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特開2024-152315硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152315
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/75 20060101AFI20241018BHJP
   C11D 1/90 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C11D1/75
C11D1/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066432
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】397056042
【氏名又は名称】セッツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 義輝
(72)【発明者】
【氏名】村上 拡
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003BA12
4H003DA05
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA16
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB16
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物であって、
前記洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、
前記アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、
前記ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む、洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物であって、
前記洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、
前記アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、
前記ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む、洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記ベタイン型界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びラウリルヒドロキシスルホベタインからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アミンオキシド系界面活性剤と前記ベタイン型界面活性剤との質量比が、1:5~5:1の範囲である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
水溶性溶剤をさらに含む、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
pHが5.0~9.0の範囲内である、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
硬質表面に付着した食用油の洗浄方法であって、
請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物を用意する工程と、
前記洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着した食用油を洗浄する洗浄工程と、
前記硬質表面から洗浄剤を取り除く工程と、
を備える、硬質表面に付着した食用油の洗浄方法。
【請求項7】
前記洗浄工程を、0℃から40℃の環境で行う、請求項6に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記洗浄工程において、フォーム状にした前記洗浄剤組成物を、前記硬質表面に接触させて、前記硬質表面に付着した食用油を洗浄する、請求項6又は7に記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物、硬質表面に付着した食用油の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食用油は、熱や時間などで変性し、洗浄が困難になる。そのため、例えば、換気扇、レンジ周りの洗浄には、一般的な台所用中性洗剤ではなく、油汚れの除去力にすぐれたアルカリ性の洗浄剤が使われることがほとんどである。
【0003】
しかしながら、アルカリ性洗浄剤は、身体に対する刺激性や腐食性があり、失明のリスクなどもある。このため、食用油の洗浄剤として使用可能な、中性領域の洗浄剤が求められる。
【0004】
例えば、特許文献1には、(a)炭素数11以上18以下の炭化水素基を1つ以上有する界面活性剤〔以下、(a)成分という〕、(b)炭素数1以上10以下の炭化水素基を1つ以上有するδphが2以上17以下の非イオン性化合物〔以下、(b)成分という〕、及び水を含有する洗浄剤組成物であって、(a)成分として、(a1)ベタイン型界面活性剤、及びアミンオキシド型界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤〔以下、(a1)成分という〕を含有し、(a)成分中の(a1)成分の割合が60質量%以上であり、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量との質量比である(b)/(a)が0.01以上0.5未満であり、25℃におけるpHが5以上9以下である、洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-13161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたような従来の洗浄剤組成物は、中性領域で使用できるものの、食用油に対する洗浄力が必ずしも十分とはいえず、洗浄力のさらなる向上が求められる。
【0007】
本発明は、硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供することを主な目的とする。さらに、本発明は、当該洗浄剤組成物を利用した硬質表面に付着した食用油の洗浄方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物において、アミンオキシド系界面活性剤としてのミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方と、ベタイン型界面活性剤としてのアルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方とを併用することで、硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物であって、
前記洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、
前記アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、
前記ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む、洗浄剤組成物。
項2. 前記ベタイン型界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びラウリルヒドロキシスルホベタインからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1に記載の洗浄剤組成物。
項3. 前記アミンオキシド系界面活性剤と前記ベタイン型界面活性剤との質量比が、1:5~5:1の範囲である、項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
項4. 水溶性溶剤をさらに含む、項1~3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
項5. pHが5.0~9.0の範囲内である、項1~4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
項6. 硬質表面に付着した食用油の洗浄方法であって、
項1又は2に記載の洗浄剤組成物を用意する工程と、
前記洗浄剤組成物を、硬質表面に接触させて、付着した食用油を洗浄する洗浄工程と、
前記硬質表面から洗浄剤を取り除く工程と、
を備える、硬質表面に付着した食用油の洗浄方法。
項7. 前記洗浄工程を、0℃から40℃の環境で行う、項6に記載の洗浄方法。
項8. 前記洗浄工程において、フォーム状にした前記洗浄剤組成物を、前記硬質表面に接触させて、前記硬質表面に付着した食用油を洗浄する、項6又は7に記載の洗浄方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができる、洗浄剤組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該洗浄剤組成物を利用した硬質表面に付着した油の洗浄方法を提供することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物である。本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明の洗浄剤組成物は、このような構成を備えていることにより、硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができる。
【0013】
また、例えば、一般家庭のキッチン、飲食店の厨房、食品加工設備などにおいては、食用油と共に、細菌が硬質表面に付着していることがある。本発明の洗浄剤組成物は、硬質表面に付着した食用油を効率的に洗浄することができ、かつ硬質表面に細菌が付着している場合にも、細菌を好適に除菌することができる。
【0014】
本発明の洗浄剤組成物が洗浄対象とする食用油としては、特に制限されず、例えば、大豆油、なたね油、米油、ごま油、コーン油、べに花油、パーム油、キャノーラ油、ひまわり油、オリーブオイル、綿実油、グレープシードオイル、しそ油、エゴマ油、亜麻仁油、ココナッツオイル、アボカドオイル、マーガリン等の植物由来の油、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、バターなどの動物由来の油(脂)などが挙げられる。洗浄対象とする食用油は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。また、洗浄対象とする食用油は、変性(変成)された状態(一般に、変性油、変成油、熱変性油、熱変成油などと称される)であってもよい。前記の通り、食用油は、熱や時間などで変性(例えば、熱によって熱酸化重合などが起こり,主にヒドロキシル基をもつ二量体などが生成し、さらに分解生成物なども生じる)し、洗浄が困難になる。そのため、例えば、換気扇、レンジ周りの洗浄には、一般的な台所用中性洗剤ではなく、油汚れの除去力にすぐれたアルカリ性の洗浄力が使われることがほとんどである。これに対して、本発明の洗浄剤組成物は、例えば中性領域(pH5.0~9.0)において、変性した食用油(変性油)に対しても優れた洗浄効果を発揮する。
【0015】
後述の通り、本発明の洗浄剤組成物は、そのまま洗浄剤として使用することもできるし、本発明の洗浄剤組成物を洗浄剤原液とし、用時に洗浄剤原液を水で希釈して洗浄剤として使用してもよい。
【0016】
以下、本発明の洗浄剤組成物、当該洗浄剤組成物を利用した硬質表面に付着した食用油の洗浄方法について、詳述する。なお、本明細書において、「~」で結ばれた数値は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。複数の下限値と複数の上限値が別個に記載されている場合、任意の下限値と上限値を選択し、「~」で結ぶことができるものとする。
【0017】
1.洗浄剤組成物
本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含む。さらに、本発明の洗浄剤組成物において、アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む。すなわち、本発明の洗浄剤組成物は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方と、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方とを併用した、硬質表面に付着した食用油の洗浄剤組成物である。
【0018】
本発明の洗浄剤組成物に含まれるアミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方であり、ミリスチルジメチルアミンオキシドを含むことが好ましい。本発明の洗浄剤組成物に含まれるアミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方のみであってもよいし、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドとは異なる他のアミンオキシド系界面活性剤をさらに含んでいてもよい。他のアミンオキシド系界面活性剤としては、例えば、オクチルジメチルアミンオキシド、デシルジメチルアミンオキシド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ステアリルラウリルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。本発明の洗浄剤組成物に他のアミンオキシド系界面活性剤が含まれる場合、本発明の洗浄剤組成物に含まれる他のアミンオキシド系界面活性剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。
【0019】
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の洗浄剤組成物において、アミンオキシド系界面活性剤におけるミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの合計含有率は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。特に、ミリスチルジメチルアミンオキシド含有率が、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0020】
また、本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の洗浄剤組成物において、アミンオキシド系界面活性剤の含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、本発明の洗浄剤組成物において、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの合計含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明の洗浄剤組成物において、特に、ミリスチルジメチルアミンオキシド含有率が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物に含まれるベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む。本発明の効果をより好適に発揮する観点から、ベタイン型界面活性剤は、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどのヒドロキシスルホベタインからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物に含まれるベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方のみであってもよいし、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインとは異なる他のベタイン型界面活性剤をさらに含んでいてもよい。他のベタイン型界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインなどが挙げられる。本発明の洗浄剤組成物に他のベタイン型界面活性剤が含まれる場合、本発明の洗浄剤組成物に含まれる他のベタイン型界面活性剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。
【0023】
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の洗浄剤組成物において、ベタイン型界面活性剤におけるアルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの合計含有率は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
【0024】
また、本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の洗浄剤組成物において、ベタイン型界面活性剤の含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。また、本発明の洗浄剤組成物において、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの合計含有率は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは25質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
【0025】
本発明の効果をより好適に発揮する観点から、本発明の洗浄剤組成物において、アミンオキシド系界面活性剤とベタイン型界面活性剤との質量比は、好ましくは1:5~5:1の範囲であり、より好ましくは1:3~3:1の範囲であり、さらに好ましくは1:2~2:1の範囲である。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤に加えて、水溶性溶剤をさらに含んでいてもよい。本発明の洗浄剤組成物が水溶性溶剤を含むことで、洗浄剤組成物の起泡力が高められる。水溶性溶剤としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ2-エチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤、エタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノールなどのアルコール系溶剤などが挙げられる。本発明の洗浄剤組成物に水溶性溶剤が含まれる場合、本発明の洗浄剤組成物に含まれる水溶性溶剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。
【0027】
本発明の効果を好適に発揮しつつ、起泡力を高める観点から、本発明の洗浄剤組成物において、水溶性溶剤の含有率は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上であり、また、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは6.0質量%以下である。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、水を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。本発明の洗浄剤組成物を硬質表面の洗浄に利用する場合には、水を含む組成物として硬質表面に付着させて洗浄を行う。本発明の洗浄剤組成物が水を含む場合、洗浄剤組成物をそのまま洗浄剤として使用することもできるし、本発明の洗浄剤組成物を洗浄剤原液とし、用時に洗浄剤原液を水で希釈して洗浄剤として使用することもできる。
【0029】
本発明の洗浄剤組成物をそのまま洗浄剤として使用する場合、洗浄剤組成物中の水の含有率としては、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは99.5質量%以下、さらに好ましくは98.5質量%以下である。また、本発明の洗浄剤組成物を洗浄剤原液とし、用時に洗浄剤原液を水で希釈して洗浄剤として使用する場合、洗浄剤原液としての洗浄剤組成物中の水の含有率としては、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
【0030】
本発明の洗浄剤組成物を洗浄剤原液とする場合には、洗浄剤原液を用時に水で希釈して硬質表面の洗浄に用いる。例えば、洗浄剤原液を、質量基準で1.1倍から100倍に水で希釈して、洗浄剤を調製する。
【0031】
洗浄剤原液の希釈倍率は、洗浄剤組成物の組成に応じて適宜調製することができ、希釈倍率は質量基準で1.1倍から100倍程度である。硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、当該希釈倍率は、質量基準で、好ましくは1.1倍から100倍、より好ましくは1.1倍から20倍、さらに好ましくは1.1倍から10倍である。
【0032】
水としては、特に制限されず、水道水などを使用することができる。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、水溶性溶剤、水以外に、他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えば、キレート剤、pH調整剤、安定化剤、分散剤、色素などが挙げられる。なお、本発明の洗浄剤組成物は、pHが5.0~9.0の範囲内(好ましくは6.0~8.0の範囲内)の中性領域で使用することが好ましい。このため、本発明の洗浄剤組成物は、このようなpHの範囲を超えさせるようなアルカリ成分を含まないことが好ましい。
【0034】
洗浄剤組成物中の他の成分の含有率としては、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であり、また、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
【0035】
キレート剤としては、洗浄剤組成物に使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、アスパラギン酸二酢酸、グルタミン酸二酢酸、メチルグリシンニ酢酸、β―アラニン二酢酸などのアミノカルボン酸化合物およびそれらの塩などが挙げられる。また、オルソリン酸、ポリリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸などのホスホン酸化合物およびそれらの塩などが挙げられる。さらにクエン酸、グルコン酸、フィチン酸などの有機酸およびそれらの塩などが挙げられる。洗浄剤組成物に含まれるキレート剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。
【0036】
また、pH調整剤としては、洗浄剤組成物に使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、クエン酸、塩酸、硫酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。洗浄剤組成物に含まれるpH調整剤は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。
【0037】
発明の洗浄剤組成物のpHは、好ましくは5.0~9.0の範囲内、より好ましくは6.0~8.0の範囲内である。
【0038】
本発明の洗浄剤組成物は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含むアミンオキシド系界面活性剤、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含むベタイン型界面活性剤、必要に応じて、水溶性溶剤、水、他の成分(キレート剤、pH調整剤、安定化剤、分散剤、色素など)を混合することによって調製することができる。
【0039】
後述の通り、硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、洗浄液は、スプレー容器などでフォーム状としてから、洗浄工程を行うことが好ましい。
【0040】
洗浄剤を調製する際の環境温度は、硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、好ましくは0~40℃程度、より好ましくは10~30℃程度が挙げられる。
【0041】
2.洗浄方法
本発明の洗浄方法は、硬質表面に付着した食用油の洗浄方法である。本発明の洗浄方法は、前述した本発明の洗浄剤組成物を利用した洗浄方法である。本発明の洗浄方法は、本発明の洗浄剤組成物を用意する工程1と、前記洗浄剤を、硬質表面に接触させて、付着した食用油を洗浄する洗浄工程2と、前記硬質表面から洗浄剤を取り除く工程3と、を備える、硬質表面に付着した食用油の洗浄方法である。
【0042】
(工程1)
工程1では、本発明の洗浄剤組成物を用意する。本発明の洗浄剤組成物は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む。前記の通り、本発明の洗浄剤組成物は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含むアミンオキシド系界面活性剤、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含むベタイン型界面活性剤、必要に応じて、水溶性溶剤、水、他の成分(キレート剤、pH調整剤、安定化剤、分散剤、色素など)を混合することによって調製することができる。本発明の洗浄剤組成物の詳細については、前述の通りである。
【0043】
なお、工程1では、予め洗浄剤組成物を洗浄剤原液として用意し、洗浄剤原液を、例えば質量基準で1.1倍から100倍に水で希釈して洗浄剤としてもよい。すなわち、本発明の洗浄剤組成物を洗浄剤原液とし、水で希釈して洗浄剤を調製してから、当該洗浄剤によって硬質表面に付着した食用油を洗浄してもよい。前述の通り、洗浄剤組成物に予め水を配合して洗浄剤とすれば、洗浄剤組成物を水で希釈して洗浄剤とする工程を省略することができる。
【0044】
洗浄剤組成物(洗浄剤原液)の希釈倍率は、例えば質量基準で1.1倍から100倍であり、好ましくは1.1倍から20倍、より好ましくは1.1倍から10倍である。
【0045】
前記の通り、水としては、特に制限されず、水道水などを使用することができる。
【0046】
洗浄液は、洗浄剤組成物(洗浄剤原液)と水を混合し、攪拌することで容易に調製することができる。硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、洗浄液は、スプレーボトルなどでフォーム状としてから、下記の洗浄工程を行うことが好ましい。
【0047】
洗浄剤を調製する際の環境温度は、後述の工程2の洗浄工程と同様とすることができる。
【0048】
(工程2)
工程2では、工程1で調製した洗浄剤を、硬質表面に接触させて、付着した食用油を洗浄する洗浄工程を行う。
【0049】
本発明の洗浄方法が洗浄対象とする硬質表面は、食用油が付着したものであれば、特に制限されないが、例えば、金属硬質表面(例えば、ステンレス鋼、アルミニウムなどの表面)、樹脂硬質表面(例えば、熱可塑性樹脂(ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS樹脂など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリウレタンなど)、電離放射線硬化性樹脂(エポキシ樹脂、ポリウレタンなど)などの表面、フッ素系樹脂)などが好適である。また、本発明の洗浄方法は、食用油の洗浄に対しても好適であるため、一般家庭のキッチン、飲食店の厨房、食品加工工場、さらには食肉加工工場などで使用される食品加工設備、食肉加工設備などの硬質表面に対して、好適に適用することができる。
【0050】
本発明の洗浄方法の洗浄対象となる食用油としては、前述の通り、特に制限されず、例えば、大豆油、なたね油、米油、ごま油、コーン油、べに花油、パーム油、キャノーラ油、ひまわり油、オリーブオイル、綿実油、グレープシードオイル、しそ油、エゴマ油、亜麻仁油、ココナッツオイル、アボカドオイル、マーガリンなどの植物由来の油、牛脂、豚脂、鶏脂、魚油、バターなどの動物由来の油(脂)などが挙げられる。洗浄対象とする食用油は、1種類のみであってもよいし、2種類以上であってよい。また、洗浄対象とする食用油は、変性(変成)された状態(一般に、変性油、変成油、熱変性油、熱変成油などと称される)であってもよい。前記の通り、食用油は、熱や時間などで変性(例えば、熱によって熱酸化重合などが起こり,主にヒドロキシル基をもつ二量体などが生成し、さらに分解生成物なども生じる)し、洗浄が困難になる。そのため、例えば、換気扇、レンジ周りの洗浄には、一般的な台所用中性洗剤ではなく、油汚れの除去力にすぐれたアルカリ性の洗浄力が使われることがほとんどである。これに対して、本発明の洗浄方法は、例えば中性領域(pH5.0~9.0)において、変性した食用油(変性油)に対しても優れた洗浄効果を発揮する。
【0051】
洗浄工程を行う際の環境温度としては、特に制限されないが、硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、好ましくは0~40℃程度、より好ましくは10~30℃程度が挙げられる。
【0052】
硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、洗浄工程においては、フォーム状(泡状)にした洗浄剤を、硬質表面に接触させて、硬質表面に付着した食用油を洗浄することもできる。洗浄剤をフォーム状にするためには、市販のスプレー容器やフォーマーを使用すればよい。
【0053】
また、洗浄工程においては、洗浄剤を硬質表面に接触させればよいが、硬質表面に付着した食用油をより効率的に洗浄可能とし、特に、変性油を効率的に洗浄する観点から、洗浄剤を硬質表面に接触させた状態を、例えば1~30分間程度、好ましくは5~20分間程度保持することが好ましい。保持している間は、ブラシで硬質表面を磨いてもよいし、洗浄剤が硬質表面に付着した状態で静置してもよい。
【0054】
(工程3)
工程3では、工程2で洗浄した硬質表面から洗浄剤を取り除く工程を行う。硬質表面から洗浄剤を取り除く方法としては、硬質表面を水ですすぐ方法、水をしみこませた布、ウエス等で硬質表面を拭き上げる方法などが挙げられる。
【0055】
本発明の洗浄剤は、硬質表面から容易に取り除くことができ、例えば、水で好適にすすぐことができる。水ですすぐ時間は特に制限されず、洗浄剤が十分に取り除かれる時間とすればよい。水としては、特に制限されず、水道水などを使用することができる。また、洗浄剤を水ですすぐ際の水の温度としては、特に制限されず、例えば5~60℃程度、好ましくは20~50℃程度が挙げられる。
【0056】
硬質表面から洗浄剤を取り除く際の環境温度は、工程2の洗浄工程と同様とすることができる。
【0057】
工程3の後には、必要に応じて、水の拭き取りや、乾燥を行う。
【0058】
3.洗浄剤原液
本発明の洗浄剤原液は、アミンオキシド系界面活性剤及びベタイン型界面活性剤を含み、アミンオキシド系界面活性剤は、ミリスチルジメチルアミンオキシド及びヤシ油アルキルジメチルアミンオキシドの少なくとも一方を含み、ベタイン型界面活性剤は、アルキルベタイン及びヒドロキシスルホベタインの少なくとも一方を含む、硬質表面に付着した食用油を洗浄するための、洗浄剤原液である。すなわち、本発明の洗浄剤原液は、希釈せずに使用できる濃度でもよいし、適宜希釈して使用できる濃縮液でもよい。
【実施例0059】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【0060】
実施例及び比較例で使用した各原料の詳細は、下表1の通りである。
【0061】
【表1】
【0062】
[洗浄剤組成物の調製]
実施例1~19及び比較例1~21
実施例1~19及び比較例1~21の洗浄剤組成物として、それぞれ、表2,3に記載の組成となるようにして、各成分を混合して洗浄剤組成物を調製した。表2,3の組成において、各成分の数値は有効質量%である。
【0063】
<pH測定>
卓上型pHメーター(株式会社堀場製作所製、F-52)を用いて、洗浄剤組成物(原液)のpHを25℃で測定した。
【0064】
<洗浄力の評価>
各洗浄剤組成物を洗浄剤とし、以下の手順で食用油の洗浄評価を行った。なお、以下の評価は、常温(25℃)下で行った。ポリエチレン板(75mm×25mm×1.0mm)に、食用油の熱変性油(大豆油又はナタネ油をステンレスビーカー内で180℃-120時間加熱したもの)30mgを塗布したものをテストピースとした。200mLガラスビーカーにテストピースが完全に浸かる量(200mL)を加え、25℃で10分間分浸漬した後、リーナッツ試験機を用いてすすぎを行い(水温25℃,300rpm,1分)、テストピースを乾燥させた。洗浄前後のテストピースの重量を測定して、表面から除去された汚垢の割合((洗浄前汚垢重量-洗浄後汚垢重量)÷洗浄前汚垢重量×100%重量%)を洗浄力(%)とした。洗浄力評価基準は、以下の通りである。結果を表2,3に示す。
【0065】
(洗浄力評価基準)
◎:洗浄率75%以上
○:洗浄率50%以上75%未満
△:洗浄率25%以上50%未満
×:洗浄率25%未満
【0066】
<起泡性の評価>
スプレー容器(セッツ株式会社製、厨房設備用洗浄剤つめかえ容器(スプレータイプ))に洗浄剤組成物を充填し、200mlメスシリンダー中に10プッシュし、泡を作成した。プッシュするスピードは1秒/回で行った。このときのメスシリンダーの目盛りからその容量を読み取り、起泡性の確認を行った。
【0067】
(起泡性評価基準)
◎:60ml以上
○:30ml以上60ml未満
△:15ml以上30ml未満
×:15ml未満
【0068】
<除菌力試験方法>
培養した大腸菌(Escherichia coli)・黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を107~108CFU/mLとなるように滅菌水で希釈し、菌懸濁液とした。各菌懸濁液0.1mLと、各洗浄剤0.9mLとを混合した後、室温で5分作用させた。次いで、菌懸濁液および洗浄剤の混合液の0.5mLを、LP希釈液4.5mLに加え、10倍段階希釈を行った。この段階希釈液各1mLをペトリフィルムACプレートに滴下し、35℃で、48時間培養した。培養後、培地上に発育したコロニー数から洗浄剤を作用させた後の菌数を算出し、接種した菌数との差により、洗浄剤の菌に対する除菌効果を評価した。
【0069】
(除菌力評価基準)
◎:菌の減少数が1.0×102以上
×:菌の減少数が1.0×102未満
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】