台部22上に設置されている。
【0015】
エアーフィルタ・モジュール3は、ケーシング2内に設けたレール20上に走行可能に載置されている。レール20は、エアーの流路に直交する水平方向に設けられており、ケーシング2の側面は、エアーフィルタ・モジュール3を取り出すための開口(図示せず)と、該開口を開閉するための扉とを備える。
また、エアーフィルタ・モジュール3は、ケーシング2内に収容された状態で、上流側の上下に回転カム21(圧接部材)がそれぞれ設けられている。この回転カム21の軸を回転させることにより、エアーフィルタ・モジュール3をケーシング2の下流側開口2bの内側周縁に圧接させることができる。これにより、上流側開口2aからケーシング2内に導入されたエアーがエアーフィルタ・モジュール3を通過せずに下流側開口2bより室内側に漏洩するのを防止している。また、回転カム21の軸を回転させて、エアーフィルタ・モジュール3を圧接から開放することにより、前記したように、エアーフィルタ・モジュール3の取り出しが可能となる。
【0016】
エアーフィルタ・モジュール3は、エアーが流れる上流側および下流側にそれぞれ上流側開口5aおよび下流側開口5bを有する枠体5を備える。枠体5内は、前記上流側から前記下流側に向かって順に、ガラリ保持部61と、防虫メッシュフィルタ保持部71と、中性能フィルタ保持部81(エアーフィルタ保持部)とに仕切られている。
ガラリ保持部61は、雨水浸入防止用のガラリ6を収容・保持している。防虫メッシュフィルタ保持部71は、防虫メッシュフィルタ7を収容・保持している(図4参照)。中性能フィルタ保持部81は、中性能フィルタ8(エアーフィルタ)を収容・保持している。
【0017】
ガラリ6は、図2A、2Bに示すように、水が流れ落ちやすいように、タテ型の複数の羽板9から構成されている。各羽板9は長さ方向の両端に取付け板9aが形成されており、該取付け板9aによって枠体5の底板51および天板52にそれぞれビス止め等によって取り付けられている。複数の羽板9は、枠体5の両側板53、53間に並設されている。
【0018】
羽板9は、図3に示すように、平面視において、L字形の本体91と、該本体91の両端部に形成された第1の返し片92、92と、本体91の折曲部またはその近傍から突出した第2の返し片93とを備える。本体91に第1の返し片92、92および第2の返し片93を設けることにより、雨水が羽板9、9間を通過するのを阻止することができる。
第1の返し片92は、本体91の両端部のうち一方のみに形成されていてもよい。また、第2の返し片93は、本体91に溶接、ビス止め等によって取り付けられる。第1および第2の返し片92、93は、羽板9、9間の間隙を通る雨水を阻止する機能を有する。第1の返し片92、92を有する本体91および第2の返し片93には、例えば、アルミニウムの押出品を用いることができる。
【0019】
L字形の本体91は、ガラリ保持部61内において、矢印で示すエアーの流れ方向に対して傾斜して配置されているのが好ましい。エアーの流れ方向(図3に示す矢印A)に対する本体91の傾斜角度αは、ガラリ6の開口率に応じて決定すればよい。
本発明では、ガラリ6の開口率が60%以下、好ましくは40%以下であるのがよい。ガラリ6の開口率が60%以下であれば、雨水の浸入を抑制して、中性能フィルタ8が雨水で濡れて性能が低下するのを防止することができる。
ここで、開口率とは、換気有効面積とも呼ばれ、ガラリ6において、エアーの通る面積をいう。具体的には、開口率は下記式から求めることができる。
開口率={ガラリ6の開口面積L/枠体5の開口面積M}×100
ここで、ガラリ6の開口面積Lは、(ガラリ6の側部開口面積L1)+(ガラリ6の開口面積L2)から求めることができる。
ガラリ6の側部開口面積L1=w1×H
ガラリ6の開口面積L2=w2×H
w1:ガラリ6の側部開口の幅(図2B参照)
w2:第1の返し片92および第2の返し片93を含む羽板9、9間の最小間隙幅(図2B参照)
H:枠体5の上流側開口5aの高さ(図2A参照)
枠体5の開口面積M=W×H
W:枠体5の上流側開口5aの幅(図2A参照)
H:枠体5の上流側開口5aの高さ(図2A参照)
なお、ガラリ6の側部開口は、図2Bでは、一方の側部のみを幅w1で示しているが、両側部に開口があってもよく、その場合は両方の開口面積を合計すればよい。
【0020】
図2Bに示すように、ガラリ保持部61にある枠体5の底板51には、水抜き穴10が形成されている。ガラリ6によって浸入を阻止された雨水は、羽板9を伝って下方に流れ落ち、水抜き穴10からケーシング2内に排出され、ドレンパン4に流れ落ちてドレン口41より外部に排出される。
【0021】
ガラリ保持部61の下流側には第1の仕切り枠11が設けられ、この第1の仕切り枠11を介して防虫メッシュフィルタ保持部71が仕切られ、さらにその下流側に第2の仕切り枠12を介して中性能フィルタ保持部81が仕切られている。
【0022】
図4は、エアーフィルタ・モジュール3の構造を示す部分断面図である。なお、図4では、ガラリ保持部61に取り付けられるガラリ6は省略している。
図4に示すように、エアーフィルタ・モジュール3の枠体5は、前記したように、エアーが流れる上流側開口5aおよび下流側開口5bを有すると共に、ガラリ保持部61にある底板51には水抜き穴10が形成されている。また、防虫メッシュフィルタ保持部71および中性能フィルタ保持部81にある枠体5の天板52には、防虫メッシュフィルタ7および中性能フィルタ8を交換等のために枠体5から着脱するための開口13が形成されている。
【0023】
ガラリ保持部61と防虫メッシュフィルタ保持部71との間には第1の仕切り枠11が介在している。この第1の仕切り枠11の下端部と上流側開口5aの下端部とが底板51から立ち上がっているので、その間がガラリ6から流れ落ちた雨水を一時的にためる雨水受け部14となる。雨水受け部14にたまった雨水は、水抜き穴10から連続的に排出される。これにより、ガラリ6から流れ落ちた雨水が防虫メッシュフィルタ保持部71に流れ出るのを防止している。
【0024】
次に、防虫メッシュフィルタ7および防虫メッシュフィルタ保持部71について説明する。防虫メッシュフィルタ7は、所定の防虫網を枠体7a内に張設したものである。防虫メッシュフィルタ7は、天板52の開口13から防虫メッシュフィルタ保持部71内に挿入される。
防虫メッシュフィルタ保持部71では、第1の仕切り枠11の周面にエアー漏れや虫の侵入を防ぐための第1のガスケット15が接着等によって取り付けられており、次に述べるようにして、防虫メッシュフィルタ7の枠体7aが第1のガスケット15を介して第1の仕切り枠11の周面に圧接される。
【0025】
防虫メッシュフィルタ7の枠体7aを第1の仕切り枠11の周面に圧接させるために、防虫メッシュフィルタ保持部71は、上から下に向かって間隙が順次小さくなるように傾斜面となっており、底板51近くでは、間隙が防虫メッシュフィルタ7の枠体7aの厚さとほぼ等しくなるように構成されている。すなわち、図4に示すように、防虫メッシュフィルタ7と対面する第2の仕切り枠12は斜面状に形成されている。
【0026】
防虫メッシュフィルタ保持部71の上部には、防虫メッシュフィルタ7を第1の仕切り枠11に圧接するための押圧部材23が設けられている。この押圧部材23は、第2の仕切り枠12の上部に水平姿勢で螺合したねじ棒23aと、このねじ棒23aに固定された円板状の操作部23bとを備え、操作部23bを手で回転させることによってねじ棒23aを第1の仕切り枠11に向かって進行させ、防虫メッシュフィルタ7の上部を第1の仕切り枠11に圧接する。
【0027】
これにより、防虫メッシュフィルタ7の下部は、第1の仕切り枠11と第2の仕切り枠12との間に挟着されていることと相まって、防虫メッシュフィルタ7の枠体7a全体を第1のガスケット15を介して第1の仕切り枠11に圧接することができる。
なお、押圧部材23としては、上記以外に、例えば、くさびであってもよく、このくさびを枠体5の開口13より防虫メッシュフィルタ7と第2の仕切り枠12との間隙に圧入させるようにしてもよい。
【0028】
次に、中性能フィルタ8および中性能フィルタ保持部81について説明する。中性能フィルタ保持部81は、第2の仕切り枠12と第3の仕切り枠16とによって仕切られた空間である、第3の仕切り枠16は、枠体5の下流側開口5bの内側周縁に配置されている。下流側開口5bの外側周縁には第2のガスケット24が接着等によって取り付けられている。中性能フィルタ8は、枠体5の開口13より中性能フィルタ保持部81内に収容される。
【0029】
防虫メッシュフィルタ7および中性能フィルタ8を収容した後、枠体5の開口13は上蓋17で塞がれ、ビス18によって固定される。長期間の使用によって防虫メッシュフィルタ7および/または中性能フィルタ8を交換する場合は、上蓋17をエアーフィルタ・モジュール3の枠体5から取り外して、防虫メッシュフィルタ7および/または中性能フィルタ8を交換する。
【0030】
このようにして防虫メッシュフィルタ7および中性能フィルタ8を収容したエアーフィルタ・モジュール3は、図1に示すように、ケーシング2内にレール20によって収容され、回転カム21でケーシング2の下流側開口5bの内側周縁に第2のガスケット24を介して圧接されて固定される。
なお、ケーシング2、枠体5、ドレンパン4は、錆にくい材質、例えばステンレス、アルミニウム、樹脂等であるのがよい。
【0031】
図5は、本実施形態のエアーフィルタ装置1の使用状態の一例を示している。図5に示すように、ケーシング2の上流側開口2aには防雨フード31が取り付けられ、下流側開口2bには有圧扇32(有圧換気扇)が取り付けられる。防雨フード31は、建物の壁部100の外気取り入れ口101に取り付けられる。外気であるエアーは、有圧扇32の作動により矢印で示すように防雨フード31内に導入され、エアーフィルタ装置1および有圧扇32を経て室内に送られる。
【0032】
以上のように、本実施形態では、台風や局地的豪雨等の場合でも、エアーフィルタ・モジュール3の前面に設けたガラリ6によって雨水の浸入を防止することができるので、中性能フィルタ8が濡れて性能が低下するのを防止することができ、省エネ化が可能となる。すなわち、中性能フィルタ8が濡れると、それに伴い中性能フィルタ8の圧損が上昇し風量が低下してしまう。そのため、風量を維持するために有圧扇32の回転数を上昇させることで有圧扇32の消費電力が増大する。
また、ガラリ6、防虫メッシュフィルタ7および中性能フィルタ8をエアーフィルタ・モジュール3内にコンパクトに収容することができ、省スペース化を図ることができる。
ガラリ6から流れ落ちた雨水は、ガラリ保持部61の底部にある水抜き穴10からケーシング2へ排出され、ケーシング2の底板に設けたドレンパン4に集められ、速やかに外部に排出される。そのため、例えば塩分を含んだ雨水が長期間溜まり続けることにより、ケーシング2に錆が発生するのを防止することができ、メンテナンスが容易になり、製品の長寿命化にもつながる。
また、防虫メッシュフィルタ7によって、虫などの異物が室内に侵入するリスクを低減することができる。
【0033】
次に、本発明の他の実施形態を図6に基づいて説明する。図6に示すエアーフィルタ装置1´は、エアーフィルタ・モジュール3´内のガラリ保持部61´と防虫メッシュフィルタ保持部71´との間にプレフィルタ保持部30が仕切り枠で仕切られて形成されており、該プレフィルタ保持部30内にプレフィルタ(図示せず)が収容・保持されている。プレフィルタは、防虫メッシュフィルタ7や中性能フィルタ8と同様に、枠体5上部の上蓋17を取り外して交換可能である。
その他は前述の実施形態と同じであるので、同一の構成部材には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更や改善が可能である。上記実施形態では、エアーフィルタとして中性能フィルタ8(MEPAフィルタ)を使用したが、中性能フィルタ保持部81内の中性能フィルタ8の前面にプレフィルタを配置してもよく、また中高性能フィルタに代えて、超高性能フィルタ(ULPAフィルタ)や高性能フィルタ(HEPAフィルタ)、さらにケミカルフィルタ等を使用してもよい。
また、例えば、エアーフィルタ・モジュール3内の防虫メッシュフィルタ7および防虫メッシュフィルタ保持部71は、必要に応じて省略してもよい。その場合には、開口13は、主として中性能フィルタ8を交換するための開口となる。
さらに、中性能フィルタ8等を交換するために枠体5の天板52に開口13を設けたが、開口13は、枠体5の側板53に設けて蓋で塞ぐようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 エアーフィルタ装置
2 ケーシング
2a 上流側開口
2b 下流側開口
3、3´ エアーフィルタ・モジュール
4 ドレンパン
41 ドレン口
5 枠体
5a 上流側開口
5b 下流側開口
51 底板
52 天板
53 側板
6 ガラリ
61、61´ ガラリ保持部
7 防虫メッシュフィルタ
7a 枠体
71、71´ 防虫メッシュフィルタ保持部
8 中性能フィルタ(エアーフィルタ)
81 中性能フィルタ保持部(エアーフィルタ保持部)
9 羽板
9a 取付け板
91 本体
92 第1の返し片
93 第2の返し片
10 水抜き穴
11 第1の仕切り枠
12 第2の仕切り枠
13 開口
14 雨水受け部
15 第1のガスケット
16 第3の仕切り枠
17 上蓋
18 ビス
20 レール
21 回転カム(圧接部材)
22 架台部
23 押圧部材
23a ねじ棒
23b 操作部
24 第2のガスケット
30 プレフィルタ保持部
31 防雨フード
32 有圧扇
100 壁部
101 外気取り入れ口
102 防雨フード
103 ガラリ
103A ガラリ・ケーシング
104 防虫メッシュフィルタ
104A 防虫メッシュフィルタ・ケーシング
105 プレフィルタ
106 中性能フィルタ
106A エアーフィルタ・ケーシング
107 有圧扇
109 ドレンパン
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7