(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152245
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラム。
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20241018BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20241018BHJP
B60R 25/24 20130101ALI20241018BHJP
B60R 25/04 20130101ALI20241018BHJP
【FI】
E05B49/00 J
E05B19/00 J
B60R25/24
B60R25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066317
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】中尾 太一
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB12
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】端末を用いてドアを施錠する際のユーザの利便性を向上する。
【解決手段】ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、制御装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記第1の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容しない制御を行う、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記ドアの施錠を行う錠装置を制御する錠制御装置への第2の施錠要求の送信を制御することにより、前記ドアの施錠を制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の端末および前記第2の端末が前記移動体の内部に位置するか外部に位置するかを判定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の施錠要求を送信した前記端末を認証し、認証結果にさらに基づき前記ドアの施錠を制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の端末から送信されるエンジン始動要求に基づき前記移動体のエンジンの始動を制御し、
前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から送信された前記第1の施錠要求に基づき前記ドアの施錠を許容した場合、前記エンジン始動要求に基づく前記エンジンの始動を許容しない状態へ移行する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の端末は、Fobキーであり、
前記第2の端末は、前記ユーザによって利用されるモバイル端末である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
移動体に備えられる制御装置、およびユーザに携帯され得るFobキーである第1の端末を備え、
前記制御装置は、
前記第1の端末またはユーザに携帯され得る第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、
制御システム。
【請求項9】
ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御すること、
を含み、
前記制御することは、
前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行うこと、
を含む、
コンピュータによって実行される制御方法。
【請求項10】
ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部、
としてコンピュータを機能させ、
前記制御部は、
前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、端末から送信される信号に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、端末である電子キーが送信する信号に基づき車両のドアを施錠する技術が開示されている。このような信号によって施錠を制御する場合、移動体の内部に端末が閉じ込められて解錠を行えなくなることを防止する場合がある。具体的には、端末が移動体の内部に位置する場合、端末から送信される信号に基づきドアを施錠することを制限する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、複数の端末によって移動体のドアの施錠の制御が行われることも考えられる。しかし、上記の施錠の実行の制限を行う場合、一方の端末が移動体の内部に位置すると、もう一方の端末によって外部から移動体のドアを施錠できないため、ユーザにとって不便な状況が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、端末を用いてドアを施錠する際のユーザの利便性を向上させることが可能な、新規かつ改良された制御装置、制御システム、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、制御装置が提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、移動体に備えられる制御装置、およびユーザに携帯され得るFobキーである第1の端末を備え、前記制御装置は、前記第1の端末またはユーザに携帯され得る第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、制御システムが提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御すること、を含み、前記制御することは、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行うこと、を含む、コンピュータによって実行される制御方法が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、ユーザに携帯され得る第1の端末または第2の端末のいずれかから送信される第1の施錠要求、および前記第1の施錠要求を送信した端末の位置に基づき移動体に備えられるドアの施錠を制御する制御部、としてコンピュータを機能させ、前記制御部は、前記第1の端末が前記移動体の内部に位置すると判定され、かつ前記移動体の外部に位置すると判定された前記第2の端末から前記第1の施錠要求が送信された場合、前記第1の施錠要求に基づく前記ドアの施錠を許容する制御を行う、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、端末を用いてドアを施錠する際のユーザの利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】制御部355による、各端末の位置の判定結果に基づく移動体30の動作の制御について説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る制御装置350による移動体30の動作の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る第2の認証装置340および制御装置350による、移動体30のドア315の施錠の制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係る制御システムの構成例について述べる。
図1は、本実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る制御システム1は、第1の端末10、第2の端末20、および移動体30を備える。
【0015】
(第1の端末10、第2の端末20)
第1の端末10および第2の端末20は、移動体30のユーザ(例えば、移動体30のオーナー、当該オーナーに移動体30の利用を許可された者など)に携帯され得る端末である。本明細書では、第1の端末10および第2の端末20を区別しない場合、単に「端末」と称する場合がある。
【0016】
第1の端末10および第2の端末20は、移動体30と無線通信を行い、各種情報を送信する。第1の端末10と第2の端末20と移動体30との通信に用いられる通信規格は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)またはNFC(Near Field Communication)等であってもよい。
【0017】
第1の端末10および第2の端末20は、例えば、移動体30による動作の実行の要求を送信してもよい。移動体30による動作の実行の要求は、例えば、後述のドア315の施錠要求または解錠要求であってもよいし、後述のエンジン320の始動要求または停止要求であってもよい。端末が送信する施錠要求を、第1の施錠要求とも称する。
【0018】
第1の端末10は、移動体30を制御するための信号を発する電子キーであってもよい。より具体的には、第1の端末10は、移動体30の販売時に移動体30に付属される、純正のFobキーであってもよい。以下の説明においては、第1の端末10がFobキーである場合を主に説明する。なお、Fobキーである第1の端末10をFobキー11と称する。
【0019】
第2の端末20は、所定のサーバからダウンロードされた鍵情報が設定されたスマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。第2の端末20は汎用的なモバイル端末であってもよく、移動体30と製造元が異なってもよい。
【0020】
第2の端末20には、所定のサーバからダウンロードされたアプリケーションがインストールされていてもよい。アプリケーションは、移動体30の機能を駆動するためのプログラムであり、ユーザから入力された操作を受け付けると、ユーザから入力された操作に応じた要求を移動体30に送信するための制御を行う。
【0021】
以下の説明においては、第2の端末20がモバイル端末である場合を主に説明する。なお、モバイル端末である第2の端末20をモバイル端末21と称する。
【0022】
(移動体30)
本実施形態に係る移動体30は、例えば、車両、航空機、または船舶などの乗り物であってもよい。以下の説明においては、移動体30が車両である場合を主に想定する。
【0023】
図1に示されるように、移動体30は、錠装置310と、ドア315と、エンジン320と、第1の認証装置330と、第2の認証装置340と、制御装置350とを備える。
【0024】
(錠装置310)
錠装置310は、移動体30に備えられるドア315の施錠および解錠を実施する電子錠装置である。
【0025】
(ドア315)
ドア315は、ユーザが移動体30の内部に出入りするためのドアである。
【0026】
(エンジン320)
エンジン320は、移動体30の動力を発生させる原動機である。
【0027】
(第1の認証装置330、第2の認証装置340)
第1の認証装置330はFobキー11と無線通信を行う。また、第2の認証装置340はモバイル端末21と無線通信を行う。
【0028】
第1の認証装置330および第2の認証装置340は、例えば、プロセッサおよびメモリなどを含んだ制御装置(ECU:Electronic Control Unit)であってもよい。
【0029】
第1の認証装置330および第2の認証装置340は、それぞれと通信する端末から受信した鍵情報に基づき、当該端末の認証を実施する。
【0030】
第1の認証装置330および第2の認証装置340は、鍵情報を含む、第1の施錠要求等の、移動体30による動作の実行の要求を端末から受信する。
【0031】
第1の認証装置330および第2の認証装置340は、端末の認証結果に基づき、制御装置350への要求の送信を制御する。例えば、認証において鍵情報の真正性、および端末の真正性の両方、またはいずれか一方が認められた場合、端末からの要求に従って制御装置350に要求を送信してもよい。
【0032】
より具体的には、第1の認証装置330および第2の認証装置340は、端末から第1の施錠要求を受信し、かつ当該端末の真正性が認められた場合、制御装置350に施錠要求を送信してもよい。第1の認証装置330および第2の認証装置340が送信する施錠要求を、第2の施錠要求とも称する。
【0033】
(制御装置350)
制御装置350は、例えば、プロセッサおよびメモリなどを含んだECUであってもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る制御装置350は、制御部355を備える。
【0034】
制御部355は、錠装置310によるドア315の施錠および解錠、およびエンジン320の始動および停止等の、移動体30の動作を制御する。
【0035】
制御部355は、第1の認証装置330や第2の認証装置340から受信する要求に基づき、移動体30の動作を制御してもよい。
【0036】
また、制御部355は、各端末の位置を判定してもよい。より具体的には、制御部355は、各端末が移動体30の内部に位置するか、外部に位置するかを判定してもよい。
【0037】
制御部355は、第1の認証装置330および第2の認証装置340が各端末から受信する信号の受信状況に基づき、各端末が移動体30の内部に位置するか、外部に位置するかを推定してもよい。ただし、各端末が移動体30の内部に位置するか、外部に位置するかの判定方法は、無線通信に基づき車両制御を行う分野で一般的に用いられる手法であれば特に限定されず、例えば、各端末が送信する信号のRSSIに基づき判定されてもよい。
【0038】
制御部355は、各端末の位置の判定結果に基づき、移動体30の動作を制御してもよい。
【0039】
ここで、制御部355による、各端末の位置の判定結果に基づく移動体30の動作の制御について、
図2を用いて説明する。
図2は、制御部355による、各端末の位置の判定結果に基づく移動体30の動作の制御について説明するための図である。ここでは、
図2の上段および下段に示すように、Fobキー11が移動体30の内部(車内)に位置し、モバイル端末21が移動体30の外部(車外)に位置する場合の動作制御について説明する。
【0040】
図2の上段の場合、制御部355はFobキー11が車内に位置すると判定する。ここで、Fobキー11から第1の施錠要求が送信された場合、制御部355は、第1の施錠要求に基づく、錠装置310によるドア315の施錠を許容しない制御を行う。これにより、第1の施錠要求を送信したFobキー11が車内に閉じ込められることが防止される。
【0041】
図2の下段の場合、制御部355は、第1の端末10が車内に、モバイル端末21が車外に位置すると判定する。ここで、モバイル端末21から第1の施錠要求が送信された場合、制御部355は、第1の施錠要求に基づく、錠装置310によるドア315の施錠を許容する制御を行う。
【0042】
比較例として、Fobキー11が車内に位置すると判定された場合、第1の施錠要求に基づく、錠装置310によるドア315の施錠を一律に許容しない制御が行われることも考えられる。比較例によれば、Fobキー11が車内に閉じ込められることが常に防止される。
【0043】
しかし、Fobキー11とモバイル端末21が車内に存在する場合に、車内からモバイル端末21だけを持ち出したいというユーザUのニーズが想定される。例えば、車内からモバイル端末21だけを持ち出し、モバイル端末21が備える決済機能を用いて購買を行いたいというニーズが想定される。
【0044】
比較例によれば、Fobキー11が車内に位置する場合、モバイル端末21が送信する第1の施錠要求に基づくドア315の施錠を許容しない制御が行われる。そのため、ユーザUは、モバイル端末21を操作することによりドア315の施解錠の要求を行えるにも拘らず、Fobキー11を常に携帯する必要が生じてしまう。
【0045】
一方、本実施形態にかかる制御部355は、Fobキー11が車内に位置すると判定した場合も、モバイル端末21から第1の施錠要求が送信され、かつモバイル端末21が車外に位置すると判定した場合、錠装置310によるドア315の施錠を許容する制御を行う。
【0046】
かかる構成によれば、ユーザUがFobキー11を車内に置いたままモバイル端末21のみを持ち出すことが可能になるため、ユーザUの利便性が向上する。なお、上記の処理によりドア315の施錠が実行された場合、ユーザUは第1の施錠要求を行ったモバイル端末21を携帯していると想定される。そのため、Fobキー11が車内に閉じ込められても、ユーザUは、施錠されたドア315の解錠を、モバイル端末21を操作することによって指示することが可能である。
【0047】
ここまで、
図2を用いて、制御部355による、各端末の位置の判定結果に基づく移動体30のドア315の施錠の制御について説明した。制御部355は、Fobキー11が移動体30の内部に位置すると判定され、かつ移動体30の外部に位置すると判定されたモバイル端末21から送信された第1の施錠要求に基づきドア315の施錠を許容した場合、さらに他の制御を実行してもよい。
【0048】
例えば、制御部355は、上記のような場合、移動体30の状態を、Fobキー11から送信されるエンジン始動要求に基づくエンジン320の始動を許容しない状態へ移行するよう制御してもよい。
【0049】
上記の制御を行わない場合、ユーザU以外の第三者が移動体30の窓ガラスを割って移動体30内に侵入し、エンジン320を始動することにより、当該第三者によって移動体30が盗難される可能性が生じる。しかし、本実施形態にかかる制御部355によれば、Fobキー11がユーザUの存在しない車内に閉じ込められた場合にエンジン320が始動することを防止できるため、セキュリティが強化される。
【0050】
エンジン320の始動を許容しない状態は、例えば、移動体30の外部からドア315が解錠された場合に解除されてもよいし、制御部355によってモバイル端末21が移動体30の内部に位置すると判定された場合に解除されてもよい。
【0051】
<<1.2.制御の流れ>>
続いて、
図3を参照して、本実施形態に係る、制御装置350による、第1の施錠要求と、モバイル端末21およびFobキー11の位置の判定結果とに基づく移動体30の動作の制御の流れについて一例を挙げて説明する。
【0052】
図3は、本実施形態に係る制御装置350による移動体30の動作の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、制御部355は、第2の認証装置340から第2の施錠要求を受信する(S102)。なお、第2の施錠要求は、第2の認証装置340がモバイル端末21から受信した第1の施錠要求に基づき送信される。
【0054】
制御部355は、第2の認証装置340から第2の施錠要求を取得すると、Fobキー11およびモバイル端末21の位置を判定する(S104)。
【0055】
制御部355は、モバイル端末21が車内に位置すると判定した場合(S106/NO)、ドア315の施錠を許容しない制御を行ってもよい(S108)。
【0056】
制御部355は、モバイル端末21が車外に位置すると判定した場合(S106/YES)、処理をS110に進める。
【0057】
そして、制御部355は、Fobキー11が車外に位置すると判定した場合(S110/NO)、処理をS114に進める。
【0058】
また、制御部355は、Fobキー11が車内に位置すると判定した場合(S110/YES)、処理をS112に進める。
【0059】
制御部355は、Fobキー11から送信されるエンジン始動要求に基づくエンジン320の始動を許容しない状態へ移行する(S112)。
【0060】
そして、制御部355は、ドア315の施錠を許容する制御を行う(S114)。
【0061】
<<1.3.第2の認証装置340による施錠制御例>>
以上、本発明の一例として、制御装置350によってドア315の施錠が制御される場合の例について説明した。しかし、ドア315の施錠の制御は制御装置350によって行われなくてもよい。この場合、各端末の位置の判定は制御装置350によって行われなくてもよい。
【0062】
ここで、本発明の他の例として、第2の認証装置340によってモバイル端末21の位置が判定され、ドア315の施錠が制御される場合について説明する。
【0063】
本発明の他の例による第2の認証装置340は、モバイル端末21から送信される第1の施錠要求およびモバイル端末21の位置に基づきドア315の施錠を制御する制御部の機能を有する。
【0064】
第2の認証装置340は、車外に位置するモバイル端末21から第1の施錠要求が送信された場合、第2の施錠要求として、強制施錠要求を送信することにより、ドア315の施錠を許容する制御を行う。
【0065】
本発明の他の例による制御装置350の制御部355は、強制施錠要求を取得した場合、Fobキー11が車内に位置すると判定した場合であっても、ドア315の施錠を許容する制御を行う。
【0066】
一方、制御装置350の制御部355は、強制施錠要求でない第2の施錠要求を取得し、かつFobキー11が車内に位置すると判定した場合、ドア315の施錠を許容しない制御を行ってもよい。なお、強制施錠要求でない第2の施錠要求を、第3の施錠要求とも称する。強制施錠要求を取得する制御装置350は、錠装置310を制御する錠制御装置の一例である。
【0067】
続いて、
図4を参照して、第2の認証装置340および制御装置350による、移動体30のドア315の施錠の制御の流れについて一例を挙げて説明する。
【0068】
図4は、本実施形態に係る第2の認証装置340および制御装置350による、移動体30のドア315の施錠の制御の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0069】
まず、モバイル端末21は、ユーザによるドア315の施錠操作を受け付ける(S202)。モバイル端末21は、当該施錠操作に基づき、第2の認証装置340へ第1の施錠要求を送信する(S204)。
【0070】
第2の認証装置340は、受信した第1の施錠要求に含まれる鍵情報に基づき、モバイル端末21の認証を実施する(S206)。
【0071】
第2の認証装置340は、認証においてモバイル端末21の真正性が認められた場合、モバイル端末21の位置を判定する(S208)。
【0072】
第2の認証装置340は、モバイル端末21が車外に位置すると判定した場合(S210/YES)、強制施錠要求を制御装置350へ送信する(S212)。
【0073】
続いて、制御装置350の制御部355は、ドア315の施錠を許容する制御を行う(S214)。
【0074】
一方、第2の認証装置340は、モバイル端末21が車内に位置すると判定した場合(S210/NO)、第3の施錠要求を制御装置350へ送信してもよい(S216)。
【0075】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0076】
例えば、上記実施形態では、第1の認証装置330と、第2の認証装置340と、制御装置350とがそれぞれ異なる装置として構成される例について説明したが、これらの一部または全てが一つの装置として構成されてもよい。
【0077】
例えば、第1の認証装置330と第2の認証装置340と制御装置350とが一つの装置として構成されてもよい。この場合、第1の認証装置330が有する機能と第2の認証装置340が有する機能を、制御装置350が有してもよい。この場合、制御装置350はFobキー11およびモバイル端末21と接続する。すなわち、
図3に示したフローチャートにおけるS102の処理は制御装置350によって行われる。
【0078】
また、第1の認証装置330と第2の認証装置340が一つの装置として構成される場合、第2の認証装置340によって実行される機能を第1の認証装置330が実行してもよい。
【0079】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、コンピュータにより読み取り可能な非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)に格納されるプログラムにより実現されてもよい。各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のプログラムは、記憶媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10:第1の端末、11:Fobキー、20:第2の端末、21:モバイル端末、30:移動体、310:錠装置、315:ドア、320:エンジン、330:第1の認証装置、340:第2の認証装置、350:制御装置、355:制御部