(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152335
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】装飾方法及び装飾用照明システム
(51)【国際特許分類】
F21V 3/00 20150101AFI20241018BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20241018BHJP
F21V 9/08 20180101ALI20241018BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20241018BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241018BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20241018BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20241018BHJP
【FI】
F21V3/00 350
F21V3/02 500
F21V3/02 600
F21V9/08 400
F21V17/00 155
F21S2/00 670
F21S8/00 230
F21Y101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066464
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】内島 達也
(72)【発明者】
【氏名】武井 光
(72)【発明者】
【氏名】中島 安奈
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 翔
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011EF02
3K011FA07
(57)【要約】
【課題】興趣を高めた照明を実現するための装飾方法及び装飾用照明システムを提供する。
【解決手段】装飾用照明システム10は、壁と鉄骨柱21との間の空間S1に配置された照明装置30と、空間S1において、照明装置30よりも床部材15側に配置された透光性の模様板40とを備える。照明装置30からの光を模様板40に対して斜めに照射することにより、床部材15の上面に、模様板40に応じた装飾光を映し出す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材に取り付けられた壁と隙間をおいて配置されている装飾対象部材の装飾対象面を、光を用いて装飾する装飾方法であって、
前記壁と前記支持部材との間の空間に配置された照明装置からの照射光を、前記空間において前記照明装置よりも前記装飾対象面側に配置された透光性の模様板に対して斜めに照射することにより、前記装飾対象面に、前記模様板に応じた装飾光を映し出すことを特徴とする装飾方法。
【請求項2】
支持部材に取り付けられた壁と隙間をおいて配置されている装飾対象部材の装飾対象面を照らす装飾用照明システムにおいて、
前記壁と前記支持部材との間の空間に配置された照明装置と、
前記空間において、前記照明装置よりも前記装飾対象面側に配置された透光性の模様板と、を備え、
前記照明装置は、照射する光によって、前記装飾対象面に、前記模様板に応じた装飾光を映し出す角度で設置されていることを特徴とする装飾用照明システム。
【請求項3】
前記装飾対象部材の装飾対象面は、床部材の上面であって、
前記模様板は、前記照明装置の下方に配置され、
前記空間内には、前記支持部材と前記壁とに支持され、先端に載置板が固定された吊り下げ部材が配置されており、
前記模様板は、前記載置板に着脱可能に載置されることを特徴とする請求項2に記載の装飾用照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の床の上面等に光を照射することにより装飾を施す装飾方法及び装飾用照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、間接光で足元を照らす照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載の照明装置は、板状部材の端部下面側に配置される光源ユニットと、この光源ユニットからの光を間接光として下方に照射するための反射板を備える筒状のブラケットとからなる。これにより、光源ユニットの発光面を前方に向けなくても、この光源ユニットから発せられる光を、ブラケットの反射板によって反射させて、間接光として板状部材の端部下方に照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、足元の床を照らす場合、変化がないと興趣を添えることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する装飾方法は、支持部材に取り付けられた壁と隙間をおいて配置されている装飾対象部材の装飾対象面を、光を用いて装飾する装飾方法であって、前記壁と前記支持部材との間の空間に配置された照明装置からの照射光を、前記空間において前記照明装置よりも前記装飾対象面側に配置された透光性の模様板に対して斜めに照射することにより、前記装飾対象面に、前記模様板に応じた装飾光を映し出す。
【0006】
更に、上記課題を解決する装飾用照明システムは、支持部材に取り付けられた壁と隙間をおいて配置されている装飾対象部材の装飾対象面を照らす装飾用照明システムにおいて、前記壁と前記支持部材との間の空間に配置された照明装置と、前記空間において、前記照明装置よりも前記装飾対象面側に配置された透光性の模様板と、を備え、前記照明装置は、照射する光によって、前記装飾対象面に、前記模様板に応じた装飾光を映し出す角度で設置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、興趣を高めた照明を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態の装飾用照明システムを配置した床壁取合部の構成を示す縦断面図である。
【
図3】実施形態の装飾用照明システムに用いられる装飾板の平面形状を説明する平面図である。
【
図4】実施形態の装飾用照明システムに用いられる装飾板の縦断面図である。
【
図5】実施形態の装飾用照明システムに用いられる装飾板の模様を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図5を用いて、装飾方法及び装飾用照明システムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、建物の壁に沿って、壁の床に、水面のような装飾を行なうための装飾方法及び装飾用照明システムとして説明する。
【0010】
図1は、装飾用照明システム10を内蔵した壁と床の取合部を示す縦断面図である。
図2は、
図1における壁部材の足元部分の構成の拡大図である。
図1に示すように、建物は、鉄筋コンクリートで形成された基礎11及びこれに一体形成されている立上り部12を備える。立上り部12には、エレベータシャフト(図示せず)が設けられる。基礎11の上には、床スラブ13が、立上り部12との間に空間をおいて形成されている。この空間は、
図1の紙面と直交する方向に延在するように設けられている。
【0011】
この空間には、離間した複数の支持部材としての鉄骨柱21が並んで設けられている。具体的には、基礎11の上に、無収縮モルタルM1を介して、鉄骨柱21のベースプレート21bが立設されている。そして、基礎11、無収縮モルタルM1及びベースプレート21bは、ホールインアンカーA1によって固定されている。
【0012】
また、床スラブ13の上には、装飾対象部材としての床部材15が設けられている。この床部材15として、濃い灰色の花こう岩が材料であって、上面を研磨により水平にした床材を用いる。
【0013】
鉄骨柱21には、複数のL型アングル部材22,23が取り付けられている。L型アングル部材22には、壁部材R1を、壁部材R1に埋設した取付部材24、ボルト及びナット等を用いて鉄骨柱21に取り付ける。本実施形態では、壁部材R1としては、板状の花こう岩を用いる。本実施形態では、複数の壁部材R1を縦横に並べることにより、壁が構成される。
【0014】
鉄骨柱21と壁部材R1との間には、壁部材R1を鉄骨柱21に取り付ける部材(L型アングル部材23や取付部材24等)を配置するために、幅W1の空間S1が設けられている。この空間S1の幅W1は、例えば、70mm~80mmである。最下端に配置される壁部材R1には、鉄骨柱21側の最下端部に傾斜面R1aが形成されている。この傾斜面R1aは、45度の傾斜面であって、高さ及び幅が20mm程度である。
【0015】
L型アングル部材23は、後述する模様板40を配置するために鉄骨柱21に取り付けられた部材である。このL型アングル部材23は、最下端に設けられた壁部材R1の下部に設けられている。更に、L型アングル部材23の下方には、照明装置30を取り付けるレール部材26が取り付けられている。これらL型アングル部材23、照明装置30及びレール部材26の詳細については、後述する。
【0016】
(壁部材の足元部分の構成)
図2に示すように、最下端に設けられた壁部材R1の下面と、床部材15の上面との間には、高さH1の隙間が設けられている。本実施形態では、高さH1は約100mmである。本実施形態では、床部材15の上面が、装飾対象部材の装飾対象面となる。更に、この壁部材R1の下方隙間から最下端部に延在する幅木27が、鉄骨柱21に取り付けられている。この幅木27として、艶のない黒色の塗装がされた金属板を用いる。
【0017】
この幅木27の直上の鉄骨柱21には、L型アングル部材28が取り付けられている。このL型アングル部材28の水平部は、最下端となる壁部材R1の下面とほぼ同じ高さに配置されている。そして、この水平部には、模様板40の鉄骨柱21側の端部が載置されている。
【0018】
(装飾用照明システム10の構成)
装飾用照明システム10は、L型アングル部材23,28、照明装置30、角根ボルト35、取付補助部材36、ボルト取付部材37、吊り下げ部材としてのボルト38、載置板39及び模様板40を備える。
【0019】
具体的には、鉄骨柱21に取り付けられたL型アングル部材23の水平部には、固定孔が形成されている。この固定孔に下から挿通する角根ボルト35は、レベル調製用ライナLL1と、取付孔を有する取付補助部材36とにも挿通した上で、ナットで固定されている。
【0020】
取付補助部材36は、略L字の板形状の垂直面部36aと四角板形状の水平部36bとを接続したアングル部材である。取付補助部材36の垂直面部36aは、壁部材R1にダボピンDP1で固定されている。
【0021】
レベル調製用ライナLL1は、L型アングル部材23と取付補助部材36の水平部36bと隙間の高さを調整する。このレベル調製用ライナLL1には、角根ボルト35が貫通する貫通孔が形成されている。
【0022】
更に、L型アングル部材23の水平部と、角根ボルト35の頭部との間には、縦断面がコ字形状のボルト取付部材37の上面部が配置されている。この上面部にも、角根ボルト35が貫通する貫通孔が形成されている。ボルト取付部材37の下面部には、係止孔が形成されている。この係止孔は、ボルト38の軸部より大きく、ボルト38の頭部より小さい。このため、この係止孔に軸部が貫通したボルト38の頭部が、係止孔の周囲に引っ掛かることにより、ボルト38は、垂直方向に延在するように、ボルト取付部材37に吊り下げられる。本実施形態のボルト取付部材37は、模様板40の中心軸よりも数mm程度壁部材R1側に位置するように配置されている。また、本実施形態では、ボルト38として、M8のボルトを用いる。
【0023】
ボルト38の先端で、模様板40を載置する位置には、載置板39が溶接されている。この載置板39は、ボルト38の軸部の外形より大きい円板形状を有する。例えば、載置板39の半径は、約12.5mmである。本実施形態では、模様板40は、その下面が、最下端に設けられた壁部材R1の下面とほぼ同一高さとなるように配置される。
【0024】
(照明装置30の説明)
図2に示すように、鉄骨柱21に取り付けられたレール部材26は、紙面と直交する方向に延在する。このレール部材26には、複数の照明装置30が離間して取り付けられているとともに、照明装置30のそれぞれに電力や照明の強弱の制御信号を送信する配線が設置されている。
【0025】
複数の照明装置30は、ボルト38を避けながら、例えば200mm程度の間隔で配置されている。各照明装置30は、床部材15の上面から高さH2の位置に設置されている。本実施形態では、高さH2としては、例えば、300mm程度である。
【0026】
本実施形態の照明装置30として、出力が2.6w程度の市販のマイクロスポット照明を用いることができる。この照明装置30は、長さが30mmの照明本体部31と取付部とを有する。本実施形態では、模様を靄っと出現させるために、模様板40から照明装置30までの距離を150m~200mmに設定するのがよく、本実施形態では、その距離を約170mmとしている。
【0027】
更に、照明装置30は、真下に対して壁部材R1側に向かうような角度θ1で下方斜めに光を照射する。本実施形態では、角度θ1としては、20度前後の角度を用いる。
また、照明装置30は、周期的に照射する光の強弱を異なる複数のパターンで変更するように制御される。
【0028】
(模様板40の説明)
図3は、模様板40の平面図、
図4は、模様板40の縦断面図、
図5は、模様板40の模様の形状を説明する説明図である。なお、
図1~
図3においては、模様板40の模様となる上下面(表面及び裏面)における形状は、省略している。
図2に示すように、模様板40は、空間S1において、照明装置30の下方(装飾対象面側)に配置されている。
【0029】
図3に示すように、模様板40は、透明なアクリル樹脂で形成された板状部材である。本実施形態では、この模様板40は、長手方向の長さL1(例えば、約1.2m)の長尺物である。模様板40には、長手方向と直交する短手方向に延在するスリット41が形成されている。スリット41の幅L2は、例えば7.5mmである。スリット41は、鉄骨柱21側に開口するように形成されているとともに、鉄骨柱21とは反対側は、1/4の円弧形状で形成されている。スリット41の円弧形状は、ボルト38及び載置板39の円弧に対して同心円となる形状で形成されている。そして、スリット41の円弧形状の周囲領域が、載置板39の上に載置される。なお、
図3において、隣接する模様板40の間には、ボルト38の中心が中心となる3mm程度の隙間が設けられている。
【0030】
図4に示すように、模様板40は、厚さH4の略板形状を有する。この厚さH4は、例えば、約12mmである。この模様板40において鉄骨柱21とは反対側の端部には、傾斜部42が形成されている。この傾斜部42は、例えば、高さH5が約9mmであって、最下端に配置された壁部材R1の傾斜面R1aに対応する角度(45度)を有している。
【0031】
模様板40の上面(表面)には、複数の円弧形状の凹部45が形成されている。更に、模様板40の下面(裏面)には、複数の円弧形状の凹部46が形成されている。本実施形態では、各凹部45,46の厚みT1は、例えば、同じ大きさとなるように設計されている。
【0032】
図5に示すように、本実施形態の模様板40の凹部45,46は、複数の同心円を掘込基準線として用いて形成される。
具体的には、
図5において上下2列で4個の同心円群50が並んでいる。上列の実線で示された同心円群50は、表面の掘込基準線であり、下列の点線で示された同心円群50は、裏面の掘込基準線である。
【0033】
各同心円群50は、同じ中心点の直径が異なる7つの円を有し、各円が掘込基準線として機能する。同心円群50の最も小さい円の中心直径D4は、例えば80mmであって、同心円の間隔r1が、例えば20mmである。
【0034】
横方向に隣接する同心円群50は、間隔L4で配置されている。ここでは、間隔L4は300mmである。更に、模様板40の端部から最も近い同心円群50の中心までは、それぞれ距離L5,L6である。例えば、距離L5としては250mm、距離L6としては47mmを用いる。
【0035】
上列において隣接する同心円群50の中心点間の中点に、下列の同心円群50の中心が位置する。更に、上列における同心円群50と、下列における同心円群50とは、4本の掘込基準線が重なるように配置する。そして、この重複した部分の同心円の線を、模様板40の堀込基準線として用いて、凹部45,46を形成する。
【0036】
(装飾方法)
次に、上述した構成の装飾用照明システム10を用いた装飾方法について説明する。
図1に示すように、照明装置30から下方斜めに照射された光(照射光)は、透明な模様板40を透過する。この場合、模様板40の上面及び下面に形成された凹部45,46に応じた厚みの差によって、水面の模様のような影が生じる。そして、影に応じた模様を含む光(装飾光)は、照射光の方向に従って床部材15に映し出される。この場合、照明装置30からの光は、斜めに照射されているため、壁部材R1よりも外側(鉄骨柱21とは反対側)の床部材15の上面の領域P1に映し出される。
【0037】
更に、照明装置30は、制御装置からの信号に基づいて、パターンに応じて光の強弱が変更される。このため、照射された光の強度の変更に応じて、凹部45,46による影の濃淡も変わるため、水面の揺れを模した演出を実現できる。
これにより、床部材15の上面に、壁部材R1に沿って、光を用いて表現された水面模様の装飾が行なわれる。
【0038】
(照明装置30及び模様板40のメンテナンス)
図2を用いて、メンテナンス方法を説明する。
照明装置30及び模様板40のメンテナンスを行なう場合には、壁部材R1の下方の隙間から手を入れる。そして、模様板40を、L型アングル部材28及び載置板39から持ち上げた後、斜めにして、手前に引き出すことにより、取り出す。
【0039】
その後、壁部材R1の空間S1にある照明装置30を、手で点検及び補修する。
照明装置30の点検や補修が終了した後、清掃や補修を行なった模様板40を、壁部材R1の下方隙間から挿入する。そして、模様板40を、再び、L型アングル部材28及び載置板39に載置する。
【0040】
(作用)
空間S1に設けた照明装置30により模様板40を照らすので、模様板40の模様に応じた装飾光が、壁部材R1の下方に位置する床部材15の上面に映し出される。
【0041】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、床部材15から隙間をおいて配置される壁部材R1を鉄骨柱21に取り付ける空間S1において、照明装置30を配置する。そして、空間S1において、照明装置30の下方に、複数の凹部45,46が設けられた模様板40を配置する。照明装置30からの斜めの光が模様板40を透過すると、模様板40の凹部45,46によって光の影が形成される。これにより、影に応じた模様を含む装飾光が、壁部材R1よりも外側(鉄骨柱21の反対側)の床部材15の上面の領域P1に映し出される。従って、興趣のある装飾を、壁の下方である床部材15の上に行なうことができる。
【0042】
(2)本実施形態では、壁部材R1を鉄骨柱21に取り付けるためのL型アングル部材23や取付部材24等を配置するための空間S1に、照明装置30及び模様板40を配置する。これにより、空間S1を活用して、装飾用照明システム10を配置することができる。
【0043】
(3)本実施形態では、L型アングル部材23に固定されたボルト取付部材37に吊り下げられたボルト38の先端の載置板39に、模様板40が載置されている。これにより、模様板40を容易に着脱することができる。
【0044】
(4)本実施形態では、模様板40は、鉄骨柱21側の端部が、L型アングル部材28に載置されている。このため、模様板40を配置することができる。
(5)本実施形態では、照明装置30は、模様板40に対して200mm程度の高さに配置されている。これにより、模様板40に対して、模様となる影がぼんやり見えるので、水面に近い模様を演出することができる。
【0045】
(6)本実施形態では、照明装置30の光の強度をパターンに応じて変更する。これにより、水面のように揺れた模様を演出することができる。
(7)本実施形態では、模様板40は、その下面が、最下端に設けられた壁部材R1の下面とほぼ同一高さで配置される。これにより、床部材15の上面の領域P1に出現している模様を生じさせる模様板40の存在を隠すことができる。
【0046】
(8)本実施形態では、最下端部に設けた壁部材R1において鉄骨柱21側には、傾斜面R1aが設けられている。これにより、照明装置30が模様板40に対して照射する光の範囲を広くできるので、床部材15に出現させる模様を大きくすることができる。
【0047】
(9)本実施形態では、模様板40を透過した装飾光を照射する床部材15として、濃い灰色の花こう岩が材料であって、上面を研磨により水平にした床材を用いる。これにより、影による模様を含む装飾光を分かりやすく照射できる。
【0048】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、空間S1に配置した照明装置30は、20度前後の角度θ1で斜めに光を照射する。照明装置30が照射する光の角度θ1は、この角度に限られず、床部材15の上面に壁部材R1の影が出ない範囲、例えば5度から30度を用いることができる。
【0049】
・上記実施形態では、模様板40は、その下面が、最下端の壁部材R1の下面とほぼ同じ高さの略水平状態で配置した。模様板40の配置は、これに限られず、例えば、模様板40を、鉄骨柱21側が低くなる傾斜で斜めに配置してもよい。この場合、模様板40の鉄骨柱21側が壁部材R1の下端部より下方となるように配置してもよい。また、模様板40を、鉄骨柱21側が高くなる傾斜で斜めに配置してもよい。この場合には、斜めになった模様板40が壁部材R1の下端部より上方となる位置であって、照明装置30からの照射光が模様板40の表面(上面)を照射するような角度で、模様板40を配置する。
【0050】
・上記実施形態では、床部材15として、濃い灰色の花こう岩を材料とした床材を用いた。模様板40を透過した装飾光が映し出される床材は、これに限られない。なお、影による模様を含む高い色温度の色(白色や暖色)の装飾光がわかりやすいように、光の明度と反対の黒色の材質の部材に映し出されることが好ましい。
【0051】
・上記実施形態の照明装置30は、模様板40から200mm程度高い位置に設けた。照明装置と模様板との距離は、これに限定されない。例えば100mm以下のように照明装置が模様板に近いと、模様がはっきりしてしまう。また、例えば300mm以上のように、照明装置が模様板から遠いと、影の模様が見え難くなる。そこで、模様板を通過する装飾光の状態に応じて、照明装置30の光の強度や、照明装置と模様板との距離を調整する。この場合には、ボルトの長さを変更したり、照明装置の取付位置を変更したりする。
【0052】
・上記実施形態では、照明装置30の光の強弱を変更して、模様が揺らぐように表現した。変更する光の特性は、強度だけに限られない。例えば、照明からの光の色を変化させてもよい。更に、照明装置の位置を移動可能にする。そして、照明装置を移動させることによって模様板との相対距離を変更することにより、模様の輪郭の濃淡を変更した模様としてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、照明装置30が照射する模様板として、水面を表現するために、複数の同心円群50を用いて凹部45,46を形成した模様板を用いた。模様板の模様は、このような模様に限られない。例えば、模様が一部にしかない模様板を用いて、照明装置の向きを変更することにより、模様が出現したり出現しなかったりするように装飾してもよい。
【0054】
・上記実施形態では、模様板40は、透明なアクリル樹脂で構成した。模様板40は、照明装置30の光を透過できればよく、半透明の材質や色が付いた透光性の材質で構成してもよい。
【0055】
・上記実施形態では、模様板40を照明装置30の下方に配置し、照明装置30から模様板40を透過した装飾光を、床部材15の上面に照射した。装飾光を照射する装飾対象部材の装飾対象面は、床部材の上面に限らず、例えば、壁面や天井面等に照射してもよい。具体的には、直交する2枚の壁部材の間に隙間を配置し、一方の壁部材に照明装置及び模様板を配置し、他方の壁部材に装飾光を照射してもよい。天井に照射する場合には、照明装置30の上方に模様板を配置する。
【0056】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、以下に追記する。
(a)前記装飾光の状態に応じて、前記照明装置と前記模様板との距離とが調整されることを特徴とする請求項1に記載の装飾方法。
(b)前記装飾板は、上面及び下面に、円弧形状の複数の凹部が形成されており、前記装飾光は、前記床を水面のように装飾することを特徴とする請求項2又は3に記載の装飾用照明システム。
【符号の説明】
【0057】
θ1…角度、A1…ホールインアンカー、D4…中心直径、H1,H2,H5…高さ、H4…厚さ、LL1…レベル調製用ライナ、L1…長さ、L2…幅、L4,r1…間隔、L5,L6…距離、M1…無収縮モルタル、P1…領域、R1…壁部材、S1…空間、W1…幅、DP1…ダボピン、R1a…傾斜面、10…装飾用照明システム、11…基礎、12…立上り部、13…床スラブ、15…装飾対象部材としての床部材、21…支持部材としての鉄骨柱、21b…ベースプレート、22,23,28…L型アングル部材、24…取付部材、26…レール部材、27…幅木、30…照明装置、31…照明本体、35…角根ボルト、36…取付補助部材、36a…垂直面部、36b…水平部、37…ボルト取付部材、38…吊り下げ部材としてのボルト、39…載置板、40…模様板、41…スリット、42…傾斜部、45,46…凹部、50…同心円群。