(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152274
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】バーナ及び固定治具並びにバーナの組立方法
(51)【国際特許分類】
F23D 11/38 20060101AFI20241018BHJP
F23D 11/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F23D11/38 A
F23D11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066368
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 健吾
(72)【発明者】
【氏名】松尾 啓介
(57)【要約】
【課題】バーナチップの周方向の向きを所望の位置とすることを目的とする。
【解決手段】バーナ21は、所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて火炉内に火炎を形成するバーナ21であって、内部に燃料が流通するバーナ本体と、火炉内に開口し、バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔60が形成されているバーナチップ55と、バーナ本体に取り付けられ、バーナチップ55をバーナ本体に対して固定するバーナキャップ56と、を備え、バーナチップ55は、外面に切欠き65が形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉内に火炎を形成するバーナであって、
内部に燃料が流通するバーナ本体と、
前記火炉内に開口し、前記バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔が形成されているバーナチップと、
前記バーナ本体に取り付けられ、前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定するバーナキャップと、を備え、
前記バーナチップは、外面に切欠きが形成されているバーナ。
【請求項2】
前記バーナチップは、複数の前記噴出孔が形成されていて、
複数の前記噴出孔は、第1噴出孔と、前記第1噴出孔と噴出する燃料の方向及び/又は量が異なる第2噴出孔と、を有する請求項1に記載のバーナ。
【請求項3】
前記切欠きが形成される位置は、前記切欠きと治具とが係合した際に、前記バーナチップに形成される前記噴出孔の位置が所定位置となる位置であって、
前記所定位置は、前記バーナを所定の姿勢で前記炉壁に設置した場合に前記噴出孔から噴出する燃料が前記炉壁と衝突しない位置である請求項1に記載のバーナ。
【請求項4】
前記切欠きが形成される位置は、前記切欠きと治具とが係合した際に、前記バーナチップに形成される前記噴出孔の位置が所定位置となる位置であって、
前記所定位置は、前記バーナを所定の姿勢で前記炉壁に設置した場合に前記噴出孔から噴出する燃料によって形成される火炎が所定の範囲内に形成される位置である請求項1に記載のバーナ。
【請求項5】
前記噴出孔から噴出される燃料に点火する点火部を備え、
前記バーナチップは、周方向に所定の間隔で並んで配置される複数の前記噴出孔が形成されている請求項1に記載のバーナ。
【請求項6】
前記点火部は、火花を発生し、発生した火花で燃料に点火するイグナイタを有し、
前記切欠きは、所定位置に形成されていて、
前記所定位置は、前記切欠きと治具とが係合した際に、前記バーナチップに形成される前記噴出孔の位置が前記イグナイタが火花を発生させる領域と前記噴出孔が燃料を噴出する領域とが重複する位置となる位置である請求項5に記載のバーナ。
【請求項7】
前記点火部は、火炎を形成し、形成された火炎で燃料に点火するイグナイタを有し、
前記切欠きは、所定位置に形成されていて、
前記所定位置は、前記切欠きと治具とが係合した際に、前記バーナチップに形成される前記噴出孔の位置が前記イグナイタが火炎を形成する領域と前記噴出孔が燃料を噴出する領域とが重複する位置となる位置である請求項5に記載のバーナ。
【請求項8】
前記切欠きは、複数設けられていて、
複数の前記切欠きは、前記所定方向に延在する中心軸線を挟んで前記バーナチップの両側に設けられている請求項1に記載のバーナ。
【請求項9】
前記バーナチップは、先端に前記所定方向と交差する方向に延在する凹部が形成されている請求項1に記載のバーナ。
【請求項10】
所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉内に火炎を形成するバーナを固定する固定治具であって、
内部に燃料が流通するバーナ本体と、前記火炉内に開口し、前記バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔が形成されているバーナチップと、前記バーナ本体に取り付けられ、前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定するバーナキャップと、を備える前記バーナの前記バーナチップの外面に形成された切欠きと係合する係合部を備える固定治具。
【請求項11】
所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉内に火炎を形成するバーナの組立方法であって、
前記バーナは、内部に燃料が流通するバーナ本体と、前記火炉内に開口し、前記バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔が形成されているバーナチップと、前記バーナ本体に取り付けられ、前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定するバーナキャップと、を備え、
前記バーナチップは、外面に切欠きが形成されていて、
前記バーナを固定する固定治具の係合部に前記切欠きを係合させる係合工程と、
前記切欠きと前記係合部とが係合した状態で前記バーナキャップを前記バーナ本体に取り付けて前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定する固定工程と、を備えるバーナの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バーナ及び固定治具並びにバーナの組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電用ボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数のバーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、大型のボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴出することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
このようなボイラに設けられるバーナは、例えば、特許文献1に記載されるように、バーナチップに形成された複数の噴出孔から燃料を噴霧し、バーナノズルから供給される空気と反応して火炎を形成する。また、複数の噴出孔は、バーナの中心軸線を基準として周方向に並んで配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バーナチップをバーナ本体に固定する方法として、バーナチップの一部を覆うバーナキャップをバーナ本体に締め込む方法が考えられる。この方法では、バーナキャップをバーナ本体に締め込む際に、バーナチップがバーナキャップとともに回転してしまう事態(バーナチップの供回り)が発生する場合がある。バーナチップの供回りが発生すると、バーナチップの周方向の向き、すなわち、バーナチップに形成された噴出孔の周方向の向きが所望の位置とならない可能性があった。バーナチップの向きが所望の位置とならないことで、種々の問題が発生する可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バーナチップの周方向の向きを所望の位置とすることができるバーナ及び固定治具並びにバーナの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のバーナ及び固定治具並びにバーナの組立方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るバーナは、所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉内に火炎を形成するバーナであって、内部に燃料が流通するバーナ本体と、前記火炉内に開口し、前記バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔が形成されているバーナチップと、前記バーナ本体に取り付けられ、前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定するバーナキャップと、を備え、前記バーナチップは、外面に切欠きが形成されている。
【0008】
本開示の一態様に係るバーナの組立方法は、所定方向に延在し、炉壁に囲まれた火炉内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉内に火炎を形成するバーナの組立方法であって、前記バーナは、内部に燃料が流通するバーナ本体と、前記火炉内に開口し、前記バーナ本体を流通した燃料を噴出する噴出孔が形成されているバーナチップと、前記バーナ本体に取り付けられ、前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定するバーナキャップと、を備え、前記バーナチップは、外面に切欠きが形成されていて、前記バーナを固定する固定治具の係合部に前記切欠きを係合させる係合工程と、前記切欠きと前記係合部とが係合した状態で前記バーナキャップを前記バーナ本体に取り付けて前記バーナチップを前記バーナ本体に対して固定する固定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、バーナチップの周方向の向きを所望の位置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るボイラを示す概略構成図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係るボイラの水平断面図であって、火炉内における火炎の状態を示す図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの縦断面図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの側面図であって、バーナから燃料を噴出している様子を示す図である。
【
図6】本開示の第1実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図であって、バーナから燃料を噴出している様子を示す図である。
【
図7】本開示の第1実施形態に係る組立台及びバーナの側面図であって、組立台にバーナを設置した状態を示す図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る固定治具の正面図であって、組立台にバーナを設置した状態を示す図である。
【
図10】本開示の第2実施形態に係るボイラに設けられるバーナチップの正面図である。
【
図11】本開示の第2実施形態に係るボイラに設けられるバーナの正面図であって、バーナから燃料を噴出している様子を示す図である。
【
図12】本開示の第3実施形態に係るボイラに設けられるバーナチップの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係るバーナ及びボイラ並びにバーナの運転方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中のUPは、鉛直方向の上方を示している。
【0012】
[第1実施形態]
以下に、本開示に係る第1実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものであり、鉛直方向は厳密ではなく誤差を含むものである。
【0013】
[ボイラ]
図1は、本実施形態の液体燃料を主燃料とするボイラを表す概略構成図である。
【0014】
本実施形態のボイラ10は、液体燃料をバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。液体燃料としては、例えば、原油、軽油、重油、残渣油などの石油類や可燃性物質を含む廃液などが使用される。なお、液体燃料とともに固体燃料や気体燃料を燃焼させてもよい。この場合には、液体燃料を燃焼させるバーナと他の燃料を燃焼させるバーナとを、一体的もしくは別途に設けることとなる。固体燃料としては、バイオマス燃料、石炭、石油コークスなどが使用される。気体燃料としては、天然ガス、石油ガス、合成ガス、副生ガスなどが使用される。
【0015】
ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、鉛直上下方向に延びる中心軸線C1に沿って延在している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0016】
燃焼装置20は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、炉壁101に装着された複数のバーナ21A、21B、21C、21D、21E、21F(以下、一括して「バーナ21」と記載する場合がある。)と複数の燃焼用空気供給ポート85を有している。バーナ21は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。燃焼用空気供給ポート85は、バーナ21の周囲及び上下に複数段配置されている。なお、
図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21A、21B、21C、21D、21E、21Fを付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
【0017】
バーナ21A、21B、21C、21D、21E、21Fは、それぞれ、燃料供給管(図示省略)を介して、燃料供給装置(図示省略)に連結されている。
【0018】
バーナ21の装着位置における火炉11の炉外側には、風箱(エアレジスタ)23が設けられており、この風箱23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置された空気予熱器42で加熱され(詳細は後述する)、風箱23を介して燃焼用空気供給ポート85に燃焼用空気(酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。
【0019】
燃焼ガス通路12は、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A、102B、102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A、103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、
図1に記載した形態に限定されない。
【0020】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、火炉11内に供給される燃焼用空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0021】
また、煙道13には、空気予熱器42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道13の空気予熱器42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが、排ガスとして系外に排出される。
【0022】
ボイラ10において、バーナ21を点火する際には、燃料供給装置から燃料供給管を介してバーナ21に供給される。また、空気予熱器42で加熱された燃焼用空気が、風道24から風箱23を介して燃焼用空気供給ポート85から火炉11内に供給される。火炉11に吹き込まれた液体燃料が着火し、燃焼用空気と反応することで火炎を形成する。火炉11内の下部領域で火炎が形成され、高温の燃焼ガスが火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。なお、本実施形態では、酸化性ガス(燃焼用空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0023】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、空気予熱器42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガス流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0024】
[バーナ]
次に、本実施形態に係るバーナの詳細について、
図2から
図6を用いて説明する。
本実施形態に係るボイラ10は、
図2に示すように、略長方形の断面形状を有する火炉11の水平方向の各コーナ部に、火炉11内の上下方向に複数段(本実施形態では、一例として6段)のバーナ21が設置されている。本実施形態に係るボイラ10は、鉛直上下方向に設けられた各段において、各バーナ21から液体燃料が火炉11内へ噴出されるとともに、燃焼用空気は燃焼用空気供給ポート85から火炉11内へ供給されることにより、火炉11内において、らせん状に旋回する火炎B1が形成される旋回燃焼方式を採用している。
【0025】
バーナ21は、
図2及び
図3に示すように、バーナ軸線C2に沿って延在している。バーナ軸線C2は、バーナ21の中心を通る線である。また、バーナ軸線C2は、バーナ21が設置されている高さの水平断面内において、火炉11の中心軸線C1を中心とする仮想円(中心領域)CCに外接する線である。バーナ21は、炉壁101を貫通しており、バーナ21の先端(燃料が噴出される端部)が火炉11に向けて開口している。バーナ軸線C2は、中心軸線C1とバーナ21とを接続する線C3に対して傾斜している。
【0026】
バーナ21は、
図3に示すように、内部を蒸気及び液体燃料が流通するバーナガン(バーナ本体)50と、バーナガン50の先端に取り付けられ液体燃料を霧状に噴出(以下、「噴霧」と称する場合もある)するバーナチップ(噴出部)55と、バーナチップ55をバーナガン50に固定するバーナキャップ56と、を有する。バーナチップ55は、蒸気を噴霧媒体とする、いわゆる半内部混合式(中間混合式)の二流体噴射弁である。
【0027】
バーナガン50は、蒸気が流通する第1蒸気流路51と、液体燃料が流通する第1燃料流路52と、が内部に形成されている。第1蒸気流路51は、バーナ21に蒸気Sを供給する蒸気管80と接続されている。第1燃料流路52は、バーナ21に液体燃料Fを供給する燃料管81と接続されている。
【0028】
バーナチップ55は、バーナ軸線C2方向に並んで配置されるバックプレート55a及びスプレイプレート55bと、を有する。バックプレート55aは、スプレイプレート55bよりも、バーナガン50側に設けられている。スプレイプレート55bは、バックプレート55aよりも先端側(火炉11の中心軸線C1側)に設けられている。
スプレイプレート55bは、内部に形成された第2蒸気流路53と、第2蒸気流路53から放射状外向きに分岐して形成された複数の混合流路58と、第2蒸気流路53の外周に形成され、混合流路58の入口近傍側面に合流するとともに入口開口57aが周方向に並んで配置されている複数の第2燃料流路57と、を備えている。
【0029】
バックプレート55aは、内部に第1蒸気流路51及び第1燃料流路52が設けられている。
第2蒸気流路53の上流端には、第1蒸気流路51の下流端が接続され、第1蒸気流路51を流通した蒸気が流入する。第2蒸気流路53の下流端は、連通路59に接続されている。第2蒸気流路53を流通した蒸気は、連通路59を介して混合流路58に流入する。
第2燃料流路57の上流端には、第1燃料流路52の下流端が接続され、第1燃料流路52を流通した液体燃料が流入する。第2燃料流路57の下流端は、混合流路58に接続されている。第2燃料流路57を流通した液体燃料は、混合流路58に流入する。
混合流路58の下流端には、火炉11の内部に開口し、バーナガン50を流通した液体燃料を噴出する噴出孔60が形成されている。
【0030】
第2蒸気流路53から噴出孔60に至る蒸気及び液体燃料は、以下の経過を経て微粒化燃料となる。
第2蒸気流路53に導入された蒸気は、複数の連通路59に分流して混合流路58に流入する。一方、第2燃料流路57から導入された液体燃料は、混合流路58の入口側近傍において、すなわち連通路59から混合流路58に流入した直後の蒸気の流れに対して、流路側面の斜め後方から流入する。こうして混合流路58の上流部で蒸気及び液体燃料が合流することにより、合流時の衝突や撹拌により液体燃料が微粒化されて微粒化燃料となる。この微粒化燃料が混合流路58の下流端に形成されている噴出孔60から火炉11の内部へ向けて広角に噴出される。
【0031】
上述のように、バーナチップ55には、複数の噴出孔60が形成されている。詳細には、バーナチップ55のスプレイプレート55bには、複数の噴出孔60が形成されている。スプレイプレート55bは、バーナ軸線C2を中心軸とした円柱形状を為している。スプレイプレート55bは、先端側(火炉11の中心軸線C1側)に向かうにしたがって、段階的に縮径している。
【0032】
噴出孔60は、
図3及び
図4に示すように、バーナ21のバーナ軸線C2方向の端部に複数形成されている。複数の噴出孔60は、
図4に示すように、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。
複数の噴出孔60は、複数(本実施形態では、一例として4つ)の第1噴出孔60Aと、複数(本実施形態では、一例として4つ)の第2噴出孔60Bと、を有する。第1噴出孔60Aと第2噴出孔60Bは、バーナ軸線C2に対する角度が異なっている。
第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量との比は、5:5(すなわち、同量)とされている。なお、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量とが異なっていてもよい。噴出される液体燃料の量が異なる場合については後述の変形例1で詳細に説明する。
【0033】
複数の第1噴出孔60Aは、
図4に示すように、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。複数の第1噴出孔60Aは、バーナ軸線C2を通る水平面S1を基準として上下対称となるように配置されているとともに、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として左右対称となるように配置されている。また、各第1噴出孔60Aは、周方向において、隣接する鉛直面S2よりも隣接する水平面S1の方が近くなるように配置されている。すなわち、各第1噴出孔60Aは、水平面S1側に配置されている。
【0034】
また、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料60Afは、
図5及び
図6に示すように、鉛直方向及び水平方向に霧状となって広がるように噴出される。また、各第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料60Afは、各々、水平面S1及び鉛直面S2から遠ざかるように噴出される。すなわち、水平面S1よりも上方に配置される第1噴出孔60Aからは、斜め上方に向かって液体燃料60Afが噴出され、水平面S1よりも下方に配置される第1噴出孔60Aからは、斜め下方に向かって液体燃料60Afが噴出される。水平面S1よりも上方に配置される第1噴出孔60Aから液体燃料60Afが噴出される方向と、水平面S1よりも下方に配置される第1噴出孔60Aから液体燃料60Afが噴出される方向とは、鉛直断面において角度θ2(鉛直面S2に対する投影角)を為している。角度θ2の数値は、特に限定されないが、本実施形態では一例として60度とされている。
【0035】
複数の第2噴出孔60Bは、
図4に示すように、第1噴出孔60Aよりも半径方向の外側に配置されている。複数の第2噴出孔60Bは、バーナ軸線C2を中心として周方向に並んで配置されている。複数の第2噴出孔60Bは、バーナ軸線C2を通る水平面S1を基準として上下対称となるように配置されている。また、複数の第2噴出孔60Bは、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として左右対称となるように配置されている。また、各第2噴出孔60Bは、周方向において、隣接する水平面S1よりも隣接する鉛直面S2の方が近くなるように配置されている。すなわち、各第2噴出孔60Bは、鉛直面S2側に配置されている。
【0036】
また、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料60Bfは、
図5及び
図6に示すように、鉛直方向及び水平方向に霧状となって広がるように噴出される。また、各第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料60Bfは、各々、水平面S1及び鉛直面S2から遠ざかるように噴出される。すなわち、水平面S1よりも上方に配置される第2噴出孔60Bからは、斜め上方に向かって液体燃料60Bfが噴出され、水平面S1よりも下方に配置される第2噴出孔60Bからは、斜め下方に向かって液体燃料60Bfが噴出される。水平面S1よりも上方に配置される第2噴出孔60Bから液体燃料60Bfが噴出される方向と、水平面S1よりも下方に配置される第2噴出孔60Bから液体燃料60Bfが噴出される方向とは、鉛直断面において角度θ3(鉛直面S2に対する投影角)を為している。角度θ3の数値は、例えば100度以上であって、かつ、120度以下とされると好適である。角度θ3の数値は、本実施形態では一例として100度とされている。
【0037】
バーナチップ55は、
図4に示すように、外周面に複数(本実施形態では、一例として2つ)の切欠き65が形成されている。
複数の切欠き65は、バーナ軸線C2を挟んでバーナチップ55の両側に設けられている。詳細には、複数の切欠き65は、バーナ軸線C2を通る鉛直面S2を基準として左右対称となるように設けられている。複数の切欠き65は、周方向に等間隔で設けられている。本実施形態では、複数の切欠き65は、180度間隔で設けられている。
【0038】
各切欠き65は、バーナチップ55の外周面に形成されている。各切欠き65は、バーナチップ55の外周面(円筒面)の一部を切り欠くように形成されている。各切欠き65は、平面を為している。本実施形態では、各切欠きは、鉛直面とされている。
すなわち、バーナチップ55の外周面は、切欠き65が形成されている部分において平面を為し、切欠き65が形成されている部分以外は円筒面を為している。
【0039】
また、切欠き65は、当該切欠き65が、後述する組立台70のバーナチップ固定部75に係合した状態において、各噴出孔60が上述の配置となるように設けられている。
また、切欠き65が形成される位置は、切欠き65と組立台70とが係合した際に、バーナチップ55に形成される各噴出孔60の位置が所定位置となる位置とされている。所定位置は、バーナ21を所定の姿勢で炉壁101に設置した場合に各噴出孔60から噴出する燃料が炉壁101と衝突しない位置とされている。バーナ21が炉壁101に設置される際の所定の姿勢は、切欠き65と組立台70とが係合した際のバーナ21の姿勢と同じ姿勢であってもよい。
また、切欠き65が形成される位置は、切欠き65と組立台70とが係合した際に、バーナチップ55に形成される各噴出孔60の位置が所定位置となる位置とされている。所定位置は、バーナ21を所定の姿勢で炉壁101に設置した場合に各噴出孔60から噴出する燃料によって形成される火炎が所定の範囲内に形成される位置とされている。所定の範囲とは、炉壁101に接触しない範囲とされている。
【0040】
バーナキャップ56は、バーナガン50に取り付けられ、バーナチップ55をバーナガン50に対して固定する。バーナキャップ56は、バーナ軸線C2を中心として延在する略円筒状の部材であって、先端部が内側に曲折している。
バーナキャップ56は、バーナチップ55の一部及びバーナガン50の一部を外側から覆っている。詳細には、バーナキャップ56は、バーナチップ55のうち、バックプレート55aの全体を覆うとともに、スプレイプレート55bの一部を覆っている。バーナキャップ56は、バーナチップ55及びバーナガン50に外側から嵌合している。バーナキャップ56は、バーナガン50に締め込められている。
【0041】
[組立台]
次に、本実施形態に係る組立台70の詳細について、
図7から
図9を用いて説明する。組立台70は、バーナガン50にバーナチップ55を脱着する際に使用される。
組立台(治具)70は、
図7及び
図8に示すように、バーナガン50が設置される架台71と、架台71の上面に設けられる脚部72と、脚部72の上面に固定されバーナガン50の先端部分を下方から支持する支持部73と、を備えている。
【0042】
架台71は、地面に載置される本体部71aと、本体部71aの上面に立設する複数の柱部71bとを有している。
【0043】
脚部72は、架台71の複数の柱部71bを架橋するように設けられている。脚部72は、
図8に示すように、柱部71bの上面に立設する一対の鉛直板部72aと、一対の鉛直板部72aの上端同士を接続する水平板部72bと、を一体的に有している。一対の鉛直板部72aは所定距離離間するとともに板面が対向している。
【0044】
支持部73は、水平板部72bの上面に固定されている。支持部73は、水平板部72b上に設けられる基部74と、基部74の上面に立設するバーナチップ固定部(係合部)75及びバーナガン固定部76と、を一体的に有する。
【0045】
基部74は、
図9に示すように、板状の部材であって、水平板部72bの上面に面接触している。基部74と水平板部72bとは、上下方向に貫通する複数のボルト77及び各ボルト77に螺合するナット78によって締結固定されている。複数のボルト77及びナット78は、バーナチップ固定部75及びバーナガン固定部76をバーナ軸線C2方向に挟むように配置されている。
【0046】
バーナチップ固定部75は、板状の部材であって下端が基部74の上面に固定されている。バーナチップ固定部75は、上縁が下方に凹むように切り欠かれている。この切欠きを以下「チップ固定部側切欠き75a」と称する。チップ固定部側切欠き75aの幅方向(バーナ軸線C2方向と直交する方向であって水平面に含まれる方向)の両側には、一対の規制部75bが設けられている。一対の規制部75bは、チップ固定部側切欠き75aの幅方向の両端を規定している。各規制部75bは、チップ固定部側切欠き75aの縁を規定する面が平面となるように形成されている。
【0047】
バーナチップ固定部75は、チップ固定部側切欠き75aにバーナチップ55が位置している状態において、バーナチップ55を下方から支持する。バーナチップ固定部75は、チップ固定部側切欠き75aにバーナチップ55が位置している状態において、一対の規制部75bでバーナチップ55を挟んでいる。
【0048】
バーナチップ固定部75は、チップ固定部側切欠き75aにバーナチップ55が配置されることで、バーナチップ55と係合する。具体的には、バーナチップ固定部75は、バーナチップ55の2つの切欠き65が形成された部分が係合可能とする。換言すれば、バーナチップ固定部75は、切欠き65と係合する。
【0049】
チップ固定部側切欠き75aの幅は、バーナチップ55の切欠き65が形成されている部分の幅よりも僅かに大きい。すなわち、チップ固定部側切欠き75aの幅は、2つの切欠き65の離間距離よりも僅かに大きい。バーナチップ固定部75は、チップ固定部側切欠き75aにバーナチップ55が位置している状態において、一対の規制部75b(換言すれば、チップ固定部側切欠き75aの縁)がバーナチップ55の切欠き65(平面部分)と当接することでバーナチップ55の所定方向の変位を規制する。
【0050】
具体的には、バーナチップ固定部75は、バーナチップ55の回転方向(バーナ軸線C2を中心とした回転方向)の変位を規制する。また、バーナチップ固定部75は、バーナチップ55の幅方向の移動を規制する。
一方で、バーナチップ固定部75は、チップ固定部側切欠き75aにバーナチップ55が係合した状態において、バーナチップ55の上下方向の移動及びバーナ軸線C2方向の移動は規制しない。
チップ固定部側切欠き75aの高さは、バーナチップ55の高さよりも高い。
【0051】
バーナガン固定部76は、バーナチップ固定部75とバーナ軸線C2方向に離間して配置される。バーナガン固定部76は、板状の部材であって下端が基部74の上面に固定されている。バーナガン固定部76は、上縁が下方に凹むように切り欠かれている。この切欠きを以下「ガン固定部側切欠き」と称する。ガン固定部側切欠き(図示省略)の幅方向(バーナ軸線C2方向と直交する方向であって水平面に含まれる方向)の両側には、一対の規制部が設けられている。一対の規制部は、ガン固定部側切欠きの幅方向の両端を規定している。各規制部は、ガン固定部側切欠きの縁を規定する面が平面となるように形成されている。
【0052】
バーナガン固定部76は、ガン固定部側切欠きにバーナガン50が位置している状態において、バーナガン50を下方から支持する。バーナガン固定部76は、ガン固定部側切欠きにバーナガン50が位置している状態において、一対の規制部でバーナガン50を挟んでいる。
【0053】
バーナガン固定部76は、ガン固定部側切欠きにバーナガン50が配置されることで、バーナガン50と係合する。具体的には、バーナガン固定部76は、バーナガン50の2つの切欠き50aが形成された部分が係合可能とする。換言すれば、バーナガン固定部76は、切欠きと係合する。バーナガン50には、バーナチップ55と同様に、外周面に2つの切欠きが形成されている。
【0054】
ガン固定部側切欠きの幅は、バーナガン50の切欠き50aが形成されている部分の幅よりも僅かに大きい。すなわち、ガン固定部側切欠きの幅は、バーナガン50の2つの切欠き50aの離間距離よりも僅かに大きい。バーナガン固定部76は、ガン固定部側切欠きにバーナガン50が位置している状態において、一対の規制部(換言すれば、ガン固定部側切欠きの縁)がバーナガン50の切欠き50a(平面部分)と当接することでバーナガン50の所定方向の変位を規制する。
【0055】
具体的には、バーナガン固定部76は、バーナガン50の回転方向(バーナ軸線C2を中心とした回転方向)の変位を規制する。また、バーナガン固定部76は、バーナガン50の幅方向の移動を規制する。
一方で、バーナガン固定部76は、ガン固定部側切欠きにバーナガン50が係合した状態において、バーナガン50の上下方向の移動及びバーナ軸線C2方向の移動は規制しない。
ガン固定部側切欠きの高さは、バーナガン50の高さよりも低い。
【0056】
[バーナチップの脱着方法]
次に、バーナガン50へバーナチップ55を取り付ける方法について説明する。
まず、組立台70にバーナガン50を設置する。具体的には、バーナチップ55がバーナチップ固定部75に係合するとともに、バーナガン50がバーナガン固定部76に係合するように、組立台70に固定する。この状態において、バーナキャップ56は、バーナガン50に締め込まれていない状態とされている。また、バーナチップ55は、各噴出孔60が上述の説明の位置となる姿勢でバーナチップ固定部75に係合している。
【0057】
次に、スパナ等でバーナキャップ56を締め込み、バーナガン50に固定する。すなわち、バーナキャップ56を、バーナ軸線C2を中心に回転させながらバーナガン50に嵌合させる。
この時、バーナチップ55も供回りしようとするが、バーナチップ55の切欠き65部分とバーナチップ固定部75の規制部75bとが当接することで、バーナチップ55の回転が規制される。
【0058】
バーナキャップ56の締め込みが完了すると、組立台70からバーナガン50を取り外して、バーナガン50へのバーナチップ55の取り付けを完了する。
【0059】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、バーナガン50に取り付けられ、バーナチップ55をバーナガン50に対して固定するバーナキャップ56を備えている。これにより、バーナガン50にバーナキャップ56を取り付けることでバーナチップ55をバーナガン50に対して固定することができる。また、本実施形態では、バーナチップ55は、外面に切欠き65が形成されている。これにより、バーナチップ55をバーナガン50に対して固定する際(すなわち、バーナガン50にバーナキャップ56を取り付ける際)に、バーナチップ55の切欠き65を組立台70のバーナチップ固定部75に係合させることができる。これにより、バーナキャップ56をバーナガン50に対して取り付ける際に、バーナキャップ56とともにバーナチップ55が回転する事態(バーナチップ55の供回り)を発生し難くすることができる。したがって、バーナチップ55の周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップ55に形成される噴出孔60の位置を所望の位置とすることができる。
【0060】
本実施形態では、複数の噴出孔60が、燃料が噴出する第1噴出孔60Aと、第1噴出孔60Aと噴出する燃料の方向及び/又は量が異なる第2噴出孔60Bと、を有する。
第1噴出孔60A及び第2噴出孔60Bが所定の位置以外に配置された場合、火炎が意図しない方向に形成される。このため、火炎が、例えば、炉壁101の近傍に形成される可能性がある。火炎が炉壁101に近づきすぎると炉壁101に種々の損傷が発生する可能性がある。例えば、炉壁101を構成する部材(例えば、伝熱管等)の温度が過度に上昇して、部材の損傷が発生する可能性がある。また、硫黄分が多く含まれている燃料を燃焼する場合には、燃焼反応で発生する硫化水素により、火炎に近い炉壁101に硫化腐食が発生する可能性がある。
また、第1噴出孔60A及び第2噴出孔60Bが所定の位置以外に配置された場合、噴出された液体燃料が、直接、炉壁101に衝突する可能性がある。燃料が炉壁101に直接衝突すると、炉壁101に種々の損傷が発生する可能性がある。例えば、炉壁101に衝突した液体燃料が燃焼し、炉壁101を構成する部材(例えば、伝熱管等)の温度が過度に上昇して、部材の損傷が発生する可能性がある。また、炉壁101に衝突した液体燃料が燃焼することなく炭化して固化し、炉壁101に付着物を形成する可能性がある。
一方、本実施形態では、バーナチップ55の周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップ55に形成される噴出孔60(第1噴出孔60A及び第2噴出孔60B)の位置を所望の位置とすることができる。したがって、火炎が形成される方向を所望の方向とすることができる。したがって、意図しない方向に形成された火炎や液体燃料の衝突による炉壁101の損傷を抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、複数の切欠き65は、バーナ軸線C2を挟んでバーナチップ55の両側に設けられている。これにより、より強固に、バーナチップ55の切欠き65を組立台70のバーナチップ固定部75に係合させることができる。
【0062】
[変形例1]
なお、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料を減少させてもよい。上記実施形態では、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量との比が、5:5(すなわち、同量)である例について説明したが本開示はこれに限定されない。例えば、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量を、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量よりも少なくしてもよい。具体的には、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量との比を例えば6:4(又は7:3)としてもよい。
第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量を異なる量とすることによって、炉内に形成される各火炎は、空気比の異なる火炎を形成する。すなわち、炉内で濃淡燃焼火炎を形成することで、燃焼によって発生する窒素酸化物を低減することが可能となる。
なお、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量との比を6:4(又は7:3)とする方法としては、例えば、第1噴出孔60Aの開口面積と、第2噴出孔60Bの開口面積との比を6:4(又は7:3)とする方法が挙げられる。
【0063】
このように、第1噴出孔60Aから噴出される液体燃料の量と、第2噴出孔60Bから噴出される液体燃料の量とを異なる量とした場合には、より正確に第1噴出孔60A及び第2噴出孔60Bを所定の位置に配置することが重要であるが、本実施形態では、上述のように、噴出孔60(第1噴出孔60A及び第2噴出孔60B)の位置を所望の位置とすることができる。
【0064】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。
本実施形態は、バーナチップに形成される噴出孔の配置が上記第1実施形態と異なっている。その他の点は、第1実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施形態に係るバーナチップ155は、
図10に示すように、周方向に所定の間隔で並んで配置される複数(本実施形態では、一例として6つ)の噴出孔160が形成されている。複数の噴出孔160は、周方向に等間隔で並んでいる。
【0066】
また、本実施形態に係るバーナ121は、
図11に示すように、噴出孔160から噴出される燃料に点火するイグナイタ(点火部)161を備えている。イグナイタ161は、電気火花を発生させて、発生した火花で燃料に点火する。イグナイタ161は、バーナ軸線C2方向から見た際に、噴出孔160から燃料が噴射される領域Fと重複する位置に設けられている。
【0067】
また、バーナチップ155には、上記第1実施形態と同様に、外周面に切欠き65が形成されている。
切欠き65が設けられる位置は、切欠き65と組立台70のバーナチップ固定部75とが係合した際に、噴出孔160の位置が、イグナイタ161が火花を発生させる領域と噴出孔160が燃料を噴出する領域Fとが重複する位置となる位置とされている。
【0068】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、噴出孔160から噴出される燃料に点火するためのイグナイタ161を備えている。また、バーナチップ155は、周方向に所定の間隔で並んで配置される複数の噴出孔160が形成されている。これにより、噴出孔160の位置が所定の位置以外に配置された場合、噴出孔160から噴出された燃料とイグナイタ161により形成される火花との距離が遠くなり、イグナイタ161で好適に点火が行えなくなる可能性があった。点火が好適に行えない噴出孔160の位置とは、例えば、バーナ軸線C2方向から見た際にイグナイタ161と重複しない位置である。
一方、本実施形態では、バーナチップ155の周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップ155に形成される噴出孔160の位置を所望の位置とすることができる。したがって、噴出孔160の位置をイグナイタ161による点火が好適に行える位置とすることができる。したがって、イグナイタ161の点火性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、切欠き65と組立台70のバーナチップ固定部75とが係合すると、イグナイタ161が火花を発生させる領域と噴出孔160が燃料を噴出する領域Fとが重複するように、噴出孔160が位置することとなる。バーナキャップ56によってバーナチップ155がバーナガン50に固定される際に、バーナチップ155は供回りしないので、バーナチップ155がバーナガン50に固定された後も、噴出孔160の位置は変わらない。このため、噴出孔160の位置をイグナイタ161による点火が好適に行える位置(火花が発生する領域と燃料が噴出される領域とが重複する位置)とすることができる。したがって、イグナイタ161の点火性を向上させることができる。
【0070】
なお、上記実施形態では、燃料に点火する装置として電気火花式のイグナイタ161を用いる例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、燃料に点火する装置として、点火用の燃料を用いて火炎を形成し、バーナチップ155の噴出孔160から噴出される燃料に点火する自燃式のイグナイタであってもよい。この場合の点火用燃料は、バーナチップ155の噴出孔160から噴出される燃料と同じ燃料種を用いてもよく、より着火性の良い別の燃料種を用いてもよい。
【0071】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について、
図12を用いて説明する。
本実施形態は、バーナチップに凹部が形成されている点で上記第2実施形態と異なっている。その他の点は、第2実施形態と同様であるので、同様の構成については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態に係るバーナチップ255は、
図12に示すように、先端の略中央に上下方向に延在する凹部270が形成されている。
【0073】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、バーナチップ255の先端にバーナ軸線C2方向と交差する方向(上下方向)に延在する凹部270が形成されている。これにより、作業者がバーナチップ255の周方向の向きを視覚で確認することができる。よって、バーナ221を組立てる際の作業性を向上させることができる。
また、凹部270に固定部材(図示省略)を係合させることで、より強固に、バーナチップ255の供回りを抑制することができる。
【0074】
なお、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
【0075】
例えば、上述した各実施形態では、本開示のボイラを、燃料に液体燃料を使用するボイラとして説明したが、液体燃料に加えて、気体燃料や固体燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0076】
また、上記各実施形態では、切欠き65を平面状に形成する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。切欠き65は、固定治具の係合部と係合することで、バーナチップ55の供回りを抑制することができる形状であればよく、例えば、湾曲面状に形成されてもよい。
【0077】
また、第3実施形態では、第2実施形態で説明したバーナチップ155に対して凹部270を形成する例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1実施形態で説明したバーナチップ55に対して凹部270を形成してもよい。
【0078】
以上説明した実施形態に記載のバーナ及び固定治具並びにバーナの組立方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るバーナは、所定方向(C2方向)に延在し、炉壁(101)に囲まれた火炉(11)内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉(11)内に火炎を形成するバーナ(21)であって、内部に燃料が流通するバーナ本体(50)と、前記火炉(11)内に開口し、前記バーナ本体(50)を流通した燃料を噴出する噴出孔(60)が形成されているバーナチップ(55)と、前記バーナ本体(50)に取り付けられ、前記バーナチップ(55)を前記バーナ本体(50)に対して固定するバーナキャップ(56)と、を備え前記バーナチップ(55)は、外面に切欠き(65)が形成されている。
【0079】
上記構成では、バーナ本体に取り付けられ、バーナチップをバーナ本体に対して固定するキャップを備えている。これにより、バーナ本体にキャップを取り付けることでバーナチップをバーナ本体に対して固定することができる。また、上記構成では、バーナチップは、外面に切欠きが形成されている。これにより、バーナチップをバーナ本体に対して固定する際(すなわち、バーナ本体にキャップを取り付ける際)に、バーナチップの切欠きを治具等に係合させることができる。これにより、キャップをバーナ本体に対して取り付ける際に、キャップとともにバーナチップが回転する事態(バーナチップの供回り)を発生し難くすることができる。したがって、バーナチップの周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップに形成される噴出孔の位置を所望の位置とすることができる。
【0080】
また、本開示の第2態様に係るバーナは、上記第1態様において、前記バーナチップ(55)は、複数の前記噴出孔(60)が形成されていて、複数の前記噴出孔(60)は、第1噴出孔(60A)と、前記第1噴出孔(60A)と噴出する燃料の方向及び/又は量が異なる第2噴出孔(60B)と、を有する。
【0081】
上記構成では、複数の噴出孔が、燃料が噴出する第1噴出孔と、第1噴出孔と噴出する燃料の方向及び/又は量が異なる第2噴出孔と、を有する。これにより、バーナから燃料が不均一に噴出される。すなわち、バーナから噴出される燃料には、燃料の濃度が濃い領域と、濃度が薄い領域とが生じる。燃料の濃度が濃い領域では、薄い領域よりも高温の火炎が形成される。
このため、第1噴出孔及び第2噴出孔が所定の位置以外に配置された場合、高温の火炎が意図しない方向に形成される。このため、高温の火炎が、例えば、炉壁の近傍に形成される可能性がある。高温の火炎が炉壁に近づきすぎると炉壁に種々の損傷が発生する可能性がある。例えば、炉壁を構成する部材(例えば、伝熱管等)の温度が過度に上昇して、部材の損傷が発生する可能性がある。また、硫黄分が多く含まれている燃料を燃焼する場合には、燃焼反応で発生する硫化水素により、高温の火炎に近い炉壁に硫化腐食が発生する可能性がある。
一方、上記構成では、バーナチップの周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップに形成される噴出孔(第1噴出孔及び第2噴出孔)の位置を所望の位置とすることができる。したがって、高温の火炎が形成される方向を所望の方向とすることができる。したがって、高温の火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。
【0082】
また、本開示の第3態様に係るバーナは、上記第1態様または第2態様において、前記切欠き(65)が形成される位置は、前記切欠き(65)と治具(70)とが係合した際に、前記バーナチップ(55)に形成される噴出孔(60)の位置が所定位置となる位置であって、前記所定位置は、前記バーナ(21)を所定の姿勢で前記炉壁(101)に設置した場合に前記噴出孔(60)から噴出する燃料が前記炉壁(101)と衝突しない位置である。
【0083】
上記構成では、切欠きと治具とが係合すると、バーナチップに形成される噴出孔の位置が、バーナを所定の姿勢で炉壁に設置した場合に噴出孔から噴出する燃料が炉壁と衝突しない位置となる。キャップによってバーナチップがバーナ本体に固定される際に、バーナチップは供回りしないので、バーナチップがバーナ本体に固定された後も、噴出孔の位置は変わらない。このため、噴出孔の位置を炉壁に燃料が衝突しない位置とすることができる。したがって、高温の火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。
なお、バーナが炉壁に設置される際の所定の姿勢は、切欠きと治具とが係合した際のバーナの姿勢と同じ姿勢であってもよい。
【0084】
また、本開示の第4態様に係るバーナは、上記第1態様または第2態様において、前記切欠き(65)が形成される位置は、前記切欠き(65)と治具(70)とが係合した際に、前記バーナチップ(55)に形成される噴出孔(60)の位置が所定位置となる位置であって、前記所定位置は、前記バーナ(21)を所定の姿勢で前記炉壁(101)に設置した場合に前記噴出孔(60)から噴出する燃料によって形成される火炎が所定の範囲内に形成される位置である。
【0085】
上記構成では、切欠きと治具とが係合すると、バーナチップに形成される噴出孔の位置が、バーナを所定の姿勢で炉壁に設置した場合に燃料によって形成される火炎が所定の範囲内に形成される位置となる。キャップによってバーナチップがバーナ本体に固定される際に、バーナチップは供回りしないので、バーナチップがバーナ本体に固定された後も、噴出孔の位置は変わらない。このため、噴出孔の位置を火炎が所定の範囲内に形成される位置とすることができる。したがって、所定の範囲が、炉壁に接触しない範囲である場合には、高温の火炎による炉壁の損傷を抑制することができる。
【0086】
また、本開示の第5態様に係るバーナは、上記第1態様において、前記噴出孔(60)から噴出される燃料に点火する点火部(161)を備え、前記バーナチップ(155)は、周方向に所定の間隔で並んで配置される複数の前記噴出孔(160)が形成されている。
【0087】
上記構成では、噴出孔から噴出される燃料に点火する点火部を備えている。また、バーナチップは、周方向に所定の間隔で並んで配置される複数の噴出孔が形成されている。これにより、噴出孔の位置が所定の位置以外に配置された場合、噴出孔から噴出された燃料と点火部との距離が遠くなり点火部で好適に点火が行えなくなる可能性があった。点火が好適に行えない噴出孔の位置とは、例えば、所定方向から見た際に点火部と重複しない位置である。
一方、上記構成では、バーナチップの周方向の向きを所望の向きとすることができる。よって、バーナチップに形成される噴出孔の位置を所望の位置とすることができる。したがって、噴出孔の位置を点火部による点火が好適に行える位置とすることができる。したがって、点火部の点火性を向上させることができる。
なお、点火部による点火が好適に行える噴出孔の位置は、例えば、所定方向から見た際に点火部と重複する位置である。
また、複数の噴出孔は、周方向に等間隔で並んで配置されてもよい。
また、点火部は、火花を発生させることで点火を行う電気火花式のイグナイタであってもよく、点火用燃料による火炎で点火を行う自燃式のイグナイタであってもよい。
【0088】
また、本開示の第6態様に係るバーナは、上記第5態様において、前記点火部(161)は、火花を発生し、発生した火花で燃料に点火するイグナイタ(161)を有し、前記切欠き(65)は、所定位置に形成されていて、前記所定位置は、前記切欠き(65)と治具とが係合した際に、前記バーナチップ(155)に形成される前記噴出孔(160)の位置が前記イグナイタ(161)が火花を発生させる領域と前記噴出孔(160)が燃料を噴出する領域とが重複する位置となる位置である。
【0089】
上記構成では、切欠きと治具とが係合すると、イグナイタが火花を発生させる領域と噴出孔が燃料を噴出する領域とが重複するように、噴出孔が位置することとなる。キャップによってバーナチップがバーナ本体に固定される際に、バーナチップは供回りしないので、バーナチップがバーナ本体に固定された後も、噴出孔の位置は変わらない。このため、噴出孔の位置をイグナイタによる点火が好適に行える位置(火花が発生する領域と燃料が噴出される領域とが重複する位置)とすることができる。したがって、イグナイタの点火性を向上させることができる。
【0090】
また、本開示の第7態様に係るバーナは、上記第5態様において、前記点火部(161)は、火炎を形成し、形成された火炎で燃料に点火するイグナイタ(161)を有し、前記切欠き(65)は、所定位置に形成されていて、前記所定位置は、前記切欠き(65)と治具(70)とが係合した際に、前記バーナチップ(155)に形成される前記噴出孔(160)の位置が前記イグナイタ(161)が火炎を形成する領域と前記噴出孔(160)が燃料を噴出する領域とが重複する位置となる位置である。
【0091】
上記構成では、切欠きと治具とが係合すると、イグナイタが火炎を形成する領域と噴出孔が燃料を噴出する領域とが重複するように、噴出孔が位置することとなる。キャップによってバーナチップがバーナ本体に固定される際に、バーナチップは供回りしないので、バーナチップがバーナ本体に固定された後も、噴出孔の位置は変わらない。このため、噴出孔の位置をイグナイタによる点火が好適に行える位置(火炎を形成する領域と燃料が噴出される領域とが重複する位置)とすることができる。したがって、イグナイタの点火性を向上させることができる。
【0092】
また、本開示の第8態様に係るバーナは、上記第1態様から第7態様のいずれかにおいて、前記切欠き(65)は、複数設けられていて、複数の前記切欠き(65)は、前記所定方向(C2方向)に延在する中心軸線を挟んで前記バーナチップ(55)の両側に設けられている。
【0093】
上記構成では、複数の切欠きは、所定方向に延在する中心軸線を挟んでバーナチップの両側に設けられている。これにより、より強固に、バーナチップの切欠きを治具等に係合させることができる。
【0094】
また、本開示の第9態様に係るバーナは、上記第1態様から第8態様のいずれかにおいて、前記バーナチップ(55)は、先端に前記所定方向(C2方向)と交差する方向に延在する凹部(270)が形成されている。
【0095】
上記構成では、バーナチップの先端に所定方向と交差する方向に延在する凹部が形成されている。これにより、作業者がバーナチップの周方向の向きを視覚で確認することができる。よって、バーナを組立てる際の作業性を向上させることができる。
また、凹部に固定部材を係合させることで、より強固に、バーナチップの供回りを抑制することができる。
【0096】
また、本開示の第1態様に係る固定治具は、所定方向(C2方向)に延在し、炉壁(101)に囲まれた火炉(11)内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉(11)内に火炎を形成するバーナ(21)を固定する固定治具(70)であって、内部に燃料が流通するバーナ本体(50)と、前記火炉(11)内に開口し、前記バーナ本体(50)を流通した燃料を噴出する噴出孔(60)が形成されているバーナチップ(55)と、前記バーナ本体(50)に取り付けられ、前記バーナチップ(55)を前記バーナ本体(50)に対して固定するバーナキャップ(56)と、を備える前記バーナ(21)の前記バーナチップ(55)の外面に形成された切欠き(65)と係合する係合部を備える。
【0097】
また、本開示の第1態様に係るバーナの組立方法は、所定方向(C2方向)に延在し、炉壁(101)に囲まれた火炉(11)内に噴出した燃料を燃焼させて前記火炉(11)内に火炎を形成するバーナ(21)の組立方法であって、前記バーナ(21)は、内部に燃料が流通するバーナ本体(50)と、前記火炉(11)内に開口し、前記バーナ本体(50)を流通した燃料を噴出する噴出孔(60)が形成されているバーナチップ(55)と、前記バーナ本体(50)に取り付けられ、前記バーナチップ(55)を前記バーナ本体(50)に対して固定するバーナキャップ(56)と、を備え、前記バーナチップ(55)は、外面に切欠き(65)が形成されていて、前記バーナ(21)を固定する固定治具(70)の係合部に前記切欠き(65)を係合させる係合工程と、前記切欠き(65)と前記係合部とが係合した状態で前記バーナキャップ(56)を前記バーナ本体(50)に取り付けて前記バーナチップ(55)を前記バーナ本体(50)に対して固定する固定工程と、を備える。
【符号の説明】
【0098】
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼ガス通路
13 :煙道
20 :燃焼装置
21 :バーナ
23 :風箱
24 :風道
32 :押込通風機
41 :ガスダクト
42 :空気予熱器
43 :脱硝装置
44 :集じん装置
46 :脱硫装置
47 :煙突
50 :バーナガン(バーナ本体)
51 :第1蒸気流路
52 :第1燃料流路
53 :第2蒸気流路
55 :バーナチップ
55a :バックプレート
55b :スプレイプレート
56 :バーナキャップ
57 :第2燃料流路
57a :入口開口
58 :混合流路
59 :連通路
60 :噴出孔
60A :第1噴出孔
60Af :液体燃料
60B :第2噴出孔
60Bf :液体燃料
65 :切欠き
70 :組立台
71 :架台
71a :本体部
71b :柱部
72 :脚部
72a :鉛直板部
72b :水平板部
73 :支持部
74 :基部
75 :バーナチップ固定部
75a :チップ固定部側切欠き
75b :規制部
76 :バーナガン固定部
77 :ボルト
78 :ナット
80 :蒸気管
81 :燃料管
85 :燃焼用空気供給ポート
101 :炉壁
102 :過熱器
102A :過熱器
102B :過熱器
102C :過熱器
103 :再熱器
103A :再熱器
103B :再熱器
104 :節炭器
121 :バーナ
155 :バーナチップ
160 :噴出孔
161 :イグナイタ
221 :バーナ
255 :バーナチップ
270 :凹部
C1 :中心軸線
C2 :バーナ軸線
CC :中心領域