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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152294
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】健康状態推定システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20241018BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01K29/00 B
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066406
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】520336470
【氏名又は名称】株式会社ミグラトリア
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】寄崎 理真
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB08
2G059EE13
2G059FF01
2G059KK04
2G059KK10
2G059MM01
2G059MM05
2G059MM17
(57)【要約】
【課題】測定対象物の排泄物を基に測定対象物の健康状態を推定するために必要な解析を行うとともに、解析結果を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザの定量的な評価による効果的な二次予防の実行を可能とし、医療関係機関とも解析結果を共有することができる。
【解決手段】測定対象物の排泄物を撮影する撮影装置1と、撮影装置1で撮影された測定対象物の排泄物が写る排泄物画像のデータを基に測定対象物の健康状態を推定する情報を取得する解析サーバ4と、を備え、解析サーバ4は、排泄物画像のデータを取得するデータ取得部41と、排泄物画像のデータを基に排泄物の情報を抽出する画像情報抽出部42と、抽出された排泄物の情報を基に、測定対象物の健康状態を評価するために用いる情報の解析を行う情報解析部43と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の排泄物を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された前記測定対象物の排泄物が写る排泄物画像のデータを基に前記測定対象物の健康状態を推定する情報を取得する解析サーバと、を備え、
前記解析サーバは、
前記排泄物画像のデータを取得するデータ取得部と、
前記排泄物画像のデータを基に前記排泄物の情報を抽出する画像情報抽出部と、
抽出された前記排泄物の情報を基に、前記測定対象物の健康状態を評価するために用いる情報の解析を行う情報解析部と、
を備えることを特徴とする健康状態推定システム。
【請求項2】
前記画像情報抽出部は、前記測定対象物が飼育される空間の床面において、前記排泄物が写っていないベース画像と前記測定対象物が排泄して前記床面に前記排泄物が写る前記排泄物画像との差分から前記排泄物を検知し、検知された前記排泄物を含む検知後排泄物画像と前記ベース画像とを用いて前記排泄物を抽出し、前記排泄物から尿成分と便成分とを分離することを特徴とする請求項1に記載の健康状態推定システム。
【請求項3】
前記情報解析部は、前記画像情報抽出部が抽出した前記排泄物の尿成分に関する画像情報と前記便成分に関する画像情報を基に、前記尿成分、前記便成分の両方、或いは、一方の色の解析、前記便成分の形状の解析、前記尿成分に対する前記便成分の比率の解析、の少なくとも1つの解析処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の健康状態推定システム。
【請求項4】
前記情報解析部により実行された前記解析の結果を、前記測定対象物を飼育するユーザ、或いは、医療関係機関に提示する解析結果としてまとめ、前記ユーザ、或いは、医療関係機関に対して通知する解析結果通知部を備えることを特徴とする請求項1に記載の健康状態推定システム。
【請求項5】
前記解析結果においては、解析の対象となった検知された前記排泄物を含む検知後排泄物画像が表示され、前記ユーザは前記検知後排泄物画像を基に検知された前記排泄物の解析範囲を変更し、新たな解析範囲を設定して改めて解析処理の実行を指示するボタンが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の健康状態推定システム。
【請求項6】
前記解析結果通知部は、前記情報解析部が実行した前記解析処理の結果のうち、少なくとも1つの前記解析処理の結果を前記解析結果にまとめることを特徴とする請求項4に記載の健康状態推定システム。
【請求項7】
前記解析結果通知部は、前記解析結果を前記ユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置によって取得される前記測定対象物に関する生体情報、前記測定対象物に対する診療情報の両方、或いは、いずれか一方の情報との紐付けを実行することを請求項4に記載の健康状態推定システム。
【請求項8】
前記撮影装置は、前記測定対象物が飼育されるケージに取り付けられる前記測定対象物を飼育するユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置に付属する装置、前記ケージの床面を撮影するために設けられる装置、或いは、前記ユーザが使用する情報端末に付属する装置の何れかであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の健康状態推定システム。
【請求項9】
前記撮影装置が、前記測定装置に付属する装置であり前記ケージに取り付けられた場合に、前記ケージの設置面から鉛直方向上方に配置される撮像装置と、前記撮像装置の向きを変更する角度調整部材と、を備えることを特徴とする請求項8に記載の健康状態推定システム。
【請求項10】
前記撮影装置は、さらに、前記撮像装置の光路上に配置され、前記撮影装置が前記ケージの側面に配置された際に、前記鉛直方向と直交する方向の撮影を可能とする可動ミラーを備えることを特徴とする請求項9に記載の健康状態推定システム。
【請求項11】
前記撮影装置は、前記撮像装置のレンズが汚れることを保護する保護部材を備えることを特徴とする請求項9に記載の健康状態推定システム。
【請求項12】
前記保護部材は、前記撮影装置の筐体の一部であって前記撮像装置の光路上が透明な部材で形成されていることを特徴とする請求項11に記載の健康状態推定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、健康状態推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子高齢化社会を背景に室内でのみ飼育できるペットのニーズが高まっている。室内飼育ペットの対象は、主なものとして猫やウサギ、モルモット、或いは、鳥を挙げることができる。特に小鳥は飼育が容易であり、多くの人が小鳥をペットとして選んでいる。しかし小鳥は小さく繊細なため、病気の発見が遅れると致命的となる。
【0003】
そのために、如何に病気を予防、或いは、早期発見できるように飼育するか、という、いわゆる予防医学の観点が必要となる。この予防医学に基づいた飼育が行われることによって、鳥の救命率を向上させ、寿命を延ばすことができる。
【0004】
予防医学は、3つの段階で実施されることが想定されている。一次予防は、栄養管理や適度な運動を行うことで病気にならないようにする。二次予防は、日常における状態変化を把握し、定期的に健康診断を行うことで、病気の早期発見、早期治療を促す。そして三次予防は、投薬治療やリハビリテーションといった、既に罹病した場合において病気の進行を止める、或いは、軽減するものである。
【0005】
これをペットである、例えば、鳥に当てはめると、一次予防は飼育環境の管理、体重測定に基づいた食事量の管理、鳥に合わせた規則正しい生活を行わせることで病気になりにくい体にすることである。二次予防は、日頃の体重管理や排泄物の様態変化を把握することや動物病院での健康診断を行うことで病気の早期発見をすることである。すなわち、日頃の体重管理や排泄物の様態変化を把握することで病気の徴候を発見することである。さらに三次予防としては、動物病院での治療が該当する。
【0006】
予防医学の観点において、動物病院が関与する処置は、獣医師等、いわば専門家が関与する部分であり、概ね適切な処置が行われる。一方、特に一次予防や二次予防は、飼い主が主体的に行うものであり、対応が困難である場合もある。例えば、一次予防において食事の管理は、飼い主が与えるエサの量を調整する。但し、適切なエサの量は飼育する鳥によって異なり、また、日々の鳥の体調によっても異なってくるものである。そのため、日々適切な量のエサを与えることは大変である。
【0007】
また、二次予防として例えば、排泄物の変化を確認するにしても、飼い主が排泄物の見た目で判断することになり、再現性や精確性に欠ける。また、排泄物を見て正常、或いは、異常の判定を行うためには、飼い主に異常な排泄物についての知識が必要となる。さらに、排泄物の異常について動物病院に相談する場合には、飼い主から排泄物の提供を受けることも考えられるが、飼い主による排泄物のサンプリングが適切に行われないことも考えられる。
【0008】
排泄物を用いた二次予防の方法として、以下に示す特許文献1において、ペットの健康状態を判定する技術が開示されている。具体的には、ペットが使用するトイレに、尿に含まれる成分やpHによって、尿を吸収した後の色彩や形状を変化させる砂(回収体)を敷き詰めて、当該回収体を吸光度計やカメラ画像を用いて分析することで健康状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2023-020308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、例えば、トイレという概念が馴染む、例えば、犬や猫といったペットの場合は良いが、例えば、鳥については生物学的にトイレという概念を持たせることができないため、利用が困難である。
【0011】
また、上述したように特許文献1に開示された技術では、回収体に尿による変化を生じさせることを前提としているが、鳥の場合、このような回収体をついばむ可能性があり、却って健康障害を引き起こす可能性がある。
【0012】
さらに、鳥の場合は、尿成分と便成分とが混ざり合った状態で排泄されるため、尿と便とを別々に排泄する動物に関する健康状態の推定方法を用いることは必ずしも適切ではない。また鳥類は犬や猫といったほ乳類とは消化器官が異なることから、病状によって排泄物の態様が比較的大きく変化し、排泄物を直接見て健康状態を推定することができる。また尿量も少ないため、例えば、尿の特性により色や形状などの状態を変化させる吸着物を用いての尿の採取は難しい。
【0013】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、測定対象物の排泄物を基に測定対象物の健康状態を推定するために必要な解析を行うとともに、解析結果を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザの定量的な評価による効果的な二次予防の実行を可能とし、医療関係機関とも解析結果を共有することができる健康状態推定システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
実施の形態における健康状態推定システムは、測定対象物の排泄物を撮影する撮影装置と、撮影装置で撮影された測定対象物の排泄物が写る排泄物画像のデータを基に測定対象物の健康状態を推定する情報を取得する解析サーバと、を備え、解析サーバは、排泄物画像のデータを取得するデータ取得部と、排泄物画像のデータを基に排泄物の情報を抽出する画像情報抽出部と、抽出された排泄物の情報を基に、測定対象物の健康状態を評価するために用いる情報の解析を行う情報解析部と、を備える。
【0015】
また、解析サーバは、情報解析部により実行された解析の結果を、測定対象物を飼育するユーザ、或いは、医療関係機関に提示する解析結果としてまとめ、ユーザ、或いは、医療関係機関に対して通知する解析結果通知部を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明はこのような構成を採用したことから、測定対象物の排泄物を基に健康状態を推定するために必要な解析を行うとともに、解析結果を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザの定量的な評価による効果的な二次予防の実行を可能とし、医療関係機関とも解析結果を共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態における健康状態推定システムの全体構成を示す構成図である。
図2】本発明の実施の形態における測定装置をケージに取り付けた状態を示す全体図である。
図3】本発明の実施の形態における測定装置及び当該測定装置に付属する撮影装置をケージに取り付けた状態を示す全体図である。
図4】本発明の実施の形態における測定装置に付属する撮影装置の全体を示す外観斜視図である。
図5】本発明の実施の形態における測定装置に付属する撮影装置について、図4に示す撮影装置をM-M線で切断して示す断面図である。
図6】本発明の実施の形態における測定装置の内部構成を示すブロック図である。
図7】本発明の実施の形態における解析サーバの内部構成を示すブロック図である。
図8】本発明の実施の形態における解析サーバの画像情報抽出部において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図である。
図9】本発明の実施の形態における解析サーバの画像情報抽出部において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図である。
図10】本発明の実施の形態における解析サーバの画像情報抽出部において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図である。
図11】本発明の実施の形態における解析サーバの情報解析部において実行されて得られた解析結果の一部について説明する説明図である。
図12】本発明の実施の形態における解析サーバの解析結果通知部においてまとめられた解析結果を示す画面の一例を示す画面例である。
図13】本発明の実施の形態における健康状態推定システムにおいて実行される処理のうち、測定対象物の排泄物が写る排泄物画像の取得の流れの一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の実施の形態における健康状態推定システムにおいて実行される処理のうち、取得された排泄物画像を用いた解析の流れの一例を示すフローチャートである。
図15】本発明の実施の形態における健康状態推定システムにおいて解析結果がまとめられる処理の流れを示すフローチャートである。
図16】本発明の実施の形態における健康状態推定システムにおいて実行される処理のうち、測定対象物の排泄物が写る排泄物画像の取得の流れの別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
[健康状態推定システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSの全体構成を示す構成図である。健康状態推定システムSは、例えば、インターネット等の情報通信ネットワークNに健康状態推定システムSを構成する各機器が接続されることによって構成される。
【0020】
このように、図1における情報通信ネットワークNに接続される健康状態推定システムSは、測定装置11、webカメラ12、及び、測定対象物である動物(ペット)を飼育する者(以下、このような者を適宜「ユーザ」と表す)が利用する情報端末13が備える様々な形態の撮影装置(以下、これらの各機器が備える撮影装置についてまとめて表す場合には、適宜「撮影装置1」と表す。)、データベース2、webサーバ3、解析サーバ4、医用情報端末5と、を備えている。
【0021】
撮影装置1は、例えば、飼育されている測定対象物であるペットの状態や、当該ペットの排泄物を撮影する装置である。以下では、撮影装置1は、排泄物を撮影対象とする場合を挙げて説明する。また、撮影装置1の内部構成についての詳細については後述する。
【0022】
なお本発明の実施の形態においては、撮影装置は、例えば、webカメラ12のように、単体で用いられ、機能的に撮像装置そのものである場合や、後述する、測定装置11やユーザが使用する情報端末13に付属する装置として存在する場合も考えられる。このように撮影装置1は、様々な形態が考えられる。
【0023】
すなわち、ここでの撮影装置1は、実際に撮影機器であるカメラ等の撮像装置そのものを指す場合がある。また、撮像装置を含む、撮像装置が撮影対象を撮影するに必要な装置や撮像装置によって撮影されたデータを撮像装置の外部に取り出す際に用いられる機器等も含む概念として取り扱われる場合もある。
【0024】
データベース2は、撮影装置1によって撮影された排泄物画像のデータが格納される。排泄物画像のデータには、例えば、撮影した日付や時間、或いは、撮影機器のID等、当該排泄物画像のデータを一意に特定することが可能な識別子が付けられている。
【0025】
そのためデータベース2では、受信した排泄物画像のデータを、例えば、撮影装置1ごとや時系列に格納しておくことが可能である。なお、データベース2の構成や格納の方法等については、どのような仕組みであっても良い。
【0026】
webサーバ3は、例えば、ユーザが情報端末13を操作して排泄物の写真を撮り、データベース2に格納されるまでの間において、様々な処理を実行する。具体的には、ユーザが排泄物画像のデータをデータベース2に送信するに当たって、webサーバ3にアクセスする。webサーバ3には、例えば、排泄物画像を基にした解析処理を依頼することができる画面が設けられており、ユーザは当該画面での指示に従って、webサーバ3に排泄物画像のデータをアップロードする。
【0027】
ユーザは当該画面において撮影してアップロードした排泄物画像の中から解析する領域を指定する。ユーザによる指定が完了すると、webサーバ3では、例えば、画素数や記録方式等の画像形式(フォーマット)を統一する処理を行う。これは、フォーマットを統一しておくことで、様々な形態の撮影装置1で撮影された排泄物画像を後述する解析サーバ4において正確、画一的な抽出、解析処理を実行するためである。その上で、webサーバ3からデータベース2に排泄物画像のデータ、後述するようにユーザが解析対象とする排泄物を指定した場合には、その範囲を示す座標情報を送信する。
【0028】
なお、ここではユーザの情報端末13から排泄物画像のデータがアップロードされた場合を例に挙げて説明したが、例えば、測定装置11に付属する撮影装置1、或いは、webカメラ12で取得された排泄物画像のデータについても、一旦webサーバ3に送信され、画像形式の統一がなされた後、データベース2に排泄物画像のデータが送信される。
【0029】
解析サーバ4は、撮影装置1によって撮影された排泄物画像のデータを基に、排泄物の色や尿成分及び便成分の面積比、或いは、便の形状について解析を行い、測定対象物である鳥の健康状態を推定するのに資する解析結果を算出する。なお、解析サーバ4の内部構成、解析処理の方法についての詳細については後述する。
【0030】
医用情報端末5は、例えば、獣医師や動物病院(以下、これらをまとめて「医療関係機関」と表す。)が利用する情報端末である。医用情報端末5は、例えば、医療関係機関が測定対象物についての情報を入力し、或いは、解析サーバ4によって解析された当該測定対象物に関する健康状態に関する情報を取得し表示させるために用いられる。
【0031】
なお医療関係機関が医用情報端末5を用いてデータベース2にアクセスして解析結果を参照する場合、例えば、測定装置11や撮影装置1等の識別IDを入力することによって所望の解析結果を参照することができる。
【0032】
なお、図1においては、情報通信ネットワークNには、撮影装置1データベース2、webサーバ3、解析サーバ4、医用情報端末5が接続された状態が示されているが、これらの各機器以外の機器が接続されていても構わない。また、図1に示す健康状態推定システムSにおいては、健康状態推定システムSを構成する各機器について情報通信ネットワークNにいずれも1つのみが接続された状態が示されているが、それぞれの機器について情報通信ネットワークNに接続される数は、単数であっても複数であっても良い。
【0033】
また、図1に示す健康状態推定システムSでは、情報端末13以外の各機器は、それぞれ情報通信ネットワークNとの間を実線でつないで示されている。これは、測定装置11やデータベース2等がそれぞれ有線で情報通信ネットワークNに接続されていることを示している。一方、情報端末13については、情報通信ネットワークNに無線で接続されている状態が示されている。但し情報通信ネットワークNに接続される各機器の接続態様については、有線であっても無線であっても良い。
【0034】
さらに、ユーザが使用する情報端末13や医用情報端末5は、スマートフォン等の携帯情報端末、或いは、パーソナルコンピュータ等の機器である。従って、これらの機器については、少なくてもユーザや医療関係機関が情報を入力することができる入力部、推定された健康状態等、様々な情報を閲覧することができる表示部、及び、情報通信ネットワークNを介して情報をやり取りすることができる通信制御部が備えられていれば、その他の構成については任意である。従って、これらの機器に関する詳細な内部構成については、ここではその説明を省略する。
【0035】
[撮影装置1の構成]
次に、撮影装置1の構成について適宜図面を用いて説明する。ここで図1に示すように、本発明の実施の形態における撮影装置1としては、上述したように、測定装置11に付属する装置である場合、webカメラ12、及び、情報端末13に付属する装置である場合の種々の態様が考えられる。
【0036】
そこでまず、撮影装置1が測定装置11に付属する装置である場合を例に挙げて説明する。ここで測定装置11は、例えば、ケージ等に取り付けられて用いられるとともに、恒温動物、変温動物等、その測定対象物を限定せずに利用することができる。
【0037】
なおこのように本発明の実施の形態における測定装置11では、様々な動物を測定対象物とすることができるが、以下においては、測定対象物として鳥を例に挙げて説明する。また、撮影装置1が撮影する対象は、主に測定対象物である鳥の排泄物である。
【0038】
またここでは測定装置11に付属する撮影装置1がケージに取り付けられた状態を例に挙げて説明するが、後述するwebカメラ12や情報端末13も含めて、撮影装置1は測定対象物が飼育される空間に設置することが可能とされている。従って、「ケージ」は「空間」の一例であり、ケージの大きさも個人が鳥を飼育する場合に、例えば、家の中で用いるケージもあれば、例えば、養鶏場で大量に鳥を飼育する場合も含まれる。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態における測定装置11をケージCに取り付けた状態を示す全体図である。図2では、ケージCを正面に見た場合にケージCの左側面に測定装置11が取り付けられた状態を示している。
【0040】
本発明の実施の形態における測定装置11は、例えば、鳥が止まり木に止まった際にその鳥の体重を測定することができるようにされている。そのため、鳥が止まりやすいように止まり木がケージC内に配置されている。つまり図2に示す測定装置11は止まり木を備え、ケージCの格子にフックFとラッチLとを用いて当該止まり木がケージC内に配置されるようにケージCの側面に取り付けられる。
【0041】
そして上述したように、ここで説明している撮影装置1は、測定装置11に付属する装置であるが、図2においては測定装置11の内部に撮影装置1が収容されている。そして、その全体が測定装置11の内部に収容される撮像装置は図2において見えていないが、後述する撮像装置の向きを変更する角度調整部材1cや可動ミラー1dが測定装置11の外部に突出して見えている。
【0042】
一方、図2に示す測定装置11のように、その内部に収容されている撮影装置1を外部に出して、例えば、ケージCの上面に取り付けることも可能である。この状態が図3に示されている。図3は、本発明の実施の形態における測定装置11及び当該測定装置11に付属する撮影装置1をケージCに取り付けた状態を示す全体図である。
【0043】
図3に示す撮影装置1は、測定装置11に付属しているがその内部には収容されず、別体として構成されてケージCの上部に取り付けられている。図3に示す撮影装置1は、撮像装置によって撮影された排泄物画像のデータを測定装置11を介してデータベース2へと送信する。
【0044】
このように測定装置11に付属する装置としての撮影装置1の他、上述したように、撮影装置1としては、例えば、webカメラ12が挙げられる。このwebカメラ12は、例えば、撮像装置としての機能に特化した機器であり、情報通信ネットワークNに接続されている。或いは、スマートフォン等の携帯情報端末をwebカメラ12として利用しても良い。このようなwebカメラ12の場合、撮影した排泄物画像のデータは、直接情報通信ネットワークNを介してデータベース2へと送信する。
【0045】
但し、当該webカメラ12を測定装置11に接続して用いることを排除するものではない。上述したように撮影装置1が測定装置11に付属する装置として構成されている場合は不要であるが、例えば、この撮影装置1が故障した場合等に、代わりにwebカメラ12を測定装置11に接続して使用することができる。
【0046】
また、ユーザが使用する情報端末13に付属するカメラを撮影装置1として利用することもできる。情報端末13としては、例えば、スマートフォンやタブレット等の端末が想定されるが、これらの端末には多くの場合カメラが付属している。そこでユーザが当該情報端末13を撮影装置1として使用し、鳥の排泄物が写った画像を撮影することができる。
【0047】
なおこのようにユーザが情報端末13を利用して排泄物画像を撮影した場合には、そのデータは情報通信ネットワークNを介してデータベース2へと送信される。但し、この際のデータベース2への送信の方法については、撮影装置1が上述した測定装置11に付属する装置である場合やwebカメラ12の場合と異なる方法を想定している。この点については、後述する。
【0048】
次に、撮影装置1の構成について、撮影装置1が測定装置11に付属する装置である場合を例に挙げて説明する。図4は、本発明の実施の形態における測定装置11に付属する撮影装置1の全体を示す外観斜視図である。また図5は、本発明の実施の形態における測定装置11に付属する撮影装置1について、図4に示す撮影装置1をM-M線で切断して示す断面図である。
【0049】
図4図5に示す撮影装置1は、直方体形状の筐体1aを備えている。筐体1aの内部には、撮像装置1bが配置されている。本発明の実施の形態における健康状態推定システムSでは、鳥の排泄物を基に鳥の健康状態の推定に資する情報を取得、解析してユーザ等に提示する。そして当該排泄物の画像は、撮像装置1bによって取得される。
【0050】
そのため、ケージCの内部において排泄物が最も溜まると考えられるケージCの床面を確実に撮影することができるように、ここでは、例えば、撮影装置1がケージCの上面に配置されることを想定して、ケージCの設置面から鉛直方向上方に配置されている。
【0051】
このように、ケージCの設置面から鉛直方向上方に当該撮像装置1bが配置されることによって、止まり木に止まった鳥が床面に排泄した排泄物を概ね漏れなく撮影することができる。
【0052】
一方、例えば図2に示したように、測定装置11の内部に撮影装置1が収容されている場合や、測定装置11に並んで撮影装置1が配置される場合、撮影装置1はケージCの側面に取り付けられることになる。この場合、撮影装置1がケージCの上面に取り付けられる場合と同じ向きに撮像装置1bを配置してもケージCの床面に排泄された排泄物を確実に撮影することは難しい。
【0053】
そこで撮像装置1bの向きを変える必要がある場合に、その向きを変更することができるように、撮影装置1には角度調整部材1cが設けられている。当該角度調整部材1cは、図5の紙面上上下方向に示す両矢印に示すように、ケージCの設置面に対して鉛直方向に移動可能に構成されている。
【0054】
本発明の実施の形態における撮影装置1では、撮像装置1bは筐体1aの短辺に近い部分で筐体1aの上面に片持ち式に固定されており、その反対側端部は固定されていない。そこで角度調整部材1cは、この固定されていない撮像装置1bの部分を鉛直方向下向きに移動させることによって、撮像装置1bの角度を調整することとしている。
【0055】
角度調整部材1cについては、例えば、ネジとして形成されていても良く、或いは、単に角度調整部材1cを鉛直方向の上下に移動させることによって、撮像装置1bの角度を調整する構造であっても良い。
【0056】
なお、撮像装置1bについては、例えば、筐体1aの上面の方向に、例えば、バネ等の弾性部材を用いて付勢されていることから、角度調整部材1cを鉛直方向上方に移動させることで、角度調整部材1cの動きに従って筐体1aの上面に撮像装置1bを近づけることができる。
【0057】
さらに、当該角度調整部材1cについては、撮影装置1がケージCの側面に取り付けられた場合にのみ使用することができるのではなく、例えば、撮影装置1がケージCの上面に取り付けられた場合であっても、より確実にケージCの床面の排泄物を撮影することができるように、角度を調整する際に使用することができる。
【0058】
さらに、撮影装置1には、例えば、可動ミラー1dが設けられていても良い。すなわち可動ミラー1dは、撮影装置1がケージCの側面に取り付けられた際に、撮像装置1bの光路上に配置されることによって、ケージC(撮影装置1)の鉛直方向と直交する方向の撮影を可能とする。
【0059】
具体的には、図5に示すように、可動ミラー1dはミラー部分1daと当該ミラー部分1daを固定するとともに移動を可能とする移動部材1dbとで構成されている。そしてこの移動部材1dbを、例えばユーザが、図5の横向きの両矢印に示されている方向(撮影装置1がケージCの側面に取り付けられている場合において、可動ミラー1dをケージCに近づけたり遠ざけたりする方向)に動かすことによって、ミラー部分1daを撮影装置1の長辺方向に移動させて撮像装置1bの光路上に配置することができる。
【0060】
このように撮影装置1がケージCの側面に取り付けられた場合に、可動ミラー1dを用いることによって、ケージCの内部を横方向から撮影することができる。すなわち、撮像装置1bをケージCの床面に向けて傾けておくことで、排泄物画像を取得することができる。そしてさらに、可動ミラー1dを移動させて撮像装置1bの光路上に配置することで、撮像装置1bはケージCの床面の排泄物を撮影するだけではなく、例えば、撮像装置1bが測定装置11の止まり木に止まった鳥の全体を撮影することができる。
【0061】
なお、上述した角度調整部材1cや可動ミラー1dは手動で動かすことを前提として説明したが、例えば、これら角度調整部材1cや可動ミラー1dが図示しない駆動源からの駆動力を得て自動的に動かすこととしても良い。
【0062】
測定対象物である鳥は飼育されている間、ケージCの内部を含む、周囲に脂粉をまき散らす。そのため撮影する撮像装置1bのレンズにも当該脂粉が付着する。レンズに脂粉が付着すると、脂粉によってレンズが汚れてしまうため、撮像装置1bがケージCの床面に排泄された排泄物を解析に用いることができる程度に鮮明に撮影することが困難となる可能性がある。
【0063】
そこで、本発明の実施の形態における撮像装置1では、脂粉がレンズに付着することなくケージCの床面にある排泄物を撮影することができるように、その光路となる筐体1aの一部分が、保護部材1eで形成されている。
【0064】
そして筐体1aの内部に収容されている撮像装置1bを用いて筐体1aの外側に存在する鳥の排泄物を撮影することができるように、当該保護部材1eは、透明な材料で形成されている。そのため、例えば図4に示す撮影装置1では保護部材1eを介してその内部が一部見えている。
【0065】
また、撮影装置1の筐体1aにおいて、保護部材1eで形成される領域についても任意に設定することができる。本発明の実施の形態における撮影装置1においては、図3、及び、図4に示すように、撮影装置1がケージCに取り付けられた際にケージCと接する底面と、当該底面から鉛直方向上側に立ち上がる3面が保護部材1eで形成されている。
【0066】
但し、保護部材1eが形成される領域はこのような領域に限定されず、例えば、撮影装置1の筐体1a全体が保護部材1eとして形成されていても良い。この場合、撮影装置1の筐体1a全体が透明な筐体1aで形成される。
【0067】
また、レンズに脂粉や汚れが付かず、撮像装置1bによって鳥の排泄物が撮影できる程度に透明度が確保されるのであれば、当該保護部材1eについてはどのような材料を用いても良い。さらに、保護部材1eの役割からすれば、図4図5に示すような撮影装置1の筐体1aの一部を構成するように保護部材1eを配置するのではなく、例えば、撮像装置1bのレンズに直接貼付することができるシール状の保護部材1eを用いることとしても良い。
【0068】
また、図3に示すように、測定装置11に付属する撮影装置1であって、測定装置11とは別にケージCに取り付けられる場合、例えば、図5に示すように制御装置1fが設けられていても良い。
【0069】
当該制御装置1fは、例えば、外部から電源を撮像装置1bに供給し、撮像装置1bによる排泄物画像の取得の処理を制御する。或いは、上述した角度調整部材1cや可動ミラー1dを手動ではなく自動で移動させる構成が採用されている場合に、角度調整部材1c等への駆動力を供給しても良い。
【0070】
さらに、例えば撮像装置1bによって撮影された排泄物画像のデータを外部に出力する機能を備えていても良い。この場合、外部出力機能としては、例えば、測定装置11を介してデータベース2へ送信するように測定装置11と接続されることでその機能が果たされても良い。或いは、例えばUSBメモリ等の外部記憶媒体が接続することができるように構成されていても良い。
【0071】
撮影装置1が測定装置11に付属する装置である場合については以上の通りである。なお、webカメラ12については、排泄物を撮影することが可能な位置であれば、ケージCのいずれの場所に取り付けられても良い。またwebカメラ12は、ケージCに直接取り付けることなく、ケージCの床面を撮影することができる位置に配置されるのであれば、直接ケージCに取り付けられていなくても良い。
【0072】
このように、撮影装置1(撮像装置1b)として使用するwebカメラ12の種類によっては、様々な位置に配置することができると考えられる。従って、上述したような測定装置11に付属する撮影装置1に備えられているような角度調整部材1cや可動ミラー1dについては必ずしも備えている必要はない。
【0073】
またユーザが使用する情報端末13についても、排泄物の撮影を行う際にユーザが任意の位置、角度で撮影することができるため、同様に上述したような角度調整部材1cや可動ミラー1dについては必ずしも備えている必要はない。
【0074】
さらに、保護部材1eについては、例えば、webカメラ12のレンズ、或いは、情報端末13のレンズにフィルム状の保護部材1eを貼付して脂粉等によって汚れることを防止することができる。或いは、ケージCとwebカメラ12や情報端末13との間に透明な板を配置して保護部材1eとすることもできる。
【0075】
次に、撮影装置1が測定装置11に付属する装置である場合における、測定装置11の内部構成について図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態における測定装置11の内部構成を示すブロック図である。
【0076】
図6に示されているように、本発明の実施の形態における測定装置11は、重量センサ111と、制御装置112と、出力機構113と、環境測定センサ114、記憶装置115及び撮影装置1を備えている。なお、撮影装置1は、図6では測定装置11の内部に含まれるように示されているが、図3に示したように、測定装置11の外部においてケージCと取り付けられても良い。
【0077】
重量センサ111は、測定対象物である鳥の体重を測定するために用いられる。重量センサ111には図2に示すような計量棒111aの一端が接続されており、その他端には止まり木コネクタ111bを介して止まり木111cが連結されている。従って、計量棒111aの他端(止まり木111c)に鳥が止まると、当該重量センサ111によって鳥の体重が測定される。
【0078】
制御装置112は、重量センサ111が計測した測定結果を基に鳥の体重の算出、後述する各センサとの信号のやり取りやエラー処理等、測定装置11が動作する上で必要な各種制御を統括的に行う。さらに、撮影装置1の制御や、撮影装置1が撮影したケージCの床面の排泄物画像のデータを取得して、出力機構113を介してデータベース2に送信する制御も実行する。
【0079】
出力機構113は、測定装置11が測定した測定対象物である鳥の体重である測定値や後述する環境測定センサ114が測定した値、撮影装置1が撮影した排泄物画像のデータを測定装置11の外部に出力する機構である。出力機構113は、無線アダプタ或いは有線アダプタのいずれか一方、または双方を備えている。
【0080】
環境測定センサ114は、測定対象物が置かれている環境状態、すなわち、鳥の飼育環境を測定するためのセンサである。記憶装置115は、例えば、半導体や磁気ディスクで構成されており、重量センサ111で測定された測定結果や制御装置112で実行されるプログラムやデータ、算出された測定値、撮影装置1によって撮影された排泄物画像等が記憶される。各種データの記憶様式は、ファイル形式であってもテーブル形式にまとめられていても良い。
【0081】
なお、このように測定装置11の内部に記憶装置115が設けられており、一旦上述したような各種情報が保存されても良い。また、測定装置11が出力機構113を介して無線、有線を問わず接続される、データベース2や図示しないハードディスクドライブ(HDD(Hard Disc Drive)或いはSSD(Solid State Drive))等の外部記憶媒体を記憶装置115として利用することとしても良い。
【0082】
撮影装置1はこれまで説明してきた通り、測定対象物である鳥の排泄物を撮影する装置であり、取得された排泄物画像のデータは上述した出力機構113を介してデータベース2に送信される。
【0083】
なお、撮影装置1が排泄物画像を取得するタイミングについては、例えば、撮影装置1が測定装置11に付属する場合やwebカメラ12である場合のように、常時ケージCの床面を撮影し続けるよう制御されていても良く、或いは、予め設定されている時間ごとに撮影する、という制御であっても良い。
【0084】
[解析サーバの構成]
次に解析サーバ4の内部構成について説明する。図7は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の内部構成を示すブロック図である。解析サーバ4は、データ取得部41と、画像情報抽出部42と、情報解析部43と、解析結果通知部44と、制御部45と、通信制御部46と、を備え、これらの各部はバスBを介して互いに情報のやり取りを行うことができるようにされている。
【0085】
データ取得部41は、解析サーバ4においてデータベース2にアクセスして、解析の対象となる排泄物画像のデータを取得する。なお、データ取得部41がデータベース2にアクセスする頻度については、例えば、予め設定されている間隔ごと、或いは、例えば、ユーザからの解析処理の依頼が届いた場合等、任意に設定することができる。
【0086】
画像情報抽出部42は、データベース2に格納されている解析対象となる排泄物画像のデータを基に、解析処理が実行できるように必要な画像情報を抽出する。具体的には、以下の処理が順次実行される。
【0087】
まず画像情報抽出部42では、解析対象となる排泄物画像が撮影されたケージCの床面の画像データを取得する。より具体的には、当該ケージCの床面において、排泄物が存在しない状態の画像データである。このような床面の画像について、以下、適宜「ベース画像」と表す。
【0088】
当該ベース画像は、鳥が排泄する前のケージCの床面の画像であるので、床面だけが写っており、排泄物は写っていない。ベース画像は、排泄物画像との差分を算出して排泄物を検知するために利用される画像である。また、排泄物が検知された後、検知された排泄物を抽出するために行われる、後述するバックグラウンドの除去の処理の際にも利用される。従って、ベース画像は、解析の対象となる排泄物画像に写るケージCの床面と同じ床面が写っている。
【0089】
なお、このようにベース画像は排泄物画像との差分を算出するために用いられることから、より正確に差分を算出するためには、差分を算出する時に最も近い時のベース画像が用いられるのが好ましい。そこで、画像情報抽出部42では、データ取得部41を介して、例えば、定期的にベース画像のデータを取得して更新する。或いは、このベース画像のデータの更新処理は、データベース2において実行されても良い。
【0090】
そして、画像情報抽出部42は、データ取得部41がデータベース2から取得した解析の対象となる排泄物画像のデータを取得する。画像情報抽出部42は、これらの取得したベース画像のデータと排泄物画像のデータとを用いて、まず、両者の差分を算出するに当たっての条件を揃える処理を行う。
【0091】
すなわち、ベース画像のデータが取得された時と排泄物画像のデータが取得された時は異なる。従って、それぞれの画像のデータが取得された時の条件も異なる。具体的には、例えば、ケージCが窓際に置かれて日差しが当たっているような場合、ケージCに当たる日差しは時間によって異なる。つまり例えば、日差しによる床面の明るさを考えて見ると、床面に対して日差しが当たる角度や雲の状態等によってそれぞれの画像が撮影された時のケージCの床面における明るさは異なることが考えられる。
【0092】
そのため、このような状態のままでベース画像のデータと排泄物画像のデータとの差分を算出する処理を実行すると、明るさが異なるだけで差分が発生しており、より正確に排泄物が写っていない床面と排泄物が存在する床面との差分から排泄物を抽出することが困難となる可能性がある。
【0093】
そこで、ベース画像のデータと排泄物画像のデータの、例えば、明るさを調整することによって、差分を算出する前における両者の画像の差を小さくしておく。具体的には、両者の画像のデータにおける全体のコントラスト及びブライトネスを変化させて画素強度の差分が小さくなるように調整する。
【0094】
また、ベース画像が撮影された時と排泄物画像が撮影された時とで、撮像装置1bの向きが変わってしまうことも考えられる。このような場合には、例えば、ベース画像のデータと排泄物画像のデータとの位置を合わせる調整を行うことで、排泄物の有無による差分以外の差分が生ずることを少なくする。
【0095】
なおここでの調整方法の例として、画像データはデータの行列で表すことができるため、画素の座標を示す行列のインデックスの番号を変更して、例えば、画像全体を上下左右に平行移動させることで両者の差分を小さくする方法を挙げることができる。
【0096】
このように、画像情報抽出部42は、ベース画像のデータと排泄物画像のデータとの間の撮影時期が異なることに起因する差異を可能な限り少なくした状態の下、両者の差分を算出する。そして、算出された差分が予め設定されている閾値と比較する。
【0097】
このように閾値との比較を行うのは、例えば、撮影装置1(撮像装置1b)で排泄物を撮影した場合における画素ごとのノイズやケージCの床面に敷かれているシートの伸長、収縮によって折り目が移動した場合等の微少な変化を無視するためである。
【0098】
ここで画像情報抽出部42によるベース画像のデータと排泄物画像のデータを基にした差分の算出、閾値との比較について、図面を用いて説明する。図8は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の画像情報抽出部42において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図である。
【0099】
図8には図8A及び図8Bが示されている。図8Aは枠だけが描画されているように見えるが、これはケージCの床面において排泄物が落ちていない状態を示している。従って、図8Aは、ベース画像を表している。
【0100】
一方図8Bには、図8Aと同じ領域において、ケージCの床面に複数の排泄物が落ちている状態が示されている。従って、図8Bは、排泄物画像に該当する。但し、図8Bに示す排泄物画像においては、ケージCの床面に排泄物が落ちた状態が撮影されたままの状態であり、いずれの排泄物が解析対象となるかについてはまだ検知されていない。
【0101】
また、図8Bの排泄物画像において、排泄物にはハッチングの異なる2種類の領域が示されている。このうち、領域の広いドットで示されている部分が尿成分であり、当該尿成分の上にあって斜線で示されている部分が便成分を表している。
【0102】
画像情報抽出部42では、図8Aに示すようなベース画像のデータと図8Bに示す排泄物画像のデータとを取得して両者の差分を算出し、閾値との比較を行う。
【0103】
画像情報抽出部42によって、ベース画像のデータと排泄物画像のデータとの差分が算出され、閾値との比較によって差分が閾値よりも小さい場合には、排泄物画像のデータはベース画像のデータと比較した場合に大きな差分はないことになるため、解析処理は開始されない。
【0104】
この場合、画像情報抽出部42は、改めてデータ取得部41を介して異なる排泄物画像のデータを取得して改めてベース画像のデータとの差分を算出する。なおこのように差分が閾値よりも小さな場合には、ベース画像データと比較した排泄物画像のデータを新たなベース画像のデータとしてベース画像の更新を行う。
【0105】
一方、差分が閾値以上である場合には、画像情報抽出部42は、解析処理を開始する。差分が閾値以上である場合、排泄物画像のデータには、排泄物が写っている可能性があると判断することができる。そこで、画像情報抽出部42は次に、画像の中におけるどの領域が解析対象となる排泄物を示す領域に該当するのか、排泄物を検知する処理を実行する。
【0106】
まず当該排泄物を検知する処理が実行される前提として、ベース画像のデータとの比較により差分として取得された領域に存在する物が排泄物に該当するか否かを判定する学習済みモデル(以下、適宜「数理モデル」と表す)が生成されている。そして差分が算出された排泄物画像のデータを当該数理モデルに当てはめることによって、排泄物が検知される。
【0107】
なお、当該数理モデルの生成に当たっては、機械学習のアルゴリズムを利用する。機械学習のアルゴリズムとしては、例えば、ニューラルネットワーク、決定木学習、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰等を採用することができる。また、数理モデルの生成は、解析サーバ4において行っても良く、或いは、別途生成された数理モデルを図7には図示しない記憶部に記憶させておいても良い。
【0108】
具体的に、差分が生じた排泄物画像のデータにおいて、数理モデルを用いた解析の対象となる排泄物を検知する処理は、例えば、以下の方法がある。まず、画像情報抽出部42が排泄物画像のデータの中でベース画像との差分が特に大きくなる画素とその周辺画素を含む領域の座標を取得する。
【0109】
次に画像情報抽出部42は、排泄物画像のデータのうち取得された座標の領域に対して、当該数理モデルを適用し、排泄物が存在している確率を算出する。そして当該排泄物が存在している確率が予め定められた閾値以上の場合には、当該座標の領域中に排泄物が写っていると判定する。
【0110】
なお、このように数理モデルを適用させる領域を差分が生じた領域に限定しているのは、例えば、ベース画像に元々排泄物が含まれている場合に、ベース画像に含まれていた当該排泄物の誤検知を防止するためである。
【0111】
また、ベース画像のデータとの差分が閾値以上である場合については、差分を示す領域に示されている物が排泄物ではなく、その他の、例えば、エサである場合も考えられる。但し、上述したように解析対象となる排泄物画像のデータを数理モデルに当てはめることによって、このような排泄物以外の物については排泄物として検知されず、排除することができる。
【0112】
ここで図9は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の画像情報抽出部42において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図であり、図9Aが、画像情報抽出部42によって排泄物が検知された状態を示す図である。
【0113】
画像情報抽出部42が、排泄物画像のデータを数理モデルに当てはめることで、排泄物が示されている領域の確定(排泄物の検知)がされる。すなわち、図9Aに示すように、破線で囲まれている3つの領域が排泄物として検知された領域である。当該処理により、図8Bに示されていたように、排泄物画像のデータの中から排泄物が検知される。
【0114】
なお、画像情報抽出部42が行う排泄物の検知は、図8Bに示されているように排泄物画像のデータの中に複数の排泄物が存在する場合に、これら複数の排泄物をまとめて同時に検知しているのではなく、1つの領域ごとに排泄物として検知されるか否かの処理を実行している。
【0115】
以上により、画像情報抽出部42は、排泄物画像のデータにおいて排泄物を検知することができる。検知された排泄物は、解析の対象物である。そこで、今度は検知された排泄物が写る当該排泄物画像(以下、このような画像を「検知後排泄物画像」と表す)のデータから検知された排泄物以外を除去する処理を行う。
【0116】
具体的には、ベース画像のデータと検知後排泄物画像のデータとの差分を算出し、検知された排泄物とそれ以外の物(バックグラウンド)とを分離し、バックグラウンドを除去する。このような処理を実行することにより、排泄物のみを抽出することができる。
【0117】
そしてこのバックグラウンドを除去する処理については、図9Bに示されている。図9Bでは、図9Aが示す検知後排泄物画像のデータとベース画像のデータとを用いて、検知された排泄物以外を除去した状態が示されている。これまで検知後排泄物画像のデータを示していた図9Aと比較して、図9Bにおいては、バックグラウンドが除去されて抽出された排泄物のみが示されている。
【0118】
なお、バックグラウンドを除去する処理を実行するに当たって、ベース画像のデータと検知後排泄物画像のデータとの差分をより大きく把握して排泄物の輪郭を適切に抽出するために、例えば、前処理を実行しても良い。この前処理としては、例えば、画像の二値化や平均化、フィッティング、或いは、補完といった処理を挙げることができる。
【0119】
上述したように、鳥の排泄物は、尿成分及び便成分が混ざり合った状態である。そこでさらに画像情報抽出部42は、抽出された排泄物から尿成分と便成分とを分離する処理を行う。例えば、抽出された排泄物を数理モデルに当てはめて尿成分に該当する画素であるか、或いは、便成分に該当する画素であるかの判定を行うことで、尿成分と便成分との分離を行う。
【0120】
またこの他に、排泄物として抽出された領域における各画素の色の強度変化率から輪郭を抽出し、当該輪郭の内側に含まれる画素、或いは、外側に配置される画素を把握することで、尿成分、或いは、便成分を分離する方法を採用することもできる。
【0121】
なお、上述した排泄物を検知する際に用いる数理モデルと尿成分と便成分とを分離する際に用いる数理モデルとは異なることを前提に説明した。但し、これらの処理において、例えば排泄物を検知する際に用いる数理モデルを尿成分と便成分とを分離する処理にも用いることも可能である。
【0122】
具体的には、例えば、画像情報抽出部42が、排泄物画像のデータを構成する画素において尿成分と判定される可能性が、例えば、50%以上であると判定した場合には、当該画素は尿成分を示す画素であるとする。そして、尿成分を示す画素であると判定されて抽出された画素をつなぐことで、排泄物画像のデータにおいて、尿成分が示されている領域を確定することができる。
【0123】
図10は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の画像情報抽出部42において実行される処理の流れを画像を用いて説明する説明図である。図10では、図9Bにおいてバックグラウンドが除去されて抽出された排泄物について、さらに尿成分と便成分とが分離された状態が示されている。
【0124】
図9Bに示されている抽出された排泄物は3つである。そこで、これら3つの排泄物について、図10では図10Aないし図10Cにおいて、それぞれ上述したような処理の方法を用いて、尿成分と便成分とに分離された状態が示されている。
【0125】
以上説明した処理を画像情報抽出部42が実行することによって、図10に示すように、抽出された排泄物を最終的に尿成分と便成分とに分けて把握することができる。これにより、排泄物に対する解析を実行するための準備が整ったことになる。
【0126】
なお、ユーザが撮影した排泄物画像のデータを用いて解析処理が実行される場合には、上述したような、例えば測定装置11に付属する撮影装置1から送信された排泄物画像のデータを用いて解析処理を実行する場合とは異なり、バックグラウンドの除去の処理から開始される。
【0127】
これは、ユーザが撮影した排泄物画像のデータをwebサーバ3にアップロードする際に、ユーザが解析対象とする排泄物を指定しているからである。従って、これまで説明してきた画像情報抽出部42によるベース画像と排泄物画像のデータとの差分を算出して排泄物を検知する処理は省略される。
【0128】
但し、ユーザが排泄物の画像を撮影する場合、排泄物は撮影するものの、排泄物が写っていない、上述したベース画像となり得る画像は撮影していないことも考えられる。
従ってこのままでは、ベース画像のデータを用いて検知後排泄物画像のデータ(ユーザがアップロードし排泄物を指定した画像のデータ)からバックグラウンドを除去する処理が実行できなくなってしまう。
【0129】
そこでもし、このように事前にユーザがベース画像のデータとなり得る画像を撮影し、そのデータをアップロードしていない場合には、ユーザがアップロードした排泄物画像のデータを基にベース画像のデータとして使用することができるように、画像情報抽出部42において処理がなされる。
【0130】
すなわち、排泄物画像のデータのうち、ユーザによって解析対象と指定された排泄物の領域以外の領域は、ユーザによって排泄物は存在しないと認識された領域であり、例えば、当該排泄物の領域以外の領域の画素における平均的な色ごとの輝度を擬似的にベース画像のデータとして捉える。つまり、1つの排泄物画像のデータにおける排泄物の領域とそれ以外の領域とで差分を算出してバックグラウンドの除去を行う。
【0131】
一方、もしユーザが事前に排泄物が写らないケージCの床面を撮影してその画像データがデータベース2に格納されている場合には、この画像データをベース画像のデータとして使用し、検知後排泄物画像のデータとの間でその差分を算出する。
【0132】
情報解析部43は、画像情報抽出部42によって抽出された尿成分と便成分の画像データを基に、解析処理を実行する。情報解析部43において解析する内容は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSでは、尿成分の色、便成分の色、便成分の形状、尿成分における便成分の面積の比率の4種類である。
【0133】
上述したように、画像情報抽出部42は、1つの排泄物画像のデータの中に複数の排泄物が含まれている場合に、これらをまとめて同時に検知しているわけではなく、1つ1つ排泄物に該当するか否かの処理を行っている。一方で、情報解析部43においては、画像情報抽出部42が1つの排泄物を検知するたびに解析処理を実行するものではない。
【0134】
すなわち、情報解析部43では、複数の検知された排泄物についてまとめて解析処理を実行する。これは複数の排泄物についてまとめて解析することによって解析の精度を高めるためである。
【0135】
従って、例えば、1つの排泄物画像のデータの中に複数の検知された排泄物がある場合のみならず、継続的に排泄物画像のデータを取得しており、都度、画像情報抽出部42によって排泄物が検知されるような場合にも、複数の検知された排泄物が揃うことになるため、これらをまとめて情報解析部43による解析処理の対象とする。そのため、このような場合には、検知された排泄物の個数が予め設定された個数に達したことをもって情報解析部43が解析処理を開始させても良い。
【0136】
或いは、データベース2に格納される排泄物画像のデータに変化が生じたことをもって画像情報抽出部42が抽出処理を開始したことに伴って、情報解析部43が解析処理を開始することとしても良い。
【0137】
尿成分と便成分についての色の解析については、まず、医療関係機関が予め測定対象物について健康であると推定することができる色と登場頻度との関係を設定しておく。そして解析処理が終了した後に解析結果をユーザや医療関係機関に提示した際の見やすさも考慮して、例えば、排泄物画像のデータにおける各画素のRGB値をHSV系に変換した上で、それぞれの画素に現れる色の登場頻度を最大値で規格化する処理を行う。
【0138】
当該処理の結果を医療関係機関が予め設定した色と登場頻度との関係に当てはめることで、尿成分の色と便成分の色から健康状態の推定に資する解析結果を取得することができる。ここで、図11は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の情報解析部43において実行されて得られた色の解析結果の一部について説明する説明図である。
【0139】
図11において、図11Aは尿成分についての解析結果を示し、図11Bは便成分についての解析結果を示している。いずれについても、縦軸は規格化後の登場頻度を表しており、最大値が1.0とされている。一方横軸は色相(色)を示している。そして、網掛けで示される領域が、予め医療関係機関において設定されている色と登場頻度との関係において、測定対象物について健康であると推定することができる設定領域である。
【0140】
従って、情報解析部43による解析結果が当該設定領域内に含まれていれば、「正常」と推定することができる。一方で、当該設定領域から外れる部分があれば、「異常」との推定が働く。図11に示す尿成分と便成分の解析結果を見ると、尿成分については、設定領域の範囲内であるので、正常であると推定することができる。
【0141】
一方で便成分の解析結果を見てみると、図11Bの矢印が示す部分において、一部設定領域から外れる部分が見られる。従ってこのような場合は、便成分については異常であると推定される。
【0142】
次に便成分の形状について、情報解析部43は、例えば、円形度を用いて健康状態を推定するための解析を実行する。これは便がケージCの床面に落ちた際に、その堅さによって床面での形状が異なることに着目し、その形状を解析することで例えば、下痢や多尿といった排泄物の状態を推定するために用いられる。
【0143】
円形度は、情報解析部43が図示しない記憶部に記憶されている4π×面積÷周囲長^2という式を用いて算出する。そして算出された値を、平均の円形度に対して医療関係機関が予め設定した閾値と比較して、その比較結果を算出する。
【0144】
尿成分における便成分の面積の比率は、情報解析部43が図示しない記憶部に記憶されている便成分を示す画素数/尿成分を示す画素数という式を用いて算出する。当該比率についても、比率の中央値に対して医療関係機関が予め設定した閾値が設定されており、当該閾値と比較して、その比較結果を算出する。
【0145】
なお、例えば撮影装置1がケージCの側面に取り付けられた場合、撮像装置1bはケージCの床面を撮影するために斜めに撮影される。この場合、床面を表す画素が引き延ばされて写る可能性がある。但し上述したように、尿成分と便成分との面積の比率を画素数での比率とすることによって、このような画像のゆがみを考慮することなく正確な値を算出することができる。
【0146】
情報解析部43によって算出された解析結果は、解析の対象となった排泄物画像のデータと紐付けられて、データベース2に送信され格納される。なお、これまでの説明では情報解析部43は、上述した4種類についての解析処理を実行するが、解析処理の内容はこれら4種類に限られず、その他の内容であっても良い。
【0147】
解析結果通知部44は、情報解析部43が実行した解析処理の結果のうち、少なくとも1つの解析処理の結果を解析結果にまとめ、解析の対象となった排泄物画像のデータに紐付けてデータベース2に格納する。これにより、ユーザや医療関係機関は適宜必要とする解析結果を参照することができる。
【0148】
また、例えば、ユーザが解析を依頼してアップロードした排泄物画像のデータに基づいて解析処理が行われた場合には、解析結果通知部44は、ユーザに対して解析結果が出たことを通知する。当該解析結果通知部44からの通知をきっかけとして、ユーザや医療関係機関は、webサーバ3を介してデータベース2にアクセスして、解析結果を参照する。
【0149】
図12は、本発明の実施の形態における解析サーバ4の解析結果通知部44においてまとめられた解析結果を示す画面の一例を示す画面例である。図12に示す排泄物画像解析結果では、上段に解析の対象となった排泄物画像のデータが「画像データ」との項目の下に示されており、検知されて解析の対象となった排泄物が示されている。また、当該画像データの横には、ファイル名や取得日時、投稿元といった書誌的事項が表示されている。
【0150】
この「画像データ」より下に示されているのが、解析結果である。上述した尿成分と便成分それぞれに対する「色評価」については、図11で示した色と登場頻度との関係が示され、正常、異常についても表示されている。
【0151】
一方、便成分に対する「形状評価」、尿成分と便成分との「比率評価」については、例えば、それぞれ設定されている閾値との比較結果を基に正常、異常の解析結果を10段階で示した数値が示されている。但しこのような解析結果の表示の仕方ではなく、情報解析部43によって算出された値がそのまま表示されるようにしても良い。
【0152】
さらに、画像データの書誌的事項の表示領域の下には、「修正してやり直す」とのボタンが設けられている。このボタンは、例えば、解析結果を見たユーザや医療関係機関が改めて別の排泄物画像のデータに基づいて解析処理を行うことを、解析サーバ4に求める場合に使用される。
【0153】
また、当該解析結果を見たユーザや医療関係機関が解析対象となった排泄物画像のデータを確認した結果、排泄物ではない、例えば、エサが解析対象となっていたような場合に、改めて解析対象とする排泄物を指定する場合に使用される。
【0154】
ユーザや医療関係機関がこのボタンを押して新たな解析処理を求める場合には、当該ボタンを押し下げる前に、表示されている画像データに示されている排泄物を基に、改めて解析範囲を指定する。ユーザや医療関係機関が新たな解析対象となる排泄物を指定し、ボタンが押し下げられることによって、上述した解析サーバ4における解析処理が実行され、改めて解析結果が表示される。
【0155】
なお、解析結果通知部44は、データベース2に解析結果を送信するに当たって、当該解析結果をユーザが測定対象物を飼育する際に用いる測定装置11によって取得される測定対象物に関する生体情報、測定対象物に対する診療情報の両方、或いは、いずれか一方の情報との紐付けを実行することとしても良い。
【0156】
制御部45は、解析サーバ4の上述した各部を統合的に制御する。例えば制御部45は、データ取得部41を介して取得した排泄物画像のデータを基に、画像情報抽出部42において解析対象となる排泄物を検知して尿成分と便成分とに分離し、情報解析部43において解析処理を実行するよう制御する。また、解析結果通知部44において解析結果をまとめさせ、例えば、データベース2にアップロードさせるとともに、ユーザや医療関係機関に対して通知させる。
【0157】
図7に示す制御部45については、その内部に設けられる構成については示していないが、その構成の一部を説明すると以下の通りである。すなわち制御部45は、図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備えている。
【0158】
CPUは、例えば、データ取得部41からの入力信号に基づいてROMから解析サーバ4を起動するためのブートプログラムを読み出して実行し、図示しない記憶部に格納されている各種オペレーティングシステムを読み出す。
【0159】
さらにCPUは、RAMや記憶部等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAMにロードするとともに、RAMから読み出されたプログラムのコマンドに基づいて、例えば、画像情報抽出部42等における鳥の健康状態の推定に必要な解析処理を実行するために必要なデータの計算、加工等、一連の処理を実現する処理装置である。
【0160】
なお、本発明の実施の形態における制御部45では、例えば、数理モデルの生成等において機械学習の処理を実行する必要がある場合には、さらにGPU(Graphics Processing Unit)を備えていても良い。
【0161】
なお、ここでは解析サーバ4内に例えば、画像情報抽出部42等を備えていることを前提に説明を行ってきた。すなわち、画像情報抽出部42等が記憶部や所定のメモリ等に記憶される数理モデルを用いて、例えば、健康状態推定プログラムといったプログラムをプロセッサに実行させることを前提にしている。
【0162】
ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。
【0163】
プロセッサは、例えば記憶部に保存された、又は、プロセッサの回路内に直接組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。プログラムを記憶する記憶部は、プロセッサごとに個別に設けられるものであっても構わない。上述したように、記憶部の構成には、例えば、半導体や磁気ディスクといった一般的なRAM(Random Access Memory)やHDD、SSD等の記憶装置が適用される。
【0164】
また、上述した解析サーバ4が備えている画像情報抽出部42等の機能を、制御部45を制御回路として構成し、画像情報抽出機能等として、制御部45が実行することとしても良い。さらに、画像情報抽出部42等の機能を、制御部45を制御回路として構成し、個別に演算回路として構成することも可能である。
【0165】
通信制御部46は、LANカードやモデム等の手段であり、解析サーバ4をインターネットやLAN等の情報通信ネットワークNに接続することを可能とする手段である。通信制御部46を介して情報通信ネットワークNと送受信したデータは入力信号または出力信号として、バスBを介して制御部45に送受信される。なお、通信制御部46及び情報通信ネットワークNを介して他の機器とやり取りされる情報に関する規格は、いずれの規格であっても良い。
【0166】
通信制御部46は、解析サーバ4を情報通信ネットワークNに接続し、当該情報通信ネットワークNに接続されている装置との間で測定対象物の健康状態を推定するに必要な情報をやり取りする。また、上述した説明におけるデータ取得部41の機能を通信制御部46が担っても良い。
【0167】
[動作]
次に、解析サーバ4による鳥の健康状態を推定するための解析処理の流れについて説明する。なお、いずれの撮影装置1を用いるかによって解析サーバ4が用いる排泄物画像のデータの取得の方法が異なることから、以下においては場合を分けて説明する。
【0168】
すなわちまずは、測定装置11やwebカメラ12によって排泄物画像のデータが取得される場合を例に挙げて処理の流れを説明する。図13は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSにおいて実行される処理のうち、測定対象物の排泄物が写る排泄物画像の取得の流れの一例を示すフローチャートである。また、図14は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSにおいて実行される処理のうち、取得された排泄物画像を用いた解析の流れの一例を示すフローチャートである。さらに図15は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSにおいて解析結果がまとめられる処理の流れを示すフローチャートである。
【0169】
なお、図13ないし図15に示す処理の流れは、あくまでも健康状態推定システムSにおけるある区切られた1つの処理の流れを示すものである。従って、測定装置11に付属する撮影装置1やwebカメラ12が撮影を継続する限り、電源が落とされるまで図13ないし図15に示す処理の流れは繰り返し実行される。
【0170】
まず図13に示すように、測定装置11、或いは、webカメラ12の電源が投入される(ST1)。電源が投入されることによって、測定装置11に付属する撮影装置1、或いは、webカメラ12がケージCの床面の撮影を開始する(ST2)。そして、測定装置11に付属する撮影装置1、或いは、webカメラ12は、撮影されたケージCの床面の画像データをwebサーバ3を介してデータベース2に送信する(ST3)。なお、図13のフローチャートには示していないが、ベース画像となるケージCの床面の画像は、適宜更新されることは上述した通りである。
【0171】
図14には解析サーバ4における処理の流れが示されている。解析サーバ4は、例えば、測定装置11において常時鳥の体重を測定している場合には、排泄後の体重の変化を捉えて解析処理を開始する等、上述したタイミングで解析処理が開始される。
【0172】
まずデータ取得部41が、データベース2からケージCの床面の画像データを取得する(ST11)。この画像データが、いわゆる「ベース画像」である。また、当該ベース画像と紐付けられている排泄物が写っている画像のデータを「排泄物画像のデータ」として取得する(ST12)。
【0173】
画像情報抽出部42では、取得されたベース画像のデータと排泄物画像のデータを用いて、その差分を算出し(ST13)、当該差分と閾値との比較を行う(ST14)。そして、もし差分が閾値よりも小さい場合には(ST15のNO)、排泄物画像のデータに排泄物として捉えられる可能性のある物が写っていないと判定することができることから、ステップST11の前に戻って、差分を算出するために用いた排泄物画像のデータを新たなベース画像のデータとするとともに、別の排泄物画像のデータを取得して、改めてベース画像のデータとの差分を算出する。
【0174】
一方、ベース画像のデータと排泄物画像のデータとの間の差分が閾値以上である場合には(ST15のYES)、画像情報抽出部42は排泄物画像のデータから排泄物を検知する処理を実行する(ST16)。その後、検知後排泄物画像のデータとベース画像との差分を取ってバックグラウンドを除去し(ST17)、排泄物を抽出する(ST18)。
【0175】
そして抽出された排泄物からさらに、尿成分と便成分とを分離する(ST19)。これまでの処理によって、排泄物画像のデータから排泄物だけが抽出され、さらに尿成分と便成分とが分離された。
【0176】
次に情報解析部43が、分離された尿成分と便成分とを用いて、解析に必要な値を算出して(ST20)、解析する(図15のST21)。ここで解析する項目としては、例えば、尿成分の色、便成分の色、便成分の形状、尿成分における便成分の面積の比率の4種類に関する値である。
【0177】
解析が終了すると、解析結果通知部44は、解析結果を作成する(ST22)。そして作成した解析結果をデータベース2に送信し(ST23)、データベース2において受信、格納される(ST24)。
【0178】
解析結果通知部44は、さらに、ユーザや医療関係機関に対して解析結果が出た旨の通知を行い(ST25)、例えば、webサーバ3に解析結果を表示する(ST26)。解析結果には、図12を用いて説明した通り、解析処理を再度行うための「修正してやり直す」ボタン(図15のフローチャートでは「やり直しボタン」と表記している)が設けられている。
【0179】
制御部45では、当該ボタンをユーザや医療関係機関が押し下げたか否かを判定し(ST27)、押し下げたことを検出した場合には(ST27のYES)、ユーザや医療関係機関が指定した排泄物を新たな解析対象となる排泄物として検知する(ST28)。そして、ステップST17に戻り、検知された排泄物を抽出するためのバックグラウンドの除去等の処理を実行する。
【0180】
一方、制御部45で当該ボタンが押し下げられたことを検出しなかった場合は(ST27のNO)、健康状態推定システムSにおける解析処理は終了する。
【0181】
次に、ユーザが情報端末13を用いて飼育する鳥の排泄物を撮影した場合の処理の流れについて、以下説明する。図16は、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSにおいて実行される処理のうち、測定対象物の排泄物が写る排泄物画像の取得の流れの別の例を示すフローチャートである。
【0182】
なお、図16においては説明の都合上、ユーザが情報端末13を用いて飼育する鳥の排泄物を撮影した場合の処理の流れについて説明する上で必要になると思われる、例えば、ユーザが排泄物画像のデータをアップロードするといったユーザの行為についても記載している。但し、機器における処理とユーザの行為とを分けて記載するべく、ユーザの行為については、破線で示している。
【0183】
まずユーザがケージCの床面を撮影する(ST31)。ユーザがケージCの床面を撮影するのは、床面にある排泄物の解析を依頼したいからである。ユーザは、撮影した排泄物を含むケージCの床面の画像をwebサーバ3にアップロードする(ST32)。webサーバ3は、ユーザからアップロードされた画像データを受信する(ST33)。ここでユーザによってアップロードされた画像のデータは、排泄物画像のデータである。
【0184】
ユーザは排泄物画像のデータをwebサーバ3にアップロードした後、webサーバ3にアクセスする(ST34)。ここでユーザがアクセスするのは、例えば、マイページ等の自身の専用サイトである。専用サイトには、直接アクセスしても、或いは、一旦webサイトのメインサイトにアクセスしてから専用サイトに遷移しても良い。
【0185】
なおここでは、ユーザが撮影した排泄物画像のデータをwebサーバ3にアップロードした後、webサーバ3にアクセスする流れを示したが、上述したように、まずユーザがwebサーバ3にアクセスして専用サイトに示されている指示に従って、撮影した排泄物画像のデータをアップロードする流れであっても良い。
【0186】
webサーバ3では、ユーザから送信された排泄物画像のデータを基に排泄物画像をユーザの専用サイトに表示する(ST35)。表示された排泄物画像には、ユーザが撮影した排泄物が写っている。
【0187】
ユーザは専用サイトに表示された排泄物画像に映っている排泄物の中から、解析の対象としたい排泄物を指定する(ST36)。具体的には、例えば、解析対象とする排泄物を枠で囲んで指定する。
【0188】
webサーバ3では、ユーザが指定した排泄物が写っている排泄物画像のデータのデータ形式を統一し(ST37)、形式が統一された排泄物画像のデータ及び排泄物の位置情報をデータベース2に送信する(ST38)。
【0189】
解析サーバ4では、ユーザが指定した排泄物が写っている排泄物画像のデータがデータベース2に格納された後、予め設定されているタイミングで当該排泄物画像のデータを取得する(ST39)。そして解析処理を開始する。
【0190】
なお、ユーザが撮影した排泄物画像のデータを用いて解析処理が実行される場合には、上述したような、例えば測定装置11に付属する撮影装置1から送信された排泄物画像のデータを用いて解析処理を実行する場合とは異なり、バックグラウンドの除去の処理から開始される。これは、画像情報抽出部42において処理していた解析対象となる排泄物の検知までの処理は、ユーザが専用サイト上で排泄物を指定する動作により完了しているからである。
【0191】
従って、解析サーバ4において予め設定されているタイミングで当該排泄物画像のデータを取得した後は(ST39)、図14のステップST17に遷移して、バックグラウンドを除去する処理が行われる。
【0192】
なお、当該バックグラウンドを除去する処理について、まず、ユーザが事前に排泄物が写らないケージCの床面を撮影してその画像データがデータベース2に格納されている場合には、上述したように、この画像データをベース画像のデータとして使用し、検知後排泄物画像のデータ(ユーザがアップロードし排泄物を指定した画像のデータ)との間でその差分を算出する。
【0193】
事前にユーザがベース画像のデータとなり得る画像のデータをアップロードしていない場合には、ユーザがアップロードした排泄物画像のデータを基にベース画像のデータとして使用するべく、1つの排泄物画像のデータにおける排泄物の領域とそれ以外の領域とで差分を算出するように、画像情報抽出部42において処理がなされる。
【0194】
すなわち、排泄物画像のデータのうち、ユーザによって解析対象と指定された排泄物の領域以外の領域は、ユーザによって排泄物は存在しないと認識された領域であり、例えば、当該排泄物の領域以外の領域の画素における平均的な色ごとの輝度を擬似的にベース画像のデータとして捉える。
【0195】
以上、本発明の実施の形態における健康状態推定システムSにおいては上述したような構成を採用することによって、測定対象物の排泄物を基に測定対象物の健康状態を推定するために必要な解析を行うとともに、解析結果を様々な形でユーザ等に報知することで、ユーザの定量的な評価による効果的な二次予防の実行を可能とし、医療関係機関とも解析結果を共有することができる。
【0196】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0197】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0198】
例えば、ベース画像のデータと排泄物画像のデータとの差分を算出して閾値との比較を行うとの処理については、解析サーバ4の画像情報抽出部42が実行することを前提として説明した。但し、当該処理は、例えば、測定装置11において実行されても良い。
【0199】
また、測定装置11の重量センサ111において鳥の体重測定が常時行われている場合には、測定している鳥の体重に変化が生ずることから、鳥が排泄したことを測定装置11においてすぐに検出することができる。そこで、このような測定されている体重に変化が生じた場合に、測定装置11においてベース画像のデータと排泄物画像のデータとの差分を算出して閾値との比較を行う処理が行われる。
【0200】
さらに、排泄物画像のデータを基に、解析対象となる排泄物の検知の処理についても、例えば測定装置11側で実行しても良い。
【0201】
また、例えば、測定装置をケージの側面に取り付けた場合、撮影装置1を構成する可動ミラー1dを用いることによって、ケージの内部にいる鳥を撮影することができる。このように鳥の全体、或いは、特定の部位を撮影することによって、外観から鳥の健康状態を推定することも可能である。
【0202】
なお、解析サーバ4が実行する解析処理において、画像情報抽出部42が実行する例えば排泄物の検知や尿成分と便成分との分離といった処理においては数理モデルを用いる例を説明した。但し数理モデルの利用については、これらの処理に限定されるわけではなく、例えば、情報解析部43が実行する解析処理においても数理モデルを用いても良い。
【0203】
なお、本発明の実施の形態において説明した技術については、以下のような構成を採用することもできる。
(1)測定対象物の排泄物を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された前記測定対象物の排泄物が写る排泄物画像のデータを基に前記測定対象物の健康状態を推定する情報を取得する解析サーバと、を備え、
前記解析サーバは、
前記排泄物画像のデータを取得するデータ取得部と、
前記排泄物画像のデータを基に前記排泄物の情報を抽出する画像情報抽出部と、
抽出された前記排泄物の情報を基に、前記測定対象物の健康状態を評価するために用いる情報の解析を行う情報解析部と、
を備えることを特徴とする健康状態推定システム。
(2)前記画像情報抽出部は、前記測定対象物が飼育される空間の床面において、前記排泄物が写っていないベース画像と前記測定対象物が排泄して前記床面に前記排泄物が写る前記排泄物画像との差分から前記排泄物を検知し、検知された前記排泄物を含む検知後排泄物画像と前記ベース画像とを用いて前記排泄物を抽出し、前記排泄物から尿成分と便成分とを分離することを特徴とする上記(1)に記載の健康状態推定システム。
(3)前記情報解析部は、前記画像情報抽出部が抽出した前記排泄物の尿成分に関する画像情報と前記便成分に関する画像情報を基に、前記尿成分、前記便成分の両方、或いは、一方の色の解析、前記便成分の形状の解析、前記尿成分に対する前記便成分の比率の解析、の少なくとも1つの解析処理を実行することを特徴とする上記(2)に記載の健康状態推定システム。
(4)前記情報解析部により実行された前記解析処理の結果を、前記測定対象物を飼育するユーザに提示する解析結果としてまとめ、前記ユーザに対して通知する解析結果通知部を備えることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(5)前記解析結果においては、解析の対象となった検知された前記排泄物を含む前記検知後排泄物画像が表示され、前記ユーザは前記検知後排泄物画像を基に検知された前記排泄物の解析領域を変更し、新たな解析領域を設定して改めて解析処理の実行を指示するボタンが設けられていることを特徴とする上記(4)に記載の健康状態推定システム。
(6)前記解析結果通知部は、前記情報解析部が実行した前記解析処理の結果のうち、少なくとも1つの前記解析処理の結果を前記解析結果にまとめることを特徴とする請求項4または上記(5)に記載の健康状態推定システム。
(7)前記解析結果通知部は、前記解析結果を前記ユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置によって取得される前記測定対象物に関する生体情報、前記測定対象物に対する診療情報の両方、或いは、いずれか一方の情報との紐付けを実行することを上記(4)ないし(6)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(8)前記撮影装置は、前記測定対象物が飼育されるケージに取り付けられる前記測定対象物を飼育するユーザが前記測定対象物を飼育する際に用いる前記測定対象物の状態を測定する測定装置に付属する装置、前記ケージの床面を撮影するために設けられる装置、或いは、前記ユーザが使用する情報端末に付属する装置の何れかであることを特徴とする上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の健康状態推定システム。
(9)前記撮影装置が、前記測定装置に付属する装置であり前記ケージに取り付けられた場合に、前記ケージの設置面から鉛直方向上方に配置される撮像装置と、前記撮像装置の向きを変更する角度調整部材と、を備えることを特徴とする上記(8)に記載の健康状態推定システム。
(10)前記撮影装置は、さらに、前記撮像装置の光路上に配置され、前記撮影装置が前記ケージの側面に配置された際に、前記鉛直方向と直交する方向の撮影を可能とする可動ミラーを備えることを特徴とする上記(9)に記載の健康状態推定システム。
(11)前記撮影装置は、前記撮像装置のレンズが汚れることを保護する保護部材を備えることを特徴とする上記(9)または(10)に記載の健康状態推定システム。
(12)前記保護部材は、前記撮影装置の筐体の一部であって前記撮像装置の光路上が透明な部材で形成されていることを特徴とする上記(11)に記載の健康状態推定システム。
【符号の説明】
【0204】
1 撮影装置
1a 筐体
1b 撮像装置
1c 角度調整部材
1d 可動ミラー
1da ミラー部
1db 移動部材
1e 保護部材
11 測定装置
111 重量測定センサ
111a 計量棒
111b 止まり木コネクタ
111c 止まり木
112 制御装置
113 出力機構
114 環境測定センサ
115 記憶装置
2 データベース
3 webサーバ
4 解析サーバ
41 データ取得部
42 画像情報抽出部
43 情報解析部
44 解析結果通知部
45 制御部
46 通信制御部
5 医用情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16