IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NECパーソナルコンピュータ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152278
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241018BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241018BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F1/16 312Q
G06F1/16 312Z
H05K5/02 A
G03B11/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066379
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清野 哲史
【テーマコード(参考)】
2H083
4E360
【Fターム(参考)】
2H083CC22
2H083CC23
2H083CC34
4E360AA02
4E360AB02
4E360AB22
4E360AB42
4E360BA02
4E360BB04
4E360BB23
4E360BC05
4E360BD03
4E360BD05
4E360EC13
4E360ED03
4E360ED07
4E360GA52
4E360GB46
4E360GC08
(57)【要約】
【課題】カメラカバーを小型化することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、縁部に支持部材を有する筐体と、カメラと、カメラを露出させる第1位置とカメラを覆う第2位置とに移動可能なカメラカバーとを備える。カメラカバーは、カメラを開閉するカバー部が設けられ、支持部材の一面側でスライド可能なプレート部と、プレート部のスライド方向に沿って延びる一対の縁部からそれぞれ起立するように設けられた一対の立壁と、一対の立壁の間でプレート部の表面に設けられたノブと、一対の立壁の一方から突出するように設けられた凸部とを有する。支持部材は、一対の立壁をそれぞれスライド可能にガイドする一対のガイド部と、一対のガイド部の一方に設けられ、カメラカバーが第1位置にある場合に凸部が係合する第1凹部、及び、第2位置にある場合に凸部が係合する第2凹部とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
縁部に支持部材を有する筐体と、
前記支持部材に支持され、前記支持部材の一面側を撮影可能なカメラと、
前記支持部材の前記一面側でスライド可能に設けられ、前記カメラを露出させる第1位置と、前記カメラを覆う第2位置とに移動可能なカメラカバーと、
を備え、
前記カメラカバーは、
前記カメラを開閉するカバー部が設けられ、前記支持部材の前記一面側でスライド可能なプレート部と、
前記プレート部のスライド方向に沿って延びる一対の縁部からそれぞれ起立するように設けられた一対の立壁と、
前記一対の立壁の間で前記プレート部の表面に設けられたノブと、
前記一対の立壁の一方から突出するように設けられた凸部と、
を有し、
前記支持部材は、
前記一対の立壁をそれぞれスライド可能にガイドする一対のガイド部と、
前記一対のガイド部の一方に設けられ、前記カメラカバーが前記第1位置にある場合に前記凸部が係合する第1凹部、及び、前記カメラカバーが前記第2位置にある場合に前記凸部が係合する第2凹部と、
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記カメラカバーは、前記スライド方向に直交する方向を基準とした場合に、前記ノブと前記凸部とがオーバーラップした位置にある
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
前記凸部は、前記第1凹部又は前記第2凹部に係合した状態では、該第1凹部又は該第2凹部の内壁面との間に隙間が形成され、
前記凸部は、前記カメラカバーが前記第1位置と前記第2位置との間をスライドしている状態では、前記ガイド部の壁面に対して摺動して相互間に摩擦を生じる
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記一対のガイド部は、前記一対の立壁がそれぞれスライド可能に挿入される一対のスリットを含む
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式のカメラカバーを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PC又はタブレット型PCのような電子機器は、例えばディスプレイの側部に設けられた枠体にカメラを備えている。カメラは、ユーザや室内を常時指向しているため、ユーザはカメラの非使用時においても意図しない撮影が行われているのではないかという不安を感じることがある。例えば特許文献1には、人手によってスライドさせてカメラを開閉することができるカメラカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-201886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、弾性体に設けた凸部を枠体側の凹部に嵌合させることにより、カメラを開閉する各位置にカメラカバーを保持することができる。ところで、この構成では、カメラカバーはカメラを覆う部分の先に横方向に延長した板ばね状の弾性体を設けている。このため、この構成では、カメラカバー全体の寸法が横長になってカメラの設置スペースを侵食し、カメラ及びその関連デバイスのデザイン等に制約を与えていた。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、カメラカバーを小型化することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、縁部に支持部材を有する筐体と、前記支持部材に支持され、前記支持部材の一面側を撮影可能なカメラと、前記支持部材の前記一面側でスライド可能に設けられ、前記カメラを露出させる第1位置と、前記カメラを覆う第2位置とに移動可能なカメラカバーと、を備え、前記カメラカバーは、前記カメラを開閉するカバー部が設けられ、前記支持部材の前記一面側でスライド可能なプレート部と、前記プレート部のスライド方向に沿って延びる一対の縁部からそれぞれ起立するように設けられた一対の立壁と、前記一対の立壁の間で前記プレート部の表面に設けられたノブと、前記一対の立壁の一方から突出するように設けられた凸部と、を有し、前記支持部材は、前記一対の立壁をそれぞれスライド可能にガイドする一対のガイド部と、前記一対のガイド部の一方に設けられ、前記カメラカバーが前記第1位置にある場合に前記凸部が係合する第1凹部、及び、前記カメラカバーが前記第2位置にある場合に前記凸部が係合する第2凹部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、カメラカバーを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした平面図である。
図2図2は、蓋体のカメラ装置及びその周辺部を拡大した分解斜視図である。
図3A図3Aは、カメラカバーがオープン位置にある状態でのカメラ装置及びその周辺部の平面図である。
図3B図3Bは、図3Aに示すカメラカバーをクローズ位置とした状態を示す平面図である。
図4A図4Aは、カメラカバーの斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aとは別の角度から見たカメラカバーの斜視図である。
図5A図5Aは、支持部材の平面図である。
図5B図5Bは、支持部材の斜視図である。
図6A図6Aは、オープン位置での凸部及びその周辺部を拡大した平面図である。
図6B図6Bは、図6Aからカメラカバーをスライドさせた状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした平面図である。電子機器10は、システム本体12と、蓋体14とを備える。本実施形態の電子機器10は、システム本体12と蓋体14との間がヒンジ16によって相対的に回動可能に連結されたクラムシェル型のノート型PCである。本発明を適用可能な電子機器は、ノート型PCに限られず、タブレット型PC、デスクトップ型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等の各種情報機器を例示できる。
【0011】
システム本体12は、扁平な箱型の筐体を備える。システム本体12の上面には、キーボード18及びタッチパッド19が設けられている。システム本体12の内部には、CPU等を実装した基板、記憶装置、バッテリ装置、及びアンテナ等の各種電子部品が収容されている。
【0012】
蓋体14は、システム本体12よりも薄い扁平な箱型の筐体20を備える。筐体20の一面には表示装置22が設けられている。
【0013】
以下では、筐体20及びこれに搭載される各構成要素について、ユーザが表示装置22を視認する方向を基準として、左右方向をX1,X2方向、高さ方向をY1,Y2方向、厚み方向(前後方向)をZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向はまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様とする。
【0014】
蓋体14は、筐体20と、正面(Z1側表面)を臨む表示装置22と、表示装置22のY1側縁部に近接して設けられたカメラ装置24とを備える。表示装置22は、液晶や有機ELで構成され、蓋体14の正面の大部分を占めている。
【0015】
図2は、蓋体14のカメラ装置24及びその周辺部を拡大した分解斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、筐体20は、カバー部材26と、枠体28と、ガラスプレート30とを備える。
【0017】
カバー部材26は、筐体20の背面(Z2側表面)を形成するプレート状部材である。カバー部材26の外周縁部には、Z1側に向かって起立した側壁26aが設けられている。側壁26aは筐体20の側面を形成する。表示装置22は、裏面がカバー部材26の内面で支持される。枠体28は、表示装置22の周囲を囲むベゼル部材である。枠体28は、筐体20の縁部を囲むように設けられ、側壁26aに沿って延在している。枠体28はカバー部材26と一体的に設けられてもよい。ガラスプレート30は、表示装置22の表示面を覆いつつ、筐体20の正面の大部分を形成している。ガラスプレート30に代えて、枠体28の表面のみを覆う枠状の化粧ベゼルを用いてもよい。
【0018】
次に、カメラ装置24の構成例を説明する。
【0019】
カメラ装置24は、枠体28の上辺(Y1側辺)である支持部材29に支持されている。これによりカメラ装置24は、表示装置22の上部で蓋体14の正面方向を撮影可能に設置される。カメラ装置24は、枠体28の上辺以外の3辺のいずれかに設けられてもよい。カメラ装置24は、蓋体14の背面方向を撮影可能に設置されてもよい。
【0020】
カメラ装置24は、カメラ32と、IRLED34と、ステータスLED36と、照度センサ38と、カバーガラス40と、カメラカバー42とを有する。
【0021】
カメラ32は、動画撮影等に用いることができるカメラモジュールである。カメラ32は、中心に集光用のレンズ32aを有し、レンズ32aの裏側(Z2側)にイメージセンサや基板等が設けられている。IRLED34は、顔認識等に用いることができる赤外線カメラである。ステータスLEDは、電子機器10の動作状態を表示することがでライトである。照度センサ38は、周囲環境の明るさを検知することができるセンサである。カメラ32、IRLED34、ステータスLED36、及び照度センサ38は、X方向に横長のカメラ基板43の表面に実装され、それぞれZ1方向を指向している。カメラ基板43は、カバー部材26の内面のY1側縁部に沿って配置され、表面が支持部材29で覆われる。
【0022】
カバーガラス40は、カメラ32、IRLED34、ステータスLED36、及び照度センサ38を覆う透明なガラスプレートである。カバーガラス40は、カメラ32を覆う位置に光学レンズ機能を有してもよい。カバーガラス40は、カメラカバー42を支持する機能も有する。ガラスプレートで形成されたカバーガラス40に代えて、透明なプラスチックで形成されたプラスチックプレートを用いてもよい。
【0023】
図3Aは、カメラカバー42がオープン位置にある状態でのカメラ装置24及びその周辺部の平面図である。図3Bは、図3Aに示すカメラカバー42をクローズ位置とした状態を示す平面図である。図4A及び図4Bは、カメラカバー42の斜視図である。図5A及び図5Bは、支持部材29の平面図及び斜視図である。
【0024】
カメラカバー42は、カメラ32を物理的に開閉可能な機械式のシャッターである。図2図4Bに示すように、カメラカバー42は、プレート部42aと、カバー部42bと、補助カバー部42cと、一対の立壁42d,42eと、ノブ44とを有する。プレート部42a、カバー部42b、補助カバー部42c、及び立壁42d,42eは金属板金部品で一体に形成されているが、樹脂の成形部品等で形成されてもよい。
【0025】
プレート部42aは、X方向に延びた略矩形状のプレートである。プレート部42aは、支持部材29のZ1側の表面29aにX方向に沿ってスライド可能に載置される。プレート部42aの略中央には、例えば十字形状の孔部42a1が形成されている。孔部42a1はノブ44を嵌合するためのものである。
【0026】
カバー部42bは、プレート部42aのX1側端部に設けられ、X1側の端面が円弧状に形成されている。カバー部42bは、カメラ32を開閉するシャッターであり、少なくともカメラ32のレンズ32aを覆い隠すことができる形状を有する。カメラカバー42は、少なくともカバー部42bが光を透過させない材料で形成される。
【0027】
補助カバー部42cは、プレート部42aのX2側端部に設けられ、X2側の端面が円弧状に形成されている。補助カバー部42cは、カメラカバー42がクローズ位置にある場合に後述する支持部材29の長孔29fが露出することを防止する化粧カバーである。長孔29fの形状等によっては、補助カバー部42cは省略されてもよい。
【0028】
立壁42d,42eは、XZ方向に沿うプレートである。立壁42d,42eは、プレート部42aのスライド方向(X方向)に沿って延びる一対の縁部からそれぞれZ2側に起立するように設けられている。立壁42d,42eは、カメラカバー42のY方向位置を規制すると共に、カメラカバー42の円滑なスライドを確保するものである。Y2側の立壁42dは、長手方向(X方向)の中央に凸部46が設けられている。凸部46は、立壁42dの一部をY2側に突出させた突出部である。凸部46は、カメラカバー42をオープン位置及びクローズ位置の一方に保持するためのストッパとして機能する。
【0029】
ノブ44は、ユーザがカメラカバー42をスライドさせる際に指先等を引っ掛ける操作ノブである。カバーガラス40は、X方向に延びた長孔40aを有する。ノブ44は長孔40aを通して蓋体14の表面に露出し、これによりユーザが操作することができる。ノブ44は、プレート部42aのZ1側表面でX方向の略中央に接着固定される。ノブ44は、操作面の裏側から突出した突起を支持部材29の長孔29fに嵌合させることでプレート部42aに対して確実に固定される。
【0030】
次に、このようなカメラ装置24を支持する支持部材29の構成例を説明する。
【0031】
図2図3B図5A及び図5Bに示すように、支持部材29は、表面29aの一部を凹ませた浅い凹状部29a1と、円形の孔部29b,29c,29d,29eと、楕円形の長孔29fと、一対のスリット29g,29hとを有する。支持部材29は、カメラ基板43を上から覆うようにカバー部材26の内面側に設置される。支持部材29は、枠体28とは別体に設けられてもよい。
【0032】
凹状部29a1は、カバーガラス40の厚みと略同一の深さに形成され、カバーガラス40が収容される。カバーガラス40は、凹状部29a1に収容され、その表面29aに接着剤や両面テープ等で固定される。
【0033】
孔部29bは、IRLED34が挿通される。孔部29cは、カメラ32が挿通される。孔部29dは、ステータスLED36が発生する光の通り道となる。孔部29eは、照度センサ38が挿通される。長孔29fは、カメラカバー42のスライド距離に対応するX方向長さを有する。長孔29fは、プレート部42aの孔部42a1を挿通したノブ44の裏側の突起をX方向にガイドすることができる。
【0034】
凹状部29a1には、孔部29b,29c間に跨るようにX方向に延在するスライド凹部29a2が設けられている。スライド凹部29a2は、カメラカバー42のプレート部42a、カバー部42b、及び補助カバー部42cが収容される浅い凹部である。スライド凹部29a2は、凹状部29a1よりもさらに一段低く形成されている。
【0035】
スリット29g,29hは、Y方向に幅狭でX方向に延びた長孔であり、カメラカバー42のスライド方向に沿って延在している。Y2側のスリット29gは、立壁42dがスライド可能に挿入される。Y1側のスリット29hは、立壁42eがスライド可能に挿入される。これによりスリット29g,29h及びその内壁面は、立壁42d,42eをスライド可能にガイドするガイド部48,49として機能する。なお、スリット29g,29hのY方向の幅は、立壁42d,42eのY方向の厚みよりも大きく、ある程度のがたつき(後述する隙間G1)を確保している。
【0036】
Y2側のスリット29gを形成する内壁面には、カメラカバー42の凸部46が選択的に係合可能な凹部50a,50bが形成されている。凹部50a,50bは、スリット29gのY2側にある内壁面(壁面50c)にX方向に並んで設けられている。凹部50a,50bは、壁面50cをY2側に凹ませた凹部である。第1凹部50aは、オープン位置にあるカメラカバー42の凸部46が係合する。第2凹部50bは、クローズ位置にあるカメラカバー42の凸部46が係合する。凸部46が凹部50a又は50bに係合することにより、カメラカバー42はオープン位置又はクローズ位置に保持される。
【0037】
次に、カメラカバー42によるカメラ32の開閉動作を説明する。
【0038】
先ず、図3Aに示すオープン位置において、カメラカバー42はそのスライド範囲内で最もX1側にスライドした位置にあり、カバー部42bがカメラ32の直上から最も後退している。このため、カメラ32はレンズ32aがカバー部42bで覆われずに露出しており、撮影可能状態にある。この際、カメラカバー42は凸部46が第1凹部50aに係合しているため、オープン位置を安定して保持できる。
【0039】
ここで、図6A及び図6Bに凸部46及びその周辺部を拡大した平面図を示す。図6Aに示すように、カメラカバー42の立壁42dとスリット29gのY2側の壁面50cとの間には、意図的に設けた隙間G1が形成されている。これによりカメラカバー42は、各立壁42d,42eが各スリット29g,29hに挿入された状態で、隙間G1によるY方向のがたつきを有する。隙間G1は凸部46の突出長よりも小さく形成されることで、凸部46が凹部50a,50bから意図せずに離脱することはない。なお、凸部46は、第1凹部50aに係合した状態で第1凹部50aの内壁面との間に隙間G2が形成される。この隙間G2は、凸部46が第2凹部50bに係合した状態でも同様に形成される。
【0040】
図3A及び図6Aに示すオープン位置からカメラカバー42でカメラ32を閉じる場合は(クローズ動作)、ユーザが指先等でノブ44を操作してカメラカバー42をX2側にスライドさせる。そうすると、隙間Gによるがたつきを利用して、凸部46が第1凹部50aの縁部を摺動しながら乗り越え、第1凹部50aから離脱する。後の後、図6Bに示すように、凸部46はスリット29gの壁面50cを摺動しながらX2方向に移動する。このように凸部46と壁面50cとの間には隙間は形成されず、相互間に摩擦を生じる。
【0041】
そして、図3Bに示すように凸部46が第2凹部50bに係合すると、カメラカバー42がクローズ位置に保持され、カバー部42bがカメラ32の少なくともレンズ32aを覆い隠す。このため、カメラ32によりユーザの意図に反した撮影が行われることが防止され、ユーザは安心感を得ることができる。なお、カメラカバー42を図3Bに示すクローズ位置から図3Aに示すオープン位置とする場合は(オープン動作)際は、上記したクローズ動作と逆方向にカメラカバー42をスライドさせればよい。
【0042】
以上のように、本実施形態の電子機器において、カメラカバー42は、カメラ32を開閉するカバー部42bが設けられ、枠体28の一面側でスライド可能なプレート部42aと、スライド方向に沿って延びる一対の縁部からそれぞれ起立するように設けられた一対の立壁42d,42eと、一対の立壁42d,42eの間でプレート部42aの表面に設けられたノブ44と、一対の立壁42d,42eの一方から突出するように設けられた凸部46とを有する。また、枠体28は、一対の立壁42d,42eをそれぞれスライド可能にガイドする一対のガイド部48,49と、一対のガイド部48,49の一方に設けられ、カメラカバー42がオープン位置(第1位置)にある場合に凸部46が係合する第1凹部50a、及び、クローズ位置(第2位置)にある場合に凸部46が係合する第2凹部50bとを有する。
【0043】
従って、当該電子機器10は、カメラカバー42に形成した立壁42d,42eの一方の立壁42dに設けた凸部46を枠体28側の凹部50a,50bに係合させる構成としたことで、カメラカバー42に板ばね状の弾性体を設ける必要がない。このため、カメラカバー42は、弾性体の弾性変形のための長尺な構成が不要となり、特にスライド方向での大きさを小型化することができる。カメラカバー42が小型化されることにより、電子機器10は、カメラ32以外のカメラ装置24の構成デバイス、例えばIRLED34、ステータスLED36、照度センサ38の設置自由度が向上する。その結果、電子機器10は、カメラ装置24の小型化及び省スペース化も可能となる。なお、凸部46は、他方の立壁42eに設けてもよい。
【0044】
ここで、各ガイド部48,49は、各立壁42d,42eがそれぞれスライド可能に挿入される一対のスリット29g,29hを含む。このため、カメラカバー42のスライド時に立壁42d,42eが一層確実にガイドされる。
【0045】
ところで、カメラカバー42はある程度の剛性を有する立壁42dに凸部46を設けた構成としているため、立壁42dの弾性変形による凸部46のY方向の移動は略ない。このため、カメラカバー42は、立壁42dとスリット29gの壁面50cとの間に隙間G1を形成してY方向のがたを設け、凸部46が凹部50a,50bに対して円滑に係脱するように構成している。従って、カメラカバー42は、このY方向のがたに起因して、スライド時にXY平面内で時計方向或いは反時計方向に回転し、円滑なスライドが損なわれる可能性もある。
【0046】
そこで、カメラカバー42は、スライド方向(X方向)に直交する方向(Y方向)を基準とした場合に、ノブ44と凸部46とがオーバーラップした位置にある。換言すれば、ノブ44と凸部46はY方向に並んでいる。このため、カメラカバー42のスライド時、ユーザがノブ44を指先等で操作した際、その操作力はX方向の位置ずれによるモーメント力を生じずに、略直接的に凸部46に伝達される。その結果、カメラカバー42は、凸部46が凹部50a,50bから離脱する際、或いは壁面50cに対して摺動している際に、上記した時計方向等の回転を生じることが抑制され、一層円滑なスライド動作が可能となっている。
【0047】
また、当該電子機器10において、カメラカバー42の凸部46は、第1凹部50aは第2凹部50bに係合した状態では、これら凹部50a,50bの内壁面との間に隙間G2が形成される。一方、凸部46は、カメラカバー42がオープン位置とクローズ位置との間をスライドしている状態では、ガイド部48を形成するスリット29gの壁面50cに対して摺動して相互間に摩擦を生じる。このため、カメラカバー42は、凸部46が凹部50a,50bから離脱する際にはノブ44を介してユーザが指先等で感じる手応えが急増する。また、凸部46が壁面50cを摺動している際には手応えは増大した状態に維持される。そして、凸部46が凹部50a,50bに係合する際には手応えが急減する。このように、カメラカバー42は、凸部46が凹部50a,50bから離脱し又は凹部50a,50bに係合する際に指先等が受ける手応えが急増し又は急減することで、その力の差分がクリック感としてユーザに付与される。すなわち電子機器10は、カメラカバー42に弾性体を用いない構成としながらも、ユーザが操作時のクリック感を得ることができ、高い操作性が得られる。
【0048】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10 電子機器
20 筐体
22 表示装置
24 カメラ装置
28 枠体
29g,29h スリット
32 カメラ
32a レンズ
42a プレート部
42b カバー部
42d,42e 立壁
44 ノブ
46 凸部
48,49 ガイド部
50a 第1凹部
50b 第2凹部
50c 壁面
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B