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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152337
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0338 20130101AFI20241018BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20241018BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F3/0338 412
G06F3/16 610
G06F3/16 680
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066466
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 理恵
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087AB12
5B087AE09
5B087BC02
5B087DD03
5B087DD10
5B087DG07
5B087DJ03
5E555AA08
5E555BA20
5E555BB20
5E555BC04
5E555BD10
5E555BE17
5E555CA06
5E555CA13
5E555CB55
5E555DA23
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】傾倒させる操作を受け付けるスティック等の傾倒体を備え、視認せずとも操作を認識することが可能な操作装置を提供する。
【解決手段】操作装置CTRは、ジョイスティック、スティックコントローラ等の傾倒体を傾倒させて操作する装置に適用される。操作装置CTRは、音を出力するスピーカ5と、傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部(第1傾倒検出部30、第2傾倒検出部33)と、傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、スピーカ5からの音の出力を制御する制御部40とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、
音を出力するスピーカと、
前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する制御部と
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作装置であって、
傾倒状態に対応付けて音データを記憶する音記憶部を備え、
前記制御部は、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項3】
請求項2に記載の操作装置であって、
取り付け及び取り外しが可能で、識別情報を記憶している識別情報記憶部を備え、
前記音記憶部は、
識別情報に対応付けて音データを記憶してあり、
前記制御部は、
取り付けられている前記音記憶部に記憶されている識別情報に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項4】
請求項3に記載の操作装置であって、
前記識別情報記憶部は、前記傾倒体に取り付け及び取り外しが可能である
ことを特徴とする操作装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の操作装置であって、
自装置の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、
前記制御部は、
前記姿勢検出部が検出した姿勢に応じて補正した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の操作装置であって、
音の出力を抑制する抑制操作を検出する抑制操作検出部を備え、
前記抑制操作検出部による操作を受け付けた場合に、前記制御部は、前記スピーカからの音の出力を抑制する
ことを特徴とする操作装置。
【請求項7】
傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、
振動する振動体と、
前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記振動体の振動を制御する制御部と
を備えることを特徴とする操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ等の電子装置と有線又は無線にて通信可能に接続され、使用者からの操作を受け付けるスティックコントローラ、ジョイスティック等と呼ばれるスティック型の操作装置が普及している。スティック型の操作装置は、様々な方向に傾倒可能なスティック等の傾倒体を傾倒することにより、操作対象を操作ことができる。スティック型の操作装置は、小型化が可能であり、また、傾倒体を傾倒する方向及び角度に応じて様々な機能を割り当てることが可能である。スティック型の操作装置として、例えば、本願出願人は、特許文献1、特許文献2、特許文献3等の様々な操作装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-003553号公報
【特許文献2】特開2022-119390号公報
【特許文献3】特開2022-049186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、モニタを有するパーソナルコンピュータ等の電子装置に接続された操作装置を使用する場合、使用者は、モニタを視認しながら、操作装置を視認せずに、操作装置を操作するのが一般的である。従って、例えば、操作装置を視認せずとも、操作を認識できる操作装置が求められる。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、傾倒体の傾倒状態に応じて操作を認識することが可能な操作装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本願開示の操作装置は、傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、音を出力するスピーカと、前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記操作装置において、傾倒状態に対応付けて音データを記憶する音記憶部を備え、前記制御部は、前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御することを特徴とする。
【0008】
また、前記操作装置において、取り付け及び取り外しが可能で、識別情報を記憶している識別情報記憶部を備え、前記音記憶部は、識別情報に対応付けて音データを記憶してあり、前記制御部は、取り付けられている前記音記憶部に記憶されている識別情報に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御することを特徴とする。
【0009】
また、前記操作装置において、前記識別情報記憶部は、前記傾倒体に取り付け及び取り外しが可能であることを特徴とする。
【0010】
また、前記操作装置において、自装置の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、前記制御部は、前記姿勢検出部が検出した姿勢に応じて補正した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御することを特徴とする。
【0011】
また、前記操作装置において音の出力を抑制する抑制操作を検出する抑制操作検出部を備え、前記抑制操作検出部による操作を受け付けた場合に、前記制御部は、前記スピーカからの音の出力を抑制することを特徴とする。
【0012】
更に、本願開示の操作装置は、傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、振動する振動体と、前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記振動体の振動を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本願開示の操作装置は、傾倒体の傾倒状態に応じて音を出力することにより、操作装置を視認せずに操作を認識することが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本願開示の操作装置及び電子装置の外観の一例を示す概略外観図である。
図2】本願開示の操作装置が備える棒状傾倒体(スティック)の外観の一例を示す概略斜視図である。
図3】本願開示の操作装置において、環状傾倒体(リング)を外した状態の一例を示す概略上面図である。
図4】本願開示の操作装置等の構成例を示す機能ブロック図である。
図5】本願開示の操作装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図6】本願開示の操作装置の外観の一例を示す概略斜視図である。
図7】本願開示の操作装置等の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<操作装置の適用例>
以下、本願開示の操作装置の実施形態の例について図面を参照しながら説明する。本願開示の操作装置は、例えば、パーソナルコンピュータ、ゲーム用装置等の電子装置の操作に用いられる。本願開示の操作装置はスティックコントローラ、ジョイスティック等のスティック型のコントローラとして実装される。以下では、図面を参照しながら図面に例示された操作装置CTR及び電子装置PCについて説明する。
【0016】
<外観及び構造>
先ず、操作装置CTRの外観について説明する。図1は、本願開示の操作装置CTR及び電子装置PCの外観の一例を示す概略外観図である。図1は、本願開示の操作装置CTRをパーソナルコンピュータ等の電子装置PCに通信可能に接続した状態を示している。操作装置CTR及び電子装置PCは、有線又は無線にて通信可能に接続されている。図1に例示する操作装置CTRは、スティック10を傾倒させて操作するスティックコントローラ等のスティック型である。操作装置CTRは、使用者の操作を受け付ける傾倒体、各種ボタン等の操作部1を備えている。傾倒体は、傾倒させる操作を受け付ける操作部1であり、棒状傾倒体(以降、適宜、スティック10という)及び環状傾倒体(以降、適宜、リング11という)として、操作装置CTRの基台2上に配置されている。傾倒するスティック10及びリング11は、操作を受けていない状態での位置が基準位置となる。以降の説明では、便宜上、スティック10が突出した方向を上側、そして基台2の方向を下側として説明する。
【0017】
図2は、本願開示の操作装置CTRが備える棒状傾倒体(スティック10)の外観の一例を示す概略斜視図である。図1及び図2を参照して、スティック10について説明する。スティック10は、球状体100、軸状体101、キャップ102等の部材を備えている。なお、図2は、キャップ102を取り外した状態を示している。軸状体101は、操作を受けて傾倒する略軸状の部材であり、下部は球状体100に結合し、上部には、キャップ102が取り付けられている。軸状体101は、中心軸を延長すると、球状体100の中心を通るように球状体100に結合している。球状体100は、略球状の部材であり、球状体100の中心が、スティック10の傾倒中心となる。キャップ102は、軸状体101の上部に取り付けられた部材であり、取り外して交換することが可能である。このように構成されたスティック10は、上面視で360度の全方向へ傾倒させる傾倒操作を受け付ける。また、スティック10は、上方及び下方へ移動させる移動操作を受けて移動し、軸状体101の中心軸を中心とした周方向へ回動させる回動操作等の操作を受け付けて回動する。操作装置CTRは、これらの操作を検出する第1傾倒検出部30、移動検出部31、回動検出部32等の各種検出部3(図4参照)を備えている。スティック10に関する具体的な構造、形状及び機能は、適宜設計することが可能であり、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載の技術を適用することが可能である。
【0018】
図3は、本願開示の操作装置CTRにおいて、環状傾倒体(リング11)を外した状態の一例を示す概略上面図である。図1及び図3を参照して、リング11について説明する。リング11は、スティック10の周囲を囲うように、基台2上に配置された環状の傾倒体である。基台2には、8個の第2傾倒検出部33が、等間隔になるように8方向に配置されている。第2傾倒検出部33は、例えば、タクタイルスイッチを用いて構成されており、リング11の傾倒方向を検出することができる。
【0019】
<機能構成>
図4は、本願開示の操作装置CTR等の構成例を示す機能ブロック図である。操作装置CTRは、装置全体を制御する制御基板4を備え、制御基板4を介して外部の電子装置PCと通信可能である。また、制御基板4は、検出部3、識別情報記憶部102a、スピーカ5等の各種電子デバイスと有線又は無線にて通信する。
【0020】
検出部3は、前述の第1傾倒検出部30、移動検出部31、回動検出部32及び第2傾倒検出部33の他、姿勢検出部34等の様々なセンサを備えている。第1傾倒検出部30は、傾倒操作に対するスティック10の傾倒方向及び傾倒角度を検出するセンサである。第1傾倒検出部30により、スティック10を傾倒した方向及びその方向へ傾倒した角度を検出する。移動検出部31は、押下操作によるスティック10の下方への移動及び/又は引上操作による上方への移動を検出するセンサである。移動検出部31は、例えば、音の出力を抑制する抑制操作を検出する抑制操作検出部としても用いられる。回動検出部32は、スティック10の中心軸に対する周方向への回動操作を検出するセンサである。第2傾倒検出部33は、傾倒操作に対するリング11の傾倒方向を検出するセンサである。リング11に対しては、傾倒角度の検出はなく、傾倒方向のみを検出する。姿勢検出部34は、操作装置CTRの姿勢を検出するセンサであり、特に、手持ち操作が可能な操作装置CTRに搭載される。
【0021】
識別情報記憶部102aは、キャップ102内に搭載されたメモリであり、識別情報が記憶されたメモリである。識別情報は、キャップ102毎に付与されており、キャップ102を交換することにより、識別情報記憶部102aに記憶されている識別情報が変更されることになる。
【0022】
スピーカ5は、音信号に基づく振動板の振動により、音を発生させる。
【0023】
制御基板4は、制御部40、通信部41、記憶部42、D/A変換部43、増幅部44、音量調整部45等の各種回路を備えている。制御基板4に搭載された各種回路には、図示しない電源から電力が供給されており、更に、制御基板4から、検出部3、スピーカ5等の他の回路に対して給電されている。
【0024】
制御部40は、装置全体を制御する回路であり、例えば、VLSI、LSI等の集積回路を搭載したマイクロコンピュータ等の制御回路を用いて構成されている。制御部40は、ハードウェア又はソフトウェアにて実装されている各種プログラムを実行することにより、スピーカ5から出力する音を制御する。
【0025】
通信部41は、操作に基づく操作信号を電子装置PCへ出力するインターフェースであり、有線又は無線にて通信する。
【0026】
記憶部42は、各種情報を記憶する半導体メモリ等のメモリ回路である。記憶部42には、スピーカ5から出力する音の音源となる様々な音データが、識別情報及び各検出部3が検出する状態に対応付けて記憶されている。即ち、記憶部42は、識別情報毎の音データセットとして音データを記憶している。また、記憶部42に記憶している各音データセットは、各検出部3が検出する状態にそれぞれ対応する複数の音データを含んでいる。例えば、第1傾倒検出部30が検出するスティック10の傾倒方向及び/又は傾倒角度に対応付けて、音データが記憶部42に記憶されている。これにより、制御部40は、スティック10の傾倒方向及び傾倒角度で定まる傾倒状態に基づいて、音データを特定することができる。記憶部42に記憶している音データは、スピーカ5の振動板を振動させて音を出力させるための周波数、振幅、ピッチ等の波形をデータ化した各種情報を含んでいる。なお、スピーカ5から出力する音を決定できるのであれば、各音データに波形をデータ化した各種情報を含ませるのではなく、基本波形のデータを変換する変換用のデータが、音データとして記憶部42に記憶されていてもよい。
【0027】
D/A変換部43は、音データ等のデジタルデータをアナログの電気信号に変換する回路である。
【0028】
増幅部44は、D/A変換部43にてアナログデータに変換された電気信号を増幅し、スピーカ5へ出力するアンプである。
【0029】
音量調整部45は、スピーカ5から出力する音の音量を調整する回路である。
【0030】
次に、本願開示の操作装置CTRの処理について説明する。図5は、本願開示の操作装置CTRの処理の一例を示すフローチャートである。図4及び図5を用いて操作装置CTRの処理について説明する。操作装置CTRの制御部40は、スティック10に取り付けられたキャップ102が備える識別情報記憶部102aに記憶されている識別情報を読み取る(ステップS1)。
【0031】
制御部40は、読み取った識別情報に対応付けて記憶されている音データセットを記憶部42に記憶されている音データから選択する(ステップS2)。ステップS1~S2の処理により、操作装置CTRは、操作に応じた音を出力する初期設定が完了する。
【0032】
更に、操作装置CTRは、使用者の操作を受け付けて音出力処理を開始する。制御部40は、姿勢検出部34により操作装置CTRの姿勢の入力を受け付け(ステップS3)、更に、検出部3により、使用者の操作の入力を受け付ける(ステップS4)。姿勢検出部34を備えていない操作装置CTRでは、ステップS3の処理は実行されない。例えば、使用者が、スティック10を傾倒する操作を行った場合、ステップS4において、制御部40は、第1傾倒検出部30にて検出したスティック10の傾倒方向及び/又は傾倒角度にて示される傾倒状態を、使用者の操作の入力として受け付ける。
【0033】
制御部40は、ステップS4にて操作として入力を受け付けた傾倒方向及び/又は傾倒角度にて示される傾倒状態を、ステップS3にて受け付けた姿勢に基づいて補正する(ステップS5)。ステップS3及びS5の処理は、必須ではないが、例えば、片手で操作する手持ちタイプの操作装置CTRを傾けて操作する場合に、使用者が操作装置CTRを操作する場合の感覚のズレを補正することができる。また、操作装置CTRが、図1に例示するような、上面視円形の形状、即ち、前後左右の方向を形状の触感から判断できない形状であっても、ステップS3及びS5の処理により、使用者は、操作装置CTRを把持する方向を意識せずに操作することが可能である。具体的には、操作装置CTRの全体が傾けられた場合に、ステップS3及びS5の処理により、操作装置CTRは、自機の姿勢を検出し、浮き上がっている方向が常に前方となるように姿勢に基づく補正を行う。
【0034】
制御部40は、識別情報に基づいて選択された音データセットのうちから、スティック10の操作に応じた音データを、記憶部42から抽出する(ステップS6)。例えば、使用者が、スティック10を傾倒する操作を行った場合、ステップS6において、制御部40は、識別情報、並びにスティック10の傾倒方向及び傾倒角度にて示される傾倒状態に対応付けて記憶部42に記憶されている音データを抽出する。なお、ステップS5において、傾倒状態が補正されている場合、制御部40は、補正された傾倒状態に対応付けられている音データを抽出する。
【0035】
制御部40は、抽出した音データに基づいて、スピーカ5から出力する音を制御し(ステップS6)、操作に基づく操作信号を通信部41から電子装置PCへ出力する(ステップS7)。ステップS6における制御として、制御部40は、音の制御として、D/A変換部43により、抽出したデジタルデータである音データを、アナログの電気信号に変換し、増幅部44により、アナログデータに変換された電気信号を増幅する。更に、制御部40は、増幅した電気信号に基づく音を、音量調整部45により調整した音量で、スピーカ5から出力する。また、ステップS7において、傾倒状態等の操作に基づく操作信号を電子装置PCへ出力しているので、使用者は、操作に応じた音が発生していると認識する。
【0036】
そして、操作装置CTRの制御部40は、ステップS3へ戻り、以降の処理を繰り返す。
【0037】
また、移動検出部31を抑制操作検出部として用いる場合、使用者は、移動検出部31を操作して、音の出力を抑制することが可能となる。具体的には、例えば、使用者が、スティック10を引き上げる操作を行った場合、操作装置CTRは、無音又は所定以下の音量となる。即ち、操作装置CTRは、抑制操作検出部(移動検出部31)が、音の出力を抑制する移動操作を検出した場合、制御部40は、スピーカ5からの音の出力を抑制する。音の出力の抑制とは、音の出力の停止又は所定値以下となるような音量の制御である。これにより、大きな音を発生させることが好ましくない環境下において、適切な使用が可能となる。なお、本願開示の操作装置CTRは、移動検出部31を抑制操作検出部として利用するのではなく、第2傾倒検出部33を抑制操作検出部として利用する、更には、別途押しボタン等の抑制操作検出部を設ける等、様々な形態に展開することが可能である。
【0038】
本願開示の操作装置CTRは、例えば、スティック10の傾倒方向により、異なる音を出力するよう設定することが可能である。従って、例えば、絵画、図面等の画像を形成するソフトウェアプログラムの操作に適用し、使用者が、右手に、ペンタイプの入力具を持ち、左手で線種等の設定を行う本願に係る操作装置CTRを操作するという使用方法が考えられる。この場合、使用者は、右手と画面に集中しながら、設定の変更を、操作装置CTRから出力する音にて認識することが可能である。また、操作装置CTRから出力する音は、操作の認識に限らず、例えば、ゲームプログラムの操作に適用し、操作を演出する音を出力する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0039】
また、本願開示の操作装置CTRは、識別情報に対応付けて記憶している音データセットに基づいて音を出力するようにしてあり、しかも、取り付け及び取り外し可能なキャップ102に識別情報記憶部102aを設けている。従って、キャップ102を取り替えることにより、異なる音を出力させることが可能である。例えば、使用者毎、使用するソフトウェア毎にキャップ102を準備すれば、使用者、用途等の設定に応じた音を出力することが可能である。
【0040】
上述した形態の他、本願開示の操作装置CTRは、スティック10、リング11等の傾倒体の操作状態により音を出力するので、様々な実施形態への応用が可能である。例えば、本願開示の操作装置CTRは、基準位置から傾倒可能な8方向への傾倒操作を、出力する音の違いにより、使用者に認識させることが可能である。また、本願開示の操作装置CTRは、スティック10の傾倒方向だけでなく、傾倒の程度となる角度によって音を変化させることも可能である。また、本願開示の操作装置CTRは、スティック10を回動させる操作、押下する操作、引き上げる操作等の様々な操作で異なる音を出力するように実装することが可能である。また、本願開示の操作装置CTRは、傾倒した方向を連続的に移動させる操作、即ち、傾倒状態でスティック10を回転させる操作を行った場合、1周目、2周目と回転を続けるに従って、音を変化させる等、様々な形態への応用が可能である。
【0041】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術範囲は、請求の範囲によって説明するものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0042】
例えば、前記実施形態では、1つのスティック10を備える操作装置CTRを例示したが、本発明はこれに限らず、複数のスティック10を備える操作装置CTRとして実現することも可能である。図6は、本願開示の操作装置CTRの外観の一例を示す概略斜視図である。図6は、本願開示の操作装置CTRを、操作部1として、スティック10を2つ備えるゲームコントローラに適用した例を示している。また、図6に例示する操作装置CTRは、スティック10自体の形状も、図1に例示した棒状から傘状に変形している。図6に例示するように、本願開示の操作装置CTRは、スティック10の形状も含め、様々な形態に展開することが可能である。
【0043】
また、例えば、前記実施形態では、識別情報記憶部102aをキャップ102に組み込んで取り付け及び取り外しが可能である形態を示したが、本願開示の操作装置CTRは、これに限らず、取り付け及び取り外しが可能な様々な形態に展開することが可能である。例えば、本願開示の操作装置CTRは、識別情報記憶部102aとして用いられるICメモリを操作装置CTRの基台2に対して取り付け及び取り外し可能となるように構成する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0044】
また、例えば、前記実施形態では、音データセットの選択を識別情報の切替にて実現する形態を示したが、本願開示の操作装置CTRは、様々な方法で音データセットを選択するように展開することが可能である。例えば、本願開示の操作装置CTRは、スマートフォン等の外部の無線装置からの操作、予め取り付けられているディップスイッチ等の操作部1に対する操作により、音データセットを選択する等、様々な形態に展開することが可能である。
【0045】
更に、本願開示の操作装置CTRは、音にて操作を認識するのではなく、振動にて操作を認識するような形態にも展開することが可能である。図7は、本願開示の操作装置CTR等の構成例を示す機能ブロック図である。図7に例示する操作装置CTRは、スピーカ5に代えて振動体6を備え、記憶部42には、音データに代えて振動データを記憶し、音量調整部45に代えて、振動制御部46を備えている。振動体6は、偏芯モータを用いたバイブレータ等の部材を用いて構成されるが、スピーカ5自体を振動板が振動する振動体6として用いても良い。図7に例示する操作装置CTRでは、操作に応じた振動で振動体6が振動するよう振動制御部46にて制御する。即ち、図7に例示する操作装置CTRは、第1傾倒検出部30が検出した傾倒状態に基づいて、振動体6の振動を制御する制御部40を備え、制御部40が、記憶部42から抽出した振動データに基づいて、D/A変換部43、増幅部44及び振動制御部46を制御して、振動体6を振動させる。使用者は、振動体6の振動により、操作装置CTRを視認することなく、操作を認識することが可能となる。
【0046】
即ち、本願開示の操作装置CTRは、以下の付記に係る様々な形態に展開することが可能である。
【0047】
(付記1)
傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、
音を出力するスピーカと、
前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する制御部と
を備えることを特徴とする操作装置。
【0048】
(付記2)
付記1に記載の操作装置であって、
傾倒状態に対応付けて音データを記憶する音記憶部を備え、
前記制御部は、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【0049】
(付記3)
付記2に記載の操作装置であって、
取り付け及び取り外しが可能で、識別情報を記憶している識別情報記憶部を備え、
前記音記憶部は、
識別情報に対応付けて音データを記憶してあり、
前記制御部は、
取り付けられている前記音記憶部に記憶されている識別情報に対応付けて、前記音記憶部に記憶されている音データに基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【0050】
(付記4)
付記3に記載の操作装置であって、
前記識別情報記憶部は、前記傾倒体に取り付け及び取り外しが可能である
ことを特徴とする操作装置。
【0051】
(付記5)
付記1乃至付記4のいずれかに記載の操作装置であって、
自装置の姿勢を検出する姿勢検出部を備え、
前記制御部は、
前記姿勢検出部が検出した姿勢に応じて補正した傾倒状態に基づいて、前記スピーカからの音の出力を制御する
ことを特徴とする操作装置。
【0052】
(付記6)
付記1乃至付記5のいずれかに記載の操作装置であって、
音の出力を抑制する抑制操作を検出する抑制操作検出部を備え、
前記抑制操作検出部による操作を受け付けた場合に、前記制御部は、前記スピーカからの音の出力を抑制する
ことを特徴とする操作装置。
【0053】
(付記7)
傾倒させる操作を受け付ける傾倒体を備え、前記傾倒体の傾倒状態に基づいて、電子装置を操作する操作信号を出力する操作装置であって、
振動する振動体と、
前記傾倒体の傾倒方向及び傾倒角度の少なくとも一方の傾倒状態を示す傾倒検出部と、
前記傾倒検出部が検出した傾倒状態に基づいて、前記振動体の振動を制御する制御部と
を備えることを特徴とする操作装置。
【符号の説明】
【0054】
CTR 操作装置
1 操作部
10 棒状傾倒体・スティック(傾倒体)
100 球状体
101 軸状体
102 キャップ
102a 識別情報記憶部
11 環状操作体・リング(傾倒体)
2 基台
3 検出部
30 第1傾倒検出部
31 移動検出部(抑制操作検出部)
32 回動検出部
33 第2傾倒検出部(抑制操作検出部)
34 姿勢検出部
4 制御基板
40 制御部
41 通信部
42 記憶部
43 D/A変換部
44 増幅部
45 音量調整部
46 振動制御部
5 スピーカ
6 振動体
PC 電子装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7