(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152248
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】エレベーターの群管理装置及びエレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B66B3/00 H
B66B3/00 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066322
(22)【出願日】2023-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-06
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒向 一徳
【テーマコード(参考)】
3F303
【Fターム(参考)】
3F303AA05
3F303CB46
3F303DB14
3F303DC14
3F303DC15
(57)【要約】
【課題】停止決定していない他のかごの状況に合わせて到着報知のタイミングを調整できるエレベーターの群管理装置を提供する。
【解決手段】第1判定部15は、第1かごがある乗場7に第1方向で停止することが決定すると、複数のかご2の中に、到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する。第2判定部17は、複数の同時到着かごがないと第1判定部15が判定すると、第1かごを除く複数のかご2の中に停止可能かごがあるか否かを判定する。調整部18は、停止可能かごがあると第2判定部17が判定すると、第1かごが乗場7に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる。これにより、例えば、乗場7で待つ利用者にとって利便性の高いシステムを提供できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1かごを含む複数のかごを一群として管理する群管理装置であって、
前記第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、前記複数のかごの中に、前記第1かごが前記乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、
前記複数の同時到着かごがないと前記第1判定部が判定すると、前記第1かごを除く前記複数のかごの中に、前記予想時刻を含む第2時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、
前記停止可能かごがあると前記第2判定部が判定すると、前記第1かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、
を備えたエレベーターの群管理装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記複数の同時到着かごがあると前記第1判定部が判定すると、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を、前記複数の同時到着かごのうち前記乗場に2番目に到着するかごの開始時刻に合わせる請求項1に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項3】
前記複数のかごの一部のみが含まれる組み合わせが事前に設定され、
前記調整部は、前記複数の同時到着かごがあると前記第1判定部が判定し且つ前記複数の同時到着かごが前記組み合わせに含まれる場合に、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を前記2番目に到着するかごの開始時刻に合わせる請求項2に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項4】
到着報知の開始時刻が合わせられた前記複数の同時到着かごについて、差分情報を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記差分情報を、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知とともに前記乗場に報知する報知制御部と、
を更に備え、
前記差分情報に、混雑状況に関する情報又はかご内の仕様に関する情報が含まれる請求項2又は請求項3に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項5】
第1かごを含む複数のかごと、
前記複数のかごを一群として管理する群管理装置と、
を備え、
前記群管理装置は、
前記第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、前記複数のかごの中に、前記第1かごが前記乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、
前記複数の同時到着かごがないと前記第1判定部が判定すると、前記第1かごを除く前記複数のかごの中に、前記予想時刻を含む第2時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、
前記停止可能かごがあると前記第2判定部が判定すると、前記第1かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、
を備えたエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターの群管理装置及びエレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーターの報知装置が記載されている。特許文献1に記載されたエレベーターでは、ある乗場に到着することが報知されているかごより早くその乗場に他のかごが到着した場合に、当該他のかごの到着報知が遅れて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、かごが乗場に到着することを報知する到着報知は、当該かごがその乗場に停止する時刻に応じて設定される。特許文献1に記載されたエレベーターを含め従来のエレベーターでは、停止決定していない他のかごの状況に合わせて到着報知のタイミングを調整するような制御は行われていなかった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、停止決定していない他のかごの状況に合わせて到着報知のタイミングを調整できるエレベーターの群管理装置及びエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターの群管理装置は、第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、複数のかごの中に、第1かごが乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、乗場に第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、複数の同時到着かごがないと第1判定部が判定すると、第1かごを除く複数のかごの中に、予想時刻を含む第2時間内に、乗場に第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、停止可能かごがあると第2判定部が判定すると、第1かごが乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムは、第1かごを含む複数のかごと、複数のかごを一群として管理する群管理装置と、を備える。群管理装置は、第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、複数のかごの中に、第1かごが乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、乗場に第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、複数の同時到着かごがないと第1判定部が判定すると、第1かごを除く複数のかごの中に、予想時刻を含む第2時間内に、乗場に第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、停止可能かごがあると第2判定部が判定すると、第1かごが乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る群管理装置であれば、停止決定していない他のかごの状況に合わせて到着報知のタイミングを調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムを模式的に示す図である。
【
図2】群管理装置の機能を説明するための図である。
【
図3】エレベーターシステムの動作例を示すフローチャートである。
【
図4】エレベーターシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】群管理装置の他の機能を説明するための図である。
【
図6】エレベーターシステムの他の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】群管理装置のハードウェア資源の例を示す図である。
【
図8】群管理装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーターシステム1を模式的に示す図である。エレベーターシステム1は、複数のかご2を備える。以下においては、エレベーターシステム1が3台のかご2を備える例について説明する。エレベーターシステム1は、2台のかご2しか備えていなくても良い。エレベーターシステム1は、4台以上のかご2を備えても良い。
【0012】
図1に示す例では、エレベーターシステム1が、A号機のかご2、B号機のかご2、及びC号機のかご2を備える。以下においては、A号機の要素を他の号機の要素と区別する必要がある場合に、符号の後にAを付す。同様に、B号機に関しては符号の後にBを付し、C号機に関しては符号の後にCを付す。例えば、A号機のかごをかご2Aと表記する。同様に、B号機のかごをかご2Bと表記し、C号機のかごをかご2Cと表記する。
【0013】
かご2は、昇降路3を上下に移動する。制御装置4は、かご2を駆動するための巻上機(図示せず)を制御する。即ち、かご2の移動は、制御装置4によって制御される。群管理装置5は、各制御装置4と通信する。また、群管理装置5は、エレベーターシステム1に備えられた複数のかご2を一群として管理する。
図1に示す例では、群管理装置5は、かご2A、かご2B、及びかご2Cを管理する。
【0014】
図1は、制御装置4及び群管理装置5が昇降路3の上方の機械室6に設けられる例を示す。他の例として、制御装置4及び群管理装置5は、昇降路3に設けられても良い。
【0015】
図1は、建物内のある階に設けられた乗場7を示す。群管理装置5は、乗場7に設けられた機器と通信する。各かご2は、乗場7に停止可能である。乗場7に、報知器8が設けられる。報知器8は、かご2が乗場7に到着することを報知する。以下においては、当該報知を到着報知ともいう。
【0016】
報知器8は、群管理装置5によって制御される。例えば、報知器8は、点滅することによってかご2が乗場7に到着することを報知する。
図1に示す例であれば、報知器8Aは、点滅することによってかご2Aが乗場7に到着することを報知する。報知器8Bは、点滅することによってかご2Bが乗場7に到着することを報知する。報知器8Cは、点滅することによってかご2Cが乗場7に到着することを報知する。
【0017】
図2は、群管理装置5の機能を説明するための図である。群管理装置5は、記憶部10を備える。また、群管理装置5は、制御機能として、算出部11、第1取得部12、第2取得部13、報知制御部14、第1判定部15、第3取得部16、第2判定部17、及び調整部18を備える。
【0018】
記憶部10に、各かご2について、これから停止することが決定している階を示す情報が記憶される。以下においては、当該情報を停止決定情報ともいう。停止決定情報には、かご2の移動方向を示す情報も含まれる。例えば、下方向に移動するかご2Aが4階に停止することが決定すると、記憶部10に、かご2Aの停止決定情報として「4階及び下方向」を示す情報が新たに記憶される。
【0019】
また、記憶部10に、各停止決定情報に対して、到着報知の開始時刻を示す情報が記憶される。以下においては、当該情報を報知時刻情報ともいう。報知時刻情報は、実際の時刻を示す情報でも良いし、現在時刻からの時間を示す情報でも良い。
【0020】
算出部11は、到着報知の開始時刻を算出する。例えば、かご2Aが4階に停止することが決定すると、算出部11は、かご2Aが4階に到着する予想時刻を算出する。算出部11は、かご2Aが4階に到着する予想時刻に基づいて、かご2Aが4階に到着する際に行う到着報知の開始時刻を算出する。算出部11によって算出された結果は、報知時刻情報として記憶部10に記憶される。算出部11の機能は、各制御装置4に備えられても良い。
【0021】
次に、
図3も参照し、エレベーターシステム1の動作について説明する。
図3は、エレベーターシステム1の動作例を示すフローチャートである。
図3に示す動作フローは短い一定の周期で行われる。以下においては、
図1に示す乗場7が4階の乗場である例について、詳しく説明する。
【0022】
群管理装置5では、第1取得部12が、記憶部10から各かご2の停止決定情報を取得する(S101)。また、群管理装置5では、S101で取得された停止決定情報に基づいて、これから停止することが決定しているかご2があるか否かが判定される(S102)。以下においては、当該かご2を停止決定かごともいう。
【0023】
S101で第1取得部12が停止決定情報を取得できれば、S102でYesと判定される。記憶部10に停止決定情報が記憶されていなければ、S101で第1取得部12は停止決定情報を取得できない。S101で第1取得部12が停止決定情報を取得できなければ、S102でNoと判定される。S102でNoと判定されると、処理は終了する。
【0024】
S102でYesと判定されると、第2取得部13は、各停止決定かごについて、報知時刻情報を取得する(S103)。また、群管理装置5では、S103で取得された報知時刻情報に基づいて、到着報知の開始時刻が経過しているかご2があるか否かが判定される(S104)。
【0025】
報知時刻情報から特定される開始時刻の中に現在時刻を過ぎているものがあれば、S104でYesと判定される。S104でYesと判定されると、報知制御部14は、到着報知の開始時刻が経過しているかご2について到着報知を行う(S105)。上述したように、
図3に示す動作フローは、短い一定の周期で行われる。このため、S105の到着報知はその開始時刻とほぼ同時に行われる。例えば、かご2Cが乗場7に到着するのであれば、報知制御部14は、S105において報知器8Cを点滅させる。
【0026】
一方、報知時刻情報から特定される開始時刻の中に現在時刻を過ぎているものがなければ、S104でNoと判定される。
【0027】
次に、第1判定部15は、予め設定された第1時間内に、同じ乗場に同じ方向で停止する到着報知前のかご2が複数あるか否かを判定する(S106)。以下においては、当該かご2を同時到着かごともいう。第1時間は、例えば5秒である。
【0028】
一例として、かご2Aが4階の乗場7に下方向で停止することが決定した場合を考える。かご2Aの当該停止決定がなされた直後であれば、S102でYesと判定され、S104でNoと判定される。
【0029】
また、第1判定部15は、かご2Aの当該停止決定がなされると、群管理装置5が管理するかご2の中に、第1時間内に4階の乗場7に下方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する(S106)。当該第1時間には、かご2Aが4階の乗場7に下方向で停止する予想時刻が含まれる。第1時間の始点が当該予想時刻であっても良い。なお、この例では、かご2Aは、同時到着かごの1つである。このため、S106における判定は、群管理装置5が管理する複数のかご2の中に、かご2A以外に同時到着かごが存在するか否かを判定することと同義である。
【0030】
例えば、記憶部10にかご2B及びかご2Cの停止決定情報が記憶されていなければ、S106でNoと判定される。複数の同時到着かごがないと第1判定部15が判定すると(S106のNo)、第3取得部16は、記憶部10から各かご2の到着予想時刻情報を取得する(S107)。到着予想時刻情報は、停止決定しているかご2と同じ乗場に同じ方向で停止するとした場合に、当該停止が行われると予想される時刻を示す情報である。
【0031】
本例では、かご2Aは、乗場7に下方向で停止することが決定している。このため、かご2Aの到着予想時刻情報は、かご2Aが実際に乗場7に下方向で停止する予想時刻を示す情報である。一方、かご2B及びかご2Cについては、乗場7に下方向で停止することは決定していない。このため、かご2Bの到着予想時刻情報に関しては、かご2Bが乗場7に下方向で停止することが決定したと仮定して、その到着の予想時刻が算出部11によって算出される。かご2Cの到着予想時刻情報に関しても同様である。第3取得部16は、S107において、かご2Aの到着予想時刻情報、かご2Bの到着予想時刻情報、及びかご2Cの到着予想時刻情報を取得する。
【0032】
次に、第2判定部17は、予め設定された第2時間内に、当該停止決定しているかご2と同じ乗場に同じ方向で停止することが可能な他のかご2があるか否かを判定する(S108)。以下においては、当該他のかごを停止可能かごともいう。即ち、第2判定部17は、S108において当該停止決定しているかご2を除くかご2の中に、停止可能かごが存在するか否かを判定する。第2時間は、例えば5秒である。本例であれば、第2判定部17は、かご2B及びかご2Cについて、第2時間内に乗場7に下方向で停止することが可能か否かを判定する。当該第2時間には、かご2Aが4階の乗場7に下方向で停止する予想時刻が含まれる。第2時間の始点が当該予想時刻であっても良い。
【0033】
一例として、第2判定部17は、S107で取得された到着予想時刻情報に基づいて、かご2Aが乗場7に到着する時刻とかご2Bが乗場7に到着する時刻との差、即ち到着の時間差を算出する。第2判定部17は、算出した時間差を第2時間と比較し、当該時間差が第2時間以内であれば、S108でYesと判定する。同様に、第2判定部17は、かご2A及びかご2Cについて、到着の時間差が第2時間以内であればS108でYesと判定する。
【0034】
停止可能かごは、直後に停止決定がなされることによって同時到着かごになり得るかごである。一例として、かご2Bが停止可能かごと判定された場合を考える。この例では、現時点で、かご2Bは、乗場7に下方向で停止することは決定されていない。しかし、この直後にかご2Bが乗場7に下方向で停止することが決定すると、かご2Bは、かご2Aが乗場7に停止した直後に乗場7に到着することになる。この時、かご2Aの到着に合わせて報知器8Aから到着報知が行われると、後から乗場7に到着するかご2Bがあまり利用されなくなってしまう。
【0035】
このような現象が生じることを防止する観点から、停止可能かごがあると第2判定部17が判定すると(S108のYes)、調整部18は、既に停止決定されているかご2の到着報知の開始時刻を遅らせる処理を行う(S109)。本例であれば、調整部18は、かご2Aが乗場7に下方向で停止する際の到着報知の開始時刻を、予め設定された第3時間だけ遅らせる。第3時間は、例えば1秒である。そして、記憶部10に記憶された報知時刻情報が、調整部18による遅延処理に基づいて更新される。即ち、調整部18によって新たに設定された開始時刻の情報が記憶部10に記憶される。なお、報知時刻情報の更新可能な回数は予め設定されていても良い。
【0036】
その後、例えば、かご2Aの到着報知が行われる前にかご2Bが乗場7に下方向で停止することが決定すると、S106でYesと判定される。複数の同時到着かごがあると第1判定部15が判定すると(S106のYes)、調整部18は、当該複数の同時到着かごが乗場7に停止する際の到着報知の開始時刻を合わせる処理を行う(S110)。調整部18は、S110において、到着報知の開始時刻を、当該複数の同時到着かごのうち乗場7に2番目に到着するかごの開始時刻に合わせる。
【0037】
例えば、後から停止決定がなされたかご2Bの到着報知の開始時刻の方がかご2Aの到着報知の開始時刻より遅ければ、調整部18は、かご2Aの到着報知の開始時刻をかご2Bの到着報知の開始時刻に一致させる。これにより、S105において、かご2Aの到着報知とかご2Bの到着報知とが同時に行われる。
【0038】
本実施の形態に示す例では、停止決定がなされたかご2が1台であっても、第2時間内に当該かご2と同じ乗場に同じ方向で停止する見込みのある他のかご2が存在すれば、当該かご2の到着報知の開始時刻が第3時間だけ遅らされる。即ち、本実施の形態に示す例であれば、停止決定していない他のかご2の状況に合わせて、既に停止決定しているかご2の到着報知のタイミングを調整することができる。
【0039】
また、本実施の形態に示す例では、複数の同時到着かごが存在すれば、到着報知の開始時刻が、当該複数の同時到着かごのうち2番目に到着するかごの開始時刻に一致される。このため、乗場7にいる利用者は、複数のかご2がほぼ同時に乗場7に到着していることを、報知器8からの報知によって知ることができる。乗場7が混雑している場合に、先に乗場7に到着したかご2に利用者が殺到してしまうことを回避でき、混雑緩和の効果が期待できる。また、利用者が自分でどのかご2に乗るのかを決めることも可能であり、乗場7で待つ利用者にとって利便性の高いシステムを提供できる。
【0040】
なお、第1時間、第2時間、及び第3時間は、乗場7のレイアウト及び群管理装置5が管理するかご2の台数等に応じて適宜設定される。上記例で示した具体的な数値は一例である。
【0041】
以下に、本エレベーターシステム1が採用可能な他の機能について説明する。エレベーターシステム1は、可能であれば、以下に示す複数の機能を組み合わせて採用しても良い。
【0042】
図4は、エレベーターシステム1の他の動作例を示すフローチャートである。
図4に示す動作フローは、S111が追加された点で、
図3に示す動作フローと相違する。また、
図4に示す動作フローでは、S107における処理が前述した処理と一部異なる。
図4に示す他の処理は、
図3に示す対応する処理と同様である。
図4に示す例では、到着報知の開始時刻を調整するためのかご2の組み合わせが事前に設定される。当該組み合わせは、記憶部10に記憶される。
【0043】
一例として、
図1のA号機からC号機の出入口に対面するように、乗場7を挟んでD号機からF号機の出入口が配置されている場合を考える。即ち、群管理装置5は、6台のかご2を一群として管理する。この例では、報知器8A、報知器8B、及び報知器8Fが同時に点滅しても、報知器8Fが点滅していることは利用者に把握され難い。このような理由から、かご2A、かご2B、及びかご2Cが第1の組み合わせとして設定され、かご2D、かご2E、及びかご2Fが第2の組み合わせとして設定される。なお、第1の組み合わせには、群管理装置5が管理するかご2の一部のみが含まれる。同様に、第2の組み合わせには、群管理装置5が管理するかご2の一部のみが含まれる。
【0044】
図4に示す例では、S106でNoと判定されると、第3取得部16は、記憶部10から、停止決定しているかご2と同じ組み合わせに含まれる各かご2の到着予想時刻情報を取得する(S107)。かご2Aが4階の乗場7に下方向で停止することが決定した上記例であれば、第3取得部16は、S107において、かご2Aの到着予想時刻情報、かご2Bの到着予想時刻情報、及びかご2Cの到着予想時刻情報を取得する。停止決定したかごがかご2Dであれば、第3取得部16は、S107において、かご2Dの到着予想時刻情報、かご2Eの到着予想時刻情報、及びかご2Fの到着予想時刻情報を取得する。そして、第2判定部17は、停止決定しているかご2と同じ組み合わせに含まれるかご2の中に、停止可能かごが存在するか否かを判定する。
【0045】
一方、複数の同時到着かごがあると第1判定部15が判定すると(S106のYes)、群管理装置5では、当該複数の同時到着かごが、事前に設定された1つの組み合わせに含まれるか否かが更に判定される(S111)。例えば、S106で判定された複数の同時到着かごがかご2A及びかご2Bであれば、かご2A及びかご2Bは第1の組み合わせに含まれるため、S111でYesと判定される。他の例として、S106で判定された複数の同時到着かごがかご2D及びかご2Eであれば、かご2D及びかご2Eは第2の組み合わせに含まれるため、S111でYesと判定される。
【0046】
一方、S106で判定された複数の同時到着かごがかご2A及びかご2Fであれば、S111でNoと判定される。S111でNoと判定されると、S107に示す処理が行われる。
【0047】
S111でYesと判定されると、S110に示す処理が行われる。即ち、調整部18は、S106でYesと判定され且つS111でYesと判定されると、到着報知の開始時刻を、当該複数の同時到着かごのうち乗場7に2番目に到着するかごの開始時刻に合わせる。
【0048】
図4に示す例であれば、乗場7にいる利用者が混乱することを防止でき、乗場7で待つ利用者にとって更に利便性の高いシステムを提供できる。
【0049】
図5は、群管理装置5の他の機能を説明するための図である。
図5に示す例では、群管理装置5は、制御機能として、特定部19を更に備える。
【0050】
図6は、エレベーターシステム1の他の動作例を示すフローチャートである。
図6に示す動作フローは、S112からS114が追加された点で、
図3又は
図4に示す動作フローと相違する。なお、
図6のS101からS104に示す処理は、
図3に示す対応する処理と同様である。また、S105以降の処理は、
図3に示す処理が行われても良いし、
図4に示す処理が行われても良い。
【0051】
図5及び
図6に示す例では、記憶部10に、各かご2内の仕様に関する第1情報が記憶される。一例として、第1情報に、かご2の容量を示す情報が含まれる。第1情報に、手摺の有無を示す情報が含まれても良い。第1情報に、副操作盤の有無を示す情報が含まれても良い。第1情報は、上記例に限定されない。第1情報に、上記に示す情報が含まれなくても良いし、上記に示されていない他の情報が含まれても良い。また、
図5及び
図6に示す例では、記憶部10に、各かご2の混雑状況に関する第2情報が記憶される。第2情報は、一定の周期で更新されることが好ましい。
【0052】
図4に示す例では、S104でYesと判定されると、到着報知の開始時刻が経過しているかご2が複数であるか否かが判定される(S112)。S112でNoと判定されると、S105の処理が行われる。
【0053】
例えば、S110で到着報知の開始時刻が合わせられた複数の同時到着かごについてS104でYesと判定されると、S112でもYesと判定される。S112でYesと判定されると、特定部19は、当該複数の同時到着かごについて、状況又は仕様に差異があるか否かを判定する(S113)。一例として、S113の判定は、記憶部10に記憶された第1情報及び第2情報に基づいて行われる。
【0054】
特定部19は、S113でYesと判定すると、当該複数の同時到着かごについて差分情報を特定する。差分情報は、かご2内の仕様の差異に関する情報であっても良い。差分情報は、かご2の混雑状況の差異に関する情報であっても良い。報知制御部14は、S112でYesと判定されると、特定部19が特定した差分情報を、当該複数の同時到着かごが乗場7に停止する際の到着報知とともに乗場7に報知する(S114)。
【0055】
差分情報の報知は、どのような方法によって行われても良い。差分情報の報知は、乗場7に設けられたスピーカから行われても良いし、乗場7に設けられたディスプレイから行われても良い。また、差分情報の報知は、到着報知とともに行われれば、どのようなタイミングで行われても良い。差分情報の報知は、到着報知より前に開始されても良いし、到着報知より後に開始されても良い。
【0056】
図5及び
図6に示す例であれば、乗場7にいる利用者は、差分情報も考慮した上で乗るかご2を選択することができる。
図5及び
図6に示す例であれば、乗場7で待つ利用者にとって更に利便性の高いシステムを提供できる。
【0057】
図7は、群管理装置5のハードウェア資源の例を示す図である。群管理装置5は、ハードウェア資源として、プロセッサ21とメモリ22とを含む処理回路20を備える。処理回路20に複数のプロセッサ21が含まれても良い。処理回路20に複数のメモリ22が含まれても良い。
【0058】
本実施の形態において、符号10~19に示す各部は、群管理装置5が有する機能を示す。記憶部10の機能は、メモリ22によって実現される。符号11~19に示す各部の機能は、プログラムとして記述されたソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現できる。当該プログラムは、メモリ22に記憶される。群管理装置5は、メモリ22に記憶されたプログラムをプロセッサ21(コンピュータ)によって実行することにより、符号11~19に示す各部の機能を実現する。
【0059】
プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、或いはDSPともいわれる。メモリ22として、半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、或いはDVDを採用しても良い。採用可能な半導体メモリには、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、及びEEPROM等が含まれる。
【0060】
図8は、群管理装置5のハードウェア資源の他の例を示す図である。
図8に示す例では、群管理装置5は、プロセッサ21、メモリ22、及び専用ハードウェア23を含む処理回路20を備える。
図8は、群管理装置5が有する機能の一部を専用ハードウェア23によって実現する例を示す。群管理装置5が有する機能の全部を専用ハードウェア23によって実現しても良い。専用ハードウェア23として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 エレベーターシステム、 2 かご、 3 昇降路、 4 制御装置、 5 群管理装置、 6 機械室、 7 乗場、 8 報知器、 10 記憶部、 11 算出部、 12 第1取得部、 13 第2取得部、 14 報知制御部、 15 第1判定部、 16 第3取得部、 17 第2判定部、 18 調整部、 19 特定部、 20 処理回路、 21 プロセッサ、 22 メモリ、 23 専用ハードウェア
【手続補正書】
【提出日】2023-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1かごを含む複数のかごを一群として管理する群管理装置であって、
前記第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、前記複数のかごの中に、前記第1かごが前記乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、
前記複数の同時到着かごがないと前記第1判定部が判定すると、前記第1かごを除く前記複数のかごの中に、前記予想時刻を含む第2時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、
前記停止可能かごがあると前記第2判定部が判定すると、前記第1かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、
を備えたエレベーターの群管理装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記複数の同時到着かごがあると前記第1判定部が判定すると、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を、前記複数の同時到着かごのうち前記乗場に2番目に到着するかごの到着報知の開始時刻に合わせる請求項1に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項3】
前記複数のかごの一部のみが含まれる組み合わせが事前に設定され、
前記調整部は、前記複数の同時到着かごがあると前記第1判定部が判定し且つ前記複数の同時到着かごが前記組み合わせに含まれる場合に、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を前記2番目に到着するかごの到着報知の開始時刻に合わせる請求項2に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項4】
到着報知の開始時刻が合わせられた前記複数の同時到着かごについて、差分情報を特定する特定部と、
前記特定部が特定した前記差分情報を、前記複数の同時到着かごが前記乗場に停止する際の到着報知とともに前記乗場に報知する報知制御部と、
を更に備え、
前記差分情報に、混雑状況に関する情報又はかご内の仕様に関する情報が含まれる請求項2又は請求項3に記載のエレベーターの群管理装置。
【請求項5】
第1かごを含む複数のかごと、
前記複数のかごを一群として管理する群管理装置と、
を備え、
前記群管理装置は、
前記第1かごがある乗場に第1方向で停止することが決定すると、前記複数のかごの中に、前記第1かごが前記乗場に停止する予想時刻を含む第1時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止する到着報知前の複数の同時到着かごがあるか否かを判定する第1判定部と、
前記複数の同時到着かごがないと前記第1判定部が判定すると、前記第1かごを除く前記複数のかごの中に、前記予想時刻を含む第2時間内に、前記乗場に前記第1方向で停止することが可能な停止可能かごがあるか否かを判定する第2判定部と、
前記停止可能かごがあると前記第2判定部が判定すると、前記第1かごが前記乗場に停止する際の到着報知の開始時刻を第3時間だけ遅らせる調整部と、
を備えたエレベーターシステム。