(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152350
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20241018BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20241018BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/02
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066495
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】安念 一規
(72)【発明者】
【氏名】谷 健一
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AB03
5E070CB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コイルの直流抵抗を低減できるインダクタ部品を提供する。
【解決手段】インダクタ部品1は、素体10と、素体内に設けられ軸AXに沿って螺旋状に巻き回されるコイル20と、第1外部電極30及び第2外部電極40を備える。素体は、第1端面15と第2端面16、第1側面13と第2側面、第1端面と第2端面との間及び第1側面と第2側面との間に接続された底面17と天面18を含み、第1外部電極及び第2外部電極は、少なくとも底面に設けられ、軸は底面に平行で第1側面と第2側面とに交差し、コイルは軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、隣り合うコイル配線層を接続するビア配線層601~607と、を有する。複数のビア配線層は、軸方向からみてコイルの螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含み、少なくとも一つの長手ビア配線層は、軸方向からみて曲率半径が15μm以上の第1長手ビア配線層である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続するビア配線層とを有し、
前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記コイルの螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含み、前記少なくとも一つの長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含む、インダクタ部品。
【請求項2】
前記素体は、前記軸に沿って積層される複数の絶縁層を有し、
前記複数の絶縁層は、前記第1長手ビア配線層と同一層の第1絶縁層を含み、
前記第1絶縁層に対する前記第1長手ビア配線層の体積の割合は、9.2%以上である、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
前記インダクタ部品の長さ寸法は、265μm以下であり、
前記インダクタ部品の高さ寸法は、215μm以下であり、
前記インダクタ部品の幅寸法は、140μm以下である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
全ての前記ビア配線層は、前記第1長手ビア配線層である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
少なくとも一つの前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
全ての前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
全ての前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状であり、
前記全ての第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記コイルの角部から離隔している、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記少なくとも一つの第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記天面または前記第1端面のいずれかと平行である、請求項5に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記全ての第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記天面または前記第1端面のいずれかと平行である、請求項6に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ部品としては、特開2019-192829号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、素体と、素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、素体に設けられ、コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極とを有する。コイルは、軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、軸方向に隣り合うコイル配線層を接続するビア配線層とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のようなインダクタ部品では、ビア配線層は、角柱形状であり、コイル配線層とビア配線層との接触面積は小さく、コイルの直流抵抗が増大するおそれがある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、コイルの直流抵抗を低減できるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続するビア配線層とを有し、
前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記コイルの螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含み、前記少なくとも一つの長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含む。
【0007】
ここで、長手ビア配線層とは、軸方向からみてビア配線層が延在する方向に沿った中心線の長さが、ビア配線層が延在する方向に沿った中心線に直交する方向の幅よりも大きいビア配線層をさす。第1長手ビア配線層が、複数の曲率半径を有する場合、最も小さい曲率半径が、15μm以上であればよい。
【0008】
前記態様によれば、ビア配線層は、軸方向からみて、コイルの螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含むので、コイル配線層と長手ビア配線層との接触面積を大きくできて、コイルの直流抵抗を低減できる。
【0009】
また、少なくとも一つの長手ビア配線層は、軸方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含むので、第1長手ビア配線層の曲率半径は大きい。これにより、第1長手ビア配線層の線膨張係数と素体の線膨張係数の差による応力が発生しても、第1長手ビア配線層に対して応力が集中し難くなる。特に、インダクタ部品の小型化により、第1長手ビア配線層の素体に対する体積比率が大きくなっても、第1長手ビア配線層に対する応力を緩和できる。したがって、第1長手ビア配線層に対するクラックの発生を低減でき、インダクタ部品の歩留まりを向上できる。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様であるインダクタ部品によれば、コイルの直流抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図2】インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
【
図4】インダクタ部品の第2実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図3Aと
図3Bと
図3Cは、インダクタ部品の分解平面図である。
図1と
図2と
図3Aと
図3Bと
図3Cに示すように、インダクタ部品1は、素体10と、素体10内に設けられ軸AXに沿って螺旋状に巻き回されたコイル20と、素体10に設けられコイル20に電気的に接続された第1外部電極30および第2外部電極40とを有する。なお、便宜上、
図2では、構造を容易に理解できるよう、素体およびコイルを透明に描いているが、半透明や不透明であってもよい。
【0014】
インダクタ部品1は、第1、第2外部電極30,40を介して、図示しない回路基板の配線に電気的に接続される。インダクタ部品1は、例えば、高周波回路のインピーダンス整合用コイル(マッチングコイル)として用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ部品1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
【0015】
素体10は、略直方体状に形成されている。素体10の表面は、互いに対向する第1端面15および第2端面16と、互いに対向する第1側面13と第2側面14と、第1端面15と第2端面16との間および第1側面13と第2側面14との間に接続された底面17と、底面17と対向する天面18とを含む。底面17は、インダクタ部品1を図示しない実装基板に実装した際に、実装基板側を向く面である。
【0016】
図示するように、X方向は、第1端面15および第2端面16に直交し、第1端面15から第2端面16に向かう方向である。Y方向は、第1側面13および第2側面14に直交し、第2側面14から第1側面13に向かう方向である。Z方向は、底面17および天面18に直交し、底面17から天面18に向かう方向である。X方向は、素体10の長さ方向ともいい、Y方向は、素体10の幅方向ともいい、Z方向は、素体10の高さ方向ともいう。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向であって、X,Y,Zの順に並べたとき、左手系を構成する。
【0017】
素体10は、複数の絶縁層11を積層して構成される。絶縁層11は、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とする材料や、フェライト、樹脂などの材料からなる。絶縁層11の積層方向は、素体10の第1、第2端面15,16および底面17に、平行な方向(Y方向)である。すなわち、絶縁層11は、XZ平面に広がった層状である。本願における「平行」とは、厳密な平行関係に限定されず、現実的なばらつきの範囲を考慮し、実質的な平行関係も含む。なお、素体10は、焼成などによって、複数の絶縁層11同士の界面が明確となっていない場合がある。なお、
図3Aと
図3Bと
図3Cでは、上から下に向かう方向を積層方向(Y方向)とする。
【0018】
第1外部電極30および第2外部電極40は、例えば、Ag、Cu、Auやこれらを主成分とする合金などの導電性材料から構成される。第1外部電極30は、第1端面15から底面17にかけて形成されたL字形状である。第1外部電極30は、第1端面15および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第1外部電極30は、第1端面15に沿って延在する第1端面部31と、第1端面部31に接続され底面17に沿って延在する第1底面部32とを有する。なお、第1外部電極30および第2外部電極40は、素体10から露出する表面がNiやSnなどのめっきにより覆われていてもよい。
【0019】
第2外部電極40は、第2端面16から底面17にかけて形成されたL字形状である。第2外部電極40は、第2端面16および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第2外部電極40は、第2端面16に沿って延在する第2端面部41と、第2端面部41に接続され底面17に沿って延在する第2底面部42とを有する。
【0020】
第1外部電極30は、素体10(絶縁層11)に埋め込まれた複数の第1外部電極導体層33が積層された構成を有している。第2外部電極40は、素体10(絶縁層11)に埋め込まれた複数の第2外部電極導体層43が積層された構成を有している。第1外部電極導体層33は、第1端面15および底面17に沿って延在しており、第2外部電極導体層43は、第2端面16および底面17に沿って延在している。
【0021】
これにより、素体10内に第1、第2外部電極30,40を埋め込むことができるため、素体10に外部電極を外付けする構成に比べて、インダクタ部品の小型化を図ることができる。また、コイル20と外部電極30,40を同一工程で形成することができ、コイル20と外部電極30,40との間の位置関係のばらつきを低減することで、インダクタ部品1の電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0022】
なお、第1外部電極30は、第1端面部31を有さないで、第1底面部32から構成されていてもよく、同様に、第2外部電極40は、第2端面部41を有さないで、第2底面部42から構成されていてもよい。つまり、第1外部電極30および第2外部電極40は、少なくとも素体10の底面17に設けられていればよい。
【0023】
コイル20は、例えば、第1、第2外部電極30,40と同様の導電性材料から構成される。コイル20は、絶縁層11の積層方向に沿って、螺旋状に巻き回されている。コイル20の第1端は、第1外部電極30に接続され、コイル20の第2端は、第2外部電極40に接続されている。なお、本実施形態では、コイル20と第1、第2外部電極30,40とは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、コイルと外部電極とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0024】
コイル20は、軸AXが底面17と平行であり、かつ、軸AXが第1側面13と第2側面14とを交差するように、軸AXに沿って巻回されている。コイル20の軸AXは、絶縁層11の積層方向(Y方向)と一致する。言い換えると、複数の絶縁層11は、軸AXに沿って積層される。コイル20の軸AXは、コイル20の螺旋形状の中心軸を意味する。具体的に述べると、軸AXは、コイル20の最内周の中心を意味する。
【0025】
コイル20は、巻回部20aと、巻回部20aの第1端と第1外部電極30の間に接続された第1引出部20bと、巻回部20aの第2端と第2外部電極40の間に接続された第2引出部20cとを有する。本実施形態では、巻回部20aと第1、第2引出部20b,20cとは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、巻回部と引出部とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0026】
巻回部20aは、軸AXに沿って螺旋状に巻回されている。つまり、巻回部20aとは、軸AXに平行な方向からみたときにコイル20同士が互いに重なり合う螺旋状に巻回された部分を指す。第1、第2引出部20b,20cとは、重なり合う部分から外れた部分を指す。
【0027】
コイル20の軸AX方向からみて、コイル20の形状は、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、左右対称な形状となる。これにより、インダクタ部品1の特性のばらつきを抑制できる。
【0028】
図3Aと
図3Bと
図3Cに示すように、コイル20は、軸AXに沿って積層された複数のコイル配線層501~508と、軸AX方向に隣り合うコイル配線層の間に位置し軸AX方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層601~607とを有する。複数のコイル配線層501~508は、それぞれ、絶縁層11に設けられ、複数のビア配線層601~607は、それぞれ、絶縁層11に設けられている。
【0029】
複数のコイル配線層501~508は、それぞれが平面に沿って巻回され、電気的に直列に接続されながら螺旋を構成している。複数のコイル配線層501~508は、それぞれ、軸AX方向(Y方向)に直交するXZ平面(絶縁層11の主面)に沿って巻回されて形成される。各コイル配線層501~508は、延在方向に沿って一定の幅を有する。各コイル配線層501~508の巻回数は、1周未満であるが、1周以上であってもよい。
【0030】
複数のビア配線層601~607は、絶縁層11を厚み方向(Y方向)に貫通する。そして、積層方向に隣り合うコイル配線層は、ビア配線層を介して、電気的に直列に接続される。このように、複数のコイル配線層501~508は、複数のビア配線層601~607を介して、互いに電気的に直列に接続されながら、コイル20は、螺旋を構成している。
【0031】
具体的に述べると、第1コイル配線層501、第2コイル配線層502、第3コイル配線層503、第4コイル配線層504、第5コイル配線層505、第6コイル配線層506、第7コイル配線層507、第8コイル配線層508は、Y方向に沿って順に積層されている。第1コイル配線層501の端部は、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に接続されている。第8コイル配線層508の端部は、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に接続されている。
【0032】
第1ビア配線層601、第2ビア配線層602、第3ビア配線層603、第4ビア配線層604、第5ビア配線層605、第6ビア配線層606、第7ビア配線層607は、Y方向に沿って順に積層されている。第1ビア配線層601および第6ビア配線層606は、軸AX方向からみて、重なる。第2ビア配線層602および第7ビア配線層607は、軸AX方向からみて、重なる。
【0033】
第1ビア配線層601は、第1コイル配線層501と第2コイル配線層502の間に位置し、第1コイル配線層501の端部と第2コイル配線層502の端部を接続する。第2ビア配線層602は、第2コイル配線層502と第3コイル配線層503の間に位置し、第2コイル配線層502の端部と第3コイル配線層503の端部を接続する。第3ビア配線層603は、第3コイル配線層503と第4コイル配線層504の間に位置し、第3コイル配線層503の端部と第4コイル配線層504の端部を接続する。第4ビア配線層604は、第4コイル配線層504と第5コイル配線層505の間に位置し、第4コイル配線層504の端部と第5コイル配線層505の端部を接続する。
【0034】
第5ビア配線層605は、第5コイル配線層505と第6コイル配線層506の間に位置し、第5コイル配線層505の端部と第6コイル配線層506の端部を接続する。第6ビア配線層606は、第6コイル配線層506と第7コイル配線層507の間に位置し、第6コイル配線層506の端部と第7コイル配線層507の端部を接続する。第7ビア配線層607は、第7コイル配線層507と第8コイル配線層508の間に位置し、第7コイル配線層507の端部と第8コイル配線層508の端部を接続する。
【0035】
複数のビア配線層601~607は、軸AX方向からみて、コイル20の螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含む。この実施形態では、全てのビア配線層601~607が、長手ビア配線層である。全てのビア配線層601~607は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。なお、一部のビア配線層は、延在方向に沿って異なる幅を有していてもよい。
【0036】
長手ビア配線層の長さは、例えば、18μm以上である。長手ビア配線層の長さは、長手ビア配線層の幅よりも大きく、長手ビア配線層の長さと幅の比(長さ/幅)は、例えば、1.3以上である。長手ビア配線層の長さとは、軸AX方向からみて、長手ビア配線層の延在方向に沿った中心線の長さである。長手ビア配線層の幅とは、軸AX方向からみて、長手ビア配線層の延在方向に沿った中心線に直交する方向の長さである。
図3Aから
図3Cでは、中心線を一点鎖線にて示す。長手ビア配線層の長さと幅の測定方法は、例えば、XZ平面に沿ってインダクタ部品1を研磨して、レーザー顕微鏡で長手ビア配線層の長さと幅を測定する。
【0037】
なお、全てのビア配線層601~607のうちの少なくとも一つのビア配線層が、長手ビア配線層であればよく、その他のビア配線層が、軸AX方向からみて、円形(または四角形)のビア配線層であってもよい。このとき、円形のビア配線層に接続されるコイル配線層の端部は、軸方向からみて、円形のパッド部を構成し、円形のパッド部の径は、コイル配線層の中間部の線幅よりも大きい。
【0038】
上記構成によれば、複数のビア配線層601~607は、少なくとも一つの長手ビア配線層を含むので、コイル配線層と長手ビア配線層との接触面積を大きくできて、コイル20の直流抵抗を低減できる。また、インダクタ部品1の製造の際、コイル配線層と長手ビア配線層との積層ずれが発生しても、長手ビア配線層のコイル配線層に対向する面の面積が大きいので、コイル配線層と長手ビア配線層の接触確率が大きくなり、コイル配線層と長手ビア配線層との導通不良がおきる可能性を低減できる。この実施形態では、全てのビア配線層601~607が、長手ビア配線層であるので、コイル20の直流抵抗をより低減でき、また、コイル20の導通不良がおきる可能性をより低減できる。
【0039】
少なくとも一つの長手ビア配線層は、軸方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含む。この実施形態では、全ての長手ビア配線層が、第1長手ビア配線層である。つまり、全てのビア配線層601~607は、第1長手ビア配線層である。なお、全てのビア配線層601~607のうちの少なくとも一つのビア配線層が、長手ビア配線層であり、かつ、少なくとも一つの長手ビア配線層が、第1長手ビア配線層であればよい。
【0040】
第1長手ビア配線層(この実施形態では、第1から第7ビア配線層601~607)の曲率半径は、軸AX方向からみて、第1長手ビア配線層の延在方向に沿った中心線における曲率半径である。第1長手ビア配線層が、複数の曲率半径を有する場合、最も小さい曲率半径が、15μm以上であればよい。
【0041】
具体的に述べると、第1ビア配線層601は、第1曲線部601aと第2曲線部601bと第3曲線部601cとを有する。第1曲線部601aの曲率半径と第2曲線部601bの曲率半径と第3曲線部601cの曲率半径のうちの最も小さい曲率半径が、15μm以上である。
【0042】
第1ビア配線層601と同様に、第2ビア配線層602、第3ビア配線層603、第5ビア配線層605、第6ビア配線層606および第7ビア配線層607のそれぞれについて、少なくとも一つの曲線部を有し、少なくとも一つの曲線部のうちの最も小さい曲率半径が、15μm以上である。具体的には、第2ビア配線層602、第6ビア配線層606および第7ビア配線層607は、それぞれ、3つの曲線部を有し、第3ビア配線層603および第5ビア配線層605は、それぞれ、1つの曲線部を有する。
【0043】
第4ビア配線層604は、軸AX方向からみて、直線状である。つまり、第4ビア配線層604には、曲線部がない。第4ビア配線層604の曲率半径は、無限大となり、15μm以上である。第4ビア配線層604は、軸AX方向からみて、コイル20の角部から離隔している、なお、その他の第1長手ビア配線層(この実施形態では、第1、第2、第3、第5、第6、第7ビア配線層601、602、603、605、606、607)が、軸AX方向からみて、直線状であってもよい。
【0044】
各ビア配線層の曲率半径の測定方法は、例えば、XZ平面に沿ってインダクタ部品1を研磨して、レーザー顕微鏡で各ビア配線層の曲率半径を測定する。
【0045】
上記構成によれば、少なくとも一つの長手ビア配線層は、軸AX方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含むので、第1長手ビア配線層の曲率半径は大きい。これにより、第1長手ビア配線層の線膨張係数と素体10の線膨張係数の差による応力が発生しても、第1長手ビア配線層に対して応力が集中し難くなる。特に、インダクタ部品1の小型化により、第1長手ビア配線層の素体10に対する体積比率が大きくなっても、第1長手ビア配線層に対する応力を緩和できる。したがって、第1長手ビア配線層に対するクラックの発生を低減でき、インダクタ部品1の歩留まりを向上できる。
【0046】
これに対して、ビア配線層の曲線部の曲率半径が15μmよりも小さいと、曲線部に応力が集中し易くなる。特に、インダクタ部品の小型化により、ビア配線層の素体に対する体積比率が大きくなると、ビア配線層に対する応力集中が過大となる。これにより、ビア配線層の曲線部にクラックが発生して、電気的接続性が低下し、インダクタ部品の特性選別工程で不良となる可能性がある。したがって、インダクタ部品の歩留まりが低下するおそれがある。
【0047】
上記構成によれば、全てのビア配線層601~607は、第1長手ビア配線層であるので、全てのビア配線層601~607に対して応力が集中し難くなる。
【0048】
上記構成によれば、少なくとも一つの第1長手ビア配線層(第4ビア配線層604)は、軸AX方向からみて、直線状であるので、少なくとも一つの第1長手ビア配線層(第4ビア配線層604)は、曲線部を有さない。したがって、少なくとも一つの第1長手ビア配線層(第4ビア配線層604)に対して応力がより一層集中し難くなる。
【0049】
上記構成によれば、軸AX方向からみてコイル20の角部には応力が掛かりやすくなるが、コイル20の角部に直線状の第1長手ビア配線層(第4ビア配線層604)を配置していないので、直線状の第1長手ビア配線層(第4ビア配線層604)に対して応力がより一層集中し難くなる。
【0050】
上記構成によれば、第1外部電極30は、第1端面15および底面17から露出するように素体10に埋め込まれており、第2外部電極40は、第2端面16および底面17から露出するように素体10に埋め込まれているため、第1外部電極30及び第2外部電極40の熱膨張係数と素体10の熱膨張係数の差によって、素体10及びビア配線層に対して、特に底面17側に片寄った不均一な応力がかかりやすくなる。さらに、複数のコイル配線層501~508は、それぞれ、軸AX方向(Y方向)に直交するXZ平面(絶縁層11の主面)に沿って巻回されて形成されているため、ビア配線層の底面17側に近い部分に対して応力が集中しやすくなる。この場合においても、少なくとも一つの長手ビア配線層は、軸AX方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含むので、第1長手ビア配線層に対して応力が集中し難くなる。したがって、第1長手ビア配線層に対するクラックの発生を低減でき、インダクタ部品1の歩留まりを向上できる。
【0051】
好ましくは、少なくとも一つの第1長手ビア配線層は、軸AX方向からみて、直線状であり、かつ、天面18または第1端面15のいずれかと平行である。具体的に述べると、第4ビア配線層604は、軸AX方向からみて、天面18と平行である。これによれば、コイル20の内径を大きくすることができ、インダクタンス値を高めることができる。なお、ビア配線層は、軸AX方向からみて、第1端面15と平行な直線状の第1長手ビア配線層を含んでいてもよい。
【0052】
好ましくは、素体10の複数の絶縁層11は、第1長手ビア配線層と同一層の第1絶縁層を含む。第1絶縁層に対する第1長手ビア配線層の体積の割合は、9.2%以上である。なお、第1長手ビア配線層が複数ある場合、複数組の第1長手ビア配線層および第1絶縁層のうちの少なくとも一組の体積の割合が9.2%以上であればよい。
【0053】
具体的に述べると、第1ビア配線層601(第1長手ビア配線層)と、第1ビア配線層601と同一層の絶縁層11(第1絶縁層)とにおいて、絶縁層11に対する第1ビア配線層601の体積の割合は、9.2%以上である。第2から第7ビア配線層602~607のそれぞれにおいても第1ビア配線層601と同様であり、各ビア配線層と同一層の絶縁層に対する各ビア配線層の体積の割合は、9.2%以上である。
【0054】
第1絶縁層に対する第1長手ビア配線層の体積の割合の測定方法について説明する。まず、XZ平面に沿ってインダクタ部品1を研磨して、レーザー顕微鏡で第1長手ビア配線層の長さ(L)、および、第1長手ビア配線層と同一層の第1絶縁層の断面積(S1)を測定する。第1長手ビア配線層の長さは、軸方向からみて、第1長手ビア配線層の延在方向に沿った中心線の長さである。続いて、XZ平面に直交しかつ第1長手ビア配線層の中心線に直交する方向にインダクタ部品1を研磨して、第1長手ビア配線層の断面を露出させ、レーザー顕微鏡で第1長手ビア配線層の断面の面積(S)、および、第1長手ビア配線層のY方向の最大厚み(T)を測定する。そして、長さ(L)と面積(S)を乗じて第1長手ビア配線層の体積を算出する。また、第1絶縁層の断面積(S1)に厚み(T)を乗じて、第1絶縁層の体積を算出する。そして、第1長手ビア配線層の体積と第1絶縁層の体積から、第1絶縁層に対する第1長手ビア配線層の体積の割合を算出する。
【0055】
上記構成によれば、第1絶縁層に対する第1長手ビア配線層の体積の割合は、9.2%以上であるので、第1長手ビア配線層の素体に対する体積比率が大きくなる。これにより部品が小型化された場合においても、直流抵抗を低減できる。この状態であっても、第1長手ビア配線層の曲率半径は15μm以上であるので、第1長手ビア配線層に対する応力を緩和できる。
【0056】
好ましくは、インダクタ部品1の長さ寸法(X方向寸法)は、265μm以下であり、インダクタ部品1の高さ寸法(Z方向寸法)は、215μm以下であり、インダクタ部品1の幅寸法(Y方向寸法)は、140μm以下である。上記構成によれば、インダクタ部品1は小型になる。この状態であっても、第1長手ビア配線層の曲率半径は15μm以上であるので、第1長手ビア配線層に対する応力を緩和できる。
【0057】
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
【0058】
図3Aと
図3Bと
図3Cに示すように、図中上から下に向かって、第1から第8コイル配線層501~508と第1から第7ビア配線層601~607とを絶縁層11と共に交互に積層することで、インダクタ部品1を製造する。また、コイル配線層501~508は、例えばスクリーン印刷により絶縁層11に設けられる。ビア配線層601~607は、例えばフォトリソグラフィ工法またはレーザー工法により絶縁層11に開口部を設けて、例えばスクリーン印刷により開口部に設けられる。
【0059】
(第2実施形態)
図4は、インダクタ部品の第2実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図5Aと
図5Bは、インダクタ部品の分解平面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、コイルの構成が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
図4と
図5Aと
図5Bに示すように、第2実施形態のインダクタ部品1Aでは、コイル20Aは、軸AXに沿って積層された複数のコイル配線層501~510と、軸AX方向に隣り合うコイル配線層の間に位置し軸AX方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層601~609とを有する。複数のコイル配線層501~510は、それぞれ、絶縁層11に設けられ、複数のビア配線層601~609は、それぞれ、絶縁層11に設けられている。なお、
図5Aと
図5Bでは、各ビア配線層601~609と同一層の絶縁層11を省略して描いている。
【0061】
複数のコイル配線層501~510は、それぞれが平面に沿って巻回され、電気的に直列に接続されながら螺旋を構成している。複数のコイル配線層501~510は、それぞれ、軸AX方向(Y方向)に直交するXZ平面(絶縁層11の主面)に沿って巻回されて形成される。全てのコイル配線層501~510は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。
【0062】
複数のビア配線層601~609は、絶縁層11を厚み方向(Y方向)に貫通する。軸AX方向からみて、複数のビア配線層601~609は、コイル20Aの螺旋方向に沿って延在している。そして、積層方向に隣り合うコイル配線層は、ビア配線層を介して、電気的に直列に接続される。
【0063】
具体的に述べると、第1コイル配線層501、第2コイル配線層502、第3コイル配線層503、第4コイル配線層504、第5コイル配線層505、第6コイル配線層506、第7コイル配線層507、第8コイル配線層508、第9コイル配線層509および第10コイル配線層510は、Y方向に沿って順に積層されている。第1コイル配線層501の端部は、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に接続されている。第10コイル配線層510の端部は、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に接続されている。
【0064】
第5コイル配線層505および第6コイル配線層506のそれぞれの巻回数は、1周未満である。第1から第4コイル配線層501~504および第7から第10コイル配線層507~510のそれぞれの巻回数は、1周以上である。これにより、コイル20Aの軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20Aの巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。全てのコイル配線層のうちの少なくとも1つのコイル配線層の巻回数は、1周以上であればよく、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。なお、全てのコイル配線層の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0065】
第1ビア配線層601、第2ビア配線層602、第3ビア配線層603、第4ビア配線層604、第5ビア配線層605、第6ビア配線層606、第7ビア配線層607、第8ビア配線層608、第9ビア配線層609は、Y方向に沿って順に積層されている。第1ビア配線層601、第3ビア配線層603、第7ビア配線層607および第9ビア配線層609は、軸AX方向からみて、重なる。第2ビア配線層602、第5ビア配線層605および第8ビア配線層608は、軸AX方向からみて、重なる。全てのビア配線層601~609は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。なお、一部のビア配線層は、延在方向に沿って異なる幅を有していてもよい。
【0066】
第1ビア配線層601は、第1コイル配線層501と第2コイル配線層502の間に位置し、第1コイル配線層501の端部と第2コイル配線層502の端部を接続する。第2ビア配線層602は、第2コイル配線層502と第3コイル配線層503の間に位置し、第2コイル配線層502の端部と第3コイル配線層503の端部を接続する。第3ビア配線層603は、第3コイル配線層503と第4コイル配線層504の間に位置し、第3コイル配線層503の端部と第4コイル配線層504の端部を接続する。第4ビア配線層604は、第4コイル配線層504と第5コイル配線層505の間に位置し、第4コイル配線層504の端部と第5コイル配線層505の端部を接続する。第5ビア配線層605は、第5コイル配線層505と第6コイル配線層506の間に位置し、第5コイル配線層505の端部と第6コイル配線層506の端部を接続する。
【0067】
第6ビア配線層606は、第6コイル配線層506と第7コイル配線層507の間に位置し、第6コイル配線層506の端部と第7コイル配線層507の端部を接続する。第7ビア配線層607は、第7コイル配線層507と第8コイル配線層508の間に位置し、第7コイル配線層507の端部と第8コイル配線層508の端部を接続する。第8ビア配線層608は、第8コイル配線層508と第9コイル配線層509の間に位置し、第8コイル配線層508の端部と第9コイル配線層509の端部を接続する。第9ビア配線層609は、第9コイル配線層509と第10コイル配線層510の間に位置し、第9コイル配線層509の端部と第10コイル配線層510の端部を接続する。
【0068】
全てのビア配線層601~609は、第1長手ビア配線層であり、全ての第1長手ビア配線層は、軸AX方向からみて、直線状である。つまり、全てのビア配線層601~609は、軸AX方向からみて、直線状である。上記構成によれば、全ての第1長手ビア配線層(ビア配線層601~609)は、曲線部を有さない。したがって、全ての第1長手ビア配線層(ビア配線層601~609)に対して応力がより一層集中し難くなる。
【0069】
全ての直線状の第1長手ビア配線層(ビア配線層601~609)は、軸AX方向からみて、コイル20Aの角部から離隔している。上記構成によれば、軸AX方向からみてコイル20Aの角部には応力が掛かりやすくなるが、コイル20Aの角部に全ての第1長手ビア配線層を配置していないので、全ての第1長手ビア配線層に対して応力がより一層集中し難くなる。
【0070】
好ましくは、全ての第1長手ビア配線層は、軸AX方向からみて、直線状であり、かつ、天面18または第1端面15のいずれかと平行である。具体的に述べると、第1、第2、第3、第5、第7、第8、第9ビア配線層601,602,603,605,607,608,609は、軸AX方向からみて、天面18と平行である。第4、第6ビア配線層604,606は、軸AX方向からみて、第1端面15と平行である。これによれば、コイル20の内径を大きくすることができ、インダクタンス値を高めることができる。
【0071】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1と第2実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、コイル配線層の層数を増減してもよく、また、ビア配線層の層数を増減してもよく、例えば、ビア配線層の層数が1層以上であればよい。
【0072】
本開示は以下の態様を含む。
<1>
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続するビア配線層とを有し、
前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記コイルの螺旋方向に沿って延在する少なくとも一つの長手形状の長手ビア配線層を含み、前記少なくとも一つの長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、曲率半径が15μm以上である第1長手ビア配線層を含む、インダクタ部品。
<2>
前記素体は、前記軸に沿って積層される複数の絶縁層を有し、
前記複数の絶縁層は、前記第1長手ビア配線層と同一層の第1絶縁層を含み、
前記第1絶縁層に対する前記第1長手ビア配線層の体積の割合は、9.2%以上である、<1>に記載のインダクタ部品。
<3>
前記インダクタ部品の長さ寸法は、265μm以下であり、
前記インダクタ部品の高さ寸法は、215μm以下であり、
前記インダクタ部品の幅寸法は、140μm以下である、<1>または<2>に記載のインダクタ部品。
<4>
全ての前記ビア配線層は、前記第1長手ビア配線層である、<1>から<3>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<5>
少なくとも一つの前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状である、<1>から<4>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<6>
全ての前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状である、<1>から<5>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<7>
全ての前記第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、直線状であり、
前記全ての第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記コイルの角部から離隔している、<1>から<6>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<8>
前記少なくとも一つの第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記天面または前記第1端面のいずれかと平行である、<5>に記載のインダクタ部品。
<9>
前記全ての第1長手ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記天面または前記第1端面のいずれかと平行である、<6>に記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0073】
1、1A インダクタ部品
10 素体
11 絶縁層
13 第1側面
14 第2側面
15 第1端面
16 第2端面
17 底面
18 天面
20、20A コイル
20a 巻回部
20b 第1引出部
20c 第2引出部
30 第1外部電極
31 第1端面部
32 第1底面部
33 第1外部電極導体層
40 第2外部電極
41 第2端面部
42 第2底面部
43 第2外部電極導体層
501~510 第1~第10コイル配線層
601~609 第1~第9ビア配線層
AX 軸