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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015225
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】温度調整設備及び温度調整方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20240125BHJP
   A61M 5/44 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A61M1/02
A61M5/44
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206002
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2020565260の分割
【原出願日】2019-04-03
(31)【優先権主張番号】102018112194.6
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】516002978
【氏名又は名称】バルカイ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】バルッフ・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】レムペル・ハリー
(72)【発明者】
【氏名】ペトラッハ・クリスティアン
(57)【要約】
【課題】
前記温度被制御物品1を温度調整し液体状態に解凍するための設備に関する。
【解決手段】
複数のアクチュエータは、機械式の複数の調整要素12,13として形成されていて、複数の調整要素12,13は、線材又は金属製のワイヤから成るロッド要素として形成されていて、複数の調整要素12,13がそれぞれ、加熱要素9と温度被制御物品1との間及び加熱要素14と温度被制御物品1との間に配置されていて、複数の調整要素12,13は、温度被制御物品1に直接に当接して延存し、複数の調整要素12,13が、周期的に及び/又は非周期的に移動される結果、押圧力FD11,FD12,FD21,FD12が、複数の調整要素12,13によって、温度被制御物品1の対向する両側面15,15′の一部に印可される間に、熱が、温度被制御物品1に供給されるように、複数の調整要素12,13は制御可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
-温度被制御物品(1)と、
-熱を前記温度被制御物品(1)の少なくとも1つの側面(15,15′)に伝達するための加熱モジュール(10)と、
-前記温度被制御物品(1)を移動可能であるアクチュエータ、
とがあるハウジング(2)を備える、前記温度被制御物品(1)を温度調整し解凍するための設備において、
前記アクチュエータは、機械式の調整要素(12,13)として形成されていて、前記調整要素(12,13)は、前記温度被制御物品(1)に理想的には直接に前記温度被制御物品(1)に当接して延存し、前記調整要素(12,13)が、周期的に及び/又は非周期的に移動されるように、前記調整要素(12,13)は制御可能であることを特徴とする設備。
【請求項2】
前記調整要素(12,13)が、旋回軸線(S)に対して旋回移動するように、前記調整要素(12,13)は制御可能であり、
前記温度被制御物品(1)の長手中心面(LT)への前記旋回軸線(S)の正射影が、この温度被制御物品(1)と交差することを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記旋回軸線(S)は、前記温度被制御物品(1)の中心面、特に横中心面(QT)に沿って又はその近くに延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記調整要素(12,13)は、平面状に、特に平坦に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の設備。
【請求項5】
前記調整要素(12,13)は、ロッド要素として形成されていて、
複数のロッド(19,19′)が、開口部(32)を包囲することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の設備。
【請求項6】
前記調整要素(12,13)が、最大調整角度(φMAX)と最小調整角度(-φMAX)との間で往復旋回されるように、前記調整要素(12,13)は、結合されたアクチュエータによって制御可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の設備。
【請求項7】
前記調整要素(12,13)が、0.1~25Hzの周波数で連続して旋回されるように、前記調整要素(12,13)は制御可能であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の設備。
【請求項8】
前記調整要素(12,13)は、+/-2mm~+/-100mm、例えば+/-10mm~+/-30mm、特に+/-25mmの範囲内の振幅で直線移動及び/又は旋回移動することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の設備。
【請求項9】
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する周辺部(19′)を有し、前記温度被制御物品(1)の横中心面(QT)から前記周辺部(19′)までの間隔(a)は、前記温度被制御物品(1)の幅(bT)の半分の0.2倍から0.7倍に相当することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の設備。
【請求項10】
それぞれ1つの調整要素(12,13)が、前記温度被制御物品(1)の対向する側面(15,15′)に当接すること、及び
これらの調整要素(12,13)が、平行に互いにずらして配置された複数の旋回軸線(S)を中心にして、特に同じ回転方向に同期又は非同期に旋回されるように制御されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の設備。
【請求項11】
前記調整要素(12,13)の前記ロッド(19,19′,19″)は、理想的には線材から成ることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の設備。
【請求項12】
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に沿ってずらして配置された、O字形の複数のロッド(19,19′,19″)を有する複数のパドル部(18)を備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の設備。
【請求項13】
前記温度被制御物品(1)及び/又は前記加熱要素(9,14)に対する前記調整要素(12,13)の当接面が、前記調整要素(12,13)に面した前記温度被制御物品(1)の側面(15,15′)及び/又は前記調整要素(12,13)に面した前記加熱要素(9,14)の上面又は下面の10%よりも小さいことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の設備。
【請求項14】
前記加熱要素(9,14)は、前記調整要素(12,13)内に組み込まれていて、
前記加熱要素(9,14)は、硬い加熱面を有する板状ヒータとして形成されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の設備。
【請求項15】
前記温度被制御物品(1)が、前記調整要素(12,13)の前記パドル部(18)を完全に又は少なくとも部分的に覆うように、前記温度被制御物品(1)は、前記調整要素(12,13)に対して配置されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の設備。
【請求項16】
前記調整要素(12,13)は、互いに大きい間隔(d2)をあけて且つ前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する一対の周辺ロッド(19′)を有する幅広部(40,40′,40″)を備えることを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の設備。
【請求項17】
前記調整要素(12,13)の旋回移動又は直線移動の振れ及び/又は周波数及び/又は加速度は、例えば予め設定されている閾値温度に関連する前記温度被制御物品(1)の実際の温度、及び/又は温度調整工程の予め設定されている時点、及び/又は前記温度被制御物品(1)の状態、及び/又は前記温度被制御物品(1)の粘度のような、稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存することを特徴とする請求項1~16のいずれか1項に記載の設備。
【請求項18】
温度被制御物品(1)を温度調整し解凍するための方法であって、
押圧力(FD11,FD12,FD21,FD12)が、調整要素(12,13,50,51,52,53,55)によって、予め設定されている時間間隔(TD)内に前記温度被制御物品(1)に部分的に印可される当該方法において、
前記調整要素(12,13,50,51,52,53,55)の作用期間、作用量及び/又は作用強さが、前記時間間隔(TD)の予め設定されている時点及び/又は前記温度被制御物品(1)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して変更されることを特徴とする方法。
【請求項19】
前記調整要素(12,13,50,51,52,53,55)は、前記温度被制御物品(1)の対向する側からこの温度被制御物品(1)に周期的に及び/又は非周期的に作用し、
当該作用する押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、共通の1つの直線上で反対方向に延在し、この押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、同じ時点で最大値を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1)内に第1周波数と第1振幅(A1,-A1)と第1加速度とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、
前記第1時間間隔(TZ1)は、或る時点(tA3)に当該予め設定されている時間間隔(TZ1)に依存して、又は前記調整要素(12,13)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して終了されること、及び
前記調整要素(12,13)は、引き続く第2時間間隔(TZ2)内に前記第1周波数と同じ第2周波数と前記第1振幅(A1,-A1)に対してより大きい第2振幅(A2,-A2)と前記第1時間間隔(TZ1)内の加速度に対して絶対値的により大きい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働されることを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1′)内に第1周波数と第1振幅(A1′,-A1′)と第1加速度とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、及び
前記温度被制御物品(1)が、予め設定されている臨界温度(TKrit)に達すると、前記調整要素(12,13)は、第2時間間隔(TZ2′)内に前記第1周波数に対してより低い第2周波数と前記第1振幅(A1′,-A1′)に対して同じ第2振幅(A1′,-A1′)と前記第1時間間隔(TZ1′)内の加速度に対してより小さい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働されることを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
前記調整要素(12,13)は、任意の時点に対して且つ任意の時間間隔TZにわたって、予め設定されている、周波数、振幅又は加速度に関する一定の稼働パラメータ若しくはプロセスパラメータ及び/又は実際の稼働パラメータ若しくはプロセスパラメータに依存して個別に移動されることを特徴とする請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度被制御物品と、熱を当該温度被制御物品の少なくとも1つの側面に伝達するための加熱モジュールと、当該温度被制御物品を移動可能であるアクチュエータとを有するハウジングを備える、当該温度被制御物品を温度調整し解凍するための設備に関する。
【0002】
さらに、本発明は、温度被制御物品を温度調整し解凍するための方法であって、押圧力が、調整要素によって、予め設定されている時間間隔内に当該温度被制御物品に部分的に印可される当該方法に関する。
【背景技術】
【0003】
温度被制御物品を解凍するための設備が、米国特許第6748164号明細書から公知である。当該設備の場合、温度被制御物品が、加熱機構によって包囲されている。暖かい液体が、当該加熱機構内で循環される。当該加熱機構と当該温度被制御物品とが、直接に熱接触することによって、熱が、当該加熱機構から当該温度被制御物品に伝達する。解凍工程を加速するため、周期的に上下に移動可能なハウジングベースが、調整機構として構成されている。当該加熱機構が、このハウジングベース上に配置されている。したがって、当該加熱機構は、旋回移動に移行される。この場合、旋回軸線が、当該加熱機構の周辺に沿って延在する。したがって、当該温度被制御物品は、間接的に旋回される。この場合、周辺面が、当該旋回軸線の近くに配置されている。
【0004】
温度被制御物品を解凍するための設備が、米国特許第8012416号明細書から公知である。この場合、当該温度被制御物品の対向する側面がそれぞれ、加熱機構に接触している。下側の加熱機構が、複数の支持板上に配置されている。これらの支持板はそれぞれ、膨張可能なクッションに付設されている。中心面に対して、当該加熱機構の一方の半分が持ち上げられ、次いで当該加熱機構の他方の半分が持ち上げられるように、これらのクッションは、半周期的に膨張される。したがって、当該温度被制御物品は、当該中心面に対して最初に第1半分で圧縮され、次いで第2半分で圧縮される。当該温度被制御物品を一時的に且つ部分的に圧縮するためのコストが比較的かかることが、当該設備の欠点である。周波数又は加速度が、比較的制限される。
【0005】
温度被制御物品を温度調整し解凍するための設備が、欧州特許第0318924号明細書から公知である。当該設備の場合、温度被制御物品が、加熱モジュールの2つの加熱機構間に配置されている。当該加熱機構は、プラスチックバッグとして形成されている。暖かい液体が、ポンプによって循環される。クランクが、当該加熱機構の周辺側に配置されている。当該加熱バッグ内に収容された暖かい液体が、クランクから遠ざかるように移動されるように、当該クランクは、モータによって回転され、上側の加熱バッグの周辺側と下側の加熱バッグの周辺側とを交互に圧縮する。これにより、当該温度被制御物品に伝達され得る移動振動が、当該加熱バッグ内で発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6748164号明細書
【特許文献2】米国特許第8012416号明細書
【特許文献3】欧州特許第0318924号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、温度調整の効率が簡単にさらに改善されるように、温度被制御物品を温度調整し解凍するための設備を改良することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1に記載の上位概念に関連する本発明は、アクチュエータが機械式の調整要素として形成されていて、当該調整要素が当該温度被制御物品に理想的には直接に当接し、当該調整要素が周期的に及び/又は非周期的に移動されるように、当該調整要素が制御可能であることを特徴とすることによって解決される。
【0009】
本発明の設備は、機械式の調整要素を温度被制御物品に直接に当接することによって、当該温度被制御物品の適切で且つ直接の移動制御を可能にする。その結果、加熱機構から温度被制御物品への熱伝達が加速され得る。好ましくは、調整要素によって予め設定されている移動が、温度被制御物品に直接に且つ迅速に伝達され得る。調整要素から温度被制御物品への移動に対する別の構成部品による介入時の望まない外乱が回避され得る。特に、本発明は、温度被制御物品の外側領域内を構成する通常は加熱された部分を、この温度被制御物品のコア領域を構成する通常は冷たい部分と比較的迅速に入れ替えることを可能にする。したがって、当該温度被制御物品の比較的早い混合が保証される。温度被制御物品は、例えばバッグ内に収納されている液体又はゲルとして構成され得る。したがって、本発明は、液体又はゲルの比較的迅速な混合を可能にする。温度被制御物品は、電磁誘導によって、又は放射線(赤外線、マイクロ波)によって、又は気流によって加熱され得る。本発明によれば、機械式の調整要素が、温度被制御物品に機械式に直接に接合されている。したがって、特に断続的な移動インパルスが、温度被制御物品の一部に直接に伝達され得る。
【0010】
本発明の好適な実施の形態によれば、旋回移動が実行されるように、機械式の調整要素が制御可能である。この場合、温度被制御物品が、その延在面から異なる経路で部分的に偏向される。当該温度被制御物品は、変形されるか又は「揉まれる」。その結果、冷凍コア及び当該温度被制御物品の既に解凍された部分が、内側で流動するか又は移動する。特に、旋回軸線が、中心面又は横中心面の領域内に延在する。その結果、当該温度被制御物品は、ボートのパドルのようにその中心面を中心にして往復旋回される。その結果、好ましくは、当該温度被制御物品の冷凍部分及び既に解凍された部分が、往復移動中に当該温度被制御物品の既に溶融された部分内で一定に移動され得る。これにより、不均一な流れが、当該温度被制御物品内で発生する。この場合、冷たい液体が、当該温度被制御物品の表面に沿って流れ、これにより、より高い温度勾配が、加熱要素から当該温度被制御物品に向かって発生する。これにより、解凍時間が、30%だけ減少され得ることが実証された。
【0011】
本発明の好適な実施の形態によれば、機械式の調整要素は、平坦に形成されている。当該調整要素は、温度被制御物品の形に適合されて形成され得る。その結果、直線状及び/又は平坦状の接触が、当該調整要素と当該温度被制御物品との間で得られる。好ましくは、当該調整要素は、平面状に形成されている。その結果、当該調整要素は、当該温度被制御物品と当該加熱要素との間に省スペースに位置決め可能である。
【0012】
本発明のさらなる構成によれば、調整要素は、開口部を包囲する複数のロッドから成るロッド要素として形成されている。この開口部は、加熱機構を温度被制御物品に直接に当接することを可能にする。この場合、当該加熱機構と当該温度被制御物品との間の熱伝達面が、調整要素を有しない設備に比べて可能な限り小さく減少される。
【0013】
本発明のさらなる構成によれば、調整要素は、温度被制御物品の周辺面に適合された周辺面を有する。当該温度被制御物品の寸法比に適合することによって、旋回移動が、比較的小さい力の印加で実行され得る。
【0014】
本発明のさらなる構成によれば、調整要素は、アクチュエータ、特にステッピングモータに結合されている。この場合、当該調整要素が、最大調整角度と最小調整角度との間で周期的に及び/又は非周期的に往復旋回されるように、当該アクチュエータは、当該調整要素を制御する。特に、当該旋回移動は、一定の振幅を有する。当該アクチュエータは、モータの代わりに磁気式又は空気式の機構として構成されてもよい。これにより、当該温度被制御物品は、旋回軸線を中心にして周期的に且つ均一に往復移動又はパドル移動する。代わりに、この移動は、経時変化する振幅で実行されてもよい。
【0015】
本発明のさらなる構成によれば、調整要素が、0.1~25Hzの周波数で連続して旋回されるように、当該調整要素は制御可能である。最良の温度調整結果が、この周波数範囲内で得られることが分かっている。特に、衝突力を温度被制御物品の複数の個所で断続的に且つ周期的又は反周期的に部分的に作用することによって、解凍時間の短縮が達成される。このため、当該調整要素は、当該温度被制御物品の異なる複数の箇所に高い加速度で作用する。
【0016】
本発明のさらなる構成によれば、調整要素は、+/-2mm~+/-100mm、例えば+/-10mm~+/-30mm、特に+/-25mmの範囲内の振幅で直線移動及び/又は旋回移動する。この比較的小さい振れが、良好な温度調整結果を引き起こすことが分かっている。
【0017】
本発明のさらなる構成によれば、ロッド要素の複数のロッドが、線材から形成されている。好ましくは、当該金属製のワイヤは、熱伝達面での損失を小さくする。また、当該線材の質量が小さいので、当該ロッド要素の熱容量が小さい。温度被制御物品に直接に作用する迅速な移動及び高い加速度が、当該線材の硬い又は安定な構造によって達成され得る。加熱機構が、流体クッションとして形成されている場合、当該温度被制御物品だけではなくて、同時に当該流体クッションも混合又は刺激され得る。したがって、当該調整要素は、簡単に製造され得る。当該調整要素は、使用目的に対して十分な剛性を呈する。
【0018】
本発明のさらなる構成によれば、複数のロッド要素が、旋回軸線に沿って配置されてもよい。好ましくは、これにより、より小さく囲まれた複数の面が形成され得る。旋回移動が、これらの面によって温度被制御物品に直接に伝達される。
【0019】
本発明のさらなる構成によれば、加熱機構は、温度調整クッションとして又はゲルクッションとして形成され得る。当該加熱機構の中身は、電気式に加熱される。代わりに、加熱機構は、液体状の温度調整媒体を含むプラスチックバッグによって形成されてもよい。この場合、当該媒体は、ポンプによって循環される。本発明の調整要素は、加熱機構の機能に関係なく広く使用され得る。
【0020】
当該課題を解決するため、請求項18に記載の上位概念に関連する本発明は、調整要素の作用期間、作用量及び/又は作用強さが当該時間間隔の予め設定されている時点及び/又は当該温度被制御物品の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して変更されることを特徴とする。
【0021】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】蓋が開かれたときの温度被制御物品の正面側斜視図である。この場合、加熱要素が、ハウジングの底部上に配置されていて、機械式の調整要素が、当該加熱要素の上方に配置されている。
図2】調整要素の斜視図である。
図3】温度調整装置の温度調整チャンバ内に配置された複数の構成要素の垂直断面における分解図である。
図4】モータと調整要素の移動とのタイムチャートを例示する。
図5】温度被制御物品の外部領域又は調整要素の周辺ロッドの振れのタイムチャートを例示する。
図6】温度調整設備の温度調整チャンバの正面図である。この場合、3つの温度被制御物品が、旋回軸線に沿ってオフセット式に配置された調整要素の2つの幅広部に割り当てられている。
図7】温度調整設備の温度調整チャンバの正面図である。この場合、4つの温度被制御物品が、旋回軸線に沿ってオフセット式に配置された調整要素の2つの幅広部に割り当てられている。
図8】本発明の第1の移動推移による変位/時間チャートを例示する。
図9】本発明の第2の移動推移による変位/時間チャートを例示する。
図10】複数の調整要素の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の温度被制御物品1を温度調整し解凍するための設備が、ハウジング2を有する。このハウジング2の上側が、ヒンジ付き蓋3として構成されている。下側のベースチャンバ4が、ハウジング2の内部空間内に設けられている。ベースチャンバ4内には、電子制御装置及びその他の構成部品が、ベースチャンバ4の上側に配置された温度調整チャンバ5内での温度調整を可能にするために設けられている。ハウジング2が、ベースチャンバ4の垂直方向の前面に操作要素6と表示装置7とを有する。その結果、ハウジング2から構成された解凍装置が、人によって操作可能である。
【0024】
温度調整チャンバ5は、固定された底部8を有する。同時に、底部8は、ベースチャンバ4に対する隔壁を形成する。当該加熱機構は、特に、底部8上に存在する第1加熱要素9と、この第1加熱要素9に属し、ベースチャンバ4内に配置された加熱モジュール10とから成る。機械式の調整要素12が、下側の加熱要素9の上面11の垂直方向に配置されている。蓋3が閉じられている解凍装置の稼働状態では、温度調整チャンバ5は、垂直方向に図3に示された層状の構造を成す。温度被制御物品1が、垂直方向に上向きに第1調整要素12に当接する。第2調整要素13が、温度被制御物品1の上方で当接する。温度調整チャンバ5は、温度被制御物品1の長手中心面Lに対して理想的には対称の構造を成す。1つの調整要素12,13と、この調整要素に当接する1つの加熱要素9,14とが、温度被制御物品1の両側に配置されている。
【0025】
温度被制御物品1は、例えば、封入容器としてのバッグによって包まれている血漿材料又は血液材料から成る。理想的には、温度被制御物品1のバックは、比較的簡単に形成されている。このため、温度被制御物品1は、対向する2つの側面15,15′と、周設される複数の狭窄面16とを有する。これらの狭窄面16は、当該対向する側面15,15′を接合させる。これらの側面15,15′は、特に長方形に形成されている。
【0026】
代わりに、温度被制御物品1は、異なる複数の側面又は等しい大きさの側面によって多角形に形成されてもよい。例えば、温度被制御物品1は、梨形に又は立方体形にランプ形に形成されてもよい。この場合、温度被制御物品1は、温度調整チャンバ5内に装填される。この場合、温度被制御物品1は、調整要素12,13及び/又は加熱要素9,14によって挟持される。当該温度被制御物品の特にフレキシブルな構造に起因して、少なくとも、当該温度被制御物品が、解凍され続ける状態にあるときに、平らな側面が発生し得る。その結果、熱伝達面が、初期状態に比べて増大している。
【0027】
より良好に図示するため、図3では、複数の構成要素が、互いに離間して配置されている。実際には、これらの構成要素は、重なり合って密に隣接している。したがって、下側の第1調整要素12が、温度被制御物品1の下側の側面15に直接に且つ平面状に接合していて、下側の第1加熱要素9の上面11に隣接している。上側の第2調整要素13が、温度被制御物品1の上側の側面15′に直接に且つ平面状に接合していて、上側の第2加熱要素14の下面17に隣接している。
【0028】
第1調整要素12と第2調整要素13とは、特に同一構造に形成され得る。これらの調整要素はそれぞれ、調整要素12,13の長手方向に分散して配置された2つのパドル部18を有する。これらのパドル部18はそれぞれ、長方形に延在するロッド19から成る。これらのパドル部18は、1つの接続ロッド20によって互いに接続されている。この接続ロッド20は、調整要素12,13の第1端部から第2端部まで連続して延在し得る。T字形部材21が、接続ロッド20の1つの端部に繋がっている。このT字形部材21は、ホルダ22内に、例えば係止されて収容されている。このため、ホルダ22は、1つの溝を有する。T字形部材21の端部側の横ロッドが、この溝内に収容されている。中空シリンダ23が、ホルダ22に繋がっている。図示されていないモータの軸が、この中空シリンダ23内に固定されて係合可能である。稼働位置では、中空シリンダ23又は軸は、接続ロッド20に対して同軸に延在する。したがって、接続ロッド20は、旋回軸線Sに延在する。当該モータは、アクチュエータとして使用される。代わりに、当該アクチュエータは、空気式に又は磁気式に構成されてもよく、例えばリフティングマグネット又はロータリーマグネットとして構成されてもよい。
【0029】
第1調整要素12及び第2調整要素13は、モータによって最大調整角度φMAXと最小調整角度-φMAXとの間で周期的に及び/又は非周期的に旋回可能である。これらの調整要素は、軸を介して当該モータに連結されているか、又は歯車装置を介して連結されている。
【0030】
図1から分かるように、調整要素12,13は、温度調整チャンバ5の中央に異なる高さで軸支されている。一般に、旋回軸線Sは、温度調整チャンバ5の側壁24に対して平行に、そして温度調整チャンバ5の後壁25及び前壁26に対して直角に延在する。調整要素12,13のホルダ22は、後壁25の領域内に配置されている。
【0031】
旋回軸線Sが、温度被制御物品1の中心面、すなわち横中心面Qに沿って又はその近くで延在する。調整要素12,13が、この旋回軸線Sを中心にして往復旋回可能に軸支されている。したがって、調整要素12,13のパドル部18の第1半分27が、温度被制御物品1の第1半分28に割り当てられている。調整要素12,13のパドル部18の第2半分27′が、温度被制御物品1の第2半分28′に割り当てられている。両半分27,27′又は28,28′は、旋回軸線S又は横中心面Qに対して対称に配置されている。
【0032】
旋回軸線Sの方向にずらして配置された調整要素12,13が、特に同じに制御される。その結果、半分の周期T/2内に、パドル部18の第1半分27が、正の角φだけ方向+φMAXに回転され、第2半分27′が、負の角-φだけ方向-φMAXに回転される。この場合、これらの調整要素12,13の第1半分27が、上へ向かって旋回される間に、これらの調整要素12,13の第2半分27′は、下へ向かって旋回される。したがって、押圧力Fが、温度被制御物品1の対向する側面15,15′と対向する半分28,28′とに印加される。これにより、不均一な流れが、温度被制御物品1中で適切に生成され得る。この場合、例えば、冷凍コア29が、前後に移動し、既に解凍された液体30の不均一な流れによって包囲されている。
【0033】
これにより、非常に高い温度勾配が生成され得る。冷凍コア29は、温度被制御物品1のコア領域内に存在する当該温度被制御物品1の一部である。コア29を包囲する液体30は、温度被制御物品1の外側領域内に存在する当該温度被制御物品1の一部に相当する。温度被制御物品1は、温度調整工程の初めは冷凍状態にある。この場合、当該外側領域と当該温度被制御物品のコア領域との双方が、固体の凝集状態にあり、すなわち0℃以下の温度を呈する。温度被制御物品1が、温度調整工程の終了時に希望した温度を呈するまで、本発明の設備をこの温度被制御物品1に適用することによって、この温度被制御物品1の外側領域が、比較的早く解凍し、この温度被制御物品1が、高い加速度で速く移動するので、この温度被制御物品1は、完全に解凍される。
【0034】
図3から分かるように、調整要素12,13の旋回軸線Sが、温度被制御物品1の長手中心面Lに対して直交する投影方向にこの温度被制御物品1を横断する。
【0035】
一般に、調整要素12,13のパドル部18は、温度被制御物品1の包囲面よりも小さい包囲面を有する。
【0036】
本発明の別の実施の形態によれば、複数の温度被制御物品1が、複数のパドル部に割り当てられていてもよい。
【0037】
図4から分かるように、旋回軸線Sに対して平行に延在する周辺ロッド19′が、初期位置又は初期高さに対して最大振れ+/-SMAX間で振れるように、複数のパドル部18が、旋回軸線Sを中心にして、例えば周期的に旋回される。当該初期位置31は、温度被制御物品1の長手中心面Lに対して平行な平面内にある。当該最大振れSMAX,-SMAXは、+/-30mmの範囲内にあり得て、特に+/-25mmの範囲内にあり得る。
【0038】
複数の周辺ロッド19′がそれぞれ、旋回軸線Sに対して、温度被制御物品1の幅bの半分の0.2倍~0.7倍に相当する間隔aを有する。
【0039】
この実施の形態では、機械式の調整要素12,13又はパドル部18は平坦に形成されている。
【0040】
図示されていない本発明の別の実施の形態によれば、温度被制御物品1の形により良好に適合されるため、調整要素12,13又はパドル部18の輪郭が、例えば円弧状及び/又はさじ状であってもよい。
【0041】
パドル部18のロッド19,19′は、フレキシブルに形成された温度被制御物品1及び/又は加熱要素9,14が部分的に嵌入され得る開口部32を確定する。したがって、温度被制御物品1が、当該開口部の領域内で加熱要素9,14に直接に接触する。この実施の形態による調整要素12,13は、総じてロッド要素として形成されているので、本質的に、加熱要素9,14と温度被制御物品1とが直接に接触される。
【0042】
本発明の別の実施の形態によれば、パドル部18の全面が、熱伝導性の材料から非フレキシブルに又はフレキシブルに形成され得る。場合によっては、当該全体的に平坦状の調整要素又はパドル部18は、例えばフィルムヒンジ式に互いに接合されている複数の非フレキシブルなセグメントから構成され得る。
【0043】
モータが、調整要素12,13を特に0.5~5Hzの範囲内の周波数で旋回させる。熱が、この周波数によって温度被制御物品1中に最適に伝達され得る。
【0044】
加熱要素9,14はそれぞれ、合成樹脂バッグを有する。当該合成樹脂バッグ内では、温度調整された液状の媒体が、図示されなかったポンプによって循環される。当該液状の媒体を温度調整するためのポンプ及び加熱コイルが、ベースチャンバ4内に配置されている。
【0045】
本発明の別の実施の形態によれば、加熱要素9,14は、それぞれ電気加熱される温度調整クッション又はジェルクッションによって形成されてもよい。これにより、必要とされる構造空間は比較的小さい。
【0046】
調整要素12,13のロッド19,19′は、線材から成る。
【0047】
本発明の図示されていない別の実施の形態によれば、解凍装置は、温度被制御物品1の上側又は下側に配置されているただ1つの調整要素12,13を有してもよい。上記の実施の形態とは違って、押圧力Fが、温度被制御物品1の両側面15,15′に常に印加されるのではなくて、ただ1つの側面15,15′に交互に印加される、すなわち第1半周期T/2内に第1側面15上に印加され、第2半周期T/2内に第2側面15′上に印加される。
【0048】
図示されていない実施の形態によれば、モータは、ステッピングモータとして構成されてもよい。軸が、当該ステッピングモータによって予め設定されている角度だけ回転される。図4に示されたモータ電流Iによるモータ曲線は、この場合は正弦波状に推移されない。
【0049】
図3図4とから分かるように、例えば周期的な押圧力Fが、温度被制御物品1の両側面上に、すなわち第1側面15上と第2側面15′上とに印加される。当該構成に基づいて、調整要素12,13が、同期して及び/又は同じ方向に同じ旋回方向に旋回される。したがって、パドル部18の第1半分27が、平面A内の初期位置から温度被制御物品1へ向かって上方へ旋回すると、押圧力FD11が、下側の調整要素12によって印加され、パドル部18の第2半分27′が、温度被制御物品1へ向かって下方へ旋回すると、反対方向の押圧力FD22が、上側の調整要素13によって印加される。調整要素12,13が、当該初期位置の平面Aに対する最大角φMAXを成してそれらの最大振れSMAXに達すると、移動が反転する。その結果、押圧力FD11,FD22が弱まる。半周期T/2後に初期位置Aに達すると共に、押圧力FD12が、下側の調整要素12の別の半分27′によって下側の側面15の第2半分27′に作用する一方で、押圧力FD21が、上側の調整要素13の第1半分27によって温度被制御物品1の第1半分27に作用する。図4には、当該動作が、対応する力矢印によって示されている。したがって、パドル部18半分27,27′は、複数の開口部を有する旋回レバーのように作用する。押圧力Fが、温度被制御物品1の下側の側面15と上側の側面15′とに常に作用する。この場合、押圧力FD11及びFD22又は押圧力FD21及びFD12が、横中心面Qに対して非対称に温度被制御物品1に作用する。
【0050】
ただ1つの調整要素12,13だけが設けられている場合、押圧力FD11,FD12又はFD21,FD22が、ただ1つの側面だけからパドル部18の半分27,27′によって温度被制御物品1の側面15又は15′の両半分28,28′に交互に作用する。
【0051】
本発明の図示されていない別の実施の形態によれば、両調整要素12,13が、同じ方向ではなくて、対向する方向に(反周期的に)旋回されるように、当該両調整要素12,13が制御されてもよい。その結果、押圧力Fが、温度被制御物品1の下側の側面15の半分28及び上側の側面15の半分28と、温度被制御物品1の下側の側面15の半分28′及び上側の側面15′の半分28′とで交互に生成される。第1調整要素12の第1半分27が、上へ向かって旋回される一方で、第2調整要素13の第1半分は、下へ向かって旋回される。第1調整要素12の第2半分27′が、下へ向かって旋回される一方で、第2調整要素13の第2半分27′は、上へ向かって旋回される。これらの調整要素12,13の対照的な又は反対方向の移動によって、温度被制御物品1の冷凍コア29と、既に解凍された構成要素とが、より集中的に移動する。この場合、好ましくは、ただ1つの調整要素を有する実施の形態に比べて、同じ作用が、減少した最大旋回角φMAX
,-φMAX 又は最大振れSMAX,-SMAXで達成され得る。
【0052】
代わりに、調整要素12,13は、周期的に及び/又は非周期的に同じ方向に及び/又は互いに反対方向に移動されてもよい。その結果、温度被制御物品1又は温度被制御物品1のコア29及び既に解凍され包囲している温度被制御物品1の液体30に対する変形力が、さらに増大される。
【0053】
図示されていない実施の形態によれば、周期的な移動の代わりに、少なくとも1つの調整要素12,13が、非周期的に移動又は非周期的に旋回移動してもよい。
【0054】
図示されていない実施の形態によれば、少なくとも1つの調整要素12,13が、周期的に移動し且つ非周期的に移動してもよい。代わりに、当該調整要素12,13は、線形に移動されてもよい。
【0055】
図示されていない実施の形態によれば、加熱要素が、調整要素内に組み込まれている。好ましくは、必要なスペースが著しく削減され得る。当該加熱要素は、例えば、その中身が電気加熱される温度調整クッション又はジェルクッションとして構成されてもよい。当該加熱要素が、堅い加熱面を有する板状ヒータとして形成されている場合、当該加熱要素は、同時に調整要素として使用され得る。
【0056】
図1にも示されている図6による調整要素の実施の形態によれば、調整要素12,13は、旋回軸線Sに沿って互いにずらして配置された複数の幅広部40及び幅狭部41から成る。調整要素12,13の幅広部40は、比較的大きい間隔d2を成して延在する一対の周辺ロッド19′を有する。これらの周辺ロッド19′は、旋回軸線Sに対して平行に延在する。旋回軸線Sに対してほぼ直角に延在する複数のロッド19が、これらの周辺ロッド19′に繋がっている。これらの周辺ロッド19′と当接したこれらのロッド19とは、O字形のパドル部18を形成する。当該O字形のパドル部18は、開口部を有する開いたパドルとして形成されている。
【0057】
旋回軸線Sの方向に、この旋回軸線Sに対して平行に延在する複数のロッド19″を有する幅狭部41が、幅広部40に繋がっている。これらのロッド19″は、比較的小さい間隔d1で互いに配置されている。幅狭部41のこれらのロッド19″は、当該旋回軸線の方向に延在する。幅狭部41のこれらのロッド19″は、この旋回軸線に対して直角に延在する幅広部40の複数のロッド19に繋がっているか、又は調整要素12,13の端部でアクチュエータに連結されている。
【0058】
図6から見て取れるように、第1幅広部40′が、旋回軸線Sに対して直角に配置された温度被制御物品1の側面15,15′に当接する。周辺ロッド19′が、温度被制御物品1の半分28,28′の+/-20%、特に+/-10%の範囲内に延在するように、又は当該半分28,28′の重心の近くに延在するように、又は当該半分28,28′の重心上に延在するように、第1幅広部40′は、温度被制御物品1に適合されている。この実施の形態では、第1半分28の間隔g1は、8cmであり、第2半分28′の間隔g2は、7cmである。したがって、温度被制御物品1が、この温度被制御物品1の横中心面Q内に延在する旋回軸線Sを中心にして適切な力を印加することによって振れ得るように、周辺ロッド19′の間隔d2の大きさが選択されている。したがって、半分28,28′で旋回軸線Sの方向に周辺ロッド19′によって誘導される動作線が、これらの半分28,28′の重心の領域内に延在する。
【0059】
調整要素12,13の第2幅広部40″が、互いに当接して配置された2つの温度被制御物品1に作用する。全ての温度被制御物品1が、共通の1つの平面内に配置されている。この幅広部40″の第1半分44が、第2温度被制御物品1に割り当てられていて、この幅広部40″の第2半分44″に割り当てられている。この幅広部40″のこれらの半分44,44″は、旋回軸線Sに対して対称に配置されている。これらの半分44,44′の複数の周辺ロッド19′がそれぞれ、旋回軸線Sに対して等しい半分の間隔d2/2を有する。これらの周辺ロッド19′は、それぞれの温度被制御物品1の重心の領域内に、又は当該温度被制御物品1の対称軸線X1の近くに若しくはその領域内に延在する。
【0060】
図5による本発明の別の実施の形態によれば、調整要素12,13の連続する振れ(調和振動及び/又は線形振動)の代わりに、インパルス状の振れが実行される。例えば、周辺ロッド19′が、時点tに対して0cmから15cmに急激に振れ得る。次いで、調整要素12,13が、時点t2に対して急激ではあるが当該変更移動よりも緩やかな絶対加速度で初期位置に再び戻る前のΔt2の期間では、この調整要素12,13は停止したままである。時点t3に当該初期位置に到達した後に、この調整要素12,13は、当該同じ変更移動がもう一方の旋回方向に実行される前の時点t4まで停止したままである。この実施の形態によれば、急峻で周期的な及び/又は非周期的な振れが実行される。この場合、この調整要素12,13は、期間Δt2の最大振れ位置と期間Δt1の初期位置では停止状態にある。
【0061】
この調整要素12,13の移動の最大振れ及び/又は周波数1/T及び/又は加速度は、予め設定されている閾値温度に関連する温度被制御物品1の実際の温度又は予め設定されている一定の時点に依存して選択され得る。調整要素12,13の制御は、温度調整工程の全ての経過時間にわたって周期的に又は非周期的に又は同じインパルスシーケンスで又は同じ振れ推移で実行される必要はない。当該変更の高さ又は当該周波数及び当該加速度は、温度調整すべき温度被制御物品1に依存して変更され得る。したがって、様々な移動プロフィールが、様々な温度被制御物品1に対して選択され得る。例えば、温度調整工程の初期には、温度被制御物品1の冷凍コア29が、最小体積に収縮するまで、インパルス状の振れの周波数が増大され得る。引き続き、当該インパルスシーケンスの周波数が減少され得る。代わりに、温度被制御物品の外側領域が解凍され、液体状態になるまで、温度調整工程の第1期間に、最大振れが、比較的小さく選択されてもよい。次いで、当該温度調整工程の第2期間では、調整要素12,13の最大振れが増大され得る。その結果、当該温度被制御物品内の攪拌度が増大され得て、したがって解凍工程が加速され得る。次いで、当該温度調整工程のさらなる期間では、温度被制御物品1が、希望した目標温度に達するまで、当該最大振れ及び/又は当該周波数及び/又は当該加速度が再び減少され得る。
【0062】
調整要素12,13を制御するため、サーボモータの代わりに、ステッピングモータ又は歯車装置を有する直流モータ/交流モータ又は電気式に稼働するリフティングマグネット/ロータリーマグネットも、アクチュエータとして使用され得る。代わりに、空気式又は油圧式に稼働するシリンダが、調整要素12,13を制御するために使用されてもよい。
【0063】
本発明の別の実施の形態によれば、冷凍されている温度被制御物品の代わりに、任意の化学物質又は液体若しくは粘性の状態にある物質も希望した温度に設定され得る。
【0064】
温度被制御物品が、例えばコンクリート等のような比較的広い面積の物質又は比較的大きい体積の物質から成る場合、当該温度被制御物品は、直線移動される調整要素だけによって、特に対向する複数の側面の複数の位置で振れる。したがって、特に複数の作用点が、当該温度被制御物品で発生する。当該調整要素は、共通の調整方向に又は互いにずれて平行にこれらの作用点に作用する。この場合、特に、複数の調整要素が、これらの調整要素の調整方向に対して直角にずらしてカスケード配置され得る。この場合、これらの調整要素は、調整方向に対して直角に時間をずらして制御され得るか又は温度被制御物品に作用し得る。
【0065】
図8には、第1の移動プロフィールによる温度調整工程が示されている。基本的には、稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して、調整要素12,13によって、押圧力が、温度被制御物品1に部分的に印可され得る。調整要素12,13の作用の期間、作用の大きさ及び/又は作用の強さ(加速度)が、温度調整工程中に変更され得る。
【0066】
図8には、温度被制御物品(血漿)を冷凍状態から予め設定されている目標温度TSollの液体状態に解凍するための移動プロフィールが示されている。時点tA1と時点tA2との間の先行時間間隔では、依然としてほぼ完全に冷凍されている初期状態にあり、移動がまだ実行されない。時点tA2と時点tA3との間の第1時間間隔では、当該温度被制御物品の一部が、既に液状化されていて、調整要素12,13が、例えば周期的に、第1周波数と減少した第1振幅と第1絶対勾配とで稼働される。その結果、温度被制御物品1の温度が、0℃の近くに達する。時間間隔TZ2が、時点tA3に開始し、時点tA3に終了する。第1時間間隔TZ1に比べて、調整要素12,13は、より大きい振幅A2と当該振幅A2に対する振れ(加速度)のより大きい第2絶対勾配と同じ周波数とで、例えば周期的に移動される。調整要素12,13に当該制御は、予め設定されている一定の時点tA3に変更されるか、又は稼働パラメータ又はプロセスパラメータ、例えば調整要素12,13の負荷の変化に依存して変更される。当該負荷の変化は、アクチュエータの変化したモータ電流によって認識され得る。調整要素12,13の振幅に対する勾配は、零点から振幅A1,A2まで及ぶ調整要素12,13の変位推移/振れの勾配又は加速度を意味する。第2時間間隔TZ2から見て取れるように、振幅A2又は-A2に向かう振れの勾配の絶対値は、最大である一方で、零線に向かう戻り移動は、より小さい絶対勾配又はより小さい絶対加速度で実行される。
【0067】
図9による移動プロフィールの別の実施の形態によれば、調整要素12,13は、冷却されたが、冷凍されていない状態にある温度被制御物品1に対して制御される。温度被制御物品1は、添加薬品として製造され得る。したがって、温度被制御物品1は、温度調整工程の初めは液体又は粘性の状態にある。温度被制御物品1は、目標温度TSollに加熱されなければならない。このため、時点tB1に開始し、時点tB2に終了する第1時間間隔TZ1′内に、当該調整要素が、第1周波数と第1振幅と最大振れA1′,-A1′に対する第1絶対勾配(加速度)とで、例えば周期的に移動される。温度被制御物品1が、望まない発泡傾向にある臨界温度TKritに達すると、調整要素12,13の移動が変更される。開始する第2時間間隔TZ2′では、調整要素12,13は、同じ振幅A1,-A1′であるが、より小さい周波数で且つより小さい加速度で又は最大振れA1′,-A1′に対するより小さい絶対勾配で移動される。
【0068】
図10から見て取れるように、例えば図6に示された複数の調整要素12,13が、対を成して並んで互いに予め設定されている間隔をあけて温度調整チャンバ5内に配置され得る(図10の左下参照)。代わりに、旋回軸線Sに対して対称に延在する複数の周辺ロッド19′を有する長方形のロッド19を備えるただ1つの調整要素50が、温度調整チャンバ5内に配置されてもよい。これらの周辺ロッド19′は、この調整要素50の全ての辺にわたって、特に連続して且つ直線状に延在する。
【0069】
代わりの実施の形態によれば、調整要素は、円形のロッド51(円形のパドル部)(図10の中央下参照)又は楕円形のロッド52(楕円形のパドル部)(図10の中央上)(図10参照)を有してもよい。
【0070】
別の実施の形態によれば、菱形のパドル部54を有する調整要素53が設けられ得る(図10の右上参照)。
【0071】
別の実施の形態によれば、旋回軸線Sに対して非対称に配置された複数のパドル部56を有する調整要素55が設けられ得る。
【0072】
したがって、温度被制御物品1の寸法に依存して、異なって形成された調整要素12,13,50,51,53,55が使用され得る。
【0073】
言うまでもなく、上記の特徴は、それぞれ個別に使用されてもよく、又は、複数の特徴が、任意に組み合わされてもよい。説明されている複数の実施の形態は、限定列挙と解してはならず、本発明を具体化するための例示にすぎない。
【符号の説明】
【0074】
1 温度被制御物品
2 ハウジング
3 蓋
4 ベースチャンバ
5 温度調整チャンバ
6 操作要素
7 表示装置
8 底部
9 第1加熱要素
10 加熱モジュール
11 上面
12 第1調整要素
13 第2調整要素
14 第2加熱要素
15,15′ 温度被制御物品の側面
16 狭窄面
17 下面
18 パドル部
19,19′,19″ ロッド/周辺ロッド
20 接続ロッド
21 T字形部材
22 ホルダ
23 中空シリンダ
24 側壁
25 後壁
26 前壁
27,27′ パドル部の第1半分/第2半分
28,28′ パドル部の第2半分/第2半分
29 冷凍コア
30 液体
31 初期位置
32 開口部
40,40′,40″ 幅広部
41 幅狭部
44,44′ 幅広部の第1半分/第2半分
S 旋回軸線
a 間隔
φMAX 最大位置調整角度
-φMAX 最小位置調整角度
横中心面
Φ 正の角
-Φ 負の角
,FD11,FD22 押圧力
D21,FD21 押圧力
A 開始位置面
I モータ電流
長手中心面
半値幅
T/2 半周期
MAX,-SMAX 最大振れ
d1,d2 間隔
d2/2 半間隔
g1,g2 間隔
X1 対称軸線
Δt1,Δt2,Δt3 期間
1/T 周波数
t1-t4 時点
Soll 目標温度
tA1-tA4 時点
A1,-A1,A1′-A1′ 振れ/振幅
Z1,TZ1′ 第1時間間隔
A2,-A2 振れ/振幅
Z2,TZ2′ 第2時間間隔
B1,tB2 時点
Krit 臨界温度
50 調整要素、大きい構造
51 調整要素、円形
52 調整要素、楕円形
53 調整要素、菱形
54 パドル部、菱形
55 調整要素、非対称
56 パドル部、非対称
TD 時間間隔/期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
解凍されると、流動する1つの温度被制御物品(1)と、
-熱を前記温度被制御物品(1)の両側面(15,15′)に伝達するための加熱モジュール(10)と、
-前記温度被制御物品(1)を移動可能である複数のアクチュエータと、
がある1つのハウジング(2)を備える、前記温度被制御物品(1)を温度調整し液体状態に解凍するための設備において、
前記複数のアクチュエータは、機械式の複数の調整要素(12,13)として形成されていて、前記機械式の複数の調整要素(12,13)は、線材又は金属製のワイヤから成るロッド要素として形成されていて、前記複数の調整要素(12,13)がそれぞれ、加熱要素(9)と前記温度被制御物品(1)との間及び加熱要素(14)と前記温度被制御物品(1)との間に配置されていて、前記複数の調整要素(12,13)は、前記温度被制御物品(1)に直接に当接して延存し、前記複数の調整要素(12,13)が、周期的に及び/又は非周期的に移動される結果、押圧力(FD11,FD12,FD21,FD12)が、前記複数の調整要素(12,13)によって、前記温度被制御物品(1)の対向する両側面(15,15′)の一部に印可される間に、熱が、前記温度被制御物品(1)に供給されるように、前記複数の調整要素(12,13)は制御可能であることを特徴とする設備。
【請求項2】
前記調整要素(12,13)が、旋回軸線(S)に対して旋回移動するように、前記調整要素(12,13)は制御可能であり、
前記温度被制御物品(1)の長手中心面(LT)への前記旋回軸線(S)の正射影が、この温度被制御物品(1)と交差することを特徴とする請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記旋回軸線(S)は、前記温度被制御物品(1)横中心面(QT)に沿って又はその近くに延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の設備。
【請求項4】
前記調整要素(12,13)は、平面状に又は平坦に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の設備。
【請求項5】
前記調整要素(12,13)は、ロッド要素として形成されていて、
複数のロッド(19,19′)が、開口部(32)を包囲することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の設備。
【請求項6】
前記調整要素(12,13)が、最大調整角度(φMAX)と最小調整角度(-φMAX)との間で往復旋回されるように、前記調整要素(12,13)は、結合されたアクチュエータによって制御可能であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の設備。
【請求項7】
前記調整要素(12,13)が、0.1~25Hzの周波数で連続して旋回されるように、前記調整要素(12,13)は制御可能であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の設備。
【請求項8】
前記調整要素(12,13)は、+/-2mm~+/-100mm、又は+/-10mm~+/-30mm、又は+/-25mmの範囲内の振幅で直線移動及び/又は旋回移動することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の設備。
【請求項9】
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する周辺部(19′)を有し、前記温度被制御物品(1)の横中心面(QT)から前記周辺部(19′)までの間隔(a)は、前記温度被制御物品(1)の幅(bT)の半分の0.2倍から0.7倍に相当することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の設備。
【請求項10】
それぞれ1つの調整要素(12,13)が、前記温度被制御物品(1)の対向する側面(15,15′)に当接すること、及び
これらの調整要素(12,13)が、平行に互いにずらして配置された複数の旋回軸線(S)を中心にして同じ回転方向に同期又は非同期に旋回されるように制御されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の設備。
【請求項11】
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に沿ってずらして配置された、O字形の複数のロッド(19,19′,19″)を有する複数のパドル部(18)を備えることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の設備。
【請求項12】
前記温度被制御物品(1)及び/又は前記加熱要素(9,14)に対する前記調整要素(12,13)の当接面が、前記調整要素(12,13)に面した前記温度被制御物品(1)の側面(15,15′)及び/又は前記調整要素(12,13)に面した前記加熱要素(9,14)の上面(11)又は下面(17)の10%よりも小さいことを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の設備。
【請求項13】
前記加熱要素(9,14)は、前記調整要素(12,13)内に組み込まれていて、
前記加熱要素(9,14)は、硬い加熱面を有する板状ヒータとして形成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の設備。
【請求項14】
前記温度被制御物品(1)が、前記調整要素(12,13)の前記パドル部(18)を完全に又は少なくとも部分的に覆うように、前記温度被制御物品(1)は、前記調整要素(12,13)に対して配置されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の設備。
【請求項15】
前記調整要素(12,13)は、互いに大きい間隔(d2)をあけて且つ前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する一対の周辺ロッド(19′)を有する幅広部(40,40′,40″)を備えることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の設備。
【請求項16】
前記調整要素(12,13)の旋回移動又は直線移動の振れ及び/又は周波数及び/又は加速度は予め設定されている閾値温度に関連する前記温度被制御物品(1)の実際の温度、及び/又は温度調整工程の予め設定されている時点、及び/又は前記温度被制御物品(1)の状態、及び/又は前記温度被制御物品(1)の粘度のような、稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存することを特徴とする請求項1~15のいずれか1項に記載の設備。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の設備によって、温度被制御物品(1)を温度調整し解凍するための方法であって、
押圧力(FD11,FD12,FD21,FD12)が、複数の調整要素(12,13,50,51,52,53,55)によって、予め設定されている時間間隔(TD)内に前記温度被制御物品(1)の一部に印可される間に、熱が、前記温度被制御物品(1)に供給される当該方法において、
前記複数の調整要素(12,13,50,51,52,53,55)の作用期間、作用量及び/又は作用強さが、前記時間間隔(TD)の予め設定されている時点及び/又は前記温度被制御物品(1)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して変更されることを特徴とする方法。
【請求項18】
前記調整要素(12,13,50,51,52,53,55)は、前記温度被制御物品(1)の対向する側からこの温度被制御物品(1)に周期的に及び/又は非周期的に作用し、
当該作用する押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、共通の1つの直線上で反対方向に延在し、この押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、同じ時点で最大値を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1)内に第1周波数と第1振幅(A1,-A1)と第1加速度と或る時点(tA3)とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、
前記第1時間間隔(TZ1)は、当該予め設定されている時間間隔(TZ1)に依存して、又は前記調整要素(12,13)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して終了されること、及び
前記調整要素(12,13)は、引き続く第2時間間隔(TZ2)内に前記第1周波数と同じ第2周波数と前記第1振幅(A1,-A1)に対してより大きい第2振幅(A2,-A2)と前記第1時間間隔(TZ1)内の加速度に対して絶対値的により大きい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働されることを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1′)内に第1周波数と第1振幅(A1′,-A1′)と第1加速度とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、及び
前記温度被制御物品(1)が、予め設定されている臨界温度(TKrit)に達すると、前記調整要素(12,13)は、第2時間間隔(TZ2′)内に前記第1周波数に対してより低い第2周波数と前記第1振幅(A1′,-A1′)に対して同じ第2振幅(A1′,-A1′)と前記第1時間間隔(TZ1′)内の加速度に対してより小さい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働されることを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【請求項21】
前記調整要素(12,13)は、任意の時点に対して且つ任意の時間間隔TZにわたって、一定に予め設定されている及び/又は実際の稼働パラメータ若しくはプロセスパラメータ依存して、周波数、振幅又は加速度に関して個別に移動されることを特徴とする請求項17又は18に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
温度被制御物品が比較的広い面積の物質又は比較的大きい体積の物質から成る場合、当該温度被制御物品は、直線移動される調整要素だけによって、特に対向する複数の側面の複数の位置で振れる。したがって、特に複数の作用点が、当該温度被制御物品で発生する。当該調整要素は、共通の調整方向に又は互いにずれて平行にこれらの作用点に作用する。この場合、特に、複数の調整要素が、これらの調整要素の調整方向に対して直角にずらしてカスケード配置され得る。この場合、これらの調整要素は、調整方向に対して直角に時間をずらして制御され得るか又は温度被制御物品に作用し得る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0073】
言うまでもなく、上記の特徴は、それぞれ個別に使用されてもよく、又は、複数の特徴が、任意に組み合わされてもよい。説明されている複数の実施の形態は、限定列挙と解してはならず、本発明を具体化するための例示にすぎない。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る。
1.
-温度被制御物品(1)と、
-熱を前記温度被制御物品(1)の少なくとも1つの側面(15,15′)に伝達するための加熱モジュール(10)と、
-前記温度被制御物品(1)を移動可能であるアクチュエータ、
とがあるハウジング(2)を備える、前記温度被制御物品(1)を温度調整し解凍するための設備において、
前記アクチュエータは、機械式の調整要素(12,13)として形成されていて、前記調整要素(12,13)は、前記温度被制御物品(1)に理想的には直接に前記温度被制御物品(1)に当接して延存し、前記調整要素(12,13)が、周期的に及び/又は非周期的に移動されるように、前記調整要素(12,13)は制御可能である当該設備。
2.
前記調整要素(12,13)が、旋回軸線(S)に対して旋回移動するように、前記調整要素(12,13)は制御可能であり、
前記温度被制御物品(1)の長手中心面(LT)への前記旋回軸線(S)の正射影が、この温度被制御物品(1)と交差する上記1に記載の設備。
3.
前記旋回軸線(S)は、前記温度被制御物品(1)の中心面、特に横中心面(QT)に沿って又はその近くに延在する上記1又は2に記載の設備。
4.
前記調整要素(12,13)は、平面状に、特に平坦に形成されている上記1~3のいずれか1つに記載の設備。
5.
前記調整要素(12,13)は、ロッド要素として形成されていて、
複数のロッド(19,19′)が、開口部(32)を包囲する上記1~4のいずれか1つに記載の設備。
6.
前記調整要素(12,13)が、最大調整角度(φMAX)と最小調整角度(-φMAX)との間で往復旋回されるように、前記調整要素(12,13)は、結合されたアクチュエータによって制御可能である上記1~5のいずれか1つに記載の設備。
7.
前記調整要素(12,13)が、0.1~25Hzの周波数で連続して旋回されるように、前記調整要素(12,13)は制御可能である上記1~6のいずれか1つに記載の設備。
8.
前記調整要素(12,13)は、+/-2mm~+/-100mm、例えば+/-10mm~+/-30mm、特に+/-25mmの範囲内の振幅で直線移動及び/又は旋回移動する上記1~7のいずれか1つに記載の設備。
9.
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する周辺部(19′)を有し、前記温度被制御物品(1)の横中心面(QT)から前記周辺部(19′)までの間隔(a)は、前記温度被制御物品(1)の幅(bT)の半分の0.2倍から0.7倍に相当する上記1~8のいずれか1つに記載の設備。
10.
それぞれ1つの調整要素(12,13)が、前記温度被制御物品(1)の対向する側面(15,15′)に当接すること、及び
これらの調整要素(12,13)が、平行に互いにずらして配置された複数の旋回軸線(S)を中心にして、特に同じ回転方向に同期又は非同期に旋回されるように制御されている上記1~9のいずれか1つに記載の設備。
11.
前記調整要素(12,13)の前記ロッド(19,19′,19″)は、理想的には線材から成る上記1~10のいずれか1つに記載の設備。
12.
前記調整要素(12,13)は、前記旋回軸線(S)に沿ってずらして配置された、O字形の複数のロッド(19,19′,19″)を有する複数のパドル部(18)を備える上記1~11のいずれか1つに記載の設備。
13.
前記温度被制御物品(1)及び/又は前記加熱要素(9,14)に対する前記調整要素(12,13)の当接面が、前記調整要素(12,13)に面した前記温度被制御物品(1)の側面(15,15′)及び/又は前記調整要素(12,13)に面した前記加熱要素(9,14)の上面又は下面の10%よりも小さい上記1~12のいずれか1つに記載の設備。
14.
前記加熱要素(9,14)は、前記調整要素(12,13)内に組み込まれていて、
前記加熱要素(9,14)は、硬い加熱面を有する板状ヒータとして形成されている上記1~13のいずれか1つに記載の設備。
15.
前記温度被制御物品(1)が、前記調整要素(12,13)の前記パドル部(18)を完全に又は少なくとも部分的に覆うように、前記温度被制御物品(1)は、前記調整要素(12,13)に対して配置されている上記1~14のいずれか1つに記載の設備。
16.
前記調整要素(12,13)は、互いに大きい間隔(d2)をあけて且つ前記旋回軸線(S)に対して平行に延在する一対の周辺ロッド(19′)を有する幅広部(40,40′,40″)を備える上記1~15のいずれか1つに記載の設備。
17.
前記調整要素(12,13)の旋回移動又は直線移動の振れ及び/又は周波数及び/又は加速度は、例えば予め設定されている閾値温度に関連する前記温度被制御物品(1)の実際の温度、及び/又は温度調整工程の予め設定されている時点、及び/又は前記温度被制御物品(1)の状態、及び/又は前記温度被制御物品(1)の粘度のような、稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存する上記1~16のいずれか1つに記載の設備。
18.
温度被制御物品(1)を温度調整し解凍するための方法であって、
押圧力(FD11,FD12,FD21,FD12)が、調整要素(12,13,50,51,52,53,55)によって、予め設定されている時間間隔(TD)内に前記温度被制御物品(1)に部分的に印可される当該方法において、
前記調整要素(12,13,50,51,52,53,55)の作用期間、作用量及び/又は作用強さが、前記時間間隔(TD)の予め設定されている時点及び/又は前記温度被制御物品(1)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して変更される当該方法。
19.
前記調整要素(12,13,50,51,52,53,55)は、前記温度被制御物品(1)の対向する側からこの温度被制御物品(1)に周期的に及び/又は非周期的に作用し、
当該作用する押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、共通の1つの直線上で反対方向に延在し、この押圧力(FD11,FD22,FD21,FD12)は、同じ時点で最大値を有する上記18に記載の方法。
20.
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1)内に第1周波数と第1振幅(A1,-A1)と第1加速度とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、
前記第1時間間隔(TZ1)は、或る時点(tA3)に当該予め設定されている時間間隔(TZ1)に依存して、又は前記調整要素(12,13)の稼働パラメータ又はプロセスパラメータに依存して終了されること、及び
前記調整要素(12,13)は、引き続く第2時間間隔(TZ2)内に前記第1周波数と同じ第2周波数と前記第1振幅(A1,-A1)に対してより大きい第2振幅(A2,-A2)と前記第1時間間隔(TZ1)内の加速度に対して絶対値的により大きい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働される上記18又は19に記載の方法。
21.
前記調整要素(12,13)は、第1時間間隔(TZ1′)内に第1周波数と第1振幅(A1′,-A1′)と第1加速度とで周期的に及び/又は非周期的に移動されること、及び
前記温度被制御物品(1)が、予め設定されている臨界温度(TKrit)に達すると、前記調整要素(12,13)は、第2時間間隔(TZ2′)内に前記第1周波数に対してより低い第2周波数と前記第1振幅(A1′,-A1′)に対して同じ第2振幅(A1′,-A1′)と前記第1時間間隔(TZ1′)内の加速度に対してより小さい加速度とで周期的に及び/又は非周期的に稼働される上記18又は19に記載の方法。
22.
前記調整要素(12,13)は、任意の時点に対して且つ任意の時間間隔TZにわたって、予め設定されている、周波数、振幅又は加速度に関する一定の稼働パラメータ若しくはプロセスパラメータ及び/又は実際の稼働パラメータ若しくはプロセスパラメータに依存して個別に移動される上記18又は19に記載の方法。
【外国語明細書】