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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152321
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066444
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桑原 雅
(72)【発明者】
【氏名】籠橋 進
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA15
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC16
5E316CC32
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316DD47
5E316EE33
5E316FF03
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】ビア導体における内壁面と接する部分の粗度を小さくでき、高周波信号が伝送される際の伝送損失を低減する。
【解決手段】コア基板CSと、第1ビルドアップ部BU1と、第2ビルドアップ部BU2と、第3ビルドアップ部BU3と、第4ビルドアップ部BU4と、を有する配線基板であって、第3ビルドアップ部BU3が含む第3絶縁層は、第3面と、第3面と反対側の第4面と、第3面から第4面に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層とビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、ビア開口の内壁面を被覆するシード層は、略平滑な表面を有する第1部分及び第2部分を有しており、第1部分と第2部分とは電気的に接続されており、第1部分の一部が第2部分よりもビア開口の中心側に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、
前記第3導体層に含まれる信号配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、
前記第3導体層に含まれる信号配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、
前記第3絶縁層は、第3面と、前記第3面と反対側の第4面と、前記第3面から前記第4面に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、
前記第3導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、
前記ビア開口の内壁面を被覆する前記シード層は、略平滑な表面を有する第1部分及び第2部分を有しており、
前記第1部分と前記第2部分とは電気的に接続されており、
前記第1部分の一部が前記第2部分よりも前記ビア開口の中心側に位置している。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、前記コア基板がガラスコアである。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる信号配線の最小の配線幅が3μm以下であり、最小の配線間隔が3μm以下である。
【請求項4】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる信号配線のアスペクト比は2以上4以下である。
【請求項5】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3導体層に含まれる信号配線の上面は研磨面である。
【請求項6】
請求項1に記載の配線基板において、前記ビア開口の内壁面を覆う前記シード層の断面形状が階段状である。
【請求項7】
請求項1に記載の配線基板において、前記ビア開口の内壁面は、前記第3絶縁層の上面から下層の第3導体層に向けて傾斜している。
【請求項8】
請求項7に記載の配線基板において、前記ビア開口の内壁面の下層の第3導体層の上面に対する角度は70°以上90°以下である。
【請求項9】
請求項1に記載の配線基板において、前記第3絶縁層は樹脂と無機粒子とを含み、前記 ビア開口の内壁面は、前記樹脂と前記無機粒子の平坦部の境界部付近で前記開口方向に向かって凸量が0.5μm以下の階段部を有する。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板において、前記第1部分に含まれる先端部が、前記第2部分の後端部よりも、前記ビア開口の中心側に位置している。
【請求項11】
請求項1記載の配線基板において、前記シード層は、前記内壁面を被覆する第1層と前記第1層上の第2層を含み、前記第1層は、前記第1部分に含まれる第1層第1部分、及び、前記第2部分に含まれる第1層第2部分を有する。
【請求項12】
請求項11記載の配線基板において、前記第1層第1部分の第1層層先端部が前記第1層第2部分の第1層後端部よりも、前記ビア開口の中心側に位置している。
【請求項13】
請求項11記載の配線基板において、前記第1層の断面形状が階段状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のビルドアップ部を有する配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリント配線板の一例を開示している。特許文献1に開示されている技術では、図6に示すように、第1導体層51と、第1導体層51上に形成されている絶縁層52と、絶縁層52に形成されている、第1導体層51の一部を露出するビア開口53と、を有する。絶縁層52は樹脂54と無機粒子55とを含む。図6に示す中間体において、絶縁層52の上面52a、ビア開口53の内壁面53aおよび第1導体層51の露出部51aに対し、シード層(図示せず)が形成される。そして、シード層上において、ビア開口53の内壁面53aおよび第1導体層51の露出部51aにビア導体(図示せず)を形成するとともに、ビア導体および絶縁層52の上面52aに第2導体層(図示せず)を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-126103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、ビア開口53をレーザ加工で形成するため、図6の拡大部に示すように、ビア開口53の内壁面53aから無機粒子55が突出する場合がある。そして、無機粒子55が突出したビア開口53の内壁面53a上に、シード層が形成され、シード層上にビア導体が形成される。その結果、ビア導体のビア開口53の内壁面53aと接する部分の粗度が大きくなり、高周波信号が伝送される際の伝送損失が大きくなる場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る配線基板は、第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有するコア基板と、前記第1面上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層及び複数の第1導体層を含む第1ビルドアップ部と、前記第2面上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層及び複数の第2導体層を含む第2ビルドアップ部と、前記第1ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層及び複数の第3導体層を含む第3ビルドアップ部と、前記第2ビルドアップ部上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層及び少なくとも1層の第4導体層を含む第4ビルドアップ部と、を有する配線基板であって、前記第3導体層に含まれる信号配線における配線幅の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、前記第3導体層に含まれる信号配線における配線間距離の最小値は、前記第1導体層、前記第2導体層、及び、前記第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、前記第3絶縁層は、第3面と、前記第3面と反対側の第4面と、前記第3面から前記第4面に至るビア開口と、前記ビア開口内に形成され、前記第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、前記第3導体層と前記ビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、前記ビア開口の内壁面を被覆する前記シード層は、略平滑な表面を有する第1部分及び第2部分を有しており、前記第1部分と前記第2部分とは電気的に接続されており、前記第1部分の一部が前記第2部分よりも前記ビア開口の中心側に位置している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図2】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を模式的に示す断面図である。
図3】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を模式的に示す拡大断面図である。
図4】本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部の各層の一実施形態における特徴部分を示す断面写真である。
図5A】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5B】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5C】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5D】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5E】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5F】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。
図5G】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5H】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5I】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図5J】第3ビルドアップ部の各層の製造方法の一実施形態を模式的に示す断面図である。
図6】従来のプリント配線板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<本発明の配線基板について>
本発明の配線基板の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1図5に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。
【0008】
図1は、本発明に係る配線基板におけるビルドアップ部の一実施形態を説明するための断面図である。図1において、CSは、例えば図中上側の第1面CS1および下側の第2面CS2を有するコア基板である。BU1は、コア基板CSの第1面CS1上に形成され、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11を含む第1ビルドアップ部である。BU2は、コア基板CSの第2面CS2上に形成され、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21を含む第2ビルドアップ部である。BU3は、第1ビルドアップ部BU1上に形成され、交互に積層される複数の第3絶縁層32及び複数の第3導体層31を含む第3ビルドアップ部である。BU4は、第2ビルドアップ部BU2上に形成され、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41を含む第4ビルドアップ部である。本実施形態では、上記構成の配線基板1の第3ビルドアップ部BU3上に、チップ1およびチップ2が搭載されている。
【0009】
図1に示す本発明に係る配線基板においては、コア基板CSとしてガラスコアを用いることが好ましい。コア基板としてガラスコアを用いると、他の材料のコア基板を用いた配線基板と比べて、高密度配線が形成し易くなる。ガラスコアとしては、従来から知られているいずれの材料をも使用できる。例えば、耐熱性と耐衝撃性に優れ、熱膨張係数がシリコンに近い、ホウ珪酸ガラスを用いることができる。
【0010】
本発明に係る配線基板の特徴は、第3ビルドアップ部BU3の構造にある。すなわち、第3導体層に含まれる信号配線における配線幅の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線幅の最小値よりも小さく、第3導体層に含まれる信号配線における配線間距離の最小値は、第1導体層、第2導体層、及び、第4導体層に含まれる配線における配線間距離の最小値よりも小さく、第3絶縁層は、第3面と、第3面と反対側の第4面と、第3面から第4面に至るビア開口と、ビア開口内に形成され、第3導体層と下層の第3導体層とを接続するビア導体と、を有し、第3導体層とビア導体は、シード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、ビア開口の内壁面を被覆するシード層は、略平滑な表面を有する第1部分及び第2部分を有しており、第1部分と第2部分とは電気的に接続されており、第1部分の一部が第2部分よりもビア開口の中心側に位置している。
【0011】
本発明に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3が上記構成を備えることで、第3ビルドアップ部BU3において、ビア導体における内壁面と接する部分の粗度を小さくでき、高周波信号が伝送される際の伝送損失を低減することができる。
【0012】
図2は、本発明に係る配線基板における第3ビルドアップ部BU3の各層の一実施形態における特徴部分を説明するための模式図である。図3は、図2の部分を拡大して示す模式図である。図2および図3において、説明の対象となる層L1の下層L2は、層L1と同じ構成となっている。説明の対象となる層L1は下層L2上に連続して形成されている。
【0013】
本発明に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における各層が、図2および図3に示す構成を含んでいる。図2および図3において、下層L2の第3導体層31と、この第3導体層31上に形成されている層L1の第3絶縁層32と、第3絶縁層32に形成されている、下層L2の第3導体層31の一部を導体パッド31aとして露出するビア開口37と、を示している。
【0014】
図2および図3に示されるように、無機粒子34は、ビア開口37の内壁面37aを形成する第1無機粒子34-1と、第3絶縁層32の樹脂33内に埋まっている第2無機粒子34-2とを含む。そして、第1無機粒子34-1の形状は、第2無機粒子34-2の形状と異なっている。好ましい実施形態として、ビア開口37の内壁面37aは、第1無機粒子34-1と樹脂33とによって形成されており、第1無機粒子34-1の平坦部と樹脂33により、平坦な面となっている。
【0015】
図2および図3に示されるように、第3絶縁層32の上面32aはほとんど樹脂33で形成されている。上面32aから第2無機粒子34-2は少量露出する。第3絶縁層32の上面32aには凹凸が形成されていない。上面32aは荒らされていない。上面32aは平滑に形成されている。上面32aの算術平均粗さ(Ra)は、0.02μm以上0.06μm以下である。また、図3に示されるように、ビア開口37の内壁面37aは、第3絶縁層32の上面32aから下層L2の第3導体31の導体パ ッド31aの上面に向けて傾斜している。内壁面37aの導体パッド31aの上面に対する角度(傾斜角度)θは70°以上90°以下である。
【0016】
図2および図3に示されているように、ビア導体31dは、ビア開口37内に形成されている。ビア導体31dは、下層L2の導体パッド31aと対象となる層L1の導体パッド31aとを接続する。ビア導体31dは、シード層31cとシード層31c上の電解めっき層で形成されている。 ビア導体31dを形成するシード層31cと信号配線31bを形成するシード層31cとは共通である。ビア導体31dを形成するシード層30cは、ビア開口37内(即ち開口37の内壁面37aとビア開口37から露出する下層L2の導体パッド31aの上面)を覆う第1層31c-1と第1層31c-1上の第2層31c-2とで形成されている。第1層31c-1は下層L2の導体パッド31aの上面と内壁面37aに接して いる。
【0017】
図2に示されるように、第3導体層31は第3絶縁層32の上面32a上に形成されて いる。第3導体層31は信号配線31bと導体パッド31aとを含む。図に示されていないが、第3導体層31は信号配線31bと導体パッド31a以外の導体回路も含んでいる。第3導体層31は主に銅によって形成される。第3導体層31は、第3絶縁層32の上面32a上のシード層31cとシード層31c上の電解めっき層31dで形成されている。シード層31cの第1層31c-1は、銅とケイ素とアルミニウムを含む銅合金で形成されている。銅合金は、 銅の含有量が全重量の90%以上である。シード層31cの第2層31c-2は、銅で形成されている。電解めっき層31dは銅で形成されている。
【0018】
本発明の特徴となる一実施形態では、シード層31cの形状にある。すなわち、図4に示されるように、ビア開口37の内壁面37aを被覆するシード層31cは、略平滑な表面を有する第1部分及び第2部分を有しており、第1部分と第2部分とは電気的に接続されており、第1部分の一部が第2部分よりもビア開口37の中心側に位置している。
【0019】
図3に示す一実施形態における好適例では、第1部分に含まれる先端部が、第2部分の後端部よりも、ビア開口37の中心側に位置している。具体的には、ビア開口37の内壁面37aを被覆する第1層31c-1は、略平滑な表面を有する第1部分131-1及び第2部分131-2を有している。第1部分131-1と第2部分131-2とは電気的に接続されている。第1部分131-1の先端部131-3が第2部分131-2の後端部131-4よりもビア開口37の中心側に位置している。同様に、第1層31c-1上に形成される第2層31c-2は、略平滑な表面を有する第1部分132-1及び第2部分132-2を有している。第1部分132-1と第2部分132-2とは電気的に接続されている。第1部分132-1の先端部132-3が第2部分132-2の後端部132-4よりもビア開口37の中心側に位置している。そして、第1層31c-1を構成する第1部分131-1及び第2部分131-2の断面形状が階段状である。
【0020】
図4は、ビア開口37の内壁面37aとシード層30cの一例を示す断面写真図である。図4に示されるように、ビア開口37の内壁面37aは樹脂33と第1無機粒子34-1及び第2無機粒子34-2とで形成されている。シード層31cは第1層31c-1と第2層31c-2とから形成されている(図4において境界は明確には示されていないが)。第1層31c-1は、第1部分131-1及び第2部分131-2を有している。第2層31c-2は、第1部分132-1及び第2部分132-2を有している。第1部分131-1(132-1)の先端部131-3(132-3)が、第2部分131-2(132-2)の後端部131-4(132-4)よりもビア開口37の中心側に位置している。そして、第1層31c-1を構成する第1部分131-1及び第2部分131-2の断面形状が階段状である。
【0021】
<本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について>
第1ビルドアップ部BU1、第2ビルドアップ部BU2、および、第4ビルドアップ部BU4については、交互に積層される複数の第1絶縁層12及び複数の第1導体層11の形成、交互に積層される複数の第2絶縁層22及び複数の第2導体層21の形成、および、交互に積層される少なくとも1層の第4絶縁層42及び少なくとも1層の第4導体層41の形成を、従来から公知の方法で行うことができる。ここでは、それらの詳細については説明を省いている。
【0022】
図5A図5Jを参照にして、本発明の配線基板の特徴となる第3ビルドアップ部BU3の製造方法について説明する。
【0023】
まず、図5Aに示すように、下層L2上に、対象となる層L1の樹脂33と無機粒子34とからなる第3絶縁層32および保護膜36を形成する。第3絶縁層32の上面32aは樹脂33のみで形成されており、無機粒子34は露出していない。そのため、第3絶縁層32の上面32aには凹凸が形成されていない。保護膜36は第3絶縁層32の上面32aを完全に覆っている。保護膜36の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜36と第3絶縁層32の上面32aとの間に離型剤が形成されている。
【0024】
次に、図5Bに示されるように、保護膜36の上からレーザ光が照射される。レーザ光は保護膜36と第3絶縁層32とを同時に貫通する。これにより、下層L2の第3導体層31と上層L1の導体パッド31aとを接続するビア導体形成用のビア開口37が形成される。ビア開口37において、第1無機粒子34-1は内壁面37aから突出している。レーザ光は、例えばUVレーザ光、COレーザ光である。ビア開口37により下層の第3導体層31が露出される。ビア開口37が形成される時、第3絶縁層32の上面32aは保護膜36で覆われている。そのため、ビア開口37が形成される時、樹脂33が飛散しても、第3絶縁層32の上面32aへの樹脂33の付着が抑制される。
【0025】
次に、図5Cに示されるように、第3絶縁層32の上面32aを保護膜36で覆った状態で、ビア開口37内に対しドライプロセス(プラズマ)でデスミア処理を行う。これにより、ビア開口37の内壁面37aは粗化されるが、第3絶縁層32の上面32aは粗化されない。第3絶縁層32の上面32aは粗化されないため、第3絶縁層32の上面32aは樹脂33のみで形成される。デスミア処理は、例えばフルオロカーボン系ガスを含む反応性イオンエッチング(RIE)により、第3絶縁層32内において樹脂33より無機粒子34を優先的にエッチングする条件で行うことができる。これにより、ビア開口37の内壁面37aから突出している第1無機粒子34-1の部分をエッチングして、平坦化することができる。その結果、ビア開口37の内壁面37aを、第1無機粒子34-1の平坦部34-1aと樹脂33とからなる平面とすることができる。
【0026】
次に、図5Dに示されるように、第3絶縁層32の上面32aから保護膜36が除去される。保護膜36の除去後、第3絶縁層32の上面32aを荒らすことは行われない。
【0027】
次に、図5Eに示されるように、第3絶縁層32の上面32a上にシード層31cが形成される。シード層31cはスパッタによって形成される。シード層31cの形成はドライプロセスで行われる。シード層31cはビア開口37から露出する下層の第3導体層31の上面とビア開口37の内壁面37aにも形成される。本実施形態では、シード層31cは、銅とケイ素とアルミニウムを含む合金をスパッタすることにより形成される第1層31c-1と、その上に銅をスパッタすることで形成される第2層31c-2とで、構成されている。スパッタ装置におけるターゲットと基板表面との距離は50mm以上250mm以下の範囲、電圧は15eV以上50eV以下の範囲、ガス濃度は0.1Pa以上1.0Pa以下の範囲でスパッタ条件を調整することが好ましい。
【0028】
ここで、図5Fに拡大図を示すように、以下に示す本発明の特徴となる一実施形態に係る構成が形成される。具体的には、ビア開口37の内壁面37aを被覆する第1層31c-1は、略平滑な表面を有する第1部分131-1及び第2部分131-2を有している。第1部分131-1と第2部分131-2とは電気的に接続されている。第1部分131-1の先端部131-3が第2部分131-2の後端部131-4よりもビア開口37の中心側に位置している。同様に、第1層31c-1上に形成される第2層31c-2は、略平滑な表面を有する第1部分132-1及び第2部分132-2を有している。第1部分132-1と第2部分132-2とは電気的に接続されている。第1部分132-1の先端部132-3が第2部分132-2の後端部132-4よりもビア開口37の中心側に位置している。そして、第1層31c-1を構成する第1部分131-1及び第2部分131-2の断面形状が階段状である。
【0029】
内壁面37aを覆う第1層31c-1上に形成される第2層31c-2は、導体が柱状に成長することで形成される複数の第2柱部131-2を有している。第2柱部131-2は、第1柱部131-1上に さらに導体が成長することで形成される。第2柱部131-2は導体パッド31aの上面に対して垂直に延びている。第2層31c-2は、第2柱部131-2が第1層31c-1に連なって存在することで形成されている。第2層31c-2は銅で形成される。以上のように第1層31c-1と第2層31c-2が形成されることでシード層31cが形成される。図5Fに示されるように、シード層31cは、柱部130が内壁面37aに連なって存在することで形成されている。また、 内壁面37aを覆うシード層31cの断面形状は階段状である。ビア導体のビア開口37の内壁面37aと接する部分の粗度が小さい。高周波信号が伝送される際の伝送損失が小さい。
【0030】
次に、図5Gに示されるように、シード層31c上にめっきレジスト38が形成される。めっきレジスト38は、導体パッド31aと信号配線31bとからなる第3導体層31を形成するためのビア開口を有する。
【0031】
次に、図5Hに示されるように、めっきレジスト38から露出するシード層31c上に電解めっき層31dが形成される。電解めっき層31dはビア開口37も充填する。電解めっき層31dは、めっきレジスト38の高さより高く形成される。すなわち、例えば、図5Hに示されるように、電解めっき層31dが、めっきレジスト38の上面よりも外側に、上面が凸球面状を有するように形成される。
【0032】
次に、図5Iに示されるように、電解めっき層31d、及び、めっきレジスト38の上側の一部が、研磨によって除去される。研磨は、電解めっき層31dの厚さが求められる所望の厚さとなるまで行われる。研磨は、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により実施される。この研磨によって、電解めっき層31dの上面は、算術平均粗さRaで0.3μm以下の値を有するように形成される。
【0033】
その後、めっきレジスト38が除去される。また、導体パッド31aおよび信号配線31bから露出するシード層31cが除去される。これにより、図5Jに示されるように、本発明の一実施形態に係る配線基板が得られる。
【0034】
以下、本発明に係る配線基板において、好適な実施形態について説明する。
【0035】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層31に含まれる信号配線31bの最小の配線幅が3μm以下であり、最小の配線間隔が3μm以下であることが好ましい。また、第3導体層31に含まれる信号配線31bは、アスペクト比が2.0以上、且つ、4.0以下となるように形成されていることが好ましい。このように、第3ビルドアップ部BU3が、比較的小さい配線幅及び配線間隔を有するとともに、比較的高いアスペクト比を有する信号配線31bを有していることにより、表層部に比較的高密度の信号配線31bを有する配線基板が実現され得る。配線基板の表層部において搬送される電気信号に対応した、より適切な配線が提供され得る。
【0036】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、第3導体層に含まれる配線の上面は研磨面であることが好ましい。第3導体層に含まれる配線の上面を研磨面とすることで、第3導体層31の上面は粗さが比較的小さく平坦であり、よって、第3導体層31は比較的均一な厚さとされている。具体的には、第3導体層31の上面は、算術平均粗さRaで0.3μm以下、とされている。信号配線31bの厚さが比較的均一に形成されていることで、信号配線31bによって搬送される信号の挿入損失(インサーションロス)は小さく抑えられる。信号配線31bによる良好な信号伝送が実現され得る。
【0037】
本発明の一実施形態に係る配線基板では、第3ビルドアップ部BU3における好適例として、シード層は、柱部がビア開口の内壁面に連なって存在することで形成されていること、ビア開口の内壁面を覆うシード層の断面形状が階段状であること、ビア開口の内壁面は、第3絶縁層の上面から下層の第3導体層に向けて傾斜していること、ビア開口の内壁面の下層の第3導体層の上面に対する角度は70°以上90°以下であること、第3絶縁層は樹脂と無機粒子とを含み、ビア開口の内壁面は、樹脂と無機粒子の平坦部の境界部付近で開口方向に向かって凸量が0.5μm以下の階段部を有すること、がある。いずれも本発明をより好適に実施できるため好ましい実施形態となる。
【符号の説明】
【0038】
1 配線基板
11 第1導体層
12 第1絶縁層
21 第2導体層
22 第2絶縁層
31 第3導体層
31a 導体パッド
31b 信号配線
31c シード層
31c-1 第1層
31c-2 第2層
31d 電解めっき層(ビア導体)
32 第3絶縁層
32a 上面
33 樹脂
34 無機粒子
34-1 第1無機粒子
34-1a 平坦部
34-2 第2無機粒子
36 保護膜
37 ビア開口
37a 内壁面
38 めっきレジスト
41 第4導体層
42 第4絶縁層
131-1、132-1 第1部分
131-2、132-2 第2部分
131-3、132-3 先端部
131-4、132-4 後端部
BU1 第1ビルドアップ部
BU2 第2ビルドアップ部
BU3 第3ビルドアップ部
BU4 第4ビルドアップ部
CS コア基板
CS1 第1面
CS2 第2面
L1 対象となる層
L2 下層
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図6