(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152370
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 13/10 20060101AFI20241018BHJP
F26B 15/20 20060101ALI20241018BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20241018BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F26B13/10 C
F26B15/20
B05C9/14
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066521
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】592037077
【氏名又は名称】クリーン・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】西澤 和夫
(72)【発明者】
【氏名】早川 智康
(72)【発明者】
【氏名】高山 央臣
【テーマコード(参考)】
3L113
4F042
【Fターム(参考)】
3L113AA03
3L113AB02
3L113AC08
3L113AC31
3L113AC63
3L113AC67
3L113AC75
3L113BA26
3L113DA21
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA19
4F042DB02
4F042DB06
4F042DB08
4F042DB12
4F042DB17
4F042DB36
4F042DB37
4F042DB39
4F042DF23
4F042DH01
4F042DH02
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】開放作業位置ロック機構により蓋部7を強固に係止保持でき、さらにこのロック状態を検知するロック検知装置も備え、簡易な構成で安全性が一層確保でき作業者の作業中の不安も大幅に軽減できる画期的な塗工装置に設ける乾燥装置を提供すること。
【解決手段】固定側となる本体部6に設けたロック用シリンダー装置14と、このロッド15が係合する固定側係合部16と、前記蓋部7とともに起伏回動し前記開放作業位置で前記固定側係合部16に並設される可動側係合部17とからなる構成の開放作業位置ロック機構13を備えるとともに、このロック状態を検知するロック検知装置18を備えた塗工装置1に設ける乾燥装置。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工装置により塗工液が塗工されこの塗工装置から送出されるフィルム状の基材を搬送通過させる乾燥室部内に、この基材に塗工されている前記塗工液を乾燥するための熱風が送出される熱風送出部、又は乾燥するためのヒーター部が設けられている乾燥装置であって、
前記乾燥室部は、フィルム状の前記基材を搬送通過させる本体部と、この本体部の上部開口部を閉塞する蓋部とからなり、
前記本体部は、フィルム状の前記基材を支承する支承ローラが複数架設状態に設けられている、又は前記基材を乾燥しながら非接触で支承する前記熱風送出部が設けられている構成とされていて、
前記蓋部は、起伏回動装置により上下方向に起伏回動自在に設けられていて、この蓋部を前記起伏回動装置により上方へ起動回動することで前記本体部の上部開口部が開放状態となりフィルム状の前記基材の通し作業又は前記支承ローラ若しくは前記熱風送出部のメンテナンス作業が行えるように構成されていて、
前記起伏回動装置は、前記本体部又は前記本体部が設けられているベース部又は前記本体部若しくは前記ベース部に設けられている固定側取付部に、起伏回動用シリンダー装置が設けられていて、この起伏回動用シリンダー装置のロッドの進退により前記蓋部が起伏回動支点部を支点に起伏回動して前記本体部の上部開口部を開閉する構成とされていて、
前記蓋部が上方に起動回動し前記本体部の上部開口部が開放した開放作業位置で前記蓋部を係止保持する開放作業位置ロック機構が備えられていて、
この開放作業位置ロック機構は、固定側となる前記本体部又は前記本体部が設けられている前記ベース部又は前記本体部若しくは前記ベース部に設けられている前記固定側取付部に設けられているロック用シリンダー装置と、このロック用シリンダー装置の進退するロッドが係合する固定側係合部と、前記蓋部とともに起伏回動し前記開放作業位置で前記固定側係合部に並設され前記ロッドが係合する可動側係合部とからなる構成とされていて、
前記蓋部が前記開放作業位置に起動回動し、前記ロック用シリンダー装置の前記ロッドが突出動して前記固定側係合部および前記可動側係合部に係合した際、このロッドの突出動を検知し前記蓋部が前記開放作業位置に係止保持されたロック状態であることを検知するロック検知装置が備えられている構成であることを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記本体部と前記蓋部とからなる前記乾燥室部の背面側左右に、前記起伏回動装置および前記ロック検知装置を備えた前記開放作業位置ロック機構がそれぞれ備えられている構成であることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記本体部と前記蓋部とからなる前記乾燥室部が搬送方向に複数並設されている構成とされていて、この各乾燥室部の左右端部に、フィルム状の前記基材を搬送通過させる出入口部が設けられていて、この出入口部が連通するように各前記乾燥室部の前記本体部が並設されていてトータル乾燥室長が長く形成されている構成とされていていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスリット状の先端吐出孔から塗工液を吐出するノズル部に対して、フィルム状の被塗工体(基材)を搬送して表面に薄膜を塗工形成するように構成した塗工装置に設ける乾燥装置であって、塗工を終えたフィルム状の基材を、熱風又はヒーターで加熱する本体部と蓋部とからなる乾燥室部に搬送通過させてこの基材表面の塗工膜を乾燥する乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗工装置に設ける乾燥装置は、塗工装置により塗工液が表面に塗工されこの塗工装置から送出されるフィルム状の基材を搬送通過させて、たとえば熱風やヒーター加熱によりこの基材表面の塗工膜を乾燥するものである。
【0003】
このような乾燥装置は、本体部とこの本体部の上部開口部を閉塞する蓋部とからなり、この本体部と蓋部とからなる乾燥室部を搬送方向に複数並設し各乾燥室部の左右の出入口部23が連通するように連結した構成とするなどして、乾燥室長を長く形成した構成とするが、この乾燥室部を構成する本体部内には、たとえば水平方向に支承ローラを多数並設架設し、この支承ローラ上に前記フィルム状の基材を通紙し、このフィルム状の基材を引き取り水平搬送しながら、熱風送出部からの熱風やヒーター部の熱により乾燥させるように構成したり、上下に熱風送出部を設けて非接触で搬送通過させながらフローティング乾燥方式で乾燥させるように構成している。
【0004】
またこのような乾燥装置は、前述のように本体部とこの上部開口部を閉塞する蓋部で乾燥室部を構成するが、たとえばこの蓋部は上方へ移動することで本体部の上部開口部が開放する構成として、前記フィルム状の基材の通紙作業や支承ローラや熱風送出部や熱風排出部などの点検・修理・交換等のメンテナンス作業が容易に行えるように構成している。
【0005】
また、たとえば上方に移動させて本体部の上部開口部を開放できる前記蓋部は、たとえ分割して複数並設状態に設けるとしても、熱風送出部や更に乾燥能力を高めるためにIRヒーターなどのヒーター部を備えるために重量がある場合が多く、作業者はこの蓋部の下に頭を入れるようにして通紙作業やメンテナンス作業をするため、上昇移動した開放作業位置での蓋部の支承強度が心配となる。
【0006】
たとえば本体部の四隅に昇降用シリンダー装置を設けると共に、この昇降をガイドする昇降ガイド機構をフレームに設けた構成とし支承強度を確保するとしても、作業者は持ち上げた蓋部が作業中下降してこないか不安である。
【0007】
そこで出願人は、このような問題点を解決するため、上昇させた開放作業位置で蓋部を係合保持でき保持強度を著しく高めることができる開放作業位置ロック機構を、フレームと蓋部に備えた乾燥装置を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、この蓋部を上方に水平に持ち上げ本体部の上部開口部を開放する構成とすれば、蓋部を背面側を支点にして起伏回動し開放する構成に比して持ち上げ高さ寸法を要しない利点や後方からもメンテナンス作業ができる利点はあるが、蓋部を上方へ持ち上げるガイド機構やこれを設ける機枠(フレーム)を必要とし、また昇降装置(昇降用シリンダー装置)を四隅あるいは少なくとも3か所以上設ける必要があり、またさらに開放作業位置まで上昇させた状態を係合保持する開放作業位置ロック機構もフレーム上部に3か所以上設ける必要があり、結局高さ寸法も要する上に構造が複雑となり、コスト高となり体裁も悪くなるなどの問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決し、簡易な構成で起動回動し係止保持した蓋部の支承強度を高めることができる、すなわち開放作業位置まで起動回動した蓋部を強固に係止保持でき蓋部のこの位置での保持強度を著しく高めることができ、またこの開放作業位置ロック機構は起伏回動装置に設ける、すなわち一か所あるいはこの起伏回動装置を並設する場合はこれと共に設けるだけで支承強度は確保でき、またさらにこの開放作業位置ロック機構が係止保持されロック状態であることを検知するロック検知装置も備えるため、簡易な構成で安全性が一層確保でき作業者の作業中の不安も大幅に軽減できる画期的な塗工装置に設ける乾燥装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
本発明は、塗工装置1により塗工液が塗工されこの塗工装置1から送出されるフィルム状の基材2を搬送通過させる乾燥室部3内に、この基材2に塗工されている前記塗工液を乾燥するための熱風が送出される熱風送出部4、又は乾燥するためのヒーター部5が設けられている乾燥装置であって、前記乾燥室部3は、フィルム状の前記基材2を搬送通過させる本体部6と、この本体部6の上部開口部を閉塞する蓋部7とからなり、前記本体部6は、フィルム状の前記基材2を支承する支承ローラ8が複数架設状態に設けられている、又は前記基材2を乾燥しながら非接触で支承する前記熱風送出部4が設けられている構成とされていて、前記蓋部7は、起伏回動装置9により上下方向に起伏回動自在に設けられていて、この蓋部7を前記起伏回動装置9により上方へ起動回動することで前記本体部6の上部開口部が開放状態となりフィルム状の前記基材2の通し作業又は前記支承ローラ8若しくは前記熱風送出部4のメンテナンス作業が行えるように構成されていて、前記起伏回動装置9は、前記本体部6又は前記本体部6が設けられているベース部10又は前記本体部6若しくは前記ベース部10に設けられている固定側取付部11に、起伏回動用シリンダー装置12が設けられていて、この起伏回動用シリンダー装置12のロッドの進退により前記蓋部7が起伏回動支点部24を支点に起伏回動して前記本体部6の上部開口部を開閉する構成とされていて、前記蓋部7が上方に起動回動し前記本体部6の上部開口部が開放した開放作業位置で前記蓋部7を係止保持する開放作業位置ロック機構13が備えられていて、この開放作業位置ロック機構13は、固定側となる前記本体部6又は前記本体部6が設けられている前記ベース部10又は前記本体部6若しくは前記ベース部10に設けられている前記固定側取付部11に設けられているロック用シリンダー装置14と、このロック用シリンダー装置14の進退するロッド15が係合する固定側係合部16と、前記蓋部7とともに起伏回動し前記開放作業位置で前記固定側係合部16に並設され前記ロッド15が係合する可動側係合部17とからなる構成とされていて、前記蓋部7が前記開放作業位置に起動回動し、前記ロック用シリンダー装置14の前記ロッド15が突出動して前記固定側係合部16および前記可動側係合部17に係合した際、このロッド15の突出動を検知し前記蓋部7が前記開放作業位置に係止保持されたロック状態であることを検知するロック検知装置18が備えられている構成であることを特徴とする乾燥装置に係るものである。
【0013】
また前記本体部6と前記蓋部7とからなる前記乾燥室部3の背面側左右に、前記起伏回動装置9および前記ロック検知装置18を備えた前記開放作業位置ロック機構13がそれぞれ備えられている構成であることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置に係るものである。
【0014】
また前記本体部6と前記蓋部7とからなる前記乾燥室部3が搬送方向に複数並設されている構成とされていて、この各乾燥室部3の左右端部に、フィルム状の前記基材2を搬送通過させる出入口部23が設けられていて、この出入口部23が連通するように各前記乾燥室部3の前記本体部6が並設されていてトータル乾燥室長が長く形成されている構成とされていていることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置に係るものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上述のように構成したから、簡易な構成で起動回動し係止保持した蓋部の支承強度を高めることができる、すなわち開放作業位置まで起動回動した蓋部を強固に係止保持でき蓋部のこの位置での保持強度を著しく高めることができ、またこの開放作業位置ロック機構は起伏回動装置に設ける、すなわち一か所あるいはこの起伏回動装置を並設する場合はこれと共に設けるだけで支承強度は確保でき、またさらにこの開放作業位置ロック機構が係合保持されロック状態であることを検知するロック検知装置も備えるため、簡易な構成で安全性が一層確保でき作業者の作業中の不安も大幅に軽減できる画期的な塗工装置に設ける乾燥装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本実施例の開口時の背面側から見た説明斜視図である。
【
図7】本実施例の開口時の要部の背面側から見た説明斜視図である。
【
図8】本実施例の閉塞時(1)と開口時(2)の開放作業位置ロック機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0018】
たとえば塗工装置1によって塗工を終えたフィルム状の基材2は、乾燥装置の本体部6(乾燥室部3)を搬送通過することで、表面に塗工形成されている塗工膜が乾燥される。
【0019】
たとえば、この塗工済みの基材2は、乾燥装置の本体部6と蓋部7とからなる乾燥室部3を引き取り搬送通過することで、この本体部6や蓋部7に設けた熱風送出部4から送出される熱風又はヒーター部5の熱により上面の塗工膜が乾燥される。
【0020】
このような乾燥装置は、前述のように塗工を終えたフィルム状の基材2を搬送通過させる本体部6と、この本体部6の上部開口部を閉塞する蓋部7とからななり、本体部6には、たとえばフィルム状の基材2を支承する支承ローラ8を複数架設状態に設け、さらにたとえば下側の熱風送出部4や熱風排出部を設けた構成としたり、又はフローティング乾燥方式とする場合は、支承ローラ8の替わりに、フィルム状の基材2を乾燥しながら非接触で支承する下側の熱風送出部4を設けた構成としている。
【0021】
また蓋部7には、フィルム状の基材2を乾燥する上側の熱風送出部4や上側のヒーター部5を備えた構成とすると共に、起伏回動装置9により上下方向に起伏回動自在に設けて、この蓋部7を起伏回動装置9により上方へ起動回動することで、本体部6の上部開口部が開放状態となりフィルム状の基材2の通し作業(通紙作業)や前記支承ローラ8若しくは前記熱風送出部4などのメンテナンス作業が行える構成としている。
【0022】
また、前記起伏回動装置9は、本体部6又は前記本体部6が設けられているベース部10又は前記本体部6若しくは前記ベース部10に設けられている固定側取付部11に、起伏回動用シリンダー装置12を設けて、この起伏回動用シリンダー装置12のロッドの進退により蓋部7が背面側の起伏回動支点部24を支点に起伏回動して本体部6の上部開口部が開閉する構成とし、さらに蓋部7が上方に起動回動し本体部6の上部開口部が開放した開放作業位置で蓋部7を係止保持する開放作業位置ロック機構13を備えた構成としている。
【0023】
この開放作業位置ロック機構13は、ロック用シリンダー装置14と、このロック用シリンダー装置14の進退するロッド15が係合する固定側係合部16と、前記蓋部7とともに起伏回動し前記開放作業位置で前記固定側係合部16に並設され前記ロッド15が係合する可動側係合部17とからなる構成とし、蓋部7が前記開放作業位置に起動回動すると、ロック用シリンダー装置14のロッド15が突出動して前記固定側係合部16および前記可動側係合部17に係合して蓋部7がこの開放作業位置で係止保持される構成としている。
【0024】
したがって、簡易な構成で起動回動し係止保持した蓋部7の支承強度を高めることができる、すなわち開放作業位置まで起動回動した蓋部7を強固に係止保持でき蓋部7のこの位置での保持強度を著しく高めることができ、またこの開放作業位置ロック機構13は起伏回動装置9に設ける、すなわち一か所あるいはこの起伏回動装置9を並設する場合はこれと共に設けるだけで支承強度は簡易にして強固に確保できることなる。
【0025】
そして、さらにこのロッド15の突出動を検知し蓋部7が前記開放作業位置に係止保持されたロック状態であることを検知するロック検知装置18を備えた構成であるため、簡易な構成で安全性が一層確保でき作業者の作業中の不安も大幅に軽減できる画期的な塗工装置に設ける乾燥装置となる。
【実施例0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例は、巻取ロール19から引き出したフィルム状の被塗工体(基材2)を塗工装置1のノズル部20と対向する支持ローラ21などを介して引き出し搬送し、このノズル部20の先端吐出孔から塗工液を吐出させて、この支持ローラ21で支承されているフィルム状の基材2の片面にこの塗工液を塗工した後、乾燥装置の本体部6と蓋部7とからなる乾燥室部3を水平搬送通過させて乾燥し、前記回収ロール22に巻き取る塗工装置1に設ける乾燥装置に本発明を適用したものである。
【0028】
すなわち、本実施例のこの乾燥装置は、ノズル部20の先端吐出孔から塗工液を吐出しながら、このノズル部20と対向するフィルム状の基材2をこのノズル部20に対して搬送させることでこの基材2上面に塗工液を膜状に塗工するように構成した膜塗工装置1の搬送下流側に設けて、この塗工装置1により上面に塗工を終えたフィルム状の基材2を搬送通過させ乾燥させる構成としている。
【0029】
具体的には、塗工を終えたフィルム状の基材2を搬送通過させる本体部6と、この本体部6の上部開口部を閉塞する蓋部7とからなり、この本体部6と蓋部7とからなる乾燥室部3を左右の出入口部23が連通するように連結してトータルの乾燥室長を長く確保した構成としたもので、この並設する各本体部6の上部開口部を各蓋部7で開閉自在に閉塞し横方向に長い乾燥室長を有する構成としている。
【0030】
この本体部6は、フィルム状の基材2を支承する支承ローラ8を複数架設状態に設けた構成とし、さらに下側熱風送出部4と熱風排出部を設けた構成としているが、フィルム状の基材2を乾燥しながら非接触で支承する下側熱風送出部や上側熱風送出部を上下交互に設けた構成としてもよい。
【0031】
また蓋部7には、フィルム状の基材2を乾燥する上側の熱風送出部4と熱風排出部とを備えた構成とすると共に、本実施例ではIRヒーターなどのヒーター部5をも備えた構成としている。もちろん、このヒーター部5などはなくてもよい。
【0032】
また、このように重量のある蓋部7を、起伏回動装置9により背面側の起伏回動支点部24と支点に上下方向に起伏回動自在に設けて、この蓋部7を起伏回動装置9により上方へ起動回動することで本体部6の上部開口部が開放状態となりフィルム状の基材2の通し作業や前記支承ローラ8若しくは前記熱風送出部4のメンテナンス作業が行えるように構成している。
【0033】
また本実施例では、本体部6と蓋部7とからなる乾燥室部3を搬送方向に複数並設した構成とし、この各乾燥室部3の左右に、フィルム状の基材2を搬送通過させる出入口部23を設け、この出入口部23が連通するように各前記乾燥室部3の前記本体部6を並設してトータル乾燥室長が長くなるように構成している。
【0034】
すなわち、本体部6は、横方向に複数連結してトータルして長い乾燥室長を形成するもので、この各区画乾燥室部3となる各本体部6の上部開口部を各蓋部7が夫々起伏回動自在に閉塞した構成とし、この各蓋部7を背面側の起伏回動支点部24を支点に上方へ起動回動することでその区画部分が開口してその本体部6内のフィルム状の基材2を支承する前記支承ローラ8が露出し、このフィルム状の基材2の通し作業や、このフィルム状の基材2を取り去ることで支承ローラ8を交換自在に露出させそのメンテナンス作業が容易となる構成としている。
【0035】
言い換えれば、このように本体部6の凹部内には、水平方向に支承ローラ8が多数並設架設されていて、この支承ローラ8上にフィルム状の基材2を通紙し、このフィルム状の基材2が引き取り水平搬送されるように構成するが、この本体部6に対して蓋部7を開放移動することでその蓋部7で閉塞していた部分(区画部分)の本体部6の上部開口部が開放でき、前記フィルム状の基材2の通し作業やメンテナンスが容易に行えるように構成している。
【0036】
また本実施例では、前述のように本体部6に対して蓋部7が起伏回動装置9により上下方向に起伏回動自在に設けた構成としているが、この起伏回動装置9は、本体部6又は本体部6が設けられているベース部10又は本体部6若しくはベース部10に設けられている固定側取付部11に、起伏回動用シリンダー装置12を設けて、この起伏回動用シリンダー装置12のロッドの進退により蓋部7が背面側の起伏回動支点部24を支点に起伏回動して本体部6の上部開口部が開放する構成としている。
【0037】
さらに本実施例は、本体部6と蓋部7とからなる各乾燥室部3の背面側左右に、前記起伏回動装置9およびロック検知装置18を備えた開放作業位置ロック機構13をそれぞれ備えた構成としている。
【0038】
具体的には、本体部6を所定高さに載置固定している機台部であるベース部10に固定側取付部11を突設し、この固定側取付部11に前記起伏回動用シリンダー装置12(油圧シリンダー装置)を設け、この起伏回動用シリンダー装置12のロッドが上下方向に進退する構成とし、このロッドが上方に突出することで、この固定側取付部11に設けた(本体部6の背面側に固定されている)前記起伏回動支点部24を支点に、蓋部7が上方に起動回動する構成としている。
【0039】
さらに説明すると、蓋部7の上部には背面側に突出する連結部25を設け、この連結部25の取り付け垂下部26の後方端部に前記起伏回動用シリンダー装置12のロッドを枢着連結するとともに、この取り付け垂下部26の前端部下部を前記起伏回動支点部24に枢着した構成としている。
【0040】
また本実施例は、蓋部7が上方に起動回動し本体部6の上部開口部が開放した開放作業位置で蓋部7を係止保持する前記開放作業位置ロック機構13を備えた構成としている。
【0041】
この開放作業位置ロック機構13は、固定側となる前記固定側取付部11に設けられているロック用シリンダー装置14と、このロック用シリンダー装置14の進退するロッド15が係合する固定側係合部16と、蓋部7とともに起伏回動し前記開放作業位置で前記固定側係合部16に並設され前記ロッド15が係合する可動側係合部17とからなる構成としている。
【0042】
具体的には、固定側となる本体部6のベース部10に設けた前記固定側取付部11の起伏回動用シリンダー装置12と前記起伏回動支点部24との間の位置に、ロック用シリンダー装置14を横設し、水平方向に進退するこのロッド15が、蓋部7が開放作業位置まで起動回動した際(本体部6の上部開口部がメンテナンス作業するに十分に開口する位置まで起動回動した際)固定側係合部16と、蓋部7とともに起伏回動しこの開放作業位置で前記固定側係合部16とが連通状態に並設されることとなる可動側係合部17とに貫通係合して、蓋部7がその位置に係止保持されロック状態となる構成としている。
【0043】
さらに説明すると、本実施例ではこのように固定側係合部16と可動側係合部17とにロッド15が貫通係合することでその位置で蓋部7が係止保持される構成とし、そのため貫通係合して蓋部7を係止保持したこのロッド15に、大きな負荷がかかりにくく支承強度がさらに強固となる構成としている。
【0044】
さらに本実施例では、前記固定側取付部11に設ける前記固定側係合部16を対向間隔をおいて並設しそれぞれの貫通孔が連設するように配置し、蓋部7が起動回動することで前記蓋部7の回動にともなって回動移動する前記取り付け垂下部26に設けた前記可動係合部17がこの固定側係合部16間に介存して前記開放作業位置となる起動回動時には丁度それぞれの貫通孔が3連通することとなる構成とし、この連通した貫通孔に前記ロック用シリンダー装置14のロッド15が貫通係合することで蓋部7が係止保持されロック状態となる構成としている。
【0045】
そのため、この対向する固定側係合部16がロッド15の進退動のガイドとなるだけでなく、この一対の固定側係合部16で貫通するロッド15を支持することとなり、一層ロッド15にかかる負荷を軽減でき、保持強度がさらに強固となる構成としている。
【0046】
また本実施例では、蓋部7が前記開放作業位置に起動回動し、前記ロック用シリンダー装置14の前記ロッド15が突出動して前記固定側係合部16および前記可動側係合部17に貫通係合した際、このロッド15の突出動を検知し蓋部7が前記開放作業位置に係止保持されたロック状態であることを検知するロック検知装置18をも備えた構成としている。
【0047】
具体的には、前記ロッド15の突出方向の端部に位置する前記固定側係合部16に貫通係合するロッド15の有無あるいはこのロッド15が貫通突出したロッド15の貫通先端部を検知しこのロッド15の貫通係合の有無を検知するロッド有無検知センサーを前記ロック検知装置18として設けた構成としている。
【0048】
このロック検知装置18によりロッド15が貫通係合しロック状態にあるたことを検知しこれを作業者に報知する構成とすることで、作業者の不安が一層軽減されることとなるように構成している。
【0049】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。