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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152346
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】管理装置および管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20241018BHJP
   H04W 4/10 20090101ALI20241018BHJP
   H04W 4/18 20090101ALI20241018BHJP
   H04M 1/725 20210101ALI20241018BHJP
【FI】
H04W52/02
H04W4/10
H04W4/18
H04M1/725
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066484
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】深澤 正臣
(72)【発明者】
【氏名】星野 聡
(72)【発明者】
【氏名】新井 茂
(72)【発明者】
【氏名】片見 憲次
(72)【発明者】
【氏名】田上 勝詞
【テーマコード(参考)】
5K067
5K127
【Fターム(参考)】
5K067AA43
5K067BB01
5K067CC21
5K067DD53
5K067DD54
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K127AA08
5K127BA03
5K127GA26
5K127GB73
(57)【要約】
【課題】音声信号の送受信が可能な端末間における情報伝達の即時性を担保しつつ、端末のバッテリ切れを予防する技術を提供する。
【解決手段】第1端末101から第2端末102への信号を中継する基地局装置200を管理する管理装置300において、取得部310は、第1端末101のバッテリ残量である第1バッテリ残量の情報と、第2端末102のバッテリ残量である第2バッテリ残量の情報との少なくとも一方を取得する。制御部340は、第1端末101と基地局装置200とに対して、第1バッテリ残量と第2バッテリ残量とに基づいて、音声信号をテキストデータに変換して、当該テキストデータを送信するように指示を出す。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端末から第2端末への信号を中継する基地局装置を管理する管理装置であって、
前記第1端末のバッテリ残量である第1バッテリ残量の情報と、前記第2端末のバッテリ残量である第2バッテリ残量の情報との少なくとも一方を取得する取得部と、
前記第1端末と前記基地局装置とに対して、前記第1バッテリ残量と前記第2バッテリ残量とに基づいて、音声信号をテキストデータに変換して、当該テキストデータを送信するように指示を出す制御部と、を備え、
前記制御部は、前記基地局装置が前記第1端末からの発呼要求を受信することをトリガーとして、前記第1バッテリ残量が第1閾値以下である場合に、前記第1端末に前記音声信号をテキストデータに変換して送信するように指示を出し、前記第2バッテリ残量が第2閾値以下である場合に、前記基地局装置に前記第1端末から受信した前記音声信号をテキストデータに変換して、当該テキストデータを前記第2端末へ送信するように指示を出す、
管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記基地局装置が前記第1端末から音声信号を変換したテキストデータを受信する場合、
前記第2バッテリ残量が前記第2閾値以下であれば、前記テキストデータを前記基地局装置から前記第2端末へ送信させ、
前記第2バッテリ残量が前記第2閾値超であれば、前記基地局装置に前記テキストデータを音声信号に変換させ、当該音声信号を前記第2端末へ送信させる、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記基地局装置は、前記第1端末から前記第2端末および第3端末への通話を中継し、
前記取得部は、前記第2バッテリ残量の情報と、前記第3端末のバッテリ残量である第3バッテリ残量の情報とを取得し、
前記制御部は、
前記基地局装置が前記第1端末から音声信号を受信する場合、前記第2バッテリ残量が前記第2閾値以下であること、および、前記第3バッテリ残量が第3閾値以下であること、の少なくとも一方を満たせば、前記基地局装置に前記音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを前記第2端末および前記第3端末へ送信させ、
前記基地局装置が前記第1端末から音声信号を変換したテキストデータを受信する場合、前記第2バッテリ残量が前記第2閾値超かつ前記第3バッテリ残量が前記第3閾値超であれば、前記基地局装置に前記テキストデータを音声信号に変換させ、当該音声信号を前記第2端末および前記第3端末へ送信させる、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
第1端末から第2端末への音声信号を中継する基地局装置の管理方法であって、
前記第1端末のバッテリ残量である第1バッテリ残量の情報と、前記第2端末のバッテリ残量である第2バッテリ残量の情報との少なくとも一方を取得するステップと、
前記基地局装置が前記第1端末からの発呼要求を受信するステップと、
前記発呼要求を受信した場合に、前記第1バッテリ残量が第1閾値以下であるとき、前記第1端末に前記音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを前記基地局装置へ送信させること、および、前記第2バッテリ残量が第2閾値以下であるとき、前記基地局装置に前記音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを前記第2端末へ送信させること、の少なくとも一方を実行するステップと、
を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置および管理方法に関し、特に基地局装置を管理する管理装置および管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機能を有する音声通話が可能な端末は、特に音声信号を送受信する際、多くの電力を必要とする。このような端末がバッテリ切れとなることを予防するために、電力消費を低減することが求められる。例えば、特許文献1には、端末のバッテリ切れを未然に防ぐために、端末のバッテリ残量が十分に残っていないと判断した場合には、端末と基地局装置との間のデータ伝送速度を低下させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-191455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、端末と基地局装置との間のデータ伝送速度が低下してしまうため、情報伝達の即時性が損なわれるおそれがある。特に、PTT(Push to Talk)機能などを用いた音声通話が可能な端末においては、発話内容を即時に相手方に伝達できることが利点の一つであり、送信側の端末からの音声信号が受信側の端末に遅れて届くことは好ましくない。
【0005】
本発明は、こうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、音声信号の送受信が可能な端末間における情報伝達の即時性を担保しつつ、端末のバッテリ切れを予防する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管理装置は、第1端末から第2端末への信号を中継する基地局装置を管理する管理装置であって、第1端末のバッテリ残量である第1バッテリ残量の情報と、第2端末のバッテリ残量である第2バッテリ残量の情報との少なくとも一方を取得する取得部と、第1端末と基地局装置とに対して、第1バッテリ残量と第2バッテリ残量とに基づいて、音声信号をテキストデータに変換して、当該テキストデータを送信するように指示を出す制御部と、を備え、制御部は、基地局装置が第1端末からの発呼要求を受信することをトリガーとして、第1バッテリ残量が第1閾値以下である場合に、第1端末に音声信号をテキストデータに変換して送信するように指示を出し、第2バッテリ残量が第2閾値以下である場合に、基地局装置に第1端末から受信した音声信号をテキストデータに変換して、当該テキストデータを第2端末へ送信するように指示を出す。
【0007】
本発明の別の態様は、管理方法である。この方法は、第1端末から第2端末への音声信号を中継する基地局装置の管理方法であって、第1端末のバッテリ残量である第1バッテリ残量の情報と、第2端末のバッテリ残量である第2バッテリ残量の情報との少なくとも一方を取得するステップと、基地局装置が第1端末からの発呼要求を受信するステップと、発呼要求を受信した場合に、第1バッテリ残量が第1閾値以下であるとき、第1端末に音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを基地局装置へ送信させること、および、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるとき、基地局装置に音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを第2端末へ送信させること、の少なくとも一方を実行するステップと、を含む。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音声信号の送受信が可能な端末間における情報伝達の即時性を担保しつつ、端末のバッテリ切れを予防する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成を模式的に示す図である。
図2図1の端末の機能構成を模式的に示すブロック図である。
図3図1の基地局装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
図4図1の管理装置の機能構成を模式的に示すブロック図である。
図5図1の管理装置が記憶する端末のバッテリ残量の情報の一例を示す図である。
図6図1の無線通信システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
図7図1の無線通信システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
図8図1の無線通信システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
図9図1の無線通信システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、図面において、本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の構成を模式的に示す図である。無線通信システム1は、複数の端末100と、基地局装置200と、管理装置300とを含む。端末100の個数は2以上であればよく、特に限定されないが、図1の例では、端末100a~端末100eの5個を示している。同様に、基地局装置200および管理装置300それぞれの個数は1個には限定されない。無線通信システム1における端末100は、基地局装置200からの通信が可能な範囲である基地局通信網10内に位置している。無線通信システム1は、例えば業務用無線システムであり、端末100と基地局装置200との間の無線通信を実行する。
【0013】
図2は、端末100の機能構成を模式的に示すブロック図である。端末100は、例えば業務用無線機である。一方の端末100に入力される音声は、無線通信により音声信号を含む上りの電波として送信される。基地局装置200は、受信した上りの電波を中継して、下りの電波として送信する。他方の端末100は、下りの電波を受信して、音声を出力する。端末100は、操作部110と、音声入力部120と、音声出力部130と、設定部140と、変換部150と、バッテリ残量監視部160と、通信部170とを備える。
【0014】
本明細書のブロック図で示す各ブロックは、例えば、ハードウェアおよびソフトウェアの連携によって実現されうる。ハードウェアは、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現される。ソフトウェアは、コンピュータプログラム等によって実現される。したがって、これらのブロックがハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0015】
操作部110は、端末100のユーザによって操作されるインターフェースである。操作部110は、発呼操作を受け付ける発呼操作部112と、PTT機能を有効化するPTTボタン114とを含む。発呼操作部112は、ユーザから送信先の他の端末100の指定を受け付けるインターフェースである。PTTボタン114は、例えば、ユーザが押し下げ操作可能な釦である。PTTボタン114は、押し下げ操作されているときにPTT機能を有効とし、押し下げ操作されていないときにPTT機能を無効とする。
【0016】
音声入力部120は、マイク等で構成され、PTTボタン114が押し下げ操作されているとき、入力された音声を取得する。音声入力部120は、取得した音声を電気信号(以下、「音声信号」という)に変換する。
【0017】
音声出力部130は、スピーカ等で構成され、入力された音声信号を音声に変換して出力する。
【0018】
設定部140、変換部150およびバッテリ残量監視部160の説明は後述する。
【0019】
通信部170は、基地局装置200との間で無線通信を実行する。例えば、通信部170は、発呼操作部112の操作を受け付けると、基地局装置200に、送信先の他の端末100の識別情報を含む発呼要求を送信する。PTTボタン114が押し下げ操作されている期間に渡り、通信部170は、基地局装置200に、音声信号やデータ信号の送信を行う。以下の説明では、発呼操作部112とPTTボタン114とで動作を分けて説明しているが、PTTボタン114が発呼操作部112の機能を含んでいてもよい。例えば、PTTボタン114が押し下げられると、基地局装置200に発呼要求を送信し、基地局装置200から発呼を許可する応答を受けると、PTTボタン114が押し下げられている期間に渡り、基地局装置200に音声信号の送信を行う一連の動作を行ってもよい。なお、音声信号の送信は、PTTボタン114による方法に代えて、音声入力部120で取得された音声信号の音量が所定のしきい値以上になった場合に音声信号の送信を開始するVOX(Voice Operation Transmission)機能による方法を用いることもできる。通信部170は、基地局装置200から音声信号やデータ信号の受信も行う。
【0020】
通信部170は、後述するテキスト変換モードが設定されていない場合、PTTボタン114が押し下げ操作されている期間に音声入力部120により変換された音声信号を、基地局装置200に送信する。この場合、音声入力部120は、音声が入力されている途中であっても音声信号に順次変換し、通信部170は、変換された音声信号を基地局装置200に順次送信してもよい。これにより、端末100に入力された音声の情報を音声信号の形態で基地局装置200に即時に送信することができる。
【0021】
図3は、基地局装置200の機能構成を模式的に示すブロック図である。基地局装置200は、通信部210と、変換部220とを備える。
【0022】
通信部210は、端末100との間で無線通信を実行する。例えば、通信部210は、端末100から発呼要求を受信する。通信部210は、端末100との間で、音声信号の送受信を行う。変換部220の説明は後述する。
【0023】
以上に説明した無線通信システム1の構成によれば、一方の端末100のPTTボタン114が押し下げ操作されている状態で入力された音声が、他方の端末100の音声出力部130から即時に出力されるので、複数の端末100間において情報伝達を即時に行うことができる。しかし、無線通信システム1が上記の構成のみからなる場合、端末100は、音声信号を送受信する際に多くの電力を消費し、バッテリ切れとなる虞があった。そこで、上記課題を解決するために、無線通信システム1は、端末100のバッテリ残量が少ないか否かを判定し、少ないと判定した場合には、音声信号をテキストデータに変換することで、送受信時の電力消費を低減することを特徴とする。以下、詳細について説明する。
【0024】
図2に戻り、端末100の設定部140は、基地局装置200からのテキスト変換指示を通信部170を介して受信する場合、テキスト変換モードを設定する。
【0025】
変換部150は、テキスト変換モードが設定されている場合、音声信号をテキストデータに変換する。詳細には、変換部150は、音声信号に含まれる言語情報を解析し、当該言語情報をテキストに置換したテキストデータを生成する。音声信号からテキストデータへの変換は、公知の音声認識技術を利用することができる。変換部150は、テキスト変換モードが設定されている場合、PTTボタン114が押し下げ操作されている期間に音声入力部120により変換された音声信号を、テキストデータに変換する。PTTボタン114の押し下げ操作が解除されると、押し下げ操作されていた期間のテキストデータが完成する。
【0026】
変換部150は、基地局装置200を介して基地局装置200からテキストデータを受信すると、受信したテキストデータを音声信号に変換し、音声出力部130に出力する。テキストデータから音声信号への変換には、公知のテキスト音声合成技術を利用することができる。
【0027】
バッテリ残量監視部160は、端末100のバッテリ残量を監視する。バッテリ残量監視部160は、バッテリ残量の情報を通信部170に出力する。通信部170は、入力されたバッテリ残量の情報を、端末100の識別情報とともに、基地局装置200に送信する。通信部170は、一定時間ごとに、例えば数分間隔で、バッテリ残量の情報を基地局装置200に送信してもよい。また、通信部170は、端末100の電源投入時に、バッテリ残量の情報を基地局装置200に送信してもよい。通信部170がバッテリ残量の情報を基地局装置200に送信するタイミングは、通信部170が端末100の位置情報を基地局装置200に送信するタイミングと同時であってもよい。位置情報は、図示しない位置情報取得部で取得される。位置情報取得部は、例えば、GPS(Global Positioning System)の測位機能を有し、自端末100の位置情報を取得する。位置情報は、例えば、経度と緯度の情報である。
【0028】
通信部170は、基地局装置200からテキスト変換指示を受信する。通信部170は、基地局装置200との間で、テキストデータの送受信を行う。通信部170は、自機のバッテリ残量の情報を、自機の識別情報とともに、基地局装置200に送信する。
【0029】
通信部170は、テキスト変換モードが設定されている場合、変換部150が生成したテキストデータを、基地局装置200に送信する。テキストデータは、PTTボタン114の押し下げ操作が解除された時点で変換部150によって完成する。よって、端末100に入力された音声の情報をテキストデータの形態で基地局装置200に即時に送信することができる。また、通信部170は、同じ音声の情報であっても、テキストデータの形態で送受信する場合の方が、音声信号の形態で送受信する場合よりも、送信時間または受信時間を短縮できるので、消費電力を低減できる。
【0030】
図3に示す基地局装置200の通信部210は、管理装置300からの命令に応じて、端末100にテキスト変換指示を送信する。通信部210は、端末100との間で、音声信号またはテキストデータを含むデータ信号の送受信を行う。通信部210は、端末100からバッテリ残量の情報と端末100の識別情報とを受信する。
【0031】
変換部220は、端末100から受信した音声信号を、管理装置300からの命令に応じて、テキストデータに変換する。変換部220は、端末100から受信したテキストデータを、管理装置300からの命令に応じて、音声信号に変換する。変換部220は、変換部150と同様の手法で、音声信号をテキストデータに変換し、またテキストデータを音声信号に変換することができる。
【0032】
図4は、管理装置300の機能構成を模式的に示すブロック図である。管理装置300は、基地局装置200と通信可能に接続され、基地局装置200を管理する。管理装置300と基地局装置200との間の通信は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。また、管理装置300は、基地局装置200と一体的に構成されていてもよい。例えば、管理装置300は基地局装置200が備える機能部として構成されていてもよい。管理装置300は、取得部310と、記憶部320と、判定部330と、制御部340とを備える。
【0033】
取得部310は、基地局装置200の通信部210が受信した端末100のバッテリ残量の情報と、その端末100の識別情報とを取得する。取得部310は、端末100から位置情報も取得してもよい。取得部310が端末100のバッテリ残量の情報を取得するタイミングは、端末100からバッテリ残量の情報が送信されるタイミングに対応し、例えば、端末100の電源投入時や、一定時間ごと(数分間隔)である。
【0034】
記憶部320は、取得部310が取得した端末100のバッテリ残量の情報を、その端末100の識別情報と関連付けて記憶する。記憶部320は、取得部310が端末100の位置情報も取得する場合、その位置情報も端末100の識別情報と関連付けて記憶してもよい。記憶部320は、既に記憶している識別情報の端末100に関するバッテリ残量の情報を新たに記憶する場合、新たに記憶するバッテリ残量の情報に更新して記憶する。記憶部320は、端末100のバッテリ残量が少ないか否かを判定するための閾値(以下、「バッテリ閾値」ともいう)の情報をさらに記憶する。バッテリ閾値は、端末100の種類によらず一定の値であってもよいし、端末100毎に異なる値であってもよい。例えば、端末100の用途やバッテリ容量に応じて、バッテリ閾値を端末100毎に異なる値とすることができる。
【0035】
図5は、管理装置300の記憶部320が記憶する端末100のバッテリ残量の情報の一例を示す図である。図5に示す例は、各行に、端末100の識別情報の一例としての端末名と、バッテリ残量を百分率で表した数値とを関連付けて表現している。バッテリ残量は、図5に示すようにバッテリ容量に対する割合であってもよいし、バッテリ切れとなるまでの推定持続時間であってもよいし、その他の表現であってもよい。
【0036】
図4に戻り、判定部330は、バッテリ残量がバッテリ閾値以下であるか否かを判定する。判定部330は、基地局装置200の通信部210が端末100から発呼要求を受信することをトリガーとして、バッテリ残量がバッテリ閾値以下であるか否かの判定を行う。図5に示す例では、例えば、バッテリ閾値が端末100によらず一定値である「30%」である場合、判定部330は、端末100aおよび端末100bのバッテリ残量がバッテリ閾値以下であると判定し、端末100c~端末100eのバッテリ残量がバッテリ閾値超であると判定する。
【0037】
図4に戻り、制御部340は、判定部330の判定結果に基づいて、端末100および基地局装置200の動作を制御する。以下、制御部340の動作を含む無線通信システム1全体の処理について、図6図9を用いて説明する。
【0038】
図6図9は、無線通信システム1による通信手順を示すシーケンス図である。ここで、端末100のうち、送信側の端末100を第1端末101とし、受信側の端末100を第2端末102として説明する。また、図6図9では、基地局装置200と管理装置300とを区別せずに示している。
【0039】
図6は、第1端末101のバッテリ残量(以下、「第1バッテリ残量」という)が第1端末101のバッテリ閾値(以下、「第1閾値」という)以下であり、かつ、第2端末102のバッテリ残量(以下、「第2バッテリ残量」という)が第2端末102のバッテリ閾値(以下、「第2閾値」という)以下である場合におけるシーケンス図である。図6図9の例では、管理装置300の取得部310が予め第1バッテリ残量と第2バッテリ残量とを取得し、記憶部320に記憶しているとして説明する。
【0040】
第1端末101は、発呼操作部112を介してユーザからの発呼操作を受け付ける(S10)と、発呼要求を基地局装置200に送信する(S12)。ここでの発呼要求には、送信元の端末100として第1端末101の識別子と、送信先の端末100として第2端末102の識別子とが指定されている。管理装置300の判定部330は、ステップS12の発呼要求の受信をトリガーとして、第1バッテリ残量が第1閾値以下であるか否かの判定を行い、第1閾値以下であると判定すると共に、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるか否かの判定を行い、第2閾値以下であると判定する(S14)。
【0041】
管理装置300の制御部340は、第1バッテリ残量が第1閾値以下であると判定されると、テキスト変換指示を、基地局装置200から第1端末101へ送信させる(S16)。第1端末101は、テキスト変換指示を受信すると、テキスト変換モードを設定する(S18)。その後、第1端末101は、PTTボタン114が押し下げ操作されると(S20)、押し下げ操作されている期間に入力された音声の音声信号をテキストデータに変換する(S22)。第1端末101は、PTTボタン114の押し下げ操作が解除されると(S24)、テキストデータを基地局装置200へ送信する(S26)。なお、テキストデータには、送信元と送信先の端末の識別子と、音声信号を変換したテキストデータであることを示す識別子とを含むヘッダ情報が付与されて送信される。
【0042】
管理装置300の制御部340は、第2バッテリ残量が第2閾値以下であると判定(S14)されると、ステップS26で受信したヘッダ情報が付与されたテキストデータを、基地局装置200から第2端末102へ送信させる(S28)。第2端末102は、テキストデータ(ヘッダ情報に音声信号を変換したテキストデータであることを示す識別子を含む)を受信すると、音声信号に変換し(S30)、音声として出力する(S32)。
【0043】
図7は、第1バッテリ残量が第1閾値以下であり、かつ、第2バッテリ残量が第2閾値超である場合におけるシーケンス図である。図7のステップS10,S12,S16~S26は、図6のステップS10,S12,S16~S26と同一であるので説明を省略する。
【0044】
管理装置300の判定部330は、ステップS12の発呼要求の受信をトリガーとして、第1バッテリ残量が第1閾値以下であるか否かの判定を行い、第1閾値以下であると判定すると共に、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるか否かの判定を行い、第2閾値超であると判定する(S40)。管理装置300の制御部340は、第2バッテリ残量が第2閾値超であると判定(S40)されると、基地局装置200に、ステップS26で受信したテキストデータ(ヘッダ情報に音声信号を変換したテキストデータであることを示す識別子を含む)を、変換部220で音声信号に変換させる(S42)。管理装置300の制御部340は、基地局装置200に、変換した音声信号を第2端末102へ送信させる(S44)。なお、音声信号には、送信元と送信先の端末の識別子と、テキストデータを変換した音声信号であることを示す識別子とを含むヘッダ情報が付与されて送信される。第2端末102は、音声信号を受信すると、音声として出力する(S46)。
【0045】
図8は、第1バッテリ残量が第1閾値超であり、かつ、第2バッテリ残量が第2閾値以下である場合におけるシーケンス図である。図8のステップS10,S12は、図6のステップS10,S12と同一であるので説明を省略する。
【0046】
管理装置300の判定部330は、ステップS12の発呼要求の受信をトリガーとして、第1バッテリ残量が第1閾値以下であるか否かの判定を行い、第1閾値超であると判定する(S50)。管理装置300の判定部330は、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるか否かの判定を行い、第2閾値以下であると判定する(S52)。管理装置300の制御部340は、第1バッテリ残量が第1閾値超であると判定(S50)されると、基地局装置200から第1端末101に、テキスト変換指示を送信させない。図示しないが、基地局装置200から第1端末101に送信を許可する信号が送信される。その後、第1端末101は、PTTボタン114が押し下げ操作されると(S54)、押し下げ操作されている期間に入力された音声の音声信号を基地局装置200へ送信し続ける(S56)。第1端末101は、PTTボタン114の押し下げ操作が解除されると(S58)、音声信号の送信を終了する。
【0047】
管理装置300の制御部340は、第2バッテリ残量が第2閾値以下であると判定(S52)されると、基地局装置200に、ステップS56で受信した音声信号をテキストデータに変換させる(S60)。管理装置300の制御部340は、変換したテキストデータを、基地局装置200から第2端末102へ送信させる(S62)。なお、テキストデータには、送信元と送信先の端末の識別子と、音声信号を変換したテキストデータであることを示す識別子を含むヘッダ情報が付与されて送信される。第2端末102は、テキストデータを受信すると、音声信号に変換し(S64)、音声として出力する(S66)。
【0048】
図9は、第1バッテリ残量が第1閾値超であり、かつ、第2バッテリ残量が第2閾値超である場合におけるシーケンス図である。図8のステップS10,S12,S50,S54~S58は、図8のステップS10,S12,S50,S54~S58と同一であるので説明を省略する。
【0049】
管理装置300の判定部330は、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるか否かの判定を行い、第2閾値超であると判定する(S70)。管理装置300の制御部340は、第2バッテリ残量が第2閾値超であると判定(S70)されると、ステップS56で受信した音声信号を、基地局装置200から第2端末102へ送信させる(S72)。第2端末102は、受信した音声信号を音声として出力する(S74)。
【0050】
本実施形態では、管理装置300の取得部310が、第1バッテリ残量と第2バッテリ残量とを取得するとして説明したが、第1バッテリ残量と第2バッテリ残量との少なくとも一方を取得するのでもよい。その場合、管理装置300の判定部330は、第1バッテリ残量が第1閾値以下であるか否かの判定と、第2バッテリ残量が第2閾値以下であるか否かの判定との少なくとも一方を実行する。判定部330は、送信側のバッテリ残量情報が取得できた場合は、送信側に音声信号をテキストデータに変換して送信するように指示を出すか否かを判定し、受信側のバッテリ残量情報が取得できた場合は、受信側にテキストデータを受信して音声信号に変換するように指示を出すか否かをそれぞれ判定すればよい。
【0051】
本実施形態によれば、第1バッテリ残量が第1閾値以下である場合に、第1端末101が音声信号をテキストデータに変換し、当該テキストデータを基地局装置200へ送信する。また、第2バッテリ残量が第2閾値以下である場合に、基地局装置200が音声信号を受信していれば、音声信号をテキストデータに変換し、当該テキストデータを第2端末102へ送信する。さらに、第2バッテリ残量が第2閾値以下である場合に、基地局装置200がテキストデータを受信していれば、受信したテキストデータを第2端末102へ送信する。これにより、第1端末101または第2端末102のバッテリ残量が少ないと判定した場合には、音声信号に代えてテキストデータを送受信するので、情報伝達の即時性を担保しつつ、端末100のバッテリ切れを予防できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、第2バッテリ残量が第2閾値超である場合に、基地局装置200がテキストデータを受信していれば、受信したテキストデータを音声信号に変換し、当該音声信号を第2端末102に送信する。これにより、第2端末102のバッテリ残量が十分である場合には、より処理能力の高い基地局装置200が予めテキストデータを音声信号に変換するので、第2端末102がテキストデータを音声信号に変換するよりも即時性を担保しやすい。
【0053】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。本実施形態に記載の内容は例示であり、各実施形態の構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
例えば、管理装置300の記憶部320は、複数の端末100をグループ化するための識別情報を端末100それぞれに関連付けて記憶していてもよい。そして、第1端末101は、グループの識別情報を含む発呼要求を基地局装置200へ送信してもよい。これにより、管理装置300は、同じグループの識別情報に関連付けられた複数の端末100を送信先として、基地局装置200に音声信号またはテキストデータを送信させることができる。
【0055】
そして、例えばグループの送信先の端末100に第2端末102および第3端末が含まれている場合、第2バッテリ残量が第2閾値以下であること、および、第3端末のバッテリ残量(以下、「第3バッテリ残量」という)が第3端末のバッテリ閾値(以下、「第3閾値」という)以下であること、の少なくとも一方を満たせば、基地局装置200から第2端末102および第3端末へ送信するデータをテキストデータとし、それ以外の場合には音声信号としてもよい。詳細には、管理装置300の制御部340は、基地局装置200が第1端末101から音声信号を受信する場合、第2バッテリ残量が第2閾値以下であること、および、第3バッテリ残量が第3閾値以下であること、の少なくとも一方を満たせば、基地局装置200に音声信号をテキストデータに変換させ、当該テキストデータを第2端末102および第3端末へ送信させる。一方、制御部340は、第2バッテリ残量が第2閾値超かつ第3バッテリ残量が第3閾値超であれば、音声信号を基地局装置200から第2端末102および第3端末へ送信させる。また、制御部340は、基地局装置200が第1端末101からテキストデータを受信する場合、第2バッテリ残量が第2閾値以下であること、および、第3バッテリ残量が第3閾値以下であること、の少なくとも一方を満たせば、テキストデータを基地局装置200から第2端末102および第3端末へ送信させる。一方、第2バッテリ残量が第2閾値超かつ第3バッテリ残量が第3閾値超であれば、基地局装置200にテキストデータを音声信号に変換させ、当該音声信号を第2端末102および第3端末へ送信させる。
【0056】
これにより、グループ通信においても本技術は有効であり、例えば、送信先にバッテリ残量の少ない端末100が含まれていれば、音声信号に代えてテキストデータを送受信するので、情報伝達の即時性を担保しつつ、端末100のバッテリ切れを予防できる。
【0057】
また、端末100は、業務用無線機は限定されず、例えばスマートフォン等の通信端末であってもよい。この場合、PTTボタンは、例えばタッチパネルに表示されたタッチ操作可能なアイコン等でもよい。
【0058】
上述した実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0059】
100,101 第1端末、 102 第2端末、 200 基地局装置、 300 管理装置、 310 取得部、 340 制御部。
図1
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