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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152229
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ユニットクーラ
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/22 20060101AFI20241018BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F24F1/02 371C
F24F13/20 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066293
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】山本 健治
(72)【発明者】
【氏名】榊原 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小川 博道
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 亮太
(72)【発明者】
【氏名】窪田 駿
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050AA05
3L050BD05
(57)【要約】
【課題】冷風をハウジングの外部に供給可能であるとともに、蒸発器に結露水が生じた場合でも、冷風の温度をより下げることができ、かつ冷房能力を有効活用できるユニットクーラを提供する。
【解決手段】本発明のユニットクーラ1では、空調部300は、電動圧縮機301、凝縮器302、減圧装置303、蒸発器305、凝縮器302に送風を行う第1ファン308、及び、蒸発器305に送風を行う第2ファン309、を有する。ハウジング100は、蒸発器305で生じた結露水を蒸発器305から凝縮器302に向けて案内する排水路11iを有する。排水路11i内の結露水で凝縮器302を冷却する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、冷凍サイクルを構成し、空気を冷却して前記ハウジングの外部に供給する空調部と、を備え、
前記空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、前記凝縮器に送風を行う第1ファン、及び、前記蒸発器に送風を行う第2ファン、を有し、
前記ハウジングは、前記蒸発器で生じた結露水を前記蒸発器から前記凝縮器に向けて案内する排水路を有し、
前記排水路内の前記結露水で前記凝縮器を冷却することを特徴とするユニットクーラ。
【請求項2】
前記第1ファンは、前記排水路内の前記結露水を前記凝縮器に供給する請求項1記載のユニットクーラ。
【請求項3】
前記第1ファンと前記排水路との距離は、前記第2ファンと前記排水路との距離よりも近い請求項2記載のユニットクーラ。
【請求項4】
前記凝縮器には連続気泡の多孔質体が当接しており、
前記多孔質体は、前記排水路内の前記結露水を吸水し、吸水した前記結露水を前記凝縮器に供給する請求項1記載のユニットクーラ。
【請求項5】
前記ハウジングは、
前記空調部が搭載され、前記結露水が排出される貫通孔が貫設されたベースプレートと、
前記ベースプレートの下方に設けられ、前記ベースプレートの外周部において、防振性を有する複数の締結部材で締結されるアンダーカバーと、を有し、
前記排水路は、前記蒸発器の下方から前記凝縮器の下方に向けて前記アンダーカバーに凹設され、
前記貫通孔は、前記排水路に向けて開口している請求項2又は4記載のユニットクーラ。
【請求項6】
前記アンダーカバーは、前記ベースプレートと締結される外周部から前記排水路に向けて前記結露水が案内されるように傾斜する傾斜面を有している請求項5記載のユニットクーラ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記第1ファン及び前記第2ファンによって前記ハウジングの内部に外気を取り入れる吸入口と、前記第1ファンからの送風によって前記凝縮器から前記ハウジングの外部へ排熱を行う排熱口と、前記第2ファンからの送風によって前記蒸発器から前記ハウジングの外部へ冷風を供給する冷風口と、を有し、
前記蒸発器は、前記アンダーカバーと前記トップカバーとの間に設けられ、かつ、前記第2ファンによって内圧が高められ、前記冷風口が開口する高圧室を前記アンダーカバーと前記トップカバーとともに区画し、
前記排水路は、前記高圧室と連通している請求項7記載のユニットクーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユニットクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のユニットクーラが開示されている。このユニットクーラは、電源を有するフォークリフト等の産業車両に用いられる。
【0003】
このユニットクーラは、特許文献1によれば、ハウジングと、ハウジングに収容された空調部とを備えている。空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器及び制御装置を有し、冷凍サイクルを構成している。蒸発器には吹出ダクトが設けられている。ハウジングは、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器を収納する第1カバーと、制御装置を収納する第2カバーと、取付板と、平板とを有している。取付板上には、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器を収納した第1カバーと、制御装置を収納した第2カバーとがボルトによって固定されている。平板は産業車両にボルトで固定される。取付板は、平板との間に防振ゴムが設けられ、取付板、防振ゴム及び平板の三者がボルトによって固定されている。
【0004】
このユニットクーラは、例えば、振動を低減する手段を乗用車程には有していない産業車両において、空調部の電動圧縮機が電源によって作動して空気を冷却し、その冷風を吹出ダクトからハウジングの外部に供給する。この間、防振ゴムは、産業車両における走行中や作業中の振動が第1カバー内の電動圧縮機等や第2カバー内の制御装置に伝達することを抑制し、これらの故障を低減する。また、防振ゴムは、電動圧縮機の振動を吸収し、静粛性にも貢献できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-83464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来のユニットクーラでは、蒸発器に結露水が発生すると、その潜熱によって冷風の温度が下がり難い。また、低温の結露水をそのまま外部に排出してしまうと、冷房能力を有効活用できない。湿度が高い場合には、結露水がより発生し易く、これらの不具合が顕著なる。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、冷風をハウジングの外部に供給可能であるとともに、蒸発器に結露水が生じた場合でも、冷風の温度をより下げることができ、かつ冷房能力を有効活用できるユニットクーラを提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のユニットクーラは、ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、冷凍サイクルを構成し、空気を冷却して前記ハウジングの外部に供給する空調部と、を備え、
前記空調部は、電動圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器、前記凝縮器に送風を行う第1ファン、及び、前記蒸発器に送風を行う第2ファン、を有し、
前記ハウジングは、前記蒸発器で生じた結露水を前記蒸発器から前記凝縮器に向けて案内する排水路を有し、
前記排水路内の前記結露水で前記凝縮器を冷却することを特徴とする。
【0009】
本発明のユニットクーラでは、空調部が冷凍サイクルを構成し、空気を冷却してハウジングの外部に供給する。
【0010】
また、このユニットクーラでは、ハウジングの排水路が蒸発器で生じた結露水を蒸発器から凝縮器に向けて案内する。そして、排水路内の結露水で凝縮器を冷却する。このため、この際、凝縮器による冷媒の凝縮に結露水の気化熱を付加するため、凝縮器による放熱量が多くなり、蒸発器によって冷風をより低温にすることが可能になる。また、このユニットクーラでは、低温の結露水が凝縮器を直に冷やし、凝縮器の放熱に有効に活用している。
【0011】
したがって、本発明のユニットクーラによれば、冷風をハウジングの外部に供給可能であるとともに、蒸発器に結露水が生じた場合でも、冷風の温度をより下げることができ、かつ冷房能力を有効活用できる。
【0012】
第1ファンは、排水路内の結露水を凝縮器に供給することが好ましい。この場合、排水路内の結露水を凝縮器に供給するための特別な装置や部材が不要となり、部品点数の削減によってユニットクーラの製造コストを低減できる。
【0013】
第1ファンと排水路との距離は、第2ファンと排水路との距離よりも近いことが好ましい。例えば、こうすることによって第1ファンによって排水路内の結露水を凝縮器に供給することができる。
【0014】
凝縮器には連続気泡の多孔質体が当接し得る。この多孔質体は、排水路内の結露水を吸水し、吸水した結露水を凝縮器に供給することが好ましい。この場合、簡易な多孔質体によって本発明の作用効果を生じさせることができる。
【0015】
ハウジングは、空調部が搭載され、結露水が排出される貫通孔が貫設されたベースプレートと、ベースプレートの下方に設けられ、ベースプレートの外周部において、防振性を有する複数の締結部材で締結されるアンダーカバーと、を有し得る。排水路は、蒸発器の下方から凝縮器の下方に向けてアンダーカバーに凹設され得る。貫通孔は、排水路に向けて開口していることが好ましい。この場合、蒸発器で生じた結露水を容易に凝縮器に供給することができる。
【0016】
アンダーカバーは、ベースプレートと締結される外周部から排水路に向けて結露水が案内されるように傾斜する傾斜面を有していることが好ましい。この場合、結露水が傾斜面によって排水路に集合し易く、本発明の作用効果が生じやすい。
【0017】
ハウジングは、第1ファン及び第2ファンによってハウジングの内部に外気を取り入れる吸入口と、第1ファンからの送風によって凝縮器からハウジングの外部へ排熱を行う排熱口と、第2ファンからの送風によって蒸発器からハウジングの外部へ冷風を供給する冷風口と、を有し得る。蒸発器は、アンダーカバーとトップカバーとの間に設けられ、かつ、第2ファンによって内圧が高められ、冷風口が開口する高圧室をアンダーカバーとトップカバーとともに区画し得る。排水路は、高圧室と連通していることが好ましい。この場合、高圧室の内圧によって結露水を凝縮器に供給することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明のユニットクーラによれば、冷風をハウジングの外部に供給可能であるとともに、蒸発器に結露水が生じた場合でも、冷風の温度をより下げることができ、かつ冷房能力を有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施例1のユニットクーラを搭載したフォークリフトの側面図である。
図2図2は、実施例1のユニットクーラの分解斜視図である。
図3図3は、実施例1のユニットクーラに係り、トップカバー及びトッププレートを外した状態の平面図である。
図4図4は、実施例1のユニットクーラに係り、アンダーカバーの平面図である。
図5図5は、実施例1のユニットクーラに係り、構造体、アンダーカバー、アンダーレール等の断面図である。
図6図6は、実施例1のユニットクーラに係り、構造体及びアンダーカバーの他の方向でも断面図である。
図7図7は、実施例1のユニットクーラに係り、第3ケースの斜視図である。
図8図8は、実施例1のユニットクーラに係り、第3ケース及び第4ケースの断面図である。
図9図9は、実施例1のユニットクーラに係り、締結部材の断面図である。
図10図10は、実施例1のユニットクーラに係り、フォークリフトへの取付部分の拡大断面図である。
図11図11は、実施例1のユニットクーラに係り、配管を省略したユニットクーラの断面図である。
図12図12は、実施例1のユニットクーラに係り、凝縮器の拡大断面図である。
図13図13は、実施例2のユニットクーラに係り、配管を省略したユニットクーラの断面図である。
図14図14は、実施例3のユニットクーラに係り、配管を省略したユニットクーラの断面図である。
図15図15は、他のフォークリフトに係り、ヘッドガードと実施例1~3のユニットクーラとの平面図である。
図16図16は、図15のフォークリフトのヘッドガード及びユニットクーラを前方から見た斜視図である。
図17図17は、実施例1~3のユニットクーラの搭載位置を変更した場合の図15と同様の平面図である。
図18図18は、実施例1~3のユニットクーラの搭載位置をさらに変更した場合の図14と同様の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1のユニットクーラ1は、産業車両であるリーチタイプの電動フォークリフト3のヘッドガード3a上に固定されている。フォークリフト3は、電源であるバッテリ3bを有しており、運転者Mの操作によってバッテリ3bから供給される電力で走行するとともに荷役作業を行う。
【0022】
このユニットクーラ1は、図2に示すように、ハウジング100と、空調部300と、冷風案内部500とを備えている。ハウジング100は、アンダーカバー101、ベースプレート102、トッププレート103及びトップカバー104を有している。
【0023】
アンダーカバー101は金属製である。アンダーカバー101は、長方形状の底板101aと、底板101aの4辺からそれぞれ上方に立ち上がって互いに繋がった周壁101bとを有している。底板101aには、図4に示すように、6個のボルト穴11a~11fと、2個の冷風口11g、11hとが貫設されている。図4において、各ボルト穴11a~11fは底板101aの中央から左域に一方の長辺に沿って3個、他方の長辺に沿って3個設けられ、各冷風口11g、11hは底板101aの右域に上下で設けられている。一方の長辺に沿った3個の各ボルト穴11a~11cの間隔は等しく、他方の長辺に沿った3個の各ボルト穴11d~11fの間隔も等しい。なお、ボルト穴11bがボルト穴11a又はボルト穴11cの一方に偏り、ボルト穴11eがボルト穴11d又はボルト穴11fの一方に偏っていても良い。
【0024】
底板101aには、短辺の中間から長辺と平行に延びる排水溝11iが両端まで延びて形成されている。排水溝11iは、底板101aの一部が樋形状に形成されている。また、図5に示すように、底板101aの上面は排水溝11iに向かって下り傾斜する傾斜面11pとされている。排水溝11iが排水路に相当する。排水溝11iの両端には周壁101bを貫通するパイプ11m、11qが設けられている。図3に示すように、パイプ11m、11qには邪魔にならずに外部に繋がるドレンホース11n、11rが接続されている。なお、パイプ11m、11qを排水溝11iの底壁に設けてもよい。
【0025】
ベースプレート102は金属製である。図2に示すように、ベースプレート102は、アンダーカバー101の底板101aより長辺が短い長方形状の平板である。ベースプレート102には、アンダーカバー101のボルト穴11a~11fと整合する6個のボルト穴12a~12fが貫設されている。図3において、各ボルト穴12a~12fは、長辺に沿って3個、他方の長辺に沿って3個設けられている。
【0026】
また、図3及び図4に示すように、ベースプレート102のほぼ中央には貫通孔12gが貫設されている。貫通孔12gは、貫通孔12gの周囲に存在する4個のボルト穴11b、12b、11c、12c、11e、12e、11f、12fの対角線の交点上に位置し、ボルト穴11b、12b、11c、12c、11e、12e、11f、12fから等しく離隔している。図4~6に示すように、貫通孔12gの下方にはアンダーカバー101の排水溝11iが位置している。ベースプレート102には、図示はしないが、後述する第1ケース106、電動圧縮機301、アキュムレータ304、第2ケース107及び第3ケース108を固定するための複数のボルト穴が貫設されている。
【0027】
トッププレート103は金属製である。図2に示すように、トッププレート103も長方形状の平板である。トッププレート103は、ベースプレート102のようなボルト穴12a~12fは貫設されていない。トッププレート103には、図示はしないが、後述する第1ケース106及び第2ケース107を固定するための複数のボルト穴が貫設されている。
【0028】
トップカバー104は金属製である。トップカバー104は、長方形状の天板104aと、天板104aの一端から下方に傾斜した傾斜板104cと、天板104aの3辺及び傾斜板104cの3辺からそれぞれ下方に延びて互いに繋がった周壁104bとを有している。天板104aは、アンダーカバー101の底板101aよりトップカバー104の肉厚分だけ大きい。トップカバー104は、アンダーカバー101に図示しないボルトによって固定できるようになっている。
【0029】
トップカバー104の周壁104bには、天板104aの一つの長辺側に位置する2個の吸入口13a、13bと、天板104aの一つの短辺側に位置し、吸入口13aに隣り合う排熱口13cと、が形成されている。吸入口13a、13bには第1フィルタ110及び第2フィルタ111が取り付けられるようになっている。排熱口13cは、天板104aにおける傾斜板104cとは逆側に位置している。
【0030】
第1フィルタ110は、トップカバー104の周壁104bに固定される第1フレーム110aと、金属メッシュ110bとからなる。第1フレーム110aは、吸入口13a、13bと整合する2個の開口が貫設されている。金属メッシュ110bは両開口を覆うように第1フレーム110aに固定されている。
【0031】
第2フィルタ111は、トップカバー104の周壁104bに固定される第2フレーム111aと、スポンジ111bとからなる。第2フレーム111aにも、吸入口13a、13bと整合する2個の開口が貫設されている。スポンジ111bは両開口を覆うように第2フレーム111aに着脱可能に設けられている。第1、2フィルタ110、111もハウジング100の一部である。
【0032】
空調部300は、電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、アキュムレータ304、蒸発器305及び制御装置306を有している。膨張弁303が減圧装置に相当する。図3に示すように、電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、蒸発器305及びアキュムレータ304は配管307によってこの順で接続され、これらで冷媒を循環させる冷凍サイクルを構成している。凝縮器302及び蒸発器305は同一形状の直方体である。凝縮器302の電動圧縮機301側には第1ファン308が設けられており、蒸発器305のアキュムレータ304側には第2ファン309が設けられている。蒸発器305の電動圧縮機301側には第2ファンが設けられている。第1ファン308及び第2ファン309も空調部300である。ベースプレート102の貫通孔12gは第2ファン309の手前に位置している。第1ファン308と排水溝11iとの距離は、第2ファン309と排水溝11iとの距離よりも近い。
【0033】
制御装置306にはハーネス306aが設けられている。ハーネス306aの電源コードはアンダーカバー101の裏側を経てフォークリフト3のバッテリ3bに接続されるようになっている。制御装置306はベースプレート102上に固定できるようになっている。
【0034】
ハーネス306aの図示しない第1接続コードは電動圧縮機301に接続されており、電動圧縮機301は制御装置306によって作動して冷媒を空調部300内で循環する。ハーネス306aの図示しない第2接続コードは第1ファン308に接続されており、ハーネス306aの図示しない第3接続コードは第2ファン309に接続されている。外気は、制御装置306によって作動する第1ファン308及び第2ファン309によって、第1、2フィルタ110、111を経て吸入口13a、13bからトップカバー104内に吸引される。第1ファン308はトップカバー104内の外気を凝縮器302に供給する。第2ファン309はトップカバー104内の外気を蒸発器305に供給する。
【0035】
図2に示すように、第1ケース106には凝縮器302が固定される。第1ケース106には第1ファン308が収納される。第2ケース107には蒸発器305が固定される。第2ケース107には第2ファン309が収納されている。第1ケース106及び第2ケース107はファンシュラウドを構成している。第1~3ケース106~108は直方体形状をなしている。第1ケース106及び第2ケース107は、第3ケース108よりも小さく、同一形状である。第1~3ケース106~108もハウジング100の一部に相当する。第1ケース106は金属製である。第2ケース107は金属製である。第1ケース106と第2ケース107は、例えばステンレスである。
【0036】
図3及び図4に示すように、第1ファン308を収納した第1ケース106、電動圧縮機301、アキュムレータ304、第2ファン309を収納した第2ケース107及び制御装置306は、図示しないボルト等によってベースプレート102の上面に固定される。
【0037】
ここで、熱交換容量の関係上、図6に示すように、凝縮器302は、ベースプレート102よりも外側に突出している。また、蒸発器305も、ベースプレート102よりも外側、かつ、凝縮器302の突出方向とは反対方向に突出している。このため、蒸発器305の外周面には第3ケース108を設け、凝縮器302の外周面には第4ケース117を設ける。
【0038】
第3、4ケース108、117には、図7に示すように、蒸発器305又は凝縮器302が嵌合される嵌合穴108dが形成されている。この第3、4ケース108、117は、図8に示すように、所定の断熱性を有する第1層108aと、第1層108aと蒸発器305又は凝縮器302との間に設けられる第2層108bと、第1層108aとアンダーカバー101との間及びトップカバー104との間に設けられる第3層108cとからなる。
【0039】
図7に示すように、第1層108aには、第3、4ケース108、117の変形を許容する2個の溝部108e、108fが上下方向に直列に形成されている。また、第3、4ケース108、117の底壁には、蒸発器305又は凝縮器302の幅方向の両端を露出させる2個の切欠き108g、108hが形成されている。さらに、第3、4ケース108、117の底壁の下面はアンダーカバー101の傾斜面11pと整合する傾斜面108pとされており、傾斜面108pの中央にはアンダーカバー101の排水溝11iの内面と整合する凸部108iが形成されている。
【0040】
第1層108aは無数のポリアミド発泡ビーズが固着されたものである。第2層108b及び第3層108cは密度の異なるスポンジからなる。第1~3層108a~108cが連続気泡の多孔質体に相当する。衝突緩和部材108は、第1層108aによって耐熱性、難燃性及び自己消火性を有している。
【0041】
第4ケース117は第3ケース108と面対称に成形されている。凝縮器302は、図12に示すように、ケース302aと、ケース302a内に設けられて冷媒を循環させる複数本のチューブ302bと、各チューブ302b間に設けられた放熱フィン302cとを有している。ケース302aの上壁には無数の挿通孔302dが貫設されている。第4ケース117の第1~3層108a~108cは各挿通孔302dに吸水した結露水を滴り落とすことができるようになっている。
【0042】
電動圧縮機301、凝縮器302、膨張弁303、アキュムレータ304及び蒸発器305が配管307によって接続され、これらには冷媒が封入される。また、トッププレート103が図示しないボルト等によって第1ケース106及び第2ケース107に固定される。こうして、図5及び図6に示すように、ベースプレート102、トッププレート103及び空調部300が一体となった構造体200が得られる。
【0043】
図2に示すように、冷風案内部500は、トップカバー104の内面、特に傾斜面104cの内面と、アンダーカバー101の2個の冷風口11g、11hと、2個のシェード501と、2個のパンカールーバ502とからなる。シェード501は、蒸発器305を収納した第3ケース108と対面できるように、アンダーカバー101の各冷風口11g、11h周りにパンカールーバ502とともにボルトによって固定される。
【0044】
シェード501は、円筒状をなして上下の軸方向に延びる円筒部501aと、軸方向の上方側で円筒部501aと一体の円弧状をなす庇部501bとを有している。庇部501bの外面は、蒸発器305と対面しており、蒸発器305から送風される冷風を衝突させて円筒部501a内に迂回させるようになっている。
【0045】
パンカールーバ502は、各シェード501の円筒部501aにおける軸方向の下方側に設けられている。各パンカールーバ502は、その吹出口を回動させて運転者に冷風を送風できるようになっている。
【0046】
蒸発器305はアンダーカバー101とトップカバー104とともに高圧室Hpを区画している。高圧室Hpは冷風口11g、11hが開口しているが、第2ファン309によって内圧が高められる。第3ケース108は蒸発器305とアンダーカバー101及びトップカバー104との隙間を埋めていることから、高圧室Hpから内圧が構造体200側に漏れることを防止している。
【0047】
ユニットクーラ1は、締結手段700によって組み付けられているとともに、フォークリフト3に固定される。締結手段700は、6個の締結部材701a~701fと、2本の断面コ字形状のアンダーレール702と、複数本のボルト703と、複数個のナット704とを有している。
【0048】
締結部材701a~701fは、図9に示すように、第1部材21と第2部材22と中間部材23とからなる。第1部材21は、円板状の円板部21aと、円板部21aの中心から円板部21aと一体に円板部21aから垂直をなす軸方向に延びる雄ネジ部21bとからなる。第2部材22は、円板状の円板部22aと、円板部22aの中心から円板部22aと一体に雄ネジ部21bと同じ方向に延び、内部に雌ネジ部22bが形成されたボス部22cとからなる。中間部材23は、絶縁性及び防振性を有する天然ゴムからなる。中間部材23は、第1部材21の円板部21aと第2部材22の円板部22a及びボス部22cとを接続している。中間部材23が絶縁部材に相当する。
【0049】
図2に示すように、アンダーレール702は、上板31と、下板33と、上板31と下板33とを接続する側板32とからなる。上板31には、アンダーカバー101の底板101aのボルト穴11a~11fと整合する3個のボルト穴31aが貫設されている。図5に示すように、上板31はアンダーカバー101の底板101aと同様に傾斜している。また、アンダーカバー101は、一対のアンダーレール702によってフォークリフト3のヘッドガード3aから持ち上げられており、アンダーカバー101の排水溝11iがヘッドガード3aに干渉しないようになっている。
【0050】
図10に示すように、フォークリフト3のヘッドガード3aには、適数個のボルト穴41aが上下に貫設されている。アンダーレール702の下板33には、ヘッドガード3aのボルト穴41aと整合するボルト穴33aが貫設されている。図5に示すように、ハーネス306aは、アンダーカバー101の裏側において、制御装置306側のアンダーレール702に沿ってフォークリフト3の後方に導かれている。この場合、ハーネス306aは、例えば、側板32に対して図示しない保持部材によって保持される。
【0051】
ユニットクーラ1をフォークリフト3に固定する場合、まず、図5及び図6に示すように、構造体200を用意する。また、アンダーカバー101にはシェード501及びパンカールーバ502を固定しておく。そして、図10に示すように、フォークリフト3のヘッドガード3aにボルト703及びナット704を用いて2本のアンダーレール702を固定し、両アンダーレール702上にアンダーカバー101を載せる。
【0052】
この状態でボルト703をボルト穴31a、11a~11fに挿通し、ボルト703を締結部材701a~701fの雌ネジ部22bに螺合する。ここで、締結部材701a~701fは、第1締結部材701a、701dと、第2締結部材701c、701fと、第3締結部材701b、701eとからなる。第1締結部材701a、701dは、アンダーカバー101とベースプレート102のボルト穴11a、12a、11d、12dに設けられ、第1ファン308を間に挟んで設けられている。第2締結部材701c、701fは、アンダーカバー101とベースプレート102のボルト穴11c、12c、11f、12fに設けられ、第2ファン309を間に挟んで設けられている。第3締結部材701b、701feは、アンダーカバー101とベースプレート102のボルト穴11b、12b、11e、12eに設けられ、電動圧縮機301を間に挟んで設けられている。
【0053】
各締結部材701a~701fがアンダーカバー101とアンダーレール702とを固定すれば、各締結部材701a~701fの雄ネジ部21bをベースプレート102のボルト穴12a~12fに挿通し、雄ネジ部21bにナット704を螺合する。こうして、アンダーカバー101が比較的薄肉であっても、アンダーカバー101は強固にヘッドガード3aに固定される。
【0054】
また、図3に示すように、制御装置306におけるハーネス306aの第1~3接続コードを電動圧縮機301、第1ファン308及び第2ファン309に接続する。この後、構造体200の上に図2に示すスポンジゴム112を載せ、アンダーカバー101上にトップカバー104を載せ、図示しないボルトでアンダーカバー101上にトップカバー104を固定する。実施例のユニットクーラ1は以上のようにしてフォークリフト3のヘッドガード3a上に搭載される。
【0055】
なお、図2に示す構成部品全てを組み付けて、アンダーカバー101にアンダーレール702を固定した後に、アンダーレール702をフォークリフト3のヘッドガード3aに固定してもよい。また、ボルト703及びナット704を外し、上記と逆の操作を行うことにより、このユニットクーラ1を他の産業車両に搭載させることも可能である。
【0056】
このユニットクーラ1では、振動を低減する手段を乗用車程には有していないフォークリフト3において、空調部300の電動圧縮機301、第1ファン308及び第2ファン309がバッテリ3bによって作動する。このため、凝縮器302からは温風が排気され、温風は排熱口13cから外部に放出される。また、蒸発器305からは冷風が排気され、冷風はシェード501を経てパンカールーバ502から運転者Mに送風される。この際、トップカバー104の内面、特に傾斜面104cの内面が冷風をパンカールーバ502に向けて好適に整流する。運転者Mは、パンカールーバ502の吹出口の向きを変更することによって、運転者Mの首元等、冷風の吹き出し方向を任意に変更することができる。
【0057】
また、このユニットクーラ1において、空調部300で結露水が生じることがある。湿度が高い場合には、結露水がより発生し易い。このユニットクーラ1では、上面に空調部300が固定されるベースプレート102に貫通孔12gが形成され、ベースプレート102の下方に設けられるアンダーカバー101に排水溝11iが形成されている。このため、空調部300で結露水が生じれば、その結露水はベースプレート102から貫通孔12gを経てアンダーカバー101上に落下し、アンダーカバー101の排水溝11iに流れる。
【0058】
特に、蒸発器305で結露水が生じれば、その結露水は第3ケース108の第1~3層108a~108cを通水し、切欠き108g、108hから排水溝11iに流れる。冷風口11g、11h近傍には高圧室Hpが区画されているため、高圧室Hp内の結露水は高圧室Hpの内圧によって第3ケース108の凸部108iから排水溝11iに排出される。
【0059】
排水溝11i内の結露水は高圧室Hpの内圧によって凝縮器302に向けて案内される。凝縮器302の下方まで案内された結露水は第4ケース117の凸部108iから毛細管現象によって上方に上り、無数の挿通孔302dから放熱フィン302cに滴り落ちる。
【0060】
また、第1ファン308と排水溝11iとの距離は第2ファン309と排水溝11iとの距離よりも近いため、第1ファン308によって排水溝11i内の結露水が第4ケース117及び凝縮器302に直に供給される。
【0061】
このため、このユニットクーラ1では、凝縮器302による冷媒の凝縮に結露水の気化熱を付加できるため、凝縮器302による放熱量が多くなり、蒸発器305によって冷風をより低温にすることが可能になる。また、このユニットクーラ1では、低温の結露水が凝縮器302を直に冷やし、凝縮器302の放熱に有効に活用している。
【0062】
したがって、このユニットクーラ1によれば、冷風をハウジング100の外部に供給可能であるとともに、蒸発器305に結露水が生じた場合でも、冷風の温度をより下げることができ、かつ冷房能力を有効活用できる。
【0063】
また、このユニットクーラ1では、第1ファン308が排水溝11i内の結露水を凝縮器302に供給できるため、排水溝11i内の結露水を凝縮器302に供給するための特別な装置や部材が不要となり、部品点数の削減によって製造コストを低減できている。
【0064】
また、このフォークリフト3では、図1に示すように、ユニットクーラ1の吸入口13a、13bがヘッドガード3a上に位置しているため、ユニットクーラ1の騒音が運転者Mにとって邪魔になり難い。また、ユニットクーラ1の吸入口13a、13bがヘッドガード3aの左端に位置しているため、第1、2フィルタ110、111を容易に保守又は点検することができる。
【0065】
さらに、このフォークリフト3では、ユニットクーラ1は前後に長い直方体形状であり、その高さが低く、かつ排熱口13cがヘッドガード3aの前端に位置しているため、温風が運転者Mに当たることもない。
【0066】
(実施例2)
実施例2のユニットクーラ1では、図13に示すように、排水溝11jが蒸発器305側から凝縮器302に向かって下り傾斜している。このため、結露水が自重によって凝縮器302の下方に移動し、本発明の作用効果がより優れる。他の構成及び作用効果は実施例1と同様である。
【0067】
(実施例3)
実施例2のユニットクーラ1では、図14に示すように、凝縮器302の外側に連続気泡の多孔質体であるスポンジ118を設けている。他の構成は実施例1と同様である。
【0068】
このユニットクーラ1では、排水溝11i内の結露水をスポンジ118の毛細管現象によって凝縮器302の外側に移動させ、凝縮器302から排熱口13cに放出される高温の風に含めて乾燥させている。この場合、凝縮器302の冷却に寄与した結露水を乾燥させることできる。また、凝縮器302の冷却に寄与していない結露水も乾燥させることできる。このため、外部に排水する結露水の量を削減又は無くすことができる。他の作用効果は実施例1と同様である。
【0069】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0070】
例えば、本発明のユニットクーラは、カウンタータイプ、ピッキングタイプ、3-wayタイプ、冷凍冷蔵庫仕様の電動フォークリフトに用いられてもよく、種々のエンジンフォークリフト、搬送機器、牽引車等、広く産業車両に用いられ得る。
【0071】
例えば、カウンタータイプの電動フォークリフトでは、図15及び図16に示すように、ヘッドガード3cにバッテリ吊り下げ用の切欠き3dが形成されている場合がある。ユニットクーラ1が切欠き3dに重ならないようにするため、冷凍サイクルの中でも比較的大きな凝縮器302及び蒸発器305の長辺をユニットクーラ1の短辺となるように両端に配置し、凝縮器302と蒸発器305との間に電動圧縮機301、膨張弁303、アキュムレータ306等の冷凍サイクルを構成する他の要素を収容し、ユニット化した。この場合、実施例のユニットクーラ1は前後に長い直方体形状となることから、切欠き3dの左に搭載され、切欠き3dを避けて搭載することが可能である。また、ヘッドガード3c上に透明樹脂からなるカバー4が設けられる場合でも、ユニットクーラ1はカバー4の全てを覆わないように小型化されているため、運転者Mの斜め上方の視界を妨げない。
【0072】
なお、このユニットクーラ1は、ヘッドガード3cの前後に延びて搭載されるように搭載状態が限定されるものではない。このユニットクーラ1は、例えば、図17に示すように、切欠き3dの後方において、左右に延びて搭載されてもよく、図18に示すように、切欠き3dの前方において、左右に延びて搭載されてもよい。これらの場合、排熱口13c及び傾斜板104cを左右どちらにするかは任意に決定可能である。
【0073】
本発明のユニットクーラの防振部材は上記締結部材701a~701fに限定されず、第1部材及び第2部材に雄ネジ部が形成されたものであったり、第1部材及び第2部材に雌ネジ部が形成されているものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は産業車両にオプションとして搭載可能なユニットエアコンに利用可能である。
【符号の説明】
【0075】
100…ハウジング
300…空調部
301…電動圧縮機
302…凝縮器
303、304…減圧装置(膨張弁)
305…蒸発器
308…第1ファン
309…第2ファン
11i、11j…排水路(排水溝)
108a~108c…多孔質体(第1~3層)
102…ベースプレート
101…アンダーカバー
12g…貫通孔
11p…傾斜面
13a、13b…吸入口
13c…排熱口
11g、11h…冷風口
Hp…高圧室
図1
図2
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