(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152281
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電動車両制御システム
(51)【国際特許分類】
B60L 15/20 20060101AFI20241018BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60L15/20 Y
B60L15/20 S
B60L9/18 S
B60L9/18 P
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066387
(22)【出願日】2023-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小松原 優
(72)【発明者】
【氏名】上田 雅英
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125BA05
5H125CA02
5H125CA15
5H125DD16
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】加速度又は減速度の低下及び車両挙動の不安定化を抑制しながらスリップ状態を適正に解消することができる電動車両制御システムを提供する。
【解決手段】電動車両制御システム10は、トラクション制御部11と、車輪トルク制御部13と、フロントモータ制御部15及びリヤモータ制御部17とを備える。トラクション制御部11は、複数の車輪Wの各々のトラクションを制御する。車輪トルク制御部13は、複数の車輪Wとの間でトルクを授受する複数の回転電機Mの各々に対して要求トルクを設定することによって、複数の車輪Wの各々のトルクを制御する。フロントモータ制御部15及びリヤモータ制御部17は、フロントモータMF及びリヤモータMRの動作を制御する。複数の車輪Wの少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、車輪トルク制御部13は、車輪トルク制御部13の動作を相対的にトラクション制御部11の動作よりも優先させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪の各々のトラクションを制御する第1制御部と、
前記複数の車輪との間でトルクを授受する複数の回転電機の各々に対して要求トルクを設定することによって、前記複数の車輪の各々のトルクを制御する第2制御部と、
前記第1制御部及び前記第2制御部の各々から入力される指令に応じて、前記複数の回転電機の各々の動作を制御する複数の回転電機制御部と、
前記複数の車輪の少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させる協調制御部と
を備える
電動車両制御システム。
【請求項2】
前記複数の回転電機制御部の各々は、個別に、前記複数の回転電機の各々に対応して設けられる
請求項1に記載の電動車両制御システム。
【請求項3】
前記協調制御部は、
前記空転状態に対して前記第2制御部の作動要否を判定する第2判定閾値を、前記空転状態に対して前記第1制御部の作動要否を判定する第1判定閾値に応じて変更することによって、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させる
請求項1又は請求項2に記載の電動車両制御システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記複数の回転電機の各々に対して目標回転数を設定することによって、前記複数の車輪の各々のトラクションを制御し、
前記第2制御部は、運転者から要求されるトルクに応じて前記複数の車輪に分配するトルクを設定する
請求項3に記載の電動車両制御システム。
【請求項5】
前記協調制御部は、前記第2制御部である
請求項4に記載の電動車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも高齢者や障がい者や子供といった脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて車両の挙動安定性に関する開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。
従来、要求トルクを前輪要求トルクと後輪要求トルクとに分配し、前輪と後輪とのうちスリップしている方から他方にスリップ量に応じたトルクを移動することによって前輪要求トルクと後輪要求トルクとを補正する電動車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の挙動安定性においては、加速時又は減速時に車輪のスリップが発生した場合、加速度又は減速度の低下及び車両挙動の不安定化を抑制しながらスリップ状態を解消することが課題である。
例えば上記した従来技術の電動車両は、スリップ量とトルク移動量との対応関係を示す予め作成されたマップを参照して前輪要求トルクと後輪要求トルクとを補正するので、路面状態によってはスリップを解消することができない又は車両挙動が不安定になるおそれがある。例えば、タイヤのグリップ限界は荷重と路面摩擦係数とに応じて変化するので、ウェット状態、積雪状態及び氷結状態等の摩擦係数が異なる各種の路面状態でタイヤのグリップ限界は変化する。これにより、例えば特定の路面状態を想定して作成されたマップからトルク移動量が設定されると、実際の路面状態との差異によってトルク移動量が不適正となり、スリップの未解消及び車両挙動の不安定が生じるおそれがある。
【0005】
本願は上記課題の解決のため、加速度又は減速度の低下及び車両挙動の不安定化を抑制しながらスリップ状態を適正に解消することの達成を目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1):本発明の一態様に係る電動車両制御システム(例えば、実施形態での電動車両制御システム10)は、複数の車輪(例えば、実施形態での車輪W,前輪WF,後輪WR)の各々のトラクションを制御する第1制御部(例えば、実施形態でのトラクション制御部11)と、前記複数の車輪との間でトルクを授受する複数の回転電機(例えば、実施形態での回転電機M,フロントモータMF,リヤモータMR)の各々に対して要求トルクを設定することによって、前記複数の車輪の各々のトルクを制御する第2制御部(例えば、実施形態での車輪トルク制御部13)と、前記第1制御部及び前記第2制御部の各々から入力される指令(例えば、実施形態での目標回転数、要求トルク)に応じて、前記複数の回転電機の各々の動作を制御する複数の回転電機制御部(例えば、実施形態でのフロントモータ制御部15,リヤモータ制御部17)と、前記複数の車輪の少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させる協調制御部(例えば、実施形態での車輪トルク制御部13)とを備える。
【0007】
(2):上記(1)に記載の電動車両制御システムでは、前記複数の回転電機制御部の各々は、個別に、前記複数の回転電機の各々に対応して設けられてもよい。
【0008】
(3):上記(1)又は(2)に記載の電動車両制御システムでは、前記協調制御部は、 前記空転状態に対して前記第2制御部の作動要否を判定する第2判定閾値(例えば、実施形態での第2判定閾値VA)を、前記空転状態に対して前記第1制御部の作動要否を判定する第1判定閾値(例えば、実施形態での第1判定閾値VT)に応じて変更することによって、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させてもよい。
【0009】
(4):上記(3)に記載の電動車両制御システムでは、前記第1制御部は、前記複数の回転電機の各々に対して目標回転数を設定することによって、前記複数の車輪の各々のトラクションを制御し、前記第2制御部は、運転者から要求されるトルクに応じて前記複数の車輪に分配するトルクを設定してもよい。
【0010】
(5):上記(4)に記載の電動車両制御システムでは、前記協調制御部は、前記第2制御部であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)によれば、第2制御部の動作を第1制御部の動作よりも優先させる協調制御部を備えることによって、例えば所望のトラクションを確保するためにトルクを低減する可能性がある第1制御部の動作を抑制することができる。車両の総合的なトルクを低減せずに各車輪のトルクを制御することができる第2制御部の優先によって、加速度又は減速度の低下及び車両挙動の不安定化を抑制しながらスリップ状態を適正に解消することができる。
【0012】
上記(2)の場合、各回転電機に個別に回転電機制御部を備えることによって、各回転電機の制御に要する時間を短縮することができる。
【0013】
上記(3)の場合、第2判定閾値を第1判定閾値に応じて変更することによって、第1制御部の動作を変更せずに、第2制御部の動作を優先させることができる。
【0014】
上記(4)の場合、第2制御部は、車両の総合的なトルクを低減せずに各車輪のトルク配分を変更することによってスリップ状態を解消することができる。
【0015】
上記(5)の場合、第2制御部の動作を変更するだけで第2制御部を第1制御部よりも優先させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態での電動車両制御システムの機能構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施形態の電動車両制御システムでの車両加速時の車輪トルク制御部の動作を示すフローチャート。
【
図3】本発明の実施形態の電動車両制御システムでの車両加速時のトラクション制御部の動作を示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態の電動車両制御システムでの車両加速時おける車体速、車輪速、第1判定閾値及び第2判定閾値と、フロント駆動力と、リヤ駆動力と、加速度との時間変化の対応関係の例を示すグラフ図。
【
図5】本発明の実施形態の電動車両制御システムでの車両加速時おける車体速、車輪速、第1判定閾値及び第2判定閾値と、フロント駆動力と、リヤ駆動力と、加速度との時間変化の対応関係の例を示すグラフ図。
【
図6】本発明の実施形態の電動車両制御システムでの車両加速時おけるAWD処理及びTCS処理に応じた前輪及び後輪の駆動力の変化の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る電動車両制御システムについて、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態での電動車両制御システム10の機能構成を示すブロック図である。
実施形態の電動車両制御システム10は、例えば、電気自動車、ハイブリッド車両及び燃料電池車両等の電動車両(車両)に搭載されている。電気自動車は、バッテリを動力源として駆動する。ハイブリッド車両は、バッテリ及び内燃機関を動力源として駆動する。燃料電池車両は、燃料電池を動力源として駆動する。
【0018】
実施形態での電動車両制御システム10は、例えば、複数の車輪Wとの間でトルクを授受する複数の回転電機Mと、運転者に各種情報を提示する報知装置とを搭載する電動車両を制御する。回転電機Mは、例えば3相交流のブラシレスDCモータ等である。回転電機Mは、電力変換装置等から供給される電力により力行動作することによって車輪Wに駆動トルクを発生させる。回転電機Mは、車輪W側から入力される回転動力により回生動作することによって発電電力と車輪Wに制動トルクとを発生させる。回転電機Mは、例えば、左右の前輪WFに接続されるフロントモータMFと、左右の後輪WRに接続されるリヤモータMRとである。
【0019】
図1に示すように、電動車両制御システム10は、例えば、トラクション制御部11と、車輪トルク制御部13と、フロントモータ制御部15と、リヤモータ制御部17と、メータ19とを備える。
各制御部11,13,15,17は、例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサによって所定のプログラムが実行されることにより機能するソフトウェア機能部である。ソフトウェア機能部は、CPUなどのプロセッサ、プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)及びタイマーなどの電子回路を備えるECUである。なお、各制御部11,13,15,17の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)などの集積回路であってもよい。
各制御部11,13,15,17は、各種のセンサから出力される検出値の信号を取得する。各種のセンサは、例えば、運転者のアクセル操作量を検出するセンサと、回転電機Mの各相の電流を検出する電流センサ及び電圧を検出する電圧センサと、回転電機Mの回転角度を検出する回転角度センサと、車両の速度(車体速)を検出する速度センサと、車両の各車輪Wの回転速度(車輪速)を検出する車輪速センサとなどを備える。
【0020】
トラクション制御部11は、いわゆるTCS(Traction Control System)のように、車両挙動の急激な変化を抑制して姿勢を安定化させる装置の一部を構成する。トラクション制御部11は、例えば滑りやすい路面等での駆動輪の空転を抑制して、所望の駆動力及び操舵能力を確保する。
例えば、トラクション制御部11は、複数の回転電機Mの各々に対して目標回転数を設定することによって、複数の車輪Wの各々のトラクションを制御する。トラクション制御部11は、車両の左右の前輪WFとの間でトルクを授受するフロントモータMFと、車両の左右の後輪WRとの間でトルクを授受するリヤモータMRとの各々に対して目標回転数を設定する。トラクション制御部11は、後述するフロントモータ制御部15及びリヤモータ制御部17の各々との通信によって、目標回転数の情報を送信するとともに、トラクション制御の作動状態の情報を受信する。トラクション制御部11は、トラクション制御の作動状態の情報等の外部から受け取る各種情報に基づいて、車両の状態を推定する。トラクション制御部11は、後述するメータ19に対してトラクション制御が作動中又は停止中であることの報知を指示する。
【0021】
例えば、トラクション制御部11は、車両の複数の車輪Wの少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、トラクション制御の実行要否を判定する。トラクション制御部11は、複数の車輪Wのうち相対的に大きなトルクを担う主駆動輪の回転速度(車輪速Vw)と、車輪速Vwに対して設定される所定の判定閾値(第1判定閾値VT)との比較結果に応じて、トラクション制御の実行要否を判定する。例えば車両の加速時等の複数の回転電機Mの力行動作時又は車両の減速時等の複数の回転電機Mの回生動作時において、トラクション制御部11は、主駆動輪である左右の前輪WFの車輪速Vwが所定の第1判定閾値VTを超えるか否かを判定する。トラクション制御部11は、回転電機Mの力行動作時に車輪速Vwが第1ハイ側判定閾値VTHよりも大きいか否か又は回転電機Mの回生動作時に車輪速Vwが第1ロー側判定閾値VTLよりも小さいか否かを判定する。
【0022】
例えば、トラクション制御部11は、空転状態である前輪WFの車輪速Vwが所定の第1判定閾値VTを超える場合にトラクション制御を実行し、前輪WFの車輪速Vwが所定の第1判定閾値VTを超えない場合にトラクション制御の実行を停止する。トラクション制御部11は、複数の車輪Wの総合的な駆動力又は制動力を低減させるように各回転電機Mの目標回転数を設定することによって、トラクション制御を実行する。
例えば、トラクション制御部11は、トラクション制御の実行要否を判定することに先立って、後述する車輪トルク制御部13からの要求等に応じて、第1判定閾値VT(例えば、第1ハイ側判定閾値VTH及び第1ロー側判定閾値VTL)の情報を車輪トルク制御部13に送信する。
【0023】
車輪トルク制御部13は、いわゆるAWD(All Wheel Drive)のように、車両の各車輪Wでのトルク伝達を制御する。車輪トルク制御部13は、例えば車両の加速、減速及び旋回等の各種の走行状態での前後左右の車輪Wのトルク配分を適正化して、所望の走行安定性を確保する。
例えば、車輪トルク制御部13は、車両の運転者のアクセル操作等によって運転者から要求されるトルクに応じて、複数の回転電機Mの各々に対して要求トルクを設定することによって、複数の車輪Wの各々に配分するトルクを制御する。車輪トルク制御部13は、フロントモータMFと、リヤモータMRとの各々に対して要求トルクを設定する。車輪トルク制御部13は、後述するフロントモータ制御部15及びリヤモータ制御部17の各々との通信によって、要求トルクの情報を送信する。
【0024】
例えば、車輪トルク制御部13は、車両の複数の車輪Wの少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、トルク配分制御の実行要否を判定する。車輪トルク制御部13は、主駆動輪の回転速度(車輪速Vw)と、車輪速Vwに対して設定される所定の判定閾値(第2判定閾値VA)との比較結果に応じて、トルク配分制御の実行要否を判定する。例えば車両の加速時等の複数の回転電機Mの力行動作時又は車両の減速時等の複数の回転電機Mの回生動作時において、車輪トルク制御部13は、主駆動輪である左右の前輪WFの車輪速Vwが所定の第2判定閾値VAを超えるか否かを判定する。車輪トルク制御部13は、回転電機Mの力行動作時に車輪速Vwが第2ハイ側判定閾値VAHよりも大きいか否か又は回転電機Mの回生動作時に車輪速Vwが第2ロー側判定閾値VALよりも小さいか否かを判定する。
【0025】
例えば、車輪トルク制御部13は、空転状態である前輪WFの車輪速Vwが所定の第2判定閾値VAを超える場合にトルク配分制御を実行し、前輪WFの車輪速Vwが所定の第2判定閾値VAを超えない場合にトルク配分制御の実行を停止する。車輪トルク制御部13は、相対的に大きなトルクを担う主駆動輪である前輪WFに配分されるトルクを低減するとともに、相対的に小さなトルクを担う副駆動輪である後輪WRに配分されるトルクを増大させるように各回転電機Mの要求トルクを設定することによって、トルク配分制御を実行する。
【0026】
例えば、車輪トルク制御部13は、トルク配分制御の実行要否を判定することに先立って、トラクション制御部11に対する要求等に応じて、トラクション制御部11の第1判定閾値VT(例えば、第1ハイ側判定閾値VTH及び第1ロー側判定閾値VTL)の情報を取得する。車輪トルク制御部13は、例えば第1判定閾値VTと第2判定閾値VAとの大小比較の比較結果等に応じて、トラクション制御部11によるトラクション制御の実行開始タイミングは車輪トルク制御部13によるトルク配分制御の実行開始タイミングよりも早いか否かを判定する。車輪トルク制御部13は、回転電機Mの力行動作時に第1判定閾値VT(第1ハイ側判定閾値VTH)が第2判定閾値VA(第2ハイ側判定閾値VAH)よりも小さいか否かを判定する。車輪トルク制御部13は、回転電機Mの回生動作時に第1判定閾値VT(第1ロー側判定閾値VTL)が第2判定閾値VA(第2ロー側判定閾値VAL)よりも大きいか否かを判定する。
【0027】
例えば、車輪トルク制御部13は、トラクション制御の実行開始タイミングがトルク配分制御の実行開始タイミングよりも早いと判定した場合、第1判定閾値VTに応じて第2判定閾値VAを変更することによって、トルク配分制御の実行開始タイミングをトラクション制御の実行開始タイミングをよりも早める。車輪トルク制御部13は、回転電機Mの力行動作時に第1判定閾値VT(第1ハイ側判定閾値VTH)に所定定数k(0<k<1)を乗算して得られる値(=k×VTH)を、新たに第2判定閾値VA(第2ハイ側判定閾値VAH)として設定する。車輪トルク制御部13は、回転電機Mの回生動作時に第1判定閾値VT(第1ロー側判定閾値VTL)に所定定数j(1<j)を乗算して得られる値(=j×VTL)を、新たに第2判定閾値VA(第2ロー側判定閾値VAL)として設定する。
なお、車輪トルク制御部13は、トラクション制御の実行開始タイミングがトルク配分制御の実行開始タイミングよりも早いと判定しなかった場合、第2判定閾値VAを変更せずに維持する。
【0028】
フロントモータ制御部15及びリヤモータ制御部17の各々は、例えば、車両に搭載された蓄電装置等の電源に接続される電力変換装置を備える。各モータ制御部15,17は、例えば複数のスイッチング素子等によって構成される電力変換装置を介して、フロントモータMF及びリヤモータMRの各々の電力授受を制御する。各モータ制御部15,17は、回転電機M(各モータMF,MR)の力行動作時には、回転電機Mの3相のステータ巻線への通電を順次転流させることによって回転駆動力を発生させる。各モータ制御部15,17は、回転電機M(各モータMF,MR)の回生動作時には、回転電機Mの回転に同期がとられた各相のスイッチング動作によって、3相のステータ巻線から入力される3相交流電力を直流電力に変換する。
各モータ制御部15,17は、トラクション制御部11から入力される目標回転数と、車輪トルク制御部13から入力される要求トルクと、各種のセンサから入力される検出値とに基づき、回転数及びトルクに対するフィードバック制御を実行する。
【0029】
メータ19は、車両に搭載される報知装置の一部である。メータ19は、各制御部11,13,15,17から入力される指令信号等に応じて各種の情報を報知する。例えば、メータ19は、トラクション制御部11によるトラクション制御の作動中又は停止中を灯体の点滅等の動作によって報知する。
【0030】
以下に、実施形態での電動車両制御システム10の動作例について説明する。
図2は、実施形態の電動車両制御システム10での車両加速時の車輪トルク制御部13の動作を示すフローチャートである。
図2に示すように、例えば車両加速時において、先ず、車輪トルク制御部13は、運転者のアクセル操作量等に基づいて車両の駆動力が増大したか否かを判定する(ステップS01)。
この判定結果が「NO」の場合、車輪トルク制御部13は処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車輪トルク制御部13は処理をステップS02に進める。
次に、車輪トルク制御部13は、トラクション制御部11から第1判定閾値VTを取得する(ステップS02)。
【0031】
次に、車輪トルク制御部13は、第1判定閾値VTと第2判定閾値VAとの大小比較等によって、トラクション制御部11によるトラクション制御(TCS制御)の実行開始タイミングは車輪トルク制御部13によるトルク配分制御(AWD制御)の実行開始タイミングよりも早いか否かを判定する(ステップS03)。
この判定結果が「NO」の場合、車輪トルク制御部13は処理をステップS05に進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車輪トルク制御部13は処理をステップS04に進める。
次に、車輪トルク制御部13は、第1判定閾値VTに所定定数k(0<k<1)を乗算して得られる値(=k×VT)を、新たに第2判定閾値VAとして設定する(ステップS04)。
【0032】
次に、車輪トルク制御部13は、トルク配分制御(AWD制御)の実行要否を判定するAWD側スリップ判定を実行する(ステップS05)。例えば、車輪トルク制御部13は、主駆動輪である前輪WFが空転状態であるとともに、主駆動輪である前輪WFの車輪速Vwが第2判定閾値VAよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、車輪トルク制御部13は処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車輪トルク制御部13は処理をステップS06に進める。
【0033】
次に、車輪トルク制御部13は、複数の車輪Wでのトルク配分(AWD配分)の変更が可能であるか否かを判定する(ステップS06)。例えば、車輪トルク制御部13は、主駆動輪である前輪WFに配分されるトルクを低減するとともに、副駆動輪である後輪WRに配分されるトルクを増大させることが、各回転電機Mの出力制限の範囲内で可能であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、車輪トルク制御部13は処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車輪トルク制御部13は処理をステップS07に進める。
次に、車輪トルク制御部13は、トルク配分制御(AWD制御)を実行する(ステップS07)。例えば、車輪トルク制御部13は、車両の総合的な駆動力を維持しつつ、主駆動輪である前輪WFに配分されるトルクを低減するとともに、副駆動輪である後輪WRに配分されるトルクを増大させる。
【0034】
次に、車輪トルク制御部13は、トルク配分制御(AWD制御)の実行停止要否を判定するスリップ解消判定を実行する(ステップS08)。例えば、車輪トルク制御部13は、主駆動輪である前輪WFの車輪速Vwが第2判定閾値VA以下となって、主駆動輪である前輪WFの空転状態が解消されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、車輪トルク制御部13は処理を上述したステップS06に戻す。
一方、この判定結果が「YES」の場合、車輪トルク制御部13は処理をエンドに進める。
【0035】
図3は、実施形態の電動車両制御システム10での車両加速時のトラクション制御部11の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、例えば車両加速時において、先ず、トラクション制御部11は、運転者のアクセル操作量等に基づいて車両の駆動力が増大したか否かを判定する(ステップS11)。
この判定結果が「NO」の場合、トラクション制御部11は処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、トラクション制御部11は処理をステップS12に進める。
次に、トラクション制御部11は、第1判定閾値VTの情報を車輪トルク制御部13に出力する(ステップS12)。
【0036】
次に、トラクション制御部11は、トラクション制御(TCS制御)の実行要否を判定するTCS側スリップ判定を実行する(ステップS13)。例えば、トラクション制御部11は、主駆動輪である前輪WFが空転状態であるとともに、主駆動輪である前輪WFの車輪速Vwが第1判定閾値VTよりも大きいか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、トラクション制御部11は処理をエンドに進める。
一方、この判定結果が「YES」の場合、トラクション制御部11は処理をステップS14に進める。
【0037】
次に、トラクション制御部11は、トラクション制御(TCS制御)を実行する(ステップS14)。例えば、トラクション制御部11は、複数の車輪Wの総合的な駆動力を低減する。
【0038】
次に、トラクション制御部11は、トラクション制御(TCS制御)の実行停止要否を判定するスリップ解消判定を実行する(ステップS15)。例えば、トラクション制御部11は、主駆動輪である前輪WFの車輪速Vwが第1判定閾値VT以下となって、主駆動輪である前輪WFの空転状態が解消されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合、トラクション制御部11は処理を上述したステップS14に戻す。
一方、この判定結果が「YES」の場合、トラクション制御部11は処理をエンドに進める。
【0039】
図4及び
図5は、実施形態の電動車両制御システム10での車両加速時おける車体速Vb、主駆動輪である前輪WFの車輪速Vw、第1判定閾値VT及び第2判定閾値VAと、フロント駆動力と、リヤ駆動力と、加速度との時間変化の対応関係の例を示すグラフ図である。
図4及び
図5に示すように、駆動力の増大に伴う車両加速時に主駆動輪である前輪WFの車輪速Vwが車体速Vbを超えて増大すると前輪WFの空転状態となる。
図4に示すように、増大傾向に変化する前輪WFの車輪速Vwに対して、トラクション制御部11によって設定される第1判定閾値VTが車輪トルク制御部13によって設定される第2判定閾値VAよりも大きい場合、トラクション制御(TCS制御)の実行開始タイミングはトルク配分制御(AWD制御)の実行開始タイミングよりも遅くなる。例えば、加速度の一定状態で車輪速Vwが車体速Vbよりも大きくなる時刻t1の後、先ず、車輪速Vwが第2判定閾値VAよりも大きくなる時刻t2以降においてトルク配分制御(AWD制御)の実行が開始される。トルク配分制御(AWD制御)によって、車両の総合的な駆動力は維持されつつ、主駆動輪である前輪WFのトルク(フロント駆動力)は低減されるとともに、副駆動輪である後輪WRのトルク(リヤ駆動力)は増大させられる。この状態で前輪WFの空転状態が解消される場合、副駆動輪である後輪WRのトラクションの有効活用によって、車両の総合的な駆動力の低下は抑制される。これにより、前輪WFの空転に伴って時刻t1以降で低下した加速度は、トルク配分制御(AWD制御)によって時刻t2以降で回復させられる。一方、前輪WFの空転状態が解消されない場合、次に、車輪速Vwが第1判定閾値VTよりも大きくなる時刻t3以降においてトラクション制御(TCS制御)の実行が開始される。トラクション制御(TCS制御)によって、主駆動輪である前輪WFのトルク(フロント駆動力)は低減されることに伴い、車両の総合的な駆動力は低減される。トラクション制御(TCS制御)によって前輪WFの空転状態が解消される場合、時刻t3以降において加速度は維持される。
【0040】
図5に示すように、トラクション制御部11によって設定される第1判定閾値VTが車輪トルク制御部13によって設定される第2判定閾値VAよりも小さい場合、トラクション制御(TCS制御)の実行開始タイミングはトルク配分制御(AWD制御)の実行開始タイミングよりも早くなる。この状態でトラクション制御(TCS制御)がトルク配分制御(AWD制御)に先立って実行開始されると、副駆動輪である後輪WRのトラクションの有効活用無しに、車両の総合的な駆動力は低下する。例えば、加速度の一定状態で車輪速Vwが車体速Vbよりも大きくなる時刻t11の後、一点鎖線で示すように、先ず、車輪速Vwが第1判定閾値VTよりも大きくなる時刻t13以降においてトラクション制御(TCS制御)の実行が開始される。トラクション制御(TCS制御)によって、副駆動輪である後輪WRのトルク(リヤ駆動力)は一定に維持されつつ、主駆動輪である前輪WFのトルク(フロント駆動力)は低減されることに伴い、車両の総合的な駆動力は低減される。この状態で前輪WFの空転状態が解消される場合、トルク配分制御(AWD制御)は実行されない。これにより、前輪WFの空転に伴って時刻t11以降で低下した加速度は、一点鎖線で示すように、時刻t13以降でトラクション制御(TCS制御)によって回復しないまま維持される。
【0041】
したがって、
図5に示すように、第1判定閾値VTが初期的な第2判定閾値VA(=VA0)よりも小さい場合、初期的な第2判定閾値VA(=VA0)は、第1判定閾値VT及び所定定数k(0<k<1)に応じて、第1判定閾値VTよりも小さい新たな第2判定閾値VAに変更される。これにより、実線で示すように、先ず、車輪速Vwが新たな第2判定閾値VAよりも大きくなる時刻t12以降においてトルク配分制御(AWD制御)の実行が開始される。トルク配分制御(AWD制御)によって、車両の総合的な駆動力は維持されつつ、主駆動輪である前輪WFのトルク(フロント駆動力)は低減されるとともに、副駆動輪である後輪WRのトルク(リヤ駆動力)は増大させられる。前輪WFの空転に伴って時刻t11以降で低下した加速度は、トルク配分制御(AWD制御)によって時刻t12以降で回復させられる。
【0042】
図6は、実施形態の電動車両制御システム10での車両加速時おけるAWD処理及びTCS処理に応じた前輪WF及び後輪WRの駆動力の変化の例を示す図である。
図6に示す状態(a)は、例えば車両加速時に主駆動輪の前輪WFに空転が発生した状態であって、車両の総合的な駆動力(総駆動力)は所定値Pに応じた適宜の総駆動力(=4P)である。状態(a)での総駆動力(=4P)は、例えば、前輪WFの適宜の駆動力(=3P)と後輪WRの適宜の駆動力(=1P)とに配分されている。主駆動輪の前輪WFに空転が発生した状態(a)では、上述したように、先ず、AWD処理によってトルク配分制御(AWD制御)が実行される。
【0043】
状態(b1)は、トルク配分制御(AWD制御)によって、前輪WFの駆動力の一部(=1P)が後輪WRの駆動力に移動させられることによって、前輪WFの空転が解消された状態である。状態(b1)での総駆動力(=4P)は、状態(a)から変化せず、例えば、前輪WFの駆動力(=2P)と後輪WRの駆動力(=2P)とに配分されている。
【0044】
一方、状態(b2)は、トルク配分制御(AWD制御)によって、前輪WFの駆動力の一部(=0.5P)が後輪WRの駆動力に移動させられることによって、前輪WFの空転が解消しない状態である。状態(b2)での総駆動力(=4P)は、状態(a)から変化せず、例えば、前輪WFの駆動力(=2.5P)と後輪WRの駆動力(=1.5P)とに配分されている。トルク配分制御(AWD制御)の実行後に前輪WFの空転が継続する状態(b2)では、上述したように、次に、TCS処理によってトラクション制御(TCS制御)が実行される。
【0045】
状態(c)は、トラクション制御(TCS制御)によって、前輪WFの駆動力が低減されることに伴い、総駆動力が低減されることによって、前輪WFの空転が解消された状態である。状態(c)での総駆動力(=3.5P)は、状態(a)及び状態(b2)の総駆動力(=4P)から低減され、例えば、前輪WFの駆動力(=2P)と後輪WRの駆動力(=1.5P)とに配分されている。
【0046】
上述したように、実施形態の電動車両制御システム10によれば、車輪トルク制御部13の動作をトラクション制御部11の動作よりも優先させることによって、例えば所望のトラクションを確保するためにトルクを低減する可能性があるトラクション制御部11の動作を抑制することができる。車両の総合的なトルクを低減せずに各車輪Wのトルクを制御することができる車輪トルク制御部13の優先によって、加速度又は減速度の低下及び車両挙動の不安定化を抑制しながらスリップ状態を適正に解消することができる。
【0047】
各回転電機Mに個別に各モータ制御部15,17を備えることによって、各回転電機Mの制御に要する時間を短縮することができる。
第2判定閾値VAを第1判定閾値VTに応じて変更することによって、トラクション制御部11の動作を変更せずに、車輪トルク制御部13の動作を優先させることができる。車輪トルク制御部13の動作を変更するだけで車輪トルク制御部13をトラクション制御部11よりも優先させることができるので、既存のシステムの変更に要する手間が煩雑になることを抑制することができる。
車輪トルク制御部13は、車両の総合的なトルクを低減せずに各車輪Wのトルク配分を変更することによってスリップ状態を解消することができる。
【0048】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。なお、上述した実施形態と同一部分については、同一符号を付して説明を省略又は簡略化する。
上述した実施形態では、車輪トルク制御部13は、トラクション制御の実行開始タイミングがトルク配分制御の実行開始タイミングよりも早いと判定した場合、第1判定閾値VTに応じて第2判定閾値VAを変更するとしたが、これに限定されない。例えば、第1判定閾値VTに応じて第2判定閾値VAが変更されることに伴い、各モータ制御部15,17のフィードバック制御のゲインが変更されてもよい。フィードバック制御のゲインが変更されることによって、制御精度の向上が可能となる。
【0049】
上述した実施形態では、
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6に示す車両加速時の動作について説明したが、これに限定されず、例えば車両減速時及び回転電機Mの回生動作時において、車輪トルク制御部13の動作をトラクション制御部11の動作よりも優先させてもよい。
上述した実施形態では、車両の前輪WFと後輪WRとの間で空転状態が異なる場合について説明したが、これに限定されず、例えば車両の右輪と左輪との間で空転状態が異なる場合に対して、車輪トルク制御部13の動作をトラクション制御部11の動作よりも優先させてもよい。
【0050】
上述した実施形態では、車両は、左右の前輪WFに接続されるフロントモータMFと、左右の後輪WRに接続されるリヤモータMRとを備えるとしたが、これに限定されない。例えば、各車輪Wに個別に回転電機Mを備えてもよいし、複数の車輪Wの適宜の組み合わせの各々に対して個別に回転電機Mを備えてもよい。
【0051】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
10…電動車両制御システム、11…トラクション制御部(第1制御部)、13…車輪トルク制御部(第2制御部)、15…フロントモータ制御部、17…リヤモータ制御部、19…メータ、M…回転電機、MF…フロントモータ、MR…リヤモータ、W…車輪、WF…前輪、WR…後輪。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪の各々のトラクションを制御する第1制御部と、
前記複数の車輪との間でトルクを授受する複数の回転電機の各々に対して要求トルクを設定することによって、前記複数の車輪の各々のトルクを制御する第2制御部と、
前記第1制御部及び前記第2制御部の各々から入力される指令に応じて、前記複数の回転電機の各々の動作を制御する複数の回転電機制御部と、
前記複数の車輪の少なくともいずれか1つの空転状態に応じて、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させる協調制御部とを備え、
前記協調制御部は、前記第2制御部である
電動車両制御システム。
【請求項2】
前記複数の回転電機制御部の各々は、個別に、前記複数の回転電機の各々に対応して設けられる
請求項1に記載の電動車両制御システム。
【請求項3】
前記協調制御部は、
前記空転状態に対して前記第2制御部の作動要否を判定する第2判定閾値を、前記空転状態に対して前記第1制御部の作動要否を判定する第1判定閾値に応じて変更することによって、前記第2制御部の動作を相対的に前記第1制御部の動作よりも優先させる請求項1又は請求項2に記載の電動車両制御システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記複数の回転電機の各々に対して目標回転数を設定することによって、前記複数の車輪の各々のトラクションを制御し、
前記第2制御部は、運転者から要求されるトルクに応じて前記複数の車輪に分配するトルクを設定する
請求項3に記載の電動車両制御システム。