(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152241
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配送計画作成装置、配送計画作成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20240101AFI20241018BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066308
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 雄史
(72)【発明者】
【氏名】井手 貴範
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 正旭
(72)【発明者】
【氏名】樅山 尚久
(72)【発明者】
【氏名】村松 正和
(72)【発明者】
【氏名】高橋 里司
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
【課題】一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした配送ルートを容易に作成すること。
【解決手段】実施形態の配送計画作成装置は、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するルート決定部と、前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行する最適化処理部と、前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成する配送計画作成部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するルート決定部と、
前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行する最適化処理部と、
前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成する配送計画作成部と、
を備える配送計画作成装置。
【請求項2】
前記最適化処理部は、前記到着時刻が前記巡回時間の最終時刻を越えている場合には、前記到着時刻から前記巡回時間を差し引いた値を前記到着時刻とし、最初の便の到着時刻に巡回時間を加算した便を追加して、前記到着時刻間隔を求め、前記最適化処理を行う、
請求項1に記載の配送計画作成装置。
【請求項3】
前記最適化処理部は、任意の拠点に到着する前記車両の便の順番を入れ替えて前記最適化処理を実行することを繰り返し行う、
請求項1に記載の配送計画作成装置。
【請求項4】
前記最適化処理部は、前記複数の拠点および複数の便において、前記到着時刻間隔と、前記巡回時間を前記便数で除した値と、の差分の二乗和を目的関数とし、前記目的関数が最小値となる前記出発時刻を求める、
請求項1に記載の配送計画作成装置。
【請求項5】
前記最適化処理部は、前記到着時刻間隔に前記車両の便数に応じた重み付けを行って、前記最適化処理を行う、
請求項1に記載の配送計画作成装置。
【請求項6】
前記最適化処理部は、前記複数の拠点および複数の便において、前記到着時刻間隔に前記車両の便数を乗じた値と、前記巡回時間と、の差分の二乗和を目的関数とし、前記目的関数が最小値となる前記出発時刻を求める、
請求項5に記載の配送計画作成装置。
【請求項7】
配送計画作成装置で実行される配送計画作成方法であって、
複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するステップと、
前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行するステップと、
前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成するステップと、
を含む配送計画作成方法。
【請求項8】
配送計画作成装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するステップと、
前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行するステップと、
前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成するステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送計画作成装置、配送計画作成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トラック等の車両による荷物の工場等の拠点への配送ルートを、コンピュータを用いて自動作成する技術が利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
工場等の拠点の部品を限られたスペースの中で一定在庫に維持するため、各部品を定期的に工場等の拠点へ搬送することが望まれる。配送ルートの作成の際に、各工場へのトラックの到着間隔を均一、すなわち、等間隔に設定することができれば、一定在庫を維持することが可能である。トラック等の車両の配送ルートが倉庫と一つの工場を往復するルートであれば、車両の到着間隔を人手で均一にすることを容易に実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合には、各拠点でのトラック等の車両の到着間隔を人手で均一に調整することは困難であった。
【0006】
本発明の実施形態は、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができる配送計画作成装置、配送計画作成方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の配送計画作成装置は、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するルート決定部と、前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行する最適化処理部と、前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成する配送計画作成部と、を備える。
【0008】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0009】
また、実施形態の配送計画作成装置において、前記最適化処理部は、前記到着時刻が前記巡回時間の最終時刻を越えている場合には、前記到着時刻から前記巡回時間を差し引いた値を前記到着時刻とし、最初の便の到着時刻に巡回時間を加算した便を追加して、前記到着時刻間隔を求め、前記最適化処理を行う。
【0010】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合において、巡回時間ごとにループした場合でも、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0011】
また、実施形態の配送計画作成装置において、前記最適化処理部は、任意の拠点に到着する前記車両の便の順番を入れ替えて前記最適化処理を実行することを繰り返し行う。
【0012】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画をより的確でかつ容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0013】
また、実施形態の配送計画作成装置において、前記最適化処理部は、前記複数の拠点および複数の便において、前記到着時刻間隔と、前記巡回時間を前記便数で除した値と、の差分の二乗和を目的関数とし、前記目的関数が最小値となる前記出発時刻を求める。
【0014】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0015】
また、実施形態の配送計画作成装置において、前記最適化処理部は、前記到着時刻間隔に前記車両の便数に応じた重み付けを行って、前記最適化処理を行う。
【0016】
当該構成により、一例として、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻を等間隔にして配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0017】
また、実施形態の配送計画作成装置において、前記最適化処理部は、前記複数の拠点および複数の便において、前記到着時刻間隔に前記車両の便数を乗じた値と、前記巡回時間と、の差分の二乗和を目的関数とし、前記目的関数が最小値となる前記出発時刻を求める。
【0018】
当該構成により、一例として、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻を等間隔にして配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0019】
実施形態の配送計画作成方法は、配送計画作成装置で実行される配送計画作成方法であって、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するステップと、前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行するステップと、前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成するステップと、を含む。
【0020】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【0021】
実施形態のプログラムは、配送計画作成装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の前記拠点間を走行する前記車両の配送ルートを決定するステップと、前記車両による配送の巡回時間と、前記巡回時間における前記車両が前記拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における前記車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、前記複数の拠点のそれぞれにおける前記車両の到着するタイミングが等間隔になるように、前記車両の出発時刻を求める最適化処理を実行するステップと、前記最適化処理により求められた前記出発時刻と、前記配送ルートと、に基づいて、前記車両の配送計画を作成するステップと、を前記コンピュータに実行させる。
【0022】
当該構成により、一例として、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、当該構成によれば、一例として、複数の車両が同時に到着することがなくなるため、最小限の車両のスペースで拠点を運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る配送管理システム及び配送計画作成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る物流環境の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態の配送計画作成装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、従来例の手法による作成された配送計画の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態の配送ルートにおける出発時刻、到着時刻、出発してからの拠点までの到着時間の関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態において作成される配送ルートで2-OPT法による入れ替えを実行する前の状態を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す配送ルートで2-OPT法による入れ替えを実行した後の状態を示す図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態にかかる配送計画作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第1の実施形態で作成される配送計画の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、車両の便数が多い場合に車両の到着時刻が等間隔にならない配送計画の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態で作成される配送計画の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る配送管理システムS及び配送計画作成装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。配送管理システムSは、配送計画作成装置1、表示装置3及び入力装置5を含む。
【0026】
表示装置3は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)、PDP(Plasma Display Panel)、有機EL(Electro Luminescence)等のディスプレイである。表示装置3は、配送計画作成装置1の制御に基づいて、配送計画作成装置1により生成された情報等を所定の形態で表示する。
【0027】
入力装置5は、ユーザからの各種指示や情報入力を受け付ける。入力装置5は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。
【0028】
本実施形態の配送計画作成装置1は、通常のコンピュータと同様のハードウェア構成を有しており、プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、デバイスインタフェース17及びネットワークインタフェース19を含む。プロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、デバイスインタフェース17及びネットワークインタフェース19は、バスBを介して接続されている。また、配送計画作成装置1は、ネットワークインタフェース19及びネットワークN(例えばLAN、WAN等)を介して外部の情報処理装置と接続されている。
【0029】
プロセッサ11は、配送計画作成装置1、並びに配送計画作成装置1に接続された表示装置3及び入力装置5の統括的な制御を行う処理回路である。具体的には、プロセッサ11は、コンピュータの制御装置及び演算装置を含む電子回路としてのCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等であり得る。プロセッサ11は、プログラムを主記憶装置12から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。
【0030】
主記憶装置12は、プロセッサ11が実行する命令、各種データ等を記憶する記憶装置であり、主記憶装置12に記憶された情報がプロセッサ11により読み出される。補助記憶装置13は、主記憶装置12以外の記憶装置である。主記憶装置12及び補助記憶装置13は、電子情報を格納可能な任意の電子部品を意味するものとし、半導体のメモリでもよい。典型的には、主記憶装置12及び補助記憶装置13は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成され得る。
【0031】
本実施形態の配送計画作成装置1は、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において、複数の拠点間を走行する車両の配送ルートを決定するための処理、配送計画を作成するための処理を行う。また、配送計画作成装置1は、使用する車両の数や種類(車格)を決定するための処理、各拠点における荷役の仕方を決定するための処理等を行ってもよい。なお、拠点とは、荷物の配送における出発地点、最終地点、経由地点等になり得る地点であり、例えば、物流センタ、倉庫、工場、店舗、空港、海港等であり得る。各拠点では、荷物の積み下ろし、積み込み、入出庫、仕分等の荷役が発生する。
【0032】
図2は、実施形態に係る物流環境の一例を示す図である。
図2において、荷物を配送する車両としての4台のトラックT1~T4と、6つの拠点A~Fと、が例示されている。本例において、第1トラックT1は、拠点A→拠点B→拠点E→拠点Aを順に辿るルート、すなわち出発地点が拠点A、経由地点が拠点B及び拠点E、最終地点が拠点Aとなる配送ルートを走行する。第2トラックT2は、拠点A→拠点C→拠点Aを順に辿るルート、すなわち出発地点が拠点A、経由地点が拠点C、最終地点が拠点Aとなる(拠点Aと拠点Cとの間を1往復する)配送ルートを走行する。第3トラックT3は、拠点A→拠点D→拠点E→拠点Aを順に辿るルート、すなわち出発地点が拠点A、経由地点が拠点D及び拠点E、最終地点が拠点Aとなる配送ルートを走行する。第4トラックT4は、拠点A→拠点F→拠点A→拠点F→拠点Aを順に辿るルート、すなわち出発地点が拠点A、経由地点が拠点F及び拠点A、最終地点が拠点Aとなる(拠点Aと拠点Fとの間を2往復する)配送ルートを走行する。本実施形態の配送計画作成装置1は、例えば上記のようなトラックT1~T4のそれぞれの配送ルートを、各拠点におけるトラックの到着間隔を均一にするように決定するための処理を行う。
【0033】
図3は、実施形態の配送計画作成装置1の機能構成の一例を示す図である。本実施形態の配送計画作成装置1は、
図3に示すように、ルート決定部104と、最適化処理部107と、配送計画作成部105と、記憶部102と、を主に備えている。これらの機能部102,104,105,106は、
図1に例示されるようなハードウェア及びソフトウェア(例えば主記憶装置12や補助記憶装置13に記憶されたプログラム等)の協働により構成される。なお、これらの機能部102,104,105,106のうちの少なくとも1つが専用のハードウェア(回路等)により構成されてもよい。
【0034】
記憶部102は、上述の補助記憶装置13に相当するものであり、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solited State Drive)等の記憶媒体である。記憶部102は、各車両の配送ルートや配送計画(荷役方法を含む)の作成に必要とされる各種データを記憶する。本実施形態の記憶部102は、荷物情報と、車両情報と、を記憶している。
【0035】
荷物情報とは、配送の対象となる荷物に関する情報であり、例えば、荷物の種類、個数、重さ、体積、形状、配送先、配送元、経由地等を含む情報であり得る。
【0036】
車両情報とは、荷物の搬送に使用される(複数の拠点間を走行する)車両に関する情報であり、例えば、車格、最大積載重量、最大積載容量、使用費用等を含む情報であり得る。車格とは、車両(トラック等)の大きさを示すものであり、例えば、11t、15t等であり得る。通常、車格が高いほど、1台あたりの最大積載重量及び最大積載容量が大きくなる。使用費用とは、車両1台を使用する場合にかかる費用であり、通常、車格が高くなるほど高額に設定される。
【0037】
ルート決定部104は、複数の拠点間でトラック等の車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の拠点間を走行する車両の配送ルートを決定する。配送ルートの決定手法は、種々の手法が考えられるが、いずれの手法により配送ルートを決定することができる。例えば、以下のようにルート決定を行うことができる。
【0038】
ルート決定部104は、適宜なルート検索機能を利用して第1拠点(出発地点)から第2拠点(最終地点)までの1以上の有料ルートを示す有料ルート情報及び1以上の無料ルートを示す無料ルート情報を取得する。また、ルート決定部104は、各有料ルートに対応する有料ルート走行距離、各無料ルートに対応する無料ルート走行距離、各有料ルートに対応する有料ルート走行時間及び各無料ルートに対応する無料ルート走行時間を取得する。これらの有料ルート走行距離、無料ルート走行距離、有料ルート走行時間及び無料ルート走行時間は、例えば、有料ルート情報及び無料ルート情報と同様に適宜なルート検索機能等から取得され得る。
【0039】
その後、ルート決定部104は、有料ルート情報、有料道路料金情報、有料ルート走行距離、有料ルート走行時間、距離超過費用情報及び時間超過費用情報に基づいて、有料ルート費用を算出する。また、ルート決定部104は、無料ルート情報、無料ルート走行距離、無料ルート走行時間、距離超過費用情報及び時間超過費用情報に基づいて、無料ルート費用を算出する。
【0040】
そして、ルート決定部104は、算出された有料ルート費用及び無料ルート費用のうち最も安価な有料ルート費用又は無料ルート費用に対応する有料ルート又は無料ルート、若しくは複数の有料ルート費用のうち最も安価な費用に対応する有料ルートを配送ルートとして決定する。
【0041】
ここで、有料道路料金情報、距離超過費用情報及び時間超過費用情報は、予め、記憶部102に保存されている。
【0042】
有料道路料金情報とは、高速道路、その他の道路上の有料区間を走行する際に必要となる料金を示す情報である。
【0043】
距離超過費用情報とは、車両の走行距離が所定距離を超過した場合に必要となる距離超過費用を示す情報である。距離超過費用は、例えば、燃料費、人件費等を考慮した費用であり、走行距離の増加に伴い増加する。
【0044】
時間超過費用情報とは、車両の走行時間が所定時間を超過した場合に必要となる時間超過費用を示す情報である。時間超過費用は、例えば、人件費等を考慮した費用であり、走行時間の増加に伴い増加する。
【0045】
なお、ルート決定部104による上述のルート決定手法は一例であり、これに限定されるものではない。
【0046】
配送計画作成部105は、ルート決定部104により決定された各車両の配送ルートと、後述する最適化処理部107により決定された各車両の出発時刻と、記憶部102に記憶された荷物情報、車両情報等に基づいて、物流環境の全体又は一部における配送計画を作成する。配送計画には、各拠点における荷役方法、使用する車両の車格、台数等が含まれ得る。配送計画作成部105は、車両情報に基づいて、配送ルート毎に使用する車両の車格と台数とを、費用が最小化されるように決定してもよい。
【0047】
出力部106は、配送計画作成部105により作成された配送計画を示す情報をディスプレイ等に所定の形態で出力する。なお、出力部106は、ルート決定部104により決定された配送ルートのみを出力してもよい。
【0048】
図4は、従来例の手法による作成された配送計画の一例を示す図である。
図4に例示される配送計画は、配送ルート毎に、車両(トラック)の車格、台数、荷役のタイミング、一般道のみを走行するか否か、残業の要否等を示している。例えば、最上部に記載されている配送ルートは、拠点A→拠点B→拠点A→拠点C→拠点Aの順で巡回するルートであること、15tトラックを5台出動させること、拠点Cから拠点Aまでのルートを一般道のみとすること、残業が必要であること等を示している。
【0049】
図4において、符号401で示される4つのラインは、拠点Bにおいて車両が到着するタイミングを示している。
図4の配送計画の例では、符号401のラインの間隔、すなわち、拠点Bにおける車両の到着間隔は一定でないことがわかる。
【0050】
工場等の拠点の部品を限られたスペースの中で一定在庫に維持するため、各部品を定期的に工場等の拠点へ搬送することが望まれる。配送ルートの作成の際に、各工場へのトラックの到着間隔を均一、すなわち、等間隔に設定することができれば、一定在庫を維持することが可能である。トラック等の車両の配送ルートが倉庫と一つの工場を往復するルートであれば、車両の到着間隔を人手で均一にすることを容易に実現することができる。
【0051】
しかしながら、
図4に示した配送計画のように、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合には、各拠点でのトラック等の車両の到着間隔を人手で均一に調整することは困難である。
【0052】
このため、本実施形態では、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした配送ルートおよび配送計画を作成している。以下に詳細に説明する。
【0053】
図3に戻り、最適化処理部107は、車両による配送の巡回時間と、巡回時間における車両が拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、複数の拠点のそれぞれにおける車両の到着するタイミングが等間隔になるように、車両の出発時刻を求める。
【0054】
具体的には、最適化処理部107は、複数の拠点および複数の便において、前後の便の到着時刻の間隔(ri,k+1-ri,k)と、巡回時間zを便数Pで除した値と、の差分yi,kの二乗和を目的関数f(s)とし、目的関数が最小値となる出発時刻sを求める。目的関数f(s)は、(1)式で示される。差分yi,kは、(2)式で示される。
【0055】
前後の便の車両としてのトラックの到着時刻間隔yi,kは、(2)式で示されるように、拠点としての工場iにk+1番目に到着するトラックの便の到着時刻ri,k+1とk番目に到着する便の到着時刻ri,kの差分となる。
【0056】
【0057】
各パラメータの意味は、(12)式で示される。巡回時間zは、例えば、24時間や1週間が該当するが、これらに限定されるものではない。
【0058】
【0059】
本実施形態では、最適化処理部107が行う上記の処理、すなわち、車両による配送の巡回時間と、巡回時間における車両が拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、複数の拠点のそれぞれにおける車両の到着するタイミングが等間隔になるように、車両の出発時刻を求める処理を最適化処理と称する。言い換えれば、最適化処理は、目的関数f(s)の値が最小になる出発時刻sを算出する処理である。ここで、最適化処理部107は、目的関数f(s)の値から(4)式等を用いて出発時刻sを求めることができ、この出発時刻sを戻り値と称する場合もある。
【0060】
工場iに訪れる最後の便Piの次の便Pi+1の到着時刻ri,Pi+1は、(3)式に示されるように、工場iに訪れる最初の便の到着時刻ri,1に巡回時間zを加算した時刻となる。
【0061】
また、最適化処理部107は、到着時刻が巡回時間の最終時刻を越えている場合には、到着時刻から巡回時間を差し引いた値を到着時刻として、到着時刻間隔を求める。
【0062】
すなわち、(4)式に示されるように、工場iに訪れるk番目の便の到着時刻ri,kは、工場iのk番目の便のトラックの出発時刻st(i,k)に、工場iのk番目の便のトラックが出発してから、工場iのk番目の便のトラックt(i,k)の訪問拠点に到着するまでの時間qt(i,k),l(i,k)を加算し、さらに、巡回時間zに変数xi,kを乗算した値を差し引く。
【0063】
ここで、変数xi,kは、(6)、(10)、(12)式で示されるように、工場iのk番目の便のトラックの到着時刻ri,kが巡回時間zを超えていれば1,それ以外は0である。このため、(4)式では、工場iに訪れるk番目の便の到着時刻ri,kは、工場iのk番目の便のトラックの出発時刻st(i,k)に、工場iのk番目の便のトラックが出発してから、工場iのk番目の便のトラックt(i,k)の訪問拠点に到着するまでの時間qt(i,k),l(i,k)を加算した値が巡回時間zを超えていれば巡回時間zを差し引いた値となる。
【0064】
図5は、第1の実施形態の配送ルートにおける出発時刻s
t、到着時刻r
i,k、出発してからの拠点までの到着時間q
t,lの関係の一例を示す図である。
図5の例では、トラック番号t=2の車両による第1拠点から、第2拠点、第3拠点を経由して第1拠点に戻る配送ルートの例を示している。ここで、iが第2拠点であり、i’が第3拠点を示す。配送ルートにおける出発時刻s
t、到着時刻r
i,k、出発してからの拠点までの到着時間q
t,lの関係は、
図5に示すとおりであり、(4)式が成立していることがわかる。
【0065】
また、最適化処理部107は、任意の拠点に到着する車両の便の順番を入れ替えながら最適化処理を繰り返し実行する。最適化処理部107は、かかる順番の入れ替えと最適化処理の実行において、巡回セールスマン問題の一つの解決手法である2-OPT法による改善の手法を用いている。
【0066】
巡回セールスマン問題とは,与えられた全ての都市をそれぞれ一回ずつ訪問してから,はじめの都市に戻る巡回路の内、最短距離となるものを求める問題である。巡回セールスマン問題の近似解法を改善する手法として、2-OPT法による改善がある。2-OPT法は、経路の中から適当に二つの辺を選択して、ルートを入れ替え、その結果として距離が短縮されれば新ルートを採用する、という処理を繰り返す手法である。
【0067】
本実施形態では、目的関数f(s)の値が最小となるまで、任意の拠点に到着する車両の便の順番を入れ替えて最適化処理、すなわち目的関数f(s)の値を算出する処理を繰り返し実行する。これは、(5)式で各工場に到着する便の順番が入れ替わらないように制限を設け、この制限の下で目的関数f(s)の値を最小化しているためである。
【0068】
以下、具体的な例をあげて説明する。
図6は、第1の実施形態において作成される配送ルートで2-OPT法による入れ替えを実行する前の状態を示す図である。最適化処理部107は、ランダムに選択した拠点(工場)からランダムに2便を選択して入れ替えるが、
図5の例では、第2拠点の5便と12便を入れ替えることにする。
【0069】
図7は、
図6に示す配送ルートで2-OPT法による入れ替えを実行した後の状態を示す図である。
図6の例において、最適化処理部107が第2拠点の5便と12便を入れ替えると、配送ルートは
図7のようになる。最適化処理部107は、
図7の配送ルートで目的関数f(s)を用いて最適化処理を実行する。そして、最適化処理部107は、このような入れ替えと最適化処理を、目的関数f(s)の値が最小となるまで繰り返し実行する。
【0070】
次に、以上のように構成された本実施形態の配送計画作成装置1による配送計画作成処理について説明する。
図8は、第1の実施形態にかかる配送計画作成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0071】
まず、ルート作成部104は、上述した手法により配送ルートを決定する(S10)。
次に、ルート作成部104は、変数pを所定値で初期化する(S11)。ここで、所定値としては、十分に大きな値とする。次に、最適化処理部107は、出発時刻sを乱数で初期化する(S12)。そして、最適化処理部107は、拠点に到着する順番を固定して、車両の到着時刻を等間隔にする最適化処理を実行する(S13)。すなわち、上述したとおり、最適化処理部107は、(2)~(10)式を制約条件として(1)式の目的関数f(s)が最小となる出発時刻を求め、この出発時刻を戻り値の出発時刻s’とする。
【0072】
最適化処理部107は、pとf(s)とを比較し、f(s)がpの値より小さい場合には、戻り値としての出発時刻s’をsにし、f(s)の値をpに設定する(S14)。そして、最適化処理部107は、繰り返し回数Mに達したか否かを判断する(S15)。繰返し回数Mに達していない場合には(S15:No)、処理はS12に戻り、S12からS14までの処理が繰り返される。
【0073】
繰返し回数Mに達した場合には(S15:Yes)、最適化処理部107は、2-OPT法の処理を行う。すなわち、最適化処理部107は、ある拠点において到着する便の順番を入れ替える(S16)。
【0074】
そして、最適化処理部107は、S13と同様に、拠点に到着する順番を固定して、車両の到着時刻を等間隔にする最適化処理を実行する(S17)。すなわち、上述したとおり、最適化処理部107は、(2)~(10)式を制約条件として(1)式の目的関数f(s)が最小となる出発時刻を求め、この出発時刻を戻り値の出発時刻s’とする。
【0075】
次に、最適化処理部107は、S14と同様に、pとf(s)とを比較し、f(s)がpの値より小さい場合には、戻り値としての出発時刻s’をsにし、f(s)の値をpに設定する(S18)。そして、最適化処理部107は、繰り返し回数Nに達したか否かを判断する(S19)。繰返し回数Nに達していない場合には(S19:No)、処理はS16に戻り、S16からS18までの処理が繰り返される。
【0076】
繰返し回数Nに達した場合には(S19:Yes)、最適化処理部107は、到着時刻が等間隔となる出発時刻が決定したと判断する。そして、配送計画作成部105は、上述したように、決定された出発時刻を用いて、配送計画を作成する(S20)。
【0077】
図9は、第1の実施形態で作成される配送計画の一例を示す図である。
図9に示すように、車両の到着時刻は、等間隔となるように作成されていることがわかる。
【0078】
配送計画作成装置1は、上記のような配送計画を示す画面を表示装置3に出力してもよい。なお、上記配送計画は一例であり、配送計画の表示形態は適宜設計されるべきものである。
【0079】
このように本実施形態では、配送計画作成装置1は、複数の拠点間で車両を用いて荷物を配送する物流環境において複数の拠点間を走行する車両の配送ルートを決定するルート決定部104と、車両による配送の巡回時間と、巡回時間における車両が拠点を訪れる便の便数と、任意の時点における車両の前後の便の到着時刻の間隔を示す到着時刻間隔と、に基づいて、複数の拠点のそれぞれにおける車両の到着するタイミングが等間隔になるように、車両の出発時刻を求める最適化処理を実行する最適化処理部107と、最適化処理により求められた出発時刻と、配送ルートと、に基づいて、車両の配送計画を作成する配送計画作成部105と、を備える。このため、本実施形態によれば、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる配送計画作成装置1で実行される配送計画作成方法、本実施形態にかかる配送計画作成装置1のコンピュータを実行させるためのプログラムも同様の作用効果をそうする。
【0081】
また、本実施形態では、配送計画作成装置1において、最適化処理部107は、到着時刻が巡回時間の最終時刻を越えている場合には、到着時刻から巡回時間を差し引いた値を到着時刻とし、最初の便の到着時刻に巡回時間を加算した便を追加して、到着時刻間隔を求め、最適化処理を行う。このため、本実施形態によれば、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合において、巡回時間ごとにループした場合でも、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0082】
また、本実施形態では、配送計画作成装置1において、最適化処理部107は、任意の拠点に到着する車両の便の順番を入れ替えて最適化処理を実行することを繰り返し行う。このため、本実施形態によれば、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画をより的確でかつ容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0083】
また、本実施形態では、配送計画作成装置1において、最適化処理部107は、複数の拠点および複数の便において、到着時刻間隔と、巡回時間を便数で除した値と、の差分の二乗和を目的関数とし、目的関数が最小値となる前記出発時刻を求める。このため、本実施形態によれば、一台の車両が複数の拠点を巡回する配送ルートが複数存在する場合においても、各拠点における車両の到着間隔を均一にした、すなわち、到着時刻を等間隔にした配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫を一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0084】
(第2の実施形態)
第1の実施形態の最適化処理を行った場合でも。車両の便数が多い場合には、車両の到着時刻が等間隔にならないケースがでてくる可能性がある。
【0085】
図10は、車両の便数が多い場合に車両の到着時刻が等間隔にならない配送計画の一例を示す図である。
図10の例では、第4拠点7便、第2工場6便、第3拠点6便、第5拠点5便、第6拠点2便では、便数が比較的少なく、車両の到着時刻が等間隔となっている。一方、第2拠点16便、第1工場16便では、車両の到着時刻が等間隔とならず、密になる部分が存在してくる。
【0086】
この第2の実施形態では、以下の構成により、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻を等間隔にして配送ルートおよび配送計画を作成している。
第2の実施形態にかかる配送管理システムS、配送計画作成装置1の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0087】
本実施形態の配送計画作成装置1では、最適化処理部107の機能が第1の実施形態と異なっている。
本実施形態の最適化処理部107は、前後の便の到着時刻の間隔に車両の便数に応じた重み付けを行って、上記最適化処理を行う。具体的には、最適化処理部107は、複数の拠点および複数の便において、前後の便の到着時刻の間隔(ri,k+1-ri,k)に車両の便数Pを乗じた値と、巡回時間zと、の差分yi,kの二乗和を目的関数f(s)とし、目的関数f(s)が最小値となる出発時刻sを求める。目的関数f(s)は、(21)式で示される。差分yi,kは、(22)式で示される。
【0088】
前後の便の車両としてのトラックの到着時刻間隔yi,kは、(22)式で示されるように、拠点としての工場iにk+1番目に到着するトラックの便の到着時刻ri,k+1とk番目に到着する便の到着時刻ri,kの差分である。
【0089】
【0090】
各パラメータの意味は、上述した(12)式で示される。巡回時間zは、例えば、24時間や1週間が該当するが、これらに限定されるものではない。また、(3)~(10)式については第1の実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態の配送計画作成処理の流れについては、
図8を用いて説明した第1の実施形態と同様である。本実施形態では、
図8のS13、S17において、最適化処理部107が目的関数f(s)として(21)式を用い、(22)、(3)~(10)式を用いることで最適化処理を実行する。
【0092】
図11は、第2の実施形態で作成される配送計画の一例を示す図である。
図11に示すように、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻は、等間隔となるように作成されていることがわかる。
【0093】
このように本実施形態では、配送計画作成装置1において、最適化処理部107は、前記到着時刻間隔に前記車両の便数に応じた重み付けを行って、前記最適化処理を行う。このため、本実施形態では、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻を等間隔にして配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0094】
また、本実施形態では、配送計画作成装置1において、最適化処理部107は、複数の拠点および複数の便において、到着時刻間隔に車両の便数を乗じた値と、巡回時間と、の差分の二乗和を目的関数とし、目的関数が最小値となる出発時刻を求める。このため、本実施形態では、車両の便数の多少にかかわらず、車両の到着時刻を等間隔にして配送ルートおよび配送計画を容易に作成することができ、これにより、各拠点での在庫をより一定に維持することができる。また、本実施形態によれば、複数のトラックが同時に到着することがなくなるため、最小限のトラックのスペースで工場等の拠点を運用することができる。
【0095】
上記実施形態の配送計画作成装置1で実行される配送計画作成プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0096】
また、上記実施形態の配送計画作成装置1で実行される配送計画作成プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施形態の配送計画作成装置1で実行される配送計画作成プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0097】
また、上記実施形態の配送計画作成装置1で実行される配送計画作成プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0098】
上記実施形態の配送計画作成装置1で実行される配送計画作成プログラムは、上述した各部(ルート決定部104、最適化処理部107、配送計画作成部105)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)11が上記記憶媒体から配送計画作成プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置12上にロードされ、ルート決定部104、最適化処理部107、配送計画作成部105が主記憶装置12上に生成されるようになっている。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1…配送計画作成装置、3…表示装置、5…入力装置、11…プロセッサ、12…主記憶装置、13…補助記憶装置、17…デバイスインタフェース、19…ネットワークインタフェース、102…記憶部、104…ルート決定部、107…最適化処理部、105…配送計画作成部、S…配送管理システム、N…ネットワーク、T1~T4…トラック(車両)。