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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152279
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】気泡生成ユニット及び気泡生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/231 20220101AFI20241018BHJP
   B01F 23/2373 20220101ALI20241018BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20241018BHJP
   B01F 101/23 20220101ALN20241018BHJP
【FI】
B01F23/231
B01F23/2373
B01F35/71
B01F101:23
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066385
(22)【出願日】2023-04-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1.展示日 2022年8月24日-26日 展示会名、開催場所 第24回 ジャパンインターナショナルシーフードショー 東京国際展示場 東京ビッグサイト 東館(東京都江東区有明3丁目10-1) 一般社団法人 大日本水産会 公開者 株式会社山田製作所 2.展示日 2022年10月12日-14日 展示会名、開催場所 第12回 農業Week 幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1) RX Japan株式会社 公開者 株式会社山田製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】早川 淳
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
【Fターム(参考)】
4G035AB08
4G035AB28
4G035AE13
4G037AA01
4G037EA01
(57)【要約】
【課題】多孔質フィルムの破損を抑制し、耐久性を向上させることができる気泡生成ユニット及び気泡生成装置を提供する。
【解決手段】本開示の態様に係る気泡生成ユニットは、気体が導入される気体導入口、及び気体を排出する気体排出口が連通する内部空間が形成されたハウジングと、気体排出口を閉塞するように設けられ、ハウジングの内部に導入される気体をハウジングの外部に透過させる多孔質フィルムと、を備えている。ハウジングのうち気体排出口が形成された第1壁において、気体排出口の開口方向から見て気体排出口と重なり合う位置には、多孔質フィルムの厚さ方向への変位を規制する規制部が形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が導入される気体導入口、及び気体を排出する気体排出口が連通する内部空間が形成されたハウジングと、
前記気体排出口を閉塞するように設けられ、前記ハウジングの内部に導入される気体を前記ハウジングの外部に透過させる多孔質フィルムと、を備え、
前記ハウジングのうち前記気体排出口が形成された第1壁において、前記気体排出口の開口方向から見て前記気体排出口と重なり合う位置には、前記多孔質フィルムの厚さ方向への変位を規制する規制部が形成されている気泡生成ユニット。
【請求項2】
前記第1壁は、前記気体排出口を形成する枠部を備え、
前記規制部は、前記枠部を横断して設けられている請求項1に記載の気泡生成ユニット。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記第1壁と異なる第2壁を備え、
当該気泡生成ユニットの重心は、前記第2壁に直交する法線方向において、当該気泡生成ユニットの中心に対して前記第2壁寄りに位置している請求項1又は請求項2に記載の気泡生成ユニット。
【請求項4】
前記ハウジング内のうち、前記法線方向における前記ハウジングの中心に対して前記第2壁寄りに位置する部分には、錘部が配置されている請求項3に記載の気泡生成ユニット。
【請求項5】
前記第1壁には、前記ハウジングの外部に向けて前記多孔質フィルムの厚さ方向に突出する突出部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の気泡生成ユニット。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の気泡生成ユニットと、
液体が収容されるとともに、前記気泡生成ユニットが浸漬されるタンクと、を備えている気泡生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、気泡生成ユニット及び気泡生成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
農業や漁業、工業、医療等の分野において、微細気泡を利用した技術が種々検討されている。微細気泡とは、直径が100μm以下の気泡を指す。
【0003】
下記特許文献1には、いわゆる浸漬タイプの気泡生成装置が開示されている。具体的に、下記特許文献1に記載の気泡生成装置は、液体が収容された容器と、液体中に浸漬された気泡発生部材と、を備えている。気泡発生部材は、円筒状の多孔質基材の表面が多孔質膜により覆われた構成である。この種の気泡生成装置では、ボンベから供給される気体が気泡発生部材内に供給される。気泡生成装置内に供給された気体は、多孔質基材及び多孔質膜を透過した後、液体中に分散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-86632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多孔質膜には、気泡発生部材内に供給される気体によって多孔質基材から離れる向きに圧力が作用する。そのため、従来技術にあっては、多孔質膜が多孔質基材から剥離したり、多孔質膜自体が破損したりする可能性があった。
【0006】
本開示は、多孔質フィルムの破損を抑制し、耐久性を向上させることができる気泡生成ユニット及び気泡生成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
(1)本開示の一態様に係る気泡生成ユニットは、気体が導入される気体導入口、及び気体を排出する気体排出口が連通する内部空間が形成されたハウジングと、前記気体排出口を閉塞するように設けられ、前記ハウジングの内部に導入される気体を前記ハウジングの外部に透過させる多孔質フィルムと、を備え、前記ハウジングのうち前記気体排出口が形成された第1壁において、前記気体排出口の開口方向から見て前記気体排出口と重なり合う位置には、前記多孔質フィルムの厚さ方向への変位を規制する規制部が形成されている。
【0008】
本態様によれば、ハウジング内への気体導入に伴う圧力上昇によって多孔質フィルムがハウジングの外部に向けて変位しようとした場合、規制部によって多孔質フィルムの厚さ方向への変位を規制することができる。これにより、多孔質フィルムの破損等を抑制し、気泡生成ユニットの耐久性を向上させることができる。
【0009】
(2)上記(1)の態様に係る気泡生成ユニットにおいて、前記第1壁は、前記気体排出口を形成する枠部を備え、前記規制部は、前記枠部を横断して設けられていることが好ましい。
本態様によれば、多孔質フィルムの変位をより確実に抑制できる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)の態様に係る気泡生成ユニットにおいて、前記ハウジングは、前記第1壁と異なる第2壁を備え、当該気泡生成ユニットの重心は、前記第2壁に直交する法線方向において、当該気泡生成ユニットの中心に対して前記第2壁寄りに位置していることが好ましい。
本態様によれば、例えば気泡生成ユニットをタンク内に設置するにあたって、気泡生成ユニットをタンク内に投げ入れた際であっても、第2壁が下方を向いた状態で気泡生成ユニットがタンク内に設置され易い。すなわち、気体排出口がタンクの底壁部によって閉塞されることを抑制し、気体排出口が液体中に開放され易い。そのため、気体排出口周辺での気泡の滞留を抑制し、気泡が液体中に浮遊し易い。その結果、気体排出口の周辺で滞留した気泡同士がくっつき合って大きな気泡に成長することを抑制できるので、所望の直径の気泡を効果的に生成できる。
【0011】
(4)上記(3)の態様に係る気泡生成ユニットにおいて、前記ハウジング内のうち、前記法線方向における前記ハウジングの中心に対して前記第2壁寄りに位置する部分には、錘部が配置されていることが好ましい。
本態様によれば、例えばハウジングの形状自体で気泡生成ユニットの重心位置を調整する場合に比べ、気泡生成ユニットの重心位置が調整し易い。これにより、気泡生成ユニットの設計自由度を向上させることができる。
【0012】
(5)上記(1)から(4)の何れかの態様に係る気泡生成ユニットにおいて、前記第1壁には、前記ハウジングの外部に向けて前記多孔質フィルムの厚さ方向に突出する突出部が設けられていることが好ましい。
本態様によれば、仮に第1壁が下方を向いた状態で気泡生成ユニットがタンクの底壁部に接地しようとした場合に、第1壁と底壁部との間に突出部が介在することになる。そのため、第1壁と底壁部との間に突出部の高さ分の隙間を形成することができる。その結果、気泡が気体排出口の周辺で滞留することを抑制し、第1壁と底壁部との間の隙間を通じて液体中に分散させ易くなる。
【0013】
(6)本開示の一態様に係る気泡生成装置は、上記(1)から(5)の何れかの態様に係る気泡生成ユニットと、液体が収容されるとともに、前記気泡生成ユニットが浸漬されるタンクと、を備えている。
本態様によれば、上記態様に係る気泡生成ユニットを備えているため、高性能で耐久性に優れた気泡生成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
上記各態様によれば、多孔質フィルムの破損を抑制し、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る気泡生成装置の概略図である。
図2】実施形態に係る気泡生成ユニットの斜視図である。
図3】実施形態に係る気泡生成ユニットの分解斜視図である。
図4図2のIV-IV線に対応する断面図である。
図5図2のV-V線に対応する断面図である。
図6】変形例に係る気泡生成ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。以下の各実施形態等において、同一の構成には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0017】
[気泡生成装置1]
図1は、気泡生成装置1の概略図である。
図1に示す気泡生成装置1は、例えば農業分野の潅水システムに用いられる。気泡生成装置1は、液体中に気体を微小量ずつ混入させることで、液体中に気泡を生成する。なお、気泡生成装置1は、農業分野に限らず、漁業や工業、医療等の各分野で利用可能である。
【0018】
気泡生成装置1は、タンク11と、気体供給部12と、気泡生成ユニット13と、液体供給部14と、を備えている。
タンク11には、液体が収容される。タンク11に収容される液体としては、添加物(カリウムやカルシウム、マグネシウム、リン酸等の農業用液肥、海水材)を含んだ水溶液、若しくは水(地下水や工業用水、水道水、純水、海水等)である。但し、タンク11に収容される液体は、水若しくは水溶液の他に、アルコール等、利用分野に応じて適宜選択可能である。
【0019】
気体供給部12は、タンク11に収容される液中に気体を供給する。具体的に、気体供給部12は、気体用ポンプ21と、気体供給管22と、を備えている。
気体用ポンプ21は、タンク11の外部に設けられている。
気体供給管22は、気体用ポンプ21と気泡生成ユニット13との間を接続する。気体用ポンプ21により送り出される気体は、気体供給管22を通じて気泡生成ユニット13に供給される。なお、本実施形態において、気体は空気である。但し、気体としては、空気以外に、酸素や二酸化炭素、窒素、フッ素等、利用分野に応じて適宜選択可能である。
【0020】
液体供給部14は、タンク11に収容される液体を被供給部(例えば、農作物等)に供給する。具体的に、液体供給部14は、液体吸上管31と、液体用ポンプ32と、液体供給路33と、を備えている。
液体吸上管31は、タンク11と液体用ポンプ32との間を接続している。液体吸上管31における一方の端部は、タンク11内において液体中に浸漬されている。
液体用ポンプ32には、液体吸上管31における他方の端部が接続されている。液体用ポンプ32は、液体吸上管31を通じてタンク11内の液体を吸い上げるとともに、液体供給路33に向けて液体を送り出す。
液体供給路33は、液体用ポンプ32により送り出される液体を被供給部に供給する。
【0021】
<気泡生成ユニット13>
図2は、気泡生成ユニット13の斜視図である。図3は、気泡生成ユニット13の分解斜視図である。
図2図3に示すように、気泡生成ユニット13は、気体供給部12により供給される気体によって液体中に気泡を発生させる。気泡生成ユニット13は、タンク11に収容される液体よりも比重(密度)が大きく、液体中に浸漬可能に構成されている。なお、以下の説明では、気泡生成装置1(タンク11)が設置される設置面F(図1参照)に垂直な方向を上下方向(高さ方向)とし、上下方向に交差する方向を水平方向として説明する。
【0022】
気泡生成ユニット13は、ハウジング51と、コネクタ52と、錘部53と、多孔質フィルム54と、を備えている。
ハウジング51は、例えば平面視矩形状で上下方向に扁平した直方体形状に形成されている。具体的に、ハウジング51は、ベース部61と、カバー62と、を備えている。ハウジング51は、ベース部61とカバー62によって内部空間が形成されている。本実施形態において、ベース部61及びカバー62は、樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等)により、それぞれ一体に形成されている。但し、ベース部61及びカバー62は、樹脂材料以外の材料(例えば、金属材料等)により形成されていてもよい。
【0023】
図3に示すように、ベース部61は、ハウジング本体61aと、フランジ部61bと、を備えている。
ハウジング本体61aは、ハウジング底壁部(第2壁)61a1及びハウジング周壁部61a2を有し、上方に開口する箱型に形成されている。気泡生成ユニット13は、ハウジング底壁部61a1がタンク11の底壁部11a(図1参照)に接地した状態で、タンク11内に浸漬されている。なお、気泡生成ユニット13は、必ずしもハウジング底壁部61a1がタンク11の底壁部11aに接地している必要はない。このような場合において、気泡生成装置1は、ハウジング底壁部61a1が下方を向いた状態で液体中に浸漬されていることが好ましい。
【0024】
図4は、図2のIV-IV線に対応する断面図である。
図4に示すように、ハウジング周壁部61a2の一部には、ハウジング周壁部61a2を貫通する貫通孔64が形成されている。貫通孔64は、ハウジング周壁部61a2の内周側に位置するものほど内径が小さい段付き形状に形成されている。具体的に、貫通孔64は、コネクタ取付部64aと、気体導入口64bと、を備えている。
コネクタ取付部64aは、ハウジング周壁部61a2の外周側に位置している。コネクタ取付部64aは、ハウジング周壁部61a2の外周面上で開口している。
気体導入口64bは、ハウジング周壁部61a2の内周側に位置するとともに、コネクタ取付部64a内とハウジング本体61a内とを連通させている。
【0025】
フランジ部61bは、ハウジング周壁部61a2の上端縁から水平方向に張り出している。
【0026】
図5は、図2のV-V線に対応する断面図である。
図3図5に示すように、ベース部61の上面には、フィルム収容部65が形成されている。フィルム収容部65は、断面視において、フランジ部61bの内周部分からハウジング周壁部61a2に亘って形成されたL字状の凹部である。フィルム収容部65は、平面視において、ハウジング本体61aの周囲を取り囲む枠状に形成されている。フィルム収容部65の底面には、Oリング収容溝67が形成されている。Oリング収容溝67は、フィルム収容部65の底面に対して窪むとともに、フィルム収容部65に倣って延びる枠状に形成されている。Oリング収容溝67内には、Oリング68が収容されている。
【0027】
カバー(第1壁)62は、ベース部61(ハウジング本体61a)の上端開口部を閉塞する。カバー62は、平面視外形がベース部61と同等の矩形状を呈する平板状に形成されている。カバー62は、枠部62aと、規制部62bと、を備えている。
【0028】
枠部62aは、平面視においてハウジング周壁部61a2及びフランジ部61bと重なり合う矩形枠状に形成されている。枠部62aの内側は、カバー62を上下方向に貫通して、ハウジング51の内部空間に連通可能な気体排出口71を構成している。枠部62aは、ハウジング周壁部61a2及びフランジ部61bに対して上下方向に重ね合わされた状態で、ベース部61に組み付けられている。具体的に、枠部62aの外周部分には、枠部62aを上下方向に貫通する複数のビス66が設けられている。図示の例において、ビス66は、枠部62aの各辺にそれぞれ複数ずつ設けられている。ビス66は、枠部62aを貫通した状態で、フランジ部61bに締結されている。これにより、ベース部61とカバー62とが組み合わされている。本実施形態において、ビス66の頭部(突出部)66aは、カバー62に対して上方に突出している。なお、枠本体62a1は、ベース部61に接着や溶着等によって組み付けられていてもよい。
【0029】
枠部62aの内周部分(ビス66よりも内側に位置する部分)には、フィルム保持部72が形成されている。フィルム保持部72は、枠部62aから下方に突出している。フィルム保持部72は、平面視において、枠部62aに倣って延びる枠状に形成されている。フィルム保持部72は、ベース部61とカバー62とが組み合わされた状態において、フィルム収容部65内に収容されている。図示の例において、フィルム保持部72の下面は、フィルム収容部65の底面に近接又は当接している。
【0030】
規制部62bは、気体排出口71を水平方向に横断するように設けられている。規制部62bは、全体で平面視格子状に形成されている。具体的に、規制部62bは、複数の第1梁部62b1と、複数の第2梁部62b2と、を備えている。第1梁部62b1は、水平方向で互いに交差する方向を第1方向及び第2方向とすると、枠部62aの内周面のうち第1方向で向かい合う部分同士を架け渡している。複数の第1梁部62b1は、第2方向に間隔をあけて配置されている。第2梁部62b2は、枠部62aの内周面のうち第2方向で向かい合う部分同士を架け渡している。複数の第2梁部62b2は、第1方向に間隔をあけて配置されている。各第1梁部62b1及び各第2梁部62b2は、互いに交差している。したがって、気体排出口71は、各第1梁部62b1及び各第2梁部62b2によって複数の小孔に区画されている。なお、規制部62b(各梁部62b1,62b2のレイアウト等)は、適宜変更が可能である。
【0031】
なお、各梁部62b1,62b2の幅(平面視において延在方向に直交する方向での寸法)は、1mm以上3mm以下であることが好ましい。各梁部62b1,62b2の幅を1mm以上に設定することで、カバー62の成形時における各梁部62b1,62b2の成形不良を抑制できる。一方、各梁部62b1,62b2の幅を3mm以下に設定することで、気体排出口71の開口面積(気体排出口71全体のうち規制部62bで遮断されていない部分の面積)を確保できる。さらに、各梁部62b1,62b2の高さは、成形性を確保する観点で5mm程度であることが好ましい。
【0032】
図3図4に示すように、コネクタ52は、筒状に形成されている。コネクタ52は、一部がハウジング51の外部に突出した状態で、コネクタ取付部64a内に嵌め込まれている。コネクタ52のうちハウジング51から突出した部分には、気体供給管22が接続されている。すなわち、コネクタ52は、気体導入口64bを通じて気体供給管22とハウジング51の内部空間とを連通させている。なお、コネクタ52は、インサート成形等によってハウジング51に一体に形成されていてもよい。また、コネクタ52は、ベース部61と同様の材料によってベース部61と一体成形されていてもよい。
【0033】
錘部53は、ハウジング51よりも重量が大きく、耐腐食性を有する材料(例えば、ステンレス等)により形成されている。錘部53は、上下方向を厚さ方向とする板状に形成されている。錘部53は、ベース部61にインサート成形されることにより、ハウジング底壁部61a1上に配置されている。したがって、気泡生成ユニット13の重心は、上下方向の中心よりも下方(ハウジング底壁部61a1寄り(高さ方向の一方側))に設定されている。なお、錘部53は、液体よりも比重の大きい材料により形成されていれば、インサート成形に限らず、ハウジング51内に収容されていればよい。錘部53に液体よりも比重の大きい材料を用いることで、ハウジング51の材料選択の自由度を向上させることができる。
【0034】
多孔質フィルム54は、例えば樹脂材料等(ポリプロピレンやポリエチレン等)により形成されている。多孔質フィルム54には、多数の孔が形成されている。孔は、気体が通過可能で、かつ液体が通過不能な直径(平均孔径)であって、例えば数nm~数μm程度の微細孔である。なお、孔は、多孔質フィルム54を厚さ方向に貫通していればよい。
【0035】
多孔質フィルム54は、気体排出口71とハウジング本体61a内との間を遮断するように、ベース部61とカバー62との間に挟み込まれている。具体的に、多孔質フィルム54の平面視外形は、気体排出口71よりも大きく、枠部62aの外形よりも小さい。多孔質フィルム54は、フィルム収容部65内に収容された状態で、フィルム収容部65の底面とフィルム保持部72の下面との間にOリング68を介して挟み込まれている。これにより、多孔質フィルム54は、気体排出口71を下方から閉塞している。
【0036】
気泡生成ユニット13の内外の圧力が等しい場合(多孔質フィルム54が無負荷の場合)において、多孔質フィルム54のうち規制部62bと重なり合う部分は、規制部62bに対して下方から近接又は当接している。なお、多孔質フィルム54は、ベース部61やカバー62に接着等により固定されていてもよい。
【0037】
次に、気泡生成ユニット13の設置方法について説明する。
図1に示すように、気泡生成ユニット13を設置するには、まず気体供給管22をコネクタ52に接続する。
【0038】
続いて、タンク11内に気泡生成ユニット13を投げ入れる。本実施形態において、気泡生成ユニット13の重心は、ハウジング底壁部61a1寄りに設定されている。そのため、気泡生成ユニット13は、ハウジング底壁部61a1が下方を向いた状態で液体中に沈んでいく。その結果、気泡生成ユニット13は、ハウジング底壁部61a1がタンク11の底壁部11aに接地した状態で、液体中に浸漬される。
以上により、気泡生成ユニット13の設置が完了する。なお、気泡生成ユニット13が浸漬された状態において、ハウジング51の内部空間のうち、多孔質フィルム54に対して下方に位置する空間(多孔質フィルム54とベース部61とで囲まれた空間)は、多孔質フィルム54によって液体の浸入が遮断されている。
【0039】
次に、気泡生成装置1の使用方法について説明する。
図1図2に示すように、気体用ポンプ21を駆動させると、気体供給管22を通じて気泡生成ユニット13に気体が送り込まれる。具体的に、気体は、コネクタ52及び気体導入口64bを通じてハウジング本体61a内に導入される。ハウジング本体61a内が所定の圧力になると、ハウジング本体61a内に導入された気体は、多孔質フィルム54の孔を通じて多孔質フィルム54を透過する。多孔質フィルム54を透過した気体は、気泡となって液体中に浮遊する。気泡は、気体排出口71のうち各梁部62b1,62b2の間(小孔)を通じて気泡生成ユニット13の外部に排出される。
【0040】
一方、液体用ポンプ32を駆動させると、タンク11内の液体が気泡とともに液体吸上管31を通じて吸い上げられる。液体吸上管31内を流れる液体は、液体用ポンプ32を通過後、液体供給路33を通じて被供給部に供給される。
【0041】
このように、本実施形態の気泡生成ユニット13は、気体導入口64b及び気体排出口71が形成されたハウジング51と、ハウジング51の内部において、気体排出口71を閉塞するように設けられた多孔質フィルム54と、を備えている。その上で、ハウジング51のカバー62において、気体排出口71の開口方向(上下方向)から見て気体排出口71と重なり合う位置には、規制部62bが形成された構成とした。
この構成によれば、ハウジング51内への気体導入に伴う圧力上昇によって多孔質フィルム54が上方に変位しようとした場合、規制部62bによって多孔質フィルム54の上方(厚さ方向)への変位を規制することができる。これにより、多孔質フィルム54の破損等を抑制し、気泡生成ユニット13の耐久性を向上させることができる。
【0042】
本実施形態の気泡生成ユニット13において、カバー62は、気体排出口71を形成する枠部62aを備え、規制部62bは枠部62aを横断して設けられている構成とした。
この構成によれば、多孔質フィルム54の厚さ方向の変位をより確実に抑制できる。
【0043】
本実施形態の気泡生成ユニット13の重心は、ハウジング底壁部61a1に直交する法線方向(上下方向)において、気泡生成ユニット13の中心に対してハウジング底壁部61a1寄りに位置している構成とした。
この構成によれば、気泡生成ユニット13をタンク11内に設置するにあたって、気泡生成ユニット13をタンク11内に投げ入れた際であっても、ハウジング底壁部61a1が下方を向いた状態で気泡生成ユニット13がタンク11内に設置され易い。これにより、気体排出口71がタンク11の底壁部11aによって閉塞されることを抑制し、気体排出口71が液体中に開放され易い。つまり、気体排出口71周辺での気泡の滞留を抑制し、気泡が液体中に浮遊し易い。その結果、気体排出口71の周辺で滞留した気泡同士がくっつき合って大きな気泡に成長することを抑制できるので、所望の直径の気泡を効果的に生成できる。このような気泡生成ユニット13を農業分野で利用した場合には、微細気泡によるガス溶解促進作用によって気泡内に酸素がより多く取り込まれたり、生理活性作用によって気泡の表面に肥料成分が吸着された液体を農作物まで輸送できる。そのため、発芽や生育の促進を図ることができる。
【0044】
本実施形態の気泡生成ユニット13は、ハウジング51内のうち、上下方向におけるハウジング51の中心に対してハウジング底壁部61a1寄りに位置する部分には、錘部53が配置されている構成とした。
この構成によれば、例えばハウジング51の形状自体で気泡生成ユニット13の重心位置を調整する場合に比べ、気泡生成ユニット13の重心位置が調整し易い。これにより、気泡生成ユニット13の設計自由度を向上させることができる。
【0045】
本実施形態の気泡生成ユニット13において、カバー62には、ハウジング51の外部に向けて多孔質フィルム54の厚さ方向に突出する頭部(突出部)66aが設けられている構成とした。
この構成によれば、仮にカバー62が下方を向いた状態で気泡生成ユニット13がタンク11の底壁部11aに接地しようとした場合に、カバー62と底壁部11aとの間に頭部66aが介在することになる。そのため、カバー62と底壁部11aとの間に頭部66aの高さ分の隙間を形成することができる。その結果、気泡が気体排出口71の周辺で滞留することを抑制し、カバー62と底壁部11aとの間の隙間を通じて液体中に分散させ易くなる。
【0046】
本実施形態の気泡生成装置1は、上述した気泡生成ユニット13を備えているため、高性能で耐久性に優れた気泡生成装置1を提供できる。
【0047】
(その他の変形例)
以上、本開示の好ましい実施例を説明したが、本開示はこれら実施例に限定されることはない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、規制部62bが多孔質フィルム54に対して外側に配置された構成について説明したが、この構成に限られない。規制部は、多孔質フィルム54に対して内側に配置されていてもよい。この場合において、多孔質フィルム54は、規制部に対して接着等によって固定されていることが好ましい。また、多孔質フィルム54が、規制部62bに埋め込まれている構成等であってもよい。
【0048】
上述した実施形態では、規制部62b(梁部62b1,62b2)が気体排出口71を横断している構成について説明したが、この構成に限られない。規制部62bは、枠部62aから片持ちで延びる構成等であってもよい。また、規制部62bは、枠部62aと別体で設けられていてもよい。
上述した実施形態では、規制部62bが直線状に延びる複数の梁部62b1,62b2によって形成された構成について説明したが、この構成に限られない。梁部は、曲線状等であってもよい。
上述した実施形態では、梁部62b1,62b2が気体排出口71を横断することで、気体排出口71が平面視矩形状の小孔に仕切られる構成について説明したが、この構成に限られない。気体排出口は、規制部によって平面視円形状の小孔に区画される構成等であってもよい。
【0049】
上述した実施形態では、突出部の一例として、ビス66の頭部66aを利用した構成について説明したが、この構成に限られない。突出部は、ビス66の有無に関わらず、枠部62aに形成してもよい。また、突出部は、規制部62bに設けられていてもよい。さらに、図6に示すように、規制部62bの各梁部62b1,62b2における上下方向の寸法を枠部62aよりも大きくし、規制部62bのうち枠部62aよりも上方に位置する部分が突出部として機能する構成であってもよい。この場合、突出部として別部材を用いる必要がないので、突出部を設けることに伴う部品点数の増加を抑制できる。なお、図6に示す例において、各梁部62b1,62b2の両端部は、気体排出口71の内周縁を跨って枠部62aの内周部分に到達している。但し、本開示において、突出部は必須の構成ではない。
【0050】
上述した実施形態では、カバー62が平板状(カバー62の上面が平坦面)に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。カバー62は、上方に凸のドーム状に形成されていてもよい。この場合、規制部62bにおける上下方向の寸法についてもカバー62の外周側から中央部に向かうに従い漸次増加する。そのため、仮にカバー62の上面がタンク11の底壁部11aに接地した状態で気泡生成ユニット13が設置されたとしても、気体排出口71の全体が底壁部11aに閉塞されることを抑制できる。
上述した実施形態では、ハウジング51が平面視矩形状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。ハウジング51の平面視形状は、矩形状以外の多角形状や円形状等、適宜変更が可能である。
【0051】
上述した実施形態では、ハウジング51に錘部53を設けることで、気泡生成ユニット13の重心を調整する構成について説明したが、この構成に限られない。ハウジング51の形状や材料等を適宜調整して、気泡生成ユニット13の重心を調整してもよい。但し、気泡生成ユニット13の重心は、任意の位置に設定可能である。
上述した実施形態では、第1壁としてのカバー62と、第2壁としてのハウジング底壁部61a1と、が上下方向で向かい合う構成について説明したが、この構成に限られない。第1壁と第2壁とは、互いに交差する方向に延びていてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、ハウジング51のうち、一面(カバー62)のみに気体排出口71が形成された構成について説明したが、この構成に限られない。気体排出口は、例えばカバー62に加え、ハウジング周壁部61a2等、ハウジング51の二面以上に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、ハウジング51が直方体形状に形成された構成について説明したが、この構成に限られない。ハウジングは、例えば角錐形状や円錐形状等であってもよい。この場合、側面それぞれに気体排出口を形成してもよい。
【0053】
上述した実施形態に係る気泡生成ユニットの一部又は全部は、以下のように付記することができる。
[付記1]
気体が導入される気体導入口、及び気体を排出する気体排出口が連通する内部空間が形成されたハウジングと、
前記気体排出口を閉塞するように設けられ、前記ハウジングの内部に導入される気体を前記ハウジングの外部に透過させる多孔質フィルムと、を備えた気泡生成ユニットであって、
当該気泡生成ユニットの重心は、前記ハウジングの高さ方向において、当該気泡生成ユニットの中心に対して一方側に位置している気泡生成ユニット。
【0054】
[付記1]の構成によれば、気泡生成ユニットをタンク内に設置するにあたって、気泡生成ユニットをタンク内に投げ入れた際であっても、ハウジングの高さ方向において、ハウジングの一方側に位置する壁部が下方を向いた状態で気泡生成ユニットがタンク内に設置され易い。これにより、気体排出口がタンクの底壁部によって閉塞されることを抑制し、気体排出口が液体中に開放され易い。すなわち、気体排出口周辺での気泡の滞留を抑制し、気泡が液体中に浮遊し易い。その結果、気体排出口の周辺で滞留した気泡同士がくっつき合って大きな気泡に成長することを抑制できるので、所望の直径の気泡を効果的に生成できる。
【0055】
[付記2]
前記ハウジング内のうち、前記高さ方向における前記ハウジングの中心に対して一方側に位置する部分には、錘部が配置されている[付記1]に記載の気泡生成ユニット。
【0056】
[付記2]の構成によれば、例えばハウジングの形状自体で気泡生成ユニットの重心位置を調整する場合に比べ、気泡生成ユニットの重心位置が調整し易い。これにより、気泡生成ユニットの設計自由度を向上させることができる。
【0057】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1:気泡生成装置
11:タンク
13:気泡生成ユニット
51:ハウジング
53:錘部
54:多孔質フィルム
61a1:ハウジング底壁部(第2壁)
62:カバー(第1壁)
62a:枠部
62b:規制部
62b1:第1梁部(梁部)
62b2:第2梁部(梁部)
64b:気体導入口
66a:頭部(突出部)
71:気体排出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6