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特開2024-152233データ処理システム、データ処理プログラム、出力物を生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152233
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】データ処理システム、データ処理プログラム、出力物を生産する方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241018BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04N1/00 350
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066297
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中川 翔太
【テーマコード(参考)】
2C187
5C062
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE01
2C187CC08
2C187CD12
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB40
5C062AB42
5C062AC04
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】取得したデータを処理する場合の使い勝手をより向上させる。
【解決手段】上位指定ワードと、前記上位指定ワードを含み前記上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶する記憶媒体と、データを取得する取得部と、取得した前記データに前記上位指定ワードが含まれるか否か、または、前記データに前記上位指定ワードと前記下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部と、前記データが前記上位指定ワードを含み前記下位指定ワードを含まないことに応じて、前記上位指定ワードに従って処理をし、取得した前記データが前記下位指定ワードを含むことに応じて、前記上位指定ワードではなく前記下位指定ワードに従って処理をする処理部と、を備えるデータ処理システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位指定ワードと、前記上位指定ワードを含み前記上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶する記憶媒体と、
データを取得する取得部と、
取得した前記データに前記上位指定ワードが含まれるか否か、または、前記データに前記上位指定ワードと前記下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部と、
前記データが前記上位指定ワードを含み前記下位指定ワードを含まないことに応じて、前記上位指定ワードに従って処理をし、取得した前記データが前記下位指定ワードを含むことに応じて、前記上位指定ワードではなく前記下位指定ワードに従って処理をする処理部と、
を備えるデータ処理システム。
【請求項2】
前記上位指定ワードに従った処理は、前記下位指定ワードに従った処理を含む、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記上位指定ワードに従った処理は、前記上位指定ワードを含み前記上位指定ワードよりも長い指定ワードの全てに従った処理を含む、
請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記処理は、前記上位指定ワードに応じた設定または前記下位指定ワードに応じた設定での印刷である、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記処理は、前記上位指定ワードに対応付けられたフォルダーまたは前記下位指定ワードに対応付けられたフォルダーへの前記データの保存であり、
前記上位指定ワードに対応付けられたフォルダーの下位に前記下位指定ワードに対応付けられたフォルダーが設けられる、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記上位指定ワードは、複数の前記下位指定ワードの共通部分から自動で作成される、
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
コンピューターを、
上位指定ワードと、前記上位指定ワードを含み前記上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶媒体から受け付ける受付部、
データを取得する取得部、
取得した前記データに前記上位指定ワードが含まれるか否か、または、前記データに前記上位指定ワードと前記下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部、
前記データが前記上位指定ワードを含み前記下位指定ワードを含まないことに応じて、前記上位指定ワードに従って処理をし、取得した前記データが前記下位指定ワードを含むことに応じて、前記上位指定ワードではなく前記下位指定ワードに従って処理をする処理部、
として機能させるデータ処理プログラム。
【請求項8】
データを取得し、
取得した前記データが上位指定ワードを含み、前記上位指定ワードを含み前記上位指定ワードよりも長い下位指定ワードを含まないことに応じて、前記上位指定ワードに従って処理をした出力物を生産し、
取得した前記データが前記下位指定ワードを含むことに応じて、前記上位指定ワードではなく前記下位指定ワードに従って処理をした出力物を生産する、ことを含む出力物を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、データ処理プログラム、出力物を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャンデータに含まれる文字列に基づいてスキャンデータをBOXに振り分けることが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-50831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
取得したデータを処理する場合の使い勝手をより向上させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのデータ処理システムは、上位指定ワードと、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶する記憶媒体と、データを取得する取得部と、取得したデータに上位指定ワードが含まれるか否か、または、データに上位指定ワードと下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部と、データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をし、取得したデータが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をする処理部と、を備える。
【0006】
上記課題を解決するためのデータ処理プログラムは、コンピューターを、上位指定ワードと、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶媒体に記憶させる受付部、データを取得する取得部、取得したデータに上位指定ワードが含まれるか否か、または、データに上位指定ワードと下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部、データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をし、取得したデータが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をする処理部、として機能させる。
【0007】
上記課題を解決するための出力物を生産する方法は、上位指定ワードと、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶媒体に記憶させ、データを取得し、取得したデータに上位指定ワードが含まれるか否か、または、データに上位指定ワードと下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断し、データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をした出力物を生産し、取得したデータが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をした出力物を生産する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】複合機のブロック図。
図2】スキャン設定画面の一例を示す図。
図3】指定ワード仕分け保存の設定画面の一例を示す図。
図4】グループ印刷設定画面の一例を示す図。
図5】指定ワードと出力設定の対応関係の一例と、印刷部数の登録リストの一例を示す模式図。
図6】フォルダー構成例を示す図。
図7】スキャン処理のフローチャート。
図8】指定ワード検索処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)複合機の構成:
(2)スキャン処理:
(2-1)指定ワード検索処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)複合機の構成:
図1は、本発明の実施形態にかかるデータ処理システムとしての複合機1の構成を示すブロック図である。複合機1は、プロセッサー10と、不揮発性の記憶媒体20と、UI部30(User Interface)と、通信部40と、印刷部50と、読取部60と、FAX通信部70を備えている。プロセッサー10は、図示しないCPUやROMやRAM等を備え、記憶媒体20に記録された種々のプログラムを実行し複合機1の各部を制御することができる。なお、プロセッサー10は、単一のチップで構成されていても良いし、複数のチップで構成されていても良い。また、例えばCPUに変えてASICが採用されても良いし、CPUとASICとが協働する構成であっても良い。
【0011】
UI部30は、タッチパネルディスプレイを含む。タッチパネルディスプレイは、プロセッサー10の制御に基づいて様々な情報を表示する表示パネルと、当該表示パネルに重ねられたタッチ検出パネルとを備え、人の指等によるタッチ操作を検出する。タッチパネルディスプレイは、当該タッチ操作を示す情報をプロセッサー10に出力する。プロセッサー10は、当該情報に基づいてタッチ操作を取得する。
【0012】
通信部40は、他の装置と有線または無線で通信するための各種の通信インターフェースを含む。また、通信部40は、複合機1に装着された各種のリムーバブルメモリーと通信するためのインターフェースを含む。
【0013】
印刷部50は、本実施形態においては、インクジェット方式や電子写真方式等の各種の印刷方式で各種の印刷媒体に印刷を実行するためのアクチュエーターやセンサー、駆動回路、機械部品等を備えている。読取部(スキャナー)60は、原稿台ガラスに載置された原稿やADF原稿トレイにセットされた原稿の読み取りを行うための装置、例えば、画像センサーや光源、原稿を搬送するためのアクチュエーターや駆動回路やセンサー、機械部品等を備えている。
【0014】
FAX通信部70は、公衆交換電話網等を経由して原稿を示す画像データのFAX通信を行うためのモデム、当該画像データを送受信するための制御信号を検出したり生成したりするための回路、送信データを符号化したり受信データを復号するための回路等を備えている。
【0015】
複合機1は、スキャンtoボックス機能を有している。スキャンtoボックス機能は、スキャンして生成した画像データをユーザーが指定したフォルダーに保存する機能である。さらに複合機1は、指定ワード仕分け保存機能を有している。指定ワード仕分け保存機能は、画像をスキャンして文字認識し、指定ワードが含まれている場合に指定ワードに対応するフォルダーに画像データを自動的に振り分けて保存する機能である。本実施形態においては、指定ワードに対応するフォルダーに保存するだけでなく、指定ワードに対応する出力設定で当該指定ワードを含む画像データを出力する機能を実現する。このような、指定ワードで画像データを仕分け保存し、さらに指定ワードに対応する出力設定で画像データを出力する機能を実現するため、プロセッサー10は、記憶媒体20に記録された図示しないデータ処理プログラムを実行することができる。データ処理プログラムが実行されると、プロセッサー10は、受付部11、取得部12、判断部13、処理部14として機能する。
【0016】
受付部11は、プロセッサー10に、指定ワードと出力設定とをユーザーから受け付け、受け付けた指定ワードと出力設定とを対応付けて不揮発性の記憶媒体20に記憶させる機能を実現させる。指定ワードは、スキャンされた画像を示す画像データに含まれる文字群を対象に検索を行うためのキーである。出力設定は、画像データを出力するための諸項目のパラメーターである。取得部12は、プロセッサー10に、読取部60をスキャン設定に従って動作させて画像を読み取らせ、読み取られた画像を示す画像データを取得する機能を実現させる。判断部13は、プロセッサー10に、読み取られた画像を示す画像データに対して文字認識を行い、認識した文字列の中に記憶媒体20から読みだした指定ワードが含まれるか否かを判断する機能を実現させる。処理部14は、プロセッサー10に、画像データに指定ワードが含まれる場合に、当該指定ワードに対応する出力設定で画像データについての出力を行う機能を実現させる。
【0017】
まず、ユーザーから受け付ける出力設定や、スキャン設定について詳細を説明する。図2はスキャンToボックス機能が選択された場合のスキャン設定画面の一例を示す図である。プロセッサー10は図2に示すような設定画面をUI部30のディスプレイに表示し、ユーザーによるスキャン設定を受け付ける。なお、図2に示す設定画面のうち、UI部30のディスプレイに一度に表示される範囲は、ディスプレイのサイズに応じた一部の範囲であり、ユーザーは図示しないスクロールバーのつまみを動かすことによって設定画面の全体を表示することができるように構成されるが、説明を簡便にするため、図2には設定画面に含まれる各部を示している。
【0018】
スキャン設定画面には、スキャン動作についての様々な設定項目について設定値を設定するための画面であり、図2に示すように、様々な設定項目のボタン(b2,b4等)が配置されている。ユーザーはこれらのボタンを操作することで、当該ボタンに対応する詳細設定画面を表示させ、当該詳細設定画面にて設定値を選択することができる。ボタンb1は、現在の設定値を保存してスキャン開始を指示するためのボタンである。
【0019】
スキャン設定には、ボタンb2に示すようにカラーモードの設定(スキャンの色設定)が含まれる。カラーモードの設定値の選択肢は、モノクロ/カラー/グレースケールである。また、スキャン設定には、ボタンb3に示すようにスキャン解像度の設定が含まれる。また、スキャン設定画面には、図2に示すように、ボタンb4が含まれている。ボタンb4は、指定ワード仕分け保存機能の詳細設定を受け付けるためボタンであり、ボタンb4が操作されると、プロセッサー10は、図3に示す設定画面を表示する。
【0020】
図3は、指定ワード仕分け保存機能の詳細を設定するための設定画面の一例を示す図である。受付部11の機能により、プロセッサー10は図3に示すような設定画面をUI部30に表示し、ユーザーの操作を受け付ける。図3についても上述した図2と同様に、説明を簡便にするため、設定画面に含まれる各部を図3に一度に示している。
【0021】
本実施形態において、図3に示す設定画面には、選択部g1と、選択部g2と、言語設定部g3と、指定ワード入力部g4と、グループ印刷設定部g5と、選択部g6と、保存ボタンb1が含まれている。選択部g1は、指定ワードによる仕分け保存機能のオン/オフを選択するための操作部である。オンの場合であって、指定ワードが画像データに含まれている場合に、プロセッサー10は、当該指定ワードに対応するフォルダーに当該画像データを保存する機能が有効であると見なす。
【0022】
選択部g2は、画像分割ファイル保存機能のオン/オフを選択するための選択部である。オンが選択されている場合、プロセッサー10は、1つのスキャンジョブによって生成された画像データが複数ページで構成されている場合に、画像データを1頁ずつ別のファイルに分離して保存する。オフが選択されている場合、プロセッサー10は、1つのスキャンジョブの画像データが複数ページで構成されている場合に、全ページの画像データを1つのファイルとして保存する。すなわち、選択部g2によって、プロセッサー10は、画像データを異なるファイルに分離する単位を受け付けることができる。選択部g2が設けられていることにより、ユーザーは、画像データを頁毎に異なるファイルとして保存するか全頁を1つのファイルとして保存するかを指定できる。ページ毎に分割保存した場合、ユーザーは、フォルダーに保存されたファイル単位で、ファイルの要否等を判断し不要なページの画像データについては該当ファイルを削除する等を行うことができる。
【0023】
言語設定部g3は、スキャンする画像に含まれる文言の言語を設定するための設定部である。プロセッサー10は言語設定部g3により、指定ワードの言語の指定を受け付ける。プロセッサー10は、言語設定部g3で設定された言語に対応する文字認識処理で画像データに対して文字認識処理を行う。そのため、プロセッサー10は、言語設定部g3で設定された言語に対応しない文字認識処理で画像データに対して文字認識を行う場合と比較して、画像データに含まれる文字を誤認識する可能性を低減できる。
【0024】
指定ワード入力部g4は、指定ワードの入力を受け付けるための入力部である。指定ワード入力部g4が選択されると、プロセッサー10は、日本語が選択されている場合、五十音やアルファベッドや数字・記号などのソフトウェアキーボードを表示し、ユーザーはソフトウェアキーボードを操作して所望の文字を入力し必要があれば漢字変換を行う等して、指定ワードの入力することができる。本実施形態においては、1つのスキャンジョブで読み取られた画像データについて最大で3つの指定ワードを指定することができる。例えば、同じグループ(グループは例えば学校のクラス等であることを想定してよい)を異なる表記や名称で文書に記載することがある場合に、複数の指定ワードが設定されるユースケースとして想定可能である。より具体的には例えば、複数の指定ワードとして、「1年1組」と、「1年1組」を漢数字で表記した「一年一組」や、担任教諭名が設定されてもよい。
【0025】
グループ印刷設定部g5は、画像データの出力設定を受け付ける設定部である。なお、本明細書において、「グループ印刷」は、指定ワードに対応付けて登録した部数分の印刷を行うことを示している。本実施形態において、出力は印刷処理であることを想定しており、出力設定は、画像データを印刷するための各設定項目に対するパラメーターであり、印刷部数の設定が含まれる。なお、出力設定には、印刷部数以外にも、給紙トレイの指定、排紙トレイの指定等が含まれていてもよい。印刷品質や、カラー/モノクロ指定が含まれていてもよい。本実施形態においては、グループ印刷設定部g5により、ユーザーは指定ワードが含まれている画像データの印刷部数を設定することができるとして説明を続ける。
【0026】
グループ印刷設定部g5が選択されると、プロセッサー10は、印刷部数の登録リストを作成・編集・削除するためのグループ印刷設定画面を表示する。図4はグループ印刷設定画面の一例を示す図である。グループ印刷設定画面では、印刷部数の登録リストに登録された登録名と、当該登録名に対応する印刷部数の数値とが表示される。グループ印刷設定画面においてユーザーが新規で登録名と印刷部数を入力して登録/上書きボタンb11を操作すると、登録名と当該登録名に対応付けられた印刷部数とが、記憶媒体20に保存される(図5のリストL1を参照)。グループ印刷設定画面において、ユーザーが既に登録済みの登録名やそれに対応する部数を変更してボタンb11を操作すると、プロセッサー10は変更された内容でリストL1を更新する。さらに、グループ印刷設定画面において、ユーザーが既に登録済みの登録名を選択して削除ボタンb12を操作すると、プロセッサー10は選択された登録名およびその部数をリストL1から削除する。また、ユーザーは、グループ印刷設定画面に表示されている登録名のいずれかを選択してOKボタンb10を操作すると、指定ワードに対応付ける印刷部数の登録名を指定することができる。
【0027】
例えば、図3に示すように「1年1組」という指定ワードに対応する印刷部数として、グループ印刷設定画面において「1年1組の印刷部数」が選択された場合、プロセッサー10は図5の対応関係D1に示すように、「1年1組」という指定ワードに、「1年1組の印刷部数」を対応付けて、記憶媒体20に保存する。これ以降、図3に示す画面において再び指定ワード入力部g4に「1年1組」が入力された場合、プロセッサー10は対応関係D1を参照し「1年1組」に対応付けられた「1年1組の印刷部数」を自動的に選択してグループ印刷設定部g5に表示してもよい。なおもちろん、グループ印刷設定部g5で設定する印刷部数の登録名は、図4のグループ印刷設定画面からユーザーが手動で毎回設定してもよい。
【0028】
次に、図5のリストL1に示すように、1年1組の印刷部数として例えば30部、1年2組の印刷部数として例えば29部、1年3組の印刷部数として例えば29部が登録されている状態で、新たにユーザーが1年の学年全体を示す部数の印刷を行うための、指定ワード入力部g4とグループ印刷設定部g5の設定例について説明する。「1年」には1組~3の計3組が存在するとして説明を続ける。ユーザーは、図3の指定ワード入力部g4に「1年」を入力する。そして、ユーザーはグループ印刷設定部g5を選択してグループ印刷設定画面(図4)を表示させ、グループ印刷設定画面において登録リストから「1年1組の印刷部数」と「1年2組の印刷部数」と「1年3組の印刷部数」とを選択してOKボタンb10を操作することで、「1年」という指定ワードに、「1年1組の印刷部数」と「1年2組の印刷部数」と「1年3組の印刷部数」とを対応付けることができる(対応関係D2を参照)。すなわち「30部」+「29部」+「29部」の合計「88部」を印刷部数として対応付けられる。
【0029】
この例の場合、「1年1組」、「1年2組」、「1年3組」のそれぞれは、「1年」という指定ワードの下位指定ワードである。言い換えると、「1年」は、「1年1組」、「1年2組」、「1年3組」という指定ワードの上位指定ワードである。下位指定ワードは、上位指定ワードを含み当該上位指定ワードよりも長い。
【0030】
なお、上位指定ワードは、複数の下位指定ワードの共通部分から自動で作成されるように構成されてもよい。例えば、共通部分を有する指定ワードが2以上登録された場合に、プロセッサー10は、複数の下位指定ワードの共通部分から上位指定ワードを自動で作成してもよい。このようにすることで、ユーザーが上位指定ワードを作成して記憶媒体に記憶させる手間が省け、使い勝手が向上する。さらに、自動的に上位指定ワードを作成した場合、当該上位指定ワードを記憶媒体20に登録するか否かをユーザーに問い合わせ、登録をユーザーが選択した場合に記憶媒体20に当該上位指定ワードを保存するようにしてもよい。さらに、上述した対応関係D2を、プロセッサー10が自動的に生成してもよい。具体的には、プロセッサー10は、上位指定ワードに対応する印刷部数を、当該上位指定ワードについての全ての下位指定ワードの印刷部数の合計とし、当該上位指定ワードに対応付けて対応関係D2を自動的に生成する。そして、プロセッサー10は、自動的に生成した対応関係D2を記憶媒体20に登録するか否かをユーザーに問い合わせるようにして、ユーザーが登録を選択した場合に記憶媒体20に当該対応関係D2を保存するようにしてもよい。そして、次回以降、図3において指定ワード「1年」が入力された場合、グループ印刷設定部g5に、「1年」に対応付けられた印刷部数の登録リストをデフォルトとして自動的に表示するようにしてもよい。このようにすることで、上位指定ワードについても、ユーザーが毎回グループ印刷設定部g5を設定する手間が省ける。
【0031】
図3の選択部g6は、指定ワード紐付け機能のオン/オフを選択するための選択部である。指定ワード紐付け機能は、画像データに指定ワードが含まれる場合に当該画像データに対して指定ワードを紐付ける機能である。画像データと指定ワードとの対応付けどのような態様であってもよいが、例えば、画像データを含むファイル(例えばPDFファイル等)のファイル名の一部として指定ワードを含むようにしてもよいし、ファイルの情報部(ヘッダー、フッター等)に指定ワードを含むようにしてもよい。あるいは、画像データを含むファイルとは別ファイル(例えば当該ファイルのファイル名と共通するファイル名を有するファイル)に指定ワードを記述して保存するように構成されてもよい。
【0032】
図3の保存ボタンb1が操作されると、プロセッサー10は、指定ワードと対応付けて印刷部数を記憶媒体20に記憶させる。すなわち、図5に示す対応関係D1や対応関係D2が記憶媒体20に保存される。さらにグループ印刷設定部g5を設定済みの状態で保存ボタンb1が操作された場合、プロセッサー10は、スキャン設定とともにスキャン指示がなされたと見なし、図2で設定されたスキャン設定に従って画像センサーを動作させてスキャンを実行し、画像データに対する文字認識処理を行い、指定ワードに対応する部数の印刷を実行する。
【0033】
すなわち、読取部60によって画像データが生成されると、取得部12の機能により、プロセッサー10は画像データを取得する。そして、判断部13の機能により、プロセッサー10は、画像データに対して文字認識処理を行う。本実施形態においては、画像データの全体を対象にして文字認識処理が行われる。プロセッサー10は、言語設定部g3で選択された言語に対応する文字認識処理を行う。プロセッサー10は、文字認識についての機械学習済みモデルを用いて文字認識処理を実行することにより、ひとまとまり(1ワード、1フレーズ等)と見なす文字群毎に、当該文字群に対応する候補文字列を取得する。画像データの同じ文字群について、候補文字列は、複数取得されうる。取得された候補文字列毎に、当該文字群が正確である可能性を示す数値が取得される。例えば、「1年1組」に該当する文字群の候補文字列および可能性として、「『1年1組』…X%」、「『I年I組』…Y%」、「『/年/組』…Z%」のように認識結果が取得される。本実施形態において、可能性を示す数値が大きいほど、当該文字群についての候補文字列が正確である可能性が高いものとして扱われる。
【0034】
プロセッサー10は、後述する条件を満たす場合に、画像データに指定ワードが含まれていると判断する。プロセッサー10は、スキャン設定に応じて、指定ワードが画像データに含まれているか否かを判断する条件を変える。すなわち、プロセッサー10は、判断部13の機能により、文字認識の認識精度が低いスキャン設定でスキャンされた場合、高いスキャン設定でスキャンされた場合よりも、当該条件を緩和する。こうすることによって、認識精度の低いスキャン設定でスキャンされた画像データについても、指定ワードの認識漏れが生じる可能性を低減することができる。
【0035】
具体的には例えば、プロセッサー10は、認識結果として得られた候補文字列が正確である可能性が閾値以上である候補文字列を対象にして指定ワードとが一致するか否かを判断する。ここで、当該閾値は、低い解像度でスキャンされた場合、高い解像度でスキャンされた場合よりも、低い値である。低解像度スキャンの場合の閾値をT、高解像度スキャンの場合の閾値をT(>T)と呼ぶ。例えば、プロセッサー10は、高解像度スキャンの場合は可能性が80%以上の候補文字列を指定ワードと一致するか否かを判断する対象とするが、低解像度スキャンの場合は可能性が70%以上の候補文字列を指定ワードと一致するか否か判断する対象とする。この場合、同じ画像を低解像度でスキャンすると高解像度でスキャンするよりも、多くの候補文字列を指定ワードとの一致判断の対象として取得しうることとなり、多くの候補文字列を対象にして指定ワードとの一致判断を行うことができる。したがって、低解像度のスキャンでも、指定ワードと一致する候補文字列を得やすい。その結果、低解像度のスキャンでも指定ワードの認識漏れが生じる可能性を低減できる。
【0036】
プロセッサー10は、候補文字列と指定ワードとの不一致文字数が既定文字数以下である場合に候補文字列と指定ワードとが一致すると判断し、指定ワードが画像データに含まれると判断する。ここで、当該既定文字数は、低い解像度でスキャンされた場合、高い解像度でスキャンされた場合よりも、多い数である。低解像度スキャンの場合の既定文字数をN、高解像度スキャンの場合の既定文字数をN(<N)と呼ぶ。例えば、指定ワードが4文字の単語である場合、プロセッサー10は、低解像度の場合は候補文字列と指定ワードが少なくとも3文字一致(不一致文字数=1)すれば指定ワードと候補文字列が一致すると見なすが、高解像度の場合は4文字一致(不一致文字数=0)した場合に指定ワードと候補文字列が一致すると見なす。このようにすることで、低解像度のスキャンでも指定ワードの認識漏れが生じる可能性を低減できる。
なお、指定ワードと候補文字列との一致率が既定値以上の場合に両者が一致すると判断するように構成されてもよく、その場合、既定値は低解像度スキャンの場合の方が高解像度スキャンの場合よりも低い値が採用される。指定ワードの文字数をXとすると、一致率は、X文字以上の候補文字列の中の連続するX文字分の文字列と指定ワードとが一致する度合いである。
【0037】
ところで、記憶媒体20には、異なる複数の指定ワードが記憶されうる。例えば第1の指定ワードと第2の指定ワードとが記憶されているとする。可能性が第1の値である第1の候補文字列と第1の指定ワードと一致し、可能性が第2の値である第2の候補文字列と第2の指定ワードとが一致する場合、プロセッサー10は、第1の値が第2の値よりも大きいことに応じて第1の指定ワードを画像データに含まれる指定ワードとして選択し、第2の値が第1の値よりも大きいことに応じて第2の指定ワードを画像データに含まれる指定ワードとして選択する。具体的には例えば、第1の指定ワードが「1年」であり、第2の指定ワードが「2年」である場合であって、画像データ内の対象の文字群が「1年」である可能性が、当該文字群が「2年」である可能性よりも大きい値である場合、プロセッサー10は可能性の数値が大きい「1年」の方を画像データに含まれる指定ワードとして選択する。一方、画像データ内の対象の文字群が「1年」である可能性が、当該文字群が「2年」である可能性よりも小さい値である場合、プロセッサー10は可能性の数値が大きい「2年」の方を画像データに含まれる指定ワードとして選択する。このように、可能性の高い候補文字列の方を選択することで、指定ワード抽出の失敗の可能性を低減できる。
【0038】
なお、判断部13の機能により、プロセッサー10は、画像を示す画像データに対して文字認識を行い、認識した文字列の候補である候補文字列と画像データとを出力するように構成されてもよい。例えば、プロセッサー10は、文字認識処理を終えた画像データをUI部30のディスプレイに表示する。ユーザーが画像データの所望の文字をタッチするなどして選択すると、プロセッサー10は当該文字を含む文字群に対応する候補文字列を複数、ディスプレイに表示する。プロセッサー10は、可能性が閾値以上である候補文字列を出力するようにする。当該閾値は、低い解像度でスキャンされた場合に高い解像度でスキャンされた場合よりも、低い値である。その結果、同じ画像を低解像度スキャンした場合、高解像度でスキャンした場合よりも、多くの候補文字列がユーザーに提示されることとなる。そして、ユーザーが候補文字列の中から正しく認識できている文字列を選択すると、プロセッサー10はユーザーによって選択された候補文字列が、ユーザーが画像データ内から選択した文字群を示す文字列であるとして採用する。プロセッサー10は、採用した文字列が指定ワードと一致するか否かを判断するようにしてもよい。
【0039】
以上のようにして、画像データに指定ワードが含まれているか否かを判断し、含まれている場合、プロセッサー10は、処理部14の機能により、画像データを出力設定に従って印刷するとともに、指定ワードをフォルダー名として作成したフォルダーに画像データを保存する。なお、フォルダーへの保存は、図3の選択部g1がオンに設定されたスキャンの場合に行われる。
【0040】
図5の例の場合、例えば図6のように各フォルダーが記憶媒体20に設けられる。共有フォルダー(共有BOXとも言う)F1は、いずれの指定ワードも含まない画像データを保存するフォルダーである。「1年」フォルダーF2は、上位指定ワードである「1年」を含むが「1年」の下位指定ワードである「1年1組」、「1年2組」、「1年3組」を含まない画像データを保存するフォルダーである。「1年1組」フォルダーF3は、下位指定ワードである「1年1組」を含む画像データを保存するフォルダーである。「1年2組」フォルダーF4は、下位指定ワードである「1年2組」を含む画像データを保存するフォルダーである。「1年3組」フォルダーF5は、下位指定ワードである「1年3組」を含む画像データを保存するフォルダーである。図6に示すように、「1年1組」フォルダーF3、「1年2組」フォルダーF4、「1年3組」フォルダーF5は、「1年」フォルダーF2の下位のフォルダーとして作成されてもよい。フォルダー構造をこのように構成することにより、ユーザーに上位指定ワードと下位指定ワードとの関係性を認識させやすい。
【0041】
処理部14の機能により、プロセッサー10は、画像データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードのフォルダーに画像データを保存するとともに、上位指定ワードの出力設定に従って印刷処理を行う。また、プロセッサー10は、取得した画像データが下位指定ワードを含むことに応じて、下位指定ワードのフォルダーに画像データを保存するとともに、上位指定ワードではなく下位指定ワードの出力設定に従って印刷処理を行う。
【0042】
本実施形態において、上位指定ワードに従った処理は、原則的には、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い指定ワードの全てに従った処理を含む。例えば、「1年」という上位指定ワードに対する下位指定ワードが「1年1組」と「1年2組」と「1年3組」の3個ある場合、3個の下位指定ワードのそれぞれに従った処理の全てが上位指定ワードに従った処理に含まれる。より具体的には例えば、図5のように印刷部数が設定されている場合、プロセッサー10は、上位指定ワードである「1年」は含まれるが下位指定ワードは含まれない画像データの印刷部数を、30部+29部+29部=88部とする。プロセッサー10は、印刷部50を制御して、当該画像データを88部印刷させる。このようにすることで、ユーザーは、データが上位指定ワードを含むが下位指定ワードは含まない場合、上位指定ワードに対する全ての下位指定ワードに従った処理を行わせることができる。
【0043】
なお、上位指定ワードに従った処理は、例外的に、上位指定ワードに対する全ての下位指定ワードに従った処理を含んでいなくても良い。図5の例で「1年」の印刷部数リストに「1年1組の印刷部数」と「1年2組の印刷部数」を設定し、「1年3組の印刷部数」を設定しないように変更することもできる。このようにした場合、一部の下位指定ワードに従った処理を、上位指定ワードが含まれているが下位指定ワードは含まれていない画像データに対して行うことができる。
【0044】
また、下位指定ワードである「1年1組」が含まれる画像データについては、プロセッサー10は、図5のように印刷部数が設定されている場合、「1年1組」という下位指定ワードに対応付けられている印刷部数である30部を印刷する。
【0045】
以上のように、本実施形態によれば、複合機1は、画像データに含まれる指定ワードに予め対応付けられている出力設定に応じた印刷を行うことができる。そのため、ユーザーがスキャンした画像データに対して、改めて出力指示(印刷指示)を行って印刷を実行させる場合と比較してユーザーの手間を省くことができ、使い勝手が向上する。
【0046】
(2)スキャン処理:
図7はスキャン処理を示すフローチャートである。図7のスキャン処理は、図2に示す画面においてスキャン設定を行い、さらに図3に示す画面において選択部g1がオンに設定され、指定ワードが少なくとも1つ設定され、グループ印刷設定部g5にいずれかの印刷部数のリストが選択されている状態で保存ボタンb1が操作された場合に、実行される処理である。
【0047】
スキャン処理が開始されると、プロセッサー10は、指定ワードを保存し、スキャン開始指示を受け付ける(ステップS100)。すなわち、プロセッサー10は、指定ワード入力部g4に入力された指定ワードと、グループ印刷設定部g5に設定された登録リスト名とを対応付けて記憶媒体20に保存する(例えば、図5のD1やD2を参照)。さらに、プロセッサー10は、図2に示すスキャン設定画面で設定されたスキャン設定に従ったスキャンの開始指示がユーザーによってなされたと見なし、ステップS105の処理にすすむ。
【0048】
プロセッサー10は、スキャンを実行する(ステップS105)。すなわち、プロセッサー10は、図2に示すスキャン設定画面で設定されたスキャン設定に従って画像センサーを動作させてスキャンを行い、画像を示す画像データを生成する。
【0049】
続いて、プロセッサー10は、指定ワード検索処理を実行する(ステップS110)。指定ワード検索処理は、スキャンの結果生成された画像データに対してOCRを実行し、指定ワードを検知した場合に、フラグをセットする処理である。詳細については後述する。
【0050】
プロセッサー10は、ステップS105で生成された画像データを所定のファイル形式(例えばPDF)のファイルにする場合に、ファイル毎にフラグを対応付ける。ファイルに含まれる画像データにステップS100で指定された指定ワードが含まれる場合、当該ファイルのフラグは1にセットされる。当該ファイルのフラグは、指定ワードに応じた出力設定の印刷が終了した後、0にセットされる。指定ワードが含まれない画像データを含むファイルのフラグは0のままである。
【0051】
続いて、プロセッサー10は、フラグに1がセットされているか否かを判定する(ステップS120)。すなわちプロセッサー10は、指定ワード検索処理を経てフラグが1にセットされたか否かを判定する。なお、画像ファイル分割保存の選択部g2がオンの場合は、1ページの画像データを1ファイルとするため、複数ファイルが生成される場合は、ステップS120からS140が生成されるファイル数分繰り返される。
【0052】
ステップS120においてフラグがセットされていると判定された場合、プロセッサー10は、指定ワード用BOXが既に作成済みであるか否かを判定する(ステップS130)。すなわちステップS100で指定された指定ワードに対応するフォルダーが記憶媒体20に既に作成済みであるか否かが判定される。
【0053】
ステップS130において作成済みと判定されなかった場合、プロセッサー10は、指定ワード用BOXを生成し(ステップS135)、作成した指定ワード用BOXに画像データを保存する(ステップS140)。すなわち、プロセッサーは、指定ワードをフォルダー名とするフォルダーを作成し、当該フォルダーに画像データを含むファイルを保存する。ステップS130において作成済みと判定された場合、プロセッサー10は、作成済みの指定ワード用BOXに画像データを保存する(ステップS140)。すなわち、プロセッサー10は、既に作成済みの、指定ワードに対応するフォルダーに画像データを含むファイルを保存する。
【0054】
なお、ステップS120においてフラグがセットされていると判定されなかった場合、プロセッサー10は、共有BOXに画像データを保存する(ステップS125)。すなわち共有フォルダーF1(図6を参照)に画像データを含むファイルを保存する。
【0055】
ステップS125またはステップS140を実行後、プロセッサー10は、指定ワード用BOXに画像データが保存されたか否かを判定する(ステップS145)。ステップS145において保存されたと判定されない場合(画像データが共有BOXに保存された場合)、プロセッサー10はスキャン処理を終了する。
【0056】
ステップS145において、指定ワード用BOXに画像データが保存されたと判定された場合、プロセッサー10は、ステップS150~S170のグループ印刷の処理を開始する。ステップS150~S170の処理は、指定ワードに対応するフォルダーに保存されているファイルに対して、1ファイルずつ実行される。すなわち、プロセッサー10は、処理対象のファイルのフラグがセットされているか否かを判定し(ステップS150)、フラグがセットされている場合にグループ印刷の対象と見なし(ステップS160)、フラグがセットされていない場合にグループ印刷の対象外と見なす(ステップS155)。
【0057】
ステップS155またはステップS160を実行後、プロセッサー10は、指定ワード用BOX内の全てのファイルで印刷対象を決定したか否かを判定する(ステップS165)。ステップS165において全てについて決定したと判定されない場合、プロセッサー10はステップS150の処理に戻る。ステップS165において全てについて決定したと判定された場合、プロセッサー10は、グループ印刷対象の画像データを印刷し、フラグをリセットする(ステップS170)。すなわち、プロセッサー10は、処理対象のファイルに含まれる画像データと指定ワードに対応付けられた出力設定に基づいて印刷部50を制御して印刷を実行する。そして、プロセッサー10は、印刷を完了したファイルについてフラグを0にセットする。
【0058】
(2-1)指定ワード検出処理:
図8は、図7のステップS110で実行される指定ワード検出処理を示すフローチャートである。指定ワード検出処理が開始されると、プロセッサー10は、画像データに対して文字認識処理を行う(ステップS200)。すなわち、画像データの全体に対して指定の言語に対応する文字認識処理を行い、1ワードと推定される単位毎に、候補文字列とその可能性を示す数値とを取得する。
【0059】
続いて、プロセッサー10は、画像データを含むファイルのフラグに0をセットする(ステップS205)。すなわち、フラグが0で初期化される。続いて、プロセッサー10は、画像データは指定の解像度以下でスキャンされたか否かを判定する(ステップS210)。すなわちプロセッサー10は画像データのスキャンに用いられたスキャン設定に基づいて、画像データの解像度が文字認識処理の精度が大きく変化する解像度(例えば、200dpi)以下であるか否かを判定する。プロセッサー10は、この解像度以下の解像度でのスキャンを低解像度でのスキャン、この解像度より大きい解像度でのスキャンを高解像度でのスキャンと見なす。
【0060】
ステップS210において、低解像度でのスキャンと判定されなかった場合、すなわち高解像度でのスキャンと判定された場合、プロセッサー10は、指定ワードとの不一致文字数が既定文字数N以下であって、可能性が閾値T以上の候補文字列が存在する場合に、フラグを1にセットする(ステップS215)。閾値Tは閾値Tより大きい値である。既定文字数Nは本実施形態においては0である。このような候補文字列が存在しない場合は、当該画像データのフラグは0のままである。
【0061】
ステップS210において、低解像度でのスキャンと判定された場合、プロセッサー10は、指定ワードとの不一致文字数が既定文字数N以下であって、可能性が閾値T以上の候補文字列が存在する場合にフラグをセットする(ステップS220)。既定文字数Nは本実施形態においては1である。存在しない場合は、当該画像データのフラグは0のままである。
【0062】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、受付部、スキャナー、取得部、判断部、出力部は同じ装置に備えられていても良いし、このうちの少なくともいずれか1つが他とは別の装置に分散して備えられていていもよい。
【0063】
FAXなどの外部装置からデータを取得する通信コネクタやアンテナを取得部としてもよい。
処理部における出力は、複合機1における印刷以外にも、他の印刷装置における印刷であってもよいし、FAX送信であってもよいし、他の装置へのデータ転送であってもよい。出力設定は、出力先の情報(宛先FAX番号、出力先プリンター、転送先装置(共有フォルダー名))、出力ファイル形式等を含んでいても良い。
【0064】
上記実施形態の複合機1において、スキャン設定に従ったスキャンを行い、出力設定に応じた出力が完了する前に複合機1の電源がオフされた場合、複合機1の電源がその後オンになってから出力するように構成されてもよい。そのために、判断部は、判断結果を記憶媒体に記憶させる。「判断結果」は、上記実施形態においては、画像データに対応付けられたフラグである。処理部は、起動時に未出力の画像データが存在する場合、未出力の画像データを記憶媒体から読みだした判断結果に基づいて出力する。すなわち、再起動時に、フラグが1のままの画像データが存在する場合、当該画像データは出力(印刷)が完了していないとみなすことができる。処理部は、フラグが1のままの画像データを再起動後に出力することで、出力設定に応じた出力を確実に実行することができる。
【0065】
判断部は、画像データに光学文字認識処理を行うことで、画像データの画像の中に含まれる文字の画像から画像データに含まれる文字列を認識するものに限られない。判断部は、画像データの画像の中に含まれるマークシートのチェックの位置から画像データに含まれる文字列を認識して判断してもよいし、取得したデータの中にデジタルデータとしてワードが含まれているか判断してもよい。
判断部は、不一致文字数を参照して指定ワードであるかの判断を行うことのほかに、一致文字数を参照したり、不一致文字や一致文字の数の指定ワードの文字数に対する割合を参照したりして、指定ワードであるかの判断を行ってもよい。いずれにしても一致文字数が少ない文字列は指定ワードとして判断しない。
判断部がスキャン設定に応じた数の候補文字列(文字認識の結果としての候補文字列)を出力する構成は、上記実施形態のような指定ワードが画像データの中に含まれているか否かを判断する機能を備えたスキャンシステム以外にも、文字認識機能を備えた一般的なスキャナーや、スキャナーから出力された画像データに対して文字認識処理を行う各種装置や、文字認識プログラムに適用可能である。また、スキャン設定に応じた数の候補文字列の出力は、ディスプレイに表示する等してユーザーに対して行われてもよい。あるいは、文字認識の認識結果を用いて他の処理を行う構成の場合には当該他の処理ブロックに対して、スキャン設定に応じた数の候補文字列が出力されてもよい。スキャン設定に応じて文字認識率が異なり得るが、スキャン設定に応じた数の候補文字列をユーザーに提示することにより、スキャン解像度に応じて異なる数の候補文字列を文字認識結果としてユーザーに認識させることができる。また、スキャン設定に応じた数の候補文字列を他の処理ブロックに出力することにより、他の処理ブロックは、スキャン解像度に応じて異なる数の候補文字列を使用した他の処理を行うことができる。
【0066】
なお、認識結果として得られた候補文字列が候補文字列である可能性が閾値以上である候補文字列を出力する構成において、閾値を、低い解像度でスキャンされた場合に高い解像度でスキャンされた場合よりも、低い値とすることで、スキャン設定に応じた数の候補文字列を出力するように構成されてもよい。このようにすることで、低解像度スキャンの場合、高解像スキャンよりも多くの候補文字列を出力できる可能性を高めることができ、候補文字列を出力されたユーザーや他の処理ブロックにおいて、本来画像データに含まれている文字列を抽出漏れする可能性を低減できる。
【0067】
判断部は、スキャンの色設定に応じて、出力する候補文字列の個数を変えるように構成されてもよい。文字認識処理の認識率(正しく文字認識された割合)は、カラーモード(スキャンの色設定)がカラーでスキャンされた場合およびグレースケールでスキャンされた場合より、モノクロでスキャンされた場合の方が低下する場合がある。このような特性を持つスキャナーを備える場合、判断部は、文字認識精度が低い色設定でスキャンされた場合は高い色設定でスキャンされた場合よりも多くの候補文字列を出力する構成であってもよい。このようにすることで、漏れなく候補文字列を出力できる可能性を高めることができる。
また、判断部は、画像データの圧縮率に応じて、出力する候補文字列の個数を変えるように構成されてもよい。文字認識処理の認識率(正しく文字認識された割合)は、画像データの圧縮率が高いほど低下する傾向となりうる。そのため、判断部は、画像データが高圧縮率で圧縮されている場合、低圧縮率で圧縮されている場合よりも多くの候補文字列を出力する構成であってもよい。このようにすることで、漏れなく候補文字列を出力できる可能性を高めることができる。
【0068】
また、上記実施形態においては、スキャンシステムが、画像データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をし、取得した画像データが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をする処理部を備える例を挙げたが、このような処理部はスキャンシステム以外のシステムや装置に備えられてもよい。指定ワードが含まれているか否かを判断する対象は、文字認識処理を施された画像データであってもよいし、画像データではなくテキストデータであってもよい。このような処理部を備えるシステムや装置を構成することで、ユーザーは、上位指定ワードを含むが下位指定ワードは含まないデータに対して上位指定ワードに対応する処理を行わせることができ、下位指定ワードを含むデータについては下位指定ワードに対応する処理を行わせることができる。
【0069】
受付部が画像データを異なるファイルに分離する単位を受け付けるように構成されている場合、当該単位は、1ページであることに限定されない。例えば、10ページ単位でファイルを分けるように設定できてもよい。また例えば、原稿の紙の色が特定の色であるか否かによってファイルを分けるように設定できてもよい。また例えば、画像データ内のページ番号を認識できた場合であって、ページ番号が昇順になるようにスキャンされている場合、ページ番号が1にリセットされたページ以降とそれより前とでファイルを分けるように設定できてもよい。
【0070】
さらに、本発明は、コンピューターが実行するプログラムや単純方法や生産方法としても適用可能である。例えば、本発明は、コンピューターを、上位指定ワードと、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い下位指定ワードとを記憶媒体から受け付ける受付部、データを取得する取得部、取得したデータに上位指定ワードが含まれるか否か、または、データに上位指定ワードと下位指定ワードとが含まれるか否か、を判断する判断部、データが上位指定ワードを含み下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をし、取得したデータが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をする処理部、として機能させる、データ処理プログラムの発明としても成立する。
【0071】
また例えば、本発明は、データを取得し、取得したデータが上位指定ワードを含み、上位指定ワードを含み上位指定ワードよりも長い下位指定ワードを含まないことに応じて、上位指定ワードに従って処理をした出力物を生産し、取得したデータが下位指定ワードを含むことに応じて、上位指定ワードではなく下位指定ワードに従って処理をした出力物を生産する、ことを含む、出力物の生産方法の発明としても成立する。出力物とは、例えば、印刷物や、処理済みのデータ等である。
【0072】
また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置が備える部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリーであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…複合機、10…プロセッサー、11…受付部、12…取得部、13…判断部、14…処理部、20…記憶媒体、30…UI部、40…通信部、50…印刷部、60…読取部(スキャナー)、70…FAX通信部、F1…共有フォルダー、F2~F5…指定ワードに対応するフォルダー、b1…保存ボタン、g1…選択部、g2…選択部、g3…言語設定部、g4…指定ワード入力部、g5…グループ印刷設定部、g6…選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8