IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特開-インダクタ部品 図1
  • 特開-インダクタ部品 図2
  • 特開-インダクタ部品 図3A
  • 特開-インダクタ部品 図3B
  • 特開-インダクタ部品 図4
  • 特開-インダクタ部品 図5
  • 特開-インダクタ部品 図6
  • 特開-インダクタ部品 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152353
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】インダクタ部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20241018BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20241018BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/04 A
H01F27/29 123
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066498
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】石田 康介
(72)【発明者】
【氏名】谷 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄一郎
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070CB13
5E070CB17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれを低減できるインダクタ部品を提供する。
【解決手段】インダクタ部品1は、素体10と、素体内の軸AXに沿う螺旋状コイル20と、第1外部電極30及び第2外部電極40と、を備える。素体は、第1端面15と第2端面16、第1側面13と第2側面並びに第1端面と第2端面の間及び第1側面と第2側面の間に接続された底面17と天面18を含み、第1外部電極及び第2外部電極は少なくとも底面に設けられ、軸は底面に平行でかつ第1側面及び第2側面に交差し、コイルは軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、軸方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層601~609とを有し、コイルは軸方向からみて第1外部電極、第2外部電極及びコイルを介さずに底面に対向する底面対向部24を有し、底面対向部はビア配線層を含まずコイル配線層を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層とを有し、
前記コイルは、前記軸方向からみて、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記底面に対向する底面対向部を有し、
前記底面対向部は、前記ビア配線層を含まず、前記コイル配線層を含む、インダクタ部品。
【請求項2】
前記コイルは、前記軸方向からみて、さらに、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記天面に対向する天面対向部と、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第1端面に対向する第1端面対向部と、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第1外部電極に対向する第1外部電極対向部と、前記第1外部電極および前記コイルを介さずに前記第2外部電極に対向する第2外部電極対向部と、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第2端面に対向する第2端面対向部とを有し、
全ての前記ビア配線層は、前記天面対向部と前記第1端面対向部と前記第1外部電極対向部と前記第2外部電極対向部と前記第2端面対向部のうちの少なくとも1つに存在する、請求項1に記載のインダクタ部品。
【請求項3】
全ての前記ビア配線層は、前記天面対向部に存在する、請求項2に記載のインダクタ部品。
【請求項4】
前記第1外部電極は、前記底面から前記第1端面にかけて設けられ、前記第2外部電極は、前記底面から前記第2端面にかけて設けられている、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項5】
前記第1外部電極は、前記底面から前記第1端面にかけて設けられ、前記第2外部電極は、前記底面から前記第2端面にかけて設けられ、
全ての前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記第1外部電極および前記第2外部電極よりも前記天面側に位置する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項6】
前記第1外部電極は、前記底面のみに設けられ、前記第2外部電極は、前記底面のみに設けられ、
全ての前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記第1外部電極から前記天面に向かって前記第1外部電極と前記天面の間の距離の1/2となる位置よりも前記天面側に位置し、かつ、前記第2外部電極から前記天面に向かって前記第2外部電極と前記天面の間の距離の1/2となる位置よりも前記天面側に位置する、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項7】
全ての前記コイル配線層は、それぞれ、前記軸に直交する平面に沿って巻回され、
前記全てのコイル配線層のうちの少なくとも1つの前記コイル配線層の巻回数は、1周以上である、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項8】
前記底面対向部は、前記軸方向からみて、一重巻きである、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項9】
前記ビア配線層のうちの少なくとも1つは、前記軸方向からみて、直線状に延在し、前記軸方向に隣り合う前記コイル配線層の直線部分に接続される、請求項1または2に記載のインダクタ部品。
【請求項10】
前記ビア配線層のうちの少なくとも1つは、前記軸方向からみて、前記天面、前記第1端面または前記第2端面のいずれか1つと平行である、請求項9に記載のインダクタ部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インダクタ部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インダクタ部品としては、特開2019-192829号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このインダクタ部品は、素体と、素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、素体に設けられ、コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極とを有する。コイルは、軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、軸方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-192829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インダクタ部品の小型化が図られており、このような状況において、前記従来のようなインダクタ部品を実装基板に実装する際、はんだ等からの熱応力や実装基板等からの曲げ応力によりビア配線層とコイル配線層との接続部分に大きな応力が掛かって、ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれが発生するおそれがあることがわかった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれを低減できるインダクタ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるインダクタ部品は、
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層とを有し、
前記コイルは、前記軸方向からみて、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記底面に対向する底面対向部を有し、
前記底面対向部は、前記ビア配線層を含まず、前記コイル配線層を含む。
【0007】
前記態様によれば、コイルの底面対向部は、ビア配線層を含まず、コイル配線層を含むので、素体の底面側を実装基板に対向するようにインダクタ部品を実装基板に実装する際、コイルのうちの実装基板に近い部分である底面対向部にビア配線層が存在しない。
【0008】
これにより、実装時の熱応力や曲げ応力により底面対向部に大きな応力が掛かっても、ビア配線層はコイルのうちの底面対向部以外の部分に存在するので、ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれを低減できる。したがって、近年のインダクタ部品の小型化が図られている状況においても、ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれを低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様であるインダクタ部品によれば、ビア配線層とコイル配線層との接続剥がれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。
図2】インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図3A】インダクタ部品の分解平面図である。
図3B】インダクタ部品の分解平面図である。
図4】インダクタ部品の第2実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図5】インダクタ部品の分解平面図である。
図6】インダクタ部品の第3実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。
図7】インダクタ部品の第3実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一態様であるインダクタ部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、インダクタ部品の第1実施形態を示す斜視図である。図2は、インダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。図3A図3Bは、インダクタ部品の分解平面図である。図1図2図3A図3Bに示すように、インダクタ部品1は、素体10と、素体10内に設けられ軸AXに沿って螺旋状に巻き回されたコイル20と、素体10に設けられコイル20に電気的に接続された第1外部電極30および第2外部電極40とを有する。なお、便宜上、図2では、構造を容易に理解できるよう、素体およびコイルを透明に描いているが、半透明や不透明であってもよい。
【0013】
インダクタ部品1は、第1、第2外部電極30,40を介して、図示しない回路基板の配線に電気的に接続される。インダクタ部品1は、例えば、高周波回路のインピーダンス整合用コイル(マッチングコイル)として用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクス、医療用・産業用機械などの電子機器に用いられる。ただし、インダクタ部品1の用途はこれに限られず、例えば、同調回路、フィルタ回路や整流平滑回路などにも用いることもできる。
【0014】
素体10は、略直方体状に形成されている。素体10の表面は、互いに対向する第1端面15および第2端面16と、互いに対向する第1側面13と第2側面14と、第1端面15と第2端面16との間および第1側面13と第2側面14との間に接続された底面17と、底面17と対向する天面18とを含む。底面17は、インダクタ部品1を図示しない実装基板に実装した際に、実装基板側を向く面である。
【0015】
図示するように、X方向は、第1端面15および第2端面16に直交し、第1端面15から第2端面16に向かう方向である。Y方向は、第1側面13および第2側面14に直交し、第2側面14から第1側面13に向かう方向である。Z方向は、底面17および天面18に直交し、底面17から天面18に向かう方向である。X方向は、素体10の長さ方向ともいい、Y方向は、素体10の幅方向ともいい、Z方向は、素体10の高さ方向ともいう。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する方向であって、X,Y,Zの順に並べたとき、左手系を構成する。
【0016】
素体10は、複数の絶縁層11を積層して構成される。絶縁層11は、例えば、硼珪酸ガラスを主成分とする材料や、フェライト、樹脂などの材料からなる。絶縁層11の積層方向は、素体10の第1、第2端面15,16および底面17に、平行な方向(Y方向)である。すなわち、絶縁層11は、XZ平面に広がった層状である。本願における「平行」とは、厳密な平行関係に限定されず、現実的なばらつきの範囲を考慮し、実質的な平行関係も含む。なお、素体10は、焼成などによって、複数の絶縁層11同士の界面が明確となっていない場合がある。なお、図3A図3Bでは、上から下に向かう方向を積層方向(Y方向)とする。
【0017】
第1外部電極30および第2外部電極40は、例えば、Ag、Cu、Auやこれらを主成分とする合金などの導電性材料から構成される。第1外部電極30は、第1端面15から底面17にかけて形成されたL字形状である。第1外部電極30は、第1端面15および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第1外部電極30は、第1端面15に沿って延在する第1端面部31と、第1端面部31に接続され底面17に沿って延在する第1底面部32とを有する。
【0018】
第2外部電極40は、第2端面16から底面17にかけて形成されたL字形状である。第2外部電極40は、第2端面16および底面17から露出するように素体10に埋め込まれている。第2外部電極40は、第2端面16に沿って延在する第2端面部41と、第2端面部41に接続され底面17に沿って延在する第2底面部42とを有する。
【0019】
第1外部電極30は、素体10(絶縁層11)に埋め込まれた複数の第1外部電極導体層33が積層された構成を有している。第2外部電極40は、素体10(絶縁層11)に埋め込まれた複数の第2外部電極導体層43が積層された構成を有している。第1外部電極導体層33は、第1端面15および底面17に沿って延在しており、第2外部電極導体層43は、第2端面16および底面17に沿って延在している。
【0020】
これにより、素体10内に第1、第2外部電極30,40を埋め込むことができるため、素体10に外部電極を外付けする構成に比べて、インダクタ部品の小型化を図ることができる。また、コイル20と外部電極30,40を同一工程で形成することができ、コイル20と外部電極30,40との間の位置関係のばらつきを低減することで、インダクタ部品1の電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0021】
なお、第1外部電極30は、第1端面部31を有さないで、第1底面部32から構成されていてもよく、同様に、第2外部電極40は、第2端面部41を有さないで、第2底面部42から構成されていてもよい。つまり、第1外部電極30および第2外部電極40は、少なくとも素体10の底面17に設けられていればよい。
【0022】
コイル20は、例えば、第1、第2外部電極30,40と同様の導電性材料から構成される。コイル20は、絶縁層11の積層方向に沿って、螺旋状に巻き回されている。コイル20の第1端は、第1外部電極30に接続され、コイル20の第2端は、第2外部電極40に接続されている。なお、本実施形態では、コイル20と第1、第2外部電極30,40とは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、コイルと外部電極とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0023】
コイル20は、軸AXが底面17と平行であり、かつ、軸AXが第1側面13と第2側面14とを交差するように、軸AXに沿って巻回されている。コイル20の軸AXは、絶縁層11の積層方向(Y方向)と一致する。コイル20の軸AXは、コイル20の螺旋形状の中心軸を意味する。具体的に述べると、軸AXは、コイル20の最内周の中心を意味する。
【0024】
コイル20は、巻回部20aと、巻回部20aの第1端と第1外部電極30の間に接続された第1引出部20bと、巻回部20aの第2端と第2外部電極40の間に接続された第2引出部20cとを有する。本実施形態では、巻回部20aと第1、第2引出部20b,20cとは一体化されており、明確な境界は存在しないが、これに限られず、巻回部と引出部とが異種材料や異種工法で形成されることにより、境界が存在していても良い。
【0025】
巻回部20aは、軸AXに沿って螺旋状に巻回されている。つまり、巻回部20aとは、軸AXに平行な方向からみたときにコイル20同士が互いに重なり合う螺旋状に巻回された部分を指す。第1、第2引出部20b,20cとは、重なり合う部分から外れた部分を指す。
【0026】
図2に示すように、コイル20は、軸AX方向からみて、天面18に対向する天面対向部21と、第1端面15に対向する第1端面対向部22と、第1外部電極30に対向する第1外部電極対向部23と、底面17に対向する底面対向部24と、第2外部電極40に対向する第2外部電極対向部25と、第2端面16に対向する第2端面対向部26とを有する。
【0027】
天面対向部21は、第1外部電極30、第2外部電極40およびコイル20を介さずに天面18に対向する。第1端面対向部22は、第1外部電極30、第2外部電極40およびコイル20を介さずに第1端面15に対向する。第1外部電極対向部23は、第2外部電極40およびコイル20を介さずに第1外部電極30に対向する。底面対向部24は、第1外部電極30、第2外部電極40およびコイル20を介さずに底面17に対向する。第2外部電極対向部25は、第1外部電極30およびコイル20を介さずに第2外部電極40に対向する。第2端面対向部26は、第1外部電極30、第2外部電極40およびコイル20を介さずに第2端面16に対向する。
【0028】
天面対向部21、第1端面対向部22、第1外部電極対向部23、底面対向部24、第2外部電極対向部25および第2端面対向部26の互いの境界は、各面15,16,17,18や外部電極30,40の境界に対向する部分であり、具体的には、図2の一点鎖線により示される。特に、コイル20の天面18側のアール状の角部は、天面対向部21に含まれる。
【0029】
天面対向部21、第1端面対向部22、第1外部電極対向部23、底面対向部24、第2外部電極対向部25および第2端面対向部26は、順に環状に配置される。この実施形態では、天面対向部21、第1端面対向部22、第1外部電極対向部23、底面対向部24、第2外部電極対向部25および第2端面対向部26は、反時計回りに配置される。
【0030】
天面対向部21の最外周の形状は、天面18に平行な直線部分と、当該直線部分の両端のそれぞれに接続されコイル20の径方向外側に凸となる曲線部分とを含む。第1端面対向部22の最外周の形状は、第1端面15に平行な直線部分を含む。第1外部電極対向部23の最外周の形状は、第1外部電極30の第1端面部31に平行な直線部分と、当該直線部分に接続され一部が第1外部電極30の第1底面部32に平行でコイル20の径方向外側に凸となる曲線部分とを含む。
【0031】
底面対向部24の最外周の形状は、底面17に平行な直線部分と、当該直線部分の両端のそれぞれに接続されコイル20の径方向外側に凸となる第1曲線部分と、両端の第1曲線部分のそれぞれに接続されコイル20の径方向内側に凸となる第2曲線部分とを含む。第2外部電極対向部25の最外周の形状は、第2外部電極40の第2端面部41に平行な直線部分と、当該直線部分に接続され一部が第2外部電極40の第2底面部42に平行でコイル20の径方向外側に凸となる曲線部分とを含む。第2端面対向部26の最外周の形状は、第2端面16に平行な直線部分を含む。
【0032】
なお、天面対向部21の最外周の形状は、天面18に平行な直線部分を含んでいなくてもよく、第1端面対向部22の最外周の形状は、第1端面15に平行な直線部分を含んでいなくてもよく、第1外部電極対向部23の最外周の形状は、第1外部電極30の第1端面部31および第1底面部32に平行な直線部分を含んでいなくてもよく、底面対向部24の最外周の形状は、底面17に平行な直線部分を含んでいなくてもよく、第2外部電極対向部25の最外周の形状は、第2外部電極40の第2端面部41および第2底面部42に平行な直線部分を含んでいなくてもよく、第2端面対向部26の最外周の形状は、第2端面16に平行な直線部分を含んでいなくてもよい。
【0033】
コイル20の形状は、軸AX方向からみて、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、左右対称な形状となる。これにより、インダクタ部品1の特性のばらつきを抑制できる。
【0034】
具体的に述べると、第1端面対向部22と第2端面対向部26は、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、互いに左右対称な形状となる。第1外部電極対向部23と第2外部電極対向部25は、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、互いに左右対称な形状となる。天面対向部21は、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、左右対称な形状となる。底面対向部24は、コイル20の軸AXを通過しZ方向に平行な直線に対して、左右対称な形状となる。
【0035】
図3A図3Bに示すように、コイル20は、軸AXに沿って積層された複数のコイル配線層501~510と、軸AX方向に隣り合うコイル配線層の間に位置し軸AX方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層601~609とを有する。複数のコイル配線層501~510は、それぞれ、絶縁層11に設けられ、複数のビア配線層601~609は、それぞれ、絶縁層11に設けられている。なお、図3A図3Bでは、各ビア配線層601~609と同一層の絶縁層11を省略して描いている。
【0036】
複数のコイル配線層501~510は、それぞれが平面に沿って巻回され、電気的に直列に接続されながら螺旋を構成している。複数のコイル配線層501~510は、それぞれ、軸AX方向(Y方向)に直交するXZ平面(絶縁層11の主面)に沿って巻回されて形成される。全てのコイル配線層501~510は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。
【0037】
複数のビア配線層601~609は、絶縁層11を厚み方向(Y方向)に貫通する。軸AX方向からみて、複数のビア配線層601~609は、コイル20の螺旋方向に沿って延在している。そして、積層方向に隣り合うコイル配線層は、ビア配線層を介して、電気的に直列に接続される。
【0038】
具体的に述べると、第1コイル配線層501、第2コイル配線層502、第3コイル配線層503、第4コイル配線層504、第5コイル配線層505、第6コイル配線層506、第7コイル配線層507、第8コイル配線層508、第9コイル配線層509および第10コイル配線層510は、Y方向に沿って順に積層されている。第1コイル配線層501の端部は、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に接続されている。第10コイル配線層510の端部は、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に接続されている。
【0039】
第5コイル配線層505および第6コイル配線層506のそれぞれの巻回数は、1周未満である。第1から第4コイル配線層501~504および第7から第10コイル配線層507~510のそれぞれの巻回数は、1周以上である。これにより、コイル20の軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20の巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。全てのコイル配線層のうちの少なくとも1つのコイル配線層の巻回数は、1周以上であればよく、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。なお、全てのコイル配線層の巻回数は、1周未満であってもよい。
【0040】
第1ビア配線層601、第2ビア配線層602、第3ビア配線層603、第4ビア配線層604、第5ビア配線層605、第6ビア配線層606、第7ビア配線層607、第8ビア配線層608、第9ビア配線層609は、Y方向に沿って順に積層されている。全てのビア配線層601~609は、直線状に形成されている。全てのビア配線層601~609は、それぞれ、延在方向に沿って一定の幅を有する。
【0041】
第1ビア配線層601は、第1コイル配線層501と第2コイル配線層502の間に位置し、第1コイル配線層501の端部と第2コイル配線層502の端部を接続する。第2ビア配線層602は、第2コイル配線層502と第3コイル配線層503の間に位置し、第2コイル配線層502の端部と第3コイル配線層503の端部を接続する。第3ビア配線層603は、第3コイル配線層503と第4コイル配線層504の間に位置し、第3コイル配線層503の端部と第4コイル配線層504の端部を接続する。第4ビア配線層604は、第4コイル配線層504と第5コイル配線層505の間に位置し、第4コイル配線層504の端部と第5コイル配線層505の端部を接続する。第5ビア配線層605は、第5コイル配線層505と第6コイル配線層506の間に位置し、第5コイル配線層505の端部と第6コイル配線層506の端部を接続する。
【0042】
第6ビア配線層606は、第6コイル配線層506と第7コイル配線層507の間に位置し、第6コイル配線層506の端部と第7コイル配線層507の端部を接続する。第7ビア配線層607は、第7コイル配線層507と第8コイル配線層508の間に位置し、第7コイル配線層507の端部と第8コイル配線層508の端部を接続する。第8ビア配線層608は、第8コイル配線層508と第9コイル配線層509の間に位置し、第8コイル配線層508の端部と第9コイル配線層509の端部を接続する。第9ビア配線層609は、第9コイル配線層509と第10コイル配線層510の間に位置し、第9コイル配線層509の端部と第10コイル配線層510の端部を接続する。
【0043】
図2図3A図3Bに示すように、底面対向部24は、ビア配線層601~609を含まず、コイル配線層501~510を含む。具体的に述べると、底面対向部24は、各コイル配線層501~510の一部を含む。
【0044】
上記構成によれば、底面対向部24は、ビア配線層601~609を含まず、コイル配線層501~510を含むので、素体10の底面17側を図示しない実装基板に対向するようにインダクタ部品1を実装基板に実装する際、コイル20のうちの実装基板に近い部分である底面対向部24にビア配線層601~609が存在しない。ここで、本願発明者は、インダクタ部品1の実装時に、はんだ等からの熱応力や実装基板等からの曲げ応力が、特に、インダクタ部品1のうちの実装基板に対して拘束されている部分に近い部分、つまり、実装基板に近い部分である底面対向部24に掛かることを見出した。
【0045】
したがって、実装時の熱応力や曲げ応力により底面対向部24に大きな応力が掛かっても、ビア配線層601~609はコイル20のうちの底面対向部24以外の部分に存在するので、ビア配線層601~609とコイル配線層501~510との接続剥がれを低減できる。これにより、近年のインダクタ部品1の小型化が図られている状況においても、ビア配線層601~609とコイル配線層501~510との接続剥がれを低減できる。なお、底面対向部24は、全てのコイル配線層501~510の一部を含んでいなくてもよく、少なくとも一つのコイル配線層の一部を含んでいればよい。
【0046】
図2図3A図3Bに示すように、全てのビア配線層601~609は、天面対向部21と第1端面対向部22と第1外部電極対向部23と第2外部電極対向部25と第2端面対向部26のうちの少なくとも1つに存在する。
【0047】
具体的に述べると、第1から第3ビア配線層601~603と第5ビア配線層605と第7から第9ビア配線層607~609とは、天面対向部21に存在する。第1から第3ビア配線層601~603と第5ビア配線層605と第7から第9ビア配線層607~609とは、軸AX方向からみて、天面18に平行な方向に直線状に延在する。第6ビア配線層606は、第1外部電極対向部23に存在する。第6ビア配線層606は、軸AX方向からみて、第1外部電極30の第1端面部31に平行な方向に直線状に延在する。第4ビア配線層604は、第2外部電極対向部25に存在する。第4ビア配線層604は、軸AX方向からみて、第2外部電極40の第2端面部41に平行な方向に直線状に延在する。
【0048】
上記構成によれば、全てのビア配線層601~609は、底面対向部24に存在しないので、実装時の熱応力や曲げ応力により底面対向部24に大きな応力が掛かっても、ビア配線層601~609とコイル配線層501~510との接続剥がれを低減できる。
【0049】
好ましくは、全てのビア配線層601~609は、軸AX方向からみて、直線状に延在し、コイル配線層501~510の直線部分に接続される。つまり、全てのビア配線層601~609は、軸AX方向からみて、コイル20の角部から離隔している。
【0050】
上記構成によれば、軸AX方向からみてコイル20の角部には応力が掛かりやすくなるが、コイル20の角部にビア配線層601~609を配置していないので、ビア配線層601~609とコイル配線層501~510との接続剥がれを低減できる。
なお、ビア配線層601~609のうちの少なくとも1つが、軸AX方向からみて、直線状に延在し、軸AX方向に隣り合うコイル配線層の直線部分に接続されていればよい。 このとき、ビア配線層601~609のうちの少なくとも1つは、好ましくは、軸AX方向からみて、天面18、第1端面15または第2端面16のいずれか1つと平行であり、これにより、コイル20の内径を大きくすることができ、インダクタンス値を向上できる。
【0051】
好ましくは、底面対向部24は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた底面対向部24の径方向のライン数は、1本である。具体的に述べると、底面対向部24において、軸AX方向からみて、全てのコイル配線層501~510は、重なっている。
【0052】
上記構成によれば、底面対向部24は、軸AX方向からみて、一重巻きであるので、底面対向部24の構成を単純にでき、実装時の熱応力や曲げ応力により底面対向部24に大きな応力が掛かっても、応力によるコイル特性の影響を低減できる。
【0053】
好ましくは、天面対向部21は、軸AX方向からみて、二重巻きである。つまり、軸AX方向からみた天面対向部21の径方向のライン数は、2本であり、天面対向部21は、径方向内側の第1ライン211と径方向外側の第2ライン212とを有する。第1ライン211と第2ライン212は、互いに平行である。具体的に述べると、天面対向部21において、軸AX方向からみて、第1から第4コイル配線層501~504と第7から第10コイル配線層507~510は、それぞれ、径方向に並走する部分を有する。
【0054】
上記構成によれば、天面対向部21は、軸AX方向からみて、二重巻きであるので、コイル20の軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20の巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。
【0055】
好ましくは、軸AX方向からみた天面対向部21の径方向内側の第1ライン211に、第1ビア配線層601、第3ビア配線層603、第7ビア配線層607、第9ビア配線層609が存在する。第1ビア配線層601、第3ビア配線層603、第7ビア配線層607、第9ビア配線層609は、軸AX方向からみて、重なる。好ましくは、軸AX方向からみた天面対向部21の径方向外側の第2ライン212に、第2ビア配線層602、第5ビア配線層605、第8ビア配線層608が存在する。第2ビア配線層602、第5ビア配線層605、第8ビア配線層608は、軸AX方向からみて、重なる。
【0056】
好ましくは、第1外部電極対向部23は、軸AX方向からみて、二重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第1外部電極対向部23の径方向のライン数は、2本であり、第1外部電極対向部23は、径方向内側の第1ライン231と径方向外側の第2ライン232とを有する。第1ライン231と第2ライン232は、互いに平行である。具体的に述べると、第1外部電極対向部23において、軸AX方向からみて、第7コイル配線層507は、径方向に並走する部分を有する。
【0057】
上記構成によれば、第1外部電極対向部23は、軸AX方向からみて、二重巻きであるので、コイル20の軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20の巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。
【0058】
好ましくは、軸AX方向からみた第1外部電極対向部23の径方向外側の第2ライン232に、第6ビア配線層606が存在する。
【0059】
好ましくは、第2外部電極対向部25は、軸AX方向からみて、二重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第2外部電極対向部25の径方向のライン数は、2本であり、第2外部電極対向部25は、径方向内側の第1ライン251と径方向外側の第2ライン252とを有する。第1ライン251と第2ライン252は、互いに平行である。具体的に述べると、第2外部電極対向部25において、軸AX方向からみて、第4コイル配線層504は、径方向に並走する部分を有する。
【0060】
上記構成によれば、第2外部電極対向部25は、軸AX方向からみて、二重巻きであるので、コイル20の軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20の巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。
【0061】
好ましくは、軸AX方向からみた第2外部電極対向部25の径方向外側の第2ライン252に、第4ビア配線層604が存在する。
【0062】
好ましくは、第1端面対向部22は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第1端面対向部22の径方向のライン数は、1本である。好ましくは、第2端面対向部26は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第2端面対向部26の径方向のライン数は、1本である。
【0063】
次に、インダクタ部品1の製造方法について説明する。
【0064】
図3A図3Bに示すように、図中上から下に向かって、第1から第10コイル配線層501~510と第1から第9ビア配線層601~609とを絶縁層11と共に交互に積層することで、インダクタ部品1を製造する。また、コイル配線層501~510は、例えばスクリーン印刷により絶縁層11に設けられる。ビア配線層601~609は、例えばフォトリソグラフィ工法またはレーザー工法により絶縁層11に開口部を設けて、例えばスクリーン印刷により開口部に設けられる。
【0065】
(第2実施形態)
図4は、インダクタ部品の第2実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。図5は、インダクタ部品の分解平面図である。第2実施形態は、第1実施形態とは、ビア配線層およびコイル配線層の個数と、ビア配線層の位置とが相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
図4図5に示すように、第2実施形態のインダクタ部品1Aでは、コイル20Aは、2層のコイル配線層501、502と1層のビア配線層601とを有する。具体的に述べると、Y方向に沿って、第1コイル配線層501、第1ビア配線層601、第2コイル配線層502は、Y方向に沿って順に積層されている。
【0067】
第1コイル配線層501の端部は、第1外部電極30の第1外部電極導体層33に接続されている。第2コイル配線層502の端部は、第2外部電極40の第2外部電極導体層43に接続されている。第1ビア配線層601は、第1コイル配線層501と第2コイル配線層502の間に位置し、第1コイル配線層501の端部と第2コイル配線層502の端部を接続する。
【0068】
全てのビア配線層601は、天面対向部21に存在する。上記構成によれば、全てのビア配線層601を、コイル20Aにおける実装基板から最も離れた部分である天面対向部21に配置できる。これにより、ビア配線層601とコイル配線層501、502との接続剥がれをより一層低減できる。
【0069】
全てのビア配線層601は、軸AX方向からみて、第1外部電極30および第2外部電極40よりも天面18側に位置する。具体的に述べると、全てのビア配線層601は、軸AX方向からみて、第1端面部31のZ方向の上端と第2端面部41のZ方向の上端とを結ぶ上端線L1よりもZ方向の上側に位置する。上記構成によれば、インダクタ部品1Aの実装時に、第1外部電極30側および第2外部電極40側から熱応力や曲げ応力を受けても、全てのビア配線層601に掛かる応力を低減できる。これにより、ビア配線層601とコイル配線層501、502との接続剥がれをより一層低減できる。なお、第1端面部31のZ方向の上端と第2端面部41のZ方向の上端とは、各ビア配線層601と同じ層にある第1端面部および第2端面部のそれぞれの上端とする。
【0070】
好ましくは、底面対向部24は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた底面対向部24の径方向のライン数は、1本である。具体的に述べると、底面対向部24において、軸AX方向からみて、全てのコイル配線層501、502は、重なっている。
【0071】
上記構成によれば、底面対向部24は、軸AX方向からみて、一重巻きであるので、底面対向部24の構成を単純にでき、実装時の熱応力や曲げ応力により底面対向部24に大きな応力が掛かっても、応力によるコイル特性の影響を低減できる。
【0072】
好ましくは、天面対向部21は、軸AX方向からみて、二重巻きである。つまり、軸AX方向からみた天面対向部21の径方向のライン数は、2本であり、天面対向部21は、径方向内側の第1ライン211と径方向外側の第2ライン212とを有する。第1ライン211と第2ライン212は、互いに平行である。具体的に述べると、天面対向部21において、軸AX方向からみて、第1と第2コイル配線層501、502は、それぞれ、径方向に並走する部分を有する。
【0073】
上記構成によれば、天面対向部21は、軸AX方向からみて、二重巻きであるので、コイル20の軸AX方向の大きさを抑えつつコイル20の巻回数を増加できるので、小型化を図りつつインダクタンス値を向上できる。
【0074】
好ましくは、軸AX方向からみた天面対向部21の径方向内側の第1ライン211に、第1ビア配線層601が存在する。
【0075】
好ましくは、第1外部電極対向部23は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第1外部電極対向部23の径方向のライン数は、1本である。好ましくは、第2外部電極対向部25は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第2外部電極対向部25の径方向のライン数は、1本である。
【0076】
好ましくは、第1端面対向部22は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第1端面対向部22の径方向のライン数は、1本である。好ましくは、第2端面対向部26は、軸AX方向からみて、一重巻きである。つまり、軸AX方向からみた第2端面対向部26の径方向のライン数は、1本である。
【0077】
(第3実施形態)
図6は、インダクタ部品の第3実施形態を示すインダクタ部品の第1側面側からみた透視正面図である。図7は、インダクタ部品の第3実施形態を示す斜視図である。第3実施形態は、第2実施形態とは、コイル、第1外部電極および第2外部電極の構成が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0078】
図6図7に示すように、第3実施形態のインダクタ部品1Bでは、第1外部電極30Bは、底面17のみに設けられている。つまり、第1外部電極30Bは、第1底面部32から構成される。第2外部電極40Bは、底面17のみに設けられ、つまり、第2外部電極40Bは、第2底面部42から構成される。
【0079】
コイル20Bは、第2実施形態のコイル20Aと同様に、2層のコイル配線層501、502と1層のビア配線層601とを有する。コイル20Bは、第2実施形態のコイル20Aと異なって、第1端面対向部22および第2端面対向部26の延在方向の長さが長くなり、第1外部電極対向部23および第2外部電極対向部25の延在方向の長さが短くなっている。
【0080】
全てのビア配線層601は、軸AX方向からみて、第1外部電極30Bから天面18に向かって第1外部電極30Bと天面18の間の距離(第1距離D1という)の1/2となり、底面17に平行な直線(第1直線という)よりも天面18側に位置し、かつ、第2外部電極40Bから天面18に向かって第2外部電極40Bと天面18の間の距離(第2距離D2という)の1/2となり、底面17に平行な直線(第2直線という)よりも天面18側に位置する。第1距離D1は、第1外部電極30Bと天面18の間の最短距離をいい、第2距離D2は、第2外部電極40Bと天面18の間の最短距離をいう。
【0081】
この実施形態では、第1距離D1と第2距離D2は、等しい。また、第1直線と第2直線は、同じ直線であり、基準線L2とする。第1外部電極30Bと基準線L2(第1直線)の間の距離は、第1距離D1の1/2である。第2外部電極40Bと基準線L2(第2直線)の間の距離は、第2距離D2の1/2である。
【0082】
上記構成によれば、全てのビア配線層601は、第1直線および第2直線よりも天面18側に位置するので、インダクタ部品1Bの実装時に、第1外部電極30B側および第2外部電極40B側から熱応力や曲げ応力を受けても、全てのビア配線層601に掛かる応力を低減できる。これにより、ビア配線層601とコイル配線層501、502との接続剥がれをより一層低減できる。なお、第1距離D1と第2距離D2とは、各ビア配線層601と同じ層にある第1外部電極30Bおよび第2外部電極40Bのそれぞれと天面18との間の距離とする。
【0083】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第3実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、コイル配線層の層数を増減してもよく、また、ビア配線層の層数を増減してもよい。
【0084】
また、天面対向部、第1端面対向部、第1外部電極対向部、底面対向部、第2外部電極対向部および第2端面対向部のそれぞれは、一重巻きまたは二重巻以上であればよい。
【0085】
また、ビア配線層の形状は、軸方向からみて、直線でなく、円形であってもよい。このとき、円形のビア配線層に接続されるコイル配線層の端部は、軸方向からみて、円形のパッド部を構成し、円形のパッド部の径は、コイル配線層の中間部の線幅よりも大きい。
【0086】
本開示は以下の態様を含む。
<1>
素体と、
前記素体内に設けられ、軸に沿って螺旋状に巻き回されるコイルと、
前記素体に設けられ、前記コイルに電気的に接続される第1外部電極および第2外部電極と
を備え、
前記素体は、互いに対向する第1端面および第2端面と、互いに対向する第1側面と第2側面と、前記第1端面と前記第2端面との間および前記第1側面と前記第2側面との間に接続された底面と、前記底面と対向する天面とを含み、
前記第1外部電極および前記第2外部電極は、少なくとも前記底面に設けられ、
前記軸は、前記底面に平行でかつ前記第1側面および前記第2側面に交差し、
前記コイルは、前記軸に沿って積層される複数のコイル配線層と、前記軸方向に隣り合うコイル配線層を接続する複数のビア配線層とを有し、
前記コイルは、前記軸方向からみて、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記底面に対向する底面対向部を有し、
前記底面対向部は、前記ビア配線層を含まず、前記コイル配線層を含む、インダクタ部品。
<2>
前記コイルは、前記軸方向からみて、さらに、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記天面に対向する天面対向部と、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第1端面に対向する第1端面対向部と、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第1外部電極に対向する第1外部電極対向部と、前記第1外部電極および前記コイルを介さずに前記第2外部電極に対向する第2外部電極対向部と、前記第1外部電極、前記第2外部電極および前記コイルを介さずに前記第2端面に対向する第2端面対向部とを有し、
全ての前記ビア配線層は、前記天面対向部と前記第1端面対向部と前記第1外部電極対向部と前記第2外部電極対向部と前記第2端面対向部のうちの少なくとも1つに存在する、<1>に記載のインダクタ部品。
<3>
全ての前記ビア配線層は、前記天面対向部に存在する、<2>に記載のインダクタ部品。
<4>
前記第1外部電極は、前記底面から前記第1端面にかけて設けられ、前記第2外部電極は、前記底面から前記第2端面にかけて設けられている、<1>から<3>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<5>
前記第1外部電極は、前記底面から前記第1端面にかけて設けられ、前記第2外部電極は、前記底面から前記第2端面にかけて設けられ、
全ての前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記第1外部電極および前記第2外部電極よりも前記天面側に位置する、<1>から<3>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<6>
前記第1外部電極は、前記底面のみに設けられ、前記第2外部電極は、前記底面のみに設けられ、
全ての前記ビア配線層は、前記軸方向からみて、前記第1外部電極から前記天面に向かって前記第1外部電極と前記天面の間の距離の1/2となる位置よりも前記天面側に位置し、かつ、前記第2外部電極から前記天面に向かって前記第2外部電極と前記天面の間の距離の1/2となる位置よりも前記天面側に位置する、<1>から<3>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<7>
全ての前記コイル配線層は、それぞれ、前記軸に直交する平面に沿って巻回され、
前記全てのコイル配線層のうちの少なくとも1つの前記コイル配線層の巻回数は、1周以上である、<1>から<6>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<8>
前記底面対向部は、前記軸方向からみて、一重巻きである、<1>から<7>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<9>
前記ビア配線層のうちの少なくとも1つは、前記軸方向からみて、直線状に延在し、前記軸方向に隣り合う前記コイル配線層の直線部分に接続される、<1>から<8>の何れか一つに記載のインダクタ部品。
<10>
前記ビア配線層のうちの少なくとも1つは、前記軸方向からみて、前記天面、前記第1端面または前記第2端面のいずれか1つと平行である、<9>に記載のインダクタ部品。
【符号の説明】
【0087】
1、1A、1B インダクタ部品
10 素体
11 絶縁層
13 第1側面
14 第2側面
15 第1端面
16 第2端面
17 底面
18 天面
20、20A、20B コイル
20a 巻回部
20b 第1引出部
20c 第2引出部
21 天面対向部
22 第1端面対向部
23 第1外部電極対向部
24 底面対向部
25 第2外部電極対向部
26 第2端面対向部
30、30B 第1外部電極
31 第1端面部
32 第1底面部
33 第1外部電極導体層
40、40B 第2外部電極
41 第2端面部
42 第2底面部
43 第2外部電極導体層
501~510 第1~第10コイル配線層
601~609 第1~第9ビア配線層
AX 軸
D1 第1距離
D2 第2距離
L1 上端線
L2 基準位置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7