(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152309
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】商品収納装置
(51)【国際特許分類】
G07F 11/58 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G07F11/58 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066424
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩子 努
【テーマコード(参考)】
3E046
【Fターム(参考)】
3E046BA01
3E046BB01
3E046CB08
3E046EB01
3E046FA03
(57)【要約】
【課題】製造コストの低減化を図ること。
【解決手段】駆動する場合に、予め設定された搬送領域35aでは商品を搬送しつつ搬送領域35aに連続する払出領域35bでは商品を払い出す複数の搬送機構30を備えた商品収納装置20であって、複数の搬送機構30における共通の駆動源を構成し、かつ正逆回転可能な搬送モータ46と、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、複数の搬送機構30における一方の搬送機構30のみを駆動させる一方、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、複数の搬送機構30における他方の搬送機構30のみを駆動させる駆動ユニット40とを備えている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動する場合に、予め設定された搬送領域では商品を搬送しつつ前記搬送領域に連続する払出領域では商品を払い出す複数の搬送機構を備えた商品収納装置であって、
前記複数の搬送機構における共通の駆動源を構成し、かつ正逆回転可能な搬送モータと、
前記搬送モータが正回転駆動する場合に、前記複数の搬送機構における一方の搬送機構のみを駆動させる一方、前記搬送モータが逆回転駆動する場合に、前記複数の搬送機構における他方の搬送機構のみを駆動させる伝達手段と
を備えたことを特徴とする商品収納装置。
【請求項2】
前記搬送モータは、前記一方の搬送機構と前記他方の搬送機構との間に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の商品収納装置。
【請求項3】
前記伝達手段は、非連結状態と連結状態との間で切替可能な切替機構を備え、
前記切替機構は、前記非連結状態では、正回転駆動する前記搬送モータの駆動力が前記他方の搬送機構に伝達することを規制する一方、前記連結状態では、正回転駆動する前記搬送モータの駆動力が前記他方の搬送機構に伝達することを許容して該他方の搬送機構を前記一方の搬送機構と同期して駆動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の商品収納装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、上下一対のスプロケット間に無端状に張設された搬送チェーンに対し、該搬送チェーンの延在方向に沿って複数の棚が所定間隔毎に設けられて構成され、かつ前記搬送領域では前記搬送チェーンが下方に向けて変位することにより前記棚の上面に載置された商品を下方に向けて搬送しつつ、前記払出領域では前記棚に載置された商品を下方に払い出すことを特徴とする請求項1に記載の商品収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動販売機に適用される商品収納装置では、上下一対のスプロケット間に無端状に張設された搬送チェーンに対し、該搬送チェーンの延在方向に沿って複数の棚が所定間隔毎に設けられて構成された搬送機構が設けられたものが知られている。かかる商品収納装置では、搬送チェーンが変位する場合に、搬送領域で棚に載置された商品が下方に向けて搬送され、払出領域で棚に載置された商品が下方に払い出すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記商品収納装置では、搬送機構が複数設けられているのが一般的であり、搬送機構毎に駆動源である搬送モータが設けられているので、搬送機構の数だけ搬送モータが必要になり、部品点数の増大による製造コストの増大化が問題となっていた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストの低減化を図ることができる商品収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る商品収納装置は、駆動する場合に、予め設定された搬送領域では商品を搬送しつつ前記搬送領域に連続する払出領域では商品を払い出す複数の搬送機構を備えた商品収納装置であって、前記複数の搬送機構における共通の駆動源を構成し、かつ正逆回転可能な搬送モータと、前記搬送モータが正回転駆動する場合に、前記複数の搬送機構における一方の搬送機構のみを駆動させる一方、前記搬送モータが逆回転駆動する場合に、前記複数の搬送機構における他方の搬送機構のみを駆動させる伝達手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記搬送モータは、前記一方の搬送機構と前記他方の搬送機構との間に配置されたことを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記伝達手段は、非連結状態と連結状態との間で切替可能な切替機構を備え、前記切替機構は、前記非連結状態では、正回転駆動する前記搬送モータの駆動力が前記他方の搬送機構に伝達することを規制する一方、前記連結状態では、正回転駆動する前記搬送モータの駆動力が前記他方の搬送機構に伝達することを許容して該他方の搬送機構を前記一方の搬送機構と同期して駆動させることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記商品収納装置において、前記搬送機構は、上下一対のスプロケット間に無端状に張設された搬送チェーンに対し、該搬送チェーンの延在方向に沿って複数の棚が所定間隔毎に設けられて構成され、かつ前記搬送領域では前記搬送チェーンが下方に向けて変位することにより前記棚の上面に載置された商品を下方に向けて搬送しつつ、前記払出領域では前記棚に載置された商品を下方に払い出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝達手段が、搬送モータが正回転駆動する場合に、複数の搬送機構における一方の搬送機構のみを駆動させる一方、搬送モータが逆回転駆動する場合に、複数の搬送機構における他方の搬送機構のみを駆動させるので、搬送機構の数に対して搬送モータの数を低減させることができ、部品点数の削減により製造コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置を適用した自動販売機の内部構造を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した商品収納装置の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した駆動ユニットの縦断面を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、
図5及び
図6に示した駆動ケースの内部構造を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、駆動シャフトと第2伝達軸部との非連結状態を説明するための斜視図である。
【
図11】
図11は、駆動ユニットの縦断面を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、駆動シャフトと第2伝達軸部との連結状態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である商品収納装置を適用した自動販売機の内部構造を模式的に示す斜視図である。ここで例示する自動販売機は、本体キャビネット1、外扉2及び内扉3を備えている。
【0014】
本体キャビネット1は、正面に開口を有した直方状の形態をなし、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって形成されたものである。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。図には明示していないが、この外扉2は、その前面側に商品見本を展示する商品展示室と、商品を選択するための商品選択ボタンと、硬貨を投入するための硬貨投入口と、紙幣を挿入するための紙幣挿入口と、商品を取り出すための商品取出口4と、硬貨を返却するための硬貨返却口とが設けられている一方、その後面側に自動販売機の動作を制御するための制御基板と、硬貨投入口を通じて受け入れた硬貨の金銭処理を行う硬貨処理装置と、紙幣挿入口を通じて受け入れた紙幣の金銭処理を行う紙幣処理装置とが設けられている。
【0015】
内扉3は、後述する商品収容庫6の前面開口を覆うための断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において開閉可能に配設されている。この内扉3の下方部は、商品を商品収容庫6の外部に搬出するための商品搬出口5が設けられている。
【0016】
上記本体キャビネット1の内部には、商品収容庫6が設けられている。より詳細には、本体キャビネット1の内部には、断熱底壁1aにより上下に区画されており、下方側に機械室7が設けられている一方、上方側に商品収容庫6が設けられている。機械室7には、自動販売機の種々の機器が配設されており、圧縮機(図示せず)や凝縮器8等が配設されている。
【0017】
商品収容庫6は、商品を所望の温度状態に維持して収容するものであり、断熱構造を有している。この商品収容庫6の内部には、シュータ9が設けられており、このシュータ9の下方となる領域に図示せぬ温度調節ユニットが配設されている一方、シュータ9よりも上方となる領域(以下、商品収納領域ともいう)に商品収納装置20が配設されている。
【0018】
シュータ9は、商品収納装置20から払い出された商品を内扉3の商品搬出口5に案内するためのプレート状部材であり、前方に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設されている。
【0019】
温度調節ユニットは、商品収容庫6の内部空気(内部雰囲気)を所望の温度状態に維持するためのもので、図には明示しないが、蒸発器、ヒータ及び送風ファンを備えて構成されている。蒸発器は、本体キャビネット1の機械室7に配設された圧縮機、凝縮器8及び膨張機構等と冷媒配管を通じて冷凍サイクルを構成している。この温度調節ユニットにおいては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で送風ファンを駆動すると、蒸発器において冷却された空気がシュータ9に形成された通気孔を通じて上方に送出され、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、ヒータに通電した状態で送風ファンを駆動すると、ヒータにより加熱された空気がシュータ9の通気孔を通じて上方に送出され、商品収納領域を高温状態に維持することができる。
【0020】
商品収納装置20は、引出手段10を介して本体キャビネット1に支持されている。ここで引出手段10は、固定レール(図示せず)と支持レール11とで構成されており、固定レール及び支持レール11は、それぞれ長尺状に形成されている。固定レールは、商品収容庫6の天壁に前後方向に沿って固定されており、支持レール11を長手方向に摺動可能に支持している。支持レール11は、商品収納装置20の装置本体21の上壁部に取り付けられている。つまり、
図1に示すように、固定レールに沿って支持レール11が摺動することにより、商品収納装置20が商品収容庫6の前面開口部であって本体キャビネット1の前面開口部から外部に引き出されることになる。
【0021】
商品収納装置20の装置本体21は、図には明示していないが、底壁部の全域に払出口が形成されるとともに、右側壁部の全域に補充口が形成されており、補充口は、複数の扉体22により開閉可能である。
【0022】
そのような装置本体21の内部には、
図2に示すように、複数(図示の例では6つ)の搬送機構30が前後方向に沿って並ぶよう設けられている。これら搬送機構30は、単独で、あるいは互いに前後に隣接する他の搬送機構30との2組でコラムを構成するものである。つまり、装置本体21の内部には、最小で3つ、若しくは最大で6つの複数のコラムが前後方向に沿って並設されている。
【0023】
尚、本実施の形態では、1つの搬送機構30が1つのコラムを構成するものとし、装置本体21の内部に6つのコラムが前後方向に沿って一列に並設されているものとする。また装置本体21の内部には、各コラム間に図示せぬ仕切板が適宜取り付けられている。
【0024】
搬送機構30は、いわゆるチェーンエレベータ式搬送機構により構成された公知のものであり、ここでは簡単にその構成及び動作を説明する。
【0025】
このような搬送機構30は、
図3及び
図4に示すように、上下一対のスプロケット31,32間に無端状に張設された搬送チェーン33に、複数の棚34が該搬送チェーン33の延在方向に沿って所定間隔毎に連結されて構成されている。これらスプロケット31,32のうち上方スプロケット31は、駆動ユニット40により駆動力が伝達されることにより、自身の中心軸回りに回転する駆動側のものであり、下方スプロケット32は上方スプロケット31の回転に応じて搬送チェーン33が変位することにより自身の中心軸回りに回転する従動側のものである。
【0026】
そして、上方スプロケット31が回転することにより、搬送チェーン33が自身の延在方向に沿って変位する。より詳細に説明すると、搬送チェーン33の右方側となる搬送領域35aでは、搬送チェーン33が下方に向けて変位する。この搬送領域35aの下方域であって下方スプロケット32の周辺の払出領域35bでは、搬送チェーン33が下方から上方に変位する。そして、搬送チェーン33の左方側となる帰還領域35cでは搬送チェーン33が上方に変位する。
【0027】
搬送チェーン33に配置された棚34は、基端部分が搬送チェーン33に連結されており、該搬送チェーン33の変位に従って通過するものである。そして、棚34は、搬送領域35aにおいて、搬送チェーン33から離隔するに連れて、すなわち基端部分から先端部分に向けて漸次上方に傾斜延在した状態で下方に向けて通過するものである。これら棚34は、帰還領域35cでは、一部の構成要素が折りたたまれたり、搬送チェーン33に対して基端部分から先端部分に向かうに連れて漸次下方に傾斜した姿勢となったりして、搬送チェーン33の変位に従って上方に向けて通過するものである。
【0028】
そのような搬送機構30では、駆動ユニット40からの駆動力が伝達されることにより、搬送チェーン33が所定量変位する。これにより、搬送領域35aの各棚34に載置された商品は所定量だけ下方に向けて変位し、払出領域35bに達した棚34に載置された商品が下方に向けて払い出される。払い出された商品は、シュータ9を転動し、商品搬出口5を通過して商品取出口4に至り、取り出し可能状態になる。
【0029】
以上説明したような搬送機構30は、
図2に示したように、最前のものと前方から2番目のものとが共通の駆動ユニット40により駆動力が伝達され、前方から3番目のものと前方から4番目のものとが共通の駆動ユニット40により駆動力が伝達され、前方から5番目のものと前方から6番目のものとが共通の駆動ユニット40により駆動力が伝達される。
【0030】
図5は、
図2及び
図3に示した駆動ユニット40を拡大して示す斜視図であり、
図6は、
図5に示した駆動ユニット40の縦断面を示す斜視図である。これら
図5及び
図6にも示すように、駆動ユニット40は、前方から奇数番目(1番目、3番目及び5番目)の搬送機構30における上方スプロケット31の後方側であって、前方から偶数番目(2番目、4番目及び6番目)の搬送機構30における上方スプロケット31の前方側に配設されている。ここで例示する駆動ユニット40は、駆動シャフト41と、第1伝達軸部48と、内歯歯車51と、第2伝達軸部56とを備えて構成されている。
【0031】
駆動シャフト41は、中心軸が前後方向に沿って延在する略円柱状部材である。この駆動シャフト41は、
図7に示すように、後端部411の外周部分の一部が切り欠かれて平面状部分が形成されている。また、駆動シャフト41の前端部412は、上記後端部411や該後端部411との間の中央部413よりも外径が小さくなるよう細径に形成されている。更に、駆動シャフト41の前端部412における前端部分4121は、外周部分の一部が切り欠かれて平面状部分が形成されている(
図10参照)。
【0032】
そのような駆動シャフト41は、中央部413が伝達ガイド42に囲繞されており、該伝達ガイド42と一体的に回転可能である。伝達ガイド42は、中心軸が駆動シャフト41の中心軸に一致する態様で駆動シャフト41の中央部413を囲繞する略円筒状部材である。この伝達ガイド42は、前後一対の駆動ケース43a,43bに形成された挿通孔部44を挿通した状態で配設されている。
【0033】
かかる伝達ガイド42は、駆動ケース43a,43bの内部に設けられた複数の連係ギア45を介して該駆動ケース43a,43bに配設された搬送モータ46に連係している。搬送モータ46は、前方側の搬送機構(前方から奇数番目の搬送機構)30と、後方側の搬送機構(前方から偶数番目の搬送機構)30との共通の駆動源であり、正逆回転可能なものである。
【0034】
上記伝達ガイド42は、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、自身の中心軸回りに前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転するものであり、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、自身の中心軸回りに前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転するものである。
【0035】
これにより、駆動シャフト41は、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、伝達ガイド42とともに自身の中心軸回りに前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転するものであり、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、伝達ガイド42とともに自身の中心軸回りに前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転するものである。
【0036】
第1伝達軸部48は、後方側の搬送機構30における上方スプロケット31を貫通する態様で配設されている。この第1伝達軸部48は、自身の中心軸が上方スプロケット31の回転軸に一致する態様で該上方スプロケット31を貫通しており、中心軸回りに該上方スプロケット31と一体的に回転可能である。
【0037】
かかる第1伝達軸部48は、中心軸が駆動シャフト41の中心軸に一致する態様で、該駆動シャフト41の後方側に配置されており、第1クラッチ部材49を介して伝達ガイド42の後端部に連結されている。
【0038】
第1クラッチ部材49は、いわゆるワンウェイクラッチと称されるもので、伝達ガイド42(駆動シャフト41)が前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転する場合に、その回転駆動力を第1伝達軸部48に伝達する一方、伝達ガイド42(駆動シャフト41)が前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転する場合に、その回転駆動力が第1伝達軸部48に伝達されることを規制するものである。
【0039】
つまり、第1伝達軸部48は、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、回転駆動力が伝達されて自身の中心軸回りに前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転する一方、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、回転駆動力が伝達されずに回転しない。
【0040】
内歯歯車51は、中心軸が駆動シャフト41の中心軸に一致しており、中心部分に形成された孔部511を該駆動シャフト41の前端部412が相対的に挿通している。この内歯歯車51には、
図8にも示すように、外歯歯車52が回転可能に設けられている。外歯歯車52は、一部のギア部が内歯歯車51の一部のギア部に噛合しており、内歯歯車51と同方向に回転するものである。この外歯歯車52には、伝達ギア53が噛合している。
【0041】
伝達ギア53は、略円筒状の形態を成しており、中心軸が駆動シャフト41の中心軸及び内歯歯車51の中心軸に一致している。この伝達ギア53は、駆動シャフト41の前端部412における前端部分4121が中空部分531に進入している。伝達ギア53は、外周部分のギア部の一部が外歯歯車52の一部のギア部に噛合しており、自身の中心軸回りに外歯歯車52と逆方向に回転するものである。かかる伝達ギア53は、前端開口532における縁部の一部が中心軸に向けて延在しつつその端面が平面を成しており、これにより前端開口532はD形状を成している。
【0042】
上記内歯歯車51は、第2クラッチ部材54を介して伝達ガイド42の前端部に連結されている。第2クラッチ部材54は、いわゆるワンウェイクラッチと称されるもので、伝達ガイド42(駆動シャフト41)が前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転する場合に、その回転駆動力を内歯歯車51に伝達する一方、伝達ガイド42(駆動シャフト41)が前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転する場合に、その回転駆動力が内歯歯車51に伝達されることを規制するものである。
【0043】
これにより、伝達ギア53は、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、回転駆動力が伝達されずに回転せず、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、内歯歯車51及び外歯歯車52を通じて回転駆動力が伝達され、自身の中心軸回りに前方から見て前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転するものである。
【0044】
第2伝達軸部56は、前後方向が長手方向となる長尺柱状部材であり、中心軸が駆動シャフト41の中心軸に一致する態様で配設されている。この第2伝達軸部56は、
図9にも示すように、基端領域部561、中央領域部562及び先端領域部563が一体的に成形されて構成されている。
【0045】
基端領域部561は、最前方となる部分であり、外径寸法が最も大きい柱状部分である。中央領域部562は、基端領域部561の後端に連続し、外径寸法が基端領域部561の外径寸法よりも小さい略円柱状部分である。この中央領域部562には、基端領域部561から離隔した部分から後端部分にかけて中央挿入部分5621が形成されている。中央挿入部分5621は、外周部分の一部が切り欠かれて平面状部分が形成されており、長手方向に直交する横断面がD形状を成している。この中央挿入部分5621は、前方側の搬送機構30における上方スプロケット31の中空孔31aに適合する大きさを有しており、該中空孔31aに挿入されている。これにより、第2伝達軸部56は、前方側の搬送機構30における上方スプロケット31と、自身の中心軸回りに一体的に回転可能である。
【0046】
先端領域部563は、中央領域部562の後端に連続する部分であり、細径部5631と作用部5632とを有している。細径部5631は、中央領域部562に連続する円柱状部分であり、その外径寸法は中央領域部562の外径寸法よりも小さい。この細径部5631の前後寸法は、中央領域部562における中央挿入部分5621の前後寸法と合算した大きさが、上記上方スプロケット31の中空孔31aの前後寸法よりも大きくなるように調整されている。かかる細径部5631も中央挿入部分5621と同様に、その大部分が中空孔31aに挿入されている。
【0047】
作用部5632は、細径部5631の後端に連続する部分である。この作用部5632は、上記中央挿入部分5621と同様に、長手方向に直交する横断面がD形状を成しており、その外径寸法が中央挿入部分5621と略同じであり、伝達ギア53の前端開口532に適合する大きさを有している。この作用部5632は、一部にスリット5632aが形成されて二股状に分岐しており、伝達ギア53の前端開口532より中空部分531に進入している。
【0048】
上記第2伝達軸部56は、作用部5632が駆動シャフト41の前端部分4121に対して近接離反する態様で前後方向に沿ってスライド可能に配設されている。
【0049】
そして、第2伝達軸部56は、
図6に示したように最も前方にスライドした場合には、
図10に示すように作用部5632は駆動シャフト41の前端部分4121から離隔して該駆動シャフト41と非連結状態となる。
【0050】
このように第2伝達軸部56が駆動シャフト41と非連結状態となる場合、
図6に示したように作用部5632の平面状部分が伝達ギア53の前端開口532の平面状部分に対向配置され、第2伝達軸部56は伝達ギア53に係合する。このように伝達ギア53と係合する第2伝達軸部56は、自身の中心軸回りに該伝達ギア53と一体的に回転可能である。
【0051】
これにより、第2伝達軸部56は、最も前方にスライドした状態において、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、回転駆動力が伝達されずに回転せず、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、伝達ギア53を通じて回転駆動力が伝達され、自身の中心軸回りに前方から見て前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転するものである。
【0052】
一方、第2伝達軸部56は、
図11に示すように最も後方にスライドした場合には、
図12に示すように作用部5632におけるスリット5632aに駆動シャフト41の前端部分4121が相対的に進入して該駆動シャフト41と連結状態となる。
【0053】
このように第2伝達軸部56が駆動シャフト41と連結状態となる場合、第2伝達軸部56は、
図11に示したように作用部5632の細径部5631が伝達ギア53の前端開口532を挿通して伝達ギア53との係合状態が解除され、自身の中心軸回りに駆動シャフト41と一体的に回転可能である。
【0054】
これにより、第2伝達軸部56は、最も後方にスライドした状態において、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、駆動シャフト41を通じて回転駆動力が伝達され、自身の中心軸回りに前方から見て前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転するものである。尚、搬送モータ46が逆回転駆動する場合、第2伝達軸部56には回転駆動力が伝達されない。
【0055】
以上のような構成を有する駆動ユニット40では、第2伝達軸部56が最も前方にスライドした状態において、搬送モータ46が正回転駆動する場合、伝達ガイド42→第1クラッチ部材49→第1伝達軸部48の順に回転駆動力が伝達され、後方側の搬送機構30における上方スプロケット31を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転させる。これにより、後方側の搬送機構30では、搬送チェーン33が所定量変位することになり、搬送領域35aの各棚34に載置された商品は所定量だけ下方に向けて変位し、払出領域35bに達した棚34に載置された商品が下方に向けて払い出される。
【0056】
一方、第2伝達軸部56が最も前方にスライドした状態において、搬送モータ46が逆回転駆動する場合、伝達ガイド42→第2クラッチ部材54→内歯歯車51→外歯歯車52→伝達ギア53→第2伝達軸部56の順に回転駆動力が伝達され、前方側の搬送機構30における上方スプロケット31を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転させる。これにより、前方側の搬送機構30では、搬送チェーン33が所定量変位することになり、搬送領域35aの各棚34に載置された商品は所定量だけ下方に向けて変位し、払出領域35bに達した棚34に載置された商品が下方に向けて払い出される。
【0057】
ところで、前方側の搬送機構30と後方側の搬送機構30とが共通のコラムを構成しており、前方側の搬送機構30の棚34と、後方側の搬送機構30の棚34とに跨る態様で商品を載置している場合には、第2伝達軸部56を最も後方にスライドさせる。これにより、駆動ユニット40では、搬送モータ46が正回転駆動する場合、伝達ガイド42→第1クラッチ部材49→第1伝達軸部48の順に回転駆動力が伝達されるとともに、駆動シャフト41→第2伝達軸部56の順に回転駆動力が伝達され、前方側の搬送機構30及び後方側の搬送機構30における上方スプロケット31を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に同期して回転させる。これにより、前方側の搬送機構30及び後方側の搬送機構30では、搬送チェーン33が所定量変位することになり、前方側の搬送機構30の棚34と後方側の搬送機構30の棚34とに跨る態様で載置された商品が、払出領域35bに達することで下方に向けて払い出される。
【0058】
本発明の実施の形態である商品収納装置20において、上記駆動ユニット40は、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、複数(2つ)の搬送機構30における一方(後方側)の搬送機構30のみを駆動させる一方、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、複数(2つ)の搬送機構30における他方(前方側)の搬送機構30のみを駆動させる本発明の伝達手段を構成している。
【0059】
また、駆動ユニット40における駆動シャフト41及び第2伝達軸部56は、非連結状態では、正回転駆動する搬送モータ46の駆動力が他方(前方側)の搬送機構30に伝達することを規制する一方、連結状態では、正回転駆動する搬送モータ46の駆動力が他方(前方側)の搬送機構30に伝達することを許容して該他方(前方側)の搬送機構30を一方(後方側)の搬送機構30と同期して駆動させる本発明の切替機構を構成している。
【0060】
以上説明したような構成を有する商品収納装置20によれば、駆動ユニット40が、第2伝達軸部56が最も前方にスライドした状態において、搬送モータ46が正回転駆動する場合に、後方側の搬送機構30のみを駆動させる一方、搬送モータ46が逆回転駆動する場合に、前方側の搬送機構30のみを駆動させるので、搬送機構30の数に対して搬送モータ46の数を低減させることができ、部品点数の削減により製造コストの低減化を図ることができる。
【0061】
上記商品収納装置20によれば、駆動ユニット40における駆動シャフト41及び第2伝達軸部56は、非連結状態では、正回転駆動する搬送モータ46の駆動力が前方側の搬送機構30に伝達することを規制する一方、連結状態では、正回転駆動する搬送モータ46の駆動力が前方側の搬送機構30に伝達することを許容して、前方側の搬送機構30を後方側の搬送機構30と同期して駆動させるので、前方側の搬送機構30と後方側の搬送機構30とに跨る態様で商品を搬送領域35aで搬送させつつ、払出領域35bで払い出すことができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0063】
上述した実施の形態では、第2伝達軸部56が前後方向に沿ってスライド可能であり、第2伝達軸部56が前方にスライドして駆動シャフト41と非連結状態となる場合には、第2伝達軸部56と伝達ギア53とが係合する一方、第2伝達軸部56が後方にスライドして駆動シャフト41と連結状態となる場合には、第2伝達軸部56と伝達ギア53との係合状態を解除するようにしていたが、本発明においては、次のような構成を採用することもできる。
【0064】
すなわち、
図13に示すように、第2伝達軸部56′の先端領域部563′には、先端雌ネジ部5633と先端雄ネジ部5634とが形成されており、駆動シャフト41′と非連結状態となる場合には、第2伝達軸部56′は、伝達ギア53′に形成された前端雌ネジ部533に先端雄ネジ部5634が噛合している。そのような状態では、第2伝達軸部56′が伝達ギア53′とともに一体的に回転する。一方、第2伝達軸部56′を中心軸回りに回転させながら駆動シャフト41′に近接させ、
図14に示すように、先端雌ネジ部5633が駆動シャフト41′に形成された駆動雄ネジ部415に噛合して第2伝達軸部56′が駆動シャフト41′に連結状態となる。このような連結状態では、先端雄ネジ部5634と前端雌ネジ部533との噛合が解除され、第2伝達軸部56′は駆動シャフト41′とともに一体的に回転する。
【0065】
上述した実施の形態では特に言及していないが、第2伝達軸部56の前後方向のスライドは、手動にて行われてもよいし、アクチュエータ等により自動で行われてもよい。
【0066】
上述した実施の形態では、搬送機構30がいわゆるチェーンエレベータ式搬送機構であったが、本発明においては、搬送機構は、搬送ベルトにより構成されていてもよいし、スパイラル等により構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
20…商品収納装置、21…装置本体、22…扉体、30…搬送機構、31,32…スプロケット、33…搬送チェーン、34…棚、35a…搬送領域、35b…払出領域、35c…帰還領域、40…駆動ユニット、41…駆動シャフト、411…後端部、412…前端部、4121…前端部分、413…中央部、42…伝達ガイド、43a,43b…駆動ケース、44…挿通孔部、45…連係ギア、46…搬送モータ、48…第1伝達軸部、49…第1クラッチ部材、51…内歯歯車、52…外歯歯車、53…伝達ギア、531…中空部分、532…前端開口、54…第2クラッチ部材、56…第2伝達軸部、561…基端領域部、562…中央領域部、5621…中央挿入部分、563…先端領域部、5631…細径部、5632…作用部、5632a…スリット。