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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152372
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】回転継手
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241018BHJP
   G01B 7/30 20060101ALI20241018BHJP
   E02F 9/12 20060101ALI20241018BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E02F9/00 B
G01B7/30 M
E02F9/12 Z
E02F9/26 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066523
(22)【出願日】2023-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(71)【出願人】
【識別番号】524074873
【氏名又は名称】株式会社ナチ東北精工
(72)【発明者】
【氏名】池生 慎一
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 雅
【テーマコード(参考)】
2D015
2F063
【Fターム(参考)】
2D015BA03
2D015HA03
2D015HB04
2F063AA35
2F063BA17
2F063CA31
2F063GA52
(57)【要約】
【課題】高精度で回転角度を測定できる回転継手を提供する。
【解決手段】回転継手は、フランジと、一端がフランジに接続される筒状のローターと、ローターの中心軸を回転軸として回転可能にローターの内周に外周が接続され、中心軸に沿うように孔部が形成されているシャフトと、一端がフランジに接続され、シャフトの一端側から中心軸に沿って延在するように孔部内に設けられるロッドと、シャフトの他端側からロッドの他端に向かうように孔部に接続され、ロッド及びシャフトの間の中心軸を回転軸とする回転角度を測定する角度測定部と、カップ状に形成されており、中心軸に沿って回転可能に外周が孔部に接続され、内周にロッドの他端が接続され、孔部内においてロッド及び角度測定部の間を遮蔽する遮蔽部材と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジと、
一端が前記フランジに接続される筒状のローターと、
前記ローターの中心軸を回転軸として回転可能に前記ローターの内周に外周が接続され、前記中心軸に沿うように孔部が形成されているシャフトと、
一端が前記フランジに接続され、前記シャフトの一端側から前記中心軸に沿って延在するように前記孔部内に設けられるロッドと、
前記シャフトの他端側から前記ロッドの他端に向かうように前記孔部に接続され、前記ロッド及び前記シャフトの間の前記中心軸を回転軸とする回転角度を測定する角度測定部と、
カップ状に形成されており、前記中心軸に沿って回転可能に外周が前記孔部に接続され、内周に前記ロッドの他端が接続され、前記孔部内において前記ロッド及び前記角度測定部の間を遮蔽する遮蔽部材と、
を備える回転継手。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の外周に設けられている環状部材によって、前記中心軸に沿って回転可能に前記孔部の内周に嵌合される、
請求項1に記載の回転継手。
【請求項3】
前記ロッドの他端及び前記遮蔽部材の内側底面の間に設けられる磁石、
をさらに備え、
前記角度測定部は、前記遮蔽部材の外側底面に対向する面に設けられた磁気センサによって前記磁石から発生する磁場の変化を測定し、当該測定の結果に基づいて前記回転角度を測定する、
請求項1又は2に記載の回転継手。
【請求項4】
前記孔部は、ドレン油路である、
請求項1又は2に記載の回転継手。
【請求項5】
前記フランジは、外部から前記シャフトの一端に向かう管路を有しており、
前記シャフトは、前記孔部から前記シャフトの外周に向かう排出孔を有しており、前記中心軸を回転軸として回転可能に前記孔部における前記シャフトの一端側が前記管路に接続される、
請求項4に記載の回転継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、固定された管路に流れる流体を回転する物体に搬送する回転継手が知られている。
【0003】
これに関し、特許文献1には、内側ボディ及び外側ボディの一方に固定されており、内側ボディに設けられているパイロット油の流路に挿通されているロッドの回転角度を、内側ボディ及び外側ボディの他方に固定されているセンサによって検出する回転継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6592327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、センサが油の流路に面しているため、流路を流れる異物や油中に含まれる異物等がセンサに付着することによって回転角度の測定の精度が低下してしまう可能性があった。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高精度で回転角度を測定できる回転継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の回転継手は、フランジと、一端が前記フランジに接続される筒状のローターと、前記ローターの中心軸を回転軸として回転可能に前記ローターの内周に外周が接続され、中心軸に沿うように孔部が形成されているシャフトと、一端が前記フランジに接続され、前記シャフトの一端側から前記中心軸に沿って延在するように前記孔部内に設けられるロッドと、前記シャフトの他端側から前記ロッドの他端に向かうように前記孔部に接続され、前記ロッド及び前記シャフトの間の前記中心軸を回転軸とする回転角度を測定する角度測定部と、カップ状に形成されており、前記中心軸に沿って回転可能に外周が前記孔部に接続され、内周に前記ロッドの他端が接続され、前記孔部内において前記ロッド及び前記角度測定部の間を遮蔽する遮蔽部材と、を備える。
【0008】
また、前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の外周に設けられている環状部材によって、前記中心軸に沿って回転可能に前記孔部の内周に嵌合される。
【0009】
また、本発明の回転継手は、前記ロッドの他端及び前記遮蔽部材の内側底面の間に設けられる磁石、をさらに備え、前記角度測定部は、前記遮蔽部材の外側底面に対向する面に設けられた磁気センサによって前記磁石から発生する磁場の変化を測定し、当該測定の結果に基づいて前記回転角度を測定する。
【0010】
また、前記孔部は、ドレン油路である。
【0011】
また、前記フランジは、外部から前記シャフトの一端に向かう管路を有しており、 前記シャフトは、前記孔部から前記シャフトの外周に向かう排出孔を有しており、前記中心軸を回転軸として回転可能に前記孔部における前記シャフトの一端側が前記管路に接続される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転継手は、高精度で回転角度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係る回転継手が搭載された建設機械を示す図である。
図2図1に示す回転継手の構成を示す斜視図である。
図3A図1に示す回転継手の側面図である。
図3B図1に示す回転継手の上面図である。
図3C図1に示す回転継手の底面図である。
図4図1に示す回転継手のフランジ及びロッドの接続箇所の構成を示す斜視図である。
図5図1に示す回転継手のI-I線に沿った断面図である。
図6図5に示すロッド、磁石、遮蔽部材及び角度測定部のI-I線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素及びステップに対しては可能な限り同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る回転継手10が搭載された建設機械1を示す図である。図1に示すように、建設機械1は、例えば、ショベルカーやクレーン車などであり、走行体2と、旋回体3と、アーム部4と、回転継手10とを含んで構成される。
【0016】
走行体2は、例えば、建設機械1の下部に設けられており、建設機械1全体を支持するとともに、建設機械1の運転者の操作によって旋回体3にある運転台から伝達される制御信号や制御命令、制御動作等にしたがって建設機械1を前後に走行させる。走行体2は、例えば、無限軌道などの履帯と、履帯の車輪を回転させるための油圧式回転アクチュエータ(以下、油圧モータと称す)とを含んで構成される。また、走行体2は、上部に回転支柱が設けられており、回転支柱を介して、走行体2の設置面に対して垂直な軸を回転軸として回転可能に旋回体3が接続される。また、走行体2は、上部及び下部が中心軸を回転軸として互いに回転可能に形成されている回転継手10が上部に接続される。走行体2は、回転継手10を介して、旋回体3から油圧制御用の油が供給される。
【0017】
旋回体3は、走行体2の上部に設けられており、下部に接続されている回転支柱を介して、走行体2の設置面に対して垂直な軸を回転軸として走行体2に対して回転可能に走行体2に接続されている。旋回体3は、例えば、建設機械1の運転者が搭乗して建設機械1の動作を制御するための運転台と、建設機械1の油圧で動作する各構成要素に油を供給するための油圧ポンプとを含んで構成される。旋回体3は、上部にアーム部4が接続されており、油圧ポンプからアーム部4に油を供給する。また、旋回体3は、下部に回転継手10が接続されており、回転継手10を介して、油圧ポンプから走行体2に油を供給する。
【0018】
アーム部4は、例えば、先端に土木作業に用いるバケットなどの作業部が設けられている多関節型の油圧式のアームであり、旋回体3の上部に設けられている。アーム部4は、旋回体3の運転台から伝達される制御信号や制御命令、制御動作等にしたがって、油圧ポンプから供給される油によって各関節部や作業部を動作させる。
【0019】
回転継手10は、例えば、ロータリースイベルジョイントであり、旋回体3から走行体2に油を供給する。回転継手10は、走行体2及び旋回体3の間に設けられており、上端が旋回体3の下部に接続され、下端が走行体2の上部に接続される。また、回転継手10は、筒状かつ、上部及び下部が筒の中心軸を回転軸として互いに回転可能に形成されている。また、回転継手10は、走行体2に油を供給するにあたって、走行体2に設けられている油圧モータにおけるドレン油を旋回体3に設けられているタンクに排出する。
【0020】
続いて、回転継手10の構成について説明する。図2は、図1に示す回転継手10の構成を示す斜視図である。また、図3Aは、図1に示す回転継手10の側面図である。また、図3Bは、図1に示す回転継手10の上面図である。また、図4は、図1に示す回転継手10のフランジ11及びロッド14の接続箇所の構成を示す斜視図である。また、図5は、図1に示す回転継手10のI-I線に沿った断面図である。
【0021】
図2図3A図3C図4及び図5に示すように、回転継手10は、例えば、フランジ11と、ローター12と、シャフト13と、ロッド14と、磁石15と、遮蔽部材16と、角度測定部17と、固定部材18と、ピン19とを含んで構成される。なお、本実施形態において、回転継手10の設置面に対して垂直であり、かつ回転継手10の下端側から中心軸Oに沿って上端側に向かう方向をZ軸方向とする。また、Z軸に対して垂直であり、かつフランジ11の中心部からフランジ11の板状部分の両端のうち通し穴113A及び113Bがある一端に向かう方向をY軸方向とする。また、Z軸及びY軸に対して垂直であり、かつフランジ11の管路111Bの外周部の接続口116Aから管路111Aの外周部の接続口に向かう方向をX軸方向とする。
【0022】
図4及び図5を参照しつつフランジ11の構造について説明する。フランジ11は、回転継手10を回転継手10の設置面に固定するための部材である。フランジ11は、例えば、板状部分と、板状部分の底面側の中心近傍に、両端のうち一端がX軸方向側に、他端がX軸方向と反対の方向に向くように延在して形成されている筒状部分とを含んで構成される。また、フランジ11は、Z軸方向から見た場合における板状部分の中心部に円状の凹部112が設けられている。また、フランジ11は、凹部112の中心にフランジ11の上面から底面まで、板状部分及び筒状部分を貫通する孔部115が設けられている。凹部112は、回転継手10内にドレン油を流すためのドレン油路の一部として機能する。
【0023】
フランジ11は、凹部112における孔部115の周辺に、2つの接続口117A及び117Bが設けられている。フランジ11は、筒状部分の両端のうちX軸方向側の一端の面に管路111Aを介して接続口117Aに繋がる接続口116Aが設けられている。また、フランジ11は、筒状部分の両端のうちX軸方向と反対側の他端の面に管路111Bを介して接続口117Bに繋がる接続口116Bが設けられている。接続口116Aから接続口117Aを介して凹部112に向かう管路111Aは、回転継手10内にドレン油を流すためのドレン油路として機能する。また、接続口116Bから接続口117Bを介して凹部112に向かう管路111Bは、回転継手10内にドレン油を流すためのドレン油路として機能する。
【0024】
フランジ11は、Z軸方向からロッド14の一端が孔部115に挿入され、ロッド14の一端が固定部材18を介して接続される。具体的には、フランジ11は、孔部115のZ軸方向と反対の底面側に固定部材18が嵌合される。ここで、固定部材18は、フランジ11に対してロッド14を固定接続するための部材であり、キャップ状に形成されている。固定部材18は、外周に環状部材181が設けられている。環状部材181は、例えば、樹脂によって形成されているOリングであり、固定部材18の外周を一周するように、固定部材18に接続されている。固定部材18は、環状部材181を介して外周が孔部115の底面側の内周に嵌合される。
【0025】
また、固定部材18は、内周にロッド14の一端の外周が嵌合される。固定部材18は、ロッド14との嵌合部分に内周から外周に貫通する孔部182が設けられている。また、ロッド14の一端には、固定部材18に設けられている孔部182と同じ直径の孔部141が設けられている。固定部材18は、孔部182及び孔部141を貫通するようにピン19が嵌合され、さらに固定部材18がフランジ11の孔部115に底面側から嵌合されるか又はねじ込まれることによって、ロッド14をフランジ11に固定接続する。
【0026】
フランジ11は、板状部分の両端のうちY軸方向側の一端に通し穴113A及び113Bが設けられている。また、フランジ11は、板状部分の両端のうちY軸方向と反対側の他端に通し穴113C及び113Dが設けられている。フランジ11は、通し穴113A~113Dにそれぞれボルトが挿入され、さらに当該ボルトが走行体2の上面の取付穴に挿入されることによって、底面が走行体2の上部に接続される。また、フランジ11は、板状部分の孔部を囲うように、通し穴114A~114Dが設けられている。フランジ11は、通し穴114A~114Dにそれぞれボルトが挿入され、さらに当該ボルトがローター12の一端にある雌ネジに挿入されることによって、上面に筒状のローター12の一端が接続される。
【0027】
図3A図3C及び図5を参照しつつローター12の構造について説明する。ローター12は、筒状に形成されている部材であり、内部に設けられている油路を介して、シャフト13から流入する油をローター12の外周に接続される走行体2に設けられている部材に供給する。シャフト13に流入する油は、例えば、油圧モータへの供給油、油圧モータからの戻り油、及びパイロット油である。また、ローター12の内部に設けられている油路は、例えば、油圧モータへの供給油、油圧モータからの戻り油、及びパイロット油路である。ローター12は、両端のうちZ軸方向と反対の底面側の一端が、フランジ11の板状部分の上面側に接続される。また、ローター12は、中心軸Oを回転軸として回転可能に、シャフト13の外周が内周に接続される。
【0028】
ローター12は、シャフト13から流入する油をローター12の外周に接続される走行体2に設けられている部材に供給するための油路121A~121Hが外周及び内周の間に設けられている。油路121A~121Hは、ローター12の内周にある油路から外周にある接続口に繋がる管路である。油路121A~121Hは、内周の油路がそれぞれに対応付けられているシャフト13の外周にある接続口に接続される。また、油路121A~121Hは、外周の接続口が、走行体2に設けられている部材のうちそれぞれに対応付けられている部材の接続口に接続される。
【0029】
図3A図3B及び図5を参照しつつシャフト13の構造について説明する。シャフト13は、筒状に形成されている部材であり、内部に設けられている油路を介して、シャフト13の上面に接続される旋回体3に設けられている部材から流入する油をシャフト13の外周に接続されているローター12に供給する。また、シャフト13は、内部に設けられている孔部132を介して、フランジ11から流入するドレン油をシャフト13の外周に設けられている排出孔134から排出する。
【0030】
シャフト13は、ローター12の中心軸Oを回転軸として回転可能にローター12の内周にZ軸方向と反対側である下部の外周が接続される。また、シャフト13は、両端のうち下部側の一端に中心軸Oを中心とする凹部133が設けられている。シャフト13は、中心軸Oを回転軸として回転可能に、Z軸方向と反対側の一端がフランジ11の上面側に接続される。さらに、シャフト13は、中心軸Oを回転軸として回転可能に、凹部133がフランジ11の管路111A及び111Bに接続される。また、シャフト13は、凹部133から中心軸Oを沿って両端のうちZ軸方向側である上部の他端に至る孔部132が形成されている。また、シャフト13は、孔部132からシャフト13の上部の外周に向かう排出孔134を有している。孔部132、凹部133及び排出孔134は、フランジ11の管路111A及び111Bと合わせてドレン油路として機能する。
【0031】
シャフト13は、上部の上面における孔部132の周囲にシャフト13及び旋回体3の間で油が流通するための接続口131A~131Dが設けられている。また、シャフト13は、上部の外周にシャフト13及び旋回体3の間で油が流通するための接続口131E~131Hが設けられている。接続口131A~131Hは、それぞれ、シャフト13の内部に設けられている油路を介して、下部の外周に設けられている複数の油路のうちそれぞれに対応付けられている油路に繋がっている。
【0032】
シャフト13は、フランジ11の凹部112及びシャフト13の凹部133を介して、Z軸方向と反対側である一端側からロッド14が孔部132内に孔部132の内周に直接接しないように設けられている。また、シャフト13は、Z軸方向側である他端側から角度測定部17が孔部132に例えばねじ込みによって接続されている。また、シャフト13は、ロッド14の他端の外周を覆うカップ状に形成されている遮蔽部材16の外周が、中心軸Oを回転軸として回転可能に孔部132の内周に嵌合されている。
【0033】
図4図6を参照しつつロッド14、磁石15、遮蔽部材16及び角度測定部17について説明する。ロッド14は、円柱状に形成されており、Z軸方向と反対側の一端が固定部材18の内周に接続されることによって、固定部材18を介してフランジ11の孔部115に接続され、シャフト13の一端側から中心軸Oに沿って延在するように孔部132内に設けられる。また、ロッド14は、カップ状に形成されている遮蔽部材16の内周162にZ軸方向側の他端の外周が嵌合やねじ込みによって接続されており、他端の上面及び遮蔽部材16の内側底面163の間に磁石15が設けられている。また、ロッド14は、一端から他端までの間の部分が直接孔部132の内周に接しないように、孔部132に設けられる。
【0034】
磁石15は、例えば、永久磁石であり、磁場を発生させる。磁石15は、遮蔽部材16の内側底面163及びロッド14の他端の上面の間に設けられている。磁石15は、角度測定部17によるシャフト13及びロッド14の間の中心軸Oを回転軸とした回転角度を測定するために用いられる。
【0035】
遮蔽部材16は、非磁性体の素材によってカップ状に形成されており、シャフト13の孔部132内において、ロッド14及び角度測定部17の間を遮蔽する。また、遮蔽部材16は、底面の中心部に孔部が形成されている。遮蔽部材16は、内周162にロッド14の他端の外周が嵌合やねじ込みによって接続される。また、遮蔽部材16は、内側底面163及びロッド14の他端の上面の間に、Z軸方向側の面が遮蔽部材16の底面の中心部に設けられている孔部から露出するように、磁石15が設けられる。なお、遮蔽部材16は、磁石15を油密に保つために、内周162にシール材が塗布される。また、遮蔽部材16は、外周161を一周するように環状部材165A及び165Bが外周161に設けられている。遮蔽部材16は、環状部材165A及び165Bを介して、外周161が中心軸Oに沿って回転可能に孔部132の内周に嵌合される。また、遮蔽部材16の外側底面164は、角度測定部17の孔部132内にある測定面に対向している。
【0036】
環状部材165A及び165Bは、例えば、樹脂によって形成されているOリングであり、遮蔽部材16の外周161を一周するように、遮蔽部材16に設けられている。環状部材165A及び165Bは、シャフト13の孔部132内のロッド14が設けられている側に流れるドレン油が、角度測定部17が接続されている側に漏れない程度に、ロッド14に対してシャフト13が中心軸Oを回転軸として回転できるような摩擦を生むように、遮蔽部材16の及び孔部132の内周の間に設けられる。
【0037】
角度測定部17は、例えば、磁気式の角度センサであり、中心軸Oを回転軸とするロッド14及びシャフト13の間の回転角度を測定する。角度測定部17は、旋回体3や走行体2などにある建設機械1の制御機器に、測定した回転角度を電気信号として伝達する。角度測定部17は、磁気センサ171と、ソケット172と、固定部材173とを含んで構成される。
【0038】
ソケット172は、筒状に形成されており、シャフト13の他端側からロッド14の他端に向かうように外周が孔部132の内周に例えばねじ込みによって接続される。ソケット172は、両端のうちZ軸方向と反対側の一端にある面が測定面となっており、当該測定面に磁気センサ171が設けられている。測定面は、遮蔽部材16の磁石15及び外側底面164に対向しており、例えば、磁石15のZ軸方向側の面から約3.0mmの距離に離れて位置している。また、ソケット172は、両端のうちZ軸方向側である他端の内周に固定部材173の外周が接続される。ソケット172は、内部に設けられている信号線、固定部材173及び外部の通信ケーブルを介して、旋回体3や走行体2などにある建設機械1の制御機器に磁気センサ171から出力される信号を伝達する。
【0039】
磁気センサ171は、角度測定部17の測定面に設けられており、磁石15から発生する磁場の変化を測定する。磁気センサ171は、測定した磁場の変化から中心軸Oを回転軸とするロッド14及びシャフト13の間の回転角度を測定する。磁気センサ171は、測定の結果を電気信号として、ソケット172の信号線、固定部材173及び外部の通信ケーブルを介して、旋回体3や走行体2などにある建設機械1の制御機器に当該電気信号を出力する。
【0040】
固定部材173は、回転継手10と建設機械1の制御機器との間を接続する通信ケーブルを回転継手10に固定するために部材である。固定部材173は、一端がソケット172の両端のうちZ軸方向の側である他端の内周に外周がねじ込みや嵌合などによって接続され、他端が、通信ケーブルに接続される。
【0041】
<効果>
以上、本実施形態では、回転継手10は、フランジ11と、一端がフランジ11に接続される筒状のローター12と、ローター12の中心軸Oを回転軸として回転可能にローター12の内周に外周が接続され、中心軸Oに沿うように孔部132が形成されているシャフト13とを備える。また、回転継手10は、一端がフランジ11に接続され、シャフト13の一端側から中心軸Oに沿って延在するように孔部132内に設けられるロッド14と、シャフト13の他端側からロッド14の他端に向かうように孔部132に接続され、ロッド14及びシャフト13の間の中心軸Oを回転軸とする回転角度を測定する角度測定部17とをさらに備える。また、回転継手10は、カップ状に形成されており、中心軸Oに沿って回転可能に外周161が孔部132に接続され、内周162にロッド14の他端が接続され、孔部132内においてロッド14及び角度測定部17の間を遮蔽する遮蔽部材16をさらに備える。
【0042】
これにより、回転継手10は、遮蔽部材16によって、孔部132内がロッド14の側と角度測定部17側との間が遮蔽されているため、孔部132内のロッド14側に流れる異物が角度測定部17に付着することが防止される。したがって、回転継手10は、高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0043】
また、遮蔽部材16は、遮蔽部材16の外周161に設けられている環状部材165A及び165Bによって、中心軸Oに沿って回転可能に孔部132の内周に嵌合される。
【0044】
これにより、回転継手10は、環状部材165A及び165Bによって、ロッド14の延在方向がシャフト13の中心軸Oの方向に調整される。したがって、回転継手10は、ロッド14の延在方向がシャフト13の中心軸Oに対して傾くことを抑制できる。また、回転継手10は、少ない部品数によって、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0045】
また、回転継手10は、ロッド14の他端及び遮蔽部材16の内側底面163の間に設けられる磁石15をさらに備える。また、角度測定部17は、遮蔽部材16の外側底面164に対向する面に設けられた磁気センサ171によって磁石15から発生する磁場の変化を測定し、当該測定の結果に基づいて回転角度を測定する。
【0046】
これにより、回転継手10は、孔部132内のロッド14側に流れる異物が角度測定部17に加えて磁石15に付着することが防止される。したがって、回転継手10は、磁場の変化によって回転角度を測定するため、高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0047】
また、遮蔽部材16は、非磁性体の素材で形成されている。
【0048】
したがって、回転継手10は、磁場及び磁界に与える影響が少ない素材で遮蔽部材16が形成されているため、さらに高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0049】
また、孔部132は、ドレン油路である。
【0050】
これにより、孔部132がドレン油路であるため、孔部132が例えばパイロット油路などのドレン油路以外の油路である場合と比較して、孔部132内にある遮蔽部材16に加わる油圧が低くなり、遮蔽部材16、環状部材165A及び165Bに必要な強度が抑制される。したがって、回転継手10は、遮蔽部材16、環状部材165A及び165Bに必要な強度が抑制されるため、低コストで、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0051】
また、フランジ11は、外部からシャフト13の一端に向かう管路を有している。また、シャフト13は、孔部132からシャフト13の外周に向かう排出孔134を有しており、中心軸Oを回転軸として回転可能に孔部132におけるシャフト13の一端側が管路に接続される。
【0052】
すなわち、回転継手10は、フランジ11の外部から孔部132を介して排出孔134に至る経路のうち、孔部132内にロッド14が設けられている。これにより、回転継手10は、ロッド14が設けられている孔部132が経路として用いられるため、回転継手10のサイズの増大を抑制できる。
【0053】
<変形例>
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記の実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。また、上記実施形態及び後述する変形例が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【0054】
例えば、本実施形態では、ロッド14は、円柱状に形成されているが、これに限られるものではない。ロッド14は、例えば、フランジ11から遮蔽部材16に向かって延在しており、先端が遮蔽部材16の内周162に接続される形状であればどのような形状であってもよい。ロッド14は、例えば、角柱状に形成されていてもよい。ここで、ロッド14が角柱状に形成される場合、遮蔽部材16の内側は、ロッド14の先端の形状に合わせた形状に形成される。
【0055】
この構成によれば、回転継手10は、ロッド14の形状に依らずに、高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0056】
また、遮蔽部材16は、Oリングなどの環状部材165A及び165Bが外周161に設けられているがこれに限られるものではない。遮蔽部材16は、例えば、金属で形成されている環状の部材の周囲が樹脂によって覆われるように形成されているオイルシールやキャップシールなどが外周161に設けられていても良い。
【0057】
この構成によれば、回転継手10は、遮蔽部材16に油を封止する部材としてOリング以外の部材が用いられるため、オイルシールやキャップシールなどのOリング以外の部材の方がコストなどで適している場合にも、高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【0058】
また、遮蔽部材16は、メッキなどによって皮膜処理が施されていてもよい。また、ロッド14は、遮蔽部材16の内周162に接触する箇所が、メッキなどによって皮膜処理が施されていてもよい。
【0059】
この構成によれば、回転継手10は、皮膜処理によってロッド14及び遮蔽部材16の摩耗が低減されるため、高耐久かつ高精度で、中心軸Oを回転軸とするシャフト13及びロッド14の間の回転角度を測定できる。
【符号の説明】
【0060】
10…回転継手、11…フランジ、12…ローター、13…シャフト、14…ロッド、15…磁石、16…遮蔽部材、17…角度測定部、111A…管路、111B…管路、131…孔部、132…排出孔、161…外周、162…内周、163…内側底面、164…外側底面、165A…環状部材、165B…環状部材、171…磁気センサ

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-04-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジと、
一端が前記フランジに接続される筒状のローターと、
前記ローターの中心軸を回転軸として回転可能に前記ローターの内周に外周が接続され、前記中心軸に沿うようにドレン油路である孔部が形成されており、前記孔部から外周に向かう排出孔を有しているシャフトと、
一端が前記フランジに接続され、前記シャフトの一端側から前記中心軸に沿って延在するように前記孔部内に設けられるロッドと、
前記シャフトの他端側から前記ロッドの他端に向かうように前記孔部に接続され、前記ロッド及び前記シャフトの間の前記中心軸を回転軸とする回転角度を測定する角度測定部と、
カップ状に形成されており、前記中心軸に沿って回転可能に外周が前記孔部に接続され、内周に前記ロッドの他端が接続され、前記孔部内において前記ロッド及び前記角度測定部の間を遮蔽し、前記角度測定部に対して離れて設けられる遮蔽部材と、
を備える回転継手。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記遮蔽部材の外周に設けられている環状部材によって、前記中心軸に沿って回転可能に前記孔部の内周に嵌合される、
請求項1に記載の回転継手。
【請求項3】
前記ロッドの他端及び前記遮蔽部材の内側底面の間に設けられる磁石、
をさらに備え、
前記角度測定部は、前記遮蔽部材の外側底面に対向する面に設けられた磁気センサによって前記磁石から発生する磁場の変化を測定し、当該測定の結果に基づいて前記回転角度を測定する、
請求項1又は2に記載の回転継手。
【請求項4】
前記フランジは、外部から前記シャフトの一端に向かう管路を有しており、
前記シャフトは、前記中心軸を回転軸として回転可能に前記孔部における前記シャフトの一端側が前記管路に接続される、
請求項に記載の回転継手。
【請求項5】
フランジと、
一端が前記フランジに接続される筒状のローターと、
前記ローターの中心軸を回転軸として回転可能に前記ローターの内周に外周が接続され、前記中心軸に沿うようにドレン油路である孔部が形成されているシャフトと、
一端が前記フランジに接続され、前記シャフトの一端側から前記中心軸に沿って延在するように前記孔部内に設けられるロッドと、
前記シャフトの他端側から前記ロッドの他端に向かうように前記孔部に接続され、前記ロッド及び前記シャフトの間の前記中心軸を回転軸とする回転角度を測定する角度測定部と、
カップ状に形成されており、前記中心軸に沿って回転可能に外周が前記孔部に接続され、内周に前記ロッドの他端が接続され、前記孔部内において前記ロッド及び前記角度測定部の間を遮蔽する遮蔽部材と、
を備え、
前記フランジは、外部から前記シャフトの一端に向かう管路を有しており、
前記シャフトは、前記孔部から前記シャフトの外周に向かう排出孔を有しており、前記中心軸を回転軸として回転可能に前記孔部における前記シャフトの一端側が前記管路に接続される、
回転継手。