(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152320
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/037 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B60R16/037
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066443
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】村井 理恵
(72)【発明者】
【氏名】日置 順
(72)【発明者】
【氏名】山口 朋成
(72)【発明者】
【氏名】今津 貴雅
(72)【発明者】
【氏名】岡本 洋平
(72)【発明者】
【氏名】本多 省吾
(57)【要約】
【課題】ユーザが乗車する前に、そのユーザが事前に設定した項目を車両の制御に反映させる。
【解決手段】車両の情報処理システムは、車両のユーザが乗車する前にユーザが所持する携帯情報端末を車両から探索する(S120)。また、情報処理システムは、探索された携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には(S210:YES)、ユーザが事前に設定した項目を車両の制御に反映するマイセッティングを実行する(S230)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザが乗車する前に前記ユーザが所持する携帯情報端末を前記車両から探索する探索システムと、
探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が前記車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映する設定システムと、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記端末情報は、前記設定システムと異なる他のシステムと共用される
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記他のシステムは、前記車両を前記携帯情報端末にて操作するリモート駐車システムである
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記探索システムは、車両側に登録された前記端末情報を有する携帯情報端末を優先して探索するシステムである
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記車両の電子キーを認証する認証システムを有しており、
前記探索システムは、前記認証システムによる前記電子キーの認証が完了した場合に、前記携帯情報端末の探索を開始する
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
車両のユーザが乗車する前に車両から携帯情報端末を探索することと、
探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映することと、
を行う情報処理方法。
【請求項7】
車両のユーザが乗車する前に車両から携帯情報端末を探索することと、
探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映することと、
をコンピュータが実施するように構成された情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の情報処理システムは、携帯情報端末と通信して当該携帯情報端末が有する固有の端末情報を認識することにより車両のユーザを特定する。そして、特定されたユーザが事前に設定した項目を車両の制御に反映する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されている技術では、ユーザが車両に乗り込んだ後にユーザが特定される。そのため、ユーザが乗車する前に、同ユーザが事前に設定した項目を車両の制御に反映させることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する情報処理システムは、車両のユーザが乗車する前に前記ユーザが所持する携帯情報端末を車両から探索する探索システムと、探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映する設定システムと、を備える。
【0006】
上記課題を解決する情報処理方法は、車両のユーザが乗車する前に車両から携帯情報端末を探索することと、探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映することと、を行う。
【0007】
上記課題を解決する情報処理プログラムは、車両のユーザが乗車する前に車両から携帯情報端末を探索することと、探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映することと、をコンピュータが実施するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
ユーザが乗車する前に、そのユーザが事前に設定した項目を車両の制御に反映させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態の情報処理システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】上記情報処理システムが実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、情報処理システム、情報処理方法、及び情報処理プログラムの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
<情報処理システムの構成>
図1に示すように、車両100の情報処理システムは、設定システム10、リモート駐車システム20、認証システム30、BTモジュール40を備えている。これら各システムやモジュールは、CPU、メモリ、入力インターフェース、出力インターフェースなどを備えるコンピュータである。そして、メモリに記憶されたプログラムをCPUが実行することにより、各種のシステム制御を実行する。また、これら各システムやモジュールは、車載ネットワークに接続されており、相互通信が可能になっている。
【0011】
認証システム30は、車両100のユーザが携帯する車両100の電子キー300の認証を行う。電子キー300は、車両100のドアロックの解除や施錠、システムの起動に利用されるキーである。
【0012】
BTモジュール40は、ユーザが所持する携帯情報端末200とBluetooth(登録商標)規格の無線通信を行う。携帯情報端末200は、例えばスマートフォンやタブレットなどである。
【0013】
設定システム10は、ユーザが事前に設定した項目を車両100の制御に反映するシステムである。ユーザが事前に設定した項目は、シートやハンドルの位置などのドライビングポジションや、車内に設置されたマルチメディアディスプレイやメータパネルの表示内容などである。以下、ユーザが事前に設定した項目のことをマイセッティングという。マイセッティングは、携帯情報端末200が有する固有の端末情報毎にメモリに登録されている。端末情報は、携帯情報端末200を所持するユーザのユーザ認証に利用される。
【0014】
設定システム10には、シートやハンドルの位置などのドライビングポジションに関与するアクチュエータを制御するボディ制御系50や、車内に設置されたマルチメディアディスプレイやメータパネルの表示内容を制御する表示制御系60が接続されている。
【0015】
リモート駐車システム20は、車外からユーザが携帯情報端末200を操作することにより、車両100の入庫や出庫を行うシステムである。リモート駐車システム20には、車両周囲の情報に関する信号や、携帯情報端末200の操作状態に関する信号が入力される。また、リモート駐車システム20には、リモート駐車を行うための各種アクチュエータシステムとして、例えばパワートレインシステム70、ブレーキシステム80、ステアリングシステム90などが接続されている。
【0016】
<情報処理システムが実行する処理>
図2に、車両100の情報処理システムが実行する処理の手順を示す。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって、各処理のステップ番号を表現する。
【0017】
図2に示す処理では、まず初めに、電子キー300及び携帯情報端末200を持った車両100のユーザが車両100に接近する(S100)。
次に、認証システム30は、電子キー300を認証することにより、車両100へのユーザの接近を検出する(S110)。
【0018】
次に、BTモジュール40は、携帯情報端末200の探索を開始する(S120)。S110の処理にて認証システム30が電子キー300を認証すると、認証システム30はBTモジュール40に対して探索の開始を指示する。このように、電子キー300を認証するとBTモジュール40は探索を開始するため、ユーザが乗車する前に携帯情報端末200の探索が開始される。携帯情報端末200の探索に際して、BTモジュール40は、マイセッティングに登録されている端末情報を有する携帯情報端末200を優先して探索する。
【0019】
次に、BTモジュール40は、探索した後に接続した携帯情報端末200の端末情報を取得する(S130)。
こうして携帯情報端末200の端末情報を取得すると、リモート駐車システム20は、リモート駐車の要求があるか否かを判定する(S140)。そして、リモート駐車システム20は、リモート駐車の要求があると判定する場合(S140:YES)、取得した端末情報を有する携帯情報端末200を使用するリモート駐車を実行する(S150)。そして、リモート駐車が完了した場合、あるいはS140の処理にて否定判定する場合、リモート駐車システム20は、本処理を終了する。
【0020】
一方、上記S130の処理にて、BTモジュール40は、接続した携帯情報端末200の端末情報を取得すると、その端末情報を設定システム10に送信する(S200)。
端末情報を受信した設定システム10は、受信した端末情報がマイセッティングに登録されている端末情報であるか否かを判定する(S210)。
【0021】
次に、設定システム10は、受信した端末情報がマイセッティングに登録されている複数の端末情報のうちのいずれかと一致するか否かの照合を行う(S210)。
そして、設定システム10は、受信した端末情報がマイセッティングに登録されている端末情報であると判定する場合(S210:YES)、当該端末情報に対応したマイセッティングを実行する(S230)。マイセッティングが実行されることにより、ユーザが事前に設定した項目が車両100の制御に反映される。そして、マイセッティングの実行が完了した場合、あるいはS210の処理にて否定判定する場合、設定システム10は、本処理を終了する。
【0022】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)車両100のユーザが乗車する前にそのユーザが所持する携帯情報端末200が探索される。そして、探索された携帯情報端末200が有する固有の端末情報が車両側の設定システム10に登録された端末情報と一致する場合には、ユーザが事前に設定した項目が車両100の制御に反映される。従って、ユーザが乗車する前に、そのユーザが事前に設定した項目を車両100の制御に反映させることができる。
【0023】
(2)携帯情報端末200の端末情報は、設定システム10と異なる他のシステムであって端末情報を必要とするリモート駐車システムと共用するようにしている。そのため、他のシステムが上記端末情報を必要とするシステムである場合に、携帯情報端末200を探索する探索システムを他のシステム毎に備える必要がない。そのため、システム構成を単純化することができる。
【0024】
(3)
図2に示したS120では、車両側の設定システム10に登録された端末情報を有する携帯情報端末200を優先して探索するようにしている。そのため、当該携帯情報端末200の認証が早期に実施される。従って、ユーザが事前に設定した項目をより早期に車両100の制御に反映することができる。
【0025】
(4)携帯情報端末200を探索する場合には、その探索時間に上限時間が設定されることが多い。そのため、場合によっては、マイセッティングに登録されている端末情報を有する携帯情報端末200に接続する前に、探索時間がタイムアウトしてしまい、マイセッティングが実行できなくなるおそれがある。この点、本実施形態では、上述したように、車両側の設定システム10に登録された端末情報を有する携帯情報端末200を優先して探索するようにしている。そのため、探索時間がタイムアウトする前に、マイセッティングに登録されている端末情報を有する携帯情報端末200に接続することが可能になり、マイセッティングを適切に実行できるようになる。
【0026】
(5)
図2に示したS110の処理によって認証システム30による電子キー300の認証が完了した場合に、携帯情報端末200の探索が開始される(S120)。そのため、携帯情報端末200の探索を常に実施する場合と比較して、携帯情報端末200の探索に要する電力消費を抑えることができる。
【0027】
<対応関係>
BTモジュール40は、
図2のS120において、車両100のユーザが乗車する前にユーザが所持する携帯情報端末200を車両から探索する処理を行う。本実施形態では、BTモジュール40が探索システムに対応する。また、設定システム10は、
図2のS210、S230において、探索された携帯情報端末200が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、ユーザが事前に設定した項目を車両100の制御に反映するマイセッティングを実行する。本実施形態では、設定システム10が設定システムに対応する。また、
図2に示した処理をBTモジュール40や設定システム10に実行させるプログラムが、情報処理プログラムに対応している。
【0028】
<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0029】
・車両側の設定システム10に登録された端末情報を有する携帯情報端末200を優先して探索するようにしたが、そうした優先的な探索を実施しなくてもよい。この場合でも、上記(3)及び(4)以外の作用及び効果を得ることができる。
【0030】
・認証システム30による電子キー300の認証が完了した場合に、携帯情報端末200の探索を開始した。この他、携帯情報端末200の探索を常に実施するようにしてもよい。この場合でも、上記(5)以外の作用及び効果を得ることができる。
【0031】
・ユーザが事前に設定した項目は、シートやハンドルの位置などのドライビングポジションや、車内に設置されたマルチメディアディスプレイやメータパネルの表示内容などであったが、他の項目でもよい。
【0032】
・携帯情報端末を車両100から探索する探索システムは、Bluetooth規格の無線通信を行うシステムであったが、他の規格の無線通信を行うシステムでもよい。
・携帯情報端末200の端末情報を共用する他のシステムがリモート駐車システムであったが、他のシステムでもよい。他のシステムは、例えば以下のものが挙げられる。
【0033】
例1:携帯情報端末200にインストールされたナビゲーションアプリで設定された目的地情報を車両側のナビゲーション装置に自動送信するシステム。
例2:取得した端末情報を有する携帯情報端末200に対して優先的にハンズフリー接続やオーディオ接続、ビデオ接続を実施するシステム。
【0034】
例3:取得した端末情報を利用して車両の搭乗者を特定し、特定した搭乗者向けのサービスを行うシステム。なお、特定した搭乗者向けのサービスとしては、例えば以下の(a)~(d)のものが挙げられる。
【0035】
(a)搭乗者の携帯情報端末200にインストールされたアプリケーションにおもてなしの案内表示を行う。
(b)携帯情報端末200にインストールされたアプリケーションに、特定した搭乗者向けのおすすめコンテンツなどを表示する。
【0036】
(c)携帯情報端末200にインストールされたアプリケーションに、マイセッティング切り替え用のユーザインターフェイスを表示する。
(d)特定した搭乗者が後席の搭乗者であった場合に、後席用エンターテイメントやシート位置などを自動設定するシステム。
【0037】
<付記事項>
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[付記1]車両のユーザが乗車する前に前記ユーザが所持する携帯情報端末を前記車両から探索する探索システムと、探索された前記携帯情報端末が有する固有の端末情報が車両側に登録された端末情報と一致する場合には、前記ユーザが事前に設定した項目を前記車両の制御に反映する設定システムと、を備える情報処理システム。
【0038】
[付記2]前記端末情報は、前記設定システムと異なる他のシステムと共用される[付記1]に記載の情報処理システム。
[付記3]前記他のシステムは、前記車両を前記携帯情報端末にて操作するリモート駐車システムである[付記2]に記載の情報処理システム。
【0039】
[付記4]前記探索システムは、車両側に登録された前記端末情報を有する携帯情報端末を優先して探索するシステムである[付記1]~[付記3]のいずれかに記載の情報処理システム。
【0040】
[付記5]前記車両の電子キーを認証する認証システムを有しており、前記探索システムは、前記認証システムによる前記電子キーの認証が完了した場合に、前記携帯情報端末の探索を開始する[付記1]~[付記4]のいずれかに記載の情報処理システム。
【符号の説明】
【0041】
10…設定システム
20…リモート駐車システム
30…認証システム
40…BTモジュール
50…ボディ制御系
60…表示制御系
70…パワートレインシステム
80…ブレーキシステム
90…ステアリングシステム
100…車両
200…携帯情報端末
300…電子キー