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特開2024-152240シート制御装置、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152240
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート制御装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20241018BHJP
   B60N 2/06 20060101ALI20241018BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
B60N2/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066307
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤村 卓也
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 隆太
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA04
3B087BA02
3B087BA12
3B087DE08
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】車両ユーザの快適性を向上させる。
【解決手段】制御装置200は、メモリ204と、制御部202とを備える。メモリ204は、後席シートのリクライニング制限位置と、後席シートのスライド位置との関係を記憶する。制御部は、設定処理およびシート位置制御を実行する。設定処理は、前後方向における前席シートと後席シートとの間の空隙の大きさの下限を、後席シートの状況に関する所定情報に従って設定する処理を含む。シート位置制御は、リクライニング制限位置を超えない後席シートのリクライニング位置の範囲として上記関係に基づいて定められる第1範囲内に後席シートのリクライニング位置を制御するとともに、空隙の大きさが下限以上になる後席シートのスライド位置の範囲として前席シートの位置に従って定められる第2範囲内に後席シートのスライド位置を制御することを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシート制御装置であって、前記車両は、第1シートと、前記車両の前後方向において前記第1シートの後方に設けられた第2シートとを含み、
前記第2シートの位置は、前記前後方向における前記第2シートのスライド位置と、前記第2シートのリクライニング位置とにより定められ、
前記車両において前記第2シートの後方に配置された部材に前記第2シートが接触しないように定められた、前記リクライニング位置の制限位置であるリクライニング制限位置と、前記スライド位置との関係を記憶する記憶部と、
設定処理およびシート位置制御を実行する制御部とを備え、
前記設定処理は、前記前後方向における前記第1シートと前記第2シートとの間の空隙の大きさの下限を、前記第2シートの状況に関する所定情報に従って設定する処理を含み、
前記シート位置制御は、前記リクライニング制限位置を超えない前記リクライニング位置の範囲として前記関係に基づいて定められる第1範囲内に前記リクライニング位置を制御するとともに、前記空隙の大きさが前記下限以上になる前記スライド位置の範囲として前記第1シートの位置に従って定められる第2範囲内に前記スライド位置を制御することを含む、シート制御装置。
【請求項2】
前記第2シートは、シートクッションの前端部に設けられるとともに展開および収納が可能なオットマンを含み、
前記所定情報は、前記オットマンが展開されているか、または、前記オットマンが収納されているかを示す情報を含み、
前記設定処理は、前記オットマンが展開されている場合に、前記オットマンが収納されている場合よりも前記下限を大きく設定する処理を含む、請求項1に記載のシート制御装置。
【請求項3】
前記車両は、前記第2シート上での乗員の着座および非着座を検知するように構成された第1検知装置をさらに含み、
前記所定情報は、前記第1検知装置による検知結果を示す情報を含み、
前記設定処理は、前記第1検知装置により乗員の着座が検知されている場合に、非着座が検知されている場合よりも前記下限を大きく設定する処理を含む、請求項1に記載のシート制御装置。
【請求項4】
前記車両は、乗員による前記第2シートのリクライニング操作を受ける操作装置をさらに含み、
前記リクライニング操作は、前記リクライニング位置を手動で変化させる手動操作と、前記リクライニング位置を所定の目標位置まで自動で変化させることを指示する自動操作とを含み、
前記所定情報は、前記リクライニング操作が前記手動操作または前記自動操作のいずれであるかを示す情報を含み、
前記設定処理は、前記リクライニング操作が前記自動操作である場合、前記リクライニング操作が前記手動操作である場合よりも前記下限を大きく設定する処理を含む、請求項1に記載のシート制御装置。
【請求項5】
前記第1シートのスライド位置としての第1シートスライド位置を制御する第1シート制御部をさらに備え、
前記車両は、乗員による前記第2シートのリクライニング操作を受ける操作装置をさらに含み、
前記第1シート制御部は、前記車両の前方向における前記第1シートスライド位置の限界であるスライド限界位置よりも前記第1シートスライド位置が前記車両の後方向にある場合、前記第1シートスライド位置を前記リクライニング操作に応答して前記前方向に変化させる第1シート位置制御を実行する、請求項1に記載のシート制御装置。
【請求項6】
前記車両は、前記第1シート上での乗員の着座および非着座を検知するように構成された第2検知装置をさらに含み、
前記第1シート制御部は、前記第2検知装置により乗員の非着座が検知された場合に前記第1シート位置制御を実行する、請求項5に記載のシート制御装置。
【請求項7】
前記第1シート位置制御は、前記リクライニング操作に応答して前記第1シートスライド位置を前記スライド限界位置まで変化させる制御を含む、請求項6に記載のシート制御装置。
【請求項8】
前記車両の車室空間は、前記第2シートを含む搭乗空間と、前記搭乗空間の後方にある前記車両の荷室空間とを含み、
前記部材は、前記車室空間を前記搭乗空間と前記荷室空間とに仕切る仕切り部材を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート制御装置。
【請求項9】
車両のシートを制御するための方法であって、前記車両は、第1シートと、前記車両の前後方向において前記第1シートの後方に設けられた第2シートとを含み、
前記第2シートの位置は、前記前後方向における前記第2シートのスライド位置と、前記第2シートのリクライニング位置とを含み、
前記車両において前記第2シートの後方に配置された部材に前記第2シートが接触しないように定められた、前記リクライニング位置の限界であるリクライニング限界位置と、前記スライド位置との関係を記憶する記憶部から前記関係を読み出すステップと、
前記前後方向における前記第1シートと前記第2シートとの間の空隙の大きさの下限を、前記第2シートの状況に関する所定情報に従って設定する設定処理を実行するステップと、
前記リクライニング限界位置を超えない前記リクライニング位置の範囲として前記関係に基づいて定められる第1範囲内に前記リクライニング位置を制御するとともに、前記空隙の大きさが前記下限以上になる前記スライド位置の範囲として前記第1シートの位置に従って定められる第2範囲内に前記スライド位置を制御するシート位置制御を実行するステップとを含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート制御装置、方法、およびプログラムに関し、特に、車両のシート制御装置、車両のシートを制御するための方法、および、この方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004-203122号公報(特許文献1)は、車両用シート制御装置を開示する。このシート制御装置は、車両のシートがその後方部材と干渉しないようにシートのスライド範囲およびリクライニング範囲を定めるマップに基づいて、シートのスライド制御またはリクライニング制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-203122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両は、車室に設けられた第1シート(例えば、フロントシート)と、その後方に設けられた第2シート(例えば、リアシート)とを含み得る。そのような車両において、シート制御装置が第2シートのスライド制御およびリクライニング制御を上記のように行う場合、第2シートとその後方部材との間の干渉は回避される。その一方で、状況によっては、第2シートがその前方の第1シートと干渉する可能性がある。この場合、第2シートに着座しているユーザの快適性が低下する。特許文献1では、そのような問題について検討されていない。
【0005】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、車両ユーザの快適性を向上させるための、シート制御装置、方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシート制御装置は、車両のシート制御装置である。車両は、第1シートと、第2シートとを含む。第2シートは、車両の前後方向において第1シートの後方に設けられている。第2シートの位置は、前後方向における第2シートのスライド位置と、第2シートのリクライニング位置とにより定められる。シート制御装置は、記憶部と、制御部とを備える。記憶部は、リクライニング制限位置と、スライド位置との関係を記憶する。リクライニング制限位置は、車両において第2シートの後方に配置された部材に第2シートが接触しないように定められた、リクライニング位置の制限位置である。制御部は、設定処理およびシート位置制御を実行する。設定処理は、前後方向における第1シートと第2シートとの間の空隙の大きさの下限を、第2シートの状況に関する所定情報に従って設定する処理を含む。シート位置制御は、リクライニング制限位置を超えないリクライニング位置の範囲として関係に基づいて定められる第1範囲内にリクライニング位置を制御するとともに、空隙の大きさが下限以上になるスライド位置の範囲として第1シートの位置に従って定められる第2範囲内にスライド位置を制御することを含む。
【0007】
上記の構成とすることにより、リクライニング位置が第1範囲内に制御されるため、リクライニング制限位置を超えることが防止される。これにより、第2シートが後方部材に接触(干渉)する事態が回避される。さらに、設定処理により空隙の大きさの下限が第2シートの状況に依存して適切に設定されて、スライド位置は、第2範囲内に制御される。これにより、空隙の大きさがそのように設定された下限以上になるようにスライド位置が制御される。これにより、適切な空隙の大きさが確保されるため、第2シートが第1シートに過度に接近して干渉する事態が回避される。その結果、第2シートのユーザの快適性を向上させることができる。
【0008】
第2シートは、シートクッションの前端部に設けられるとともに展開および収納が可能なオットマンを含んでもよい。所定情報は、オットマンが展開されているか、または、オットマンが収納されているかを示す情報を含んでもよい。設定処理は、オットマンが展開されている場合に、オットマンが収納されている場合よりも下限を大きく設定する処理を含んでもよい。
【0009】
オットマンが展開されている場合、オットマンが収納されている場合とは異なり、第2シートのユーザの脚は、オットマンの脚置き面上にあると考えられる。よって、ユーザの快適性の観点から(具体的には、ユーザがその足を十分に伸ばすための空間を確保するために)、相対的に大きな空隙が確保されることが好ましい。上記の構成とすることにより、オットマンが展開されている場合に、空隙の大きさの下限が相対的に大きく設定される。これにより、相対的に大きな空隙が確保される。その結果、オットマンを搭載する車両のユーザの快適性を向上させることができる。
【0010】
車両は、第2シート上での乗員の着座および非着座を検知するように構成された第1検知装置をさらに含んでもよい。所定情報は、第1検知装置による検知結果を示す情報を含んでもよい。設定処理は、第1検知装置により乗員の着座が検知されている場合に、非着座が検知されている場合よりも下限を大きく設定する処理を含んでもよい。
【0011】
ユーザが第2シート上に着座している場合、ユーザの快適性の観点から(具体的には、ユーザがその姿勢を自由に調整するための空間を十分に確保するために)、相対的に空隙が確保されることが好ましい。その一方で、ユーザが第2シート上に着座していない場合、空隙の大きさが小さいことは、ユーザの快適性に影響を及ぼさない。むしろ、リクライニング操作に起因して第2シートが後ろ向きに可能な限りリクライニングできるように(車両の前方向に可能な限りスライドできるように)、または、第1シートが後方にスライドするための空間を十分に確保するために、特定の状況下では、空隙の大きさが小さいことが好ましい可能性もある。上記の構成とすることにより、第2シート上でユーザが着座している場合に空隙の大きさの下限が相対的に大きく設定される一方で、第2シート上でユーザが着座していない場合に下限が相対的に小さく設定される。これにより、第2シート上でのユーザの着座/非着座によって空隙の大きさを適切に設定することができる。
【0012】
車両は、乗員による第2シートのリクライニング操作を受ける操作装置をさらに含んでもよい。リクライニング操作は、リクライニング位置を手動で変化させる手動操作と、リクライニング位置を所定の目標位置まで自動で変化させることを指示する自動操作とを含んでもよい。所定情報は、リクライニング操作が手動操作または自動操作のいずれであるかを示す情報を含んでもよい。設定処理は、リクライニング操作が自動操作である場合、リクライニング操作が手動操作である場合よりも下限を大きく設定する処理を含んでもよい。
【0013】
リクライニング操作に起因して、第2シートは、後ろ向きに可能な限りリクライニングできるように車両の前方向にスライドし得る。第2シートは、リクライニング操作が手動操作または自動操作であるかに依存して自動または手動でリクライニングされる。もしも第1シートと第2シートとの間に有体物があるならば、第2シートが前方にスライドして有体物に接触する事態は好ましくない。手動操作の場合、ユーザが有体物に気づいて第2シートの移動を中断することができるため、第2シートが有体物に接触する可能性が低い。自動操作の場合、第2シートが前方に自動的にスライドしている間に有体物に接触する事態を回避するために、相対的に大きな空隙が確保されることが好ましい。上記の構成とすることにより、自動操作の場合、手動操作の場合よりも下限が大きく設定される。これにより、相対的に大きな空隙が確保されるため、自動操作に起因して第2シートが障害物に接触する事態を回避することができる。
【0014】
シート制御装置は、第1シートのスライド位置としての第1シートスライド位置を制御する第1シート制御部をさらに備えてもよい。車両は、乗員による第2シートのリクライニング操作を受ける操作装置をさらに含んでもよい。第1シート制御部は、車両の前方向における第1シートスライド位置の限界であるスライド限界位置よりも第1シートスライド位置が車両の後方向にある場合、第1シートスライド位置をリクライニング操作に応答して前方向に変化させる第1シート位置制御を実行してもよい。
【0015】
リクライニング操作に起因して、第2シートは、後ろ向きに可能な限りリクライニングできるように車両の前方向にスライドし得る。第1シートスライド位置がスライド限界位置よりも後方向にある場合、第1シートは、その時点でのスライド位置よりも前方に移動することができる。第1シートがより前方に移動するほど、空隙の大きさがより大きくなり、第2シートのスライド位置の前方への変位可能量が大きくなるため、リクライニング位置の後ろ向きへの変位可能量も大きくなる。上記の構成とすることにより、リクライニング操作に応答して、第1シートが前方に移動するため、空隙の大きさが大きくなる。その結果、第2シートのスライド位置の前方への変位可能量が大きくなるため、リクライニング位置の後ろ向きへの変位可能量も大きくなる。したがって、リクライニング操作時に第2シートのユーザの快適性を向上させることができる。
【0016】
車両は、第1シート上での乗員の着座および非着座を検知するように構成された第2検知装置をさらに含んでもよい。第1シート制御部は、第2検知装置により乗員の非着座が検知された場合に第1シート位置制御を実行してもよい。
【0017】
上記の構成とすることにより、第1シート上での乗員の不在が検知された場合に、第1シートが前方に移動する。これにより、第1シート上の乗員の快適性が損なわれる事態を防止しつつ第2シートをより多くリクライニングさせることができる。
【0018】
第1シート位置制御は、リクライニング操作に応答して第1シートスライド位置をスライド限界位置まで変化させる制御を含んでもよい。
【0019】
上記の構成とすることにより、空隙を可能な限り大きくすることができる。これにより、第2シートを前方に可能な限り移動させることができるため、第2シートを後ろ向きに可能な限りリクライニングさせることができる。その結果、第2シートのユーザの快適性を可能な限り向上させることができる。
【0020】
車両の車室空間は、第2シートを含む搭乗空間と、搭乗空間の後方にある車両の荷室空間とを含んでもよい。部材は、車室空間を搭乗空間と荷室空間とに仕切る仕切り部材を含んでもよい。
【0021】
他の局面に従うと、車両のシートを制御するための方法が提供される。車両は、第1シートと、車両の前後方向において第1シートの後方に設けられた第2シートとを含む。第2シートの位置は、前後方向における第2シートのスライド位置と、第2シートのリクライニング位置とを含む。上記方法は、車両において第2シートの後方に配置された部材に第2シートが接触しないように定められた、リクライニング位置の限界であるリクライニング限界位置と、スライド位置との関係を記憶する記憶部から関係を読み出すステップと、前後方向における第1シートと第2シートとの間の空隙の大きさの下限を、第2シートの状況に関する所定情報に従って設定する設定処理を実行するステップと、リクライニング限界位置を超えないリクライニング位置の範囲として関係に基づいて定められる第1範囲内にリクライニング位置を制御するとともに、空隙の大きさが下限以上になるスライド位置の範囲として第1シートの位置に従って定められる第2範囲内にスライド位置を制御するシート位置制御を実行するステップとを含む。
【0022】
さらに他の局面に従うと、上記の方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、車両ユーザの快適性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態における車両をその上方から平面視したときの図である。
図2】各シートの構成および操作装置の機能を詳細に説明するための図である。
図3】前述の制御装置の構成を説明するための図である。
図4】ユーザが後席リクライニング操作を行うときに実行されるシート制御を説明するための図である。
図5】オットマンが展開されている場合に空隙の大きさを判定する手法を説明するための図である。
図6】オットマンが展開されている状態で後方向に後席リクライニング位置が変化する状況を表す図である。
図7】後席シートのメモリに記憶されるデータを例示する図である。
図8】後席リクライニング操作時の、後席シート30の動作点の推移を例示する図である。
図9】実施の形態に従う後席シートECU(Electronic Control Unit)による設定処理の手順を例示するフローチャートである。
図10】後席シートECUによる後席シートの制御の手順を例示するフローチャートである。
図11】この変形例に従う前席シートECUおよび後席シートECUによるシート制御の手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。実施の形態およびその変形例の各々は、適宜互いに組み合わせられてもよい。
【0026】
図1は、実施の形態における車両をその上方から平面視したときの図である。図1を参照して、車両1の前後方向を方向LDとも表す。特に、車両1の前方向および後方向を、それぞれ、前方向FDおよび後方向BDとも表す。車両1は、複数のシート10と、仕切り部材40と、スタートスイッチ60と、多数の操作装置70とを備える。
【0027】
複数のシート10は、運転席シート20と、助手席シート25と、後席シート30,35とを含む。運転席シート20および助手席シート25は、それぞれ、運転者および運転助手が座るために設けられている。助手席シート25は、本開示の「第1シート」の一例である。後席シート35,30は、それぞれ、方向LDにおいて運転席シート20および助手席シート25の後方に設けられている。後席シート30は、本開示の「第2シート」の一例である。
【0028】
各シートは、スライド可能かつリクライニング可能な可動部材である。各シートの位置は、方向LDにおける当該シートのスライド位置と、当該シートのリクライニング位置により定められる。例えば、後席シート30の位置は、方向LDにおける後席シート30のスライド位置と、後席シート30のリクライニング位置とにより定められる。
【0029】
仕切り部材40は、車両1において後席シート30,35の後方に配置されており、車両1の車室空間を搭乗空間50と荷室空間55とに仕切る固定のパーティション部材である。搭乗空間50は、後席シート30,35を含む。荷室空間55は、搭乗空間50の後方にある。仕切り部材40は、本開示の「後方部材」の一例である。
【0030】
スタートスイッチ60は、車両1の走行システムの起動および停止を切り替えるために操作される。
【0031】
多数の操作装置70は、操作装置70a1~70d2を含む。各操作装置70は、当該操作装置70の近傍に設けられた対応シートの位置を変化させるためのユーザ操作を受ける。例えば、操作装置70a1,70a2の各々に対して、対応シートは、助手席シート25である。操作装置70b1,70b2の各々に対して、対応シートは、後席シート30である。操作装置70c1,70c2の各々に対して、対応シートは、後席シート35である。操作装置70d1,70d2の各々に対して、対応シートは、運転席シート20である。このように、各シート10に対して複数の(この例では、2つの)操作装置70が設けられている。対応シートのユーザは、当該シートの近傍の複数の操作装置70のうちの自らの好むものを選択し、それを用いて当該シートの位置を変化させることができる。操作装置70は、シートのスライドまたはリクライニングを中断するユーザ操作を受けることもできる。
【0032】
車両1は、車両1の各種制御を実行するための制御装置をさらに備える。この制御装置の構成については、後ほど詳しく説明する。
【0033】
図2は、各シート10の構成および操作装置70の機能を詳細に説明するための図である。この例は、後席シート30の構成について代表的に説明する。
【0034】
後席シート30は、オットマン105と、シートクッション110と、シートバック115と、ヘッドレスト120と、シートアジャスタ125と、着座センサ140とを含む。オットマン105、シートクッション110、シートバック115、およびヘッドレスト120は、後席シート30の本体部分を形成する。
【0035】
オットマン105は、シートクッション110の前端部に設けられるとともに展開および収納が可能に構成されている。オットマン105の展開角度θotが非零である場合、オットマン105は、方向DRに展開されている(展開状態)。展開角度θotが零である場合、オットマン105は、展開されておらず収納されている(収納状態)。展開角度θotは、操作装置70を用いたユーザ操作により定められる。
【0036】
シートクッション110は、オットマン105およびシートバック115に連結されている。シートバック115は、ヘッドレスト120に連結されている。シートアジャスタ125は、操作装置70を用いたユーザ操作に応答して後席シート30の位置を変化させるように構成されている。シートアジャスタ125は、モータ130,132,134と、回転数センサ131,133,135とを含む。
【0037】
モータ130は、後席シート30(詳細には、その本体部分)のスライド位置を変化させるように構成されている。具体的には、モータ130は、フロアFLR上に配置されるスライドレール150に沿ってX軸方向(前方向FD)またはその反対方向(後方向BD)に後席シート30の本体部分を移動させるように構成されている。スライド位置は、この例では、X軸上での、シートクッション110の前端部の座標(x)により定められる。X軸の原点Oは、例えば、後席シート30がスライドレール150に沿って後方向BDにおける限界位置まで移動したときのシートクッション110の前端部の位置として定められる。xの、原点Oからの変位量をΔxとも表す。Δxは、スライドレール150の後端部からX軸上でシート10(後席シート30)の本体部分が移動した距離に等しい。前方向FDにおけるスライド限界位置でのxをxfとも表す。回転数センサ131は、モータ130の回転数を測定する。
【0038】
モータ132は、後席シート30のリクライニング位置を変化させるように構成されている。すなわち、モータ132は、前方向FRまたは後方向RRにシートバック115をリクライニングさせるように構成されている。リクライニング位置は、角度θrにより定められる。角度θrは、シートバック115が前方向FRまたは後方向RRにおいてシートバック115の基準位置RPから傾斜する角度である。基準位置RPは、デフォルトのリクライニング位置として予め定められている。リクライニング位置は、後方向RRにおいて制限位置RPR、または前方向FRにおいて制限位置RPFを超えない限りどのような値を取ってもよい。回転数センサ133は、モータ132の回転数を測定する。
【0039】
モータ134は、方向DRにおいてオットマン105を展開(回動)可能に構成されている。回転数センサ135は、モータ134の回転数を測定する。
【0040】
着座センサ140は、この例では、後席シート30上での車両1のユーザ(乗員)の着座および非着座を検知するように構成されている。具体的には、着座センサ140は、シートクッション110にかかる荷重を検知する重量センサであり、その荷重が所定のしきい値以上である場合に着座を検知し、荷重がしきい値未満である場合に非着座を検知する。着座センサ140は、本開示の「第1検知装置」の一例である。
【0041】
操作装置70は、前述のように、操作装置70b1または70b2のいずれであってもよく、各種のユーザ操作を受ける。当該ユーザ操作は、車両1のユーザが後席シート30のリクライニング位置を方向RR(又はFR)に変化させるための、ユーザによる後席シート30のリクライニング操作を含む。このリクライニング操作は、リクライニング位置を逐次手動で変化させる手動操作と、リクライニング位置を所定の目標位置まで自動で変化させることを指示する自動操作とを含む。手動操作は、走行システムが起動または停止しているかとは無関係に可能である。他方、自動操作は、走行システムが起動している間にのみ可能である。ユーザは、リクライニング操作の種類(手動操作/自動操作)、および、リクライニング位置の変位量を、操作装置70を用いて決定することができる。
【0042】
上記において、後席シート30の構成を説明したが、運転席シート20、助手席シート25および後席シート35の各々も、後席シート30と同様の構成を有する。例えば、助手席シート25は、助手席シート25上での車両1の乗員(運転助手)の着座および非着座を検知するように構成された着座センサ140を含む。この着座センサ140は、本開示の「第2検知装置」の一例である。運転席シート20および助手席シート25の各々は、オットマン105、モータ134、および回転数センサ135を含んでいなくてもよい。
【0043】
図3は、前述の制御装置の構成を説明するための図である。図3を参照して、制御装置200は、本開示の「シート制御装置」の一例であって、車両ECU210と、前席シートECU220と、後席シートECU230とを含む。
【0044】
車両ECU210、前席シートECU220、および後席シートECU230の各々は、CPU(Central Processing Unit)202と、メモリ204とを含む。CPU202は、各種の演算処理を実行する。メモリ204は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む(いずれも図示せず)。ROMは、CPU202により実行されるプログラム、および各種データを記憶する。
【0045】
車両ECU210は、車両1全体の状態を管理する。車両ECU210は、例えば、走行システムの起動/停止と、オットマン105の展開/収納と、各シートに対する、着座センサ140による検知結果、リクライニング操作の種類(手動操作/自動操作)ならびに、リクライニング位置およびスライド位置とを管理する。
【0046】
前席シートECU220は、車両1の前席シート(この例では、助手席シート25)のシートアジャスタ125を制御することによって当該前席シートの位置(スライド位置およびリクライニング位置)を制御する。前席シートECU220は、助手席シート25に対応する回転数センサ131,133の測定結果(モータ130,132の回転数)を自身のメモリ204に逐次格納し、その測定結果の履歴に基づいて助手席シート25の位置を判定する。前席シートECU220は、本開示の「第1シート制御部」の一例に相当する。
【0047】
後席シートECU230は、制御部201を含む。制御部201は、CPU202を含み、車両1の後席シート(この例では、後席シート30)を制御する。具体的には、制御部201は、後席シート30のシートアジャスタ125を制御することによって後席シート30の位置(スライド位置およびリクライニング位置)ならびに展開角度θotを制御する。制御部201は、後席シート30に対応する回転数センサ131,133,135の測定結果(モータ130,132,134の回転数)を自身のメモリ204に逐次格納し、その測定結果の履歴に基づいて、後席シート30の位置および展開角度θotを判定する。
【0048】
以下、助手席シート25のスライド位置およびリクライニング位置を、それぞれ、「前席スライド位置」、および「前席リクライニング位置」とも表す。助手席シート25に対するリクライニング操作を「前席リクライニング操作」とも表す。後席シート30のスライド位置およびリクライニング位置を、それぞれ、「後席スライド位置」、および「後席リクライニング位置」とも表す。後席シート30に対するリクライニング操作を「後席リクライニング操作」とも表す。
【0049】
前席シートECU220および後席シートECU230は、例えばCAN(Controller Area Network)通信またはLIN(Local Interconnect Network)通信を介して互いに各種情報をやり取りする。当該情報は、前席リクライニング操作の種類を示す情報と、前席スライド位置および前席リクライニング位置を示す情報と、助手席シート25の着座センサ140の検知結果を示す情報と、後席リクライニング操作の種類を示す情報と、後席スライド位置および後席リクライニング位置を示す情報と、後席シート30の着座センサ140の検知結果を示す情報と、後席シート30のオットマン105が展開状態または非展開状態のいずれにあるかを示す情報(展開角度θot)とを含む。前席シートECU220は、これらの情報を車両ECU210へ送信する。これにより、車両ECU210は、車両1の状態を判定することができるため、上記のように車両1全体の状態を管理することができる。
【0050】
図4は、ユーザが後席リクライニング操作を行うときに実行される後席シート位置制御を説明するための図である。このリクライニング操作は、手動操作または自動操作のいずれであってもよい。この例では、オットマン105は収納されている。
【0051】
図4を参照して、後席スライド位置をx1とも表す。x1の原点OをO1とも表す。x1の、O1からの変位量をΔx1とも表す。前席スライド位置をx2とも表す。x2の原点OをO2とも表す。x2の、O2からの変位量をΔx2と表す。O1とO2との間の距離を距離Zとも表す。方向LDにおける助手席シート25のシートクッション110の長さを長さLとも表す。距離Zを表す情報、および長さLを表す情報は、後席シートECU230のメモリ204に予め記憶されている。距離Zおよび長さLは、一定である。後席シート30および助手席シート25のxfを、それぞれ、xf1,xf2とも表す。
【0052】
ユーザUによる後席リクライニング操作の前、後席リクライニング位置は、基準位置RPにあったものとする。ユーザUが後席リクライニング操作により後方向RRに後席シート30をリクライニングさせる場合、後席シート30が仕切り部材40に干渉(接触)することは好ましくない。
【0053】
後席シートECU230(制御部201)は、後席リクライニング操作時にそのような干渉が回避されるように、後席シート30を後方向RRにリクライニングさせるとともに前方向FDにスライドさせる。後席シートECU230のメモリ204は、後席シート30のリクライニング制限位置LPと、後席スライド位置(x1)との関係である干渉回避ラインを記憶している。リクライニング制限位置LPは、後席シート30が仕切り部材40に接触しないように定められた、後席リクライニング位置の制限位置である。後席リクライニング位置がリクライニング制限位置LPであるときの角度θrを、リクライニング制限角度θrLとも表す。オットマン105が収納されており、かつ、後席リクライニング位置がリクライニング制限位置LPであるときの後席スライド位置(x1)の座標をx1aとも表す。後席シートECU230は、上述の干渉回避ラインを用いて後席シート位置制御を実行する。干渉回避ラインおよびこの後席シート位置制御については、後ほど詳しく説明する。
【0054】
空隙SPは、方向LDにおける助手席シート25と後席シート30との間の空隙である。オットマン105が展開されていない場合(展開角度θotが零)、後席シートECU230は、後席シート30のシートクッション110の前端部と、助手席シート25のシートクッション110の後端部(この例では、シートバック115の後端部に等しい)との間の距離を算出することによって空隙SPの大きさを判定する。詳細には、後席シートECU230は、距離Zとx2(Δx2)との合計から、長さLおよびx1(Δx1)を差し引くことによって空隙SPの大きさを判定する(下記の式(1))。
【0055】
SP=Z+x2-x1-L…(1)
なお、オットマン105が展開されている場合(展開角度θotが非零)、空隙SPの大きさは、式(1)とは異なる計算式を用いて判定される。以下、この点を説明する。
【0056】
図5は、オットマン105が展開されている場合に空隙SPの大きさを判定する手法を説明するための図である。
【0057】
図5を参照して、後席シートECU230は、後席シート30のオットマン105の前端部と、助手席シート25のシートクッション110の後端部(シートバック115の後端部)との間の距離を算出することによって空隙SPの大きさを判定する。詳細には、後席シートECU230は、距離Zとx2(Δx2)との合計から、長さL、x1(Δx1)およびΔOtを差し引くことによって空隙SPの大きさを判定する(下記の式(2))。
【0058】
SP=Z+x2-x1-L-ΔOt…(2)
ΔOtは、オットマン105の展開部分の、X軸上への射影距離である。後席シートECU230のメモリ204は、展開角度θrとΔOtとの予め定められた関係を表すマップを記憶しており、後席シートECU230は、このマップと展開角度θrとに基づいてΔOtを判定する。
【0059】
オットマン105が展開されており、かつ、後席リクライニング位置がリクライニング制限位置LPであるときの後席スライド位置(x1)の座標をx1bとも表す。x1bに関するΔx1をΔx1bとも表す。オットマン105の前端部のx座標(x1bとΔOtとの合計)をx1bbとも表す。
【0060】
図4を再び参照して、後席シートECU230が、後席リクライニング操作時に後席シート30と仕切り部材40との間の干渉が回避されるように後席リクライニング位置および後席スライド位置を制御する場合、後席スライド位置が前方向FDに変化し得る。その結果、状況によっては、後席シート30が助手席シート25と干渉する可能性がある。この場合、後席シート30に着座しているユーザUの快適性が低下する。
【0061】
実施の形態に従う制御装置200は、そのような問題に対処するための構成を備える。具体的には、制御装置200(詳細には、後席シートECU230の制御部201)は、後席シート30の状況に関する所定情報に従って空隙SPの大きさの下限を設定する設定処理を実行する。この所定情報を「後席状況情報」とも表す。制御装置200(制御部201)は、リクライニング制限位置LPに基づくリクライニング許容範囲内に後席リクライニング位置を制御するとともに、上記の下限に基づくスライド許容範囲内に後席スライド位置を制御する後席シート位置制御を実行する。詳細には、リクライニング許容範囲は、リクライニング制限位置LPを超えない後席リクライニング位置の範囲として前述の干渉回避ラインに基づいて定められる。スライド許容範囲は、空隙SPの大きさがその下限以上になる後席スライド位置の範囲として助手席シート25の位置(例えば、前席スライド位置)に従って定められる。
【0062】
このような構成とすることにより、後席リクライニング位置がリクライニング許容範囲内に制御されるため、リクライニング制限位置LPを超えることが防止される。これにより、後席シート30が仕切り部材40に接触(干渉)する事態が回避される。さらに、設定処理により空隙SPの大きさの下限が後席シート30の状況に依存して適切に設定されて、後席スライド位置は、スライド許容範囲内に制御される。これにより、空隙SPの大きさがそのように適切に設定された下限以上になるように後席スライド位置が制御される。これにより、適切な空隙SPが確保されるため、後席シート30が助手席シート25に過度に接近して干渉する事態が回避される。その結果、後席シート30に着座しているユーザUの快適性を向上させることができる。
【0063】
後席リクライニング操作時に、後席シートECU230は、後席シート30が仕切り部材40に干渉しないように後席スライド位置を前方向FDに変化させる。このように後席スライド位置が変化している間に空隙SPの大きさが下限になると、後席シートECU230は、後席シート30のモータ130,および132(図2)を停止する。これにより、後席シート30のスライドおよびリクライニングが停止される。その結果、空隙SPの大きさが下限未満になることが回避される。したがって、設定された下限以上の空隙SPが確保される。
【0064】
以下、前述の後席状況情報の例を説明する。まず、第1の例を説明する。第1の例では、後席状況情報は、オットマン105が展開されているか、または、オットマン105が収納されているかを示す情報(展開/収納情報)である。この例では、後席シートECU230による設定処理は、オットマン105が展開されている場合に、オットマン105が収納されている場合よりも空隙SPの大きさの下限を大きく設定する処理に相当する。展開/収納情報は、回転数センサ135の測定結果に基づいて生成される。
【0065】
図4の例では、下限LMは、LM1に設定されている。オットマン105が収納されているため(θot=0)、ユーザUの脚は、フロアFLR上にある。
【0066】
図6は、オットマン105が展開されている状態で後方向RRに後席リクライニング位置が変化する状況を表す図である。図6を参照して、オットマン105が展開されているため(この例では、θot=90)、図4の例とは異なり、ユーザUの脚は、オットマン105の脚置き面上にある。下限LMは、LM2に設定されている(LM2>LM1)。
【0067】
オットマン105の展開時には、ユーザUの快適性の観点から(具体的には、ユーザUがその足を十分に伸ばすための空間を確保するために)、相対的に大きな空隙SPが確保されることが好ましい。この例では、下限LMが相対的に大きく設定される(LM=LM2>LM1)。これにより、相対的に大きな空隙SPが確保される。その結果、ユーザUの快適性を向上させることができる。
【0068】
図4を再び参照して、第2の例を説明する。第2の例では、後席状況情報は、後席シート30の着座センサ140の検知結果を示す情報(着座/非着座情報)である。この例では、設定処理は、着座センサ140によりユーザUの着座が検知されている場合に、ユーザUの非着座が検知されている場合よりも下限LMを大きく設定する処理に相当する。
【0069】
ユーザUが後席シート30上に着座している場合、ユーザUの快適性の観点から(具体的には、ユーザUがその姿勢または後席リクライニング位置および後席スライド位置を自由に調整するための空間を十分に確保するために)、相対的に大きな空隙SPが確保されることが好ましい。その一方で、ユーザUが後席シート30上に着座していない場合、空隙SPが小さいことは、ユーザUの快適性に影響を及ぼさない。むしろ、後席リクライニング操作に起因して後席シート30が後方向RRに可能な限りリクライニングできるように(前方向FDに可能な限りスライドできるように)、または、運転助手の快適性の観点から助手席シート25が後方向BDにスライドするための空間を十分に確保するために、特定の状況下では、空隙SPの大きさが小さいことが好ましい可能性もある。第2の例の設定処理によれば、後席シート30上でユーザUが着座している場合に下限LMが相対的に大きく設定される一方で、後席シート30上でユーザUが着座していない場合に下限LMが相対的に小さく設定される。これにより、後席シート30上でのユーザUの着座/非着座によって空隙SPの大きさを適切に設定することができる。
【0070】
以下、第3の例を説明する。第3の例では、後席状況情報は、後席リクライニング操作が手動操作または自動操作のいずれであるかを示す情報(手動/自動情報)である。この例では、設定処理は、後席リクライニング操作が自動操作である場合、後席リクライニング操作が手動操作である場合よりも下限LMを大きく設定する処理に相当する。手動/自動情報は、後席シート30に対応する操作装置70から後席シートECU230に与えられる。
【0071】
後席リクライニング操作に起因して、後席シート30は、後方向RRに可能な限りリクライニングできるように前方向FDにスライドし得る。後席シート30は、リクライニング操作が手動操作または自動操作であるかに依存して自動または手動でリクライニングされる。もしも助手席シート25と後席シート30との間に何かの有体物(図示せず)があるならば、後席シート30が前方向FDにスライドして有体物に接触する事態は好ましくない。手動操作の場合、ユーザUが有体物に気づいて後席シート30のスライドを中断することができるため、後席シート30が有体物に接触する可能性が低い。自動操作の場合、後席シート30が前方向FDに自動的にスライドしている間に有体物に接触する事態を回避するために、相対的に大きな空隙SPが確保されることが好ましい。第3の例の設定処理によれば、自動操作の場合、手動操作の場合よりも下限LMが大きく設定される。これにより、自動操作の場合に相対的に大きな空隙SPが確保されるため、自動操作に起因して後席シート30が障害物に接触する事態を回避することができる。
【0072】
図7は、後席シート30のメモリ204に記憶されるデータを例示する図である。図7を参照して、データ600は、後席状況情報(着座/非着座情報610、展開/収納情報620、および手動/自動情報630)と、下限LMを示す空隙下限情報640との関係を表す。データ600は、下限LMに対する設定処理の時に後席シートECU230により用いられる。
【0073】
例えば、後席シートECU230は、後席シート30上でのユーザUの着座が検知されており、オットマン105が展開されており、かつ、後席リクライニング操作が手動操作であると判定する場合、相対的に大きいLM2に下限LMを設定する。後席シートECU230は、後席シート30上でのユーザUの非着座が検知されており、オットマン105が収納されており、かつ、後席リクライニング操作が自動操作であると判定する場合、相対的に小さいLM1に下限LMを設定する。
【0074】
図8は、後席リクライニング操作時の、後席シート30の動作点の推移を例示する図である。図8を参照して、動作点は、後席リクライニング位置(角度θr)および後席スライド位置(x1)により定められる。この例では、後席リクライニング操作中に後席シート30のスライドまたはリクライニングが中断されないものとする。
【0075】
リクライニング許容範囲RARは、スライド位置(x1)に依存して変化する。スライド許容範囲SRAは、空隙SPの大きさが下限LM以上になる後席スライド位置の範囲として定められる。
【0076】
領域A1(ハッチング付与)は、もしも動作点がその領域にあるとすれば後席シート30が仕切り部材40に干渉する領域である。領域A2,A3は、動作点がその領域にある限り後席シート30が仕切り部材40に干渉しない領域である。領域A2は領域A3よりも領域A1に近い。
【0077】
線310は、後席スライド位置に依存するリクライニング制限位置LPを示し、前述の干渉回避ラインに相当する。線310は、領域A1から領域A2,A3を区切る。すなわち、動作点が線310よりも下方の領域(領域A2またはA3)にある限り後席シート30が仕切り部材40に干渉しないように線310が予め定められている。線320は、領域A2を領域A3から区切る。線310,320により示される関係は、後席シートECU230のメモリ204に予め記憶されている。
【0078】
線350は、手動操作時の動作点の軌跡の一例を表す。動作点が垂直方向に移動する期間中、後席リクライニング位置のみが変化する。動作点が水平方向に移動する期間中、後席スライド位置のみが変化する。動作点が右斜め方向に移動する期間中、後席スライド位置および後席スライド位置が連動して変化する。この期間中、動作点がジグザグに進まないため、後席シート30が滑らかにリクライニングされる。
【0079】
後席シートECU230は、基本的には、後席リクライニング操作時に動作点が領域A2内を移動するように後席リクライニング位置および後席スライド位置を制御する。動作点は、後席リクライニング操作の直前にはP0であるが、この操作に応答して領域A2内に入り、その後、角度θrおよびx1が大きくなるように変化する。
【0080】
この例では、後席リクライニング操作時に後席シート30の移動が停止する動作点は、P1aまたはP1bである。言い換えれば、後席スライド位置(x1)がx1aまたはx1b(図4図5および図6参照)に到達すると、後席シート30の移動が停止する。上記の動作点がP1aまたはP1bのいずれであるかは、データ600に基づいて定められる。
【0081】
例えば、下限LMがLM1に設定されている場合、スライド許容範囲SRAは、SAR1である(0≦x≦x1a)。スライド位置がx1aに到達すると(この例では動作点がP1aに到達すると)、後席シート30の移動が停止する。下限LMがLM2に設定されている場合、スライド許容範囲SRAは、SAR2である(0≦x≦x1b)。スライド位置がx1bに到達すると(この例では動作点がP1bに到達すると)、後席シート30の移動が停止する。
【0082】
自動操作時には、後席シート30の位置は、動作点が領域A2に入った後に右斜め方向にのみ移動するように変化してもよい。これにより、動作点がジグザグに進むことがないため、後席リクライニングの動きをより滑らかにし、かつ、後席リクライニングにかかる時間を短縮することができる。その結果、ユーザUの快適性を向上させることができる。
【0083】
図9は、実施の形態に従う後席シートECU230(制御部201)による設定処理の手順を例示するフローチャートである。この処理は、データ600に基づいて実行される。以下、ステップを「S」と略す。
【0084】
図9を参照して、後席シートECU230は、オットマン105が展開状態にあるか否かに従って処理を切り替える(S110)。オットマン105が展開状態にある場合(S110においてYES)、後席シートECU230は、空隙SPの下限LMを大きく、例えばLM2に設定し(S115)、処理を終了する。オットマン105が展開状態にない、すなわち収納状態にある場合(S110においてNO)、処理は、S120に進む。
【0085】
後席シートECU230は、後席シート30上での着座が検知されているか否かを後席シート30の着座センサ140の検知結果に従って判定する(S120)。後席シート30上での非着座が検知されている場合(S120においてNO)、後席シートECU230は、下限LMを小さく、例えばLM1に設定する(S125)。後席シート30上での着座が検知されている場合(S120においてYES)、処理は、S130に進む。
【0086】
後席シートECU230は、後席リクライニング操作が手動操作または自動操作であるかに従って処理を切り替える(S130)。後席リクライニング操作が自動操作である場合、後席シートECU230は、下限LMを大きく、例えばLM2に設定する(S135)。後席リクライニング操作が手動操作である場合、後席シートECU230は、下限LMを小さく、例えばLM1に設定する(S140)。
【0087】
図10は、後席シートECU230(制御部201)による後席シート30の制御の手順を例示するフローチャートである。このフローチャートの処理は、後席シートECU230がそのメモリ204に記憶されるプログラムを実行すると行われ、後席リクライニング操作に応答して開始する。
【0088】
図10を参照して、後席シートECU230は、設定処理(図9)を実行することによって下限LMを設定する(S210)。後席シートECU230は、前席シートECU220からx2を取得し、前述の式(1)または(2)を用いて空隙SPの大きさを判定する(S215)。後席シートECU230が式(1)または(2)のいずれを用いるかは、展開角度θotに依存して異なる。
【0089】
後席シートECU230は、空隙SPの大きさが下限LM以下であるか否かを判定する(S220)。空隙SPの大きさが下限LM未満である場合(S220においてYES)、後席シートECU230は、後席シート30が助手席シート25にこれ以上接近しないように処理を終了する。空隙SPの大きさが下限LM以上である場合(S220においてNO)、後席シートECU230は、そのメモリ204から干渉回避ライン(図8の線310)を読み出す(S225)。
【0090】
後席シートECU230は、干渉回避ラインを用いて、後席スライド位置(x1)に対応するリクライニング許容範囲RARを判定する(S227)。後席シートECU230は、式(1)または式(2)の左辺に下限LMを代入することによって導出されるx1(例えば、x1aまたはx1b)を後席スライド位置の上限として、スライド許容範囲SARを判定する(S229)。
【0091】
後席シートECU230は、リクライニング許容範囲RARおよびスライド許容範囲SARに従って後席リクライニング位置および後席スライド位置を制御する後席シート位置制御を実行する(S230)。具体的には、後席シートECU230は、モータ130,132を駆動することによって、リクライニング許容範囲RAR内に後席スライド位置を制御するとともにスライド許容範囲SAR内に後席リクライニング位置を制御する。
【0092】
後席シートECU230は、空隙SPの大きさを判定し(S240)、空隙SPの大きさが下限LMに到達したか否かを判定する(S250)。空隙SPの大きさが未だ下限LMに到達していない場合(S250においてNO)、処理は、S225に戻る。空隙SPの大きさが下限LMに到達した場合(S250においてYES)、後席シートECU230は、モータ130,132を停止することによって後席シート30のスライドおよびリクライニングを停止する(S260)。その後、処理が終了する。
【0093】
S230の間に操作装置70を用いてオットマン105の展開が指示された場合、後席シートECU230は、設定処理(図9)を再度実行し、それにより下限LMを(例えば、LM1からLM2に)変更してもよい。
【0094】
なお、前席シートECU220による助手席シート25の制御の手順は、図10のフローチャートにより示される手順と基本的に同様であるが、助手席シート25がオットマン105を含まない場合、この制御は、オットマン105を展開する制御を含まない。
【0095】
以上のように、実施の形態によれば、後席シート30および仕切り部材40(固定部材)の干渉と、後席シート30および助手席シート25(可動部材)の干渉との双方が回避される。その結果、後席リクライニング操作が可能な車両1のユーザUの快適性を向上させることができる。
【0096】
[実施の形態の変形例]
図4を再び参照して、前席シートECU220は、前方向FDにおける前席スライド位置の限界である前席スライド限界位置よりも前席スライド位置が後方向BDにある(すなわち、x2がxf2未満である)場合、前席スライド位置を後席リクライニング操作に応答して前方向FDに自動的に変化させる前席シート位置制御を実行するようにさらに構成されていてもよい。この場合、後席シートECU230は、後席リクライニング操作に応答して前席シートECU220からx2を取得し、x2がxf2未満である場合に、前方向FDに助手席シート25を移動するように前席シートECU220に要求を送信する。前席シートECU220は、この要求に応答して、前方向FDに助手席シート25を移動させる。
【0097】
後席リクライニング操作に起因して、後席シート30は、後方向RRに可能な限りリクライニングできるように前方向FDにスライドし得る。前席スライド位置がスライド限界位置よりも後方向にある場合(x2がxf2未満である)、助手席シート25は、その時点での前席スライド位置よりも前方向FDに移動することができる。助手席シート25がより前方向FDに移動するほど、空隙SPの大きさがより大きくなり、後席スライド位置(x1)の前方向FDへの変位可能量が大きくなるため、後席リクライニング位置の後方向RRへの変位可能量も大きくなる。上記のように、後席リクライニング操作に応答して助手席シート25が前方向FDに自動的に移動すると、空隙SPの大きさが大きくなる。その結果、後席スライド位置の前方向FDへの変位可能量が大きくなるため、後席リクライニング位置の後方向RRへの変位可能量も大きくなる。したがって、後席リクライニング操作時に後席シート30をより多くリクライニングさせることができるため、ユーザUの快適性を向上させることができる。
【0098】
前席シートECU220は、助手席シート25上での乗員の非着座が助手席シート25の着座センサ140により検知されている場合に上述の前席シート位置制御を実行することが好ましい。このような構成とすることにより、助手席シート25上での乗員の不在が検知された場合にのみ、助手席シート25が前方向FDに移動する。これにより、助手席シート25上の乗員の快適性が損なわれる事態を防止しつつ後席シート30をより多くリクライニングさせることができる。
【0099】
上述の前席シート位置制御は、後席リクライニング操作に応答して前席スライド位置をスライド限界位置まで変化させる(x2をx2fまで変化させる)制御であることが好ましい。このような構成とすることにより、空隙SPを可能な限り大きくすることができる。これにより、後席シート30を前方向FDに可能な限り移動させることができるため、後席シート30を後ろ向きに可能な限りリクライニングさせることができる。その結果、ユーザUの快適性を可能な限り向上させることができる。
【0100】
図11は、この変形例に従う前席シートECU220および後席シートECU230によるシート制御の手順を例示するフローチャートである。このフローチャートの処理は、後席リクライニング操作に応答して開始する。
【0101】
図11を参照して、後席シートECU230は、後席リクライニング操作に応答して、前席スライド位置を表す情報(前席スライド位置情報)を前席シートECU220に要求する(S305)。前席シートECU220は、この要求に応答して、前席スライド位置情報を後席シートECU230に送信する(S410)。
【0102】
後席シートECU230は、受信した前席スライド位置情報に従って、前席スライド位置が前席スライド限界位置よりも後方向BDにあるか否かを判定する(S320)。前席スライド位置が既に前席スライド限界位置である場合(S320においてNO)、処理は、図10のS210に進む。前席スライド位置が前席スライド限界位置よりも後方向BDにある場合(S320においてYES)、後席シートECU230は、前席シート(この例では、助手席シート25)の前方向FDへの移動を要求する移動要求を前席シートECU220に送信する(S330)。
【0103】
前席シートECU220は、S410から所定期間内に移動要求を受信したか否かを判定する(S440)。前席シートECU220が移動要求を受信しない場合(S440においてNO)、処理を終了する。前席シートECU220が移動要求を受信する場合(S440においてYES)、処理は、S450に進む。
【0104】
前席シートECU220は、助手席シート25上での乗員の非着座が検知されているか否かを助手席シート25の着座センサ140の検知結果に従って判定する(S450)。
【0105】
乗員の着座が検知されている場合(S450においてNO)、前席シートECU220は、その旨を示す着座検知通知を後席シートECU230に送信し(S455)、その後処理を終了する。
【0106】
乗員の非着座が検知されている場合(S450においてYES)、前席シートECU220は、前方向FDに助手席シート25を移動させることによって前席スライド位置を変化させる(S460)。この例では、前席シートECU220は、前席スライド限界位置まで前席スライド位置を変化させる。前席シートECU220は、助手席シート25の移動完了(前席スライド位置が前席スライド限界位置まで変化したこと)を示す移動完了通知を後席シートECU230に送信する(S470)。
【0107】
後席シートECU230は、S330から所定期間内に通知(着座検知通知または移動完了通知)を受信したか否かを判定する(S380)。後席シートECU230が未だ通知を受信していない場合(S380においてNO)、通知が受信されるまでこの判定処理が繰り返される。後席シートECU230が通知を受信した場合(S380においてYES)、処理は、図10のS210に進む。
【0108】
以上のように、この変形例によれば、後席リクライニング操作に応答して、助手席シート25が前方向FDに(例えば、前席スライド限界位置に)自動的に移動するため、空隙SPの大きさが大きくなる。その結果、後席スライド位置の前方向FDへの変位可能量が大きくなるため、後席リクライニング位置の後方向RRへの変位可能量も大きくなる。したがって、後席リクライニング操作時にユーザUの快適性を向上させることができる。
【0109】
[その他の変形例]
図4を再び参照して、空隙SPの大きさは、前席リクライニング位置にも基づいて決定されてもよい。例えば、助手席シート25が後傾している場合、空隙SPの大きさは、後席シート30のシートクッション110の前端部と、助手席シート25のシートバック115の後端部との、X軸上での距離(射影距離)であってもよい。後席シートECU230は、前席シートECU220から前席リクライニング位置を示す情報を取得し、この情報に基づいて上記の射影距離を判定する。例えば、前席スライド位置、前席リクライニング位置、後席スライド位置、および後席リクライニング位置の組み合わせと、射影距離との関係を示すマップが後席シートECU230のメモリ204に記憶されており、後席シートECU230は、このマップを用いて、上記組み合わせに従って射影距離を判定する。
【0110】
実施の形態では、スライド許容範囲SRAおよびリクライニング許容範囲RARが定められるものとしたが、展開角度θotの許容範囲である展開許容範囲が助手席シート25の位置(例えば、前席スライド位置)に基づいて定められてもよい。展開角度θotに依存してΔOt(図5)が変化するため、空隙SPの大きさも変化する。展開角度θotを大きくすることを指示するユーザ操作が行われる場合、後席シートECU230は、空隙SPの大きさが下限LM以上になるように展開角度θotの上限を定め、それにより展開許容範囲を定めてもよい。その結果、展開角度θotが過度に大きくなるために空隙SPの大きさが小さくなることが原因でユーザUの快適性が低下する事態を防止することができる。
【0111】
実施の形態では、制御装置200は、複数のECU(車両ECU210、前席シートECU220、および後席シートECU230)に分割されるものとしたが、これらのECUの機能を有する単一のECUとして構成されていてもよい。
【0112】
実施の形態では、助手席シート25が本開示の「第1シート」の一例であるものとしたが、運転席シート20も「第1シート」の一例であり得、後席シート30に代えて後席シート35も本開示の「第2シート」の一例に相当し得る。この場合、前席シートECU220および後席シートECU230は、それぞれ、運転席シート20および後席シート35を制御する。車両1の走行システムが停止している場合にのみ、制御装置200は、後席シート35に対する後席リクライニング操作に応答して運転席シート20の前席スライド位置を前方向FDに自動的に変化させる制御を実行してもよい。
【0113】
実施の形態では、車両1が2列シートを有するものとしたが、本開示は、3列以上のシートを有する車両にも適用可能である。例えば、車両1が3列シートを有する場合、2列目のシートが本開示の「第1シート」の一例に相当し、3列目のシートが本開示の「第2シート」の一例に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
車両1、25 助手席シート、30,35 後席シート、40 仕切り部材、60 スタートスイッチ、70 操作装置、105 オットマン、140 着座センサ、200 制御装置、201 制御部、202 CPU、204 メモリ、210 車両ECU、220 前席シートECU、230 後席シートECU。
図1
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